(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017921
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】液体クロマトグラフィーカラム
(51)【国際特許分類】
G01N 30/60 20060101AFI20240201BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G01N30/60 B
G01N30/26 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120884
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000141897
【氏名又は名称】アークレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】南 隆男
(57)【要約】
【課題】充填剤がキャップとカラム本体の端面との間に噛み込まれ難くすることにより、簡単にキャップをカラム本体に締め付けることで十分な耐圧性能を確保できる液体クロマトグラフィーカラムを提供する。
【解決手段】軸方向に貫通するとともに内部に充填剤が充填される流路を有するカラム本体と、流路の内部に前記充填剤を留めるために、カラム本体の軸方向の端部に装着されるフィルタ構造体と、フィルタ構造体を介して流路と連通する貫通孔を有し、カラム本体に装着されるキャップと、を備え、記カラム本体とフィルタ構造体とが接触する接触面の外側に、キャップをカラム本体に取り付ける際に流路から溢れた充填剤が退避するための空間である退避部が形成されている、液体クロマトグラフィーカラム。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に貫通するとともに内部に充填剤が充填される流路を有するカラム本体と、
前記流路の内部に前記充填剤を留めるために、前記カラム本体の軸方向の端部に装着されるフィルタ構造体と、
前記フィルタ構造体を介して前記流路と連通する貫通孔を有し、前記カラム本体に装着されるキャップと、を備え、
前記カラム本体と前記フィルタ構造体とが接触する接触面の外側に、前記キャップを前記カラム本体に取り付ける際に前記流路から溢れた充填剤が退避するための空間である退避部が形成されている、液体クロマトグラフィーカラム。
【請求項2】
前記キャップが前記カラム本体に取り付けられた状態においては、前記退避部は、前記カラム本体と前記フィルタ構造体のうちの少なくともいずれか一方と、前記キャップの内側面との間に形成されている、
請求項1に記載の、液体クロマトグラフィーカラム。
【請求項3】
前記フィルタ構造体は、前記キャップの内側の底面から前記カラム本体に向いて突出するように前記キャップの内側の底面に設けられている、
請求項2に記載の、液体クロマトグラフィーカラム。
【請求項4】
前記カラム本体と前記フィルタ構造体のうち少なくともいずれか一方には、前記接触面から前記キャップの内側面に向かって傾斜した傾斜部が形成されている、
請求項2に記載の、液体クロマトグラフィーカラム。
【請求項5】
前記傾斜部と前記接触面とがなす角は、0°を超え30°以下である、
請求項4に記載の、液体クロマトグラフィーカラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフィーカラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、カラム本体の両端にそれぞれキャップを締め込んで装着されているカラムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のカラムでは、カラム本体の内部に充填剤を充填後、キャップを締め込む際、余分な充填剤が溢れ出てキャップとカラム本体の間に噛み込まれる可能性があった。
【0005】
ここで、充填剤がキャップとカラム本体の端部との間に噛み込まれた場合、カラム本体の端部に噛み込まれた充填剤による隙間が生じやすく、カラム全体としての密着性と耐圧性能が低下する可能性があった。また、この場合、カラム本体の端部にある隙間をなくしてカラムの全体に十分な耐圧性能をもたせるために、高い締付力でキャップをカラム本体に締め付けることがある。その場合に、構成部品の破損に繋がる可能性があった。
【0006】
本開示の実施態様は、充填剤がキャップとカラム本体の端部との間に噛み込まれることなく、キャップをカラム本体に簡単に締め付けることで密着性を実現でき、十分な耐圧性能を確保できる液体クロマトグラフィーカラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一態様の液体クロマトグラフィーカラムは、軸方向に貫通するとともに内部に充填剤が充填される流路を有するカラム本体と、流路の内部に前記充填剤を留めるために、カラム本体の軸方向の端部に装着されるフィルタ構造体と、フィルタ構造体を介して流路と連通する貫通孔を有し、カラム本体に装着されるキャップと、を備え、記カラム本体とフィルタ構造体とが接触する接触面の外側に、キャップをカラム本体に取り付ける際に流路から溢れた充填剤が退避するための空間である退避部が形成されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体クロマトグラフィーカラムによれば、充填剤がキャップとカラム本体の端部との間に噛み込まれることなく、簡単にキャップをカラム本体に締め付けることで、密着性を実現でき、カラムの耐圧性能を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラムを備えた液体クロマトグラフィー装置を説明する構成図である。
【
図2】第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラムを説明する断面図である。
【
図3】第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラムを説明する断面図の拡大図である。
【
図4】第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラムを組み立てる様子を示す断面図であり、(A)は、キャップがカラム本体に取り付けられようとしている様子、(B)は、キャップがカラム本体に取り付けられて、充填剤が空隙部に入り込む様子を示す図である。
【
図5】第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラムの第一変形例を示す断面図である。
【
図6】第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラムの第二変形例を示す断面図である。
【
図7】第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラムの第三変形例を示す断面図である。
【
図8】第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラムの第四変形例を示す断面図である。
【
図9】第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラムの第五変形例を示す断面図である。
【
図10】第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラムの第六変形例を示す断面図である。
【
図11】第二実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラムを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において、同一又は同等な構成要素及び部品には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
<第一実施形態>
第一実施形態の液体クロマトグラフィーカラム30について、以下、図面を参照して説明する。ここでは、一例として液体クロマトグラフィーカラム30を備えた液体クロマトグラフィー装置12を用いて全血中のグリコヘモグロビン(HbA1c)の濃度を測定する態様について説明するが、測定対象はこれに限られない。
【0012】
(全体構成)
図1に示すように、液体クロマトグラフィー装置12の装置本体14には、採血管16がセットされるようになっており、液体クロマトグラフィー装置12は、全血中のグリコヘモグロビン(HbA1c)の濃度を自動で測定することができる。
【0013】
液体クロマトグラフィー装置12の装置本体14は、複数(
図1に示す例では5つ)の溶離液ボトル18A、18B、18C、18D、18Eを有している。溶離液ボトル18A~18Eは、後述する液体クロマトグラフィーカラム30に供給すべき溶離液を各々保持している。各溶離液は、用途に応じて例えば組成、成分比、pH、浸透圧等が異なることがある。
【0014】
装置本体14は、さらに、試料調製ユニット20、分析ユニット24、及び測光ユニット26を有している。
【0015】
採血管16は、試料調製ユニット20におけるノズル22によって採取可能な位置に移動できるように、装置本体14に保持されている。
【0016】
試料調製ユニット20は、ノズル22、及び希釈槽28を有している。試料調製ユニット20は、ノズル22により採血管16から血液試料を採取して、希釈槽28に導入する。希釈槽28において希釈された血液試料は、液体クロマトグラフィーカラム30に導入される。
【0017】
ノズル22は、液体の吸引・吐出が可能であり、採血管16の血液試料をはじめとする各種の液体を、吸引により採取するとともに、吐出することができる。
【0018】
分析ユニット24は、液体クロマトグラフィーカラム30、マニホールド32、送液ポンプ34、及びインジェクションバルブ36を有している。
【0019】
分析ユニット24は、液体クロマトグラフィーカラム30の充填剤G(
図4参照)に対する生体成分の吸着・脱着をコントロールし、液体クロマトグラフィーカラム30で分離された各種の生体成分を測光ユニット26に供給する。分析ユニット24における設定温度は、たとえば40℃程度とされる。
【0020】
マニホールド32は、配管80A~80Eを介して溶離液ボトル18A~18Eに各々接続され、配管84により、送液ポンプ34を介してインジェクションバルブ36に接続されている。マニホールド32は、内部に設けられたバルブを切り替えることにより複数の溶離液ボトル18A~18Eのうちの特定の溶離液ボトルから、液体クロマトグラフィーカラム30に選択的に溶離液を供給させる。
【0021】
送液ポンプ34は、配管84の途中に設けられており、溶離液をインジェクションバルブ36に移動させるための動力を付与する。
【0022】
インジェクションバルブ36は、複数の導入ポート及び排出ポート(図示省略)を備えており、一定量の血液試料を採取するとともに、その血液試料を液体クロマトグラフィーカラム30に導入可能とする。
【0023】
インジェクションバルブ36には、インジェクションループ38が接続されている。インジェクションループ38は、一定量(たとえば数μL)の液体を保持可能であり、インジェクションバルブ36を適宜切り替えることにより、インジェクションループ38が希釈槽28と連通して希釈槽28からインジェクションループ38に血液試料が供給される状態と、インジェクションループ38が配管85を介して液体クロマトグラフィーカラム30と連通してインジェクションループ38から血液試料が液体クロマトグラフィーカラム30に導入される状態と、のいずれか一方を選択することができる。このようなインジェクションバルブ36としては、たとえば六方バルブを使用することができる。
【0024】
測光ユニット26は、配管87を介しての廃液槽88に接続され、液体クロマトグラフィーカラム30から排出された液体が廃棄される。測光ユニット26は、液体クロマトグラフィーカラム30を通過した液体に含まれるヘモグロビンを光学的に検出する。
【0025】
なお、以後の説明において、液体クロマトグラフィーカラム30に導入され、また排出される液体を合わせて「試料液」と称す。すなわち、試料液とは、血液試料又は溶離液のいずれか一方又は両方を含んでいるものとする。
【0026】
(液体クロマトグラフィーカラム30)
図2及び
図3に示すように、本実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30は、カラム本体40と、二つのフィルタ構造体50と、二つのキャップ60とを有する。二つのフィルタ構造体50としては、それぞれカラム本体の上流側と下流側に設けられている第一フィルタ構造体50A及び第二フィルタ構造体50Bを有する。二つのキャップ60としては、それぞれカラム本体の上流側と下流側に設けられている第一キャップ60A及び第二キャップ60Bを有している。なお、以後の説明において、第一フィルタ構造体50A及び第二フィルタ構造体50Bを特に区別しない場合は、フィルタ構造体50と称し、第一キャップ60A及び第二キャップ60Bを特に区別しない場合は、キャップ60と称する。
【0027】
カラム本体40は、
図2及び
図3に示されるように、中心軸Lの軸方向(長手方向)に延びる略円筒状に形成されている。カラム本体40の内部に所定内径を有する流路44がカラム本体40の中心軸Lに沿って形成されている。流路44の内部に後述する充填剤Gが充填されることがある。このカラム本体40は、後述するようにフィルタ構造体50の保持部材52と密着する程度に径方向(すなわち、中心軸Lの軸方向と直交する方向)に厚さを有する。カラム本体40の中心軸Lの軸方向の両端部、すなわち流路44が開口する両端部に、端面42がある。端面42の少なくとも一部分がフィルタ構造体50の保持部材52と密着している。保持部材52と密着している端面42の部分が接触面Cである。端面42も接触面Cも環状に形成されている。
図2において、接触面Cは、端面42の径方向の内側(流路44側)にある一部分である。
【0028】
また、端面42には、後述する保持部材52と接触する接触面Cより径方向の外側(カラム本体の外周面42P側)に、テーパ面であるカラム傾斜部42Tが形成されている。
図3に示されているように、カラム傾斜部42Tと接触面Cとの境界は、フィルタ構造体50の外周面よりも径方向の内側にあり、流路44の内壁面より径方向の外側にある。カラム傾斜部42Tは、この境界から外側に向かって、カラム本体40の外周面42Pに近づけば近づくほどキャップ60の底面から離れるように傾斜している。すなわち、カラム傾斜部42Tは、後述するフィルタ構造体50の保持部材52と対面するが、保持部材52と接触しない。
【0029】
なお、カラム本体40の形状及び材料は、適宜設定されることが可能である。一例として、硬質樹脂材料で形成されている。
【0030】
第一キャップ60A及び第二キャップ60Bは、それぞれ側部64と底部62とを有する有底の円筒形状とされている。
図2に示されるように、第一キャップ60A及び第二キャップ60Bの中心軸Lは、カラム本体の中心軸Lと同一軸である。第一キャップ60Aは、後述する第一フィルタ構造体50Aを第一キャップ60Aの底部62とカラム本体40の中心軸Lの軸方向の端部との間に挟持するように、カラム本体40の中心軸Lの軸方向の端部に装着される部材である。第二キャップ60Bは、後述する第二フィルタ構造体50Bを、第二キャップ60Bの底面62Bとカラム本体40の中心軸Lの軸方向の他端部との間に挟持するように、カラム本体40の中心軸Lの軸方向の他端部に装着される部材である。
図2に示されるように、本実施形態における第一キャップ60Aと第二キャップ60Bは、互いに同等の形状と構造とされているが、例えば上流と下流とを区別するために、第一キャップ60Aと第二キャップ60Bとは異なる構成となってもよい。
【0031】
キャップ60の側部64は、
図2及び
図3に示されるように、内側面64Sの内径がカラム本体40の外周面42P(径方向の外側の周面)の外径と略同一であり、カラム本体40に取り付け可能とされている。本実施形態では、一例としてカラム本体40の外周面42Pに雄ねじが、キャップ60の内側面64Sに雌ねじが形成され、キャップ60がカラム本体40に螺合されて取り付けられる。以後、キャップ60がカラム本体40に取り付けられた状態でカラム本体40とキャップ60とが接合する部分を接合部76と称する。後述するフィルタ構造体50を円筒状のカラム本体の端部に密着させるように、キャップ60の側部64をカラム本体40の外周面42Pに装着する。キャップ60を装着する際に、接合部76による螺合の度合いを調整することでその密着程度を調整することが可能である。
【0032】
キャップ60の底部62には、
図2及び
図3に示されるように、貫通孔62Cと凹部62Dとが形成されている。
【0033】
貫通孔62Cは、キャップ60の中心軸Lに沿って底部62を貫通する孔である。貫通孔62Cは、後述する試料液を通すことで、後述するフィルタ構造体50を介して流路44との間で試料液が流通する経路でもあり、試料液が流動する外部流路との繋がり機能も発揮する。また、外部流路と従来のネジ式で接続することがある。また、本実施形態では一例として、第一キャップ60Aの貫通孔62Cから試料液が供給され、第二キャップ60Bの貫通孔62Cから排出される。試料液を上手く通すために、貫通孔62Cはカラム本体40の中心軸Lの延長方向にあり、カラム本体40と同じ中心軸Lである。液体クロマトグラフィーカラム30は全体が一つの中心軸Lを有する略円筒形状に形成されている。
【0034】
図3に示されるように、凹部62Dは、底部62の内側において中心軸Lの軸方向に沿ってカラム本体40から離れるように凹んだ部分であり、後述するフィルタ構造体50が嵌着されるための部分である。凹んでいる凹部62Dにフィルタ構造体50を嵌着することで、フィルタ構造体50をより確実にキャップに保持できる。
【0035】
フィルタ構造体50は、
図2に示されるように、一例として多孔質体のフィルタ54と、フィルタ54を保持する保持部材52とを有している。フィルタ構造体50はカラム本体40の端部に装着されている。一方、フィルタ54が保持部材52の中央部に保持されている。また、
図2に示されるように、本実施形態における第一フィルタ構造体50Aと、第二フィルタ構造体50Bは、互いに略同一の形状とされている。
【0036】
フィルタ54には、所定の孔径を有する多数の透過孔が形成されており、フィルタ54で試料液中に含まれる粒子を捕捉する、たとえばメンブレンフィルタ又は焼結フィルタである。またフィルタ54は、中心軸Lの軸方向に厚さを有する短円柱状をなしている。
【0037】
なお、フィルタ54に形成された透過孔の孔径は、後述する充填剤Gを透過させずに、試料液を透過させる大きさとされている。言い換えれば、フィルタ54は、貫通孔62Cと連通し、流路44内の充填剤Gを流路44の内部に留めるが、試料液を透過させる。
【0038】
保持部材52は、凹部62Dの内径と略同一とされた外径を有する略円環状に形成され、中心部(円環の内側)にフィルタ54が保持されるとともに、凹部62Dに装着される部材である。また、
図3に示すように、保持部材52は、径方向において、カラム本体40の端面42と密着できる程度に厚さを有し、中心軸Lの軸方向において、フィルタ54と略同一の高さを有している。保持部材52にフィルタ54が保持されている状態で、フィルタ構造体50としてはカラム本体40の端部とキャップとの間に挟持される。
【0039】
なお、フィルタ構造体50の中心軸Lの軸方向の高さは、凹部62Dの深さ(中心軸Lの軸方向の長さ)よりも長く、
図2及び
図3のようにフィルタ構造体50が凹部62Dに装着された状態で、フィルタ構造体50が底面62Bよりカラム本体40側に突出する。また、
図2の実施例において、底面62Bがカラム本体40とは接触していない。
【0040】
図2及び
図3に示されるように、キャップ60がカラム本体40に取り付けられた状態では、フィルタ構造体50とカラム本体40とが接触面Cで密着する。この状態で、第一キャップ60Aの貫通孔62Cを通って第一フィルタ構造体50Aに供給された試料液は、第一フィルタ54Aを透過してカラム本体40の流路44に流入する。また、カラム本体40の中心軸Lの軸方向の反対側では、試料液が、カラム本体40の流路から第二フィルタ構造体50Bの第二フィルタ54Bを透過して、第二キャップ60Bの貫通孔62Cを通って排出される。キャップ60をカラム本体40に締め付けることで、フィルタ構造体50とカラム本体40とが接触面Cで密着されているので、充填剤も試料液もこの接触面Cから漏洩することがない。そして、充填剤がフィルタ構造体50で流路44に留められるが、試料液が、外部の流路から第一キャップ60Aの貫通孔62C、第一フィルタ54A、カラムの流路44、第二フィルタ54B、第二キャップ60Bの貫通孔62Cの順で外部に流動することになる。
【0041】
キャップ60がカラム本体40に取り付けられた状態では、接触面Cの外側で、カラム本体40及び保持部材52とキャップ60の内側面64Sとに囲われた空間である空隙部72が位置している。言い換えれば、本実施形態における空隙部72は、カラム傾斜部42Tと、フィルタ構造体50の保持部材52と、キャップ60の底面62Bと、キャップ60の内側面64Sとに囲われた環状の空間である。また、この空隙部72は、本開示に係る「退避部70」の一例である。この空隙部72の作用については、後述する。
【0042】
保持部材52とキャップ60は、どのような材料で形成されていてもよいが、一例として、容易に変形しない硬質樹脂材料で形成されている。カラム本体40、フィルタ構造体50の保持部材52及びキャップ60は、全部同じ硬質樹脂材料で形成されてもよい。
【0043】
なお、上述の第一フィルタ構造体50A及び第二フィルタ構造体50Bがそれぞれ保持するフィルタ54は、同じ種類の部品とされていてもよく、孔径や厚さ等が異なる別の種類の部品とされていてもよい。すなわち、第一フィルタ構造体50A及び第二フィルタ構造体50Bがそれぞれ保持するフィルタ54は、液体クロマトグラフィー装置12に使用される試料や溶離液の条件によって適宜決定されてもよい。
【0044】
第一フィルタ構造体50A及び第二フィルタ構造体50Bは、それぞれ第一キャップ60A及び第二キャップ60Bと一体にしてもよく、分体として形成したものを接合してもよい。第一フィルタ構造体50A及び第二フィルタ構造体50Bは、それぞれ第一キャップ60A及び第二キャップ60Bと同時にカラム本体40に装着可能である。
【0045】
(液体クロマトグラフィーカラム30の組み立て)
次に
図4(A)及び
図4(B)を参照して、本実施形態における液体クロマトグラフィーカラム30が組み立てられる様子を説明する。なお、
図4(A)及び
図4(B)において、図示されたカラム本体40の端面42の中心軸Lの軸方向の反対側、すなわち、カラム本体40の図示されていない端面には、既に第二キャップ60Bがカラム本体40に取り付けられている。フィルタ構造体50は、キャップ60の凹部62Dに嵌着されている。キャップ60をカラム本体40に取り付けることで、フィルタ構造体50は、カラム本体40とキャップ60との間に挟まれ、カラム本体40の中心軸Lの軸方向の端部と密着される。
【0046】
一つのキャップ60がカラム本体40に取り付けられた後に、カラム本体40にもう一つのキャップ60が取り付けられる前に、カラム本体40の流路44には、端面42から盛り上がる程度に充填剤Gが入れられる。充填剤は試料中のヘモグロビン類などを選択的に吸着させるためのゲル状物質であり、たとえばメタクリル酸-メタクリル酸エステル共重合体が使用されることが可能である。
【0047】
図4(A)には、キャップ60がカラム本体40に取り付けられようとする状態を示している。
図4(A)のように流路44から溢れた充填剤Gがある際に、表面張力により端面42より突出している。キャップ60の取り付けに伴い、その溢れた充填剤Gは、フィルタ構造体50に押し込まれて、流路44の径方向の外側へと圧送され、空隙部72に入り込む。
【0048】
図4(B)には、キャップ60をカラム本体40へ取り付けることにより、流路44から溢れた充填剤Gが、空隙部72に入り込んだ状態を示している。キャップ60の取り付けが完了すると共に、充填剤Gの充填が完了する。言い換えれば、流路44から溢れた充填剤Gは、キャップ60がカラム本体40に取り付けられる際に、退避部70としての空隙部72に退避する。
【0049】
このような手順により、カラム本体40の流路44より充填剤Gが溢れた状態から、キャップ60をカラム本体40に取り付けることにより、流路44が充填剤Gで満たされた液体クロマトグラフィーカラム30が組み立てられる。
【0050】
なお、空隙部72の容量は、適宜設定されることが可能である。
【0051】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果を説明する。
【0052】
図1に示す液体クロマトグラフィー装置12では、採血管16からノズル22により血液試料が採取され、希釈槽28に供給される。希釈槽28には、さらに調製液タンク(図示省略)から希釈液が供給され、希釈槽28において、試料液が調製される。
【0053】
希釈槽28で調製された試料液は、インジェクションループ38に供給されて保持される。そして、インジェクションバルブ36を切り替えてインジェクションループ38に保持された試料液を液体クロマトグラフィーカラム30に導入させる。液体クロマトグラフィーカラム30に試料液が導入されると、充填剤GにsA1c、HbA0、及び変異Hb等が吸着される。さらにインジェクションバルブ36を適宜切り替えて、溶離液をあらかじめ定めた制御シーケンスで順次液体クロマトグラフィーカラム30に供給する。
【0054】
液体クロマトグラフィーカラム30からは、分離された各種ヘモグロビンを含む試料液が排出される。試料液は、配管86を介して測光ユニット26の測光セルに供給された後、配管87を介して、廃液槽88に導かれる。
【0055】
測光ユニット26では、試料液に対して光源から連続的に光が照射され、透過光がビームスプリッタにおいて分割された後、受光素子によって受光される。この受光素子での受光結果に基づいて、測光ユニット26の制御部においてクロマトグラムが演算・取得される。
【0056】
ここで、カラムの性能を確保するために、カラムに耐圧性が要求される。本実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30において、カラム本体40と保持部材52とが接触面Cに密着している。キャップ60がカラム本体40に螺合されて取り付けられることにより、接触面Cにおける密着性を確保することができるとともに、液体クロマトグラフィーカラム30内の流路44にある試料液などが接触面Cから漏れることを防止できる。キャップ60がカラム本体40に取り付けられる状態では、キャップ60、カラム本体40と保持部材52により、接触面Cに対する径方向の外側に空隙部72が形成されている。
【0057】
これにより、キャップ60を取り付ける際に、カラム本体40の流路44から溢れた充填剤Gは、保持部材52と端面42との間の接触面Cで噛み込まず、空隙部72まで退避するので、キャップ60を締め付けることで、簡単に接触面Cにおける密着性及びカラムの耐圧性を確保できる。
【0058】
また、本実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30のフィルタ構造体50は、キャップ60の内側の底面62Bからカラム本体40に向けて突出しているため、キャップ60を取り付ける際に充填剤Gが接触面Cから押し退けられやすい。フィルタ54の端面と保持部材52の端面は径方向の同一面にある。流路44から溢れていた充填剤Gが存在する場合、保持部材52より中央側にあるフィルタ54と充填剤Gとの接触は、保持部材52と流路44の端面との接触より先に生じる。これにより、更に充填剤Gを中央側から外側にある空隙部72に押しのけやすくなる。なお、本実施形態において、キャップ60を螺合によりカラム本体40の外周面に取り付けているが、螺合以外に、嵌合など他の装着方法も適用可能である。
【0059】
また、本実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30のカラム本体40には、外方に傾斜したテーパ面であるカラム傾斜部42Tが形成されている。カラム傾斜部42Tは、キャップ60の内側面64Sに近づけば近づくほど保持部材52の端面から中心軸Lの軸方向に離れていくように傾斜している。すなわち、カラム本体40の流路44から溢れた充填剤Gがカラム傾斜部42Tによって空隙部72に案内されやすい。これにより、カラム本体40にキャップ60を取り付ける場合に、カラム本体40の流路44から溢れた充填剤Gを空隙部72に向かって誘導することができる。
【0060】
また、本実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30のカラム本体40のカラム傾斜部42Tは、接触面Cに対して0°を超え30°以下の角度で傾いてよい。例えば、5°、10°、15°、20°、25°、30°などが挙げられる。本実施形態において、接触面Cとカラム傾斜部42Tとはカラム本体40の端部の端面42となっている。
【0061】
(変形例)
続いて、本実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30の変形例を以下に示す。なお、以後の変形例における第一実施形態と同様の構成については、第一実施形態と同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
(第一変形例)
図5は、第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30の第一変形例を示す図である。
【0063】
図5に示すように第一変形例では、カラム本体40の端部には、カラム傾斜部42Tに代えて、フィルタ構造体50とは反対側の中心軸Lの軸方向に向かう段差形状とされたカラム段差部42Sが形成されている。また言い換えれば、カラム段差部42Sは、カラム本体40の中心軸Lの軸方向の端で外径が縮径された部分ともいえる。なお、その他の構成及び形状は、第一実施形態と同様である。
【0064】
第一変形例における空隙部72は、接触面Cの外側に、カラム本体40及びフィルタ構造体50とキャップ60の内側面64Sとに囲われた空間として設けられている。また言い換えれば、本変形例における空隙部72は、カラム段差部42Sと、フィルタ構造体50と、キャップ60の底面62Bと、キャップ60の内側面64Sとに囲われた空間である。
【0065】
(第二変形例)
図6は、第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30の第二変形例を示す図である。
【0066】
図6に示すように第二変形例では、キャップ60の底面62Bは、フィルタ構造体50の接触面Cと中心軸Lの軸方向に同じ位置とされている。また、第一変形例と同様にカラム本体40の端部には、カラム段差部42Sが形成されている。フィルタ構造体50における保持部材52の外径が、カラム本体40の端面の外径より大きく形成されている。すなわち、保持部材52とカラム本体40の端面とが接触する面において、カラム段差部42Sが形成されていない保持部材52の方の面は、カラム本体40の端面の面より大きく形成されている。大きく形成されている保持部材52の方の面は、カラム段差部42Sのない側に形成されているので、充填剤をカラム段差部42Sによる空隙部72に案内しやすいと考えられる。なお、その他の構成及び形状は、第一実施形態と同様である。
【0067】
第二変形例における空隙部72は、接触面Cの外側に、カラム本体40とキャップ60の内側面64Sとに囲われた空間として位置している。また言い換えれば、本変形例における空隙部72は、カラム段差部42Sと、キャップ60の底面62Bと、キャップ60の内側面64Sとに囲われた空間である。
【0068】
(第三変形例)
図7は、第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30の第三変形例を示す図である。
【0069】
図7に示すように第三変形例では、カラム本体40の端部には、カラム傾斜部42Tが形成されていない。なお、その他の構成及び形状は、第一実施形態と同様である。
【0070】
第三変形例における空隙部72は、接触面Cの外側に、フィルタ構造体50とキャップ60の内側面64Sとに囲われた空間として位置している。言い換えれば、本変形例における空隙部72は、カラム本体40と、フィルタ構造体50と、キャップ60の底面62Bと、キャップ60の内側面64Sとに囲われた空間である。
【0071】
(第四変形例)
図8は、第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30の第四変形例を示す図である。
【0072】
図8に示すように第四変形例では、フィルタ構造体50のカラム本体40と接触する面には、カラム傾斜部42Tと同様に外方に向かって傾斜するフィルタ傾斜部52Tが形成されている。また、第四変形例では、カラム本体40の端部には、径方向の内側にカラム傾斜部42Tが、径方向の外側にカラム段差部42Sが形成されている。なお、その他の構成及び形状は、第一実施形態と同様である。
【0073】
第四変形例におけるフィルタ傾斜部52Tと接触面Cとがなす角は、カラム傾斜部42Tと同様に0°を超え30°以下とされてもよい。
【0074】
第四変形例における空隙部72は、接触面Cの外側に、カラム本体40及びフィルタ構造体50とキャップ60の内側面64Sとに囲われた空間として位置している。言い換えれば、本変形例における空隙部72は、カラム傾斜部42Tと、カラム段差部42Sと、フィルタ傾斜部52Tと、キャップ60の底面62Bと、キャップ60の内側面64Sとに囲われた空間である。
【0075】
本変形例では、フィルタ傾斜部52Tが形成されているため、第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30に比べて、さらに流路44から溢れる充填剤Gを空隙部72に移動させやすくすることができる。
【0076】
また、本変形例では、フィルタ傾斜部52Tが接触面Cに対して30°よりも大きい角度で傾いている場合と比して、カラム本体40とフィルタ構造体50との接触面Cの面積を大きくすることができる。これにより、液体クロマトグラフィーカラム30を使用する際に、流路44に充填された充填剤Gが流路44から漏れる可能性を低減することができる。
【0077】
(第五変形例)
図9は、第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30の第五変形例を示す図である。
【0078】
図9に示すように第五変形例では、カラム本体40の端部には、第四変形例と同様に径方向の内側にカラム傾斜部42Tが、径方向の外側にカラム段差部42Sが形成されている。また、第五変形例では、キャップ60の底面62Bは、第二変形例と同様にフィルタ構造体50の接触面Cと中心軸Lの軸方向に同じ位置とされている。なお、その他の構成及び形状は、第一実施形態と同様である。
【0079】
第五変形例における空隙部72は、接触面Cの外側に、カラム本体40とキャップ60の内側面64Sとに囲われた空間として位置している。言い換えれば、本変形例における空隙部72は、カラム傾斜部42Tと、カラム段差部42Sと、キャップ60の底面62Bと、キャップ60の内側面64Sとに囲われた空間である。
【0080】
(第六変形例)
図10は、第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30の第六変形例を示す図である。
【0081】
図10に示すように第六変形例では、フィルタ構造体50には、第四変形例と同様にフィルタ傾斜部52Tが形成されている。また、カラム本体40は、第三変形例と同様にカラム本体40の端部にはカラム傾斜部42Tが形成されていない。なお、その他の構成及び形状は、第一実施形態と同様である。
【0082】
第六変形例における空隙部72は、接触面Cの外側に、フィルタ構造体50とキャップ60の内側面64Sとに囲われた空間として位置している。言い換えれば、本変形例における空隙部72は、カラム本体40と、フィルタ傾斜部52Tと、キャップ60の底面62Bと、キャップ60の内側面64Sとに囲われた空間である。
【0083】
(その他の変形例)
なお、上述の説明において、液体クロマトグラフィーカラムは、第一キャップ及び第二キャップの二つのキャップを有し、中心軸Lの軸方向に対称な形状とされていたが、これに限られない。
【0084】
<第二実施形態>
続いて、本開示に係る第二実施形態について説明する。なお、第二実施形態における第一実施形態と同様の構成については、第一実施形態と同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
図11は、本開示に係る液体クロマトグラフィーカラム30の第二実施形態を示す図である。
【0086】
図11に示すように、第二実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30では、キャップ60の底面62Bとカラム本体40の端面42とが接触する。また、第二実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30では、接触面Cに対して中心軸Lの軸方向に同じ位置にキャップ60の外部へと連通する連通路74が形成されている。
【0087】
連通路74は、一例として接触面Cの径方向において、キャップ60の内側面64Sから外側に向かって開けられた孔である。なお、連通路74は、一例として周方向に複数箇所(
図11では二つ)形成されている。
【0088】
また、連通路74は、キャップ60を取り付ける際に接触面Cから充填剤Gを排出することが可能とされた空間でもある。すなわち、連通路74は、本実施形態における「退避部70」の一例である。
【0089】
その他の構成は、第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30と同様である。
【0090】
なお、本実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30における連通路74は、キャップ60を取り付けた後にシール材等で連通路74を塞ぐことによって、連通路74内の充填剤Gがさらに外部に漏れ出ることを防ぐようにしてもよい。また、出荷する際に、別のシール材で液体クロマトグラフィーカラム30の両端にある貫通孔62Cをシールしてもよい。
【0091】
(作用及び効果)
本実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30では、第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30と同様に、キャップ60をカラム本体40に取り付ける際に、流路44から溢れた充填剤Gが、連通路74に向かう。
【0092】
ここで、本実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30では、連通路74がキャップ60の外部に通じているため、流路44から溢れた充填剤Gは、連通路74を通って外部に排出される。
【0093】
これにより、本実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30においても、キャップ60を取り付ける際に、カラム本体40の流路44から溢れた充填剤Gが保持部材とカラム本体40の端面との間に噛み込まれなく、簡単にキャップ60を締め付けることでカラムの耐圧性を確保することができる。
【0094】
なお、第二実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30においても、第一実施形態に係る液体クロマトグラフィーカラム30の構成及び第一実施形態に係る変形例の構成を採用してもよく、また、これらの構成を適宜組み合わせてもよい。
【0095】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態を説明したが、本開示の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は応用例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0096】
なお、以下に本開示の好ましい態様を更に示す。
【0097】
(付記1)
軸方向に貫通するとともに内部に充填剤が充填される流路を有するカラム本体と、
前記流路の内部に前記充填剤を留めるために、前記カラム本体の軸方向の端部に装着されるフィルタ構造体と、
前記フィルタ構造体を介して前記流路と連通する貫通孔を有し、前記カラム本体に装着されるキャップと、を備え、
前記カラム本体と前記フィルタ構造体とが接触する接触面の外側に、前記キャップを前記カラム本体に取り付ける際に前記流路から溢れた充填剤が退避するための空間である退避部が形成されている、液体クロマトグラフィーカラム。
【0098】
(付記2)
前記キャップが前記カラム本体に取り付けられた状態においては、前記退避部は、前記カラム本体と前記フィルタ構造体のうちの少なくともいずれか一方と、前記キャップの内側面との間に形成されている、
付記1に記載の、液体クロマトグラフィーカラム。
【0099】
(付記3)
前記フィルタ構造体は、前記キャップの内側の底面から前記カラム本体に向いて突出するように設けられている、
付記1又は付記2に記載の、液体クロマトグラフィーカラム。
【0100】
(付記4)
前記カラム本体と前記フィルタ構造体のうち少なくともいずれか一方には、前記接触面から前記キャップの内側面に向かって傾斜した傾斜部が形成されている、
付記1から付記3までのいずれか一項に記載の、液体クロマトグラフィーカラム。
【0101】
(付記5)
前記傾斜部と前記接触面とがなす角は、0°を超え30°以下である、
付記4に記載の、液体クロマトグラフィーカラム。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、液体クロマトグラフィー装置において、充填剤が保持部材とカラム本体の端面との間に噛み込まれなく、キャップを簡単にカラム本体に締め付けることで、カラムの耐圧性を確保することに利用可能である。
【符号の説明】
【0103】
12 液体クロマトグラフィー装置
14 装置本体
16 採血管
18 溶離液ボトル
20 試料調製ユニット
22 ノズル
24 分析ユニット
26 測光ユニット
28 希釈槽
30 液体クロマトグラフィーカラム
32 マニホールド
34 送液ポンプ
36 インジェクションバルブ
38 インジェクションループ
40 カラム本体
42 端面
42P 外周面
42S カラム段差部
42T カラム傾斜部
44 流路
50 フィルタ構造体
52 保持部材
52T フィルタ傾斜部
54 フィルタ
60 キャップ
62 底部
62B 底面
62C 貫通孔
62D 凹部
64 側部
64S 内側面
70 退避部
72 空隙部
74 連通路
76 接合部
80 配管
84 配管
85 配管
86 配管
87 配管
88 廃液槽