(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179209
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】水蒸気利用システムおよび水蒸気利用方法
(51)【国際特許分類】
F23K 5/00 20060101AFI20241219BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20241219BHJP
F27D 7/04 20060101ALI20241219BHJP
F22B 3/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F23K5/00 302
F27D7/02 A
F27D7/04
F22B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097870
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】523227591
【氏名又は名称】株式会社SRC
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤井 邦夫
【テーマコード(参考)】
3K068
4K063
【Fターム(参考)】
3K068AA05
3K068AB04
3K068CA01
3K068CA18
4K063AA04
4K063AA05
4K063AA13
4K063AA15
4K063CA02
4K063DA06
4K063DA08
4K063DA13
4K063DA26
4K063DA32
(57)【要約】
【課題】水蒸気を利用して温暖化対策に寄与するシステムを得ること。
【解決手段】水素を燃料とし酸素を支燃性ガスとして燃焼を行う燃焼機器7と、その燃焼機器7から供給される水蒸気の熱または圧力を利用して対象物を加熱または駆動する水蒸気作用部2と、水蒸気作用部2から出力される水蒸気の全部または一部を利用して蒸気電解を行う蒸気電解装置6と、を備え、蒸気電解装置6から出力される水素と酸素は、燃焼機器7の燃料の水素と支燃性ガスの酸素として、燃焼機器7に供給されることを特徴とする水蒸気利用システム。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素を燃料とし酸素を支燃性ガスとして燃焼を行う燃焼機器と、
その燃焼機器から供給される水蒸気の熱または圧力を利用して対象物を加熱または駆動する水蒸気作用部と、
前記水蒸気作用部から出力される水蒸気の全部または一部を利用して蒸気電解を行う蒸気電解装置と、を備え、
前記蒸気電解装置から出力される水素と酸素は、前記燃焼機器の燃料の水素と支燃性ガスの酸素として、前記燃焼機器に供給されることを特徴とする水蒸気利用システム。
【請求項2】
前記水蒸気作用部は、前記燃焼機器から供給される水蒸気の熱を利用して被加熱物の加熱行う加熱室である、請求項1記載の水蒸気利用システム。
【請求項3】
前記加熱室は工業炉の加熱室であることを特徴とする、請求項2記載の水蒸気利用システム。
【請求項4】
前記水蒸気を循環させる送風装置が前記加熱室と前記蒸気電解装置との間に設けられている、請求項3記載の水蒸気利用システム。
【請求項5】
前記送風装置から送出される水蒸気の一部(g1)は前記蒸気電解装置へ供給されるとともに、その水蒸気の残部(g2)は水蒸気のまま前記燃焼機器、または前記加熱室へ直接供給される、請求項4記載の水蒸気利用システム。
【請求項6】
前記加熱室から出力される水蒸気の温度が所定の温度になるように、前記送風装置の送風量が調節可能である、および/または、前記蒸気電解装置へ供給される水蒸気(g1)と前記燃焼機器もしくは加熱室へ供給される水蒸気(g2)の比が調節可能である、請求項5記載の水蒸気利用システム。
【請求項7】
前記工業炉は、加熱炉、蒸留炉、焼入れ炉、溶解炉のいずれかである、請求項6記載の水蒸気利用システム。
【請求項8】
スタートアップ時には、前記加熱室内を所定温度の水蒸気で充満させる、請求項7に記載の水蒸気利用システム。
【請求項9】
前記水蒸気作用部は、前記燃焼機器から供給される水蒸気の圧力を利用して対象物の駆動を行う駆動部である、請求項1記載の水蒸気利用システム。
【請求項10】
前記駆動部はエンジン駆動部である、請求項9記載の水蒸気利用システム。
【請求項11】
前記駆動部はガスタービン羽根部である、請求項9記載の水蒸気利用システム。
【請求項12】
前記蒸気電解装置はSOEC型電解装置である、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の水蒸気利用システム。
【請求項13】
水素を燃料とし酸素を支燃性ガスとして燃焼を行う燃焼工程と、
その燃焼工程から供給される水蒸気の熱または圧力を利用して対象物を加熱または駆動する水蒸気作用工程と、
前記水蒸気作用工程から出力される水蒸気の全部または一部を利用して蒸気電解を行う蒸気電解工程と、を備え、
前記蒸気電解工程から出力される水素と酸素は、前記燃焼工程の燃料の水素と支燃性ガスの酸素として、前記燃焼工程に供給されることを特徴とする水蒸気利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼式加熱炉などの水蒸気利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の燃焼式加熱炉として、例えば特許文献1に示すような加熱炉が知られている。
【0003】
このような燃焼式加熱炉では、灯油等の液体燃料やLPGやLNG等の気体燃料を燃焼させている。
【0004】
ところで、近時地球温暖化対策に注目が集まり、CO2の発生を抑制する動きが活発であり、上記のような化石燃料を用いる燃焼式加熱炉は出来るだけ避ける傾向にある。
【0005】
そこで、その対策の一つとして、水素を燃料とする考えがある。水素を燃料とすればCO2が排出されないからである。
【0006】
さらには、その水素を製造する際にCO2の発生を抑制することが望ましいといえる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、この水素を製造するには水の電気分解で水素を製造する方法が典型例であるが、効率の高い電気分解技術として、SOEC(Solid Oxide Electrolysis Cell / 固体酸化物形水電解)型電解装置が知られている。
【0009】
しかしながら、このSOEC型電解装置で水素を製造するには高温の水蒸気が必要であるが、この高温の水蒸気を得るためには外部の加熱源が必須であり、そこで再びCO2の発生の問題に直面する。
【0010】
本発明では、そのような課題を考慮し、水蒸気を利用することで、CO2を発生しない水素燃焼によって高効率に熱量や動力を得ることの出来る水蒸気利用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の本発明は、
水素を燃料とし酸素を支燃性ガスとして燃焼を行う燃焼機器と、
その燃焼機器から供給される水蒸気の熱または圧力を利用して対象物を加熱または駆動する水蒸気作用部と、
前記水蒸気作用部から出力される水蒸気の全部または一部を利用して蒸気電解を行う蒸気電解装置と、を備え、
前記蒸気電解装置から出力される水素と酸素は、前記燃焼機器の燃料の水素と支燃性ガスの酸素として、前記燃焼機器に供給されることを特徴とする水蒸気利用システムである。
【0012】
第2の本発明は、
前記水蒸気作用部は、前記燃焼機器から供給される水蒸気の熱を利用して被加熱物の加熱行う加熱室である、第1の本発明の水蒸気利用システムである。
【0013】
第3の本発明は、
前記加熱室は工業炉の加熱室であることを特徴とする、第2の本発明の水蒸気利用システムである。
【0014】
第4の本発明は、
前記水蒸気を循環させる送風装置が前記加熱室と前記蒸気電解装置との間に設けられている、第3の本発明の水蒸気利用システムである。
【0015】
第5の本発明は、
前記送風装置から送出される水蒸気の一部(g1)は前記蒸気電解装置へ供給されるとともに、その水蒸気の残部(g2)は水蒸気のまま前記燃焼機器、または前記加熱室へ直接供給される、第4の本発明の水蒸気利用システムである。
【0016】
第6の本発明は、
前記加熱室から出力される水蒸気の温度が所定の温度になるように、前記送風装置の送風量が調節可能である、および/または、前記蒸気電解装置へ供給される水蒸気(g1)と前記燃焼機器もしくは加熱室へ供給される水蒸気(g2)の比が調節可能である、第5の本発明の水蒸気利用システムである。
【0017】
第7の本発明は、
前記工業炉は、加熱炉、蒸留炉、焼入れ炉、溶解炉のいずれかである、第6の本発明の水蒸気利用システムである。
【0018】
第8の本発明は、
スタートアップ時には、前記加熱室内を所定温度の水蒸気で充満させる、第7の本発明の水蒸気利用システムである。
【0019】
第9の本発明は、
前記水蒸気作用部は、前記燃焼機器から供給される水蒸気の圧力を利用して対象物の駆動を行う駆動部である、第1の本発明の水蒸気利用システムである。
【0020】
第10の本発明は、
前記駆動部はエンジン駆動部である、第9の本発明の水蒸気利用システムである。
【0021】
第11の本発明は、
前記駆動部はガスタービン羽根部である、第9の本発明の水蒸気利用システムである。
【0022】
第12の本発明は、
前記蒸気電解装置はSOEC型電解装置である、第1乃至11のいずれかの本発明の水蒸気利用システムである。
【0023】
第13の本発明は、
水素を燃料とし酸素を支燃性ガスとして燃焼を行う燃焼工程と、
その燃焼工程から供給される水蒸気の熱または圧力を利用して対象物を加熱または駆動する水蒸気作用工程と、
前記水蒸気作用工程から出力される水蒸気の全部または一部を利用して蒸気電解を行う蒸気電解工程と、を備え、
前記蒸気電解工程から出力される水素と酸素は、前記燃焼工程の燃料の水素と支燃性ガスの酸素として、前記燃焼工程に供給されることを特徴とする水蒸気利用方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、水蒸気を利用することで、CO2を発生しない水素燃焼によって高効率に熱量や動力を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明における実施の形態にかかる水蒸気利用システムの構成図
【
図2】本発明の別の実施の形態にかかる水蒸気利用システムの構成図
【
図3】本発明の別の実施の形態にかかる水蒸気利用システムの構成図
【
図4】本発明の別の実施の形態にかかる水蒸気利用システムの構成図
【
図5】本発明の別の実施の形態にかかる水蒸気利用システムの構成図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の水蒸気利用システムの実施の形態として、加熱炉を利用する場合の構成図である。
【0028】
本実施の形態のシステムは、工業炉1と、送風装置5と、蒸気電解装置6を備えている。工業炉1は例えば加熱炉、蒸留炉、焼入れ炉、溶解炉などである。
【0029】
この工業炉1はほぼ直方体形状あるいは円筒形状の加熱室2を備えており、この加熱室2は炉壁(放射面)4と被加熱物(受熱面)3とを有している。この被加熱物(受熱面)3は下側に設けられ、炉壁(放射面)4は上側と横側に設けられている。
【0030】
この加熱炉1の横側の炉壁4には燃焼機器7が装着されており、そこから、燃焼ガス(水蒸気)が加熱室2の内部へ供給されるようになっている。
【0031】
この燃焼機器7は後述するように、水素を燃料とし、酸素を支燃性ガスとして燃焼を行い、その結果生じる高温の水蒸気を加熱室2を供給する機器である。
【0032】
送風装置5は加熱室2から出力される水蒸気を水蒸気パイプ10を通じて取り込み、外部へ送風する装置である。
【0033】
蒸気電解装置6はその送風装置5から送り出される水蒸気の一部g1を取込み、蒸気電解を行い、水素と酸素を生成する装置である。電解電流装置12はその蒸気電解装置6の電気分解を起こさせるための電力を供給する装置である。
【0034】
その蒸気電解装置6によって生じた水素と酸素は水素パイプ8と酸素パイプ9を通じて燃焼機器7へ送られるようになっている。
【0035】
他方、送風装置5から送り出される水蒸気の残部g2は直接、燃焼機器7へ送りこまれるようになっている。
【0036】
なお、13はコンピュータなどの制御部であって、送風装置5に対して後述するような種々の制御を行う装置である。
【0037】
次に、本実施の形態の加熱装置の動作について説明する。ここに合計の水蒸気量をG1(単位はm3N/h)、蒸気電解装置6に入力される水蒸気量をg1(単位はm3N/h)、送風装置5から直接燃焼機器7へ供給される水蒸気量をg2(単位はm3N/h)とする。
【0038】
燃焼機器7では、後述するようにして蒸気電解装置6から得られた水素を燃料とし酸素を支燃性ガスとして燃焼させて生じた高温の水蒸気を、送風装置5から直接得た高温の水蒸気g2とともに、加熱室2へ供給する。
【0039】
その結果、加熱室2の入り口付近(燃焼機器7の近傍)での水蒸気は、熱量Q1(単位はkW)、合計ガス量G1(g1+g2)となり、ガス温度T1(単位は℃)は例えば1200℃となる。
【0040】
このような特性を持つ水蒸気は被加熱物3を熱量Q1の7割の熱量Q2で加熱する。
【0041】
残る3割の熱量Q3は加熱室2の出口付近において、ガス量G1(g1+g2)、ガス温度T2が例えば800℃の水蒸気となる。
【0042】
このような800℃の高温の水蒸気は水蒸気パイプ10を通じて、送風装置5へ入力される。
【0043】
送風装置5はガス量G1(g1+g2)、温度T2=800℃の水蒸気を所定の圧力で出力する。
【0044】
その際、ガス量G1の内、一部の水蒸気量g1は蒸気電解装置6へ送り込まれるが、残部の水蒸気量g2は水蒸気パイプ11を通じて直接燃焼機器7へ供給される。
【0045】
そのようにして温度T2=800℃の水蒸気量g1が送り込まれた蒸気電解装置6は例えばSOEC型電解装置であって、800℃という高温の水蒸気の電気分解なので、高効率に電気分解を行うことが出来る。
【0046】
その電気分解によって得られた水素は水素パイプ8を通じて、燃焼機器7へ供給され、その電気分解によって得られた酸素は支燃性ガスとして、燃焼機器7へ供給され、水素の燃焼が行われる。
【0047】
なお、直接燃焼機器7へ供給される高温の水蒸気量g2は循環用水蒸気といえるが、以下のような意味がある。
【0048】
すなわち、水素を燃焼させるための支燃性ガスとして純粋酸素ではなく、空気の酸素を用い、加熱室において適正な状態で必要な熱量を得ている場合を想定すると、加熱室内の合計ガス量は窒素が存在する分だけ多いが、同じ必要な熱量を得るために上記実施例のように純粋酸素を用いると、加熱室内の合計ガス量が空気を用いる場合に比べて1/3.5に少なくなる。
【0049】
その結果、局所過熱が起こる可能性がある。そこで、そのような局所過熱を防ぐ一手法として上記実施例では循環用水蒸気g2を用いている。
【0050】
なお、循環用水蒸気量g2をゼロにし、水蒸気g1のみを増やすと(
図3参照)、全ガス量がそのまま蒸気電気分解に使用され、それによって発生する水素と酸素をそのまま燃焼させると、加熱炉として不必要な熱が発生する可能性がある。
【0051】
繰返して説明すると、合計ガス量G1を、
図1の合計ガス量G1に比べて例えば1/3.5とした場合は、被加熱物3用の加熱量Q2を同じとするならば、燃焼ガスの比熱の違いを無視すると、温度T1が4200℃の高温になってしまことがある。ところで放射面(炉壁)4は一般的、実用的に耐熱温度が、1600℃が限界であり、温度T1が4200℃の加熱炉は望ましくない。
【0052】
これに対して、循環用水蒸気g2を設けるとより好ましい状態を実現しやすいといえる。
【0053】
すなわち、制御部13によって、g1とg2の比を調整することで、例えばg1の量を変えずに、g2のみ調整することで望ましい状態に加熱炉をしながら、被加熱物を所望の温度に加熱できる。炉内で加熱に寄与した燃焼ガスの排ガス温度T2が800℃になる様に循環ガス量g2を制御する。
【0054】
以上のことは、以下のことからもいえる。この酸素燃焼は通常の燃料と空気の酸化反応と比べて、窒素が無きため燃焼水蒸気の体積が約1/3.5となる。
燃焼式加熱炉は高温ガスが充満して、その放射熱で被加熱物を加熱するものである。燃焼排ガスが1/3.5となると、炉内にガスが充満しなくなり、局部過熱を起こす。
【0055】
この局部過熱を防ぐため送風装置5で循環ガス量g2を増加させることで,被加熱物を均一に加熱することができる。
【0056】
なお、送風装置5の送風量を調整することによっても、上記のような不都合を回避可能となる。
【0057】
【0058】
すなわち、
図2においては、送風装置5からの残部g2の水蒸気を燃焼機器7へ供給するのではなく、加熱室2へ直接供給する場合である。
【0059】
このようにすると過熱しがちな場所を選択できるメリットがある。
【0060】
なお、上記
図1に示すように、燃焼機器7へ水素と酸素ともに循環用水蒸気を供給する場合は、超高温火炎温度を下げるといったメリットがある。
【0061】
前記工業炉は、加熱炉、蒸留炉、焼入れ炉、溶解炉のいずれかである
なお、スタートアップ時には、前記加熱室内を所定温度の水蒸気で充満させておく。
【0062】
次に、本発明の別の実施の形態を説明する。
【0063】
図4は水蒸気を熱として利用するのではなく、その圧力を駆動に利用する場合の一例である。
【0064】
すなわち、エンジン14を水素燃焼タイプとし、その支燃性ガスとして空気ではなく酸素を用いる例である。本例では本発明の駆動部はエンジン14の駆動部である。
【0065】
この蒸気電解装置6で発生させた水素と酸素をエンジン14と一体となった燃焼機器7へ供給し燃焼させ、発生する水蒸気の圧力を利用してピストンを駆動して回転力を得るものである。
【0066】
エンジン14から出力される排ガスは水蒸気だけであるから、それを蒸気電解装置6へ供給して新たに水素と酸素を発生さる。
【0067】
このようにして、水蒸気を利用して効率的に機械的動力を得ることも可能である。
【0068】
図5も本発明の別の実施の形態であって、水蒸気を熱として利用するのではなく、その圧力を駆動に利用する場合の一例である。
【0069】
すなわち、ガスタービン羽根15に水蒸気を送り込み駆動力を得る。本例では本発明の駆動部はガスタービン羽根15などである。
【0070】
その水蒸気は燃焼機器7によって発生させた水蒸気である。また、ガスタービン羽根15を通過した水蒸気はその後蒸気電解装置6へ供給され、そこで電気分解されて水素と酸素となり、その水素と酸素は燃焼機器7へ供給され燃焼して、そこで発生する水蒸気の圧力を利用して蒸気ガスタービン羽根16を駆動して回転力を得るものである。
【0071】
このようにして、水蒸気を利用して効率的に機械的動力を得ることも可能である。
【0072】
なお、上記全ての実施の形態において、循環用水蒸気g2を用いる方が望ましいが、用いない場合も、装置の構造や種類や制御次第で実施可能である。
【0073】
また、本発明において、燃料として使用する水素に、他の成分が混ざることもあり得る。また、支燃性ガスとして使用する酸素に、他の成分、例えば窒素が混ざることもあり得る。また、燃焼機器から供給される水蒸気に他の成分が混ざることもあり得る。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、効率よく水蒸気を利用できるシステムであって、加熱炉などに最適である。
【符号の説明】
【0075】
1 工業炉
2 加熱室(水蒸気作用部)
3 被加熱物
4 炉壁
5 送風装置
6 蒸気電解装置
7 燃焼機器
11 水蒸気パイプ
12 電解電流装置
13 制御部
14 エンジン(水蒸気作用部)
15 ガスタービン羽根(水蒸気作用部)