(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179198
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G03G21/00 345
G03G21/00 510
G03G21/00 318
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097852
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 将孝
(72)【発明者】
【氏名】門田 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】神山 雄二
【テーマコード(参考)】
2H035
2H134
2H270
【Fターム(参考)】
2H035BA01
2H035BA05
2H035BA10
2H134HD18
2H134KA16
2H134KA33
2H134KB14
2H270LA70
2H270LB01
2H270LB02
2H270MC15
2H270MD02
2H270RA11
2H270RC02
2H270RC03
2H270RC13
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】像担持体の表面電位を均一化して安定した画像を得る画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置は、像担持体と、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、転写部と、クリーニングブレードとを備える。像担持体は感光層を有して回転駆動され、帯電装置により表面が帯電する。露光装置は帯電した像担持体の表面を露光して静電潜像を形成し、現像装置は静電潜像をトナー像に現像する。転写部は像担持体上のトナー像を記録媒体に転写し、記録媒体に画像が形成される。クリーニングブレードは像担持体上に残留するトナーを擦り取る。画像形成装置は像担持体の長手方向に区切られた複数のエリア別の印字率を検出し、帯電させた状態の像担持体を露光装置により光照射しながら回転駆動するエージング処理を所定の時期に行う。エージング処理の際に印字率の大きいエリアに対する露光装置の光量を印字率の小さいエリアに対する露光装置の光量よりも多くする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光層を表面に有して回転駆動される像担持体と、前記像担持体の表面を帯電させる帯電装置と、前記帯電装置によって帯電された前記像担持体の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置と、前記静電潜像をトナー像に現像する現像装置と、前記トナー像を記録媒体に転写する転写部と、前記像担持体に残留したトナーを擦り取るクリーニングブレードと、を備えた画像形成装置において、
前記像担持体の長手方向に区切られた複数のエリア別の印字率を検出し、帯電させた状態の前記像担持体を前記露光装置により光照射しながら回転駆動するエージング処理を所定の時期に行い、前記エージング処理の際に前記印字率の大きい前記エリアに対する前記露光装置の光量を前記印字率の小さい前記エリアに対する前記露光装置の光量よりも多くすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記エリア毎に前記印字率を平均した平均印字率をジョブ完了時に導出し、前記平均印字率の大きい前記エリアに対する光量を前記平均印字率の小さい前記エリアに対する光量よりも大きくしたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記エージング処理における前記露光装置の光量が前記平均印字率に比例することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像担持体が正帯電有機感光体であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真プロセスを用いる画像形成装置に関し、特に像担持体の表面電位の均一化に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には電子写真方式の画像形成装置が開示される。この画像形成装置は、像担持体(感光体)、帯電部、LSU、現像部及び定着部を備えている。画像形成の指示が入力されると円筒状の像担持体が回転し、帯電部により像担持体の表面を帯電させる。帯電された像担持体の表面にはLSUの露光により静電潜像が形成され、現像部により静電潜像がトナー像に現像される。像担持体の表面に形成されたトナー像は中間転写ベルトを介して用紙に転写された後、定着部によって用紙上に画像が定着される。像担持体上に残存するトナーはブレードにより擦り取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-206391号公報(第3頁~第17頁、第3図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の画像形成装置において、像担持体を正帯電有機感光体により形成した際に、像担持体にはブレードとの摩擦力による摩擦帯電によって感光層にキャリアが発生する。この時、摩擦力が強いほど感光層上のキャリアが増加する特性がある。一方で、像担持体とブレードとの間の摩擦力は像担持体上のトナー量が多いと強くなる。このため、像担持体の長手方向の印字率が異なる場合に、介在するトナーが多い部分と少ない部分とでキャリア発生量に差が生じる。この状態で帯電部により像担持体に帯電させると、キャリアの発生量に応じて像担持体の表面電位に差が生じて画像上に帯や筋となって現れる。このため、安定した画像を得られない問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑み、像担持体の表面電位を均一に保ち、安定した画像を得られる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明の構成は、像担持体と、帯電装置と、露光装置と、現像装置と、転写部と、クリーニングブレードと、を備えた画像形成装置である。像担持体は感光層を表面に有して回転駆動され、帯電装置により像担持体の表面が帯電される。露光装置は帯電された前記像担持体の表面を露光して静電潜像を形成し、現像装置は静電潜像をトナー像に現像する。像担持体上のトナー像は転写部により記録媒体に転写され、記録媒体に画像が形成される。クリーニングブレードは像担持体上に残留するトナーを擦り取る。画像形成装置は所定の時期に像担持体の長手方向に区切られた複数のエリア別の印字率を検出し、像担持体を帯電させた状態で露光装置により光照射しながら回転駆動するエージング処理を所定のエージング時間行う。この時、印字率の大きいエリアに対する露光装置の光量を印字率の小さいエリアに対する露光装置の光量よりも多くしている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、印字率の大きいエリアに対する露光装置の光量を印字率の小さいエリアに対する露光装置の光量よりも多くしてエージング処理を行うので、像担持体の表面電位を均一に保ち、安定した画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す概略図
【
図3】本発明の実施形態の画像形成装置の制御経路の一例を示すブロック図
【
図4】感光体ドラムの表面電位の印字率による差を示す図
【
図5】本発明の実施形態の画像形成装置のエージング処理を含む印刷動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置100の構成を示す概略図であり、
図2は、
図1における画像形成部Pa付近の拡大図である。
【0010】
図1に示す画像形成装置100は、いわゆるタンデム方式のカラープリンターであり、以下のような構成になっている。画像形成装置100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdが、搬送方向上流側(
図1では左側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa~Pdは、異なる4色(イエロー、シアン、マゼンタ及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの画像を順次形成する。
【0011】
これらの画像形成部Pa~Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c、1d(像担持体)が配設されている。感光体ドラム1a~1dは正帯電単層有機感光体により形成され、表面に感光層を有している。さらに
図1において反時計回り方向に回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa~Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a~1d上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム1a~1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次転写される。
【0012】
その後、中間転写ベルト8上のトナー像は、二次転写ローラー9により記録媒体の一例である用紙S上に転写される。用紙Sは定着部13においてトナー像を定着された後、画像形成装置100本体より排出される。感光体ドラム1a~1dを
図1において時計回り方向に回転させながら、各感光体ドラム1a~1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0013】
トナー像が転写される用紙Sは、画像形成装置100の本体下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12a及びレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9へと搬送される。中間転写ベルト8には継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。
【0014】
次に、画像形成部Pa~Pdについて説明する。以下、画像形成部Paについて詳細に説明するが、画像形成部Pb~Pdについても基本的に同様の構成であるため説明を省略する。
図2に示すように、感光体ドラム1aの周囲には、ドラム回転方向(
図2の時計回り方向)に沿って帯電装置2a、現像装置3a、クリーニング装置7aが配設され、中間転写ベルト8を挟んで一次転写ローラー6aが配置されている。また、感光体ドラム1aに対して中間転写ベルト8の回転方向上流側には、ベルトクリーニングユニット19が配置されている。ベルトクリーニングユニット19は中間転写ベルト8を挟んでテンションローラー11に対向する。
【0015】
画像形成部Pa~Pdの下方には露光装置5が配置される。露光装置5はレーザースキャニングユニット(LSU)により構成され、半導体レーザー等の光源、ポリゴンミラー等の走査ミラー、レンズ等の光学部品を備えている。光源から出射されたビーム光は感光体ドラム1a~1d上にそれぞれ走査される。
【0016】
次に、画像形成装置100における画像形成手順について説明する。ユーザーにより画像形成開始が入力されると、メインモーター61(
図4参照)により感光体ドラム1a~1dが回転駆動される。回転する感光体ドラム1a~1dの表面は帯電装置2a~2dの帯電ローラー20によって一様に帯電する。次いで露光装置5から出射されたビーム光(レーザー光)によって感光体ドラム1a~1dの表面が走査して光照射される。これにより、各感光体ドラム1a~1d上には画像信号に応じて帯電を減衰された静電潜像が形成される。
【0017】
現像装置3a~3dには、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックの各色のトナーが所定量充填されている。尚、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a~3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a~4dから各現像装置3a~3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a~3dの現像ローラー21により感光体ドラム1a~1d上に供給され、静電的に付着する。これにより、露光装置5の露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0018】
そして、一次転写ローラー6a~6dにより一次転写ローラー6a~6dと感光体ドラム1a~1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a~1d上のイエロー、シアン、マゼンタ及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた位置関係をもって形成される。その後、感光体ドラム1a~1dの表面に残留したトナーがクリーニング装置7a~7dのクリーニングブレード22及び摺擦ローラー23により擦り取って除去される。これにより、感光体ドラム1a~1dは引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備えられる。
【0019】
ベルト駆動モーター63(
図4参照)による駆動ローラー10の回転に伴い中間転写ベルト8が反時計回り方向に回転を開始する。中間転写ベルト8の回転によって用紙Sはレジストローラー対12bから中間転写ベルト8に隣接して設けられた二次転写ローラー9へ所定のタイミングで搬送される。二次転写ローラー9によって用紙Sにはフルカラーのトナー像が転写される。従って、一次転写ローラー6a~6d、中間転写ベルト8及び二次転写ローラー9は感光体ドラム1a~1d上のトナー像を記録媒体(用紙S)に転写する転写部を構成する。
【0020】
トナー像が転写された用紙Sは定着部13へと搬送される。中間転写ベルト8の表面に残存したトナーはベルトクリーニングユニット19によって除去される。定着部13に搬送された用紙Sは、定着ローラー対13aにより加熱及び加圧されて表面にトナー像を定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された用紙Sは、複数方向に分岐した分岐部14によって両面印字の有無に応じて搬送方向が振り分けられる。用紙Sはそのまま或いは両面搬送路18に送られて両面印字された後、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0021】
図3は、本実施形態の画像形成装置100の制御経路の一例を示すブロック図である。尚、画像形成装置100を使用する上で装置各部の様々な制御がなされるため、画像形成装置100全体の制御経路は複雑なものとなる。そこで、ここでは制御経路のうち、本発明の実施に必要となる部分を重点的に説明する。
【0022】
制御部90は、中央演算処理装置としてのCPU91、読み出し専用の記憶部であるROM92、読み書き可能な記憶部であるRAM93、一時的に画像データ等を記憶する一時記憶部94、カウンター95、画像形成装置100内の各装置に制御信号を送信したり操作部80からの入力信号を受信したりする複数(ここでは2つ)のI/F(インターフェイス)96を備えている。また、制御部90は、画像形成装置100の本体内部の任意の場所に配置可能である。
【0023】
ROM92には、画像形成装置100の制御用プログラムや、制御上の必要な数値等、画像形成装置100の使用中に変更されることがないようなデータ等が収められている。RAM93には、画像形成装置100の制御途中で発生した必要なデータや、画像形成装置100の制御に一時的に必要となるデータ等が記憶される。カウンター95は、印刷枚数を積算してカウントする。
【0024】
また、制御部90は、画像形成装置100における各部分、装置に対し、CPU91からI/F96を通じて制御信号を送信する。また、各部分、装置からその状態を示す信号や入力信号がI/F96を通じてCPU91に送信される。制御部90が制御する各部分、装置としては、例えば、画像形成部Pa~Pd、メインモーター61、ベルト駆動モーター63、画像入力部70、電圧制御回路71、操作部80等が挙げられる。
【0025】
画像入力部70は、画像形成装置100にパソコン等の機器から送信される画像データを受信する受信部である。画像入力部70より入力された画像信号はデジタル信号に変換された後、一時記憶部94に送出される。
【0026】
電圧制御回路71は、帯電電圧電源72、現像電圧電源73、転写電圧電源74と接続され、制御部90からの出力信号によりこれらの各電源を作動させる。帯電電圧電源72は電圧制御回路71からの制御信号によって帯電装置2a~2d内の帯電ローラー20に所定の帯電電圧を印加する。現像電圧電源73は電圧制御回路71からの制御信号によって現像装置3a~3d内の現像ローラー21に、直流電圧に交流電圧を重畳させた所定の現像電圧を印加する。転写電圧電源74は電圧制御回路71からの制御信号によって一次転写ローラー6a~6d及び二次転写ローラー9に、それぞれ所定の転写電圧を印加する。
【0027】
操作部80には、液晶表示部81、各種の状態を示すLED82が設けられている。ユーザーは操作部80のストップ/クリアボタンを操作して画像形成を中止し、リセットボタンを操作して画像形成装置100の各種設定をデフォルト状態にする。液晶表示部81は、画像形成装置100の状態を示したり、画像形成状況や印字部数を表示したりするようになっている。画像形成装置100の各種設定はパソコンのプリンタードライバーから行われる。
【0028】
以下、画像形成装置100のエージング処理について説明する。
図4は画像形成装置の印刷枚数に対する感光体ドラム1a~1dの表面電位V0の変化を示す図である。縦軸は表面電位V0(単位:V)であり、横軸は印刷枚数(単位:枚)である。また、図中、実線は印字率が0%の場合を示し、破線は印字率が100%の場合を示している。
【0029】
印字率が高い場合には、感光体ドラム1a~1dとクリーニングブレード22との間に介在するトナーが多くなるため、両者間の摩擦力が大きくなる。このため、摩擦帯電によって感光層に発生するキャリアが増加し、
図4に示すように印字率の低い場合よりも感光体ドラム1a~1dの表面電位V0が高くなる。従って、感光体ドラム1a~1dの長手方向(回転軸方向)において印字率に差異があると、該長手方向のキャリアの発生量に差が生じる。この状態で感光体ドラム1a~1dに帯電させるとキャリアの発生量に応じて表面電位に差が生じる。
【0030】
このため、所定の時期にエージング処理を行い、感光体ドラム1a~1dの表面電位を均一化している。
【0031】
図5は画像形成装置100のエージング処理を含む印刷動作を示すフローチャートである。画像入力部70(
図4参照)から印刷の指示があると、ステップS11で印字が開始される。ステップS12では感光体ドラム1a~1dの長手方向(軸方向)に予め区切られた各エリアの印字率PiがCPU91によってカウントを開始される。各エリアの印字率Piは印刷ページ毎にRAM93に格納される。
【0032】
ステップS13では印刷のジョブが完了したか否かが判断される。印刷のジョブが完了していない場合はステップS12、S13が繰り返され、完了した場合はステップS14に移行する。ステップS14ではエリア毎に各印刷ページの印字率Piを平均した平均印字率Pi_ave(%)がCPU91により導出され、RAM93に格納される。
【0033】
ステップS15では感光体ドラム1a~1dを帯電させた状態で露光装置5により光照射しながら回転駆動するエージング処理が所定のエージング時間だけ行われる。この時、露光装置5の光量が平均印字率Pi_aveに応じて可変される。詳細には、露光装置5は平均印字率Pi_aveに所定の定数Aを乗じた光量に設定される。これにより、平均印字率Pi_aveの大きいエリアに対する露光装置5の光量が、平均印字率Pi_aveの小さいエリアに対する露光装置5の光量よりも多くなっている。エージング処理が完了するとステップS16に移行する。
【0034】
ステップS16ではRAM93に格納された印字率Pi及び平均印字率Pi_aveがリセットされ、処理を終了する。
【0035】
本実施形態の画像形成装置1について、エージング処理を行った後の感光体ドラム1a~1dの表面電位を調べた。試験サンプルはA4用紙1000枚の原稿を用い、感光体ドラム1a~1dの長手方向に区別したエリアD1、D2の平均印字率Pi_aveをそれぞれ0%、100%で印字した。
【0036】
試験条件は試験サンプルに印字後、印字時の露光装置5の光量を100%として、エリアD1、D2にそれぞれ光量を0%、300%(すなわち、定数A=3)で光照射してエージング処理を行った。エージング時間は40秒である。また、比較例として、試験サンプルに印字後、露光装置5による光照射を行わずに同じ条件でエージング処理を行った。
【0037】
その結果、光照射しながらエージング処理した場合は感光体ドラム1a~1dの表面電位が均一化され、電位ムラは未発生であった。これに対して、比較例では感光体ドラム1a~1dの表面電位に電位ムラが発生した。従って、エージング処理の際に平均印字率Pi_aveの大きいエリアD2に対する露光装置5の光量を平均印字率Pi_aveの小さいエリアD1に対する露光装置5の光量よりも多くすることで感光体ドラム1a~1dの表面電位を均一に保つことができる。
【0038】
尚、各ページの印字率Piをジョブ毎に平均した平均印字率Pi_aveに応じてエージング処理の際に各エリアの露光装置5の光量を可変しているが、これに限られない。複数ページや複数ジョブから成る所定の期間内の各エリアの印字率Piに応じて各エリアに対の露光装置5の光量を可変してもよい。すなわち、エージング処理の際に印字率Piの大きいエリアに対する露光装置5の光量を印字率Piの小さいエリアに対する露光装置5の光量よりも多くしてもよい。
【0039】
本実施形態によると、エージング処理の際に印字率Piの大きいエリアに対する露光装置5の光量を印字率Piの小さいエリアに対する露光装置5の光量よりも多くするので、感光体ドラム1a~1d(像担持体)の表面電位を均一に保ち、安定した画像を得ることができる。
【0040】
また、エリア毎に印字率Piを平均した平均印字率Pi_avgをジョブ完了時に導出し、エージング処理の際に平均印字率Pi_aveの大きいエリアに対する露光装置5の光量を平均印字率Pi_aveの小さいエリアに対する露光装置5の光量よりも多くする。ジョブ完了時に導出した平均印字率Pi_avgに基づいてエージング処理を行うので、複数のエリアの印字率Piの差異に基づいたエージング処理を容易に実現することができる。
【0041】
また、エージング処理における露光装置5の光量が平均印字率Pi_ave×定数Aに設定され、平均印字率Pi_aveに比例する。これにより、平均印字率Pi_aveに応じて可変される露光装置5の光量を容易に導出することができる。
【0042】
尚、エージング処理時のエリア別の露光装置5の光量を印字の際の露光装置5の光量に対する比によって表しているが、他の方法で光量を表してしてもよい。例えば、エリア別の露光装置5の光量を露光装置5の出力(単位:W)、レーザー強度(単位:W/cm2)等により表してもよい。これらの場合も上記同様に、予め出力やレーザー強度に応じた定数Aを決めることで平均印字率Pi_aveに比例した光量を導出することができる。
【0043】
その他本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態ではジョブ完了時にエージング処理を行うか否かを判断してエージング処理が行われるが、他の時期にエージング処理を行ってもよい。例えば、複数回のジョブ毎にエージング処理を行うか否かを判断してエージング処理を行ってもよい。また、前回のジョブに基づいてジョブ開始時にエージング処理を行ってもよい。
【0044】
また、
図1に示したようなタンデム型のカラープリンターに限らず、モノクロプリンターやモノクロ複写機、デジタル複合機、カラー複写機やカラー複合機等、種々の画像形成装置に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、電子写真プロセスを用いる画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1a~1d 感光体ドラム(像担持体)
2a~2d 帯電装置
3a~3d 現像装置
5 露光装置
6a~6d 一次転写ローラー
7a~7d クリーニング装置
8 中間転写ベルト
9 二次転写ローラー
10 駆動ローラー
11 テンションローラー
12a 給紙ローラー
12b レジストローラー対
13 定着部
13a 定着ローラー対
14 分岐部
15 排出ローラー対
16 用紙カセット
17 排出トレイ
18 面搬送路
19 ベルトクリーニングユニット
20 帯電ローラー
21 現像ローラー
22 クリーニングブレード
23 摺擦ローラー
61 メインモーター
63 ベルト駆動モーター
70 画像入力部
71 電圧制御回路
72 帯電電圧電源
73 現像電圧電源
74 転写電圧電源
80 操作部
81 液晶表示部
82 LED
90 制御部
91 CPU
92 ROM
93 RAM
94 一時記憶部
95 カウンター
100 画像形成装置
Pa~Pd 画像形成部
S 用紙(記録媒体)