(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179220
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】車両用充電システムおよび方法並びに車両用送電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/02 20160101AFI20241219BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241219BHJP
H02J 50/10 20160101ALI20241219BHJP
H02J 50/40 20160101ALI20241219BHJP
B60L 58/18 20190101ALI20241219BHJP
B60L 53/12 20190101ALI20241219BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20241219BHJP
【FI】
H02J7/02 F
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/10
H02J50/40
B60L58/18
B60L53/12
B60L58/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097891
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹山 泰
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA08
5G503DA04
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB08
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC25
5H125BC21
5H125DD02
5H125EE27
5H125EE30
(57)【要約】
【課題】車両用充電システムおよび方法並びに車両用送電システムにおいて、車両用充電システムへの充電時間(電力供給時間)の短縮化を図る。
【解決手段】非接触で受電する受電部と、第1充電電力密度と第1電力密度を有して受電部が受電した電力を充電する第1電池と、第1電力密度より低い第2充電電力密度と第1電力密度より高い第2電力密度を有して駆動部に電力を供給する第2電池と、第1電池に蓄電された電力を第2電池に供給する充放電経路と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触で受電する受電部と、
第1充電電力密度と第1電力密度を有して前記受電部が受電した電力を充電する第1電池と、
前記第1電力密度より低い第2充電電力密度と前記第1電力密度より高い第2電力密度を有して駆動部に電力を供給する第2電池と、
前記第1電池に蓄電された電力を前記第2電池に供給する充放電経路と、
を備える車両用充電システム。
【請求項2】
前記受電部が受電した電力を前記第1電池に供給する第1充電経路と、前記受電部が受電した電力を前記第2電池に供給する第2充電経路とを有する、
請求項1に記載の車両用充電システム。
【請求項3】
前記第1電池および前記第2電池の充放電を制御する制御部を有し、前記制御部は、前記受電部が受電した電力を第1電池に充電し、前記第1電池に蓄電された電力を前記充放電経路により前記第2電池に供給する、
請求項1または請求項2に記載の車両用充電システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1電池の非充電時に、前記第1電池に蓄電された電力を前記充放電経路により前記第2電池に供給し、前記第2電池に蓄電された電力を前記駆動部に供給する、
請求項3に記載の車両用充電システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1電池の充電率が予め設定された規定充電率に到達すると、前記第1電池に蓄電された電力を前記充放電経路により前記第2電池に供給し、前記第2電池に蓄電された電力を前記駆動部に供給する、
請求項3に記載の車両用充電システム。
【請求項6】
前記第1電池の電力容量と前記第2電池との電力容量は、車両が送電部を有する走行路を走行する第1時間および車両が前記送電部を有しない走行路を走行する第2時間、前記送電部から前記受電部に供給する電力、特性が異なる前記第1電池と前記第2電池に対して、前記第1電池で使用するSOC範囲と前記第2電池で使用するSOC範囲、前記第1時間と前記第2時間とを1サイクルとして前記第2電池が満充電となるまでのサイクル数のうちの少なくともいずれか一つの構成要素から算出される、
請求項1に記載の車両用充電システム。
【請求項7】
前記第1電池および前記第2電池は、車両が走行する走行路に設けられた送電部または所定の位置に設置された充電装置から充電可能である、
請求項1に記載の車両用充電システム。
【請求項8】
前記第1電池から前記第2電池への充放電時間に対する前記第1電池による充電時間の割合は、1/3~1/5の範囲に設定される、
請求項1に記載の車両用充電システム。
【請求項9】
第1充電電力密度と第1電力密度を有する第1電池と、
前記第1電力密度より低い第2充電電力密度と前記第1電力密度より高い第2電力密度を有する第2電池と、
を備え、
前記第1電池が非接触充電を行う工程と、
前記第1電池に蓄電された電力を前記第2電池に供給する工程と、
前記第2電池に蓄電された電力を駆動部に供給する工程と、
を有する車両用充電方法。
【請求項10】
第1充電電力密度と第1電力密度を有する第1電池と、前記第1電力密度より低い第2充電電力密度と前記第1電力密度より高い第2電力密度を有する第2電池とが搭載された車両が走行する走行路に、前記第1電池に非接触で送電する複数の送電部が前記走行路の長手方向に所定長さをあけて交互に配置される車両用送電システム。
【請求項11】
前記所定長さに対する前記送電部の長さは、前記第1電池から前記第2電池への充放電時間に対する前記第1電池による充電時間の割合である1/3~1/5の範囲に設定される、
請求項10に記載の車両用送電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用充電システムおよび方法並びに車両用送電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気自動車は、バッテリと電気モータとを搭載し、バッテリに蓄えられた電力を電気モータに供給して駆動し、電気モータにより車輪を回転させて走行する。電気自動車は、バッテリの蓄電量が減少したとき、充電設備に接続してバッテリの充電を行う。近年、充電設備として、電気自動車化の走行中にバッテリに充電を行うワイヤレス充電システムが各種提案されている。従来の非接触式充電システムとしては、例えば、下記特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
また、電気自動車に搭載されたバッテリの蓄電量が減少したとき、バッテリに対して短時間で充電できることが好ましい。急速充電装置の技術としては、例えば、下記特許文献2に記載されたものがあり、外部蓄電池への充電が可能な蓄電池として、急速充電用蓄電池と汎用蓄電池を備えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-191106号公報
【特許文献2】特開2012-019602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両用充電システムにおいて、バッテリへの充電時間をさらに短くすることが望まれている。
【0006】
本開示は、上述した課題を解決するものであり、車両用充電システムへの充電時間(電力供給時間)の短縮化を図る車両用充電システムおよび方法並びに車両用送電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本開示の車両用充電システムは、非接触で受電する受電部と、第1充電電力密度と第1電力密度を有して前記受電部が受電した電力を充電する第1電池と、前記第1電力密度より低い第2充電電力密度と前記第1電力密度より高い第2電力密度を有して駆動部に電力を供給する第2電池と、前記第1電池に蓄電された電力を前記第2電池に供給する充放電経路と、を備える。
【0008】
また、本開示の車両用充電方法は、第1充電電力密度と第1電力密度を有する第1電池と、前記第1電力密度より低い第2充電電力密度と前記第1電力密度より高い第2電力密度を有する第2電池と、を備え、前記第1電池が非接触充電を行う工程と、前記第1電池に蓄電された電力を前記第2電池に供給する工程と、前記第2電池に蓄電された電力を駆動部に供給する工程と、を有する。
【0009】
また、本開示の車両用送電システムは、第1充電電力密度と第1電力密度を有する第1電池と、前記第1電力密度より低い第2充電電力密度と前記第1電力密度より高い第2電力密度を有する第2電池とが搭載された車両が走行する走行路に、前記第1電池に非接触で送電する複数の送電部が前記走行路の長手方向に所定長さをあけて交互に配置される車両用送電システムであって、前記所定長さに対する前記送電部の長さは、前記第1電池から前記第2電池への充放電時間に対する前記第1電池による充電時間の割合である1/3~1/5の範囲に設定される。
【発明の効果】
【0010】
本開示の車両用充電システムおよび方法並びに車両用送電システムによれば、車両用充電システムへの充電時間(電力供給時間)の短縮化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態の車両用充電システムを表すブロック構成図である。
【
図2】
図2は、車両用充電システムにおける充電制御を説明するための説明図である。
【
図3】
図3は、充電時間に対するSOCを表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を参照して、本開示の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。また、実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。
【0013】
<車両用充電システム>
図1は、本実施形態の車両用充電システムを表すブロック構成図である。
【0014】
図1に示すように、車両10は、電気自動車であって、車体11と、複数の車輪12と、電気モータ(駆動部)13と、車両用充電システム14とを備える。
【0015】
車両用充電システム14は、受電部20と、第1電池21と、第2電池22と、第1充電経路23と、第2充電経路24と、充放電経路25と、制御部26とを備える。第1充電経路23は、DC/DCコンバータ31が設けられ、第2充電経路24は、DC/DCコンバータ32が設けられ、充放電経路25は、DC/DCコンバータ33が設けられる。
【0016】
一方、走行路40は、車両10が走行可能であり、車両用送電システム41が設けられる。車両用送電システム41は、送電部42が走行路40の長手方向(車両10の走行方向)に所定間隔を空けて複数配置される。
【0017】
<車両用充電システム>
受電部20は、車体11の下部に配置される。受電部20は、走行路40に配置された車両用送電システム41の送電部42に対向したとき、非接触で受電可能である。
【0018】
第1電池21と第2電池22は、リチウム電池である。第1電池21と第2電池22は、機能が相違する。すなわち、第1電池21は、第1充電電力密度と第1電力密度を有する。第2電池22は、第2充電電力密度と第2電力密度を有する。ここで、第1電力密度は、第2充電電力密度より高い。第2電力密度は、第1電力密度より高い。
【0019】
充電電力密度(W/kgまたはW/l)は、単位重量または単位体積当たりの充電量である。電力密度(Wh/kgまたはWh/l)は、単位重量または単位体積当たりの電力量である。すなわち、充電電力密度が高い第1電池21は、高速充電可能であり、高い充電レートで充電が可能である。電力密度が高い第2電池22は、大容量充電可能である。
【0020】
第1電池21は、第1充電経路23を介して受電部20に接続される。第1電池21は、受電部20が受電した電力は、第1充電経路23を介して第1電池21に供給され、第1電池21は、受電部20が受電した電力を充電する。
【0021】
第2電池22は、第2充電経路24を介して受電部20に接続される。第2電池22は、受電部20が受電した電力は、第2充電経路24を介して第2電池22に供給され、第2電池22は、受電部20が受電した電力を充電する。
【0022】
また、第1電池21は、第2充電経路25介して第2電池22に接続される。第1電池21に蓄電された電力は、充放電経路25を介して第2電池22に供給され、第2電池22が充電する。すなわち、第1電池21が放電した電力を充放電経路25により第2電池22が充電する。
【0023】
第2電池22は、電力供給経路27を介して電気モータ13に接続される。第2電池22は、受電部20から受電した電力または蓄電した電力を電力供給経路27を介して電気モータ13に供給する。電気モータ13は、車輪12に駆動連結され、車輪12を駆動回転可能である。
【0024】
DC/DCコンバータ31,32は、受電部20から受電した電力の電圧を変換する。
DC/DCコンバータ33は、第1電池21に蓄電された電力の電圧を変換する。車両用充電システム14は、受電部20と第1電池21と第2電池22との間で、電圧と電流を制御する定電流定電圧充電方式であるCCCV(Constant Current Constant Voltage)充電制御を行う。CCCV充電は、初めに一定の電流で充電を行い、電池電圧が指定の値に到達したら一定の電圧に制御を切り替えて充電を続け、過電圧充電状態を避けつつ満充電まで充電を行う。放電から充電に移行したとき、時間の経過に伴って電池の電流は一定であるが、電圧が上昇する。そして、電圧が上限値に近づくと、電圧を一定とし、電流は下降する。制御部26は、DC/DCコンバータ31,32,33を制御してCCCV充電制御を行う。但し、DC/DCコンバータ31は、定電力制御とすることも可能であり、CCCV充電制御に限定されるものではない。
【0025】
なお、車両用充電システム14は、DC/DCコンバータ31,32,33を第1充電経路23、第2充電経路24、充放電経路25にそれぞれ設け、受電部20から第1電池21と第2電池22とに充電する経路をそれぞれ設けてもよい。また、DC/DCコンバータ31,32,33についても、DC/DCコンバータ32をなくした場合、すなわち、受電部20からの第2充電経路24がない場合、受電部20から第1充電経路23と充放電経路25により第2電池22に供給されるときの電力変換効率は、DC/DCコンバータ32がある場合に比べて低下するが、車両用充電システム14のコストを抑えることが可能となる。このように車両用充電システム14は、DC/DCコンバータ32を必ず有する必要はなく、コストや性能を考慮し、これを削除した構成としてもよい。
【0026】
制御部26は、第1電池21および第2電池22の充放電を制御する。すなわち、制御部26は、DC/DCコンバータ31,32,33を制御することで、第1電池21および第2電池22の充電や放電を制御する。
【0027】
制御部26は、DC/DCコンバータ31,32を制御することで、受電部20が受電した電力を第1電池21および第2電池22に充電させる。制御部26は、受電部20が受電した電力を第1電池21に充電し、第1電池21に蓄電された電力を充放電経路25により第2電池22に供給する。具体的に、制御部26は、第1電池21の非充電時に、第1電池21に蓄電された電力を充放電経路25により第2電池22に供給する。電気モータ13には、第2電池22から電力が供給され、状況によってはこの電力には第1電池21からの供給電力も含まれる。
【0028】
なお、車両用充電システム14は、第1充電経路23と第2充電経路24とを有することで、第1電池21と第2電池22は、第1充電経路23と第2充電経路24により受電部20から同時に充電を行うことができる。但し、車両用充電システム14は、この構成に限定されるものではない。例えば、第2充電経路24をなくし、受電部20は、第1充電経路23により第1電池21だけに電力を供給するように構成してもよい。この構成において受電部20が受電している場合の第2電池22のへの充電は、第1電池21を介した経路により実施されることになる。
【0029】
<第1電池21および第2電池22の充電制御>
図2は、車両用充電システムにおける充電制御を説明するための説明図、
図3は、充電時間に対するSOCを表すグラフである。
【0030】
図1および
図2に示すように、車両用充電システム14は、第1電池21のSOCが10%、第2電池22のSOCが0%の状態で、車両10が走行して充電を開始した場合について説明する。まず、車両10は、受電部20が送電部42に対向した状態で、時間T1(例えば、5分)だけ走行する。このとき、第1電池21は、SOCが10%から、例えば、80%まで上昇する。一方、第2電池22は、SOCが0%から2.75%だけ上昇する。
【0031】
次に、車両10は、受電部20が送電部42に対向していない状態で、時間T2(例えば、15分)だけ走行する。このとき、第1電池21は、充電されずに、第1電池21の電力が第2電池22に給電され、第1電池21は、SOCが、例えば、80%から10%まで下降する。また、第2電池22は、SOCが第1電池21から移行した電力量だけ上昇し、SOCは、11%となる。
【0032】
車両10は、このような走行状態の組合せ(時間T1+T2)が3回繰り返されることで、第2電池のSOCが33%になる。そして、車両10は、このような走行状態を3セット行うことで、第2電池のSOCが99%になる。なお、ここでは、車両10の走行時に、電気モータ13が消費する電力を0とし、すべての系の損失(電池の充放電やDC/DCコンバータによる変換や経路などにおける損失)はないものとして説明している。
【0033】
この場合、まず、受電部20が送電部42に対向した状態で走行し、第1電池21が受電部20から充電している状態である時間T1(例えば、5分)を設定する。また、受電部20が送電部42に対向していない状態で走行し、第1電池21の電力を第2電池22に充電している状態である時間T2(例えば、15分)を設定する。ここで、T1:T2=1:3としたが、この割合に限定されるものではない。例えば、T1:T2=1:3~=1:5の範囲であることが好ましい。つまり、第1電池21から第2電池22への充放電時間に対する第1電池21による充電時間の割合は、1/3~1/5の範囲に設定されることが好ましい。
【0034】
また、第1電池21と第2電池22の充電レートが設定される。
図3に示すように、充電時間に対するSOCの充電レートには、10C,8C,6C,4Cなどがある。本実施形態にて、時間T1=5分としたことで、第1電池21の充電レートを10Cに設定する。充電レート10Cであれば、5分でSOC80%まで充電可能である。また、時間T2=15分としたことで、第2電池22の充電レートを1/3Cに設定する。充電レート1/3Cであれば、15分で第1電池21から第2電池22に充電可能である。このような条件を維持できるように、第1電池21と第2電池22の電力容量が設定される。すなわち、第1電池21の電力容量と第2電池22との電力容量の割合は、10:1.2に設定される。
【0035】
但し、第1電池21の電力容量と第2電池22との電力容量の割合は、これに限定されるものではない。第1電池21の電力容量と第2電池22との電力容量は、以下の構成要素のうち、重視する構成要素を特定の適用範囲の組み合わせを考慮し、求められる最適な組み合わせとすればよい。
構成要素1-
図2の時間T1,T2
構成要素2-送電部42から受電部20に供給する電力
構成要素3-特性が異なる第1電池21と第2電池22に対して、第1電池21で使用するSOC範囲と第2電池22で使用するSOC範囲
構成要素4-構成要素1を1サイクルとして、第2電池22が満充電とするまでのサイクル数
このような構成要素などの値を決定することで、第1電池21の電力容量と第2電池22との電力容量を決めることができる。なお、電力容量を先に決定して他の要素を決定していくと、残された要素が決まる。ここで、特定の適用範囲の組み合わせとは、例えば、コストや満充電までの時間等を優先する組合せであり、上記の構成要素を決定する順序は使用者が最適な用件で適宜決定すればよい。
【0036】
なお、構成要素を選択する場合、全ての構成要素1,2,3,4が必須のものとする必要はなく、少なくとも一つの構成要素が含まれていればよい。また、構成要素1,2,3,4のうちの少なくとも一つの構成要素に加えて、別の構成要素を追加してもよい。別の構成要素としては、例えば、電気モータ13の消費電力などである。そして、例えば、市場の規格品から部品を選定すると、計算通りならないケースがあるが、この場合は、計算に近い値になる部品の組み合わせから選定する決定方法としてもよい。また、コストを優先し、計算結果から許容することができる範囲であれば、計算に近い値から離れた部品の組み合わせから選定する決定方法としてもよい。
【0037】
<車両用送電システム>
図1および
図2に示すように、車両用送電システム41は、走行路40に車両10の受電部20に非接触で送電する複数の送電部42を有する。複数の送電部42は、走行路40の長手方向に所定長さをあけて交互に配置される。そして、走行路40の長手方向で、送電部42の長さと送電部がないところの長さ(所定長さ)の割合は、上述したT1:T2=1:3に対応したものである。但し、所定長さに対する送電部42の長さは、第1電池21から第2電池22への充放電時間に対する第1電池21による充電時間の割合である1/3~1/5の範囲に設定されることが好ましい。
【0038】
[本実施形態の作用効果]
第1の態様に係る車両用充電システムは、非接触で受電する受電部20と、第1充電電力密度と第1電力密度を有して受電部20が受電した電力を充電する第1電池21と、第1電力密度より低い第2充電電力密度と第1電力密度より高い第2電力密度を有して電気モータ(駆動部)13に電力を供給する第2電池22と、第1電池21に蓄電された電力を第2電池に供給する充放電経路25とを備える。
【0039】
第1の態様に係る車両用充電システムによれば、充電電力密度が高い第1電池21と電力密度が高い第2電池を適用し、第1電池21の電力を第2電池に充電可能とすることで、第1電池21を外部からの入力用電池として機能させ、第2電池を外部への出力用として機能させることとなる。その結果、車両用充電システムへの充電時間(電力供給時間)の短縮化を図ることができる。
【0040】
第2の態様に係る車両用充電システムは、第1の態様に係る車両用充電システムであって、さらに、受電部20が受電した電力を第1電池21に供給する第1充電経路23と、受電部20が受電した電力を第2電池22に供給する第2充電経路24とを有する。これにより、第1電池21および第2電池22は、受電部20から同時に充電することができる。
【0041】
第3の態様に係る車両用充電システムは、第1の態様または第2の態様に係る車両用充電システムであって、第1電池21および第2電池22の充放電を制御する制御部26を有し、制御部26は、受電部20が受電した電力を第1電池21に充電し、第1電池21に蓄電された電力を充放電経路25により第2電池22に供給する。これにより、第2電池22の充電を効率良く行うことができる。
【0042】
第4の態様に係る車両用充電システムは、第3の態様に係る車両用充電システムであって、制御部26は、第1電池21の非充電時に、第1電池21に蓄電された電力を充放電経路25により第2電池22に供給し、第2電池22に蓄電された電力を電気モータ13に供給する。これにより、電力を適切に電気モータ13に供給することができる。
【0043】
第5の態様に係る車両用充電システムは、第3の態様に係る車両用充電システムであって、さらに、制御部26は、第1電池21の充電率が予め設定された規定充電率(例えば、80%)に到達すると、第1電池21に蓄電された電力を充放電経路25により第2電池22に供給し、第2電池22に蓄電された電力を電気モータ13に供給する。これにより、第1電池21は、効率良く受電部20から充電可能であると共に、適切に第2電池22に電力を移行させることができる。
【0044】
第6の態様に係る車両用充電システムは、第1の態様から第3の態様のいずれか一つに係る車両用充電システムであって、さらに、第1電池21の電力容量と第2電池22との電力容量の割合は、車両10が送電部42を有する走行路40を走行する第1時間T1および車両10が送電部42を有しない走行路40を走行する第2時間T2、送電部42から受電部20に供給する電力、特性が異なる第1電池21と第2電池22に対して、第1電池21で使用するSOC範囲と第2電池22で使用するSOC範囲、第1時間T1と第2時間T2とを1サイクルとして第2電池22が満充電となるまでのサイクル数のうちの少なくともいずれか一つの構成要素から算出される。これにより、第1電池21と第2電池22の各電力容量を適切に設定し、第2電池22の軽量化を図ることができる。
【0045】
第7の態様に係る車両用充電システムは、第1の態様から第6の態様のいずれか一つに係る車両用充電システムであって、さらに、第1電池21および第2電池22は、車両10が走行する走行路40に設けられた送電部42または所定の位置に設置された充電装置から充電可能である。これにより、第1電池21および第2電池22への充電を適切に行うことができる。
【0046】
第8の態様に係る車両用充電システムは、第1の態様から第4の態様のいずれか一つに係る車両用充電システムであって、さらに、第1電池21から第2電池22への充放電時間に対する第1電池21による充電時間の割合は、1/3~1/5の範囲に設定される。これにより、受電部20からの第1電池21の充電と第1電池21から第2電池22への充電を効率良く行うことができる。
【0047】
第9の態様に係る車両用充電方法は、第1充電電力密度と第1電力密度を有する第1電池21と、第1電力密度より低い第2充電電力密度と第1電力密度より高い第2電力密度を有する第2電池22とを備え、第1電池21が非接触充電を行う工程と、第1電池に蓄電された電力を第2電池22に供給する工程と、第2電池22に蓄電された電力を電気モータ13に供給する工程とを有する。これにより、車両用充電システムへの充電時間(電力供給時間)の短縮化を図ることができる。
【0048】
第10の態様に係る車両用送電システムは、走行路40に第1電池21に非接触で送電する複数の送電部42が走行路40の長手方向に所定長さをあけて交互に配置される。これにより、電池への充電時間の短縮化を図ることができる。
【0049】
第11の態様に係る車両用送電システムは、第10の態様に係る車両用送電システムであって、さらに、所定長さに対する送電部42の長さは、第1電池21から第2電池22への充放電時間に対する第1電池21による充電時間の割合である1/3~1/5の範囲に設定される。これにより、第1電池21に対する送電を適切に行うことができる。
【0050】
なお、上述した実施形態では、第1電池21と第2電池22をそれぞれ1個ずつ車両10に搭載したが、第1電池21と第2電池22の数は、2個以上であってもよい。
【0051】
また、上述した実施形態では、車両10が送電部42を有する走行路40を走行したとき、第1電池21および第2電池22が充電されると共に、第1電池21の電力を第2電池22に給電し、車両10が送電部42のない走行路40を走行したとき、第1電池21の電力を第2電池22に給電するものとして説明したが、この構成に限定されるものではない。例えば、車両10がサービスエリアやパーキングエリアなどに停止しているとき、サービスエリアやパーキングエリアなどに設置された充電装置を用いて第1電池21に充電を行う。その後、車両10が送電部42のない走行路40を走行したとき、第1電池21の電力を第2電池22に給電するように構成してもよい。すなわち、
図2にて、時間T1のとき、車両10は、サービスエリアやパーキングエリアなどに停止した状態で、第1電池21は、充電装置を用いて充電されることで、SOCが上昇する。そして、時間T2のとき、車両10は、送電部42のない走行路40を走行した状態で、第1電池21の電力を第2電池22に給電する。そのため、走行路40に送電部42のない走行路40を継続して走行した場合であっても、第2電池22は所定量の電力を維持することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 車両
11 車体
12 車輪
13 電気モータ(駆動部)
14 車両用充電システム
20 受電部
21 第1電池
22 第2電池
23 第1充電経路
24 第2充電経路
25 充放電経路
26 制御部
27 電力供給経路
31,32,33 DC/DCコンバータ
40 走行路
41 車両用送電システム
42 送電部