(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179207
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】画像提供システム、画像提供方法、サーバ及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/32 20130101AFI20241219BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241219BHJP
【FI】
G06F21/32
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097868
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 明日美
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC12
5L050CC12
(57)【要約】
【課題】登録する顔画像が間違いなく本人であることを担保できる画像提供システム等を提供する。
【解決手段】写真撮影装置2は、利用者のマイナンバーカードの情報を読み取り、利用者の顔の写真撮影を行い、サーバ3にマイナンバーカードの情報及び利用者の撮影顔画像を送信し、画像登録の依頼を受け付ける登録依頼受付手段41を備える。サーバ3は、認証サーバ4と連携し、マイナンバーカードの電子証明書が有効か否かを確認する証明書確認手段52と、撮影顔画像とマイナンバーカードのカード顔画像との顔認証を行う顔認証手段53と、証明書確認手段52が電子証明書を有効であると判定し、かつ、顔認証手段53が利用者を本人と判定した場合、マイナンバーカードの個人識別情報と紐付けて、撮影顔画像を登録顔画像として記憶する画像記憶手段54と、サービスサーバ5の要求に応じて登録顔画像を提供する画像提供手段55と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の顔の写真撮影を行う写真撮影装置と、前記写真撮影装置とネットワークを介して接続されるサーバと、を備える画像提供システムであって、
前記写真撮影装置は、
前記利用者のマイナンバーカードの情報を読み取り、前記利用者の顔の写真撮影を行い、前記サーバに前記マイナンバーカードの情報及び前記利用者の撮影顔画像を送信することによって、前記利用者からの画像登録の依頼を受け付ける登録依頼受付手段、
を備え、
前記サーバは、
公的個人認証サービスを提供する認証サーバと連携し、前記写真撮影装置から受信する前記マイナンバーカードの電子証明書が有効か否かを確認する証明書確認手段と、
前記写真撮影装置から受信する前記撮影顔画像と、前記写真撮影装置から受信する前記マイナンバーカードのカード顔画像との顔認証を行う顔認証手段と、
前記証明書確認手段が前記電子証明書を有効であると判定し、かつ、前記顔認証手段が前記利用者を本人と判定した場合、前記マイナンバーカードの個人識別情報と紐付けて、前記撮影顔画像を登録顔画像として記憶する画像記憶手段と、
サービスサーバから前記個人識別情報とともに前記登録顔画像の取得要求を受信すると、前記サービスサーバから受信する前記個人識別情報に紐付けられている前記登録顔画像を前記サービスサーバに送信することによって、前記登録顔画像を提供する画像提供手段と、
を備えることを特徴とする画像提供システム。
【請求項2】
前記登録依頼受付手段は、前記撮影顔画像の提供可能範囲を前記利用者から受け付け、提供可能範囲情報として前記サーバに送信し、
前記画像記憶手段は、前記提供可能範囲情報を前記個人識別情報と紐付けて記憶し、
前記画像提供手段は、前記サービスサーバから受信する前記登録顔画像の取得要求が、前記提供可能範囲情報による制限を満たすと判定した場合、前記登録顔画像を前記サービスサーバに送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像提供システム。
【請求項3】
前記写真撮影装置は、
前記マイナンバーカードの情報を読み取り、前記提供可能範囲情報の変更内容を前記利用者から受け付け、前記サーバに前記マイナンバーカードの情報及び前記提供可能範囲情報の変更内容を送信することによって、前記利用者からの前記提供可能範囲情報の変更の依頼を受け付ける変更依頼受付手段、
を更に備え、
前記画像記憶手段は、前記写真撮影装置から受信する前記提供可能範囲情報の変更内容を前記個人識別情報と紐付けて記憶する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像提供システム。
【請求項4】
前記サーバは、
前記サービスサーバを識別するサービスサーバ識別情報を記憶するサービスサーバ識別情報記憶手段、
を更に備え、
前記画像提供手段は、前記登録顔画像の取得要求の送信元の前記サービスサーバが前記サービスサーバ識別情報による制限を満たすと判定した場合、前記登録顔画像を前記サービスサーバに送信する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像提供システム。
【請求項5】
前記登録依頼受付手段は、前記サーバに前記撮影顔画像の撮影日時を送信し、
前記画像記憶手段は、前記撮影日時を前記撮影顔画像と紐付けて記憶する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像提供システム。
【請求項6】
前記顔認証手段は、前記撮影顔画像と前記カード顔画像との顔認証を行うことに加えて、前記撮影顔画像と、過去に記憶された前記登録顔画像との顔認証を行う
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の画像提供システム。
【請求項7】
前記顔認証手段は、前記撮影顔画像と前記カード顔画像との類似度から、前記撮影顔画像と前記登録顔画像との類似度を引いた値が所定値以上の場合、前記利用者の本人確認を保留する
ことを特徴とする請求項6に記載の画像提供システム。
【請求項8】
利用者の顔の写真撮影を行う写真撮影装置と、前記写真撮影装置とネットワークを介して接続されるサーバと、によって実行される画像提供方法であって、
前記写真撮影装置が、前記利用者のマイナンバーカードの情報を読み取り、前記利用者の顔の写真撮影を行い、前記サーバに前記マイナンバーカードの情報及び前記利用者の撮影顔画像を送信することによって、前記利用者からの画像登録の依頼を受け付ける登録依頼受付ステップと、
前記サーバが、公的個人認証サービスを提供する認証サーバと連携し、前記写真撮影装置から受信する前記マイナンバーカードの電子証明書が有効か否かを確認する証明書確認ステップと、
前記サーバが、前記写真撮影装置から受信する前記撮影顔画像と、前記写真撮影装置から受信する前記マイナンバーカードのカード顔画像との顔認証を行う顔認証ステップと、
前記サーバが、前記証明書確認ステップにおいて前記電子証明書を有効であると判定し、かつ、前記顔認証ステップにおいて前記利用者を本人と判定した場合、前記マイナンバーカードの個人識別情報と紐付けて、前記撮影顔画像を登録顔画像として記憶する画像記憶ステップと、
前記サーバが、サービスサーバから前記個人識別情報とともに前記登録顔画像の取得要求を受信すると、前記サービスサーバから受信する前記個人識別情報に紐付けられている前記登録顔画像を前記サービスサーバに送信することによって、前記登録顔画像を提供する画像提供ステップと、
を実行することを特徴とする画像提供方法。
【請求項9】
利用者の顔の写真撮影を行う写真撮影装置とネットワークを介して接続されるサーバであって、
公的個人認証サービスを提供する認証サーバと連携し、前記写真撮影装置から受信する前記利用者のマイナンバーカードの電子証明書が有効か否かを確認する証明書確認手段と、
前記写真撮影装置から受信する前記利用者の撮影顔画像と、前記写真撮影装置から受信する前記マイナンバーカードのカード顔画像との顔認証を行う顔認証手段と、
前記証明書確認手段が前記電子証明書を有効であると判定し、かつ、前記顔認証手段が前記利用者を本人と判定した場合、前記マイナンバーカードの個人識別情報と紐付けて、前記撮影顔画像を登録顔画像として記憶する画像記憶手段と、
サービスサーバから前記個人識別情報とともに前記登録顔画像の取得要求を受信すると、前記サービスサーバから受信する前記個人識別情報に紐付けられている前記登録顔画像を前記サービスサーバに送信することによって、前記登録顔画像を提供する画像提供手段と、
を備えることを特徴とするサーバ。
【請求項10】
コンピュータを、利用者の顔の写真撮影を行う写真撮影装置とネットワークを介して接続されるサーバとして機能させるためのプログラムであって、
前記コンピュータを、
公的個人認証サービスを提供する認証サーバと連携し、前記写真撮影装置から受信する前記利用者のマイナンバーカードの電子証明書が有効か否かを確認する証明書確認手段、
前記写真撮影装置から受信する前記利用者の撮影顔画像と、前記写真撮影装置から受信する前記マイナンバーカードのカード顔画像との顔認証を行う顔認証手段、
前記証明書確認手段が前記電子証明書を有効であると判定し、かつ、前記顔認証手段が前記利用者を本人と判定した場合、前記マイナンバーカードの個人識別情報と紐付けて、前記撮影顔画像を登録顔画像として記憶する画像記憶手段、
サービスサーバから前記個人識別情報とともに前記登録顔画像の取得要求を受信すると、前記サービスサーバから受信する前記個人識別情報に紐付けられている前記登録顔画像を前記サービスサーバに送信することによって、前記登録顔画像を提供する画像提供手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連携先のサービスでの利用を目的として、写真撮影装置によって撮影される顔画像を提供する画像提供システム等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイナンバーカードの申請方法として、まちなかの証明写真機から申請する方法がある(非特許文献1参照)。例えば、特許文献1に記載の写真撮影装置では、本人確認を厳格に行うことで、対面で行う申請手続きと同様に不正な申請を防止できる。
【0003】
マイナンバー(登録商標)については、社会保障、税或いは災害対策分野における法定事務又は地方公共団体が条例で定める事務においてのみ利用ができると法律で定められている。一方、マイナンバーカードの電子証明書に対応して任意で作成する「マイキーID(登録商標)」は、民間も含めて幅広く利用が可能である。政府は、マイキーIDを活用して、マイナンバーカードを公共施設や商店街などに係る各種サービスを呼び出す共通の手段とするための共通情報基盤「マイキープラットフォーム(登録商標)」を提供し、これを利用して行政の効率化や地域経済の活性化につなげることを目的とした「マイキープラットフォーム構想」を掲げている(非特許文献2参照)。
【0004】
ところで、運転免許証の更新手続きは、現状では以下の流れで行われている。都内在住のAさんを例に所要時間も記載する。1.試験場、更新センター、指定警察署等の指定場所へ行く(往復120分)。2.受付・更新申請の書類を記載する(20分)。3.視力検査を行う(20分)。4.登録する暗証番号を入力する(5分)。5.更新者本人の写真撮影を行う(15分)。6.講習を受講する(待ち15分+講習30分)。7.免許証の交付を受ける(20分)。このように、総所要時間は4時間を超え、東京都内であれば日曜日の更新場所が3か所程度に限られ、不便である。
【0005】
仮に、マイナンバーカードを利用し、オンラインで運転免許証を更新可能にする場合、理想的な流れは以下の通りである。1.指定場所に行かず、自宅で行う(0分)。2.オンラインで受付・更新申請を行い、マイナンバーカードで認証する(5分)。3.過去の健康診断を保持するシステムと連携し、視力検査の結果を取得する(0分)。4.オンラインで登録する暗証番号を入力する(2分)。5.証明写真データを保持するシステムと連携し、更新者本人の顔画像を取得する(0分)。6.オンラインで講習動画を視聴する(30分)。7.本人限定受取郵便で免許証の交付を受ける(2分)。このように、マイナンバーカードを利用する場合、理想的なシステムを構築できれば、総所要時間は1時間以内に抑えられ、いつでも、どこでも手続き可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】地方公共団体情報システム機構、“まちなかの証明写真機からの申請方法”、[online]、令和5年6月11日検索、インターネット、<URL:https://www.kojinbango-card.go.jp/apprec/apply/photobooth_apply/>
【非特許文献2】総務省、“マイキープラットフォームの概要”、[online]、令和5年6月11日検索、インターネット、<URL: https://www.soumu.go.jp/main_content/000399523.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、運転免許証の更新手続きは行政サービスであり、全体のルール変更やシステム化は、民間企業だけでは困難である。一方、行政機関だけで運転免許証の更新手続き全体をシステム化するためには、膨大な費用が発生し、国民負担が増大する。そこで、行政機関ではシステム化のハードルが高い部分を民間企業が民間サービスとして提供することが望ましい。特に、運転免許証の更新では写真の準備が必要であるが、写真撮影を行うための撮影装置等を一つの手続きのために行政機関が提供し続けることは非効率である。そこで、民間企業が、写真撮影に関する手続きを容易にする仕組みを民間サービスとして提供することが望ましい。
【0009】
但し、個人のデジタルカメラやスマートフォン等のカメラでは、適正な撮影条件を守って写真を撮影することが難しく、撮影日時の改ざんや、なりすまし等の不正行為の防止も困難である。そこで、マイナンバーカードの申請方法として実績がある、まちなかの証明写真機等を活用することが望ましい。
【0010】
また、運転免許証の更新手続き等の行政手続きに限らず、民間のサービス会社においても、本人の顔画像が必要になることが多い。国は、前述のマイキープラットフォーム構想を掲げていることから、行政や民間を問わず、様々なサービス全般において、撮影済の申請者本人の顔画像を汎用的に利用できる仕組みが望ましい。そのためには、まちなかの証明写真機等を活用する場合でも、顔画像が間違いなく本人であることを担保できる仕組みが必要である。
【0011】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とすることは、提供する顔画像が間違いなく本人であることを担保できる画像提供システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述した目的を達成するための第1の発明は、利用者の顔の写真撮影を行う写真撮影装置と、前記写真撮影装置とネットワークを介して接続されるサーバと、を備える画像提供システムであって、前記写真撮影装置は、前記利用者のマイナンバーカードの情報を読み取り、前記利用者の顔の写真撮影を行い、前記サーバに前記マイナンバーカードの情報及び前記利用者の撮影顔画像を送信することによって、前記利用者からの画像登録の依頼を受け付ける登録依頼受付手段、を備え、前記サーバは、公的個人認証サービスを提供する認証サーバと連携し、前記写真撮影装置から受信する前記マイナンバーカードの電子証明書が有効か否かを確認する証明書確認手段と、前記写真撮影装置から受信する前記撮影顔画像と、前記写真撮影装置から受信する前記マイナンバーカードのカード顔画像との顔認証を行う顔認証手段と、前記証明書確認手段が前記電子証明書を有効であると判定し、かつ、前記顔認証手段が前記利用者を本人と判定した場合、前記マイナンバーカードの個人識別情報と紐付けて、前記撮影顔画像を登録顔画像として記憶する画像記憶手段と、サービスサーバから前記個人識別情報とともに前記登録顔画像の取得要求を受信すると、前記サービスサーバから受信する前記個人識別情報に紐付けられている前記登録顔画像を前記サービスサーバに送信することによって、前記登録顔画像を提供する画像提供手段と、を備えることを特徴とする画像提供システムである。第1の発明の画像提供システムによって、提供する顔画像が間違いなく本人であることを担保できる。
【0013】
第1の発明における前記登録依頼受付手段は、前記撮影顔画像の提供可能範囲を前記利用者から受け付け、提供可能範囲情報として前記サーバに送信し、前記画像記憶手段は、前記提供可能範囲情報を前記個人識別情報と紐付けて記憶し、前記画像提供手段は、前記サービスサーバから受信する前記登録顔画像の取得要求が、前記提供可能範囲情報による制限を満たすと判定した場合、前記登録顔画像を前記サービスサーバに送信することが望ましい。これによって、利用者が画像の提供を希望しないサービスにおいて、利用者に無断で利用されることを防止できる。
【0014】
また、第1の発明における前記写真撮影装置は、前記マイナンバーカードの情報を読み取り、前記提供可能範囲情報の変更内容を前記利用者から受け付け、前記サーバに前記マイナンバーカードの情報及び前記提供可能範囲情報の変更内容を送信することによって、前記利用者からの前記提供可能範囲情報の変更の依頼を受け付ける変更依頼受付手段、を更に備え、前記画像記憶手段は、前記写真撮影装置から受信する前記提供可能範囲情報の変更内容を前記個人識別情報と紐付けて記憶することが望ましい。これによって、利用者は、撮影顔画像の登録時だけでなく、後から提供可能範囲情報を変更できるので、利便性が向上する。
【0015】
また、第1の発明における前記サーバは、前記サービスサーバを識別するサービスサーバ識別情報を記憶するサービスサーバ識別情報記憶手段、を更に備え、前記画像提供手段は、前記登録顔画像の取得要求の送信元の前記サービスサーバが前記サービスサーバ識別情報による制限を満たすと判定した場合、前記登録顔画像を前記サービスサーバに送信することが望ましい。これによって、事前に登録されていないコンピュータからの不正な呼び出しを防止できる。
【0016】
また、第1の発明における前記登録依頼受付手段は、前記サーバに前記撮影顔画像の撮影日時を送信し、前記画像記憶手段は、前記撮影日時を前記撮影顔画像と紐付けて記憶することを要求することが望ましい。これによって、撮影顔画像が行政サービスで利用される際、利用期限が守れているかどうかを確認できる。
【0017】
また、第1の発明における前記顔認証手段は、前記撮影顔画像と前記カード顔画像との顔認証を行うことに加えて、前記撮影顔画像と、過去に記憶された前記登録顔画像との顔認証を行うことが望ましい。これによって、マイナンバーカードに記憶されている顔写真のデータ(=カード顔画像)が古いことに基づく本人確認の失敗を防ぐことができる。
【0018】
また、第1の発明における前記顔認証手段は、前記撮影顔画像と前記カード顔画像との類似度から、前記撮影顔画像と前記登録顔画像との類似度を引いた値が所定値以上の場合、前記利用者の本人確認を保留することが望ましい。これによって、マイナンバーカードが盗まれ、電子証明書の暗証番号が漏洩したとしても、成りすましによる不正な画像の登録を防ぐことができる。
【0019】
第2の発明は、利用者の顔の写真撮影を行う写真撮影装置と、前記写真撮影装置とネットワークを介して接続されるサーバと、によって実行される画像提供方法であって、前記写真撮影装置が、前記利用者のマイナンバーカードの情報を読み取り、前記利用者の顔の写真撮影を行い、前記サーバに前記マイナンバーカードの情報及び前記利用者の撮影顔画像を送信することによって、前記利用者からの画像登録の依頼を受け付ける登録依頼受付ステップと、前記サーバが、公的個人認証サービスを提供する認証サーバと連携し、前記写真撮影装置から受信する前記マイナンバーカードの電子証明書が有効か否かを確認する証明書確認ステップと、前記サーバが、前記写真撮影装置から受信する前記撮影顔画像と、前記写真撮影装置から受信する前記マイナンバーカードのカード顔画像との顔認証を行う顔認証ステップと、前記サーバが、前記証明書確認ステップにおいて前記電子証明書を有効であると判定し、かつ、前記顔認証ステップにおいて前記利用者を本人と判定した場合、前記マイナンバーカードの個人識別情報と紐付けて、前記撮影顔画像を登録顔画像として記憶する画像記憶ステップと、前記サーバが、サービスサーバから前記個人識別情報とともに前記登録顔画像の取得要求を受信すると、前記サービスサーバから受信する前記個人識別情報に紐付けられている前記登録顔画像を前記サービスサーバに送信することによって、前記登録顔画像を提供する画像提供ステップと、を実行することを特徴とする画像提供方法である。第2の発明の画像提供方法を実行することによって、提供する顔画像が間違いなく本人であることを担保できる。
【0020】
第3の発明は、利用者の顔の写真撮影を行う写真撮影装置とネットワークを介して接続されるサーバであって、公的個人認証サービスを提供する認証サーバと連携し、前記写真撮影装置から受信する前記利用者のマイナンバーカードの電子証明書が有効か否かを確認する証明書確認手段と、前記写真撮影装置から受信する前記利用者の撮影顔画像と、前記写真撮影装置から受信する前記マイナンバーカードのカード顔画像との顔認証を行う顔認証手段と、前記証明書確認手段が前記電子証明書を有効であると判定し、かつ、前記顔認証手段が前記利用者を本人と判定した場合、前記マイナンバーカードの個人識別情報と紐付けて、前記撮影顔画像を登録顔画像として記憶する画像記憶手段と、サービスサーバから前記個人識別情報とともに前記登録顔画像の取得要求を受信すると、前記サービスサーバから受信する前記個人識別情報に紐付けられている前記登録顔画像を前記サービスサーバに送信することによって、前記登録顔画像を提供する画像提供手段と、を備えることを特徴とするサーバである。第3の発明のサーバを備える画像提供システムによって、提供する顔画像が間違いなく本人であることを担保できる。
【0021】
第4の発明は、コンピュータを、利用者の顔の写真撮影を行う写真撮影装置とネットワークを介して接続されるサーバとして機能させるためのプログラムであって、前記コンピュータを、公的個人認証サービスを提供する認証サーバと連携し、前記写真撮影装置から受信する前記利用者のマイナンバーカードの電子証明書が有効か否かを確認する証明書確認手段、前記写真撮影装置から受信する前記利用者の撮影顔画像と、前記写真撮影装置から受信する前記マイナンバーカードのカード顔画像との顔認証を行う顔認証手段、前記証明書確認手段が前記電子証明書を有効であると判定し、かつ、前記顔認証手段が前記利用者を本人と判定した場合、前記マイナンバーカードの個人識別情報と紐付けて、前記撮影顔画像を登録顔画像として記憶する画像記憶手段、サービスサーバから前記個人識別情報とともに前記登録顔画像の取得要求を受信すると、前記サービスサーバから受信する前記個人識別情報に紐付けられている前記登録顔画像を前記サービスサーバに送信することによって、前記登録顔画像を提供する画像提供手段、として機能させるためのプログラムである。第4の発明のプログラムを汎用のコンピュータにインストールすることによって、第3の発明のサーバを構築できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、提供する顔画像が間違いなく本人であることを担保できる画像提供システム等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図3】写真撮影装置2のハードウェア構成を示すブロック図
【
図4】サーバ3のハードウェア構成を示すブロック図
【
図5】画像提供システム1の機能構成を示すブロック図
【
図10】提供可能範囲変更処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明に係る写真撮影装置は、店頭、駅、街頭等に設置される据え置き型の証明写真機や、証明写真以外の用途の写真撮影に用いる据え置き型の写真撮影機等を含む。
【0025】
図1は、画像提供システム1の概要を示す図である。以下、利用者とは、画像提供システム1を利用する者を意味する。画像提供システム1は、利用者の顔の写真撮影を行う写真撮影装置2と、写真撮影装置2とネットワーク6を介して接続されるサーバ3と、を備え、連携先のサービスでの利用を目的として、写真撮影装置2によって撮影される顔画像を提供するシステムである。サーバ3は、写真撮影装置2を管理するサーバであり、画像提供システム1に含まれない外部サーバとネットワーク6を介して接続される。具体的には、サーバ3は、公的個人認証サービスを提供する認証サーバ4及び利用者にサービスを提供するサービスサーバ5とネットワーク6を介して接続される。
【0026】
公的個人認証サービス(JPKI:Japanese Public Key Infrastructure)は、電子証明書を用いて、成りすまし、改ざん、送信否認の防止を担保し、インターネット上での本人確認や電子申請等を可能とする公的なサービスである。電子証明書は、市町村が管理する住民票に基づき、市町村での対面による厳格な本人確認を経て発行される。認証サーバ4は、例えば、地方公共団体情報システム機構(J-LIS:Japan Agency for Local Authority
Information Systems)が運営するサーバである。
【0027】
マイナンバーカードに記憶されている電子証明書には、インターネットで電子文書を送信する場合等に、文書が改ざんされていないか等を確認できる署名用電子証明書と、インターネットを閲覧する場合等に、利用者本人であることをのみを証明する利用者証明用電子証明書の2種類がある。本発明の実施の形態では、顔画像が間違いなく利用者本人であることを証明するために、マイナンバーカードの利用者証明用電子証明書を用いる。以下、単に「マイナンバーカードの電子証明書」と記載した場合、利用者証明用電子証明書を意味するものとする。
【0028】
マイナンバーカードの電子証明書に対応して任意で作成する「マイキーID(登録商標)」は、民間も含めて幅広く利用が可能である。マイキーIDは、マイナンバーカード内部のICチップに記録され、個人を一意に識別可能な情報である。本発明の実施の形態における「マイナンバーカードの個人識別情報」は、マイキーIDを用いるものとするが、本発明はマイナンバーカード内部のICチップに記録され、個人を一意に識別できる情報であれば適用可能である。
【0029】
画像提供システム1の連携先は、行政機関でも良いし、公的機関でも良いし、民間企業でも良い。また、連携先のサービスは、利用者の顔画像を用いたサービスであれば、特に限定されるものではない。例えば、サービスサーバ5の運営者は、運転免許証の更新手続きを提供する行政機関、公的資格試験の申込手続きを提供する資格団体、コンサートチケットの申込手続きを提供する民間企業等である。
【0030】
ネットワーク6は、LAN(Local Area Network)や、より広域に通信接続されたWAN(Wide Area Network)、またはインターネット等の公衆の通信回線、基地局等を含む。ネットワーク6は有線、無線を問わない。なお、ネットワーク6は、必要に応じて、セキュアな通信回線である専用線や仮想プライベートネットワーク(VPN:Virtual Private Network)等を用いる。
【0031】
図2は、写真撮影装置2の外観構成を示す図である。
図2に示すように、写真撮影装置2は、人が撮影室である筐体の内部に入って撮影や操作を行うことが可能なボックス型等の装置である。なお、写真撮影装置2の形態はボックス型に限定されず、オープン型やスタント型としてもよい。写真撮影装置2は、撮影室内の人物を被撮影者として撮影し、その画像から用途に応じた証明写真を生成してプリントする機能(証明写真メニュー)や、ユーザのスマートフォン等の端末から受信した画像をプリントしたり、ユーザが予め端末からサーバ3にアップロードした画像をダウンロードしてプリントしたりする機能(画像プリントメニュー)を有する。また、写真撮影装置2は、運転免許証、マイナンバーカード、在留カード、特別永住者カード、パスポート等の申請手続きを行うための申請メニューを有する。更に、本発明の実施の形態では、写真撮影装置2は、顔画像を登録する画像登録メニューや、顔画像の提供可能範囲を変更する提供可能範囲変更メニューを有する。ユーザは、証明写真メニュー、画像プリントメニュー、申請メニュー、画像登録メニュー、提供可能範囲変更メニュー及びその他のメニューのいずれかを選択し、使用できるようになっている。
【0032】
図2の例に示す写真撮影装置2は、側面が開口したボックス型であり、カーテン28により外部と内部(撮影室)とが区切られる。撮影室内の正面パネルには、操作パネル21、コインメック22、カメラ23、照明部24、音声出力部27、被写体センサ29、マイナンバーカードの読取装置31、書類スキャナ34、コードリーダ35等が設けられる。また、写真撮影装置2の筐体内部には、制御装置10、プリンタ25等が収納され、プリンタ25により印刷された印刷物は写真撮影装置2の外壁パネルに設けられる印刷物取出口26から排出される。
【0033】
図3は、写真撮影装置2のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3に示すように、写真撮影装置2の制御装置10は、照明部24、カメラ23、被写体センサ29、音声出力部27、操作パネル21、コインメック22、プリンタ25、読取装置31、書類スキャナ34、コードリーダ35等とバスにより接続され、制御装置10が各部を制御する。
【0034】
制御装置10は、制御部(CPU;Central Processing Unit)101、I/O(Input/Output)コントロール102、I/F(インターフェース)103、ROM(Read
Only Memory)104、RAM(Random Access Memory)105、記憶部106、通信部107等を有する。制御装置10は、I/Oコントロール102を介して、操作パネル21、音声出力部27と接続している。また、制御装置10は、I/F103を介してコインメック22、プリンタ25、読取装置31、書類スキャナ34、コードリーダ35と接続している。
【0035】
制御部101は、CPUであり、写真撮影装置2の各部を集中制御する。制御部101は、記憶部106、ROM104等に格納されたプログラムをRAM105上のワークエリアに呼び出して実行する。ROM104は不揮発性メモリであり、ブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持している。RAM105は揮発性メモリであり、記憶部106、ROM104等からロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部101が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。
【0036】
記憶部106は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ等であり、後述する処理に際し制御部101が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS等が格納される。これらのプログラムやデータは、制御部101により必要に応じて読み出され実行される。
【0037】
I/Oコントロール102は、操作パネル21、音声出力部27等と各種情報を入出力するためのインターフェースである。I/F103は、コインメック22、プリンタ25、読取装置31、書類スキャナ34、コードリーダ35との間で各種情報を入出力するためのインターフェースである。
【0038】
通信部107は、写真撮影装置2の通信を制御する通信制御装置及び通信インターフェースを含む。写真撮影装置2は、Wi-Fi(登録商標)等の無線LANまたはBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信を備え、ネットワーク6を介してサーバ3と通信接続される。
【0039】
照明部24は、被撮影者の正面や背面等に位置する面光源である。照明部24は光源(ストロボ)241と接続し、制御部101から入力される制御信号に従って、発光タイミングや発光量が制御される。
【0040】
カメラ23は、光学レンズと、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(complementary Metal-Oxide Semiconductor)等の撮影素子と、A/D(Analog/Digital)変換部等から構成されるデジタルカメラである。カメラ23は、制御部101から入力される制御信号に従って動画撮影または静止画の撮影を行う。カメラ23は、撮影により得た画像データを制御部101に入力する。制御部101は、カメラ23から入力された画像データを操作パネル21のディスプレイに表示出力する。
【0041】
操作パネル21は、写真撮影装置2の操作手段であり、操作手順を示す操作画面やプレビュー画面等を表示するディスプレイとともにユーザが操作指示を入力するためのタッチパネルを有する。操作パネル21は、制御部101から入力される表示信号に従って表示処理を行う。また、タッチパネルに対するタッチ操作に従って制御信号を制御部101に送る。
【0042】
被写体センサ29は、撮影室内の人物を検出するセンサである。被写体センサ29は、人が写真撮影装置2の正面パネルに近づくと検出信号を制御部101に出力する。被写体センサ29としては、発光器と受光器からなる光学式センサ等を用いる。
【0043】
音声出力部27は、制御部101から入力される制御信号に従って所定の音声データ(操作ガイダンス音声等)をROM104または記憶部106から取得し、スピーカから音声出力する。
【0044】
コインメック22は、硬貨や紙幣の入金口や、つり銭の返金口等を供えた金銭登録機であり、写真撮影装置2の利用料金を精算するための処理を行う。コインメック22は、入金口から入金された金額に関する情報を制御部101に出力し、制御部101から入力される制御信号に従って、つり銭額に応じた硬貨、紙幣を返金口に排出する。なお、コインメック22の他、ICカード決済やスマホ決済を行うための決済処理部を設ける構成としてもよい。
【0045】
プリンタ25は、制御部101から入力される制御信号に従って、撮影された写真の画像データを所定の用紙にプリントする。プリンタ25は高解像度カラープリンタであり、昇華型、溶融型等、プリンタ25の方式は問わない。
【0046】
読取装置31は、マイナンバーカードの情報を読み取る装置である。具体的には、読取装置31は、マイナンバーカードの券面(表面、裏面)の情報をイメージスキャンして読み取る券面スキャナ32と、マイナンバーカード内部のICチップに記録されたデータを読み取るICチップリーダ33(非接触/接触ICリーダ等)を備える。なお、券面スキャナ32は、一般的なイメージスキャナのように白色光を光源とするものの他、紫外線(UV)や赤外線(IR)等を光源とするUV/IRスキャナを含むものとしてもよい。また、マイナンバーカードのICチップは、暗証情報により保護されていない記憶領域であるフリー領域や暗証情報で保護された記憶領域であるロック領域を有する。読取装置31はフリー領域やロック領域のデータを読み取ることができる。読取装置31は、券面スキャナ32により読み取ったマイナンバーカードの券面の画像データを制御部101に入力する。また、読取装置31は、ICチップリーダ33により読み取ったデータを制御部101に入力する。
【0047】
書類スキャナ34は、A4(210mm×297mm)サイズ程度の用紙を光学的に読み取るスキャナである。書類スキャナ34は、申請手続きに用いる書類を読取り、読み取った書類データを制御部101に入力する。コードリーダ35は、QRコード(登録商標)やバーコード等の2次元コードを読み取る装置であり、読み取ったコード情報を制御部101に入力する。
【0048】
図4は、サーバ3のハードウェア構成を示すブロック図である。
図4に示すように、サーバ3は、制御部301、記憶部302、通信部303、入力部304、表示部305、周辺機器I/F部306等によって構成され、これらのハードウェアがバス307によって接続される。但し、サーバ3の構成はこれに限ることなく、適宜様々な構成をとることができる。
【0049】
制御部301は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。CPUは、記憶部302、ROM、記録媒体等に格納されるプログラムをRAM上のワークメモリ領域に呼び出して実行し、バス307を介して接続された各部を駆動制御する。ROMは、コンピュータのブートプログラムやBIOS等のプログラム、データ等を恒久的に保持する。RAMは、ロードしたプログラムやデータを一時的に保持するとともに、制御部301が各種処理を行うために使用するワークエリアを備える。制御部301は、上記プログラムを読み出して実行することにより、後述するサーバ3の各手段として機能する。
【0050】
記憶部302は、例えば、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリ等の記憶装置である。記憶部302には制御部301が実行するプログラムや、プログラム実行に必要なデータ、オペレーティングシステム等が格納されている。これらのプログラムコードは、制御部301により必要に応じて読み出されてRAMに移され、CPUに読み出されて実行される。記憶部302には画像提供システム1において利用されるデータが記憶される。
【0051】
通信部303は、通信制御装置及び通信ポートを有し、ネットワーク6等との通信を制御する。入力部304は、例えば、キーボードやマウス等のポインティングデバイス、或いはディスプレイと一体的に設けられたタッチパネル等であり制御部301に対してデータを入力する。表示部305は、液晶パネル等のディスプレイ装置と、ディスプレイ装置と連携して表示処理を実行するための論理回路(ビデオアダプタ等)で構成され、制御部301の制御により入力された表示用データをディスプレイ装置上に表示させる。周辺機器I/F部306は、周辺機器を接続させるためのポートであり、周辺機器I/F部306を介して周辺機器とのデータの送受信を行う。周辺機器との接続形態は有線、無線を問わない。
【0052】
図5は、画像提供システム1の機能構成を示すブロック図である。画像提供システム1の機能構成は、写真撮影装置2が備える各手段及びサーバ3が備える各手段から構成される。
【0053】
写真撮影装置2は、登録依頼受付手段41及び変更依頼受付手段42を備える。登録依頼受付手段41は、利用者のマイナンバーカードの情報を読み取り、利用者の顔の写真撮影を行い、サーバ3にマイナンバーカードの情報及び利用者の撮影顔画像を送信することによって、利用者からの画像提供の依頼を受け付ける。また、登録依頼受付手段41は、撮影顔画像の提供可能範囲を利用者から受け付け、提供可能範囲情報としてサーバ3に送信しても良いし、撮影顔画像の撮影日時をサーバ3に送信しても良い。変更依頼受付手段42は、利用者のマイナンバーカードの情報を読み取り、提供可能範囲情報の変更内容を利用者から受け付け、サーバ3にマイナンバーカードの情報及び提供可能範囲情報の変更内容を送信することによって、利用者からの提供可能範囲情報の変更の依頼を受け付ける。
【0054】
利用者のマイナンバーカードの情報は、ICチップリーダ33によって読み取られるマイナンバーカード内部のICチップに記録されたデータである。利用者の撮影顔画像は、写真撮影装置2のカメラ23によって撮影される利用者の顔画像データである。
【0055】
マイナンバーカードのICチップ内には、「公的個人認証AP」、「券面事項確認AP」、「券面入力補助AP」、「住基ネットAP」の4つのアプリケーションと、市町村等の行政機関が独自サービスを行うための空き領域がある。公的個人認証APには、署名用電子証明書とその暗証番号、利用者証明用電子証明書とその暗証番号が記録されている。券面事項確認APには、券面記載事項の画像データとその照合番号が記録されている。券面記載事項の画像データは、表面情報(=4情報(住所、氏名、生年月日、性別)及び顔写真)の画像データと、裏面情報(=個人番号)の画像データである。券面事項入力補助APには、券面記載事項のテキストデータとその暗証番号及び照合番号が記録されている。券面記載事項のテキストデータは、個人番号及び4情報とその電子署名データである。住基ネットAPには、住民票コードとその暗証番号が記録されている。
【0056】
撮影顔画像の提供可能範囲とは、画像提供システム1と連携するサービスの中で撮影顔画像を提供できるサービスの範囲を意味する。利用者は、画像提供システム1において自らの顔の写真を登録する際、提供可能範囲を予め決めておくことができる。
【0057】
サーバ3は、サービスサーバ識別情報記憶手段51、証明書確認手段52、顔認証手段53、画像記憶手段54及び画像提供手段55を備える。サービスサーバ識別情報記憶手段51は、サービスサーバ5を識別するサービスサーバ識別情報を記憶する。証明書確認手段52は、認証サーバ4と連携し、写真撮影装置2から受信する利用者のマイナンバーカードの電子証明書が有効か否かを確認する。顔認証手段53は、写真撮影装置2から受信する撮影顔画像と、写真撮影装置2から受信する利用者のマイナンバーカードに記憶されているカード顔画像との顔認証を行う。画像記憶手段54は、証明書確認手段52が電子証明書を有効であると判定し、かつ、顔認証手段53が利用者を本人と判定した場合、マイナンバーカードの個人識別情報と紐付けて、撮影顔画像を登録顔画像として記憶部302に記憶する。画像提供手段55は、サービスサーバ5から個人識別情報とともに登録顔画像の取得要求を受信すると、サービスサーバ5から受信する個人識別情報に紐付けられている登録顔画像をサービスサーバ5に送信することによって、登録顔画像を提供する。
【0058】
利用者のマイナンバーカードに記憶されているカード顔画像は、マイナンバーカードのICチップ内の券面事項確認APに記録されている表面情報の顔写真の画像データである。
【0059】
サーバ3が証明書確認手段52、顔認証手段53、画像記憶手段54及び画像提供手段55を備えることによって、提供する顔画像が間違いなく本人であることを担保できる。
【0060】
画像記憶手段54は、撮影顔画像の提供可能範囲を示す提供可能範囲情報を個人識別情報と紐付けて記憶し、画像提供手段55は、サービスサーバ5から受信する登録顔画像の取得要求が、提供可能範囲情報による制限を満たすと判定した場合、登録顔画像をサービスサーバ5に送信しても良い。これによって、利用者が画像の提供を希望しないサービスにおいて、利用者に無断で利用されることを防止できる。
【0061】
また、画像記憶手段54は、写真撮影装置2の変更依頼受付手段42によって提供可能範囲情報の変更内容が受け付けられると、写真撮影装置2から受信する提供可能範囲情報の変更内容を個人識別情報と紐付けて記憶しても良い。これによって、利用者は、撮影顔画像の登録時だけでなく、後から提供可能範囲情報を変更できるので、利便性が向上する。
【0062】
また、画像記憶手段54は、写真撮影装置2の登録依頼受付手段41によってサーバ3に撮影顔画像の撮影日時が送信されると、撮影日時と登録顔画像を紐付けて記憶しても良い。これによって、サービスサーバ5が撮影顔画像を利用する際、利用期限が守られているかどうかを確認できる。例えば、運転免許証、パスポート、国家資格試験用の証明写真は、提出前6か月以内に撮影されたもの、在留資格申請用の証明写真は、提出前3か月以内に撮影されたものという利用期限がある。
【0063】
尚、写真撮影装置2の登録依頼受付手段41は、マイナンバーカードの情報及び撮影顔画像を別々のタイミングで送信しても良いし、同じタイミングで送信しても良い。例えば、最初に登録依頼受付手段41がマイナンバーカードの情報を送信し、証明書確認手段52がマイナンバーカードの電子証明書を有効であると判定した後、登録依頼受付手段41が撮影画像を送信し、顔認証手段53が撮影顔画像とカード顔画像との顔認証を行っても良い。また、例えば、登録依頼受付手段41がマイナンバーカードの情報及び撮影顔画像を送信し、証明書確認手段52がマイナンバーカードの電子証明書の有効確認を行い、顔認証手段53が撮影顔画像とカード顔画像との顔認証を行っても良い。混乱を避ける為、以下では、マイナンバーカードの情報及び撮影顔画像の送信タイミングは、後者(=同じタイミングで送信)として説明する。
【0064】
図6は、画像提供システム1で利用するデータの一例であり、サーバ3に構築されるデータベースのテーブルレイアウトを示している。
図6(a)に示すサービスサーバ管理テーブル60は、サービスサーバ5に関する情報を記憶する。サービスサーバ管理テーブル60に含まれるデータ項目は、サービスサーバID61、IP(Internet Protocol)アドレス62、サービス名63等である。サービスサーバID61は、自動的に採番され、サービスサーバ管理テーブル60の主キーである。IPアドレス62は、サービスサーバ5を一意に識別可能であり、ネットワーク6を介した接続に用いられる。サービス名63は、サービスサーバ5によって提供されるサービスの名称である。
【0065】
本発明の実施の形態では、サービスサーバ5を一意に識別するサービスサーバ識別情報としてIPアドレスを用いるが、サービスサーバ識別情報はIPアドレスに限定されるものではない。サービスサーバ識別情報は、例えば、MAC(Media Access Control)アドレスでも良いし、サーバ3が発行し、管理する一意の識別番号等でも良い。
【0066】
図6(b)に示す画像管理テーブル70は、利用者の顔画像(=登録顔画像)に関する情報を記憶する。画像管理テーブル70に含まれるデータ項目は、画像ID71、ファイルパス72、撮影日時73、提供可能範囲74、個人識別情報75等である。画像ID71は、自動的に採番され、画像管理テーブル70の主キーである。ファイルパス72は、登録顔画像のファイルが記憶される記憶部302上の記憶領域を示す文字列である。撮影日時73は、写真撮影装置2から受信する撮影日時である。提供可能範囲74は、登録顔画像を提供可能なサービスサーバ5のサービスサーバID61である。個人識別情報75は、利用者のマイナンバーカードの個人識別情報であり、本発明の実施の形態ではマイキーIDである。個人識別情報75は、ソルトを付加し、ハッシュ化した状態で記憶されることが望ましい。
【0067】
提供可能範囲74には、複数のサービスサーバID61が記憶されることを想定している。例えば、
図6(b)に示す画像ID71が「P1」のデータは、提供可能範囲74が「S1、S2、S3」であるから、サーバ3の制御部301は、
図6(a)に示すサービス名63が「運転免許証の更新」、「公的資格試験の申込」及び「コンサートチケットの申込」のサービスを提供するサービスサーバ5に対して、登録顔画像を提供可能である。尚、データの冗長性を排除するため、画像管理テーブル70と異なるテーブルを作成し、そのテーブルに提供可能範囲74のデータを記憶させても良い。
【0068】
図7は、画像登録処理の流れを示すフローチャートである。写真撮影装置2の制御部101は、利用者から画像登録メニューの選択を受け付け、マイナンバーカードがICチップリーダ33にかざされると、ICチップリーダ33によってマイナンバーカード内部のICチップに記録されたデータを読み取る(ステップS1)。ここで、ICチップリーダ33は、マイナンバーカードのICチップ内の券面事項確認APに記録されている顔写真の画像データ(=カード顔画像)を読み取り、制御部101に入力する。また、制御部101は、マイナンバーカードのICチップ内の公的個人認証APに記録されている利用者証明用電子証明書の情報を読み取るために、操作パネル21を介して利用者証明用電子証明書の暗証番号の入力を受け付ける。利用者によって入力される暗証番号が、マイナンバーカードのICチップ内に記憶されている情報と一致すれば、ICチップリーダ33は、利用者証明用電子証明書の情報を読み取り、制御部101に入力する。
【0069】
次に、写真撮影装置2の制御部101は、撮影の指示や顔の位置合わせ操作等を操作パネル21に表示し、音声出力部27にガイダンス音声を出力し、利用者に撮影のためのガイダンスを行う。その後、制御部101は、カメラ23により利用者の顔の静止画を撮影し(ステップS2)、静止画データを生成し、撮影日時とともに撮影顔画像としてRAM105または記憶部106の所定のフォルダに記憶する。
【0070】
次に、写真撮影装置2の制御部101は、撮影顔画像の提供可能範囲を受け付ける(ステップS3)。具体的には、制御部101は、サーバ3に連携先のサービス名リストの取得要求を送信する。サーバ3の制御部301は、サービスサーバ管理テーブル60からサービス名63を取得し、写真撮影装置2に送信する。制御部101は、サーバ3から受信するサービス名63の一覧を操作パネル21に表示し、利用者から撮影顔画像の提供可能範囲の選択を受け付ける。
【0071】
次に、写真撮影装置2の制御部101は、通信部107を介してマイナンバーカードの情報、撮影顔画像及び提供可能範囲等をサーバ3に送信する(ステップS4)。より詳細には、制御部101は、マイナンバーカードの情報(個人識別情報、カード顔画像及び利用者証明用電子証明書の情報を含む。)、撮影顔画像、撮影日時、並びにステップS3において受け付ける提供可能範囲をサーバ3に送信する。
【0072】
次に、サーバ3の制御部301は、写真撮影装置2から受信する電子証明書の情報の有効性確認照会を認証サーバ4に送信する(ステップS5)。認証サーバ4は、サーバ3から受信する電子証明書の有効性を確認し(ステップS6)、確認結果をサーバ3に送信する(ステップS7)。
【0073】
認証サーバ4によって提供される利用者公的個人認証サービス(JPKI)は、公開鍵暗号方式を採用している。公開鍵暗号方式は、秘密鍵と公開鍵がペアとなっており、片方の鍵で暗号化されたデータは、もう一方の鍵でしか復号できない性質を有する。
【0074】
ステップS4乃至ステップS7において、写真撮影装置2、サーバ3及び認証サーバ4は、公開鍵暗号方式を用いた公知の手順によって利用者のマイナンバーカードの利用者証明用電子証明書の有効性を確認する。公知の手順は、次の通りである。1.サーバ3が乱数を生成し、写真撮影装置2に送信する。2.写真撮影装置2が、マイナンバーカード内の秘密鍵で乱数を変換する。3.写真撮影装置2が、乱数本体、変換された乱数及び電子証明書(公開鍵)をサーバ3に送信する。4.サーバ3が、変換された乱数を電子証明書(公開鍵)で復号する。5.サーバ3が、複合した乱数と、乱数本体とを比較し、改ざんの有無を検知する。6.サーバ3が、認証サーバ4に電子証明書の有効性を照会する。7.認証サーバ4が、電子証明書の有効性を確認し、確認結果をサーバ3に回答する。これらの手順をステップS4乃至ステップS7と比較すると、写真撮影装置2及びサーバ3は、ステップ4.において1.乃至5.の手順を実行する。
【0075】
次に、サーバ3の制御部301は、認証サーバ4から受信する電子証明書の有効性の確認結果が有効であるか否かを確認する(ステップS8)。サーバ3の制御部301は、確認結果が有効でないと判定した場合(ステップS8のNo)、エラー通知を写真撮影装置2に送信する(ステップS9)。写真撮影装置2の制御部101は、サーバ3から受信するエラー通知を操作パネル21に表示し(ステップS10)、利用者の指示に応じて、処理を終了するか、又はステップS1から繰り返す。一方、サーバ3の制御部301は、確認結果が有効であると判定した場合(ステップS8のYes)、ステップS11に進む。
【0076】
次に、サーバ3の制御部301は、ともに写真撮影装置2から受信する撮影顔画像とカード顔画像との顔認証処理を実行する(ステップS11)。サーバ3の制御部301は、API(Application Programming Interface)等で提供される公知の顔認証技術を用いても良いし、独自の顔認証技術を用いても良い。いずれの場合も、サーバ3の制御部301は、顔認証技術によって撮影顔画像とカード顔画像との類似度を算出し、算出される類似度と所定の閾値を比較し、類似度が所定の閾値を上回る場合、顔認証が成功、すなわち利用者を本人と判定する。
【0077】
サーバ3の制御部301は、顔認証が失敗、すなわち利用者を本人でないと判定した場合(ステップS12のNo)、エラー通知を写真撮影装置2に送信する(ステップS13)。写真撮影装置2の制御部101は、サーバ3から受信するエラー通知を操作パネル21に表示し(ステップS14)、利用者の指示に応じて、処理を終了するか、又はステップS1から繰り返す。一方、サーバ3の制御部301は、顔認証が成功、すなわち利用者を本人と判定した場合(ステップS12のYes)、ステップS15に進む。
【0078】
次に、サーバ3の制御部301は、マイナンバーカードの個人識別情報と紐付けて、撮影顔画像を登録顔画像として記憶部302に記憶する(ステップS15)。具体的には、制御部301は、画像管理テーブル70の画像ID71を自動採番し、例えば、登録顔画像のファイル名を画像ID71に基づいて命名し、ステップS4において写真撮影装置2から受信する撮影顔画像を、命名した登録顔画像のファイル名で所定のフォルダに記憶する。そして、制御部301は、登録顔画像のファイルパス、ステップS4において写真撮影装置2から受信する撮影日時、提供可能範囲及びマイナンバーの個人識別情報を、それぞれ画像管理テーブル70のファイルパス72、撮影日時73、提供可能範囲74及び個人識別情報75とし、自動採番した画像ID71を主キーとして新規に登録する。
【0079】
制御部301は、同じ個人識別情報75の記憶済の登録顔画像があれば、そのファイルを削除して、最新の登録顔画像のみを記憶しても良いし、同じ個人識別情報75の記憶済の登録顔画像のファイルを削除せず、最新の登録顔画像を追加して記憶しても良い。後者の場合、画像管理テーブル70には、同じ個人識別情報75のデータが複数登録されるが、撮影日時74によって一意に識別可能である。
【0080】
次に、サーバ3の制御部301は、登録完了通知を写真撮影装置2に送信する(ステップS16)。写真撮影装置2の制御部101は、サーバ3から受信する登録完了通知を操作パネル21に表示し(ステップS17)、処理を終了する。
【0081】
図7に示す画像登録処理によってサーバ3に登録される撮影顔画像(=登録顔画像)は、マイナンバーカードを用いて公的個人認証サービスに認証され、間違いなく本人であることが担保された「お墨付き画像」である。このお墨付き画像であれば、連携先のサービスにおいて必要とされる利用者本人の顔画像として利用可能である。
【0082】
図8は、顔認証手段の変形例を説明する図である。
図8(a)は、前述のステップS11における処理を説明している。前述の通り、サーバ3の制御部301は、顔認証技術によって撮影顔画像81aとカード顔画像82との類似度を算出し、算出される類似度を所定の閾値と比較する。
図8(a)の例では、類似度が閾値を上回るから、サーバ3の制御部301は、顔認証が成功、すなわち利用者を本人と判定する。
【0083】
マイナンバーカード本体の有効期限は、成人であれば10年間である。すなわち、マイナンバーカードのICチップ内の券面事項確認APに記録されている顔写真の画像データ(=カード顔画像)は、最大で10年前の顔写真ということになる。そうすると、実際には同一人物であったとしても、顔認証技術によって算出される類似度が所定の閾値を上回らないケースも想定される。
【0084】
図8(b)はこのケースに対応するための顔認証手段53の第1変形例を示している。第1変形例では、サーバ3の制御部301(=顔認証手段53)は、撮影顔画像81bとカード顔画像82との顔認証を行うことに加えて、撮影顔画像81bと、ステップS15において過去に記憶された直近の登録顔画像83との顔認証を行う。そして、サーバ3の制御部301は、撮影顔画像81bとカード顔画像82との類似度、又は撮影顔画像81bと登録顔画像83との類似度のいずれか一方が閾値を上回る場合、顔認証が成功、すなわち利用者を本人と判定する。
図8(b)の例では、撮影顔画像81bとカード顔画像82との類似度が閾値以下であるが、撮影顔画像81bと登録顔画像83との類似度が閾値を上回るから、サーバ3の制御部301は、顔認証が成功、すなわち利用者を本人と判定する。
【0085】
また、レアケースではあるが、マイナンバーカードが盗まれ、利用者証明用電子証明書の暗証番号も漏洩すると、不正に画像を登録される恐れがある。この場合、不正な利用者は、マイナンバーカードの表面に掲載されている顔写真に似せるメイク等を行い、画像提供システム1を利用することが考えられる。
【0086】
図8(c)はこのケースに対応するための顔認証手段53の第2変形例を示している。第2変形例では、サーバ3の制御部301(=顔認証手段53)は、撮影顔画像81cとカード顔画像82との顔認証を行うことに加えて、撮影顔画像81cと、ステップS15において過去に記憶された登録顔画像83との顔認証を行う。そして、サーバ3の制御部301は、撮影顔画像81cとカード顔画像82との類似度から、撮影顔画像81cと登録顔画像83との類似度を引いた値が所定値以上の場合、すなわち、撮影顔画像81cがカード顔画像82に類似するものの、登録顔画像83にはあまり類似していない場合、利用者の本人確認を保留する。これは、カード顔画像82の方が登録顔画像83よりも昔に撮影されているにもかかわらず、カード顔画像82だけに類似していることは不自然だからである。
【0087】
利用者の本人確認を保留した場合、サーバ3の制御部301は、撮影のやり直しや、マイナンバーカードではない他の本人確認書類の提示を要求しても良い。例えば、サーバ3の制御部301は、顔写真付きの他の本人確認書類(例えば運転免許証等)の提示を要求し、券面スキャナ32によって他の本人確認書類の顔写真をスキャンし、撮影顔画像81cとの顔認証を行っても良い。
【0088】
図9は、画像提供処理の流れを示すフローチャートである。
図9に示すように、サービスサーバ5が、マイナンバーカードの個人識別情報とともに登録顔画像の取得要求をサーバ3に送信すると(ステップS21)、サーバ3の制御部301は、サービスサーバ5から受信する取得要求の有効性を確認する(ステップS22)。
【0089】
制御部301は、第1の有効性の確認として、登録顔画像の取得要求の送信元のサービスサーバ5がサービスサーバ識別情報による制限を満たす、すなわち、送信元のサービスサーバ5のIPアドレスがサービスサーバ管理テーブル60のIPアドレス62に登録されているか否かを確認する。これによって、事前に登録されていないコンピュータからの不正な呼び出しを防止できる。尚、制御部301は、サービスサーバ5とのデータのやり取りを暗号鍵方式で暗号化することが望ましい。
【0090】
また、制御部301は、第2の有効性の確認として、サービスサーバ5から受信する登録顔画像の取得要求が、提供可能範囲情報による制限を満たす、すなわち、サービスサーバ5から受信するマイナンバーカードの個人識別情報で画像管理テーブル70の個人識別情報75を検索し、検索されたデータの提供可能範囲74に送信元のサービスサーバ5のサービスサーバID61が登録されているか否かを確認する。これによって、利用者が画像の提供を希望しないサービスにおいて、利用者に無断で利用されることを防止できる。
【0091】
サーバ3の制御部301は、取得要求が有効でないと判定した場合(ステップS23のNo)、すなわち、第1の有効性の確認又は第2の有効性の確認のいずれかで制限を満たさないと判定した場合、エラー通知をサービスサーバ5に送信する(ステップS24)。サービスサーバ5は、サーバ3から受信するエラー通知を利用者に提示し(ステップS25)、利用者の指示に応じて、処理を終了するか、又はステップS21から繰り返す。一方、サーバ3の制御部301は、取得要求が有効と判定した場合(ステップS23のYes)、すなわち、第1の有効性の確認及び第2の有効性の確認のいずれも制限を満たすと判定した場合、ステップS26に進む。
【0092】
次に、サーバ3の制御部301は、画像管理テーブル70のファイルパス72に従って登録顔画像を取得し(ステップS26)、登録顔画像をサービスサーバ5に送信する(ステップS27)。サービスサーバ5は、サーバ3から受信する登録顔画像を利用する(ステップS28)。
【0093】
尚、ステップS21における登録顔画像の取得要求については、サービスサーバ5とサーバ3の連携を容易にするため、専用のAPIを用意しても良い。そして、ステップS27において、サーバ3の制御部301は、APIのリクエストの応答として、登録顔画像を送信しても良い。または、サーバ3の制御部301は、APIのリクエストの応答としては、登録顔画像の取得要求が有効であることだけを送信し、別途ファイル転送ソフトを利用して登録顔画像を送信しても良い。
【0094】
図10は、提供可能範囲変更処理の流れを示すフローチャートである。写真撮影装置2の制御部101は、利用者から提供可能範囲変更メニューの選択を受け付け、マイナンバーカードがICチップリーダ33にかざされると、ICチップリーダ33によってマイナンバーカード内部のICチップに記録されたデータを読み取る(ステップS31)。ステップS31の具体的な処理内容は、
図7に示すステップS1と同様である。
【0095】
次に、写真撮影装置2の制御部101は、登録顔画像の提供可能範囲の変更を受け付ける(ステップS32)。具体的には、制御部101は、連携先のサービス名リストの取得要求(=第1の要求)と、利用者の個人識別情報とともに登録済の提供可能範囲の取得要求(=第2の要求)をサーバ3に送信する。第1の要求に応答するために、サーバ3の制御部301は、サービスサーバ管理テーブル60からサービス名63を取得し、写真撮影装置2に送信する。また、第2の要求に応答するために、サーバ3の制御部301は、写真撮影装置2から受信する個人識別情報で画像管理テーブル70の個人識別情報75を検索し、提供可能範囲74に登録されているサービスサーバID61のサービス名63を取得し、写真撮影装置2に送信する。写真撮影装置2の制御部101は、サーバ3から受信する提供可能範囲74に含まれているサービス名(=現時点で提供可能範囲として登録されているサービス名)と、提供可能範囲74に含まれていないサービス名(=現時点で提供可能範囲として登録されていないサービス名)とを区別して操作パネル21に表示し、利用者から撮影顔画像の提供可能範囲の変更を受け付ける。
【0096】
次に、写真撮影装置2の制御部101は、通信部107を介してマイナンバーカードの情報及び提供可能範囲の変更内容をサーバ3に送信する(ステップS33)。より詳細には、制御部101は、マイナンバーカードの情報(個人識別情報、カード顔画像及び利用者証明用電子証明書の情報を含む。)、撮影顔画像、撮影日時、並びにステップS3において受け付ける提供可能範囲をサーバ3に送信する。
【0097】
ステップS34からステップS39は、
図7に示すステップS5からステップS10と同様であるため、説明を省略する。
【0098】
次に、サーバ3の制御部301は、写真撮影装置2から受信するマイナンバーカードの個人識別情報で画像管理テーブル70を検索し、ファイルパス72に従って取得される登録顔画像と、写真撮影装置2から受信するカード顔画像との顔認証処理を実行する(ステップS40)。提供可能範囲変更処理では、写真撮影装置2が利用者の顔の写真を撮影しないことから、サーバ3の制御部301は、登録顔画像とカード顔画像との顔認証を行う。
【0099】
サーバ3の制御部301は、顔認証が失敗、すなわち利用者を本人でないと判定した場合(ステップS41のNo)、エラー通知を写真撮影装置2に送信する(ステップS42)。写真撮影装置2の制御部101は、サーバ3から受信するエラー通知を操作パネル21に表示し(ステップS43)、利用者の指示に応じて、処理を終了するか、又はステップS31から繰り返す。一方、サーバ3の制御部301は、顔認証が成功、すなわち利用者を本人と判定した場合(ステップS41のYes)、ステップS44に進む。
【0100】
次に、サーバ3の制御部301は、写真撮影装置2から受信するマイナンバーカードの個人識別情報で画像管理テーブル70のデータを特定し、写真撮影装置2から受信する提供可能範囲の変更内容を提供可能範囲74に記憶する(ステップS44)。
【0101】
次に、サーバ3の制御部301は、変更完了通知を写真撮影装置2に送信する(ステップS45)。写真撮影装置2の制御部101は、サーバ3から受信する変更完了通知を操作パネル21に表示し(ステップS46)、処理を終了する。
【0102】
図11は、画像提供システム1の利用例である。最初に、画像の登録手順を説明する。利用者は、マイナンバーカードを持参して写真撮影装置2に行き、マイナンバーカードの読取、暗証番号の入力、顔の写真撮影、提供可能範囲の選択に対応し、画像登録を依頼する(ステップS101)。サーバ3は、認証サーバ4と連携してマイナンバーカードの電子証明書の有効性を確認し(ステップS102)、撮影顔画像とカード顔画像との顔認証を行い(ステップS103)、撮影顔画像を登録顔画像として記憶する(ステップS104)。
【0103】
次に、画像の提供手順を説明する。利用者は、顔写真が必要なサービスを利用するため、自らのスマートフォン7等を用いてマイナンバーカードの読取を行い、サービスサーバ5が提供するサービスの利用を申請する(ステップS105)。サービスサーバ5は、認証サーバ4と連携してマイナンバーカードの電子証明書の有効性を確認し(ステップS106)、サーバ3に利用者の登録顔画像の取得を要求する(ステップS107)。サーバ3は、認証サーバ4と連携してマイナンバーカードの電子証明書の有効性を確認し(ステップS108)、利用者の登録顔画像をサービスサーバ5に送信する(ステップS109)。サービスサーバ5は、サーバ3から受信する顔画像を利用し、サービスを提供する。
【0104】
尚、電子証明書の有効性確認は、ステップS106及びステップ108の2回実施しているが、いずれか一方だけでも良い。また、ステップS101において、写真撮影装置2が画像利用時のパスワードを受け付け、サーバ3の記憶部302に記憶させ、サーバ3が、ステップS107における登録顔画像の取得の要求を受信した際にパスワードの認証を行う構成としても良い。
【0105】
以上の通り、本発明の実施の形態における画像提供システム1によれば、認証サーバ4と連携したマイナンバーカードの電子証明書の有効確認と、マイナンバーカードに記憶されているカード顔画像等との顔認証を実施して確認した「間違いなくXXさんの証明写真」(=お墨付き画像)を事前にオンライン上に登録しておき、連携先のサービスサーバ5に提供可能である。画像提供システム1は、証明写真を利用するためのプラットフォームとして機能し、写真撮影装置2の利用も促進される。
【0106】
マイナンバーカードの読取と暗証番号の入力だけでは、完全に成りすましを防ぐことは困難であるが、本発明の実施の形態における画像提供システム1では、独自の顔認証を行い、写真撮影装置2によって撮影される被写体と、マイナンバーカードの顔写真が一致することを確認するので、各サービスの窓口における人の目での本人確認と同等の安全性を確保できる。特に、マイナンバーカードの内部に記憶されている顔写真のデータを用いるので、巧妙に写真が貼り替えられた偽造カードにも対応できる。
【0107】
画像提供システム1によって登録される顔画像は、サービスサーバ5が提供する様々なサービスに利用可能である。顔画像が利用可能な行政手続きとしては、例えば、運転免許証の更新、パスポートの更新、在留資格の申請、医師資格証の発行申請や、社会福祉士国家試験、保育士試験等の国家資格試験の申込等が挙げられる。また、行政手続きだけでなく、民間が提供するコンサートチケットの申込等でも利用可能である。これらの手続きでは、証明写真の利用期限が定められていることがほとんどであり、マイナンバーカードに記憶されている顔写真のデータは古すぎて利用できない。本発明の実施の形態における画像提供システム1では、撮影日時と紐付けて顔画像を登録するので、利用期限を満たすかどうか確認可能である。
【0108】
特に、公的資格試験における受験票は、自分で写真を貼って準備する場合が多く、現状では写真が貼り替えられた受験票を持参することで替え玉受験が可能である。画像提供システム1によれば、受験日当日の試験会場にて、サーバ3が記憶している登録顔画像と、当日受験する受験生の顔画像との顔認証が可能となり、替え玉受験等の不正を防ぐことが可能となる。
【0109】
また、画像提供システム1では、利用者が画像の提供可能範囲を予め登録しておくことができるので、利用者が画像の提供を希望しないサービスにおいて、利用者に無断で利用されることを防止できる。また、提供可能範囲を後日変更することもできるので、利便性が向上する。尚、前述の説明では、提供可能範囲は、サービスサーバ5ごとに提供可否を登録するものとしたが、サービスサーバ5が複数のサービスを提供している場合を考慮し、サービスごとに提供可否を登録するものとしても良い。また、
図10に示すフローチャートでは、提供可能範囲を変更できるものとしたが、同様の手順によって、マイナンバーカードの個人識別情報を変更できるように構成しても良い。
【0110】
更に、本発明の実施の形態における画像提供システム1では、その場で撮影された顔画像について、マイナンバーカードに記憶されている顔写真との顔認証に加え、本システムを利用して過去に登録した顔画像との顔認証も行う。これによって、マイナンバーカードに記憶されている顔写真のデータが古いことに基づく本人確認の失敗を防ぐことができる。例えば、1年ごとに画像提供システム1を利用して最新の顔画像を登録しておけば、若年者であっても本人確認の失敗を確実に防ぐことができる。また、このことを動機付けとして画像提供システム1を定期的に利用するようになれば、ひいては写真撮影装置2の利用も促進される。
【0111】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る画像提供システム等の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0112】
1………画像提供システム
2………写真撮影装置
3………サーバ
4………認証サーバ
5………サービスサーバ
6………ネットワーク
7………スマートフォン
41………登録依頼受付手段
42………変更依頼受付手段
51………サービスサーバ識別情報記憶手段
52………証明書確認手段
53………顔認証手段
54………画像記憶手段
55………画像提供手段