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特開2024-179227シート給送装置、画像形成装置及び給送ユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179227
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】シート給送装置、画像形成装置及び給送ユニット
(51)【国際特許分類】
   B65H 3/06 20060101AFI20241219BHJP
   B65H 3/46 20060101ALI20241219BHJP
   B65H 7/02 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B65H3/06 350A
B65H3/46 D
B65H7/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097910
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諸橋 和哉
【テーマコード(参考)】
3F048
3F343
【Fターム(参考)】
3F048AA01
3F048AB01
3F048BB02
3F048BB05
3F048BB10
3F048BD07
3F048BD08
3F048CB12
3F048DB11
3F048DC02
3F048EB02
3F048EB22
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC22
3F343FC30
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343JA01
3F343KB07
3F343KB20
3F343LC12
3F343MA04
3F343MA09
3F343MA32
3F343MB19
3F343MC28
(57)【要約】
【課題】給送ユニットを交換したことを自動検知することができるシート給送装置を提供する。
【解決手段】シート給送装置は、シート状の記録材を積載する積載部と、記録材の上面の高さに応じて変位する第一の状態と変位しない第二の状態のいずれかの状態をとり得る紙面検知部材と、紙面検知部材を検知する検知部と、シート給送装置の本体に着脱可能で、記録材を搬送する給送ローラと、紙面検知部材を第一の状態と第二の状態のいずれかに切り替える切り替え部とを有する給送ユニットと、制御部とを有する。ここで切り替え部は、給送ユニットの交換に応じて紙面検知部材を第二の状態へと切り替え、制御部は、検知部により検知された状態の変化を基に、給送ユニットが交換されたことを検知する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の記録材を積載する積載手段と、
前記記録材の上面の高さに応じて変位する第一の状態と変位しない第二の状態のいずれかの状態をとり得る紙面検知部材と、
前記紙面検知部材を検知する検知手段と、
シート給送装置の本体に着脱可能で、前記記録材を搬送する給送ローラと、前記紙面検知部材を前記第一の状態と前記第二の状態のいずれかに切り替える切り替え手段とを有する給送ユニットと、
制御手段と、を有し、
前記切り替え手段は、前記給送ユニットの交換に応じて前記紙面検知部材を前記第二の状態へと切り替え、
前記制御手段は、前記検知手段により検知された状態の変化を基に、前記給送ユニットが交換されたことを検知する
ことを特徴とする、シート給送装置。
【請求項2】
前記検知手段は、前記紙面検知部材の位置が、前記記録材の上面高さが給送可能な高さであることを示す給送可能状態と、給送可能でない高さであることを示す非給送可能状態のいずれかを検知し、
前記紙面検知部材が前記第二の状態にある場合には、前記検知手段は前記給送可能状態を検知する
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項3】
前記紙面検知部材は、前記積載手段により前記記録材の高さが上昇する際に動作する第一の方向と、前記記録材の高さが下降する際に動作する第二の方向に動作でき、
前記第二の状態では、前記紙面検知部材が、前記記録材の上面高さが給送可能でない高さから給送可能な高さとなるときの位置を超えて、前記第一の方向にさらに変位した位置に保持される
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項4】
前記切り替え手段は、前記紙面検知部材を、前記給送ユニットが交換されると前記第二の状態とし、前記給送ローラが駆動されると前記第一の状態とする
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項5】
前記切り替え手段は、前記給送ローラが駆動されることで動作する
ことを特徴とする、請求項4に記載のシート給送装置。
【請求項6】
前記切り替え手段は、前記給送ユニットが未使用の状態では、前記紙面検知部材を前記第二の状態とするようセットされている
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項7】
前記切り替え手段は支持部を有し、前記給送ユニットが前記シート給送装置の本体に取付けられた状態において、前記紙面検知部材の前記第二の状態では、前記支持部が前記紙面検知部材と当接することで前記紙面検知部材を所定の位置に保持し、前記第一の状態では、前記支持部は前記紙面検知部材と当接しない位置に退避する
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項8】
前記紙面検知部材は遮光部を含み、
前記検知手段は、前記紙面検知部材の変位に応じた前記遮光部の移動により透光状態と遮光状態とを検知する光検知センサを有する
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項9】
前記遮光部は遮光面に少なくとも1つのスリットを有し、前記紙面検知部材の動作範囲内を一方向に動く間に、前記検知手段の検知する状態が、前記透光状態と前記遮光状態で複数回変化する
ことを特徴とする、請求項8に記載のシート給送装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記切り替え手段が動作したとき、前記検知手段の検知した状態の変化が3回であった場合は前記給送ユニットが交換されたと判定し、前記検知手段の検知した状態の変化が2回であった場合は、前記記録材が給紙可能な高さを超えて積載されている過積載状態であると判定する
ことを特徴とする、請求項9に記載のシート給送装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記切り替え手段の動作により、前記検知手段の検知した状態が、前記遮光状態から前記透光状態、前記透光状態から前記遮光状態、前記遮光状態から前記透光状態へと変化したことにより前記給送ユニットが交換されたと判定する
ことを特徴とする、請求項10に記載のシート給送装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記切り替え手段の動作により、前記検知手段の検知した状態が、前記遮光状態から前記透光状態へ変化したことにより前記給送ユニットが交換されたと判定する
ことを特徴とする、請求項8に記載のシート給送装置。
【請求項13】
前記紙面検知部材は前記シート給送装置の本体に含まれる
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項14】
前記紙面検知部材は前記給送ユニットに含まれる
ことを特徴とする、請求項1に記載のシート給送装置。
【請求項15】
シート状の記録材を積載する積載手段と、
前記記録材の上面の高さに応じて変位する第一の状態と変位しない第二の状態のいずれかの状態をとり得る紙面検知部材と、
前記紙面検知部材を検知する検知手段と、
前記記録材を搬送する給送ローラと、前記紙面検知部材を前記第一の状態と前記第二の状態のいずれかに切り替える切り替え手段とを有する着脱可能な給送ユニットを取り付けて駆動するための駆動手段と、
制御手段と、を有し、
前記切り替え手段は、前記給送ユニットの交換に応じて前記紙面検知部材を前記第二の状態へと切り替え、
前記制御手段は、前記検知手段により検知された状態の変化を基に、前記給送ユニットが交換されたことを検知する
ことを特徴とする、シート給送装置。
【請求項16】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載のシート給送装置と、
前記シート給送装置により給送された記録材に画像を形成する画像形成手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
シート状の記録材を積載する積載手段と、前記記録材の上面の高さに応じて変位する第一の状態と変位しない第二の状態のいずれかの状態をとり得る紙面検知部材と、前記紙面検知部材を検知する検知手段とを有するシート給送装置の本体に着脱可能な給送ユニットであって、
前記記録材を搬送する給送ローラと、
前記紙面検知部材を前記第一の状態と前記第二の状態のいずれかに切り替える切り替え手段と、を有し、
前記切り替え手段は、前記給送ユニットの交換に応じて前記紙面検知部材を前記第二の状態へと切り替え、
前記シート給送装置により、前記検知手段により検知された状態の変化を基に、前記給送ユニットが交換されたことが検知される
ことを特徴とする、給送ユニット。
【請求項18】
シート状の記録材を積載する積載手段と、紙面検知部材を検知する検知手段とを有するシート給送装置の本体に着脱可能な給送ユニットであって、
前記記録材を搬送する給送ローラと、
前記記録材の上面の高さに応じて変位する第一の状態と変位しない第二の状態のいずれかの状態をとり得る紙面検知部材と、
前記紙面検知部材を前記第一の状態と前記第二の状態のいずれかに切り替える切り替え手段と、を有し、
前記切り替え手段は、前記給送ユニットの交換に応じて前記紙面検知部材を前記第二の状態へと切り替え、
前記シート給送装置により、前記検知手段により検知された状態の変化を基に、前記給送ユニットが交換されたことが検知される
ことを特徴とする、給送ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート給送装置及びシート給送装置を有する画像形成装置に関し、特に、シートを給送するローラユニットを交換した時に、ローラが交換されたことを自動検知するためのシート給送装置及び画像形成装置及び給送ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機等の画像形成装置は、シート積載部に載置されているシートを1枚ずつ分離して給送する給送ユニットやシートを搬送する搬送ユニット、画像が記録されたシートを排出口へ排出する排紙ユニット等を有する構成となっていることが多い。これらのユニットでは、用紙を給送するためにゴムローラを使用することが一般的である。ゴムローラは用紙の搬送性能を高めるために、柔らかく摩耗しやすい材料が使われており、使用していくに従いローラ表面が摩耗していく。ローラの摩耗や、給紙に伴う紙粉の付着などは、用紙搬送性能の低下につながり、印刷品質の低下の原因となる。一方で、近年の画像形成装置は長寿命化しており、ローラのような印刷性能に関係する部品は画像形成装置本体が寿命に至る前に、ユーザやサービスマンによって交換できる構成になっている製品が増えている。
【0003】
特許文献1では、画像形成装置本体が給送ローラの交換タイミングを検知するための検知方法が提案されている。給送ローラの回転開始から搬送路下流に設けられたセンサに用紙が搬送されるまでの時間を測定し、測定された時間に基づいて用紙の搬送遅れを検知する。そして、画像形成装置本体は、検知された用紙の搬送遅れの発生率が閾値を超えると、給送ローラの交換が必要であることをユーザ等に報知する。
【0004】
また、特許文献2では、ユーザやサービスマンによって給送ローラが交換される際の誤った操作を検出するための技術が開示されている。
【0005】
ユーザやサービスマンによって給送ローラの交換が行われた後には、画像形成装置に給送ローラが新品に交換されたことを認識させる必要がある。そのため、ユーザやサービスマンは、画像形成装置のオペレーションパネル等を介して、画像形成装置に給送ローラの交換が完了したことを設定するリセット操作等を行う必要がある。ローラの交換時期は、例えばローラの駆動量を積算してその値が所定値に達したことで検知され、リセット操作によりその駆動量の積算値が初期化される。駆動量の積算は、例えばローラにより搬送されたシート枚数をカウンタにより数えることで行ってよい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-007758号公報
【特許文献2】特開2017-132600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したリセット操作は、ユーザやサービスマン等のオペレータ(作業者)によって実行される操作である。そのため、オペレータが給送ローラを新品に交換した後に、給送ローラの交換完了を設定するリセット操作や動作確認を忘れてしまう場合が想定される。このような場合には、リセット操作が行われていないために、画像形成装置は給送ローラの交換が必要な状態が継続していると判断し、ユーザやサービスマンに給送ローラの交換を報知し続けることになる。
【0008】
また、複数の給紙口を有する画像形成装置では、オペレータが誤って、交換していない給紙口の給送ローラの交換完了を設定するリセット操作を行ってしまう場合も想定される。その結果、画像形成装置が給送ローラの実際の使用状態を正しく検知できなくなることになる。そのため、ユーザやサービスマンによるリセット操作に頼ることなく、給送ローラが新品に交換されたことを、画像形成装置が人手を介さずに自動的に正しく検知できることが望まれている。
【0009】
本発明は、上記従来例に鑑みてなされたもので、給送ローラが新品に交換されたことを自動的に検知して、手動操作による介入なしにリセット操作を自動的に実行することが可能なシート給送装置及び画像形成装置を実現することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様によれば、シート状の記録材を積載する積載手段と、
前記記録材の上面の高さに応じて変位する第一の状態と変位しない第二の状態のいずれかの状態をとり得る紙面検知部材と、
前記紙面検知部材を検知する検知手段と、
シート給送装置の本体に着脱可能で、記録材を搬送する給送ローラと、前記紙面検知部材を前記第一の状態と前記第二の状態のいずれかに切り替える切り替え手段とを有する給送ユニットと、
制御手段と、を有し、
前記切り替え手段は、前記給送ユニットの交換に応じて前記紙面検知部材を前記第二の状態へと切り替え、
前記制御手段は、前記検知手段により検知された状態の変化を基に、前記給送ユニットが交換されたことを検知する
ことを特徴とする、シート給送装置が提供される。
【0011】
また本発明の他の態様によれば、シート状の記録材を積載する積載手段と、
前記記録材の上面の高さに応じて変位する第一の状態と変位しない第二の状態のいずれかの状態をとり得る紙面検知部材と、
前記紙面検知部材を検知する検知手段と、
前記記録材を搬送する給送ローラと、前記紙面検知部材を前記第一の状態と前記第二の状態のいずれかに切り替える切り替え手段とを有する着脱可能な給送ユニットを取り付けて駆動するための駆動手段と、
制御手段と、を有し、
前記切り替え手段は、前記給送ユニットの交換に応じて前記紙面検知部材を前記第二の状態へと切り替え、
前記制御手段は、前記検知手段により検知された状態の変化を基に、前記給送ユニットが交換されたことを検知する
ことを特徴とする、シート給送装置が提供される。
【0012】
また本発明の更に他の態様によれば、上記シート給送装置と、
前記シート給送装置により給送された記録材に画像を形成する画像形成手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0013】
また本発明の他の態様によれば、シート状の記録材を積載する積載手段と、前記記録材の上面の高さに応じて変位する第一の状態と変位しない第二の状態のいずれかの状態をとり得る紙面検知部材と、前記紙面検知部材を検知する検知手段とを有するシート給送装置の本体に着脱可能な給送ユニットであって、
記録材を搬送する給送ローラと、
前記紙面検知部材を前記第一の状態と前記第二の状態のいずれかに切り替える切り替え手段と、を有し、
前記切り替え手段は、前記給送ユニットの交換に応じて前記紙面検知部材を前記第二の状態へと切り替え、
前記シート給送装置により、前記検知手段により検知された状態の変化を基に、前記給送ユニットが交換されたことが検知される
ことを特徴とする、給送ユニットが提供される。
【0014】
また本発明の更に他の態様によれば、シート状の記録材を積載する積載手段と、紙面検知部材を検知する検知手段とを有するシート給送装置の本体に着脱可能な給送ユニットであって、
記録材を搬送する給送ローラと、
前記記録材の上面の高さに応じて変位する第一の状態と変位しない第二の状態のいずれかの状態をとり得る紙面検知部材と、
前記紙面検知部材を前記第一の状態と前記第二の状態のいずれかに切り替える切り替え手段と、を有し、
前記切り替え手段は、前記給送ユニットの交換に応じて前記紙面検知部材を前記第二の状態へと切り替え、
前記シート給送装置により、前記検知手段により検知された状態の変化を基に、前記給送ユニットが交換されたことが検知される
ことを特徴とする、給送ユニットが提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、給送ローラが新品に交換されたことを自動的に検知して、手動操作による介入なしにリセット操作を自動的に実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】画像形成装置の全体構成を示す正面概略断面図
図2】給紙カセットの概略を説明する図
図3】本発明の実施形態1に係る給送ユニットの構成を説明する図
図4】本発明の実施形態1に係る保持部材の動作原理を説明する図
図5】給送ユニットによりシートが給送可能となる状態を説明する図
図6】本発明の実施形態1に係る給送ユニットの一状態を説明する図
図7】本発明の実施形態1に係る給送ユニットの取付け動作を説明する図
図8】本発明の実施形態1に係る保持部材と紙面検知部材の関係を説明する図
図9】本発明の実施形態2に係る紙面検知部材の形状を説明する図
図10】本発明の実施形態3に係る給送ユニットの構成と動作を説明する図
図11】制御構成の一例を示す図
図12】制御手順の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0018】
(実施形態1)
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。特に画像形成装置と、それに含まれた、シート状の記録材であるカットシートを給紙カセットから給送するシート給送装置について説明する。図1は本実施形態に係る画像形成装置の一例である、レーザービームプリンター(LBP)の概略構成を示す正面断面図である。図1に示す画像形成システムにおいて、LBP本体1の下部には、シート束Saを積載し、LBP本体1にセットされた給紙カセット11が配置されている。
【0019】
給紙部31は、積載手段としての給紙カセット11に積載されたシート束Saの最上位シートS1を送り出すピックアップローラ32、ピックアップローラ32により送り出されたシートSを分離する分離ローラ対33を有する。ここで、分離ローラ対33は、フィードローラ34およびリタードローラ35により構成される。さらに分離ローラ対33によりシート束Saから1枚ずつに分離給送されたシートSを、画像形成部21に向けて搬送する搬送ローラ36を備えている。ここでピックアップローラ32とフィードローラ34は装置本体に着脱可能な給送ユニット40に含まれており、部品、例えばピックアップローラ32が消耗すると給送ユニット40ごと交換される。ピックアップローラ32とフィードローラ34をそれぞれ、或いはまとめて給送ローラと呼ぶことがある。
【0020】
画像形成部21は、電子写真方式により画像形成を行うユニットである。画像形成部21は、トナー像を形成する感光ドラム22、感光ドラム22に形成されたトナー像を、給紙カセット11から給送されてきたシートSに転写する転写ローラ23などを備えている。画像形成部21の下流側には定着部24を備え、トナー像が転写されたシートSに熱と圧力を加えることでトナー画像をシートSへ定着させ、画像が形成される。LBP1はフルカラー画像を形成するために、感光ドラム22には、黄とマゼンタとシアンと黒の各色成分のトナー像を形成する感光ドラム22Y、22M、22C、22Kが含まれている。
画像が形成されたシートSは排紙ローラ25により、装置上部に設けられた排紙部26に排出される。
【0021】
図2は、給紙カセット11の構成を示す概略図である。給紙カセット11は、後端ガイド部14と、サイドガイド対12と、リフター部13を有する。後端ガイド部14は、シートの給送方向141に対するシートSの位置を規制するガイド部である。サイドガイド対12は、ガイド部材101とガイド部材102とを含み、シート給送方向141と直交する方向142に対するシートSの位置を規制するガイド対である。リフター部13は、シート束Saを積載し、シート束Saを上昇させるように構成されている。リフター部13は、中板120とリフトアーム121から構成される。リフトアーム121は、不図示の駆動モーターからの駆動力を受けて回動する。中板120はリフターアーム121の上方に配置されており、リフトアーム121に押されて、中板回動軸120a周りに回動し、中板の上に積載されたシート束Saを上昇させる。その結果、シート束Saは、後端ガイド部14に支持される側を支点として、上方に傾斜するように中板120によって下方から支持されている。
【0022】
図5(a)は中板120によりシート束Saが上昇した状態を正面から見た図、図5(b)は側面から見た断面図である。正面とはここではシートの搬送方向またはその反対方向の面である。図5(a)ではフィードローラ34を回転させる軸を描いていない。中板120の上方には、給送ユニット40が取り付けられている。給送ユニット40は、図3(a)に示した給送ホルダ301にピックアップローラ32、フィードローラ34、紙面検知板306がそれぞれ回動自在に取付けられているユニットである。回動自在ではあるが、ピックアップローラ32はギアを介してフィードローラ34に従動するよう構成されている。給送ユニット40が取付けられるLBP本体1側には、図5に示すように、紙面検知部材としての紙面レバー50、検知部材としての紙面センサ52が配設されている。紙面レバー50は、給送ユニット40側の先端部である検知端50a、反対側の先端部にフラグ部50b、そして中央に回動支点50cを有する構成である。紙面レバー50は、自由に動く状態では、回動支点50cを中心として図5(a)の反時計回り方向に(すなわち検知端50aが下がり、フラグ部50bが上がるように)付勢されていてよい。紙面レバー50の重心位置が回動支点50cよりも検知端50a側にあれば付勢のために特段の仕組みは不要であるが、そうでなければ反時計回り方向に回転するようバネ等で付勢してもよい。この構成により紙面レバー50、特に検知端50aとフラグ部50bは、シート束の上面の高さに応じて変位する。
【0023】
紙面センサ52は、光53を出射する発光部52aと、発光部52aから出射された光53を受光する受光部52bと、を有するフォトインタラプタであり、光検知センサである。紙面センサ52は、紙面レバーのフラグ部50bが発光部52aからの光53を遮光する遮光状態、又は発光部52aからの光53を遮光しない透光状態を検知する。本実施形態においては、透光状態を、シート束Saの上面高さが給送可能でない高さである状態と判断するよう制御し、遮光状態を、シート束Saの上面高さが給送可能な高さとなった状態であると判断するよう制御する。ただし、これに限定されるものではない。透過状態を給送可能高さであると判断する制御としてもよい。このように遮光状態と非遮光状態とはそれが示す状態を入れ替え可能である。本実施形態の遮光状態を給送可能状態または第1の状態、本実施形態の非遮光状態(透光状態)を非給送可能状態または第2の状態と呼ぶこともある。
【0024】
図5(b)に示すように、中板120によりシート束Saが持ち上がり、紙面検知板306に接触する。紙面検知板306には、紙面レバーの検知端50aが、不図示の付勢部材に付勢されながら接触している。シート束Saにより紙面検知板306が押し上げられると、紙面レバーの検知端50aも押し上げられる。検知端50aが押し上げられると回動支点50cを中心に回転し、フラグ部50bが下方へ移動、すなわち下降する。フラグ部50bが紙面センサ52の光を遮光すると、給送可能高さに到達したと判断され、中板120の上昇を停止する。
【0025】
シート束Saが給紙カセット11にセットされると、図5(b)のように、ピックアップローラ32が最上部のシートに接触する。この状態でフィードローラ34が駆動されるとピックアップローラ32が従動し、最上部のシートをフィードローラ34に向けて送り出す。
【0026】
●給送ユニット40の構成および動作
次に、本発明に係る給送ユニット40の詳細な構成および動作について説明する。
図3は、給送ユニット40の詳細構成を表した図である。図3(a)は給送ユニット40を側面から見た図、図3(b)は給送ユニット40をその反対側側面から見た図である。また図3(c)は、図3(a)に示した側面を左下に見た給送ユニット40の斜視図、図3(d)は、図3(b)に示した側面を左下に見た給送ユニット40の斜視図である。
【0027】
給送ユニット40は、前述の給送ホルダ301、フィードローラ34、ピックアップローラ32、紙面検知板306に加え、アイドラギア302、保持部材307、付勢バネ320を含む。給送ホルダ301は、それぞれ対向し、共通の軸線を有する中空の軸対F301aとF301b、R301aとR301bを有する。フィードローラ34は、両端に軸34aと軸34bを有し、軸34aの外周と中空軸F301aの内周、軸34bの外周と中空軸F301bの内周がそれぞれ回動自在に勘合し、取り付けられている。ピックアップローラ32は、両端に軸32aと軸32bを有し、軸32aの外周と中空軸F301a内周、軸32bの外周と中空軸F301b内周がそれぞれ回動自在に勘合し、取り付けられている。
【0028】
フィードローラ34とピックアップローラ32それぞれの一方の軸34aおよび軸32aは、外周の一部にギア部34cおよびギア部32cを有しており、それぞれがアイドラギア302に噛合している。フィードローラ34が駆動されると、アイドラギア302を介してピックアップローラ32が駆動する。紙面検知板306は給送ホルダ301の軸R301aの外周および軸R301bの外周にそれぞれ勘合する穴306aおよび穴306bを有し、軸R301aおよび軸R301bの軸周りに回動自在に取付けられている。
【0029】
保持部材307は穴307aが給送ホルダの軸R301aの外周に勘合し、回動自在に取り付けられている。図3(c)に示した付勢バネ320は、給送ホルダ301と保持部材307とを接続し、保持部材307を図3(a)における時計回りに付勢している。保持部材307には、可撓性を有する腕307dがあり、腕307dの先端部には鉤部307bを、さらに腕307dを構成する面の一つに突出部307cを有する。また保持部材307は、後述する紙面レバー50の掬い面50dを掬い上げる支持部307fを有する。
【0030】
給送ホルダ301には、鉤部307bと係合する係合部301eがあり、付勢バネ320の力に抗して保持部材307を図3(a)における反時計回りに回動させることで係合できるようになっている。突出部307cは、アイドラギア302が配設されている側に向かって突出しており、アイドラギア302の歯と噛合する形状を有している。
【0031】
図4はアイドアラギア302と突出部307cの噛合いの状態を示している。フィードローラ34が駆動されると、ギア部34cを介してアイドアラギア302が時計回りに回転する。アイドラギア302が回転すると、アイドラギア302の歯と噛合う突出部307cがKの方向に押し上げられるため、接続している腕307dも共に押し上げられる。腕307dが押し上げられるにつれて、鉤部307bと係合部301eの掛かり量が減少していき、掛かり量が0になると、保持部材307は付勢バネ320の付勢力により回動する。突出部307cが給送ホルダ301の一部に衝突したところで回動が停止し、図6のような状態となる。図6に示すように、鉤部307bと係合部301eとの係合が解かれ、保持部材307は付勢バネ320の付勢力により時計回りの方向(図4の反時計回りの方向)に回動した状態となっている。なお交換用の給送ユニット40は、未使用の状態では、図4に示したように、保持部材307をその作動位置にセットした状態で提供されることが望ましい。
【0032】
●給送ユニット40の交換の検知
次に給送ユニット交換の検知動作について説明する。図7(a)は給送ユニット40の取付け部の斜視図であり、給送ユニット40を取り外した状態を示している。図7(b)は給送ユニット40を取り付ける途中の状態を示している。スライド軸330はG方向に移動可能になっており、自由状態においては、軸加圧バネ331によりフィード軸332側へ付勢されている。軸加圧バネ331としては、圧縮バネやトーションバネを利用することができる。スライド軸330をG方向へ押し動かし、スライド軸330の先端330aを給送ホルダ301の軸F301bに差し入れる。給送ユニット40をフィード軸332側へ移動し、フィード軸332の先端部332aをフィードローラ34の端部34aに差し入れる。端部34aは内部にフィード軸332の先端部332aの形状と噛合する形状を有している。図7(c)は給送ユニット40が取付けられた状態を示している。図7(c)では、端部34aがフィード軸332の先端部332aと歯合した状態にある。フィード軸332は例えばモーターにより回転駆動される。フィード軸332が図のH方向に回転されると、それと歯合した端部34aを持つフィードローラ34もH方向へと回転し、それに従動するピックアップローラ32も回転する。
【0033】
給送ユニット40を給紙カセット11から取り外す際には、上記の説明とは逆の手順で、まず図7(c)の状態からスライド軸330を給送ユニット40とともにG方向に移動させてフィード軸332とフィードローラとの歯合を解除する(図7(b))。その後スライド軸330から給送ホルダ301を外すことで図7(a)のように給送ユニット40を取り外すことができる。
【0034】
なお給送ユニット40の交換に際して、中板120は予め下げられている。この動作はたとえばオペレータによるスイッチ操作等に応じて行われてよい。あるいは、給送ユニット40の交換のために筐体の扉を開けた際に、センサ等により開扉が検知されるとその検知結果に応じて中板120を下げるよう画像形成装置が制御されていてもよい。
【0035】
図8は、給送ユニット40をスライド軸330及びフィード軸332に取り付けた状態での保持部材307、紙面検知板306、紙面レバー50、紙面センサ52付近の拡大図である。図8(a)、(c)は給送ユニット40を下方から見上げた斜視図であり、図8(b)は、シートの搬送方向から紙面レバー50等を見た図である。なお給送ユニット40及び紙面レバー50を図示するためにフィード軸332は描いていない。給送ユニット40を取り付けた図7(c)の状態では、図8(a)のように保持部材307の支持部307fが、紙面レバー50の掬い面50dに当接して掬いあげている。この時、紙面レバー50の検知端50aは、図8(b)に示すように、紙面検知板306とは当接せず持ち上げられており、対向側の紙面レバー50のフラグ部50bは、紙面センサ52の光53を常に遮光する位置にある。なお、交換用の給送ユニット40が、保持部材307の突出部307cとアイドラギア302の歯とが歯合した位置(作動位置)にセットされた状態で提供されていれば作業者は交換作業だけすればよい。しかしそうでない場合には、作業者が、保持部材307を作為的に動作位置へとセットしてよい。
【0036】
ここで、フィード軸332を回転し、フィードローラ34を駆動すると、図4図6等を参照して前述したように保持部材307が動作する。
【0037】
保持部材307の動作後の状態を図8(c)に示す。保持部材307が図の後方に退避することにより、保持部材307の支持部307fは紙面レバーの掬い面50dから外れ、紙面レバーの検知端50aが紙面検知板306に接触した状態となる。この時中板120が下がった状態であれば紙面レバー50のフラグ部50bは紙面センサ52の光を遮光しない位置へ移動し、中板120により持ち上げられるシート束の最上位シートS1の高さを検知可能な状態となる。
【0038】
画像形成装置1に設けられた制御部では、紙面センサ52の出力が遮光状態から、ローラを駆動した後に透光状態に変化したということから、ローラ(すなわち給送ユニット40)が交換されたと判定する。この場合最初の遮光状態は図8(a)(b)の状態であり、フィードローラ駆動後の透光状態は図8(c)の状態である。本実施形態においては、ローラが交換されたと判定した場合は、通紙枚数のカウンタを0にリセットする動作を実行させている。
【0039】
その後、制御部はリフトアーム121を回動させ、中板120及びそこに載置されたシート束Saを持ち上げ、紙面センサ52が再び遮光状態に変化したところで停止する。この状態ではピックアップローラ32が最上位シートS1に接している。これでシート束Saから最上位シートS1を給送開始する準備が完了する。
【0040】
なお給送ユニット40が交換されていなければ、保持部材307が作動位置にあることはなく、連続して退避位置にある。そのため紙面センサ52の出力はフィードローラ34の駆動の前後を通じて非遮光状態である。
【0041】
このように本実施形態では、給送ユニット40を交換すると、新しい給送ユニット40の保持部材307は作動位置にあるため紙面センサ52が遮光状態となる。その後フィードローラを駆動すると保持部材307は退避位置に移動して紙面センサ52が非遮光状態となる。制御部ではこの状態の変化に基づいて給送ユニット40が交換されたと判断し、搬送されたシート枚数を計数するカウンタの値を0に初期化する。その後リフター部13を上昇させて画像形成可能な状態となる。
【0042】
●制御構成及び手順の例
このための構成の一例を図11に、制御手順の一例を図12に示す。図11において、制御部1101は画像形成装置1を、例えば記憶部1110に記憶されたプログラム1112を実行して制御する。制御部1101には、紙面センサ51のディジタル化された信号値や保守用の扉の開閉状態を示す開扉センサ1102等の信号値が入力される。また、制御部1101は、リフター部13の上げ下げを駆動するリフター駆動モーター1103や、フィード軸をシートの搬送方向へと回転させるフィード軸駆動モーター1104を制御する。また記憶部1110には、たとえば給紙カセット11からシートが所定量(例えば1枚)給送される都度、1ずつ加算されるカウンタ1111の領域が設けられている。カウンタ1111は印刷制御の手順のなかで定期的に、或いは随時所定値を超えていないかチェックされる。所定値を超えていると、給送ユニット40の交換時期を示すメッセージが画像形成装置1の本体に設けた表示部やスピーカから出力される。あるいはそのメッセージは画像形成装置1に接続されたホスト装置に出力されてもよい。
【0043】
図12は給送ユニット40が交換されたことを検知する手順の一例を示すフローチャートである。図12の手順は、たとえば作業者による指示に基づいて、あるいは開扉センサ1102からの開扉を示す信号に基づいて、画像形成装置1がスタンバイ状態になった際に実行される。この例ではスタンバイ状態とは、作業者による介入なしで、印刷指示に応じて印刷を開始できる状態である。スタンバイ状態になる以前は例えば保守用の扉が開けられて保守作業が行われていてよい。その間は、リフター部13はいったん下げられた状態となっており、図12の手順が開始されるときも、リフター部13は下げられた状態のままである。図12の手順は制御部1101により実行される。
【0044】
スタンバイ状態に復帰するとまず紙面センサ52の信号がチェックされ、紙面が検知されたか判定する(S1201)。紙面が検知されていなければ、すなわち紙面センサ52が非遮光状態であれば、給送ユニット40は交換されていないと判定してステップS1205へ分岐し、リフター部13を上昇させてその後の印刷制御に備える。
【0045】
一方S1201で紙面が検知されていれば、すなわち紙面センサ52が遮光状態であれば、フィード軸駆動モーター1104を、シートが搬送方向に供給されるよう一定量駆動する(S1202)。この一定量は、保持部材307が図4の作動位置から図6の退避位置へと軸周りに移動するのに十分な駆動量であればよい。その後再度紙面を検知したか判定する(S1203)。紙面が検知されなければ、すなわち紙面センサ52が非遮光状態であれば、S1201では図8(a)の状態を検知しており、アイドラギア302の回転により図8(c)の状態へと遷移し、それが検知されたと判断する。すなわち給送ユニット40が新たな部品に交換されたと判定する。そこでカウンタ1111をリセットして例えば0に初期化する(S1204)。その後リフター部13を、紙面が検知されるまで上昇させる(S1205)。なおステップS1203で紙面が検知された場合には、給送ユニット40等に何らかの故障があると判定してその旨を表示や音声等で出力する。
【0046】
以上の構成及び制御により、給送ユニット40の交換を検知してカウンタを初期化することができる。この手順では作業者によるカウンタの初期化工程が必要ないため、給送ユニットの交換時期を過たずに管理者等に知らせることができる。
【0047】
本実施形態においては、ローラ交換判定後の動作として、通紙カウンタのリセットを行ったが、これに限定されるものではない。例えば、警告の消去、ユーザやサービスマンへの報知などを実行させてもよい。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、給送ユニットが交換されたことを自動的に検知することができる。
【0049】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について説明する。実施形態1と同一である箇所に関しては説明を省略する。図9は本実施形態における紙面レバー60の形状を示している。そのほかの部品や構成に関しては実施形態1と同様である。なお以下の説明では給送ユニット40の交換のことをローラ交換と呼ぶことがある。
【0050】
本実施形態における紙面レバー60は、紙面センサ52の光を遮光する遮光面60bの一部にスリット60dを設けた形状になっている。Lの範囲が上部の遮光部、Mの範囲が下部の遮光部、Nの範囲は遮光部外のエリアである。保持部材307の支持部307fによって紙面レバー60の紙面レバー60の掬い面60cが持ち上げられた状態においては、紙面センサ52の発光部52aから発せられた光53は、Lの範囲に照射されるように設計されている。また、シート束Saの最上位シートS1の高さを検知できる状態において、シート束Saの積載高さが、給紙カセット11に許容される高さを超えて積載された過積載状態であるとき、紙面センサ52の光53は、Mの範囲に照射されるように設計されている。最上位シートS1の高さがピックアップローラ32によって搬送可能な高さより低い位置にあるときには、紙面センサ52の光53は、Nの範囲に照射される。
【0051】
過積載状態でない場合は、給送準備動作として中板120によりシート束Saが持ち上げられる。このときシート束Saの上昇につれて、光53の照射位置がMの範囲の下端に近づいていき、Mの範囲の下端で光53が透光状態から遮光状態に変化したときの高さを、給送可能な高さと認識し、中板の上昇を停止する。一方、過積載状態である場合には、中板120によってシート束Saが持ち上げられる前の状態において、光53はMの範囲を照射することになる。続いてシート束Saの積載状態とローラ交換の有無の組み合わせによる判定手順を以下に説明する。
【0052】
[過積載ではない状態でローラ交換が実施された場合]
ローラ交換が実施されているので、紙面センサ52の光53はLの範囲に照射されている。ここでフィードローラ34を駆動すると、保持部材307が退避する。それに応じて紙面レバー60が、その動作範囲内を、退避位置から、紙面センサ52の光53が、Nの範囲に照射される位置まで一方向に回動する。この時、スリット60dを通過するため、紙面センサ52の信号としては、遮光状態⇒透光状態⇒遮光状態⇒透光状態と3回切替わる。
【0053】
このような遮光状態と透光状態が複数回変化する信号変化を検知した時、制御部はローラ交換が実施され、シート束Saの積載状態は正常範囲であると判定する。そのためこの場合にはカウンタ1111を初期化する。
【0054】
[過積載状態でローラ交換が実施された場合]
同様に、ローラ交換が実施されているので、紙面センサ52の光53はLの範囲に照射されている。フィードローラ34が駆動され、紙面レバー60が回動するが、過積載状態であるため、紙面レバー60の回動は、紙面センサ52の光53が、Mの範囲に照射する位置で停止する。この時、紙面センサ52の信号は、遮光状態⇒透光状態⇒遮光状態と2回切替わる。
このような信号変化を検知した時、制御部はローラ交換が実施され、かつシート束Saの積載状態は給紙可能な高さを超えてシート束が積載された過積載であると判定する。そのためこの場合にはカウンタ1111を初期化する。さらに過積載が検出された場合は、その旨をユーザへ報知する。
【0055】
[過積載状態でローラ交換が実施されていない場合]
ローラ交換が実施されていないので、紙面レバー60の検知端60aは、紙面検知板306と接触した状態であり、かつ、シート束Saは過積載であることから、紙面センサ52の光53はMの範囲に照射されている。フィードローラ34を駆動しても、紙面レバー60は回動せずにその場にとどまっていることになる。この時紙面センサ52の信号は遮光状態から変化しない。
このような信号を検知した時、制御部はローラ交換実施されておらず、シート束Saの積載状態は過積載であると判定する。この場合には、過積載が検出された旨をユーザへ報知する。
【0056】
[過積載状態でなく、ローラ交換が実施されていない場合]
ローラ交換が実施されておらず、過積載でもないので、紙面センサ52の光53はNの範囲照射している。この時、制御部は最上位シートS1が給送可能な高さより低い位置にあると判定し、リフトアーム121を回動させ、シート束Saを持ち上げる。紙面センサ52が遮光状態に変化したところでリフトアーム121の回動を停止し、シートS1を給送開始する準備が完了する。
【0057】
実施形態1では、紙面レバー50の位置が図8(a)の位置であっても図8(c)の位置であっても安定的であり、その位置にあるか否かを図12の手順で判定できた。しかし本実施形態では、ローラ交換されていると紙面センサ52の信号値は、紙面レバー60が図8(a)の状態から図8(c)の状態へと移る短時間の間に変わる。そのため、図12のようにフィードローラを一定量駆動してから紙面検知の有無を判定しても、信号値の遷移を把握できない可能性がある。そこで本実施形態では、フィードローラ34の駆動を開始したならその駆動を終了するまで十分短い時間間隔で紙面センサ52の信号を繰り返し取得する。十分短い時間間隔とは、紙面レバー50が作動位置から退避位置へと移動して生じるスリット60dによる紙面センサ52の非遮光状態と、遮光面60bの範囲Mによる紙面センサ52の遮光状態とを確実に検知できる時間間隔である。このようにすることで、上述した紙面センサ52の信号値の遷移を特定することができる。
【0058】
以上説明したように、本実施例によれば、ローラ交換がなされたかどうかと、過積載状態であるかどうかの判別を一対の紙面レバー60と紙面センサ52のみを使用して実現することができる。
【0059】
(実施形態3)
続いて実施形態3について説明する。
図10は、本実施形態における給送ユニットの概略図を示している。図10における紙面センサ52は、発光部52aから発せられた光53の位置がわかりやすいように、紙面手前側をカットした図になっている。本実施形態においては、給送ホルダ301に回転フラグ401を取り付けた構成としている。回転フラグ401は、実施形態1で説明した保持部材307と同様に、穴401aが給送ホルダの軸R301aの外周に勘合し、回動自在に取り付けられており、不図示の付勢バネが、回転フラグ401を時計回りに付勢している。付勢バネに抗して回転を保持する構成や、アイドラギア302の回転により鉤部401bの係合が外れ、図の時計回りに回転する仕組みは実施形態1で説明したものと同様である。
【0060】
回転フラグ401は、遮光部401cを有し、光53を遮光状態と透光状態に切り替えることができる。図10(a)は、フィードローラ34に駆動がかかる前の状態を示している。この状態においては、給送ホルダ301の角度によらず、遮光部401cが光53を遮光している。ここで、フィードローラ34に駆動がかかると、鉤部401bの係合が外れ、回転フラグ401は時計回りに回転する。すると、図10(b)に示すように、遮光部401cが、遮光状態から透光状態に切り替わり、最上位シートS1の高さを検知可能な状態となる。この時の信号変化が制御部に送られる。制御部では、フィードローラ34を駆動した後に紙面センサ52が遮光状態から透光状態に切り替わったことにより、ローラ交換が実施されたと判定し、通紙カウントをリセットする。
【0061】
その後、不図示の中板により、シート束Saが持ち上げられる。図10(c)のようにシート束Saとピックアップローラ32が接触し、ピックアップローラ32が押し上げられる。図10(d)のように、ピックアップローラ32がさらに押し上げられてそれとともに遮光部401cも上昇する。遮光部401cが再び光53を遮光したところで、制御部が最上位シートS1の高さが給送可能な高さに達したと判断し、リフトアップを停止する。
【0062】
ローラ交換が行われていないと、画像形成装置1がスタンバイ状態になった時点で図10(a)ではなく図10(b)の状態にある。そのため本実施形態では図12に示した手順と同様の手順でローラ交換の有無を判定できる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば、紙面高さを検知するフラグが切り替え手段を兼ねる構成となるため、より少ない構成部品点数で、ローラ交換の自動判定を実現することができる。
【0064】
上記実施形態1~3においては、LBPの給送ユニットを用いて説明をしたが、これに限定されるものではない。オプションの紙搬送装置等にも同様に適用可能である。また、電子写真方式の画像形成装置に限らず、例えばインクジェット方式の画像形成装置などへも適用可能である。
【0065】
[その他の実施例]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0066】
●実施形態のまとめ
上記実施形態をまとめると以下のような発明が含まれる。
(項目1)
シート状の記録材を積載する積載手段と、
前記記録材の上面の高さに応じて変位する第一の状態と変位しない第二の状態のいずれかの状態をとり得る紙面検知部材と、
前記紙面検知部材を検知する検知手段と、
シート給送装置の本体に着脱可能で、記録材を搬送する給送ローラと、前記紙面検知部材を前記第一の状態と前記第二の状態のいずれかに切り替える切り替え手段とを有する給送ユニットと、
制御手段と、を有し、
前記切り替え手段は、前記給送ユニットの交換に応じて前記紙面検知部材を前記第二の状態へと切り替え、
前記制御手段は、前記検知手段により検知された状態の変化を基に、前記給送ユニットが交換されたことを検知する
ことを特徴とする、シート給送装置。
(項目2)
シート状の記録材を積載する積載手段と、
前記記録材の上面の高さに応じて変位する第一の状態と変位しない第二の状態のいずれかの状態をとり得る紙面検知部材と、
前記紙面検知部材を検知する検知手段と、
前記記録材を搬送する給送ローラと、前記紙面検知部材を前記第一の状態と前記第二の状態のいずれかに切り替える切り替え手段とを有する着脱可能な給送ユニットを取り付けて駆動するための駆動手段と、
制御手段と、を有し、
前記切り替え手段は、前記給送ユニットの交換に応じて前記紙面検知部材を前記第二の状態へと切り替え、
前記制御手段は、前記検知手段により検知された状態の変化を基に、前記給送ユニットが交換されたことを検知する
ことを特徴とする、シート給送装置。
(項目3)
前記検知手段は、前記紙面検知部材の位置が、前記記録材の上面高さが給送可能な高さであることを示す給送可能状態と、給送可能でない高さであることを示す非給送可能状態のいずれかを検知し、
前記紙面検知部材が前記第二の状態にある場合には、前記検知手段は前記給送可能状態を検知する
ことを特徴とする、項目1または2に記載のシート給送装置。
(項目4)
前記紙面検知部材は、前記積載手段により前記記録材の高さが上昇する際に動作する第一の方向と、前記記録材の高さが下降する際に動作する第二の方向に動作でき、
前記第二の状態では、前記紙面検知部材が、前記記録材の上面高さが給送可能でない高さから給送可能な高さとなるときの位置を超えて、前記第一の方向にさらに変位した位置に保持される
ことを特徴とする、項目1乃至3のいずれか一項に記載のシート給送装置。
(項目5)
前記切り替え手段は、前記紙面検知部材を、前記給送ユニットが交換されると前記第二の状態とし、前記給送ローラが駆動されると前記第一の状態とする
ことを特徴とする、項目1乃至4のいずれか一項に記載のシート給送装置。
(項目6)
前記切り替え手段は、前記給送ローラが駆動されることで動作する
ことを特徴とする、項目5に記載のシート給送装置。
(項目7)
前記切り替え手段は、前記給送ユニットが未使用の状態では、前記紙面検知部材を前記第二の状態とするようセットされている
ことを特徴とする、項目1乃至6のいずれか一項に記載のシート給送装置。
(項目8)
前記切り替え手段は支持部を有し、前記給送ユニットが前記シート給送装置の本体に取付けられた状態において、前記紙面検知部材の前記第二の状態では、前記支持部が前記紙面検知部材と当接することで前記紙面検知部材を所定の位置に保持し、前記第一の状態では、前記支持部は前記紙面検知部材と当接しない位置に退避する
ことを特徴とする、項目1乃至7のいずれか一項に記載のシート給送装置。
(項目9)
前記紙面検知部材は遮光部を含み、
前記検知手段は、前記紙面検知部材の変位に応じた前記遮光部の移動により透光状態と遮光状態とを検知する光検知センサを有する
ことを特徴とする、項目1乃至8のいずれか一項に記載のシート給送装置。
(項目10)
前記遮光部は遮光面に少なくとも1つのスリットを有し、前記紙面検知部材の動作範囲内を一方向に動く間に、前記検知手段の検知する状態が、透光状態と遮光状態で複数回変化する
ことを特徴とする、項目9に記載のシート給送装置。
(項目11)
前記制御手段は、前記切り替え手段が動作したとき、前記検知手段の検知した状態の変化が3回であった場合は前記給送ユニットが交換されたと判定し、前記検知手段の検知した状態の変化が2回であった場合は、前記記録材が給紙可能な高さを超えて積載されている過積載状態であると判定する
ことを特徴とする、項目10に記載のシート給送装置。
(項目12)
前記制御手段は、前記切り替え手段の動作により、前記検知手段の検知した状態が、前記遮光状態から前記透光状態、前記透光状態から前記遮光状態、前記遮光状態から前記透光状態へと変化したことにより前記給送ユニットが交換されたと判定する
ことを特徴とする、項目11に記載のシート給送装置。
(項目13)
前記制御手段は、前記切り替え手段の動作により、前記検知手段の検知した状態が、前記遮光状態から前記透光状態へ変化したことにより前記給送ユニットが交換されたと判定する
ことを特徴とする、項目9乃至12のいずれか一項に記載のシート給送装置。
(項目14)
前記紙面検知部材は前記シート給送装置の本体に含まれる
ことを特徴とする、項目1乃至13のいずれか一項に記載のシート給送装置。
(項目15)
前記紙面検知部材は前記給送ユニットに含まれる
ことを特徴とする、項目1乃至14のいずれか一項に記載のシート給送装置。
【0067】
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0068】
1...画像形成装置本体、11...給紙カセット、32...ピックアップローラ、34...フィードローラ、40...搬送ユニット、50...紙面レバー、52...紙面センサ、301...給送ホルダ、302...アイドラギア、306...紙面検知板、307...保持部材、320...付勢バネ、330...スライド軸、401...回転フラグ、Sa...シート束
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