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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179217
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】スイッチング電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H02M3/28 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097886
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100163496
【弁理士】
【氏名又は名称】荒 則彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 真
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA14
5H730AS01
5H730BB26
5H730BB66
5H730DD04
5H730DD16
5H730EE03
5H730EE07
5H730EE59
5H730FD01
5H730FF09
5H730FG05
5H730ZZ16
(57)【要約】
【課題】トランスの1次巻線に対する複数の2次巻線の結合係数を揃えることができ、電流アンバランスを解消することができるスイッチング電源装置を提供する。
【解決手段】プレーナ型のトランスを備え、前記トランスの1次側に、複数のスイッチ素子が直列に接続されたブリッジと、1次巻線を有し、前記スイッチ素子は、第1オン時間で制御される前記スイッチ素子と、前記第1オン時間とは異なる第2オン時間で制御される前記スイッチ素子と、を含む、スイッチング電源装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレーナ型のトランスを備え、
前記トランスの1次側に、複数のスイッチ素子が直列に接続されたブリッジと、1次巻線を有し、
前記スイッチ素子は、第1オン時間で制御される前記スイッチ素子と、前記第1オン時間とは異なる第2オン時間で制御される前記スイッチ素子と、を含む、
スイッチング電源装置。
【請求項2】
前記トランスの2次側に、センタータップ構成の2個の2次巻線を有する、
請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【請求項3】
前記トランスは、非対称な位置に存在するエアギャップを有する、
請求項1または請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【請求項4】
前記第1オン時間および前記第2オン時間と所定の指標値との対応関係に基づいて、前記第1オン時間および前記第2オン時間が前記指標値に応じて設定される、
請求項1または請求項2に記載のスイッチング電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチング電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電源装置として、スイッチング電源装置が用いられている。
特許文献1では、電流共振電源用トランスにおいて、2個の2次巻線が1個の1次巻線と結合するときの結合度を同等に近付けることが図られている(特許文献1参照。)。特許文献1では、第1の2次巻線と接続された引き出し線と、当該引き出し線と隣接する第2の2次巻線との間に、層間テープが挟まれている構成となっている。
【0003】
特許文献1では、例えば、層間テープの厚みまたはターン数の構成により、2個の2次巻線が1個の1次巻線と結合するときの結合度を同等に近付けることが図られている。
また、特許文献1では、例えば、1次巻線が2個の2次巻線の外側に巻かれ、層間テープが一方の2次巻線の外側を通るように巻かれるとともに他方の2次巻線の内側を通るように巻かれる構成により、2個の2次巻線が1個の1次巻線と結合するときの結合度を同等に近付けることが図られている。
また、特許文献1では、例えば、1個の1次巻線に隣接して2個の2次巻線を、各々1本ずつ交互に巻く構成により、各2次巻線の高さ位置に対する1次巻線との結合度を同等に近付けることが図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-126675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来の技術では、理想的には各2次巻線の結合度が同等であっても、現実的にはバラツキが生じる場合があった。
例えば、出力側に2個の2次巻線を備えるセンタータップ・ハーフブリッジ(HB)-LLCコンバータでは、2個の2次巻線の間で、L値または結合度にバラツキが生じる場合があった。
このようなバラツキが生じる結果、例えば、出力される電流にも偏りが生じ、様々なデメリットが生じる場合があった。
【0006】
本開示は、このような事情を考慮してなされたもので、トランスの1次巻線に対する複数の2次巻線の結合係数を揃えることができ、電流アンバランスを解消することができるスイッチング電源装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様は、プレーナ型のトランスを備え、前記トランスの1次側に、複数のスイッチ素子が直列に接続されたブリッジと、1次巻線を有し、前記スイッチ素子は、第1オン時間で制御される前記スイッチ素子と、前記第1オン時間とは異なる第2オン時間で制御される前記スイッチ素子と、を含む、スイッチング電源装置である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、スイッチング電源装置において、トランスの1次巻線に対する複数の2次巻線の結合係数を揃えることができ、電流アンバランスを解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るスイッチング電源装置の回路の構成例を示す図である。
図2】実施形態に係るスイッチング電源装置における巻線のプレーナトランス構造の概略的な構成例を示す図である。
図3】実施形態に係るハイサイドとローサイドとでデューティ比が等しい場合の制御電圧の一例を示す図である。
図4】実施形態に係るハイサイドが修正された場合の制御電圧の一例を示す図である。
図5】実施形態に係るハイサイドおよびローサイドが修正された場合の制御電圧の一例を示す図である。
図6A】比較例に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
図6B】比較例に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
図6C】実施形態に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
図6D】実施形態に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
図7A】負荷電流Ioが21Aである場合における比較例に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
図7B】負荷電流Ioが21Aである場合における比較例に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
図7C】負荷電流Ioが21Aである場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
図7D】負荷電流Ioが21Aである場合における実施形態に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
図8A】負荷電流Ioが10Aである場合における比較例に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
図8B】負荷電流Ioが10Aである場合における比較例に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
図8C】負荷電流Ioが10Aである場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
図8D】負荷電流Ioが10Aである場合における実施形態に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
図9A】負荷電流Ioが5Aである場合における比較例に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
図9B】負荷電流Ioが5Aである場合における比較例に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
図9C】負荷電流Ioが5Aである場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
図9D】負荷電流Ioが5Aである場合における実施形態に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
図10A】入力電圧Vinが400Vであり固定補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
図10B】入力電圧Vinが400Vであり固定補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
図10C】入力電圧Vinが350Vであり固定補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
図10D】入力電圧Vinが350Vであり固定補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
図10E】入力電圧Vinが300Vであり固定補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
図10F】入力電圧Vinが300Vであり固定補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
図10G】入力電圧Vinが350Vであり可変補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
図10H】入力電圧Vinが350Vであり可変補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
図10I】入力電圧Vinが300Vであり可変補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
図10J】入力電圧Vinが300Vであり可変補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
図11】実施形態に係る可変補正用テーブルの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本開示の実施形態について説明する。
【0011】
[スイッチング電源装置]
図1は、実施形態に係るスイッチング電源装置1の回路の構成例を示す図である。
図2は、実施形態に係るスイッチング電源装置1における巻線のプレーナトランス構造の概略的な構成例を示す図である。
本実施形態では、センタータップ・ハーフブリッジ(HB)-LLCコンバータを用いたスイッチング電源装置1を例として示す。
【0012】
<スイッチング電源装置の回路の例>
図1を参照して、本実施形態に係るスイッチング電源装置1の回路の構成例を説明する。
スイッチング電源装置1は、直流電源11と、トランジスタQ1と、トランジスタQ2と、コンデンサ12と、インダクタ13と、トランスTr1を構成する1個の1次巻線14と、トランスTr1を構成する2個の2次巻線である2次巻線61および2次巻線62と、ダイオードD1と、ダイオードD2と、コンデンサ63と、負荷64と、制御器111と、を備える。
制御器111は、メモリ131を有する。
【0013】
ここで、本実施形態では、トランジスタQ1およびトランジスタQ2は、いずれも、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)であるが、他のスイッチングデバイスでもよい。
【0014】
回路の接続関係を説明する。
直流電源のプラス(+)端子と、トランジスタQ1のドレイン(D)端子と、が接続されている。
本実施形態では、直流電源のプラス(+)端子の電圧を、入力電圧Vinと呼ぶ。
【0015】
トランジスタQ1のソース(S)端子と、トランジスタQ2のドレイン(D)端子と、コンデンサ12の一端と、が接続されている。
コンデンサ12の他端と、インダクタ13の一端と、が接続されている。
インダクタ13の他端と、1次巻線14の一端と、が接続されている。
直流電源のマイナス(-)端子と、トランジスタQ2のソース(S)端子と、1次巻線14の他端と、が接続されている。
本実施形態では、直流電源のマイナス(-)端子は、接地部G1と接続されており、接地されている。
【0016】
2次巻線62の一端と、ダイオードD2のカソードと、が接続されている。
2次巻線62の他端と、2次巻線61の一端と、コンデンサ63の一端と、負荷64の一端と、が接続されている。
2次巻線61の他端と、ダイオードD1のカソードと、が接続されている。
ダイオードD1のアノードと、ダイオードD2のアノードと、コンデンサ63の他端と、負荷64の他端と、が接続されている。
本実施形態では、負荷64の他端は、接地部G2と接続されており、接地されている。
ここで、本実施形態では、接地部G1と接地部G2とは別々のグラウンド電位であり、1次回路と2次回路とで分けられている。
【0017】
制御器111は、トランジスタQ1のゲート(G)端子と接続されており、トランジスタQ1のゲート(G)端子に制御電圧を出力(印加)する機能を有する。
また、制御器111は、トランジスタQ2のゲート(G)端子と接続されており、トランジスタQ2のゲート(G)端子に制御電圧を出力(印加)する機能を有する。
また、制御器111は、負荷64の一端と接続されており、その接続位置の電圧(本実施形態では、出力電圧Voと呼ぶ。)を検出する機能を有する。
ここで、制御器111の機能は、例えば、マイクロコンピューターを用いて構成されてもよい。
また、本実施形態では、制御電圧は、時間によって変化し得る値であり、時間およびレベル(電圧)のパラメータを有している。なお、本実施形態に係る制御電圧は、制御信号、電圧信号、または、制御電圧信号などと呼ばれてもよい。
【0018】
本実施形態では、説明の便宜上、一方のトランジスタQ1をハイサイドのトランジスタであるとし、他方のトランジスタQ2をローサイドのトランジスタであるとして説明する。
本実施形態では、制御器111は、2個のトランジスタQ1、Q2の制御電圧について、固定補正の制御、または、可変補正の制御を行う機能を有している。
ここで、固定補正の制御は、補正量を固定とした制御であり、また、可変補正の制御は、所定の指標値に応じて補正量を可変とした制御である。
【0019】
<スイッチング電源装置の動作の例>
制御器111は、1次側の回路において、トランジスタQ1をオンにしてトランジスタQ2をオフにする状態と、トランジスタQ1およびトランジスタQ2が共にオフの状態と、トランジスタQ1をオフにしてトランジスタQ2をオンにする状態と、トランジスタQ1およびトランジスタQ2が共にオフの状態と、を繰り返すように制御を行う。
この制御により、それぞれの状態(モード)でトランスTr1の1次巻線14に所定の電流が流れ、それに応じた電流が2個の2次巻線61、62に流れ、これにより、所定の出力電圧Voが得られる。
なお、制御器111は、例えば、出力電圧Voを検出して、その検出結果に応じて1次側のフィードバック制御を行ってもよい。
【0020】
<プレーナトランス構造>
図2は、実施形態に係るスイッチング電源装置1における巻線のプレーナトランス構造の概略的な構成例を示す図である。
図2には、説明の便宜上、三次元直交座標軸であるXYZ直交座標軸を示してある。
図2の例では、概略的には、E型のコア材231とI型のコア材232とが上下方向に対向するように配置した場合に、側面から見た断面の様子の一例を示してある。
【0021】
本実施形態に係るプレーナトランス構造では、プリント基板211に巻線パターン261~262、271~272が印刷されている。そして、そのプリント基板211がコアJ1と組み合わせられて、トランスが組み立てられている。
図2の例では、コアJ1は、EI型のコアである。コアJ1は、複数のコア材231~232を用いて構成されている。コア材231とコア材232との間には、エアギャップH1が設けられている。
図2の例では、上下方向に関してエアギャップH1が非対称となっており、これにより、アンバランスが発生する。
巻線パターン261~262によって、1個の1次巻線14が構成されている。
巻線パターン271によって、一方の2次巻線61が構成されている。
巻線パターン272によって、他方の2次巻線62が構成されている。
【0022】
本実施形態では、1次巻線14に対して、2個の2次巻線61、62は、対称的な位置に配置されている。
また、本実施形態では、2個の2次巻線61、62は、同じ構成を有しており、例えば、巻数、電線の長さ、巻き半径が同じである。
【0023】
ここで、プレーナトランスについて説明しておく。
プレーナトランスは、プリント基板に巻線パターンを印刷し、コアをかませて組み立てたトランスである。プレーナトランスでは、巻線パターンを印刷するため、例えば、実際に電線を巻くトランスに対して、バラツキが少ないというメリットがある。
また、実際に電線を巻く場合、バラツキの傾向があるかもしれないが、偶発的な要素(例えば、電線の太さ、ロット、作業員など)によってバラツキが発生するため、その傾向を断定しづらい。つまり、この場合、2個の2次巻線のL値(インダクタンス)の関係性(例えば、大小関係)は不定となる。
【0024】
これに対して、一般に、プレーナトランスでは、設計上のバラツキは出やすいが、製造上のバラツキは出にくい。
このため、プレーナトランスが用いられる場合には、2個の2次巻線のL値(インダクタンス)の関係性(例えば、大小関係)を事前に把握することが可能であり、常に、いずれか一方の2次巻線のL値(インダクタンス)が大きくなる。
【0025】
図2に示される構造では、1個の1次巻線14に対して、2個の2次巻線61、62が対称的に作成されており、構造上のバランスは良い。
また、図2に示される構造では、コアJ1のエアギャップH1の位置が偏っているため、そこで発生する漏れ磁束の影響により、エアギャップH1に近い2次巻線(図2の例では、下側の巻線パターン272の2次巻線)の方がインダクタンスが高くなる傾向にある。つまり、2次巻線のL値は、巻線パターンの印刷とは別に、エアギャップの位置によっても変わり得る。
例えば、エアギャップH1の位置によって、2個の2次巻線のL値(インダクタンス)の関係性(例えば、大小関係)が変わり得る。
【0026】
このように、プレーナトランスでは、バラツキが一方向に偏りやすいため、当該偏りを制御し易い。このため、例えば、あらかじめバラツキを確認しておき、デューティのバラツキをあらかじめ設定することが可能である。
このような制御手法は、デジタル制御と相性が良く、例えば、デューティをアンバランスにする量を固定値にして、補正態様(補正値など)をプログラムにより規定することが可能である。これにより、例えば、バラツキの検出機能による損失あるいはコストが発生せず、補正態様を変更する制御が不要であり、電流アンバランス改善のメリットを享受することができる。
また、プレーナトランスでは、例えば、低背化すること、空隙を減らすこと、および、電力密度を上げることが可能である。
【0027】
ここで、本実施形態では、コアのエアギャップの位置が非対称である場合を示すが、他の例として、コアのエアギャップの位置が対称であってもよく、具体例として、図2の例において、上下方向の中央位置にエアギャップがあってもよい。
【0028】
[トランスの原理]
ここで、トランスの原理について説明しておく。
トランスは、原理上、巻線の巻数比で出力は決まるが、巻線の位置関係などによって特性は変わる。
例えば、1次巻線の電圧V1と2次巻線の電圧V2との比と、1次巻線の巻数N1と2次巻線の巻数N2との比と、は等しい(V2/V1=N2/N1)。
1次巻線の電圧V1と電流I1との積と、2次巻線の電圧V2と電流I2との積と、は等しい(I1×V1=I2×V2)。
【0029】
このように、トランスでは、巻線の巻数比によって出力が決まる。このことは、複数の2次巻線が設けられる場合においても同様である。
また、2次側の出力は、例えば、1次巻線に対する2次巻線の位置関係、電線の長さの違い、あるいは、巻き半径などによっても変わる。
【0030】
複数の2次巻線が設けられる場合、基本的には、これら複数の2次巻線の構成をアンバランスにするとデメリットが生じ得る。
当該デメリットとしては、例えば、効率低下、素子マージン低下、出力リプルノイズ悪化、発熱分布変化、あるいは、このようなデメリットへの対策のためのコスト増加などがある。
【0031】
なお、従来のトランスは、電線を手巻きして作成されることも多い。この場合、巻線の構造的なバラツキが大きく出やすかった。具体的には、例えば、電線が重なっている箇所および隙間(電線の間隔)がランダムに見られることが多く、このように電線の長さおよび巻き位置などを管理しきれないことがバラツキの要因となっていた。
【0032】
<2個のトランジスタのデューティ>
図3図5を参照して、2個のトランジスタQ1、Q2のデューティを説明する。
図3図5の例に示されるグラフでは、横軸は時間を表しており、縦軸は電圧のレベルを表している。
図3図5の例では、2個のトランジスタQ1、Q2の制御電圧のハイレベル(本実施形態では、オンの時のレベル)とローレベル(本実施形態では、オフの時のレベル)は、それぞれ一定であるとして説明するが、例えば、オン時間の変化によってハイレベルが変化することはあり得る。
【0033】
図3は、実施形態に係るハイサイドとローサイドとでデューティ比が等しい場合の制御電圧の一例を示す図である。
図3の例において、制御電圧A1は、ハイサイドのトランジスタQ1のゲート-ソース間電圧(Vgs)として制御器111によって印加される制御電圧の一例である。
制御電圧A2は、ローサイドのトランジスタQ2のゲート-ソース間電圧(Vgs)として制御器111によって印加される制御電圧の一例である。
【0034】
図3の例では、ハイサイドの制御電圧A1およびローサイドの制御電圧A2が共にオフ(所定のローレベルの電圧)である状態、ハイサイドの制御電圧A1がオン(所定のハイレベルの電圧)でありローサイドの制御電圧A2がオフである状態、ローサイドの制御電圧A2がオンでありハイサイドの制御電圧A1がオフである状態、ハイサイドの制御電圧A1およびローサイドの制御電圧A2が共にオフである状態が繰り返されるように制御されている。
ここで、ハイサイドの制御電圧A1がオンを維持する期間、および、ローサイドの制御電圧A2がオンを維持する期間は、共に等しく、例えば、400[n sec]である。
本実施形態では、このような制御電圧A1、A2は、制御器111により制御することが可能である。
【0035】
図4は、実施形態に係るハイサイドが修正された場合の制御電圧の一例を示す図である。本例では、ハイサイドとローサイドとでデューティ比が異なる。
図4の例において、制御電圧A11は、ハイサイドのトランジスタQ1のゲート-ソース間電圧(Vgs)として制御器111によって印加される制御電圧の一例である。
制御電圧A12は、ローサイドのトランジスタQ2のゲート-ソース間電圧(Vgs)として制御器111によって印加される制御電圧の一例である。
【0036】
図4の例では、ハイサイドの制御電圧A11およびローサイドの制御電圧A12が共にオフ(所定のローレベルの電圧)である状態、ハイサイドの制御電圧A11がオン(所定のハイレベルの電圧)でありローサイドの制御電圧A12がオフである状態、ローサイドの制御電圧A12がオンでありハイサイドの制御電圧A11がオフである状態、ハイサイドの制御電圧A11およびローサイドの制御電圧A12が共にオフである状態が繰り返されるように制御されている。
ここで、ハイサイドの制御電圧A11がオンを維持する期間、および、ローサイドの制御電圧A12がオンを維持する期間は、互いに異なっており、例えば、それぞれ、390[n sec]、および、400[n sec]である。
本実施形態では、このような制御電圧A11、A12は、制御器111により制御することが可能である。
図4の例では、図3の例と比べて、ハイサイドの制御電圧A11が立ち下がってからローサイドの制御電圧A12が立ち上がるまでの時間T1が長くなっている。
【0037】
図5は、実施形態に係るハイサイドおよびローサイドが修正された場合の制御電圧の一例を示す図である。本例では、ハイサイドとローサイドとでデューティ比が異なる。
図5の例において、制御電圧A21は、ハイサイドのトランジスタQ1のゲート-ソース間電圧(Vgs)として制御器111によって印加される制御電圧の一例である。
制御電圧A22は、ローサイドのトランジスタQ2のゲート-ソース間電圧(Vgs)として制御器111によって印加される制御電圧の一例である。
【0038】
図5の例では、ハイサイドの制御電圧A21およびローサイドの制御電圧A22が共にオフ(所定のローレベルの電圧)である状態、ハイサイドの制御電圧A21がオン(所定のハイレベルの電圧)でありローサイドの制御電圧A22がオフである状態、ローサイドの制御電圧A22がオンでありハイサイドの制御電圧A21がオフである状態、ハイサイドの制御電圧A21およびローサイドの制御電圧A22が共にオフである状態が繰り返されるように制御されている。
ここで、ハイサイドの制御電圧A21がオンを維持する期間、および、ローサイドの制御電圧A22がオンを維持する期間は、互いに異なっており、例えば、それぞれ、390[n sec]、および、410[n sec]である。
本実施形態では、このような制御電圧A21、A22は、制御器111により制御することが可能である。
図5の例では、図4の例と比べて、ハイサイドの制御電圧A21が立ち下がってからローサイドの制御電圧A22が立ち上がるまでの時間T11が短くなっており、例えば、図3の例の場合と同じ時間になっている。
【0039】
ここで、基本的には、LLCコンバータでは、図3の例のように、50:50のデューティで、ハイサイドのスイッチとローサイドのスイッチとを交互にオンさせることが行われる。
これに対して、本実施形態では、このようなデューティを49:51などのように、アンバランスさせることによって、2個の2次巻線61、62を流れる電流のアンバランスを解消する。
【0040】
例えば、ハイサイドのスイッチおよびローサイドのスイッチを、デューティを50:50として400[n sec]ずつ、交互にオンさせているとき、2次側の巻線の電流を観測したら、ハイサイドがオンである期間中と比べて、ローサイドがオンである期間中に多くの電流が流れていた場合を考える。
このような状況を解消するために、本実施形態では、敢えて、ハイサイドおよびローサイドのデューティバランスを崩す制御を行う。
このような制御の態様としては、例えば、図4の例のようにハイサイド側だけオン時間を短くする態様が用いられてもよく、または、ローサイド側だけオン時間を延ばす態様が用いられてもよく、あるいは、図5の例のようにローサイドのオン時間とハイサイドのオン時間とを同時に増減調整する態様が用いられてもよい。これらの態様では、例えば、同様な効果が得られる。
【0041】
ここでは、ハイサイドがオンである期間中と比べて、ローサイドがオンである期間中に多くの電流が流れていた場合を説明したが、逆に、ローサイドがオンである期間中と比べて、ハイサイドがオンである期間中に多くの電流が流れていた場合には、ローサイド側だけオン時間を短くする態様、または、ハイサイド側だけオン時間を延ばす態様、あるいは、ハイサイドのオン時間とローサイドのオン時間とを同時に増減調整する態様が用いられてもよい。
このように、本実施形態では、LLCコンバータ(LLC共振コンバータ)の場合、ハイサイドとローサイドとで、流れる電流の少ない方のオン幅を短くするように補正する。
【0042】
なお、厳密には、一方のスイッチのオン時間だけ短くすると、デッドタイムが変わること、あるいは、周波数が変わることが発生する。このようなことを発生させない場合には、両方のスイッチのオン時間を増減させる態様が用いられればよい。
例えば、図4の例では、ハイサイドだけオン時間を短くしており、デッドタイムが伸びたように見える。この場合に、その分だけデッドタイムを詰めると、周期(≒周波数)が変わることが発生する。
以降の具体例では、説明の便宜上、両方のスイッチのオン時間を増減させる態様が用いられる場合を例として説明する。
【0043】
<2個のダイオードを流れる電流のバランス>
図6A図6Dを参照して、2個のダイオードを流れる電流のバランスを説明する。
ここで、2個のダイオードは、本実施形態では、2個のダイオードD1、D2に相当する。
図6A図6Dの例に示されるグラフでは、横軸は時間を表しており、縦軸は電流の値を表している。
【0044】
図6Aは、比較例に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
ここで、2個のスイッチング素子は、本実施形態では、2個のトランジスタ(トランジスタQ1、Q2)に相当する。
図6Aには、一方のトランジスタのドレインを流れる電流B1、および、他方のトランジスタのドレインを流れる電流B2を示してある。
【0045】
図6Bは、比較例に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
図6Bには、一方のダイオードに流れる電流C1、および、他方のダイオードに流れる電流C2を示してある。
図6Aおよび図6Bの例では、2個のダイオードの間で、それぞれに流れる電流C1、C2の値が異なっており、アンバランスになっている。
【0046】
これに対して、本実施形態では、制御器111は、図5の例のように、2個のトランジスタQ1、Q2の制御電圧のレベルを異ならせる制御を行う。このような制御により、本実施形態では、2個のダイオードD1、D2を流れる電流の値のアンバランスを抑制して、これらのバランスを取ることができる。
【0047】
図6Cは、実施形態に係る2個のスイッチング素子(トランジスタQ1、Q2)に流れる電流の一例を示す図である。
図6Cには、一方のトランジスタQ1のドレインを流れる電流B11、および、他方のトランジスタQ2のドレインを流れる電流B12を示してある。
【0048】
図6Dは、実施形態に係る2個のダイオードD1、D2に流れる電流の一例を示す図である。
図6Dには、一方のダイオードD1に流れる電流C11、および、他方のダイオードD2に流れる電流C12を示してある。
図6Cおよび図6Dの例では、2個のダイオードD1、D2の間で、それぞれに流れる電流C11、C12の値が同じ(または、ほぼ同じ)になっている。
【0049】
[負荷依存性]
図7A図7D図8A図8D、および、図9A図9Dを参照して、負荷依存性について説明する。なお、本実施形態では、LLCコンバータでの周波数変調方式に起因して、負荷が変化する場合に、周波数(スイッチング周波数)も変化し得る。
図7A図7D図8A図8D、および、図9A図9Dに示されるグラフでは、横軸は時間を表しており、縦軸は電流の値を表している。
【0050】
<負荷電流Io=21[A]の場合の例>
図7A図7Dを参照して、LLCコンバータの周波数(スイッチング周波数)が1.2[MHz]、出力電圧Vo=48[V]、負荷電流Io=21[A]である場合について説明する。
【0051】
図7Aは、負荷電流Ioが21Aである場合における比較例に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
ここで、2個のスイッチング素子は、本実施形態では、2個のトランジスタ(トランジスタQ1、Q2)に相当する。
図7Aには、一方のトランジスタのドレインを流れる電流B101、および、他方のトランジスタのドレインを流れる電流B102を示してある。
【0052】
図7Bは、負荷電流Ioが21Aである場合における比較例に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
ここで、2個のダイオードは、本実施形態では、2個のダイオードD1、D2に相当する。
図7Bには、一方のダイオードに流れる電流C101、および、他方のダイオードに流れる電流C102を示してある。
図7Aおよび図7Bの例では、2個のダイオードの間で、それぞれに流れる電流C101、C102の値が異なっており、アンバランスになっている。
【0053】
ここで、図7Aおよび図7Bの例では、図3の例のように、2個のトランジスタの制御電圧のオン期間の長さ(デューティ比)が同じである。
これに対して、本実施形態では、制御器111は、図5の例のように、2個のトランジスタQ1、Q2の制御電圧のオン期間の長さ(デューティ比)を異ならせる制御を行う。このような制御により、本実施形態では、2個のダイオードD1、D2を流れる電流の値のアンバランスを抑制して、これらのバランスを取ることができる。
【0054】
図7Cは、負荷電流Ioが21Aである場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子(トランジスタQ1、Q2)に流れる電流の一例を示す図である。
図7Cには、一方のトランジスタQ1のドレインを流れる電流B111、および、他方のトランジスタQ2のドレインを流れる電流B112を示してある。
【0055】
図7Dは、負荷電流Ioが21Aである場合における実施形態に係る2個のダイオードD1、D2に流れる電流の一例を示す図である。
図7Dには、一方のダイオードD1に流れる電流C111、および、他方のダイオードD2に流れる電流C112を示してある。
図7Cおよび図7Dの例では、2個のダイオードD1、D2の間で、それぞれに流れる電流C111、C112の値が同じ(または、ほぼ同じ)になっている。
ここで、図7Cおよび図7Dの例では、ハイサイドの制御電圧をオンに維持する期間を-10[n sec]として、つまり、10[n sec]短くしているとともに、ローサイドの制御電圧をオンに維持する期間を+10[n sec]として、つまり、10[n sec]長くしている。
【0056】
<負荷電流Io=10[A]の場合の例>
図8A図8Dを参照して、LLCコンバータの周波数(スイッチング周波数)が1.25[MHz]、出力電圧Vo=48[V]、負荷電流Io=10[A]である場合について説明する。
【0057】
図8Aは、負荷電流Ioが10Aである場合における比較例に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
ここで、2個のスイッチング素子は、本実施形態では、2個のトランジスタ(トランジスタQ1、Q2)に相当する。
図8Aには、一方のトランジスタのドレインを流れる電流B121、および、他方のトランジスタのドレインを流れる電流B122を示してある。
【0058】
図8Bは、負荷電流Ioが10Aである場合における比較例に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
ここで、2個のダイオードは、本実施形態では、2個のダイオードD1、D2に相当する。
図8Bには、一方のダイオードに流れる電流C121、および、他方のダイオードに流れる電流C122を示してある。
図8Aおよび図8Bの例では、2個のダイオードの間で、それぞれに流れる電流C121、C122の値が異なっており、アンバランスになっている。
【0059】
ここで、図8Aおよび図8Bの例では、図3の例のように、2個のトランジスタの制御電圧のオン期間の長さ(デューティ比)が同じである。
これに対して、本実施形態では、制御器111は、図5の例のように、2個のトランジスタQ1、Q2の制御電圧のオン期間の長さ(デューティ比)を異ならせる制御を行う。このような制御により、本実施形態では、2個のダイオードD1、D2を流れる電流の値のアンバランスを抑制して、これらのバランスを取ることができる。
【0060】
図8Cは、負荷電流Ioが10Aである場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子(トランジスタQ1、Q2)に流れる電流の一例を示す図である。
図8Cには、一方のトランジスタQ1のドレインを流れる電流B131、および、他方のトランジスタQ2のドレインを流れる電流B132を示してある。
【0061】
図8Dは、負荷電流Ioが10Aである場合における実施形態に係る2個のダイオードD1、D2に流れる電流の一例を示す図である。
図8Dには、一方のダイオードD1に流れる電流C131、および、他方のダイオードD2に流れる電流C132を示してある。
図8Cおよび図8Dの例では、2個のダイオードD1、D2の間で、それぞれに流れる電流C131、C132の値が同じ(または、ほぼ同じ)になっている。
ここで、図8Cおよび図8Dの例では、ハイサイドの制御電圧をオンに維持する期間を-10[n sec]として、つまり、10[n sec]短くしているとともに、ローサイドの制御電圧をオンに維持する期間を+10[n sec]として、つまり、10[n sec]長くしている。
【0062】
<負荷電流Io=5[A]の場合の例>
図9A図9Dを参照して、LLCコンバータの周波数(スイッチング周波数)が1.28[MHz]、出力電圧Vo=48[V]、負荷電流Io=5[A]である場合について説明する。
【0063】
図9Aは、負荷電流Ioが5Aである場合における比較例に係る2個のスイッチング素子に流れる電流の一例を示す図である。
ここで、2個のスイッチング素子は、本実施形態では、2個のトランジスタ(トランジスタQ1、Q2)に相当する。
図9Aには、一方のトランジスタのドレインを流れる電流B141、および、他方のトランジスタのドレインを流れる電流B142を示してある。
【0064】
図9Bは、負荷電流Ioが5Aである場合における比較例に係る2個のダイオードに流れる電流の一例を示す図である。
ここで、2個のダイオードは、本実施形態では、2個のダイオードD1、D2に相当する。
図9Bには、一方のダイオードに流れる電流C141、および、他方のダイオードに流れる電流C142を示してある。
図9Aおよび図9Bの例では、2個のダイオードの間で、それぞれに流れる電流C141、C142の値が異なっており、アンバランスになっている。
【0065】
ここで、図9Aおよび図9Bの例では、図3の例のように、2個のトランジスタの制御電圧のオン期間の長さ(デューティ比)が同じである。
これに対して、本実施形態では、制御器111は、図5の例のように、2個のトランジスタQ1、Q2の制御電圧のオン期間の長さ(デューティ比)を異ならせる制御を行う。このような制御により、本実施形態では、2個のダイオードD1、D2を流れる電流の値のアンバランスを抑制して、これらのバランスを取ることができる。
【0066】
図9Cは、負荷電流Ioが5Aである場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子(トランジスタQ1、Q2)に流れる電流の一例を示す図である。
図9Cには、一方のトランジスタQ1のドレインを流れる電流B151、および、他方のトランジスタQ2のドレインを流れる電流B152を示してある。
【0067】
図9Dは、負荷電流Ioが5Aである場合における実施形態に係る2個のダイオードD1、D2に流れる電流の一例を示す図である。
図9Dには、一方のダイオードD1に流れる電流C151、および、他方のダイオードD2に流れる電流C152を示してある。
図9Cおよび図9Dの例では、2個のダイオードD1、D2の間で、それぞれに流れる電流C151、C152の値(または、ほぼ同じ)になっている。
ここで、図9Cおよび図9Dの例では、ハイサイドの制御電圧をオンに維持する期間を-10[n sec]として、つまり、10[n sec]短くしているとともに、ローサイドの制御電圧をオンに維持する期間を+10[n sec]として、つまり、10[n sec]長くしている。
【0068】
以上の図7A図7D図8A図8D、および、図9A図9Dの例では、負荷が変化した場合においても、ハイサイドおよびローサイドの制御電圧の補正態様(オン時間の補正量)を同じにして、電流アンバランスを解消することが可能である。つまり、本例では、当該補正態様は、負荷依存性が無い(または、少ない)と言うことができ、複数の負荷について固定補正が適用されてもよい。
なお、他の例として、補正態様が負荷依存性を持つ制御が行われてもよい。
【0069】
[入力電圧依存性]
図10A図10Jを参照して、入力電圧依存性について説明する。なお、本実施形態では、LLCコンバータでの周波数変調方式に起因して、入力電圧が変化する場合に、周波数(スイッチング周波数)も変化し得る。
図10A図10Jに示されるグラフでは、横軸は時間を表しており、縦軸は電流の値を表している。
【0070】
まず、図10A図10Fを参照して、2個のトランジスタQ1、Q2の制御電圧のオンオフ期間の補正量(デューティ比の補正量)が固定である場合を示す。
図10A図10Fの例では、ハイサイドの制御電圧をオンに維持する期間を-10[n sec]として、つまり、10[n sec]短くしているとともに、ローサイドの制御電圧をオンに維持する期間を+10[n sec]として、つまり、10[n sec]長くしている。
【0071】
<入力電圧Vin=400[V]の場合の例>
図10A図10Bを参照して、LLCコンバータの周波数(スイッチング周波数)が1.2[MHz]、入力電圧Vin=400[V]である場合について説明する。
【0072】
図10Aは、入力電圧Vinが400Vであり固定補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子(トランジスタQ1、Q2)に流れる電流の一例を示す図である。
図10Aには、一方のトランジスタQ1のドレインを流れる電流B201、および、他方のトランジスタQ2のドレインを流れる電流B202を示してある。
【0073】
図10Bは、入力電圧Vinが400Vであり固定補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のダイオードD1、D2に流れる電流の一例を示す図である。
図10Bには、一方のダイオードD1に流れる電流C201、および、他方のダイオードD2に流れる電流C202を示してある。
図10Aおよび図10Bの例では、2個のダイオードD1、D2の間で、それぞれに流れる電流C201、C202の値が同じ(または、ほぼ同じ)になっている。
【0074】
<入力電圧Vin=350[V]の場合の例>
図10C図10Dを参照して、LLCコンバータの周波数(スイッチング周波数)が0.9[MHz]、入力電圧Vin=350[V]である場合について説明する。
【0075】
図10Cは、入力電圧Vinが350Vであり固定補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子(トランジスタQ1、Q2)に流れる電流の一例を示す図である。
図10Cには、一方のトランジスタQ1のドレインを流れる電流B211、および、他方のトランジスタQ2のドレインを流れる電流B212を示してある。
【0076】
図10Dは、入力電圧Vinが350Vであり固定補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のダイオードD1、D2に流れる電流の一例を示す図である。
図10Dには、一方のダイオードD1に流れる電流C211、および、他方のダイオードD2に流れる電流C212を示してある。
図10Cおよび図10Dの例では、2個のダイオードD1、D2の間で、それぞれに流れる電流C211、C212の値が異なっている。つまり、図10Cおよび図10Dの例では、トランジスタQ1、Q2の制御電圧に関して図10Aおよび図10Bの場合と同じ補正をしても、2個のダイオードD1、D2を流れる電流の値のアンバランスを十分に抑制できていない。
【0077】
<入力電圧Vin=300[V]の場合の例>
図10E図10Fを参照して、LLCコンバータの周波数(スイッチング周波数)が0.73[MHz]、入力電圧Vin=300[V]である場合について説明する。
【0078】
図10Eは、入力電圧Vinが300Vであり固定補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子(トランジスタQ1、Q2)に流れる電流の一例を示す図である。
図10Eには、一方のトランジスタQ1のドレインを流れる電流B221、および、他方のトランジスタQ2のドレインを流れる電流B222を示してある。
【0079】
図10Fは、入力電圧Vinが300Vであり固定補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のダイオードD1、D2に流れる電流の一例を示す図である。
図10Fには、一方のダイオードD1に流れる電流C221、および、他方のダイオードD2に流れる電流C222を示してある。
図10Eおよび図10Fの例では、2個のダイオードD1、D2の間で、それぞれに流れる電流C221、C222の値が異なっている。つまり、図10Eおよび図10Fの例では、トランジスタQ1、Q2の制御電圧に関して図10Aおよび図10Bの場合と同じ補正をしても、2個のダイオードD1、D2を流れる電流の値のアンバランスを十分に抑制できていない。
【0080】
ここで、図10Cおよび図10Dの例と、図10Eおよび図10Fの例では、図10Aおよび図10Bの例と比べて、2個のトランジスタQ1、Q2の制御電圧のオンオフ期間の補正量(デューティ比の補正量)を固定して同じにした場合(固定補正の場合)について説明した。
これに対して、入力電圧に応じて、2個のトランジスタQ1、Q2の制御電圧のオンオフ期間の補正量(デューティ比の補正量)を変化させる場合(可変補正の場合)について説明する。本実施形態では、制御器111は、このような制御により、2個のダイオードD1、D2を流れる電流の値のアンバランスを抑制して、これらのバランスを取ることができる。
【0081】
<入力電圧Vin=350[V]の場合の例>
図10G図10Hを参照して、LLCコンバータの周波数(スイッチング周波数)が0.9[MHz]、入力電圧Vin=350[V]である場合について説明する。
【0082】
図10Gは、入力電圧Vinが350Vであり可変補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子(トランジスタQ1、Q2)に流れる電流の一例を示す図である。
図10Gには、一方のトランジスタQ1のドレインを流れる電流B301、および、他方のトランジスタQ2のドレインを流れる電流B302を示してある。
【0083】
図10Hは、入力電圧Vinが350Vであり可変補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のダイオードD1、D2に流れる電流の一例を示す図である。
図10Hには、一方のダイオードD1に流れる電流C301、および、他方のダイオードD2に流れる電流C302を示してある。
図10Gおよび図10Hの例では、2個のダイオードD1、D2の間で、それぞれに流れる電流C301、C302の値が同じ(または、ほぼ同じ)になっている。
ここで、図10Gおよび図10Hの例では、ハイサイドの制御電圧をオンに維持する期間を-20[n sec]として、つまり、20[n sec]短くしているとともに、ローサイドの制御電圧をオンに維持する期間を+20[n sec]として、つまり、20[n sec]長くしている。
【0084】
<入力電圧Vin=300[V]の場合の例>
図10I図10Jを参照して、LLCコンバータの周波数(スイッチング周波数)が0.73[MHz]、入力電圧Vin=300[V]である場合について説明する。
【0085】
図10Iは、入力電圧Vinが300Vであり可変補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のスイッチング素子(トランジスタQ1、Q2)に流れる電流の一例を示す図である。
図10Iには、一方のトランジスタQ1のドレインを流れる電流B311、および、他方のトランジスタQ2のドレインを流れる電流B312を示してある。
【0086】
図10Jは、入力電圧Vinが300Vであり可変補正が用いられる場合における実施形態に係る2個のダイオードD1、D2に流れる電流の一例を示す図である。
図10Jには、一方のダイオードD1に流れる電流C311、および、他方のダイオードD2に流れる電流C312を示してある。
図10Iおよび図10Jの例では、2個のダイオードD1、D2の間で、それぞれに流れる電流C311、C312の値が同じ(または、ほぼ同じ)になっている。
ここで、図10Iおよび図10Jの例では、ハイサイドの制御電圧をオンに維持する期間を-25[n sec]として、つまり、25[n sec]短くしているとともに、ローサイドの制御電圧をオンに維持する期間を+25[n sec]として、つまり、25[n sec]長くしている。
【0087】
以上の図10A図10Jの例では、入力電圧が変化した場合には、ハイサイドおよびローサイドの制御電圧の補正態様(オン時間の補正量)を変化させることで、電流アンバランスを解消することが可能である。つまり、本例では、当該補正態様は、入力電圧依存性があると言うことができ、複数の入力電圧について可変補正が適用されてもよい。
なお、他の例として、補正態様が入力電圧依存性を持たない制御が行われてもよい。
【0088】
[制御器による固定補正および可変補正の制御]
<固定補正>
固定補正では、制御器111は、2個のトランジスタQ1、Q2の制御電圧のオンオフ期間の補正量(デューティ比の補正量)を常に同じにして、当該制御電圧のオンオフ制御を行う。
なお、当該補正量は、例えば、スイッチング電源装置1の製品の出荷時にあらかじめ設定されていてもよく、当該製品の出荷後は固定であってもよい。
【0089】
<可変補正>
可変補正では、制御器111は、所定の指標値に応じて、2個のトランジスタQ1、Q2の制御電圧のオンオフ期間の補正量(デューティ比の補正量)を変化させて、当該制御電圧のオンオフ制御を行う。
なお、当該指標値と当該補正量との対応関係は、例えば、スイッチング電源装置1の製品の出荷時にあらかじめ設定されていてもよく、当該製品の出荷後は固定であってもよい。
このような対応関係は、例えば、制御器111のメモリ131に記憶されていてもよい。
【0090】
ここで、当該指標値としては、様々なものが用いられてもよく、例えば、入力電圧、周波数(スイッチング周波数)、または、負荷などが用いられてもよい。
当該指標値としては、例えば、当該指標値が変化した場合に、同じ補正値で固定すると、2個のダイオードD1、D2を流れる電流の値のアンバランスを十分に抑制することができないような指標値が用いられてもよい。
【0091】
制御器111は、所定の指標値を取得する機能を有する。
一例として、制御器111は、自己(制御器111)が設定する値が指標値として用いられる場合には、その値を取得する。
他の例として、制御器111は、所定の指標値を自己(制御器111)または外部回路で検出した結果を取得してもよい。ここで、指標値を検出する回路としては、任意に構成されてもよい。
【0092】
制御器111は、取得された指標値に対応する補正量を、指標値と補正量との対応関係に基づいて、取得する。そして、制御器111は、取得された補正量を用いて、2個のトランジスタQ1、Q2の制御電圧のオンオフ期間を基準値から補正して、当該制御電圧のオンオフ制御を行う。
当該基準値は、例えば、図3に示されるように、2個のトランジスタQ1、Q2のオンオフ期間が同じである場合の値であるが、他の場合の値が用いられてもよい。
【0093】
<可変補正用テーブル>
図11は、実施形態に係る可変補正用テーブル1011の一例を示す図である。
可変補正用テーブル1011は、指標値と補正量との対応関係の一例である。
図11の例では、指標値として、周波数が用いられている。
なお、可変補正用テーブル1011は、例えば、テーブルの代わりに、マップなどと呼ばれてもよい。
【0094】
可変補正用テーブル1011では、指標値に相当する周波数(スイッチング周波数)と、補正量に相当する調整幅(ハイサイドのオン時間補正幅)との関係を格納している。
図11の例では、指標値に相当する周波数については、周波数幅を用いて規定されている。
具体的には、周波数が500~700kHzである場合には調整幅は-10[n sec]であり、周波数が701~1000kHzである場合には調整幅は-5[n sec]であり、波数が1001~1500kHzである場合には調整幅は-2[n sec]であり、周波数が1501~2000kHzである場合には調整幅は0[n sec]である。
【0095】
ここで、調整幅が-10[n sec]であることは、ハイサイドのオン時間を10[n sec]だけ短くすることを表しており、他の調整幅も同様である。
なお、複数の調整幅のなかには、調整(補正)を行わない場合が含まれていてもよい。
図11の例では、調整幅が0[n sec]であることは、基準値に対して調整(補正)を行わないことを表している。
【0096】
ここで、図11に示されるようなテーブル(マップ)を用いて可変補正を行う構成は、例えば、デジタル制御(デジタルコントローラ)を用いた構成と組み合わせるのに適している。
一般に、LLCコンバータは、周波数変調によって出力制御される。このため、例えば、周波数、出力電圧、あるいは、負荷などの条件に応じて、補正用のテーブル(例えば、デューティの偏りマップ)をコントローラの内部に保存しておくことで、より細かいバランス改善効果を得ることが可能である。
【0097】
以上のように、本実施形態に係るスイッチング電源装置1では、トランスTr1の1次巻線14に対する2個の2次巻線61、62の結合係数を揃えることができ、電流アンバランスを解消することができる。
本実施形態に係るスイッチング電源装置1では、トランスTr1の2次側インダクタンスのバラツキによる電流アンバランスを改善し、2次巻線61、62から出力されるエネルギーをバランスさせ、効率改善して性能を向上させることができるなど、様々なメリットを受けることができる。
本実施形態に係るスイッチング電源装置1では、1次側のブリッジでそれぞれ異なるオン時間を用いることで、2次側のセンタータップ構成の2次巻線61、62の電流バランスを得ることができる。
【0098】
本実施形態に係るスイッチング電源装置1では、例えば、あらかじめ決められた態様で2個のトランジスタQ1、Q2のデューティをアンバランスにする固定補正または可変補正の制御を行うことで、他の追加回路および他の制御を不要とすることができる。
【0099】
ここで、本実施形態では、トランスの構造上で生じる問題点を、制御の仕方で解消している。
また、本実施形態では、トランスの構造上で生じる問題点を、コストおよび労力を抑えて、解消している。
【0100】
ここで、本実施形態では、1次側の1個の巻線(1次巻線)に対して、2次側に2個の巻線(2次巻線)を配置する構成を示したが、他の例として、1次側の1個の巻線(1次巻線)に対して、2次側に3個以上の巻線(2次巻線)を配置する構成が用いられてもよい。
なお、これら複数の2次巻線の巻き数は、同じであってもよい。
【0101】
また、本実施形態では、図5の例のようにハイサイドとローサイドとの両方のオン期間を制御する構成を示したが、他の例として、図4の例のように、ハイサイドとローサイドとの任意の一方のオン期間を制御する構成が用いられてもよい。
【0102】
また、本実施形態では、図5の例のように、デッドタイムを考慮した制御を行う構成を示したが、他の例として、図4の例のように、デッドタイムを考慮しない制御を行う構成が用いられてもよい。
【0103】
また、本実施形態では、スイッチング電源装置1の1次側でハーフブリッジの回路(2個のトランジスタQ1、Q2を用いた回路)が設けられる構成を示したが、他の例として、フルブリッジ(例えば、4個のトランジスタ)の回路が設けられる構成が用いられてもよい。
【0104】
また、本実施形態では、スイッチング電源装置1の2次側でセンタータップ方式が用いられる構成を示したが、他の例として、センタータップ方式以外の構成が用いられてもよい。
また、本実施形態では、例えば、デジタル制御で補正が行われてもよく、あるいは、アナログ制御で補正が行われてもよい。
【0105】
また、本実施形態では、例えば、トランスの脚の数は、任意であってもよく、3脚、4脚、あるいは、5脚などが用いられてもよい。
ここで、脚は、コアの部分であり、基板を貫通しているところを表す。
【0106】
なお、共振インダクタンスの設定としては、例えば、外付けのインダクタンスが用いられる場合と、小さな漏れインダクタンスを利用する場合がある。
例えば、本実施形態に係るスイッチング電源装置1では、共振インダクタとトランスとが一体化した構造を有しており、基本的には外付けのインダクタンスは不要である。
【0107】
なお、以上に説明した任意の装置における任意の構成部(例えば、制御器111)の機能を実現するためのプログラムを、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録し、そのプログラムをコンピューターシステムに読み込ませて実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピューターシステム」とは、オペレーティングシステムあるいは周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピューター読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバーあるいはクライアントとなるコンピューターシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。当該揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)であってもよい。記録媒体は、例えば、非一時的記録媒体であってもよい。
【0108】
また、上記のプログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピューターシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピューターシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワークあるいは電話回線等の通信回線のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記のプログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上記のプログラムは、前述した機能をコンピューターシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイルであってもよい。差分ファイルは、差分プログラムと呼ばれてもよい。
【0109】
また、以上に説明した任意の装置における任意の構成部(例えば、制御器111)の機能は、プロセッサーにより実現されてもよい。例えば、実施形態における各処理は、プログラム等の情報に基づき動作するプロセッサーと、プログラム等の情報を記憶するコンピューター読み取り可能な記録媒体により実現されてもよい。ここで、プロセッサーは、例えば、各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよく、あるいは、各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサーはハードウェアを含み、当該ハードウェアは、デジタル信号を処理する回路およびアナログ信号を処理する回路のうちの少なくとも一方を含んでもよい。例えば、プロセッサーは、回路基板に実装された1または複数の回路装置、あるいは、1または複数の回路素子のうちの一方または両方を用いて、構成されてもよい。回路装置としてはIC(Integrated Circuit)などが用いられてもよく、回路素子としては抵抗あるいはキャパシターなどが用いられてもよい。
【0110】
ここで、プロセッサーは、例えば、CPUであってもよい。ただし、プロセッサーは、CPUに限定されるものではなく、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、あるいは、DSP(Digital Signal Processor)等のような、各種のプロセッサーが用いられてもよい。また、プロセッサーは、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)によるハードウェア回路であってもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUにより構成されていてもよく、あるいは、複数のASICによるハードウェア回路により構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、複数のCPUと、複数のASICによるハードウェア回路と、の組み合わせにより構成されていてもよい。また、プロセッサーは、例えば、アナログ信号を処理するアンプ回路あるいはフィルタ回路等のうちの1以上を含んでもよい。
【0111】
以上、この開示の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この開示の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0112】
以下、[構成例1]~[構成例4]を示す。
【0113】
[構成例1]
プレーナ型のトランスを備え、
前記トランスの1次側に、複数のスイッチ素子が直列に接続されたブリッジと、1次巻線を有し、
前記スイッチ素子は、第1オン時間で制御される前記スイッチ素子と、前記第1オン時間とは異なる第2オン時間で制御される前記スイッチ素子と、を含む、
スイッチング電源装置。
【0114】
[構成例2]
前記トランスの2次側に、センタータップ構成の2個の2次巻線を有する、
[構成例1]に記載のスイッチング電源装置。
【0115】
[構成例3]
前記トランスは、非対称な位置に存在するエアギャップを有する、
[構成例1]または[構成例2]に記載のスイッチング電源装置。
【0116】
[構成例4]
前記第1オン時間および前記第2オン時間と所定の指標値との対応関係に基づいて、前記第1オン時間および前記第2オン時間が前記指標値に応じて設定される、
[構成例1]から[構成例3]のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置。
【符号の説明】
【0117】
1…スイッチング電源装置、11…直流電源、12、63…コンデンサ、13…インダクタ、14…1次巻線、61、62…2次巻線、64…負荷、111…制御器、131…メモリ、211…プリント基板、231~232…コア材、261~262、271~272…巻線パターン、A1、A2、A11~A12、A21~A22…制御電圧、B1~B2、B11~B12、B101~B102、B111~B112、B121~B122、B131~B132、B141~B142、B151~B152、B201~B202、B211~B212、B221~B222、B301~B302、B311~B312、C1~C2、C11~C12、C101、C102、C111~C112、C121~C122、C131~C132、C141~C142、C151~C152、C201~C202、C211~C212、C221~C222、C301~C302、C311~C312…電流、1011…可変補正用テーブル、D1、D2…ダイオード、H1…エアギャップ、J1…コア、Q1、Q2…トランジスタ、G1、G2…接地部、Tr1…トランス
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
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図8A
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図10A
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図10I
図10J
図11