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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179225
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】集塵容器、および掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/16 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
A47L9/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097907
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中西 邦行
【テーマコード(参考)】
3B062
【Fターム(参考)】
3B062AH02
3B062AH05
(57)【要約】
【課題】集塵容器を小型化する。
【解決手段】集塵容器100は、一方が閉塞し他方が開口する筒状の第一分離部材110と、前記第一分離部材110の外周面に設けられ、前記第一分離部材110の周壁に設けられた吸引孔に連通する吸引管130と、前記閉塞部から開口部に向かう管軸の方向において、前記第一分離部材110の開口端から外側に向かって延在する筒状のフィルタ部材150と、前記フィルタ部材150に対し前記第一分離部材110の反対側に配置され、前記第一分離部材110の内方に発生する旋回気流により空気から遠心分離される塵埃を貯留する第一貯留部161と、前記第一分離部材110の内周面から内側に向かって突出し前記管軸の周りに螺旋状に延在する案内部材190と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方が閉塞し他方が開口する筒状の第一分離部材と、
前記第一分離部材の外周面に設けられ、前記第一分離部材の周壁に設けられた吸引孔に連通する吸引管と、
閉塞部から開口部に向かう管軸の方向において、前記第一分離部材の開口端から外側に向かって延在する筒状のフィルタ部材と、
前記フィルタ部材に対し前記第一分離部材の反対側に配置され、前記第一分離部材の内方に発生する旋回気流により空気から遠心分離される塵埃を貯留する第一貯留部と、
前記第一分離部材の内周面から内側に向かって突出し前記管軸の周りに螺旋状に延在する案内部材と、
を備える集塵容器。
【請求項2】
前記吸引孔の開口面積は、前記吸引孔に対向する前記吸引管の開口面積より小さく、前記吸引孔は、前記吸引管に対し前記旋回気流の下流側に偏在する
請求項1に記載の集塵容器。
【請求項3】
前記案内部材の一端部は、前記管軸の方向における前記吸引孔の間、かつ前記吸引孔の周縁部に配置され、他端部は、前記フィルタ部材側に配置される
請求項1または2に記載の集塵容器。
【請求項4】
前記吸引孔は、前記閉塞部から所定の隙間を空けて配置される
請求項1または2に記載の集塵容器。
【請求項5】
前記フィルタ部材は、前記第一貯留部に向かって広がる
請求項1または2に記載の集塵容器。
【請求項6】
前記第一分離部材の閉塞部の中央から開口部に向かって突出する柱状、または開口部に向かってすぼむ形状の突出部材を備える
請求項1または2に記載の集塵容器。
【請求項7】
前記管軸の方向において、前記突出部材の先端は、前記吸引孔よりも前記閉塞部側に配置される
請求項6に記載の集塵容器。
【請求項8】
前記管軸の方向において、前記第一分離部材の長さは、前記フィルタ部材の長さより長い請求項1または2に記載の集塵容器。
【請求項9】
請求項1または2に記載の集塵容器と、
前記第一分離部材の内側を、前記フィルタ部材を介して負圧にする吸引装置と、
を備えた掃除機。
【請求項10】
吸引経路において、前記フィルタ部材と前記吸引装置との間に介在配置される第二分離部材を備える
請求項9に記載の掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠心力により空気と塵埃とを分離する集塵容器、および当該集塵容器を備える掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、掃除機において、集塵容器内に旋回流を発生させることで、集塵容器へのゴミ詰まりを防いで吸引力を維持することが可能な掃除機が存在している。例えば、特許文献1には、円筒状の集塵容器の内側に塵埃を含む旋回流を発生させ、遠心力により空気と塵埃とを分離する掃除機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-061307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、小型の掃除機を実現するためには集塵容器も小さくする必要があるが、集塵容器の内径が小さくなると旋回流を作ることが難しくなる。例えば、小型の集塵容器内で適切な旋回流を作るためには、集塵容器の周壁に設ける吸入口を細くする必要が生じるが、大きいゴミを吸い込んだ時に吸入口が詰まってしまう恐れがある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、小型化が可能な集塵容器、および当該集塵容器を備える掃除機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の1つである集塵容器は、一方が閉塞し他方が開口する筒状の第一分離部材と、前記第一分離部材の外周面に設けられ、前記第一分離部材の周壁に設けられた吸引孔に連通する吸引管と、前記閉塞部から開口部に向かう管軸の方向において、前記第一分離部材の開口端から外側に向かって延在する筒状のフィルタ部材と、前記フィルタ部材に対し前記第一分離部材の反対側に配置され、前記第一分離部材の内方に発生する旋回気流により空気から遠心分離される塵埃を貯留する第一貯留部と、前記第一分離部材の内周面から内側に向かって突出し前記管軸の周りに螺旋状に延在する案内部材と、を備える。
【0007】
また、上記目的を達成するために本発明の1つである掃除機は、一方が閉塞し他方が開口する筒状の第一分離部材と、前記第一分離部材の外周面に設けられ、前記第一分離部材の周壁に設けられた吸引孔に連通する吸引管と、前記閉塞部から開口部に向かう管軸の方向において、前記第一分離部材の開口端から外側に向かって延在する筒状のフィルタ部材と、前記フィルタ部材に対し前記第一分離部材の反対側に配置され、前記第一分離部材の内方に発生する旋回気流により空気から遠心分離される塵埃を貯留する第一貯留部と、前記第一分離部材の内周面から内側に向かって突出し前記管軸の周りに螺旋状に延在する案内部材と、を備える集塵容器と、前記第一分離部材の内側を、前記フィルタ部材を介して負圧にする吸引装置と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型であっても空気と塵埃との分離に適した旋回流を発生可能な集塵容器、および集塵容器を備えた掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】掃除機を示す斜視図である。
図2】集塵容器の外観を示す斜視図である。
図3】集塵容器の断面図である。
図4】吸引管の管軸方向において集塵容器の外側から内側を望む側面図である。
図5図4のI-I線で第一分離部材を切断した状態を示す断面図である。
図6】第一分離部材の別例を示す断面図である。
図7】突出部材の別例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る集塵容器、および掃除機の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を説明するために一例を挙示するものであり、本発明を限定する主旨ではない。例えば、以下の実施の形態において示される形状、構造、材料、構成要素、相対的位置関係、接続状態、数値、数式、方法における各段階の内容、各段階の順序などは、一例であり、以下に記載されていない内容を含む場合がある。また、平行、直交などの幾何学的な表現を用いる場合があるが、これらの表現は、数学的な厳密さを示すものではなく、実質的に許容される誤差、ずれなどが含まれる。また、同時、同一などの表現も、実質的に許容される範囲を含んでいる。
【0011】
また、図面は、本発明を説明するために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる。また、図中に示す場合があるX軸、Y軸、Z軸は、図の説明のために任意に設定した直交座標を示している。つまりZ軸は、鉛直方向に沿う軸とは限らず、X軸、Y軸は、水平面内に存在するとは限らない。
【0012】
また、以下では複数の発明を一つの実施の形態として包括的に説明する場合がある。また、以下に記載する内容の一部は、本発明に関する任意の構成要素として説明している。
【0013】
図1は、掃除機200を示す斜視図である。掃除機200は、塵埃と共に空気を吸引し、吸引した空気から塵埃を分離して保持する装置であって、集塵容器100と、吸引装置210とを備えている。ここで、「塵埃」は、掃除機200が吸引することができる大きさのゴミ、ホコリ、チリ、ダニなどの生物等を含むものとして用いている。本実施の形態の場合、掃除機200は、いわゆるスティック型の装置であって、ヘッド220と、パイプ230と、把持部240とを備えている。なお、本実施の形態ではスティック型の掃除機200を例示するが、掃除機200は、キャニスター型でもよく、自律走行可能なロボット型などでもよい。
【0014】
吸引装置210は、モーター(不図示)、およびファン(不図示)を備え、モーターによりファンを回転させて吸引力を発生させる装置である。本実施の形態の場合、吸引装置210は、集塵容器100の内側を負圧にすることにより吸引力を発生させ、塵埃を含む空気を集塵容器100内に吸い込ませる。
【0015】
ヘッド220は、パイプ230を介して吸引装置210が発生させた吸引力が伝達され、例えば床面などの掃除面に接触して広範囲にわたって空気と共に塵埃を吸引する部材である。ヘッド220は、パイプ230と連通状態で接続されパイプ230に対して回動可能に接続されている。
【0016】
パイプ230は、ヘッド220と把持部240とを介在状態で接続する硬質筒状の部材である。パイプ230は、ヘッド220から塵埃と共に吸い込まれた空気を集塵容器100まで搬送する搬送経路を形成する。
【0017】
把持部240は、ユーザーが把持する部分である。本実施の形態の場合、把持部240には、吸引装置210を駆動するためのバッテリー、吸引装置210を制御するための制御装置などが収容されている。
【0018】
図2は、集塵容器100の外観を示す斜視図である。矢印は空気の流れを示している。図3は、集塵容器100の断面図である。集塵容器100は、吸引装置210により吸引された空気と塵埃とを分離し、塵埃を保持し、空気を排出する部材であり、第一分離部材110と、吸引管130と、フィルタ部材150と、第一貯留部161と、案内部材190と、を備える。本実施の形態の場合、集塵容器100は、第二分離部材120と、第二貯留部162と、蓋部材170と、外筒180と、を備える。
【0019】
第一分離部材110は、一方が閉塞し他方が開口する筒状の部材であり、塵埃を含む空気を旋回させ遠心力により塵埃と空気を分離する。第一分離部材110の形状は、限定されるものではないが、本実施の形態の場合、第一分離部材110は、円筒形状であり、一端部(図中Z+側(上側)端部)が閉塞部112に覆われ、他端部(図中Z-側(下側)端部)が開口部113となっている。第一分離部材110の周壁には、塵埃を含む空気が流れ込む吸引孔111が設けられている。なお、第一分離部材110の管軸に垂直な断面形状は、D字形状などでもかまわない。断面がD字形状の第一分離部材110など、第一分離部材110の内面に隅部が存在する場合、隅部は滑らかな曲面で丸められることが望ましい。
【0020】
第一分離部材110の管軸方向(図中Z軸方向)において、第一分離部材110の長さL1は、フィルタ部材150(詳細は後述)の長さL2より長い。これにより、第一分離部材110内で塵埃を含む空気を十分に旋回させることができ、効果的に塵埃を空気から分離することができる。なお、フィルタ部材150の長さL2は、第一分離部材110の長さL1の半分以上、8割以下であることが好ましい。フィルタ部材150の長さL2が第一分離部材110の長さL1の半分未満の場合、フィルタ部材150における圧力損失により塵埃を含んだ空気を十分に吸引できない恐れがある。フィルタ部材150の長さL2が第一分離部材110の長さL1の8割より長いと、集塵容器100全体の長さが長くなり、掃除機200の取り回し性の悪化が懸念される。
【0021】
吸引管130は、第一分離部材110の外周面に設けられ、第一分離部材110の周壁に貫通状に設けられた吸引孔111に連通する管状の部材である。本実施の形態の場合、吸引管130は、掃除機200のパイプ230と連通状態で接続される。吸引装置210により吸引された塵埃を含む空気がヘッド220、およびパイプ230を介して吸引管130に流入する。
【0022】
図4は、吸引管130の管軸方向(図中X軸方向)において集塵容器100の外側から内側を望む側面図である。なお図4において、吸引孔111を明示するために、第一分離部材110にハッチングを施している。また、案内部材190の図示は、省略している。図4において、ハッチングは断面を示すものではない。図5は、図4のI-I線で第一分離部材110を切断した状態を示す断面図である。吸引孔111の開口面積は、吸引孔111に対向する吸引管130の開口面積より小さい。吸引孔111は、吸引管130に対し空気の旋回流の下流側に偏在する。つまり、吸引管130の管軸方向にみて、吸引孔111は、第一分離部材110の管軸101から離れる方向に偏在している。本実施の形態の場合、吸引孔111は、矩形であり、第一分離部材110の内周面の接面と吸引孔111の一辺とが一致、またはほぼ一致するように設けられている。また、吸引管130の内面形状も矩形であり、吸引管130は、第一分離部材110の内周面の接面と吸引管130の内面の一面とが一致、またはほぼ一致するように配置されている。
【0023】
吸引管130の管軸方向から吸引管130の内側を見ると、第一分離部材110の周壁が管軸101から遠ざかる方向に突出し、吸引管130の開口の一部が第一分離部材110の周壁により覆われている。これにより、吸引管130から第一分離部材110の内側に流入する塵埃を含んだ空気は、第一分離部材110の内周面に押しつけられるように流入し、第一分離部材110内で旋回流が発生しやすくなる。
【0024】
吸引孔111は、閉塞部112から所定の隙間を空けて配置される。つまり、吸引孔111の縁と閉塞部112とは接触していない。これにより第一分離部材110の内側に塵埃を含む空気の適切な旋回流が発生しやすくなる。なお、吸引孔111は、例えば、直径1cm程度の球形のゴミや、一辺が1cm程度の直方体のゴミなどが通過可能な大きさを備えている。これにより比較的大型のごみを吸引した場合でも吸引孔111に詰まることを抑制することができる。
【0025】
フィルタ部材150は、第一分離部材110の閉塞部112から開口部113に向かう管軸の方向において、第一分離部材110の開口端から外側に向かって延在する空気を通過させることができる筒状の部材であり、空気と塵埃とを分離するための孔が設けられている。フィルタ部材150は、第一分離部材110において分離しきれなかった塵埃を濾過により分離している。
【0026】
フィルタ部材150の形状は、限定されるものではない。本実施の形態の場合、フィルタ部材150は、第一分離部材110から第一貯留部161に向かって開口が広がる形状である。具体的にフィルタ部材150は、円錐台の周面形状と同等である。これにより、フィルタ部材150によって分離された塵埃がフィルタ部材150の内面に留まらず、第一貯留部161に落下し易くなる。
【0027】
第一貯留部161は、フィルタ部材150に対し第一分離部材110の反対側に配置され、第一分離部材110の内方に発生する空気の旋回流により空気から遠心分離される塵埃を貯留し、フィルタ部材150で分離され落下した塵埃を貯留する容器状の部分である。本実施の形態の場合、第一貯留部161は、円筒形状であり、フィルタ部材150側、およびフィルタ部材150とは反対側のいずれの端部も開口している。また、フィルタ部材150とは反対側の端部は、蓋部材170により開閉可能に封止されている。蓋部材170を開くことにより、第一貯留部161に貯留された塵埃を集塵容器100の外部に排出することができる。
【0028】
案内部材190は、第一分離部材110の内周面から内側に向かって突出し管軸の周りに螺旋状に延在する部材である。案内部材190は、吸引孔111から第一分離部材110に吸い込まれた塵埃を含む空気がフィルタ部材150に向かう旋回流となるように空気を案内する。本実施の形態の場合、案内部材190の一端部は、管軸の方向における吸引孔111の間、かつ吸引孔111の周縁部に配置され、他端部は、フィルタ部材150側に配置される。つまり案内部材190は、上から(図中Z+側)から見て、反時計回りに閉塞部112から開口部113に向かって巻いている。
【0029】
案内部材190の管軸を含む面で切断した断面形状は、限定されるものではない。本実施の形態の場合、案内部材190の断面形状は左右方向より上下方向が薄い矩形である。螺旋状の案内部材190の巻き数は、限定されるものではない。本実施の形態の場合、案内部材190は、第一分離部材110の上端から下端まで3巻きになっている。案内部材190の吸引孔111に対応する部分は切り欠かれている。換言すると案内部材190は、吸引孔111を渡ることなく、吸引孔111に対応する部分は途切れている。なお、肉厚の第一分離部材110に螺旋状の溝を形成することによって案内部材190を形成してもかまわない。つまり、第一分離部材110の内周面からリブを立てて案内部材190を形成することと、第一分離部材110の内周面に螺旋状の溝を設けることにより案内部材190を形成することとは同じである。
【0030】
第二分離部材120は、フィルタ部材150を通過した塵埃を含む空気から塵埃を分離する。第二分離部材120の種類は、限定されるものではない。例えば、フィルタ等でもよい。本実施の形態の場合、第二分離部材120は、空気の旋回流を発生させ遠心分離により塵埃を分離する。
【0031】
第二貯留部162は、第二分離部材120において分離された塵埃を貯留する容器状の部分である。本実施の形態の場合、第二貯留部162は、第一貯留部161を封止する蓋部材170により開閉可能に封止されている。
【0032】
本実施の形態において集塵容器100が備える外筒180は、第一分離部材110の外周面と所定の隙間を開けて第一分離部材110を囲む筒状の部材であり、フィルタ部材150を通過した塵埃を含む空気を第二分離部材120にまで搬送する搬送路を形成している。また、外筒180は、第一貯留部161と一体に形成されている。
【0033】
次に、集塵容器100を備えた掃除機200の動作を説明する。まず、集塵容器100が搭載された掃除機200の運転を開始すると、掃除機200に内蔵された吸引装置210により吸引気流が発生し、塵埃を含む空気がヘッド220から吸い込まれる。吸い込まれた塵埃を含む空気は、パイプ230、および吸引管130を介して集塵容器100に吸い込まれる。
【0034】
吸引管130を通過した塵埃を含む空気は、図5に示すように、吸引孔111により細められ、第一分離部材110の内面に押しつけられるように内面の接線に沿って流入する。このように吸引管130、および吸引孔111を配置することで、塵埃を含む空気が第一分離部材110内で旋回流に変わることになる。発生した旋回流は、案内部材190の存在によりすぐにフィルタ部材150に到達することなく、第一分離部材110の内部で複数回旋回しながら徐々にフィルタ部材150に到達する。第一分離部材110内における旋回により塵埃は空気と分離され第一貯留部161に落下する。また、髪の毛や糸くずなど細長い塵埃が絡みつくシャフト状の部材が第一分離部材110の中央にはないため、細長い塵埃も、第一貯留部161に容易に落下する。
【0035】
さらに、旋回流は、フィルタ部材150に達し、フィルタ部材150の表面を滑りながら下方へと流れて行く。塵埃を含む空気がこのフィルタ部材150の表面を流れるとき、塵埃は、フィルタ部材150の内側に残存し、空気はフィルタ部材150を通過する。フィルタ部材150を通過した細かな塵埃を含む空気は、第一分離部材110と外筒180との間を通過して第二分離部材120に到達する。このようにして、第一分離部材110、およびフィルタ部材150において粗塵と、細塵を含んだ空気との分離を行っている。
【0036】
次に、第二分離部材120によって、細塵と空気との分離が実行される。本実施の形態の場合、第二分離部材120は、円錐形のサイクロン部材121を円周上に複数個備え、それぞれのサイクロン部材121内で再び細塵を含む空気の旋回流を発生させ、細塵と空気とを分離している。サイクロン部材121内で空気から分離された細塵は、第二貯留部162に落下する。空気はサイクロン部材121の上部に設けられた排気孔122を通過して大気に戻される。
【0037】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0038】
例えば、第一分離部材110の閉塞部の中央から開口部に向かって突出する突出部材140を設けてもかまわない。突出部材140の形状は、限定されるものではないが、柱状、または閉塞部112から開口部113に向かってすぼむ形状が好ましい。突出部材140が閉塞部112から開口部に向かって広がる形状の場合、塵埃として吸引する髪の毛や糸くず等が絡まって落ちなくなる可能性が高くなるからである。本実施の形態の場合、突出部材140は、円錐台の上下を逆にした形状を有している。その他、突出部材140は、円柱形状、円錐形状、ドーム形状、半円形状などでもかまわない。また、突出部材140の管軸(閉塞部112から開口部113に向かう軸)に垂直な断面形状は、円形に限定されず、D字形状、多角形などでもかまわない。第一分離部材110の内周面の断面形状と相似形状であってもかまわない。断面がD字形状の突出部材140など、突出部材140の周面に角が存在する場合、角は滑らかな曲面で丸められることが望ましい。
【0039】
第一分離部材110の管軸の方向(図中Z軸方向)において、突出部材140の先端は、吸引孔111よりも閉塞部112側に配置されている。つまり、第一分離部材110の管軸の方向(図中Z軸方向)において、突出部材140の閉塞部112から最も遠い部分は、吸引孔111の縁の閉塞部112から最も遠い部分よりも閉塞部112に近い。本実施の形態の場合、第一分離部材110の管軸の方向(図中Z軸方向)において、突出部材140の閉塞部112から最も遠い部分である先端面の位置は、吸引孔111の縁の閉塞部112から最も近い部分から最も遠い部分までの中央の位置またはその近傍に配置されている。
【0040】
第一分離部材110により発生した旋回流は、突出部材140の存在によりすぐにフィルタ部材150に到達することなく、第一分離部材110の内部で複数回旋回しながら徐々にフィルタ部材150に到達する。第一分離部材110内における旋回により塵埃は空気と分離され第一貯留部161に落下する。また、髪の毛や糸くずなど細長い塵埃は、突出部材140に絡みついたとしても突出部材140の形状により、第一貯留部161に容易に落下し、突出部材140に残存することがほとんどなくなる。
【0041】
また、突出部材140の外周形状は、限定されるものではなく、図6に示すような円形の一部が切り欠かれたD字形状等でもかまわない。
【0042】
上記実施の形態で説明した第一態様の集塵容器100は、一方が閉塞し他方が開口する筒状の第一分離部材110と、前記第一分離部材110の外周面に設けられ、前記第一分離部材110の周壁に設けられた吸引孔に連通する吸引管130と、前記閉塞部から開口部に向かう管軸の方向において、前記第一分離部材110の開口端から外側に向かって延在する筒状のフィルタ部材150と、前記フィルタ部材150に対し前記第一分離部材110の反対側に配置され、前記第一分離部材110の内方に発生する旋回気流により空気から遠心分離される塵埃を貯留する第一貯留部161と、前記第一分離部材110の内周面から内側に向かって突出し前記管軸の周りに螺旋状に延在する案内部材190と、を備える。
【0043】
第一態様の集塵容器100によれば、第一分離部材110の内側に、螺旋状に延在する案内部材190が備えられているため、第一分離部材110がスティック型の掃除機200に備えられる程度の小型であっても、吸引孔111から吸引された塵埃を含んだ空気を旋回流にすることができ、塵埃と空気とを効果的に分離することが可能となる。案内部材190の存在により塵埃を含んだ空気を吸引する吸引孔111の大きさを比較的大きくすることができ、吸引孔111におけるゴミ詰まりを可及的に回避することができる。
【0044】
第二態様の集塵容器100は、第一態様を含み、吸引孔111の開口面積は、吸引孔111に対向する吸引管130の開口面積より小さく、吸引孔111は、吸引管130に対し空気の旋回流の下流側に偏在する。
【0045】
第二態様の集塵容器100によれば、吸引孔111を通過する塵埃を含んだ空気流は、第一分離部材110の内周面に押しつけられる様に流入する。従って、小型の第一分離部材110であっても案内部材190を効果的に利用して旋回流を発生させることができる。また、案内部材190の存在により、吸引孔111の開口面積を吸引管130の開口面積の70%以上にしても効果的な旋回流を発生させることができる。これにより、大きな塵埃を吸い込んだ場合でも吸引孔111に塵埃が詰まることを抑制できる。
【0046】
第三態様の集塵容器100は、第一態様、第二態様のいずれかを含み、案内部材190の一端部は、管軸の方向における吸引孔111の間、かつ吸引孔111の周縁部に配置され、他端部は、フィルタ部材150側に配置される。
【0047】
第三態様の集塵容器100によれば、吸引孔111から第一分離部材110内部に吸い込まれる塵埃を含む空気をフィルタ部材150に達する適切な旋回流にすることができる。
【0048】
第四態様の集塵容器100は、第一態様から第三態様までのいずれかを含み、吸引孔111は、閉塞部112から所定の隙間を空けて配置される。
【0049】
第四態様の集塵容器100によれば、旋回流が閉塞部112から下向きに受ける力を抑制することができ、旋回流を効果的に第一分離部材110内に留めることが可能となる。
【0050】
第五態様の集塵容器100は、第一態様から第四態様までのいずれかを含み、フィルタ部材150は、第一貯留部161に向かって広がる。
【0051】
第五態様の集塵容器100によれば、フィルタ部材150の内面に付着した塵埃を第一貯留部161に容易に落下させることが可能となる。
【0052】
第六態様の集塵容器100は、第一態様から第五態様までのいずれかを含み、第一分離部材110の閉塞部112の中央から開口部に向かって突出する柱状、または開口部に向かってすぼむ形状の突出部材140を備える。
【0053】
第七態様の集塵容器100は、第六態様を含み、管軸の方向において、突出部材140の先端は、吸引孔111よりも閉塞部側に配置される。
【0054】
第六態様、第七態様の集塵容器100によれば、第一分離部材110内の旋回流を安定させることができ、小型の集塵容器100であってもより効果的に塵埃を空気から分離することができる。
【0055】
第八態様の集塵容器100は、第一態様から第七態様までのいずれかを含み、管軸の方向において、第一分離部材110の長さは、フィルタ部材150の長さより長い。
【0056】
第八態様の集塵容器100によれば、小型であっても比較的大型の塵埃を効果的に空気から分離することができ、フィルタ部材150の目詰まりを抑制することができる。
【0057】
上記実施の形態で説明した第九態様の掃除機200は、第一態様から第八態様まで集塵容器100のいずれかを含み、集塵容器100の第一分離部材110の内側を、フィルタ部材150を介して負圧にする吸引装置210を備える。
【0058】
第九態様の掃除機200によれば、上記各態様に対応する効果を奏することが可能となる。
【0059】
第十態様の掃除機200は、第九態様を含み、吸引経路において、フィルタ部材150と吸引装置210との間に介在配置される第二分離部材を備える。
【0060】
これによれば、第一分離部材110では分離しきれない細かな塵埃を分離することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の集塵容器100は、掃除機のほか、空気清浄機、空調装置など吸引した空気を処理する装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0062】
100 集塵容器
101 管軸
110 第一分離部材
111 吸引孔
112 閉塞部
113 開口部
120 第二分離部材
121 サイクロン部材
122 排気孔
130 吸引管
140 突出部材
150 フィルタ部材
161 第一貯留部
162 第二貯留部
170 蓋部材
180 外筒
190 案内部材
200 掃除機
210 吸引装置
220 ヘッド
230 パイプ
240 把持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7