(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179219
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】エレベータ制御装置、エレベータ制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B66B 1/46 20060101AFI20241219BHJP
B66B 1/14 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B66B1/46 A
B66B1/14 L
B66B1/14 M
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097889
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 健志
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502JA04
3F502JA11
3F502KA41
3F502MA01
3F502MA12
3F502MA31
3F502MA48
(57)【要約】
【課題】運行効率を向上させること。
【解決手段】実施形態のエレベータ制御装置は、昇降路を移動する乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の行き先階表示部と、前記乗りかごの扉を開く指示を表示する戸開表示部と、前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記行き先階表示部への操作を非接触で検知する複数の行き先階センサ部と、前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部への操作を非接触で検知する戸開センサ部と、前記複数の行き先階表示部と前記戸開センサ部とが設けられる操作盤と、前記複数の行き先階センサ部のうち一または複数の行き先階センサ部と、前記戸開センサ部とが略同時に検知された場合であって、検知状態が第1の閾値時間継続する場合には、警告を出力部に出力させる制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を移動する乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の行き先階表示部と、
前記乗りかごの扉を開く指示を表示する戸開表示部と、
前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記行き先階表示部への操作を非接触で検知する複数の行き先階センサ部と、
前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部への操作を非接触で検知する戸開センサ部と、
前記複数の行き先階表示部と前記戸開センサ部とが設けられる操作盤と、
前記複数の行き先階センサ部のうち一または複数の行き先階センサ部と、前記戸開センサ部とが略同時に検知された場合であって、検知状態が第1の閾値時間継続する場合には、警告を出力部に出力させる制御部と、
を備えるエレベータ制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、さらに、前記戸開センサ部が検知された場合であって、前記戸開センサ部のみの検知状態が前記第1の閾値時間より長い第2の閾値時間継続する場合には、前記警告を前記出力部に出力させる、
請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記複数の行き先階センサ部のうち一または複数の行き先階センサ部と、前記戸開センサ部とが略同時に検知された場合に、検知された行き先階センサ部と前記戸開センサ部との距離が所定距離未満である場合で、かつ検知状態が前記第1の閾値時間継続する場合には、警告を前記出力部に出力させる、
請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、検知状態の前記行き先階センサ部または検知状態の前記戸開センサ部の少なくとも一方が非検知になった場合には、前記警告の出力を停止する、
請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、検知状態の前記行き先階センサ部および検知状態の前記戸開センサ部が第3の閾値時間経過しても非検知にならない場合には、前記行き先階センサ部および検知状態の前記戸開センサ部を非検知状態に変更して、前記警告の出力を停止する、
請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
前記操作盤は、前記扉の近傍に設けられた主操作盤の高さより低い高さに設けられている車椅子用操作盤である、
請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
前記操作盤は、前記扉の近傍に設けられた主操作盤である、
請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項8】
前記主操作盤に設けられ、前記乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の第2の行き先階表示部と、
前記主操作盤に設けられ、前記乗りかごの扉を開く指示を表示する第2の戸開表示部と、
前記主操作盤において、前記複数の第2の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記第2の行き先階表示部への操作を非接触で検知する複数の第2の行き先階センサ部と、
前記主操作盤において、前記第2の戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記第2の戸開表示部への操作を非接触で検知する第2の戸開センサ部と、
前記複数の第2の行き先階センサ部のうち一または複数の第2の行き先階センサ部と、 前記第2の戸開センサ部とが略同時に検知された場合であって、検知状態が前記第1の閾値時間継続する場合には、前記制御部の制御とは独立して、前記警告を第2の出力部に出力させる第2の制御部と、
をさらに備える請求項7に記載のエレベータ制御装置。
【請求項9】
前記第2の制御部は、さらに、前記第2の戸開センサ部が検知された場合であって、前記第2の戸開センサ部のみの検知状態が第2の閾値時間継続する場合には、前記制御部の制御とは独立して、前記警告を前記第2の出力部に出力させる、
請求項8に記載のエレベータ制御装置。
【請求項10】
前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、前記利用者が所定の前記行き先階表示部への操作を押下により行うことが可能な複数の行き先階押しボタンと、
前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部へのへの操作を押下により行うことが可能な戸開押しボタンと、をさらに備え、
前記複数の行き先階センサ部のそれぞれは、前記複数の行き先階押しボタンのそれぞれと一体化して設けられ、
前記戸開センサ部は、前記戸開押しボタンと一体化して設けられる、
請求項1~9のいずれか一つに記載のエレベータ制御装置。
【請求項11】
前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、前記利用者が所定の前記行き先階表示部への操作を押下により行うことが可能な複数の行き先階押しボタンと、
前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部へのへの操作を押下により行うことが可能な戸開押しボタンと、をさらに備え、
前記複数の行き先階センサ部のそれぞれは、前記複数の行き先階押しボタンのそれぞれと別体で設けられ、
前記戸開センサ部は、前記戸開押しボタンと別体で設けられる、
請求項1~9のいずれか一つに記載のエレベータ制御装置。
【請求項12】
エレベータ制御装置で実行されるエレベータ制御方法であって、
前記エレベータ制御装置は、
昇降路を移動する乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の行き先階表示部と、
前記乗りかごの扉を開く指示を表示する戸開表示部と、
前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記行き先階表示部への操作を非接触で検知する複数の行き先階センサ部と、
前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部への操作を非接触で検知する戸開センサ部と、
前記複数の行き先階表示部と前記戸開センサ部とが設けられる操作盤と、を備え、
前記複数の行き先階センサ部のうち一または複数の行き先階センサ部と、前記戸開センサ部とが略同時に検知された場合であって、検知状態が第1の閾値時間継続する場合には、警告を出力部に出力させるステップ、
を含むエレベータ制御方法。
【請求項13】
エレベータ制御装置のコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記エレベータ制御装置は、
昇降路を移動する乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の行き先階表示部と、
前記乗りかごの扉を開く指示を表示する戸開表示部と、
前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記行き先階表示部への操作を非接触で検知する複数の行き先階センサ部と、
前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部への操作を非接触で検知する戸開センサ部と、
前記複数の行き先階表示部と前記戸開センサ部とが設けられる操作盤と、を備え、
前記複数の行き先階センサ部のうち一または複数の行き先階センサ部と、前記戸開センサ部とが略同時に検知された場合であって、検知状態が第1の閾値時間継続する場合には、警告を出力部に出力させるステップ、
を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、エレベータ制御装置、エレベータ制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗りかご内または乗り場において、行き先階呼びまたは乗り場呼び等を非接触で行う技術が知られている。例えば、乗りかご内の操作盤に、利用者の手指を非接触で検知する複数のセンサ部を設け、このセンサ部により行き先階呼びを行う手法がある。特に、コロナウイルス感染を回避するため、この非接触による検知により呼びを行う方式が広まっている。
【0003】
このような非接触による検知で呼びを行う方式の操作盤の場合、利用者が当該操作盤に寄りかかり、乗りかごの行き先階を非接触で指定するための行き先階用のセンサ部が複数検知した場合には、警告音を出力し、呼び登録を無効とする技術が従来から知られている。また、戸開押しボタンのON故障の時に運行停止することがないように、戸開押しボタンが所定時間を超えて押下されたままの状態にあることを検出したとき、利用者に注意喚起のアナウンスを行った後、戸開押しボタンによる戸開機能を無効にする技術が従来から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6724936号公報
【特許文献2】特開2005-194049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、非接触方式のセンサ部により呼びを行う方式においては、押しボタンと比べ、寄りかかったり、荷物をかざしてしまうことなど、予期せぬ、過検知が生じる恐れがあるため、行き先階の複数のセンサ部の同時検知で、無効とすることが行われているが、戸開用のセンサ部については、安全性を考慮し、無効とする機能は実装していない。しかしながら、戸開用のセンサ部が過検知されていると推測される状況において、安全性に配慮しつつ、いち早く回避することが、運行効率向上の観点から望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のエレベータ制御装置は、昇降路を移動する乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の行き先階表示部と、前記乗りかごの扉を開く指示を表示する戸開表示部と、前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記行き先階表示部への操作を非接触で検知する複数の行き先階センサ部と、前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部への操作を非接触で検知する戸開センサ部と、前記複数の行き先階表示部と前記戸開センサ部とが設けられる操作盤と、前記複数の行き先階センサ部のうち一または複数の行き先階センサ部と、前記戸開センサ部とが略同時に検知された場合であって、検知状態が第1の閾値時間継続する場合には、警告を出力部に出力させる制御部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態の乗りかごの内部の一例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態にかかるエレベータ制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態にかかる車椅子用操作盤の構成の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態にかかるセンサ部と押しボタンを側面から見た構成とセンサ部の検知範囲を示す模式図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態にかかるエレベータ制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6A】
図6Aは、第1の実施形態におけるセンサ部の検知状態と警告出力とのタイムチャートの一例を示す図である。
【
図6B】
図6Bは、第1の実施形態におけるセンサ部の検知状態と警告出力とのタイムチャートの他の例を示す図である。
【
図6C】
図6Cは、第1の実施形態におけるセンサ部の検知状態と警告出力とのタイムチャートの他の例を示す図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態における液晶表示部への警告の表示例を示す図である。
【
図8】
図8は、第2の実施形態にかかるエレベータ制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9A】
図9Aは、第3の実施形態にかかるエレベータ制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図9B】
図9Bは、第3の実施形態にかかるエレベータ制御処理(続き)の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、第3の実施形態におけるセンサ部の検知状態と警告出力とのタイムチャートの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、変形例1にかかる車椅子用操作盤の構成の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、第4の実施形態にかかるエレベータ制御システムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図13】
図13は、第4の実施形態にかかる主操作盤の構成の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、変形例2にかかる主操作盤の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
【0009】
[第1の実施形態]
(乗りかご内部の構成)
図1は、第1の実施形態の乗りかご1の内部を示す模式図である。
エレベータの乗りかご1には、
図1に示すように、主操作盤318Aと、二つの車椅子用操作盤318Bとが設けられている。
【0010】
主操作盤318Aは、利用者が主として乗りかご1の扉401の開閉や行き先階等を指定するための操作を行うためのものである。主操作盤318Aは、扉401の近傍、例えば、扉401の横の前壁面のほぼ中央付近に設置されている。
【0011】
二つの車椅子用操作盤318Bのそれぞれは、主として車椅子に乗った利用者が乗りかご1の扉401の開閉や行き先階等を指定するための操作を行うためのものである。車椅子用操作盤318Bは、乗りかご1内の
図1における左右双方の側壁面に設けられている。車椅子用操作盤318Bは、車椅子に乗った利用者が操作可能なように、主操作盤318Aより低い高さ位置に設けられている。
【0012】
ここで、主操作盤318Aより低い高さ位置は、主操作盤318Aと一部が重なる高さであってもよく、車椅子用操作盤318Bの後述する押しボタン312B,315Bやセンサ部311B,319Bの位置が、主操作盤318Aの後述する押しボタン312A,315Aやセンサ部311A,319Aの少なくとも一部の高さ位置より低ければよい。
【0013】
(エレベータ制御システムの構成例)
次に、
図2を用いて、行き先階呼び装置30を含むエレベータ制御システム100について説明する。
【0014】
図2は、第1の実施形態にかかるエレベータ制御システム100の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、エレベータ制御システム100は、制御盤10、行き先階呼び装置30を備える。エレベータ制御システム100が制御を行うエレベータは、乗りかご1、駆動装置2、カウンタウェイト3、及びロープ4等を備える。
【0015】
乗りかご1は、図示しない昇降路内を昇降して、各階に設けられた乗り場で乗りかご1に乗車した利用者を他の階に輸送する。乗りかご1とカウンタウェイト3とはロープ4によって連結されている。ロープ4は駆動装置2に架け渡されている。駆動装置2は例えば巻上機等であり、駆動装置2が駆動することで乗りかご1を昇降路内で上下に走行させることができる。
【0016】
制御盤10は、制御部11、通信部12、及び記憶部13を備え、エレベータ全体を制御する。制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、駆動装置2と有線または無線で接続されている。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、例えば乗りかご1内等に設置される行き先階呼び装置30に接続されている。制御盤10と行き先階呼び装置30とは有線または無線等のネットワークで接続されていてよい。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、乗り場に設置される図示しない乗り場呼び装置等と有線または無線で接続されている。
【0017】
制御部11は、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合、または、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合等に、それらの呼び登録を行う。制御部11は、呼び登録の内容を記憶部13に格納してもよい。
【0018】
ここで、行き先階呼びとは、乗りかご1内の利用者が、その乗りかご1を所望の行き先階へと向かわせるために行う操作である。また、乗り場呼びとは、乗り場の利用者が、上下いずれかの行き先方向に向かう乗りかご1をその乗り場に到着させるために行う操作である。
【0019】
また、行き先階呼びは、通信部12を介して行き先階呼び装置30から受信する呼び登録要求である。乗り場呼びは、通信部12を介して乗り場呼び装置(不図示)から受信する呼び登録要求である。
【0020】
制御部11は、呼び登録の内容に応じて駆動装置2を駆動させ、乗りかご1を行き先階呼び、または乗り場呼びに応答させる。また、制御部11は、乗りかご1が所定階に到着すると乗りかご1及び乗り場の扉の開動作の指示および扉の閉動作の指示等を行う。
【0021】
また、制御部11は、行き先階呼び装置30から行き先階呼びを受信した場合、行き先階呼びを送信した行き先階呼び装置30に対して表示灯313Bの明点灯の指令を通信部12を介して送出し、表示灯313Bを明点灯させる。また、制御部11は、乗り場呼び装置から乗り場呼びを受信した場合、乗り場呼び装置に対して表示灯の明点灯の指令を通信部12を介して送出し、表示灯を明点灯させる。
【0022】
通信部12は、乗りかご1内の利用者から行き先階呼びがあった場合、または、乗り場の利用者から乗り場呼びがあった場合等に、それらの情報を行き先階呼び装置及び図示しない乗り場呼び装置等から取得する。また、通信部12は、制御部11からの各種命令等を乗りかご1等に送信する。
【0023】
記憶部13は、制御盤10にエレベータの制御を実行させるための各種プログラムを記憶する。上述のように、記憶部13が、行き先階呼び登録および乗り場呼び登録等を記憶していてもよい。
【0024】
次に、行き先階呼び装置30について説明する。行き先階呼び装置30は、車椅子操作盤318B(
図1、2参照)の各部を制御して、利用者による行き先階呼びを受け付け、利用者の操作に対して処理を行う装置である。また、行き先階呼び装置30は、制御盤10の制御部11や車椅子用操作盤318Bからの指示により、乗りかご1の扉401の開閉を制御する。ここで、乗りかご1の扉401の開を戸開と称し、乗りかご1の扉401の閉を戸閉と称する。行き先階呼び装置30は、エレベータ制御装置を構成する。
【0025】
行き先階呼び装置30は、物体検知部31B、センサ部311B(311Ba,311Bb,311Bc・・・), 319B(319Ba,319Bb)、押下検知部32B、押しボタン312B(312Ba,312Bb,312Bc・・・), 315B(315Ba,315Bb)、表示灯313B(313Ba,313Bb,313Bc・・・),321B(321Ba,321Bb)、液晶表示部317B、スピーカ320B及び通信部34を備え、乗りかご1の利用者による行き先階呼びおよび扉401の開閉の指示を受け付ける。行き先階呼び装置30のうち、少なくともセンサ部311B,319B、押しボタン312B,315B、及び表示灯313B,321Bは乗りかご1内に設けられている。行き先階呼び装置30の全体が乗りかご1内に設けられていてもよい。
【0026】
センサ部311B(311Ba,311Bb,311Bc・・・)は、行き先階を指示するための非接触式のセンサであり、行き先階センサ部の一例である。センサ部311B(311Ba,311Bb,311Bc・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階(行き先対象)にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311Bに手指等をかざすと、センサ部311Bは利用者の手指等の物体を検知する。センサ部311Bを行き先階用のセンサ部311Bと称する場合がある。
【0027】
センサ部319B(319Ba,319Bb)は、乗りかご1の扉401の開および閉にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。センサ部319Baは、扉401の開を指示するための非接触式のセンサであり、戸開センサ部の一例である。センサ部319Bbは、扉401の閉を指示するための非接触式のセンサである。利用者が、開に対応するセンサ部319Ba、閉に対応するセンサ部319Bbに手指等をかざすと、センサ部319Ba,319Bbは利用者の手指等の物体を検知する。センサ部319Baを戸開用のセンサ部319Baと称する場合がある。
【0028】
押しボタン312B(312Ba,312Bb,312Bc・・・)は、押下により行き先階を指示するための押しボタンである。押しボタン312B(312Ba,312Bb,312Bc・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。押しボタン312Bは、所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、行き先階に対応する押しボタン312Bを押下することが可能に構成されている。
【0029】
押しボタン315B(315Ba,315Bb)は、乗りかご1の扉401の開および閉にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。すなわち、押しボタン315Baは、扉401の開を指示するための押しボタンである。押しボタン315Bbは、扉401の閉を指示するための非接触式のセンサである。押しボタン315Bは、利用者が、開または閉に対応する対応する押しボタン315Bを押下することが可能に構成されている。
【0030】
表示灯313B(313Ba,313Bb,313Bc・・・)は、乗りかご1の複数の行き先階にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。所定の行き先階呼びを行おうとする利用者が、対応するセンサ部311Bに手指等をかざし、または、対応する押しボタン312Bを押下すると、その行き先階に対応する表示灯313Bが所定の態様で発光する。
【0031】
表示灯321B(321Ba,321Bb,313Bc)は、乗りかご1の扉401の開および閉にそれぞれ対応して乗りかご1内に設けられている。表示灯321Bは、利用者が、開または閉に対応するセンサ部319Bに手指等をかざし、または、開または閉に対応する押しボタン315Bを押下すると、その開または閉に対応する表示灯321Bが所定の態様で発光する。
【0032】
スピーカ320Bは、物体検知部31Bの制御部31Bb等からの制御で各種音声を出力する。液晶表示部317Bは、物体検知部31Bの制御部31Bb等からの制御で各種表示を行う。スピーカ320Bと液晶表示部317Bは、出力部の一例である。
【0033】
物体検知部31Bは、計時部31Baと、制御部31Bbとを備える。
計時部31Baは、第1のタイマと第2のタイマと第3のタイマとを備えている。第1のタイマ、第2のタイマおよび第3のタイマはそれぞれ計時を行う。具体的には、第2のタイマは、扉401の開を指示する戸開用のセンサ部319Bが検知された場合に、当該戸開用のセンサ部319Bが検知された時点から計時を開始する。第1のタイマは、戸開用のセンサ部319Baと行き先階用のセンサ部311Bとが略同時に検知された場合に、略同時に検知された時点から計時を開始する。第3のタイマは警告出力の時点から計時を開始可能となっている。
【0034】
制御部31Bbは、複数の行き先階用のセンサ部311Bのうち一または複数のセンサ部311Bと、戸開用のセンサ部319Baとが略同時に検知された場合であって、検知状態が上記第1の閾値時間継続する場合には、警告をスピーカ320Bおよび液晶表示部317Bに出力させる。
【0035】
戸開用のセンサ部319Baと行き先階用のセンサ部311Bとが略同時に検知された場合とは、戸開用のセンサ部319Baの検知タイミングと行き先階用のセンサ部311Bの検知タイミングとが完全に一致する場合の他、検知のタイミングがずれる場合も含まれる。すなわち、先に戸開用のセンサ部319Baが検知し、続いて行き先階用のセンサ部311Bが検知する場合、先に行き先階用のセンサ部311Bが検知し、続いて戸開用のセンサ部319Baが検知する場合のいずれも略同時の検知に含まれる。戸開用のセンサ部319Baと行き先階用のセンサ部311Bとの検知タイミングの間隔は、常識的に同一と認められる時間内である他、過検知が発生する可能性が高いシーンを想定して、当該間隔に幅をもたせ、その中で、任意の間隔で設定してもよい。
【0036】
すなわち、このような検知タイミングの間隔として、行き先階用のセンサ部311Bbが、戸開用のセンサ部319Baよりも先に検知されている場合には、行き先階用のセンサ部311Bbが検知されてから、戸閉して運転開始されるまでの間に、戸開用のセンサ部319Baが検知されることも含んでいる。
【0037】
例えば、主操作盤318Aの場合には、利用者が主操作盤318Aに対面してセンサ部に手指をかざして検知されると、すぐ主操作盤318Aから離れて一定距離を保つので過検知や誤検知は発生しにくいと言える。しかし、本実施形態のように操作盤が車椅子用操作盤318Bの場合には、利用者がセンサ部311B,319Bに手指をかざして検知されても、車椅子用操作盤318Bからすぐ離れずに寄りかかる等してしまい、利用者の荷物や体自体の接触により誤ってセンサ部311Bb,319Bが検知してしまうことが多い。また、車椅子用操作盤318Bのセンサ部311B,319Bは、利用者が車椅子に乗っている事象を考慮して、手指をセンサ部311B,319Bの検知範囲から離して呼び登録をするのではなく、センサ部311B,319Bの検知状態が一定時間継続した場合に呼び登録を行う仕様とする場合もある。このため、車椅子操作盤318B上におけるセンサ部311B,319Bのレイアウトによっては、行き先階用のセンサ部311Bbが一つだけ検知して行き先階呼びの登録となり、そのまま検知し続けてから戸開用のセンサ部319Baも検知となる結果、過検知となってしまう可能性が多い。
【0038】
本実施形態では、これらのケースにおいても過検知と推測される状況として警告出力を行わせるため、行き先階用のセンサ部311Bbが検知されてから、戸閉して運行開始されるまでの間に、戸開用のセンサ部319Baが検知されることも含むように検知タイミングの間隔を定めることができる。
【0039】
また、検知タイミングの間隔として、戸開用のセンサ部319Baが行き先階用のセンサ部311Bbよりも先に検知されている場合には、戸開用のセンサ部319Baが検知されてから第2の閾値時間が経過するまでの間に、行き先階用のセンサ部311Bbが検知されることも含んでいる。
【0040】
ここで、計時部31Baの第1のタイマは、戸開用のセンサ部319Baと行き先階用のセンサ部311Bとが略同時に検知された時点で、計時を開始するが、検知のタイミングが微少にずれる場合の略同時の検知の場合には、第1のタイマは、センサ部による後の検知の時点で計時を開始する。
【0041】
制御部31Bbは、さらに、戸開用のセンサ部319Baのみ検知され、この検知状態が上記第2の閾値時間継続する場合には、警告をスピーカ320Bおよび液晶表示部317Bに出力させる。
【0042】
ここで、警告としては、例えば、警告音や警告メッセージ、注意喚起のメッセージ等があげられるがこれらに限定されるものではない。また、警告を、行き先階呼び装置30とネットワークで接続される遠隔監視センタに送信するように制御部31Bbを構成してもよい。この場合、遠隔監視センタが出力部の一例となる。
【0043】
制御部31Bbは、検知状態の行き先階用のセンサ部311Bまたは検知状態の戸開用のセンサ部319Baが非検知になった場合には、警告の出力を停止する。
【0044】
制御部31Bbは、一または複数の行き先階用のセンサ部311Bと、戸開用のセンサ部319Baとが略同時に検知され、かつ第1の閾値時間経過前に行き先階用のセンサ部311B、戸開用のセンサ部319Baのいずれか一方が検知状態から非検知状態になった場合には、正常と判断する。そして、扉401を開状態にしたり、行き先階の呼びを行う制御を行う。また、制御部31Bbは、戸開用のセンサ部319Baのみ検知され、かつ第2の閾値時間経過前に戸開用のセンサ部319Baが検知状態から非検知状態になった場合には、正常と判断して、扉401を開状態にする制御を行う。
【0045】
第1の閾値時間は、任意に設定することができる。例えば、第1の閾値時間を10sとすることができる。第2の閾値時間は第1の閾値時間より長ければ任意に設定することができる。例えば、第1の閾値時間を10sと設定した場合、第2の閾値時間を20sとすることができる。ただし、これらに限定されるものではない。
【0046】
また、第1の閾値時間、第2の閾値時間を装置ごとに設定変更可能なパラメータデータとして構成し、装置ごとに調整するように構成してもよい。例えば、車椅子操作盤318Bや主操作盤318Aの下部に設けられたボックス(不図示)内のダイヤルにより、第1の閾値時間、第2の閾値時間を調整するように構成することができる。また、制御盤10に設けたボリュームつまみにより、行き先階呼び装置30ごとに、第1の閾値時間、第2の閾値時間を調整するように構成することができる。
【0047】
さらに、制御部31Bbは、いずれかのセンサ部311Bが利用者の手指等の物体を検知すると、対象のセンサ部311Bを特定する。すなわち、単一のセンサ部311Bが利用者の手指等の物体を検知すると、当該単一のセンサ部311Bを対象のセンサ部311Bと特定する。複数のセンサ部311Bが略同時に利用者の手指等の物体を検知すると、検知された複数のセンサ部311Bから、所定の方式、言い換えれば、予め定められた検知状態のパターンに従って、対象のセンサ部311Bを特定する。
【0048】
制御部31Bbは、計時部31Baが計時した結果に基づいて行き先階呼びがあったか否かを判定し、行き先階呼びがあったと判定した場合には、表示灯313Bを所定の態様で点灯させ、制御盤10に行き先階呼びを送信する。制御盤10により検知されたセンサ部311Bに対応する行き先階呼びの本登録が行われる。
【0049】
押下検知部32Bは、制御部32Bbを備える。制御部32Bbは、いずれかの押しボタン312Bが利用者によって押下されると、押下された押しボタン312Bに対応する行き先階への呼びがあったものと判定する。そして、制御部32Bbは、行き先階への呼びがあったと判定した場合、押下された押しボタン312Bに対応する行き先階への行き先階呼びを、通信部34を介して、制御盤10に通知する。これにより、制御盤10により押下された押しボタン312Bに対応する行き先階へ呼びの本登録が行われ、押下された押しボタン312Bに対応する表示灯313Bが明点灯する。
【0050】
通信部34Bは、通信インタフェース(通信I/F)であり、物体検知部31または押下検知部32が、所定の行き先階への呼びがあったものと判定した場合には、その行き先階登録呼びの情報を制御盤10に送信する。
【0051】
なお、行き先階呼び装置30は、上記以外にも、乗りかご1の利用者の操作に供する種々の構成を備えることができる。
【0052】
次に、第1の実施形態にかかるエレベータ制御システム100の物理構成について説明する。制御盤10は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び記憶装置等を備えるコンピュータとして構成されている。
【0053】
ROMには、例えば制御プログラム及び呼び登録プログラム等のエレベータの制御に関わる各種プログラムが格納されている。ROMに格納されたこれらのプログラムが読み出されてRAMに展開され、それらのプログラムをCPU101が実行することにより、制御盤10のエレベータ制御装置としての機能が実現される。
【0054】
この呼び登録プログラムがCPUにより実行されることで、上述の制御部11、通信部12、及び記憶部13等が実現される。
【0055】
行き先階呼び装置30は、CPU、ROM、RAM、及び記憶装置等を備えるコンピュータとして構成されている。
【0056】
ROMには、例えば、センサ部311Bの検知に基づく呼び等の制御プログラム、押下ボタン312Aの押下に基づく呼び等の制御プログラム等の各種プログラムが格納されている。ROMに格納された制御プログラムが読み出されてRAMに展開され、CPUによって実行されることにより、物体検知部31Bの計時部31Ba、制御部31Bb、押下検知部32Bの制御部32Bb等が実現される。
【0057】
ここで、呼び登録プログラム、各制御プログラム等は、コンピュータで実行可能な、エレベータの制御に関する複数の命令を含むコンピュータ読み取り可能かつ非遷移的な記録媒体(Non-transitory Computer Readable Recording Medium)を有するコンピュータプログラムプロダクトである。呼び登録プログラム、各制御プログラム等等は、例えばモジュール構成となっており、これらのモジュールが主記憶装置上にロードされる。
【0058】
呼び登録プログラム、各制御プログラム等は、例えばコンピュータでの読み取りが可能なように記録媒体等に格納されて提供される。記録媒体は、例えば磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、またはフラッシュメモリ等である。また、呼び登録プログラム、各制御プログラム等は、ネットワークに置かれたサーバ等により配信され、または、ダウンロード可能なように構成されることで、他の様々な手法により提供されてもよい。また、呼び登録プログラム、各制御プログラム等をインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0059】
なお、主に、制御盤10によって実行される呼び登録プログラムと、行き先階呼び装置30によって実行される各制御プログラムとによって、エレベータ制御システム100によって実行されるエレベータ制御プログラムが構成される。
【0060】
(車椅子用操作盤の構成例)
次に、本実施形態の車椅子用操作盤318Bの構成について説明する。
図3は、第1の実施形態にかかる車椅子用操作盤318Bの構成の一例を示す図である。車椅子用操作盤318Bは、
図3に示すように、例えば行き先階表示部310B、センサ部311B,319B、押しボタン312B,315B、表示灯313B,321B、開閉表示部314B、非常用ボタン316B、スピーカ320B及び液晶表示部317Bを備える。
【0061】
行き先階表示部310Bは、例えば乗りかご1の行き先階の数字が示された文字盤等であり、乗りかご1の行き先階に対応して車椅子用操作盤318Bに複数配置されている。
図3の例では、乗りかご1の行き先階である1階~16階にそれぞれ対応して、16個の行き先階表示部310Bが横方向に二列となって配置されている。なお、
図3の例では一部の階の表示は省略して示している。
【0062】
センサ部311B(311Ba,311Bc,311Bd,311Be,・・・)は、上述したとおり非接触式のセンサであり、複数の行き先階表示部310Bにそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310Bの近傍に複数配置されている。
【0063】
押しボタン312B(312Ba,312Bc,312Bd,312Be,・・・)は、上述したとおり利用者が手指等で押下することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310Bにそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310Bと一体的に車椅子用操作盤318Bに複数配置されている。
【0064】
表示灯313B(313Ba,313Bc,313Bd,313Be,・・・)は、複数の態様で発光することが可能に構成され、複数の行き先階表示部310Bにそれぞれ対応して、対応する行き先階表示部310Bと一体的に車椅子用操作盤318Bに複数内蔵されている。
【0065】
開閉表示部314Bは、例えば乗りかご1の扉の開閉を表示する表示盤等であり、乗りかご1の戸開を表示する開閉表示部314Baと乗りかご1の戸閉を表示する開閉表示部314Bbとから構成される。
図3の例では、二つの開閉表示部314Bが左右に並んで車椅子用操作盤318Bに配置されている。
【0066】
センサ部319B(319Ba,319Bb)は、上述したとおり非接触式のセンサである。センサ部319Baは戸開を示す開閉表示部314Baに対応して、開閉表示部314Baの近傍に配置される。センサ部319Bbは戸閉を示す開閉表示部314Bbに対応して、開閉表示部314Bbの近傍に配置される。ここで、開閉表示部314Baは、戸開表示部の一例である。
【0067】
押しボタン315B(315Ba,315Bb)は、利用者が手指等で押下することが可能に構成される。押しボタン315Baは、戸開用の開閉表示部314Baに対応し、かつ開閉表示部314Baと一体的に車椅子用操作盤318Bに配置されている。押しボタン315Baは、戸閉用の開閉表示部314Bbに対応し、かつ開閉表示部314Bbと一体的に車椅子用操作盤318Bに配置されている。二つの開閉表示部314Ba,314Bbにそれぞれ対応して、二つの表示灯321Ba,321Bbが対応する開閉表示部314Ba,314Bbと一体的に車椅子用操作盤318Bに内蔵されている。
【0068】
ここで、本実施形態では、センサ部311Bと押しボタン312Bは一体化されている。また、センサ部319Bと押しボタン315Bは一体化されている。
【0069】
図4は、実施形態にかかるセンサ部311B,319Bと押しボタン312B,315Bを側面から見た構成とセンサ部311B,319Bの検知範囲を示す模式図である。具体的には、
図4に示すように、押しボタン312B,315Bの裏面3122側にセンサ部311B,319Bが装着されている。
【0070】
センサ部311B,319Bは、
図4に示すように、押しボタン312B,315Bのおもて面3121から所定距離だけ離れた検知範囲410を有している。センサ部311B,319Bは、
図4に示すように、センサ部311B,319Bと押しボタン312B,315Bのおもて面3121(すなわち行き先階表示部310B、開閉表示部314Bのおもて面3121)から第1距離だけ離間した位置までの第1空間領域405では利用者の操作を検知しない。検知範囲410は、第2空間領域に相当し、押しボタン312B,315Bのおもて面3121から第1距離から離間した位置から第2距離だけ離間した位置までの空間領域であり、この空間領域で利用者の操作を検知する。第1距離は、例えば、押しボタン312B,315Bのおもて面3121から5mm程度であり、第2距離は、例えば、押しボタン312,315Bのおもて面3121から25mm程度とすることができる。ただし、第1距離、第2距離についてはこれに限定されるものではない。検知範囲410は、
図4に示すように、押しボタン312B,315Bのおもて面3121から離れるに従って狭まる山型である。検知範囲401は、全体が押しボタン312B,315Bのおもて面3121と対向する位置に設定されている。検知範囲410は、押しボタン312B,315Bのおもて面3121と対向する位置に設定されている。
図4に示すように、検知範囲410は、おもて面3121と直交する第1方向D1から見て押しボタン312のおもて面3121内に収まり、かつ、その中央がおもて面3121の略中央と重なるように設定されている。一例として、検知範囲410の中央とおもて面3121の中央とは、第1方向D1から見て一致する。このように、検知範囲410の全体が押しボタン312B,315Bのおもて面3121と対向する位置に設定されている。
【0071】
利用者は、行き先階登録をする際には、自分の手指403等を押しボタン312B,315Bへ向けて前進させ、この際に、センサ部311B,319Bの検知範囲410に指先が入ってセンサ部311B,319Bが検知状態となり、指先が検知範囲410から抜けて第1空間領域に入ると、センサ部311B,319Bは非検知状態となる。利用者は、さらに手指403を前進させて、押しボタン312B,315Bを押下する。
【0072】
図2に戻り、非常用ボタン316Bは、押下されることにより、管理センタ等の外部に非常事態を通知するためのボタンである。
【0073】
液晶表示部317Bは、液晶パネルとして構成され、乗りかご1が、どの階付近をどちらの向きに走行中であるかを表示する。
図3の例では、上向き矢印と「3」の文字が表示されている。このことから、乗りかご1は3階付近を上方へ向かって走行中であることが判る。また、液晶表示部317Bは、警告も表示可能となっている。
【0074】
スピーカ320は、上述したとおり各種音声や警告を出力可能となっており、
図3に示すように、車椅子用操作盤318Bの液晶表示部317Bの下方に配置されている。
【0075】
なお、車椅子用操作盤318Bの構成および各種構成の配置は
図3の例に限られない。
【0076】
(エレベータ制御処理)
次に、以上のように構成された本実施形態にかかるエレベータ制御システム100によるエレベータ制御処理について説明する。
図5は、第1の実施形態にかかるエレベータ制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0077】
図6Aは、第1の実施形態におけるセンサ部311B,319Bの検知状態と警告出力とのタイムチャートの一例を示す図である。
図6A(a)は、戸開用のセンサ部319Bと行き先階用のセンサ部311Bとが略同時に検知された場合のタイムチャートである。なお、
図6A(a)は、先に戸開用のセンサ部319Baが検知し、すぐその後に、行き先階用のセンサ部311Bが検知することで、両センサ部が略同時に検知した場合のタイムチャートの例を示している。
図6A(b)は、戸開用のセンサ部319Bのみが検知された場合のタイムチャートである。
【0078】
図6A(a)、(b)の双方において、横軸は時間を示し、縦軸は、センサ部311B,319Bのオンオフの状態、および警告出力のオンオフの状態を示している。ここで、センサ部311B,319Bのオンは検知状態を示し、オフは非検知状態を示す。また、警告出力のオンは警告出力中を示し、警告出力のオフは警告出力していないことを示す。
【0079】
物体検知部31Bの制御部31Bbは、戸開用のセンサ部319Baが検知しているか(オンであるか)否かを判断する(S11)。戸開用のセンサ部319Baが検知していない場合には(S11:No)、検知待ちの状態となる。一方、戸開用のセンサ部319Baが検知している場合には(S11:Yes)、
図6A(b)に示すように、計時部31Baの第2のタイマは計時を開始する(S13)。
【0080】
次に、制御部31Bbは、第2のタイマによる計時時間が第2の閾値時間以上となったか否かを判断する(S15)。第2のタイマによる計時時間が第2の閾値時間以上となった場合には(S15:Yes)、制御部31Bbは、
図6A(a)に示すように、過検知(誤検知とも称しうる)が発生していると判断して、スピーカ320Bと液晶表示部317Bの双方またはいずれか一方に警告を出力する(S19)。そして、処理は終了する。
【0081】
図7は、第1の実施形態における液晶表示部317Bへの警告としての警告メッセージの表示例を示す図である。例えば、制御部31Bbは、
図7に示すように、液晶表示部317Bに、「一度離れて下さい」という警告メッセージを表示させる。また、例えば、制御部31Bbは、警告として「一度離れて下さい」という警告メッセージをスピーカ320Bに音声出力させる。また、制御部31Bbは、遠隔監視センタに過検知の旨を警告として送信してもよい。
【0082】
S15において、第2のタイマによる計時時間が第2の閾値時間未満の場合には(S15:Nos)、制御部31Bbは、戸開用のセンサ部319Baが非検知状態(オフ)となったか否かを判断する(S17)。戸開用のセンサ部319Baが非検知状態となった場合には(S17:Yes)、制御部31Bbは、S11での検知は正常と判断して、通常処理を実行する。ここで、通常処理とは、扉401を開く処理である。
【0083】
S17で、戸開用のセンサ部319Baが非検知状態となっていない場合には(S17:No)、制御部31Bbは、行き先階用のセンサ部311Bの検知を判断する(S25)。すなわち、このS25では、制御部31Bbは、行き先階用のセンサ部311Bが検知されたか否か(すなわち、オンとなったか否か)、あるいは、行き先階用のセンサ部311Bが既に検知されているか否か(すなわち、既にオンとなっているか否か)を判断する。ここで、行き先階用のセンサ部311Bが既に検知されている場合とは、例えば、S11の時点で行き先階用のセンサ部311Bが既に検知されていた場合で、その後、S11でNo、S15でNo、S17でNoと処理が微少時間でS25に到達した場合等である。従って、言い換えれば、S25の判断は、戸開用のセンサ部319Baと行き先階用のセンサ部311Bとが略同時に検知された否かの判断となる。
【0084】
S25で、行き先階用のセンサ部311Bが検知されていない場合は(S25:No)、戸開用のセンサ部319Baのみが検知している状態であり、そして、S15の第2のタイマよる計時時間が第2の閾値時間以上となったか否かの判断処理に進む。
【0085】
S25で、行き先階用のセンサ部311Bが検知された(オンとなった)場合、あるいは、行き先階用のセンサ部311Bが既に検知されていた(既にオンとなっていた)場合(S25:Yes)、戸開用のセンサ部319Baと行き先階用のセンサ部311Bとが略同時に検知された場合であり、計時部31Baの第1のタイマは計時を開始する(S27)。本実施形態の例では、
図6A(a)に示すように、略同時のタイミングとして、後の行き先階用のセンサ部311Bの検知時点で第1のタイマによる計時を開始していることがわかる。
【0086】
そして、制御部31Bbは、第1のタイマによる計時時間が第1の閾値時間以上となったか否かを判断する(S29)。第1のタイマによる計時時間が第1の閾値時間以上となった場合には(S29:Yes)、制御部31Bbは、戸開用のセンサ部319Baと行き先階用のセンサ部311Bの略同時の検知は過検知であると判断し、警告を出力する(S31)。警告の出力については、S19と同様である。
【0087】
S29で、第1のタイマによる計時時間が第1の閾値時間未満である場合には(S29:No)、制御部31Bbは、第2のタイマによる計時時間が第2の閾値時間以上となったか否かを判断する(S33)。ここで、S33の判断は以下の理由で行われる。
【0088】
例えば、第1のタイマの計時時間の判断基準である第1の閾値時間が5s、第2のタイマの計時時間の判断基準である第2の閾値時間が10sに設定されているものとする(sは秒を示す)。このとき、車椅子用操作盤318Bへの利用者によるの寄りかかりや利用者の荷物によって、最初に戸開用のセンサ部319Baのみが検知したものとする。この場合において、第2のタイマによる計時開始で、第2の閾値時間未満の時間であってかつ第1の閾値時間以上の時間(例えば、8s)が経過したときに、寄りかかっていた利用者の体や荷物が動き、さらに行き先用のセンサ部311Bが検知したものとする。この検知時点で、第1のタイマによる計時が開始するが、計時時間が2s経過時点で、第2のタイマの計時時間が第2の閾値時間10sとなり、第1のタイマの計時時間が第1の閾値時間(5s)を経過するより先に、第2のタイマによる計時時間が第2の閾値時間(10s)を経過してしまう。このため、このS33において、第2のタイマによる計時時間が第2の閾値時間以上であるか否かを判断している。
【0089】
なお、この例では、最初に戸開用のセンサ部319Baが検知してから行き先用のセンサ部311Bが検知するまで、8sを例にあげて説明しているが、このように、戸開用のセンサ部319Baと行き先階用のセンサ部311Bとの検知タイミングの間隔に幅をもたせ、その中で、どのような間隔で設定してもよい。また、この例は、上述したように、戸開用のセンサ部319Baが行き先階用のセンサ部311Bbよりも先に検知されている場合において、戸開用のセンサ部319Baが検知されてから第2の閾値時間が経過するまでの間に、行き先階用のセンサ部311Bbが検知されるケースであり、このようなケースをS33で判断している。
【0090】
S33で、第2のタイマによる計時時間が第2の閾値時間以上となった場合には(S33:Yes)、制御部31Bは、戸開用のセンサ部319Baが過検知したと判断し、警告を出力する(S35)。警告の出力については、S19と同様である。
【0091】
S33で、第2のタイマによる計時時間が第2の閾値時間未満である場合には(S33:No)、制御部31Bbは、戸開用のセンサ部319Baが非検知状態(オフ)になったか否かを判断する(S37)。戸開用のセンサ部319Baが非検知状態になった場合には(S37:Yes)、計時部31Baは、第1のタイマおよび第2のタイマによる計時を終了する(S39)。そして、制御部31Bbは、通常処理を実行する(S41)。ここでの通常処理とは、扉401を開く処理や行き先階呼びを行う処理である。そして、処理は終了する。
【0092】
S37で、戸開用のセンサ部319Baが非検知状態になっていない場合には(S37:No)、制御部31Bbは、行き先階用のセンサ部311Bが非検知状態(オフ)になったか否かを判断する(S43)。行き先階用のセンサ部311Bが非検知状態になった場合には(S43:Yes)、計時部31Baは、第1のタイマによる計時を終了する(S45)。そして、S15の第2のタイマよる計時時間が第2の閾値時間以上となったか否かの判断処理に進む。
【0093】
S43で、行き先階用のセンサ部311Bが非検知状態になっていない場合には(S43:No)、S29の第1のタイマよる計時時間が第1の閾値時間以上となったか否かの判断処理に進む。
【0094】
ここで、
図6A(a)に示すように、検知状態だった行き先階用のセンサ部311Bが非検知状態(すなわちオフ)になった場合、あるいは、検知状態だった戸開用のセンサ部319Baが非検知状態(すなわちオフ)になった場合には、制御部31Bbは警告の出力を停止する。また、
図6A(a)に示すように、行き先階用のセンサ部311が先に非検知状態になった場合には、所定期間経過後に、戸開用のセンサ部319Baも非検知状態となる。
【0095】
このように本実施形態では、行き先階呼び装置30の制御部31Bbが、複数の行き先階用のセンサ部311Bのうち一または複数のセンサ部311Bと、戸開用のセンサ部319Baとが略同時に検知された場合であって、検知状態が第1の閾値時間継続する場合には、スピーカ320Bや液晶表示部317Bに警告を出力させる。
【0096】
このため、本実施形態によれば、戸開用のセンサ部319と行き階用のセンサ部311Bとが略同時に検知した場合には、過検知と推測される状況であると判断して警告出力して報知するため、安全性に配慮しつつ、いち早く過検知を回避することができ、これにより運行効率を向上させることができる。
【0097】
また、本実施形態では、制御部31Bbは、さらに、戸開用のセンサ部319のみの検知状態が第1の閾値時間より長い第2の閾値時間継続する場合には、スピーカ320Bや液晶表示部317Bに警告を出力させる。
【0098】
このため、本実施形態によれば、戸開用のセンサ部319のみの検知状態が長時間継続する場合に、過検知と判断して警告出力して報知するため、戸開用のセンサ部319のみの過検知した場合でも、安全性に配慮しつつ、いち早く過検知を回避することができ、これにより運行効率を向上させることができる。
【0099】
また、本実施形態では、制御部31Bbは、検知状態の行き階用のセンサ部311Bまたは検知状態の戸開用のセンサ部319Baのいずれかが非検知になった場合には、警告の出力を停止する。このため、本実施形態によれば、過検知の際の警告出力を、センサ部311B,319Baの非検知への移行に連動して停止することができる。
【0100】
また、本実施形態では、制御部31Bbは、扉401の近傍に設けられた主操作盤318Aの高さより低い高さに設けられている車椅子用操作盤318Bのセンサ部311B,319Baに対して、上記の過検知を検知して警告出力する。このため、本実施形態によれば、高さが低い位置では、荷物や利用者の体等がセンサ部311B,319Baに誤って近接して過検知することが多くなるが、このような場合でも、安全性に配慮しつつ、いち早く過検知を回避することができ、これにより運行効率を向上させることができる。
【0101】
また、本実施形態では、行き先階用のセンサ部311Bと行き先階用の押しボタン312Bとが一体化して構成され、戸開用のセンサ部319Baと戸開用の押しボタン315Baとが一体化して構成されているので、押しボタンと一体化して形成された戸開用のセンサ部319が過検知されていると推測される状況において、安全性に配慮しつつ、いち早く過検知を回避することができ、これにより運行効率を向上させることができる。
【0102】
図6A(a)に示すタイミングチャートの例は、先に戸開用のセンサ部319Baが検知し、すぐその後に、行き先階用のセンサ部311Bが検知することで、両センサ部が略同時に検知した場合を示していたが、略同時はこれに限定されるものではない。
【0103】
図6Bは、実施形態において先に行き先階用のセンサ部311が検知し、すぐその後に、戸開用のセンサ部3019Baが検知することで、両センサ部が略同時に検知した場合のタイミングチャートの例を示す図である。
図6Bの例では、戸開用センサ部319Baの検知よりも前に行き先階用のセンサ部311Bが検知されているが、
図5のフローチャートにおいて、戸開用のセンサ部319Baが検知された時点(S11)で、行き先階用のセンサ部311Bが検知されているので(S25)、戸開用センサ部319Baの検知とほぼ同時に、第1のタイマによる計時を開始する。このため、戸開用のセンサ部319Baが行き先階用センサ部311Bより先に検知された場合と同様に、第1のタイマによる計時を開始することができる。
【0104】
図6Cは、実施形態におい行き先階用のセンサ部311と戸開用のセンサ部3019Baとが完全に一致するタイミングで検知することで、両センサ部が略同時に検知した場合のタイムチャートの例を示す図である。この場合において、
図6Cに示すように、計時部31Baは、行き先階用のセンサ部311Bの検知時点と戸開用のセンサ部319Baの検知時点とは完全に一致し、この時点で第1のタイマによる計時を開始する。
【0105】
また、警告を出力した後には、1階だけ扉401の開動作を行い、以降の戸開用のセンサ部319Baの検知は無視する、すなわち、2回目以降の扉401の開動作を行わないように制御部31Bb等を構成することができる。
【0106】
また、乗りかご1が停止している場合の他、乗りかご1が走行中で、戸開用のセンサ部319Baが検知された場合においても、本実施形態の制御を行うように制御部31Bbを構成してもよい。
【0107】
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、戸開用のセンサ部319Baと、いずれの行き先階用のセンサ部311Bとが略同時に検知してこの検知状態が第1の閾値時間継続した場合に、警告を出力していた。これに対し、この第2の実施形態では、戸開用のセンサ部319Baと、特定の行き先階用のセンサ部311Bとが略同時に検知してこの検知状態が第1の閾値時間継続した場合に、警告を出力する。
【0108】
第2の実施形態における乗りかご1内の構成、エレベータ制御システム100の構成、制御盤10のハードウェア構成および機能的構成、行き先階呼び装置30のハードウェア構成および機能的構成、車椅子用操作盤318Bの構成は、いずれも第1の実施形態と同様である。
【0109】
本実施形態の行き先階呼び装置30では、物体検知部31Bの制御部31Bbの機能が第1の実施形態と異なっている。
【0110】
すなわち、本実施形態の制御部31Bbは、複数の行き先階用のセンサ部311Bのうち一または複数のセンサ部311Bと、戸開用のセンサ部319Baとが略同時に検知された場合に、検知された行き先階用のセンサ部311Bと戸開用のセンサ部319Baとの距離が所定距離未満であり、かつ検知状態が第1の閾値時間継続する場合には、警告をスピーカ320B、液晶表示部317に出力させる。
【0111】
ここで、所定距離は、例えば、人間の一般的な体型の横幅に相当する距離とすることができる。戸開用のセンサ部319Baと、当該センサ部319Baから所定距離以内のセンサ部311Bが略同時に検知した場合に、利用者の体で誤って両者のセンサ部311B,319Baに同時に接近した可能性が高いと判断されるからである。
【0112】
また、このような戸開用のセンサ部319Baから所定距離以内の行き先階用のセンサ部311Bを予め定めておき、記憶部等に参照可能に登録しておけばよい。
【0113】
次に、以上のように構成された本実施形態にかかるエレベータ制御システム100によるエレベータ制御処理について説明する。
図8は、第2の実施形態にかかるエレベータ制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0114】
戸開用のセンサ部319Baが検知したか否かの判断から行き先階用のセンサ部311Bが検知したか否かの判断までの処理(S11~S25)は、第1の実施形態と同様に行われる。
【0115】
S25で、行き先階用のセンサ部311Bが検知した場合には(S25:Yes)、検知した行き先階用のセンサ部311Bが、戸開用のセンサ部319Baから所定距離未満の距離だけ離れて位置するセンサ部であるか否かを判断する(S51)。
【0116】
検知した行き先階用のセンサ部311Bが、戸開用のセンサ部319Baから所定距離以上の距離に位置するセンサ部である場合には(S51:No)、処理はS15に進む。
【0117】
一方、S51で、検知した行き先階用のセンサ部311Bが、戸開用のセンサ部319Baから所定距離未満の距離だけ離れて位置するセンサ部である場合には(S51:Yes)、処理はS27に進み、第1のタイマが計時を開始する(S27)。そして、これ以降の処理は第1の実施形態と同様に行われる。
【0118】
このように本実施形態では、行き先階呼び装置30の制御部31Bbは、複数の行き先階用のセンサ部311Bのうち一または複数のセンサ部311Bと、戸開用のセンサ部319Baとが略同時に検知された場合に、検知された行き先階用のセンサ部311Bと戸開用のセンサ部319Baとの距離が所定距離未満であり、かつ検知状態が第1の閾値時間継続する場合には、警告をスピーカ320Bや液晶表示部317Bに出力させる。
【0119】
このため、本実施形態によれば、利用者の体等が誤って行き先階用のセンサ部311Bと戸開用のセンサ部319Baとに略同時に近接して検知した場合と、行き先階用のセンサ部311Bと戸開用のセンサ部319Baとが所定距離以上離れており、利用者が意図して双方のセンサに検知させた場合とを切り分けることができる。このため、本実施形態によれば、利用者の意図した検知を過検知と誤判断する可能性が低くなり、過検知をより正確に検出することができる。
【0120】
[第3の実施形態]
第1の実施形態では、戸開用のセンサ部319Baが過検知して警告が出力された場合、戸開用のセンサ部319Baまたは行き先階用のセンサ部311Bが非検知状態となるまで、警告が出力されていた。これに対し、この第3の実施形態では、警告出力開始から第3の閾値時間が経過したら、強制的にセンサ部311B,319Baを非検知状態に移行し、警告出力を停止している。
【0121】
第3の実施形態における乗りかご1内の構成、エレベータ制御システム100の構成、制御盤10のハードウェア構成および機能的構成、行き先階呼び装置30のハードウェア構成および機能的構成、車椅子用操作盤318Bの構成は、いずれも第1の実施形態と同様である。
【0122】
本実施形態の行き先階呼び装置30では、物体検知部31Bの計時部31Baの機能と制御部31Bbの機能が第1の実施形態と異なっている。
【0123】
すなわち、本実施形態の計時部31Baは、第1の実施形態と同様の機能を有する他、第3のタイマが制御部31Bbにより警告出力を開始した時点から計時を開始する。
【0124】
制御部31Bbは、第1の実施形態と同様の機能を有する他、行き先階用のセンサ部311Bと戸開用のセンサ部319Baが略同時に検知した場合において、検知状態の行き先階用のセンサ部311Bおよび検知状態の戸開用のセンサ部319Baが、警告出力開始から第3の閾値時間経過しても非検知にならない場合には、行き先階用のセンサ部311Bおよび検知状態の戸開用のセンサ部319Baを非検知状態に変更して、警告の出力を停止する。また。制御部31Bbは、戸開用のセンサ部319Baのみが検知した場合において、検知状態の戸開用のセンサ部319Baが、警告出力開始から第3の閾値時間経過しても非検知にならない場合には、検知状態の戸開用のセンサ部319Baを非検知状態に変更して、警告の出力を停止する。
ここで、第3の閾値時間は任意に定めることができる。例えば、第3の閾値時間を1分として設定することができるが、これに限定されるものではない。
【0125】
次に、以上のように構成された本実施形態にかかるエレベータ制御システム100によるエレベータ制御処理について説明する。
図9A、Bは、第3の実施形態にかかるエレベータ制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【0126】
図10は、第3の実施形態におけるセンサ部311B,319Baの検知状態と警告出力とのタイムチャートの一例を示す図である。
図10(a)は、戸開用のセンサ部319Baと行き先階用のセンサ部311Bとが略同時に検知された場合のタイムチャートである。
図10(a)は、先に戸開用のセンサ部319Baが検知し、すぐその後に、行き先階用のセンサ部311Bが検知することで、両センサ部が略同時に検知した場合のタイムチャートの例を示している。
図10(b)は、戸開用のセンサ部319Baのみが検知された場合のタイムチャートである。
【0127】
図10(a)、(b)の双方において、横軸は時間を示し、縦軸は、センサ部311B,319Baのオンオフの状態、および警告出力のオンオフの状態を示している。ここで、センサ部311B,319Baのオンは検知状態を示し、オフは非検知状態を示す。また、警告出力のオンは警告出力中を示し、警告出力のオフは警告出力していないことを示す。
【0128】
戸開用のセンサ部319Baが検知したか否かの判断(S11)から警告出力(S19,S31,S35)までの処理は第1の実施形態と同様に行われる。
【0129】
S19,S31,S35で制御部31Bbが警告出力を行ったら、計時部31Baの第3のタイマは計時を開示する(S61)。次に、制御部31Bbは、第3のタイマによる計時時間が第3の閾値時間以上になったか否かを判断する(S63)。そして、制御部31Bbは、第3の閾値時間の経過まで待機する(S63:No)。第3のタイマによる計時時間が第3の閾値時間以上になった場合には(S63:Yes)、制御部31Bbは、センサ部311B,319Baの検知状態が継続しているか否かを判断する(S65)。具体的には、制御部31Bbは、S19の警告の後の場合には、戸開用のセンサ部319Baの検知状態が継続しているか否か、S31,S35の警告の後の場合には、戸開用のセンサ部319Baの検知状態と行き先階用のセンサ部311Bの検知状態が継続しているか否か、を判断する。
【0130】
そして、上記の判断で各センサ部311B,319Baの検知状態が継続していない場合には(S65:No)、処理は終了する。なお、継続していない場合は、制御部31Bbは、非検知状態となった時点で警告の出力を停止している。
【0131】
一方、S65で、各センサ部311B,319Baの検知状態が継続している場合には(S65:Yes)、
図10(a)、(b)に示すように、制御部31Bbは、強制的にセンサ部311B,319Baを非検知状態に移行し(S67)、警告の出力を停止する(S69)。
【0132】
このように本実施形態では、行き先階呼び装置30の制御部31Bbは、検知状態の行き先階用のセンサ部311Bおよび検知状態の戸開用のセンサ部319Baが第3の閾値時間経過しても非検知にならない場合には、行き先階用のセンサ部311Bおよび検知状態の戸開用のセンサ部319Baを非検知状態に強制的に変更して、警告の出力を停止する。
【0133】
このため、本実施形態によれば、センサ部311B,319Baの過検知をより早期かつ確実に回避することができる。
【0134】
なお、本実施形態では、計時部31Baは、警告出力の時点から第3の閾値時間の計時を開始しているが、センサ部311B,319Baの検知時点から第3の閾値時間の計時を開始するように構成してもよい。この場合、第3の閾値時間は、第1の閾値時間および第2の閾値時間より長い時間に設定する必要がある。
【0135】
[変形例1]
上述の実施形態では、センサ部311Bと押しボタン312Bとが一体化しており、また、センサ部319Baと押しボタン315Baとが一体化している場合を例にあげて説明したが、これに限定されるものではない。
【0136】
図11は、変形例1にかかる車椅子用操作盤801Bの構成の一例を示す図である。車椅子用操作盤801Bは、
図11に示すように、例えば、行き先階表示部810B、センサ部811B,819B、押しボタン812B,815B、表示灯(不図示)、開閉表示部814B、非常用ボタン316B、スピーカ320B及び液晶表示部317Bを備える。
【0137】
本実施形態では、
図11に示すように、行き先階用のセンサ部811Bと行き先階用の押しボタン812Bとが別体で構成されており、行き先階用の押しボタン812Bの下方に、行き先階用のセンサ部811Bが配置されている。
【0138】
また、戸開用のセンサ部819Baと戸開用の押しボタン815Baとが別体で構成されており、戸開用の押しボタン815Baの下方に、戸開用のセンサ部819Baが配置されている。同様に戸閉用のセンサ部819Bbと戸閉用の押しボタン815Bbとが別体で構成されており、戸閉用の押しボタン815Bbの下方に、戸閉用のセンサ部819Bbが配置されている。
他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0139】
このように本変形例では、行き先階用のセンサ部811Bと行き先階用の押しボタン812Bとが別体で構成され、戸開用のセンサ部819Baと戸開用の押しボタン815Baとが別体で構成されているので、押しボタンと別体で形成されたセンサ部が過検知されていると推測される状況において、安全性に配慮しつつ、いち早く過検知を回避することができ、これにより運行効率の向上を図ることができる。
【0140】
[第4の実施形態]
第1~3の実施形態および変形例では、操作盤として車椅子用操作盤318B,801Bを例にあげて説明したが、さらに、主操作盤318Aについても上述の実施形態を適用することが可能である。
【0141】
(エレベータ制御システムの構成例)
図12は、第4の実施形態にかかるエレベータ制御システム1100の機能構成の一例を示すブロック図である。
図12に示すように、エレベータ制御システム1100は、制御盤10、第1の行き先階呼び装置30A、および第2の行き先階呼び装置30Bを備える。エレベータ制御システム1100が制御を行うエレベータは、乗りかご1、駆動装置2、カウンタウェイト3、及びロープ4等を備える。
【0142】
ここで、乗りかご1、駆動装置2、カウンタウェイト3、及びロープ4は、第1の実施形態と同様である。
【0143】
第1の行き先階呼び装置30Aは、主操作盤318Aからの行き先階呼びを制御する。第2の行き先階呼び装置30Aは、車椅子用操作盤318Bからの行き先階呼びを制御する。第2の行き先階呼び装置30Aは、第1~3の実施形態の行き先階呼び装置30と同様の機能および構成を有しているため、説明を省略する。
【0144】
また、第1の行き先階呼び装置30Aのハードウェア構成および第1の行き先階呼び装置30Aで実行される各種プログラムの構成、提供形態、配布形態も第2の行き先階呼び装置30B、すなわち第1~3の実施形態の行き先階呼び装置30と同様である。
【0145】
第1の行き先階呼び装置30Aおよび第2の行き先階呼び装置30Bは、エレベータ制御装置を構成する。第1の行き先階呼び装置30Aおよび第2の行き先階呼び装置30Bの各部をひとつのエレベータ制御装置として構成してもよい。
【0146】
制御盤10は、制御部11、通信部12、及び記憶部13を備え、エレベータ全体を制御する。制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、例えば乗りかご1内等に設置される第1の行き先階呼び装置30Aおよび第2の行き先階呼び装置30Bと接続されている。制御盤10と第1の行き先階呼び装置30Aおよび第2の行き先階呼び装置30Bとは有線または無線等のネットワークで接続されていてよい。また、制御盤10は、各種信号の授受が可能なように、乗り場に設置される図示しない乗り場呼び装置等と有線または無線で接続されている。
【0147】
制御部11、通信部12、記憶部13の各部の機能は、第1の実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、さらに、第1の行き先階呼び装置30Aからの行き先階呼びを受け付けて、呼び登録を行う。
【0148】
第1の行き先階呼び装置30Aは、主操作盤318A(
図13参照)の各部を制御して、利用者による行き先階呼びを受け付け、利用者の操作に対して処理を行う装置である。また、第1の行き先階呼び装置30Aは、主操作盤318Aからの指示により、乗りかご1の扉401の開閉を制御する。
【0149】
第1の行き先階呼び装置30Aは、物体検知部31A、センサ部311A(311Aa,311Ab,311Ac・・・), 319A(319Aa,319Ab)、押下検知部32A、押しボタン312A(312Aa,312Ab,312Ac・・・), 315A(315Aa,315Ab)、表示灯313A(313Aa,313Ab,313Ac・・・),321A(321Aa,321Ab)、液晶表示部317A、スピーカ320A及び通信部34Aを備え、乗りかご1の利用者による行き先階呼びおよび扉401の開閉の指示を受け付ける。第1の行き先階呼び装置30Aのうち、少なくともセンサ部311A,319A、押しボタン312A,315A、及び表示灯313A,321Aは乗りかご1内に設けられている。第1の行き先階呼び装置30Aの全体が乗りかご1内に設けられていてもよい。
【0150】
ここで、物体検知部31A、押下検知部32A及び通信部34Aは、主操作盤318Aのセンサ部311A(311Aa,311Ab,311Ac・・・), 319A(319Aa,319Ab)、押しボタン312A(312Aa,312Ab,312Ac・・・),315A(315Aa,315Ab)、表示灯313A(313Aa,313Ab,313Ac・・・),321A(321Aa,321Ab)、液晶表示部317A、スピーカ320Aに対して第2の行き先階呼び装置30Bと同様の機能および構成を有している。ここで、物体検知部31Aの制御部31Abは、第2の制御部の一例である。
【0151】
(主操作盤の構成例)
次に、本実施形態の主操作盤318Aの構成について説明する。
図13は、第4の実施形態にかかる主操作盤318Aの構成の一例を示す図である。主操作盤318Aは、
図13に示すように、例えば、行き先階表示部310A、センサ部311A,319A、押しボタン312A,315A、表示灯313A,321A、開閉表示部314A、スピーカ320A及び液晶表示部317Aを備える。ここで、行き先階表示部310Aは、第2の行き先階表示部の一例である。センサ部311Aは、第2の行き先階用センサ部の一例である。センサ部319Aは、第2の戸開用センサ部の一例である。開閉表示部314Aaは、第2の戸開用表示部の一例である。
【0152】
主操作盤318Aの行き先階表示部310A、センサ部311A(311Aa,311Ab,311Ac・・・), 319A(319Aa,319Ab)、押しボタン312A(312Aa,312Ab,312Ac・・・),315A(315Aa,315Ab)、表示灯313A(313Aa,313Ab,313Ac・・・),321A(321Aa,321Ab)、液晶表示部317A、スピーカ320Aのそれぞれは、車椅子用操作盤318Bの行き先階表示部310B、センサ部311B(311Ba,311Bb,311Bc・・・),319B(319Ba,319Bb)、押しボタン312B(312Ba,312Bb,312Bc・・・),315B(315Ba,315Bb)、表示灯313B(313Ba,313Bb,313Bc・・・),321B(321Ba,321Bb)、液晶表示部317B、スピーカ320Bのそれぞれと同様の機能及び構成を有している。
【0153】
また、第1の行き先階呼び装置30Aによるエレベータ制御処理は、第2の行き先階呼び装置30Bによるエレベータ制御処理とは独立して、第1~3の実施形態および変形例1と同様に行われる。
【0154】
例えば、主操作盤318Aの戸開用のセンサ部319Aaと主操作盤318Aの行き先階用のセンサ部311Aが略同時に検知され、検知状態が第1の閾値時間継続している場合、あるいは、主操作盤318Aの戸開用のセンサ部319Aaのみが検知され、検知状態が第2の閾値時間継続している場合には、第1の行き先階呼び装置30Aの制御部31Abは、主操作盤318Aのスピーカ320A、液晶表示部317Aに、主操作盤から一度離れて下さい等の警告を出力させる。一方、このような動作とほぼ同時に、車椅子用操作盤318Bの戸開用のセンサ部319Baと車椅子用操作盤318Bの行き先階用のセンサ部311Bが略同時に検知され、検知状態が第1の閾値時間継続している場合、あるいは、車椅子用操作盤318Bの戸開用のセンサ部319Baのみが検知され、検知状態が第2の閾値時間継続している場合を考える。このような場合でも、第2の行き先階呼び装置30Bの制御部31Bbは、主操作盤318Aにおける警告とは独立して、車椅子用操作盤318Bのスピーカ320A、液晶表示部317Aに、車椅子用操作盤から一度離れて下さい等の警告を出力させる。
【0155】
このように本実施形態では、制御部31Abは、扉401の近傍に設けられた主操作盤318Aのセンサ部311A,319Aaに対して、上記の過検知を検知して、車椅子用操作盤318Bとは独立して警告出力する。このため、本実施形態によれば、主操作盤318Aのセンサ部311A,319Aaが過検知されていると推測される状況において、安全性に配慮しつつ、いち早く過検知を回避することができ、これにより運行効率の向上を図ることができる。
【0156】
[変形例2]
第4の実施形態では、センサ部311Aと押しボタン312Aとが一体化しており、また、センサ部319Aaと押しボタン315Aaとが一体化している場合を例にあげて説明したが、これに限定されるものではない。
【0157】
図14は、変形例2にかかる主操作盤1318Aの構成の一例を示す図である。車椅子用操作盤1318Aは、
図14に示すように、例えば、行き先階表示部1310A、センサ部1311A,1319A、押しボタン1312A,1315A、表示灯(不図示)、開閉表示部1314A、スピーカ320A及び液晶表示部317Aを備える。
【0158】
本実施形態では、
図14に示すように、行き先階用のセンサ部1311Aと行き先階用の押しボタン1312Aとが別体で構成されており、行き先階用の押しボタン1312Aの左側に、行き先階用のセンサ部1311Aが配置されている。
【0159】
また、戸開用のセンサ部1319Aaと戸開用の押しボタン1315Aaとが別体で構成されており、戸開用の押しボタン1315Aaの下方に、戸開用のセンサ部1319Aaが配置されている。同様に戸閉用のセンサ部1319Abと戸閉用の押しボタン1315Abとが別体で構成されており、戸閉用の押しボタン1315Abの下方に、戸閉用のセンサ部1319Abが配置されている。
他の構成は、第4の実施形態と同様である。
【0160】
このように本変形例では、行き先階用のセンサ部1311Aと行き先階用の押しボタン1312Aとが別体で構成され、戸開用のセンサ部1819Aaと戸開用の押しボタン1815Baとが別体で構成されているので、主操作盤318Aにおいて押しボタンと別体で形成されたセンサ部が過検知されていると推測される状況において、安全性に配慮しつつ、いち早く過検知を回避することができ、これにより運行効率の向上を図ることができる。
【0161】
[変形例3]
警告出力を遠隔監視センタに送信するように構成した場合において、遠隔監視センタに受信した警告を行き先階呼び装置30ごとに警告が出力された時刻とともに記録しておくことができる。そして、遠隔監視センタから、警告が発生する回数が一定回数以上となる時刻になると、該当する行き先階呼び装置30に注意喚起のメッセージを出力する指示を送信し、行き先階呼び装置30側で、過去に注意喚起のメッセージ等を乗りかご1内に出力するように制御部31Bb等を構成してもよい。
【0162】
これにより、例えば、過去に9時前後に過検知が多く発生している場合は、乗りかご1内に注意喚起のメッセージが出力されることで、乗りかご1内の利用者が主操作盤318Aや車椅子用操作盤318Bから事前に離れることになり、センサ部311A,311B,319Aa,319Baによる過検知を未然に防止することができる。
【0163】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0164】
1…乗りかご、2…駆動装置、3…カウンタウェイト、4…ロープ、10…制御盤、11…制御部、12…通信部、13…記憶部、30…行き先階呼び装置、30A…第1の行き先階呼び装置、30B…第2の行き先階呼び装置、31A,31B…物体検知部、31Aa,31Ba…計時部、31Ab,31Bb…制御部、32A,32B…押下検知部、34A,34B…通信部、100,1100…エレベータ制御システム、310A,310B,810B…行き先階表示部、311A,311Aa~311Ae,311B,311Ba~311Be,811B,1311A,1311Aa~1311Ae…行き先階用のセンサ部、319Aa,319Ba,819Ba,1319Aa…戸開用のセンサ部、319Ab,319Bb,819Bb,1319Ab…戸閉用のセンサ部、312A,312Aa~312Ae,312B,312Ba~312Be,812B,1312A,1312Aa~1312Ae…行き先階用の押しボタン、315Aa,315Ba,815Ba,1315Aa…戸開用の押しボタン、315Ab,315Bb,815Bb,1315Ab…戸閉用の押しボタン、313A,313Aa~313Ae,321Aa,321Ab,313B,313Ba~313Be,321Ba,321Bb…表示灯、320A,320B…スピーカ、317A,317B…液晶表示部、318A,1318A…主操作盤、318B,1318B,801B…車椅子用操作盤。
【手続補正書】
【提出日】2024-11-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路を移動する乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の行き先階表示部と、
前記乗りかごの扉を開く指示を表示する戸開表示部と、
前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記行き先階表示部への操作を非接触で検知する複数の行き先階センサ部と、
前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部への操作を非接触で検知する戸開センサ部と、
前記複数の行き先階表示部と前記戸開センサ部とが設けられる操作盤と、
前記複数の行き先階センサ部のうち一または複数の行き先階センサ部と、前記戸開センサ部とが略同時に検知された場合であって、検知状態が第1の閾値時間継続する場合には、警告を出力部に出力させる制御部と、を備え、
前記制御部は、さらに、前記戸開センサ部が検知された場合であって、前記戸開センサ部のみの検知状態が前記第1の閾値時間より長い第2の閾値時間継続する場合には、前記警告を前記出力部に出力させる、
エレベータ制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記複数の行き先階センサ部のうち一または複数の行き先階センサ部と、前記戸開センサ部とが略同時に検知された場合に、検知された行き先階センサ部と前記戸開センサ部との距離が所定距離未満である場合で、かつ検知状態が前記第1の閾値時間継続する場合には、警告を前記出力部に出力させる、
請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、検知状態の前記行き先階センサ部または検知状態の前記戸開センサ部の少なくとも一方が非検知になった場合には、前記警告の出力を停止する、
請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項4】
昇降路を移動する乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の行き先階表示部と、
前記乗りかごの扉を開く指示を表示する戸開表示部と、
前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記行き先階表示部への操作を非接触で検知する複数の行き先階センサ部と、
前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部への操作を非接触で検知する戸開センサ部と、
前記複数の行き先階表示部と前記戸開センサ部とが設けられる操作盤と、
前記複数の行き先階センサ部のうち一または複数の行き先階センサ部と、前記戸開センサ部とが略同時に検知された場合であって、検知状態が第1の閾値時間継続する場合には、警告を出力部に出力させる制御部と、を備え、
前記制御部は、検知状態の前記行き先階センサ部および検知状態の前記戸開センサ部が第3の閾値時間経過しても非検知にならない場合には、前記行き先階センサ部および検知状態の前記戸開センサ部を非検知状態に変更して、前記警告の出力を停止する、
エレベータ制御装置。
【請求項5】
前記操作盤は、前記扉の近傍に設けられた主操作盤の高さより低い高さに設けられている車椅子用操作盤である、
請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項6】
前記操作盤は、前記扉の近傍に設けられた主操作盤である、
請求項1に記載のエレベータ制御装置。
【請求項7】
エレベータ制御装置であって、
昇降路を移動する乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の行き先階表示部と、
前記乗りかごの扉を開く指示を表示する戸開表示部と、
前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記行き先階表示部への操作を非接触で検知する複数の行き先階センサ部と、
前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部への操作を非接触で検知する戸開センサ部と、
前記複数の行き先階表示部と前記戸開センサ部とが設けられる操作盤と、
前記複数の行き先階センサ部のうち一または複数の行き先階センサ部と、前記戸開センサ部とが略同時に検知された場合であって、検知状態が第1の閾値時間継続する場合には、警告を出力部に出力させる制御部と、を備え、
前記操作盤は、前記扉の近傍に設けられた主操作盤であり、
前記エレベータ制御装置は、
前記主操作盤に設けられ、前記乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の第2の行き先階表示部と、
前記主操作盤に設けられ、前記乗りかごの扉を開く指示を表示する第2の戸開表示部と、
前記主操作盤において、前記複数の第2の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記第2の行き先階表示部への操作を非接触で検知する複数の第2の行き先階センサ部と、
前記主操作盤において、前記第2の戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記第2の戸開表示部への操作を非接触で検知する第2の戸開センサ部と、
前記複数の第2の行き先階センサ部のうち一または複数の第2の行き先階センサ部と、 前記第2の戸開センサ部とが略同時に検知された場合であって、検知状態が前記第1の閾値時間継続する場合には、前記制御部の制御とは独立して、前記警告を第2の出力部に出力させる第2の制御部と、
をさらに備えるエレベータ制御装置。
【請求項8】
前記第2の制御部は、さらに、前記第2の戸開センサ部が検知された場合であって、前記第2の戸開センサ部のみの検知状態が第2の閾値時間継続する場合には、前記制御部の制御とは独立して、前記警告を前記第2の出力部に出力させる、
請求項7に記載のエレベータ制御装置。
【請求項9】
前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、前記利用者が所定の前記行き先階表示部への操作を押下により行うことが可能な複数の行き先階押しボタンと、
前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部へのへの操作を押下により行うことが可能な戸開押しボタンと、をさらに備え、
前記複数の行き先階センサ部のそれぞれは、前記複数の行き先階押しボタンのそれぞれと一体化して設けられ、
前記戸開センサ部は、前記戸開押しボタンと一体化して設けられる、
請求項1~8のいずれか一つに記載のエレベータ制御装置。
【請求項10】
前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、前記利用者が所定の前記行き先階表示部への操作を押下により行うことが可能な複数の行き先階押しボタンと、
前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部へのへの操作を押下により行うことが可能な戸開押しボタンと、をさらに備え、
前記複数の行き先階センサ部のそれぞれは、前記複数の行き先階押しボタンのそれぞれと別体で設けられ、
前記戸開センサ部は、前記戸開押しボタンと別体で設けられる、
請求項1~8のいずれか一つに記載のエレベータ制御装置。
【請求項11】
エレベータ制御装置で実行されるエレベータ制御方法であって、
前記エレベータ制御装置は、
昇降路を移動する乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の行き先階表示部と、
前記乗りかごの扉を開く指示を表示する戸開表示部と、
前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記行き先階表示部への操作を非接触で検知する複数の行き先階センサ部と、
前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部への操作を非接触で検知する戸開センサ部と、
前記複数の行き先階表示部と前記戸開センサ部とが設けられる操作盤と、を備え、
前記複数の行き先階センサ部のうち一または複数の行き先階センサ部と、前記戸開センサ部とが略同時に検知された場合であって、検知状態が第1の閾値時間継続する場合には、警告を出力部に出力させる制御ステップ、を含み、
前記制御ステップは、さらに、前記戸開センサ部が検知された場合であって、前記戸開センサ部のみの検知状態が前記第1の閾値時間より長い第2の閾値時間継続する場合には、前記警告を前記出力部に出力させる、
エレベータ制御方法。
【請求項12】
エレベータ制御装置のコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記エレベータ制御装置は、
昇降路を移動する乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の行き先階表示部と、
前記乗りかごの扉を開く指示を表示する戸開表示部と、
前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記行き先階表示部への操作を非接触で検知する複数の行き先階センサ部と、
前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部への操作を非接触で検知する戸開センサ部と、
前記複数の行き先階表示部と前記戸開センサ部とが設けられる操作盤と、を備え、
前記複数の行き先階センサ部のうち一または複数の行き先階センサ部と、前記戸開センサ部とが略同時に検知された場合であって、検知状態が第1の閾値時間継続する場合には、警告を出力部に出力させる制御ステップ、を前記コンピュータに実行させ、
前記制御ステップは、さらに、前記戸開センサ部が検知された場合であって、前記戸開センサ部のみの検知状態が前記第1の閾値時間より長い第2の閾値時間継続する場合には、前記警告を前記出力部に出力させる、
プログラム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
実施形態のエレベータ制御装置は、昇降路を移動する乗りかごの行き先階をそれぞれ表示する複数の行き先階表示部と、前記乗りかごの扉を開く指示を表示する戸開表示部と、前記複数の行き先階表示部にそれぞれ対応して設けられ、利用者による所定の前記行き先階表示部への操作を非接触で検知する複数の行き先階センサ部と、前記戸開表示部に対応して設けられ、利用者による前記戸開表示部への操作を非接触で検知する戸開センサ部と、前記複数の行き先階表示部と前記戸開センサ部とが設けられる操作盤と、前記複数の行き先階センサ部のうち一または複数の行き先階センサ部と、前記戸開センサ部とが略同時に検知された場合であって、検知状態が第1の閾値時間継続する場合には、警告を出力部に出力させる制御部と、を備え、前記制御部は、さらに、前記戸開センサ部が検知された場合であって、前記戸開センサ部のみの検知状態が前記第1の閾値時間より長い第2の閾値時間継続する場合には、前記警告を前記出力部に出力させる。