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特開2024-179228画像処理装置とその制御方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179228
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】画像処理装置とその制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/12 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G06F3/12 356
G06F3/12 308
G06F3/12 350
G06F3/12 344
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097911
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】成田 幸弘
(57)【要約】
【課題】四隅に細線が描かれている画像をプレビュー表示する際、その画像をプレビュー表示用の解像度に変換して表示させると、実際に印刷される画像とプレビュー画像とが一致しない場合がある。
【解決手段】画像処理装置であって、印刷対象の画像の印刷解像度に基づく縦或いは横方向の印刷画素数を取得し、前記画像のプレビュー表示の解像度に基づく縦或いは横方向のプレビュー画素数を取得する。そして前記プレビュー画素数に基づいて前記画像のプレビューを生成する。そして前記印刷画素数が整数であるか、及び前記プレビュー画素数が整数であるかに基づいて、前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小することで前記画像のプレビューを表示するよう制御する。
【選択図】 図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象の画像の印刷解像度に基づく縦或いは横方向の印刷画素数を取得する第1取得手段と、
前記画像のプレビュー表示の解像度に基づく縦或いは横方向のプレビュー画素数を取得する第2取得手段と、
前記プレビュー画素数に基づいて前記画像のプレビューを生成する生成手段と、
前記第1取得手段により取得された前記印刷画素数が整数であるか、及び前記第2取得手段により取得された前記プレビュー画素数が整数であるかに基づいて、前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小することで前記画像のプレビューを表示するよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記プレビュー画素数を所定の画素数、増大、或いは減少させることにより前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記所定の画素数は1であることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記印刷解像度は、前記画像の印刷品質に基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記プレビュー表示の解像度は、前記プレビュー表示の画素数と前記画像を印刷する画像のサイズに基づいて決定されることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像のサイズは、前記画像の長辺の長さであることを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記制御手段は、前記印刷画素数が整数で前記プレビュー画素数が整数でない場合、前記プレビューの描画領域を縮小して前記画像のプレビューを表示するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記印刷画素数が整数でなく前記プレビュー画素数が整数である場合、前記プレビューの描画領域を拡張して前記画像のプレビューを表示するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記印刷画素数と前記プレビュー画素数がともに整数である場合、前記生成手段により生成された前記画像のプレビューを表示することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記印刷画素数が整数であれば前記プレビューの描画領域を縮小して前記画像のプレビューを表示するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記制御手段は、前記プレビュー画素数が整数であれば前記プレビューの描画領域を拡張して前記画像のプレビューを表示するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記プレビュー表示の解像度或いは前記印刷解像度の画像の端或いは最外周の画素が特定の色情報或いは特定の描画オブジェクトかどうかを判定する判定手段を、更に有し、
前記制御手段は、前記判定手段が前記特定の色情報或いは特定の描画オブジェクトでないと判定した場合に、前記第1取得手段により取得された前記印刷画素数が整数であるか、及び前記第2取得手段により取得された前記プレビュー画素数が整数であるかに基づいて前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小することで前記画像のプレビューを表示し、
前記判定手段が前記特定の色情報或いは特定の描画オブジェクトであると判定した場合、前記生成手段により生成された前記画像のプレビューを表示するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記画像の縦方向及び横方向の両方の前記プレビュー画素数を減少或いは増大することで前記画像の縦横比を維持した状態で前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小して前記画像のプレビューを表示するよう制御することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記印刷対象の画像を含む印刷ファイルで同一サイズが連続するページにおいて、いずれかのページで前記制御手段が前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小した場合、前記制御手段は、後続の同一サイズが連続するページすべてのページに対しても同様に前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項15】
画像処理装置を制御する制御方法であって、
印刷対象の画像の印刷解像度に基づく縦或いは横方向の印刷画素数を取得する第1取得工程と、
前記画像のプレビュー表示の解像度に基づく縦或いは横方向のプレビュー画素数を取得する第2取得工程と、
前記プレビュー画素数に基づいて前記画像のプレビューを生成する生成工程と、
前記第1取得工程で取得された前記印刷画素数が整数であるか、及び前記第2取得工程で取得された前記プレビュー画素数が整数であるかに基づいて、前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小することで前記画像のプレビューを表示するよう制御する制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項16】
請求項15に記載の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置とその制御方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
印刷アプリケーションにおいて、印刷前に印刷結果をシミュレートしたプレビューを表示する技術がある。これによりユーザは、印刷前にプレビューを確認することで、印刷の失敗を防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許公報第6993209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなプレビューは、印刷結果をシミュレートした画像であることから印刷結果と一致していることが重要である。しかしながら、印刷解像度と同等の解像度でプレビューを表示すると、印刷アプリケーションに印刷したいデータを投入してからプレビューが表示されるまでの時間が長くなり、ユーザはストレスを感じることがある。このため、プレビューでは、実際に印刷される解像度より低い解像度で、待ち時間を少なくして表示することが一般的である。このように印刷解像度と異なる解像度でプレビューを表示するため、場合によってプレビューに表示される画像が印刷結果に一致しないことがある。プレビュー表示では、いかに早く、印刷結果を忠実に再現させるか、表示速度と正確性の両立が課題となる。
【0005】
例えば、四隅に細線が描かれている画像を印刷する印刷データの場合、その印刷データをプレビューの解像度に変換して表示装置に表示させると、右端と下端の細線が表示されない場合がある。これはプレビュー用の解像度に変換する際、画像の右端と下端の細線をプレビューの描画領域外に描画しようとするために生じる。
【0006】
特許文献1には、コンピュータのモニタなどの比較的低解像度のデバイス用にレンダリングされたときの文字列と、レーザープリンタや商業用オフセット印刷機などの比較的高解像度のデバイスでレンダリングされたときの文字列の幅の差を比較する。そして、その差に基づいて文字間のスペースを調整することで、プレビューにおいて印刷時と同様の文字列幅とすることで、プレビューを印刷結果に一致させる技術が記載されている。しかし特許文献1の発明では、プレビュー用の解像度に変換する際にプレビューの描画領域外に描画されたデータを表示させることはできない。即ち、印刷対象の画像の端にある細線のプレビューを印刷結果に合わせることはできないという課題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の課題の少なくとも一つを解決することにある。
【0008】
本発明の目的は、印刷解像度と異なる解像度でプレビューを表示する場合でも、プレビューに表示される画像を印刷結果に合わせることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の一態様に係る画像処理装置は以下のような構成を備える。即ち、
印刷対象の画像の印刷解像度に基づく縦或いは横方向の印刷画素数を取得する第1取得手段と、
前記画像のプレビュー表示の解像度に基づく縦或いは横方向のプレビュー画素数を取得する第2取得手段と、
前記プレビュー画素数に基づいて前記画像のプレビューを生成する生成手段と、
前記第1取得手段により取得された前記印刷画素数が整数であるか、及び前記第2取得手段により取得された前記プレビュー画素数が整数であるかに基づいて、前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小することで前記画像のプレビューを表示するよう制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、プレビューに表示される画像を印刷結果に合わせることができるという効果がある。
【0011】
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照とした以下の説明により明らかになるであろう。なお、添付図面においては、同じ若しくは同様の構成には、同じ参照番号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
添付図面は明細書に含まれ、その一部を構成し、本発明の実施形態を示し、その記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】本発明の実施形態1に係るシステム構成の一例を示す図。
図2】実施形態1に係る画像出力装置のハードウェア構成の一例を説明するブロック図。
図3】実施形態1に係る印刷PCのハードウェア構成の一例を説明するブロック図。
図4】実施形態1に係る画像出力装置及び印刷PCの機能構成の一例を説明する機能ブロック図。
図5】実施形態1に係る印刷PCのディスプレイに表示される画像出力装置を対象とした印刷時に印刷設定情報表示部により表示される画面の一例を示す図。
図6】実施形態1に係る印刷PCがプレビュー表示用の画像データを生成して表示する処理を説明するフローチャート。
図7図6のS601の処理を説明するフローチャート。
図8図6及び図7のフローチャートで説明した課題を印刷データの右端と下端の細線が表示されない例を用いて具体的に説明する図。
図9図8で説明した課題の具体例を図6及び図7のフローチャートで説明した処理を実行することで解決する例を説明する図。
図10】画像出力装置の種類により、印刷ファイルの画像の端の画素データが印刷される場合と印刷されない場合の具体例を説明する図。
図11図10で説明した課題を解決する例を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これら複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0014】
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係るシステム構成の一例を示す図である。
【0015】
画像出力装置100は、例えば複合機やプリンタ等の印刷装置で、ネットワーク103を介して印刷PC101と通信可能である。印刷PC101は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)等の画像処理装置で、インストールされている印刷アプリケーション102を実行して画像出力装置100に対して印刷を実行させることができる。実施形態1では、画像出力装置100の数を1つとしたが、これに限定されず、2つ以上でもよい。また印刷PC101の数についても1つとしたが、2つ以上であってもよい。また、印刷PC101の備える機能が画像出力装置100に組み込まれていれば、画像出力装置100のみで構成されていてもよい。
【0016】
図2は、実施形態1に係る画像出力装置100のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
【0017】
画像出力装置100は、CPU200により制御される。CPU200は、ROM201のプログラム用ROMに記憶された制御プログラム、或いは外部メモリ208に記憶された制御プログラム等をRAM202に展開し、その展開したプログラムを実行することで画像出力装置100の動作を制御する。CPU200は、システムバス203を介して印刷部I/F205に接続される印刷部(プリンタエンジン)207に出力情報としての画像信号を出力する。CPU200はまた、入力部204を介して印刷PC101との通信処理が可能となっており、画像出力装置100の情報を印刷PC101に通知できる。またCPU200は、入力部204を介して印刷部207に出力する印刷データを受信できる。RAM202は、CPU200の主メモリや、ワークエリア等として機能し、図示しない増設ポートに接続されるオプションRAMによりメモリ容量を拡張することができるように構成されている。尚、RAM202は、プログラムの展開領域、出力情報の展開領域、環境データの格納領域、不揮発性メモリ等に用いられる。ハードディスク(HDD)、ICカード等の外部メモリ208は、メモリコントローラ206によりアクセスが制御される。外部メモリ208はオプションとして接続されることができ、フォントデータ、エミュレーションプログラム、フォームデータ、画像出力装置100に登録された用紙に関する情報や、用紙属性情報などを記憶する。また操作部209はタッチパネル機能を備え、各種情報を表示できるようになっている。
【0018】
図3は、実施形態1に係る印刷PC101のハードウェア構成の一例を説明するブロック図である。
【0019】
コンピュータ内部の制御部307は、CPU300、ROM301、RAM302、ネットワークI/F(インタフェース)303、キーボードコントローラ304、ディスプレイコントローラ305、ディスクコントローラ306を有する。CPU300は、ディスクコントローラ306を介して外部メモリ310から制御プログラム、システムプログラム、アプリケーションプログラム等の各種プログラムを読み出してRAM302に展開する。CPU300は、RAM302に展開した各種プログラムを実行して各種データ処理を行ったり、ディスプレイ309の表示制御を行ったりする。またCPU300は、ROM301から制御プログラム等を読み出すものでもよい。またCPU300は、ASICなどの専用回路であってもよい。CPU300や専用回路はハードウェア回路やハードウェアプロセッサの一例である。ディスクコントローラ306は、HD、CD-ROM、DVD-ROM、UDB、MO等の外部メモリ310とのアクセスを制御する。RAM302は、図示していないオプションRAM等によりその容量を拡張できるように構成されており、主としてCPU300のワークエリアとして利用される。キーボードコントローラ304は、キーボード308や、図示していないポインティングデバイスからのキー入力を制御する。ディスプレイコントローラ305は、ディスプレイ309の表示を制御する。またCPU300は、ネットワークI/F303を介して画像出力装置100との通信処理が可能である。尚、実施形態1では、特に断らない限り、CPU300がメインバス311を介して、メインバス311に接続されている各部を制御する。またディスプレイ309は、タッチパネル機能を有しても良い。
【0020】
図4は、実施形態1に係る画像出力装置100及び印刷PC101の機能構成の一例を説明する機能ブロック図である。
【0021】
まず、画像出力装置100の機能ブロックについて説明する。尚、図4に示す画像出力装置100の各機能部の機能は、CPU200が前述のプログラムを実行することにより実現される。
【0022】
印刷ジョブ受信部408は、印刷PC101から送信された印刷ジョブを受信する。印刷実行部409は、印刷ジョブ受信部408で受信した印刷ジョブの印刷処理を実行する。
【0023】
次に印刷PC101の機能ブロックについて説明する。尚、図4に示す印刷PC101の各機能部の機能は、印刷PC101のCPU300が前述のプログラムを実行することにより実現される。
【0024】
ジョブDB400は、ユーザが印刷アプリケーション102に投入した印刷ファイル、及びユーザが印刷アプリケーション102の印刷設定情報表示部402により設定した印刷設定情報等を保存するデータベースである。ジョブ情報取得部401は、ユーザが印刷アプリケーション102の印刷設定情報表示部402により設定した印刷設定情報をジョブDB400に保存する。またジョブ情報取得部401は、ジョブDB400に保存された印刷ファイルの原稿サイズなどの印刷データ情報や印刷品質などの印刷設定情報をジョブDB400から取得して解像度演算部403に伝える。印刷設定情報表示部402は、ユーザが印刷設定を設定するための印刷アプリケーション102のインターフェースである。
【0025】
解像度演算部403は、ジョブ情報取得部401から印刷データ情報と印刷設定情報を受け取ると、印刷解像度とプレビュー表示用の解像度を算出する。ここで印刷解像度は、ジョブ情報取得部401によって取得された印刷設定情報に含まれる印刷品質によって決定される。例えば、ユーザが印刷品質を高く設定した場合は印刷解像度は600dpiになり、逆にユーザが印刷品質を低く設定した場合は印刷解像度は300dpiになる。
【0026】
一方、プレビュー解像度は、印刷ファイルの長辺の長さを印刷アプリケーション102によって予め定められたピクセル数(画素数)に分割することで決定される。例えば、その画像の原稿サイズが幅400mm×高さ282.8mmで、印刷アプリケーション102によって予め定められたピクセル数が2000ピクセルとする。この場合、印刷ファイルの長辺が幅400mmであるため、解像度は2000ピクセル÷400mm×25.4mm/inch=127dpiとなる。
【0027】
ピクセル演算部404は、解像度演算部403によって算出された印刷解像度とプレビュー解像度とを用いて、印刷ピクセル数(印刷画素数)とプレビューピクセル数(プレビュー画素数)を算出する。ここでピクセル演算部404によって行われるピクセル数の算出方法について、具体的な例で説明する。
【0028】
いま印刷ファイルの原稿サイズが幅400mm×高さ282.8mm、印刷解像度が600dpi、プレビュー解像度が127dpiとする。印刷解像度から印刷ピクセル数を算出すると、幅は400mm×600dpi÷25.4mm/inch=9448.8ピクセルとなる。また高さは、282.8mm×600dpi÷25.4mm/inch=6680.3ピクセルとなる。一方で、プレビュー解像度からプレビューピクセル数を算出すると、幅は400mm×127dpi÷25.4mm/inch=2000ピクセル、高さは282.8mm×127dpi÷25.4mm/inch=1414ピクセルとなる。そしてピクセル演算部404は、その算出した印刷ピクセル数とプレビューピクセル数から、幅方向(横方向)(もしくは高さ方向(縦方向))の印刷用整数フラグとプレビュー用整数フラグを設定する。幅方向(もしくは高さ方向)の印刷用整数フラグとプレビュー用整数フラグの詳細な設定方法については図7を参照して後述する。
【0029】
画像生成部405は、ピクセル演算部404によって決定されたプレビューピクセル数を用いて、ジョブDB400に保存された印刷データの描画を行って画像を生成する。こうして生成された画像は、プレビュー表示部406によりPC101のディスプレイ309にプレビュー表示される。印刷ジョブ送信部407は、ジョブ情報取得部401から印刷データと印刷設定情報を取得し、それらを基に印刷ジョブを生成して画像出力装置100に送信する。
【0030】
図5は、実施形態1に係る印刷PC101のディスプレイ309に表示される画像出力装置100を対象とした印刷時に印刷設定情報表示部402により表示される画面500の一例を示す図である。
【0031】
この画面500は、印刷対象のドキュメント情報をドキュメントやページ単位で一覧表示しているファイル一覧表示部501と、ファイル一覧表示部501で選択されたページのレイアウトをプレビュー表示するプレビュー表示部502を有する。更にこの画面500は、各種印刷設定項目の設定値を編集する印刷設定表示部503を備えている。印刷設定表示部503には、優先画質選択部505や印刷品質選択部506が含まれる。図5では、優先画質選択部505で「写真・イラスト」が選択されており、印刷品質選択部506では「標準」が選択されている。尚、上述以外の表示部や指示部などが、この画面500に存在していてもよい。ここで印刷ボタン504が押下されると、印刷ジョブの作成及び送信が実施される。
【0032】
図6は、実施形態1に係る印刷PC101がプレビュー表示用の画像データを生成して表示する処理を説明するフローチャートである。即ち、ここでは、印刷ファイルが印刷アプリケーション102に投入されてから印刷結果と一致するようプレビュー表示用の画像データを生成してディスプレイ309に表示する。尚、このフローチャートで示す処理は、ユーザが、印刷ファイルを印刷アプリケーション102に投入することにより開始される。そして、このフローチャートで示す各処理は、CPU300が印刷アプリケーション102を実行することにより達成される。
【0033】
まずS600でCPU300は、印刷ファイルと、印刷設定情報表示部402からの印刷設定とを受け取ると、印刷データと印刷設定情報などを含むジョブ情報としてジョブDB400に保存する。次にS601に進みCPU300は、解像度演算部403として機能し、S600でジョブDB400に保存された印刷データと印刷設定情報とを用いて、印刷解像度及びプレビュー解像度を決定する。そしてピクセル演算部404に印刷及びプレビューピクセル数の算出を依頼する。これによりCPU300はピクセル演算部404として機能し、印刷解像度から印刷ピクセル数を算出し、算出された幅方向(もしくは高さ方向)の印刷ピクセル数が整数の場合は、幅方向(もしくは高さ方向)の印刷用整数フラグをセットする。また、プレビュー解像度からプレビューピクセル数を算出し、算出された幅方向(もしくは高さ方向)のプレビューピクセル数が整数の場合は、幅方向(もしくは高さ方向)のプレビュー用整数フラグをセットする。S601の詳細な処理フローについては図7を参照して後述する。そしてこれ以降、印刷とプレビューの各ピクセル数、及び各整数フラグは幅方向、高さ方向で同一の処理となるため、幅方向、高さ方向の記載は省略する。
【0034】
次にS602に進みCPU300はピクセル演算部404として機能し、S601で設定された印刷用整数フラグとプレビュー用整数フラグが一致しているかどうかを判定する。ここで印刷用整数フラグがセットされている場合、S601で算出した印刷ピクセル数の1ピクセル外側の領域まで印刷しようとする。このため、印刷ファイルの画像の端にデータがあった場合、端のデータは印刷されない。一方で、プレビュー用整数フラグがセットされている場合、S601で算出したプレビューピクセル数の1ピクセル外側の領域まで描画しようとする。このため、印刷ファイルの画像の端にデータがあった場合、端のデータはプレビューに表示されない。このように印刷ファイルの画像の端にデータがある場合、印刷用整数フラグとプレビュー用整数フラグが一致していないと印刷結果とプレビュー表示が一致しない。よって、S602において印刷用整数フラグとプレビュー用整数フラグが一致した場合は印刷結果とプレビュー表示が一致するため、何もせずにS603に進む。一方、印刷用整数フラグとプレビュー用整数フラグのどちらかのみがセットされていた場合は印刷用整数フラグとプレビュー用整数フラグが一致していないためS605に進む。
【0035】
S605でCPU300は、プレビュー用整数フラグがセットされているかどうかを判定する。ここでプレビュー用整数フラグがセットされている場合、印刷ファイルの画像の端にデータがあると印刷はされるがプレビューでは表示されず、印刷結果とプレビュー表示が一致しない。このためS606に進みCPU300は、S601で算出したプレビューピクセル数を1ピクセル分増大させてプレビューの描画領域を拡張することで、印刷ファイルの画像の端にあるデータをプレビュー描画領域内に収め、印刷結果とプレビュー表示を一致させてS603に進む。
【0036】
一方、S605でプレビュー用整数フラグがセットされていない場合、印刷ファイルの画像の端にデータがあると印刷はされないがプレビューは表示され、印刷結果とプレビュー表示が一致しない。このためS607に進みCPU300は、S601で算出したプレビューピクセル数を1ピクセル分減少させてプレビュー描画領域を縮小する。これにより、印刷ファイルの画像の端にあるデータをプレビュー描画領域外に追い出し、印刷結果とプレビュー表示を一致させてS603に進む。尚、S606及びS607において、増大或いは減少させるプレビューピクセル数は1ピクセルでなくてもよく、所定の画素数であればよい。
【0037】
そしてS603でCPU300はピクセル演算部404として機能し、上述したS601もしくはS606またはS607で算出されたプレビューピクセル数を画像生成部405に送信する。これによりCPU300は画像生成部405として機能し、ピクセル演算部404から受信したプレビューピクセル数でジョブDB400に保存されている印刷データを描画し、プレビュー表示用の画像データを生成する。そして画像生成部405は、S603で生成したプレビュー表示用の画像データを印刷PC101のディスプレイ309に表示するようプレビュー表示部406に依頼する。こうしてS604でCPU300はプレビュー表示部406として機能し、プレビュー表示用の画像データに基づいてプレビューを印刷PC101のディスプレイ309に表示する。
【0038】
図7は、図6のS601の処理を説明するフローチャートである。
【0039】
この処理の概要は、解像度演算部403がジョブDB400に保存された印刷データと印刷設定情報を用いて、印刷解像度及びプレビュー解像度を決定する。決定した各解像度を用いて、ピクセル演算部404が幅方向(もしくは高さ方向)のピクセル数を算出し、幅方向(もしくは高さ方向)の整数フラグを設定する。以降、印刷とプレビューの各ピクセル数、及び各整数フラグは幅方向、高さ方向で同一の処理となるため、幅方向、高さ方向の記載は省略する。この処理は、ジョブDB400に印刷ファイルの原稿サイズなどの印刷データや印刷設定情報が新規に保存されるか、情報が更新されると処理が開始される。
【0040】
まずS700でCPU300は解像度演算部403として機能し、印刷設定情報のうち印刷品質を用いて印刷解像度を決定する。例えば、ユーザが印刷品質を高く設定した場合、印刷解像度は600dpiに設定され、逆にユーザが印刷品質を低く設定した場合、印刷解像度は300dpiに設定される。こうして解像度演算部403はピクセル演算部404に印刷解像度を通知し、印刷ピクセル数の算出を依頼する。ピクセル演算部404は解像度演算部403で設定された印刷解像度から印刷ピクセル数を算出する。
【0041】
ここでピクセル演算部404によって行われる印刷ピクセル数の算出方法について、具体的な例で説明する。印刷ファイルの原稿サイズが幅400mm×高さ282.8mm、印刷解像度が600dpiとする。印刷解像度を用いて印刷ピクセル数を算出すると幅は400mm×600dpi÷25.4mm/inch=9448.8ピクセル、高さは282.8mm×600dpi÷25.4mm/inch=6680.3ピクセルとなる。
【0042】
次にS701に進みCPU300は、S700で算出された印刷ピクセル数が整数値かどうかを判定する。ここで整数値であればS702に進んで印刷用整数フラグをオンにセットしてS703に進む。一方、整数値でなければS703に進む。上述の例では、幅が9448.8ピクセル、高さが6680.3ピクセルとなり印刷ピクセル数が整数値でないため、実際の印刷領域の範囲は算出されたピクセル数を切り上げた幅9449ピクセル、高さ6681ピクセルになる。これにより印刷領域の範囲内に印刷データが収まるため、データは欠けることなく印刷される。この場合、印刷用整数フラグはセットされない。
【0043】
S703でCPU300は解像度演算部403として機能し、ジョブDB400から印刷ファイルの各ページの幅と高さを取得する。次にS704に進みCPU300は、S703で取得した幅と高さからプレビュー解像度を算出する。このプレビュー解像度は、印刷ファイルの長辺の長さを印刷アプリケーション102によって予め定められたピクセル数に分割することで決定される。例えば、印刷ファイルの原稿サイズが幅400mm×高さ282.8mm、印刷アプリケーション102によって予め定められたピクセル数が2000ピクセルとすると、印刷ファイルの長辺が幅400mmであるため、解像度は2000ピクセル÷400mm×25.4mm/inch=127dpiとなる。
【0044】
次にS705に進みCPU300はピクセル演算部404として機能し、S704で算出されたプレビュー解像度からプレビューピクセル数を算出する。ここでピクセル演算部404によって行われるプレビューピクセル数の算出方法について、具体的な例で説明する。印刷ファイルの原稿サイズが幅400mm×高さ282.8mm、印刷解像度が127dpiとする。プレビュー解像度を用いてプレビューピクセル数を算出すると、幅は400mm×127dpi÷25.4mm/inch=2000ピクセルとなる。また高さは、282.8mm×127dpi÷25.4mm/inch=1414ピクセルとなる。
【0045】
次にS706に進みCPU300は、S705で算出されたプレビューピクセル数が整数値かどうか判定する。プレビューピクセル数が整数値の場合、算出したプレビューピクセル数の1ピクセル外側の領域まで描画しようとする。このため、印刷ファイルの画像の端にデータがあった場合、そのデータはプレビューに表示されないと判定してS707に進み、プレビュー用整数フラグをオンにセットして、この処理を終了する。一方、レビューピクセル数が整数値でない場合は、そのまま処理を終了する。上述の例では幅が2000ピクセル、高さが1414ピクセルとなり、整数値となるため、プレビュー用整数フラグはオンにセットされる。
【0046】
図8は、図6及び図7のフローチャートで説明した課題を印刷データの右端と下端の細線が表示されない例を用いて具体的に説明する図である。
【0047】
参照番号800は、四隅に細線が描かれている印刷ファイルの画像を示す。ここで画像800の原稿サイズは図7と同様に、幅400mm×高さ282.8mmとする。参照番号801は、印刷解像度で印刷ファイルのピクセル数を算出し、印刷領域の範囲を定めた図を示す。印刷領域801の黒枠が印刷ファイル800の四隅の細線を示す。ここで印刷解像度も図7と同様に600dpiとする。このとき印刷ピクセル数は、幅が400mm×600dpi÷25.4mm/inch=9448.8ピクセル、高さが282.8mm×600dpi÷25.4mm/inch=6680.3ピクセルと算出される。
【0048】
ここで実際の印刷領域は整数値になるため、この印刷領域は、算出されたピクセル数を切り上げた幅9449ピクセル、高さ6681ピクセルになる。参照番号802は、印刷領域801の黒枠(画像800の四隅の細線)の境界を拡大した図である。参照番号803は、印刷領域801の黒枠(画像800の四隅の細線)が印刷されたときのピクセルを示す図である。参照番号802と803とを比較すると明らかなように、印刷されるピクセルは、印刷領域801の黒枠よりも右側にあるピクセルを含んでいる。
【0049】
一方、参照番号804は、プレビュー解像度で画像800のピクセル数を算出し、プレビュー表示領域の範囲を定めた図である。この表示領域804の黒枠が画像800の四隅の細線を示す。プレビュー解像度も図7と同様に127dpiとする。この場合、プレビューピクセル数は、幅が400mm×127dpi÷25.4mm/inch=2000ピクセル、高さが282.8mm×127dpi÷25.4mm/inch=1414ピクセルと算出される。ここでは算出されたプレビューピクセル数は整数値になるため、実際のプレビュー表示領域も、算出されたピクセル数と同じ幅2000ピクセル、高さ1414ピクセルになる。参照番号805は、プレビュー表示領域804の黒枠(画像800の四隅の細線)の境界を拡大した図である。参照番号806は、プレビュー表示領域804の黒枠(画像600の四隅の細線)が表示されるピクセルを示す。ここで表示領域の黒枠805で示すように、黒枠805の右端は表示領域804の右端と一致する。
【0050】
ここで参照番号803で説明したように、印刷されるピクセルは、印刷領域801の黒枠よりも右側にあるピクセルを含んでいる。従って、プレビュー表示するピクセルは、黒枠805より右側にピクセルを含む必要があり、そのピクセルは表示領域804の外側のピクセル(参照番号806の網掛けピクセル)になる。このようにプレビューピクセル数が整数の場合は、印刷領域801の黒枠の右端の細線は表示されない。同様に下端の細線も表示されなくなる。
【0051】
このように四隅に細線が描かれている画像800において、印刷ピクセル数が整数でなくてプレビューピクセル数が整数の場合、プレビューでは右端と下端の細線が表示されないが、印刷された画像では細線が印刷されるという現象が発生する。
【0052】
図9は、図8で説明した課題の具体例を図6及び図7のフローチャートで説明した処理を実行することで解決する例を説明する図である。
【0053】
参照番号900は、図8で説明した四隅に細線が描かれている画像において、プレビューで右端と下端の細線が表示されていない画像を示す。参照番号901は、画像900のうち四隅の細線をピクセルで示した図である。ここでは印刷ピクセル数は非整数で、プレビュー解像度から算出されたピクセル数は整数であるため、印刷される画像900の右端と下端の細線は、プレビュー表示領域の外側のピクセル(網掛けピクセル)になる。ここで、画像900の外側のピクセルに対し、図6及び図7のフローチャートで説明した処理を行うと、S601で印刷用整数フラグはセットされずプレビュー用整数フラグはセットされる。そして各整数フラグの状態からS602とS605によりS606に進んで、プレビューピクセル数を1ピクセル増大させる。このようにプレビューピクセル数を1ピクセル増大させてプレビューの表示領域を拡張することにより、参照番号903で示すように、画像900の右端と下端の細線をプレビュー表示領域内に収めることができる。その結果、参照番号902で示すように、画像900の右端と下端の細線をプレビューに表示させることができる。
【0054】
上述の例では、印刷ピクセル数が整数でなくてプレビューピクセル数が整数の例で説明したが、印刷ピクセル数が整数でプレビューピクセル数が整数でない場合も同様に説明できる。プレビューピクセル数が整数でない場合は、算出されたプレビューピクセル数を切り上げたプレビュー表示領域となる。この場合、プレビュー表示領域は印刷領域よりも1ピクセル分広い領域となるため図6のS607に進み、プレビューピクセル数を1ピクセル減少してプレビュー描画領域を縮小する。これにより、印刷ファイルの画像の端にあるデータをプレビュー描画領域外に追い出し、印刷結果とプレビュー表示を一致させることができる。
【0055】
[実施形態2]
本発明は、上述した実施形態1に限定されるものではない。例えば、実施形態1の図6において、S602の印刷用整数フラグとプレビュー用整数フラグが一致するかどうかの判定、及びS605のプレビュー用整数フラグがセットされているかどうかの判定を省略した構成が考えられる。
【0056】
即ち、S601で印刷用整数フラグとプレビュー用整数フラグが設定された後、印刷用整数フラグがセットされていた場合は常にプレビューピクセル数を1ピクセル、減少させてプレビュー描画領域を縮小する。また、プレビュー用整数フラグがセットされていた場合は常にプレビューピクセル数を1ピクセル増大させてプレビュー描画領域を拡張する。このようにS602とS605の判定処理を省略することで、ページ数の多い印刷ファイル場合にプレビュー表示の時間を短縮することができる。尚、S606とS607において、増大或いは減少するプレビューピクセル数は1ピクセルでなくてもよく、所定の画素数であればよい。
【0057】
また、各整数フラグがセットされていた場合、常にプレビュー画素数を減少或いは増大させてプレビュー描画領域を拡張或いは縮小するとしたが、常に拡張或いは縮小しなくても、同一サイズのページが連続している場合、そのページの範囲で拡張或いは縮小させてもよい。例えば、印刷ファイルの1ページ目から50ページ目までがA4サイズ、51ページ目から100ページ目までがA3サイズの場合を考える。まず、1ページ目から50ページ目までに各整数フラグがセットされているかどうかを判定する。1ページでも整数フラグがセットされていた場合、そのページの後続のページから50ページ目までのプレビューピクセル数を増大或いは減少させる。続いて、51ページ目から100ページ目までについて、上記と同様の処理を実施する。
【0058】
[実施形態3]
本発明は、実施形態1の図6で説明したように印刷ファイルの画像の端に画素データが存在した場合に印刷結果とプレビュー表示が一致しない課題を解決するのに有効な手段である。このため、事前に印刷ファイルの画像の端に画素データが存在するかどうかを判定し、画素データが存在する場合にだけ、本課題を解決するための手段を実施する構成が考えられる。
【0059】
例えば、実施形態1の図6において、S602で印刷用整数フラグとプレビュー用整数フラグが一致するかどうかを判定する前に、S601で算出されたピクセル数の端の画素データが白(R=G=B=255)以外の色情報になっているか判定する。白以外の色になっている場合は、印刷ファイルの画像の端の画素データが印刷されない、もしくはプレビュー表示されない可能性があるためS602を実施する。
【0060】
一方、白一色になっている場合は、印刷ファイルの画像の端に印刷される画素データがないためS602を実施せずにS603に進んでプレビュー画像の生成を行う。更に、すでにジョブDB400に印刷ファイルのデータや印刷設定情報が保存され、プレビュー画像が生成されている場合は、S603とS604も実施する必要がない。印刷設定のうち出力用紙サイズを変更すると、S603において、プレビュー画像の再生成が必要になる。しかし実施形態3によれば、S602からS604の処理を省略することができ、ページ数の多い印刷ファイル場合にプレビュー表示の時間を短縮することができる。尚、判定する色情報として、白色を挙げているが、それ以外の色情報でも良く、ある特定の描画オブジェクトの有無を判定してもよい。また画像の端は、その画像の最外周であっても良い。
【0061】
[実施形態4]
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。実施形態1の図6において、S606で幅方向(もしくは高さ方向)だけプレビューピクセル数を1ピクセル分増大させてレビューの描画領域を拡張させている。しかし、こうしてプレビューの描画領域を広げると印刷データの縦横比を維持できない。このため、S602において、幅方向(もしくは高さ方向)のどちらかのみ印刷用整数フラグとプレビュー用整数フラグが一致しなかった場合、S606で幅方向及び高さ方向の両方のプレビューピクセル数を1ピクセル分増大させることで印刷データの縦横比を維持する。
【0062】
S607においても同様に、幅方向(もしくは高さ方向)だけプレビューピクセル数を1ピクセル分減少させる場合も、幅方向及び高さ方向の両方のプレビューピクセル数を1ピクセル減少する。尚、S606及びS607において、増大或いは減少するプレビューピクセル数は1ピクセルでなくてもよく、所定の画素数であればよい。
【0063】
[実施形態5]
実施形態1に係る技術は、図6で説明したように、印刷ファイルの画像の端に画素データが存在した場合に印刷結果とプレビュー表示が一致しない課題を解決するのに有効な手段である。画像出力装置100には物理的なマージンが存在するため、実際の印刷領域はマージンの内側に限定される。このマージンは画像出力装置100の種類により異なる。このため実施形態1に記載の技術を用いても、画像出力装置100の種類によっては、画像出力装置100のマージンと重なった場合、印刷ファイルの画像の端の画素データが印刷されないことがある。
【0064】
図10は、画像出力装置100の種類により、印刷ファイルの画像の端の画素データが印刷される場合(参照番号1000~1003)と印刷されない場合(参照番号1004~1007)の具体例を説明する図である。
【0065】
参照番号1000及び1004はともに、画像出力装置100にセットされた用紙サイズと画像形成装置100で実際に印刷可能な印刷領域を示す。ここで黒枠で示す部分の外側の領域が画像出力装置100のマージンである。従って、この黒枠の外側の領域は、画像形成装置100では印刷することができない領域であるため、印刷済のシートでは余白となる。即ち、印刷ファイルの画像は、参照番号1000の黒枠の内側に印刷されることになる。実施形態1の図6では、印刷ファイルの画像の端の画素データがちょうどこの黒枠上に描画される。
【0066】
ここで実施形態1と同様に印刷解像度を600dpiとし、画像出力装置100のマージンを上下左右とも3mmとする。このときマージンのピクセル数は、3mm×600dpi÷25.4mm/inch=70.9ピクセルと算出される。
【0067】
実際のマージンは整数値になるが、画像出力装置100の種類により算出されたピクセル数を切り下げた70ピクセルになる場合と、切り上げた71ピクセルになる場合がある。ここで切り上げ、切り捨ての方法は小数点以下を切り捨てる方法や、四捨五入して切り上げ、切り捨てを判断する方法などが考えられるがいずれの方法でもよい。参照番号1001及び1005は、黒枠(マージンの境界線)の左辺の縦線の一部を拡大した図である。この場合、印刷ファイルの画像の端の画素データは、70~71ピクセルの間に描画されることになる。
【0068】
画像出力装置100のマージンの位置が70ピクセルの場合、参照番号1001で示すようにマージンは印刷領域の内側に入る。参照番号1002は、黒枠(マージンの境界線)にある画素データが印刷されたときのピクセルを示す図である。参照番号1001と1002を比較すると明らかなように、印刷されるピクセルは、黒枠よりも外側にあるピクセルを含んでいる。
【0069】
一方、画像出力装置100のマージンが71ピクセルの場合、参照番号1005で示すように、マージンは印刷領域(ピクセル70)の外側にはみ出す。参照番号1006は、参照番号1004で示された黒枠(マージンの境界線)にある画素データが印刷されなかったときの状態を示す図である。
【0070】
ここで参照番号1002で説明したように、画像出力装置100のマージンの位置が70ピクセルの場合、印刷されるピクセルは、参照番号1000の黒枠よりも外側にあるピクセルを含んでいる。一方、画像出力装置100のマージンが71ピクセルの場合は、黒枠1005より1ピクセル内側のピクセルでないと印刷されない。
【0071】
このように画像出力装置100のマージンと印刷ファイルの画像の端の画素データが重なった場合、画像出力装置100のマージンの仕様によっては印刷ファイルの画像の端の画素データが印刷されないという現象が発生する。
【0072】
図11は、図10で説明した課題を解決する例を説明する図である。
【0073】
参照番号1100は、図10で説明した画像出力装置100のマージンと印刷ファイルの画像の端の画素データが重なった場合において、画像の端の画素データが印刷されない画像を示す。参照番号1101は、画像1100のうち画像の端の画素データをピクセルで示した図である。ここでは印刷領域は画像出力装置100のマージンの内側にあるため、印刷される画像1100の端の画素データは、印刷領域の外側のピクセル(網掛けピクセル)になって印刷されない。
【0074】
画像出力装置100のマージンをピクセルに変換した際、算出されたピクセル数が切り下げられるか、切り上げられるかを予め調べて記憶しておく。そして印刷が実行される際に記憶したマージン情報を取得し、切り上げられる場合は、印刷ピクセル数を1ピクセル増大させる。このように印刷ピクセル数を1ピクセル増大させて印刷領域を拡張することにより、参照番号1103で示すように、画像1100の端の画素データを印刷することができる。その結果、参照番号1102で示すように、画像1100の端の画素データを印刷させることができる。
【0075】
尚、画像出力装置100の種類により、マージンをピクセルに変換した際、算出されたピクセル数が切り下げられるか、切り上げらえるかは、上下左右それぞれのマージンにより異なる可能性がある。このため、上下左右のマージンについて、それぞれ独立して記憶してもよい。また、2つ以上のマージンで切り下げ、切り上げが共通しているのであれば、上下マージン、左右マージンのように組み合わせで記憶してもよい。
【0076】
[実施形態6]
実施形態1に係る技術は、図6で説明したように印刷ファイルの画像の端に画素データが存在した場合に印刷結果とプレビュー表示が一致しない課題を解決するのに有効な手段である。実施形態5で説明したように画像出力装置100には物理的なマージンが存在するため、実際の印刷領域はマージンの内側に限定される。印刷ファイルの画像を印刷領域に合わせて印刷する際、画像が欠けないように画像出力装置100にセットされた用紙の端からマージン分、画像を縮小する。印刷ファイルの画像の端の画素データがある場合、画像出力装置100のマージンをピクセルに変換する際に誤差が生じ、右端と下端のデータが印刷されない場合がある。
【0077】
例えば、原稿サイズがA4の印刷ファイルを、印刷サイズA4で印刷する場合を考える。ここで、印刷する解像度を実施形態1と同様に600dpiとし、画像出力装置100のマージンを上下左右とも3mmとする。原稿サイズは幅が210mm、高さが297mmであるが、印刷サイズはマージンが考慮されると、幅が210mm-3mm×2=204mm、高さが297mm-3mm×2=291mmと若干縮小される。またページの右端と下端の位置は、左上を原点とすると左マージン、上マージンに印刷サイズを加えて、右端が207mm、下端が294mmとなる。
【0078】
印刷解像度に基づいてピクセル換算した場合、右端の位置は207mm×600dpi÷25.4mm/inch=4889.76ピクセル、下端の位置は294mm×600dpi÷25.4mm/inch=6844.88ピクセルと算出される。
【0079】
ここで実際の印刷ピクセルは整数値になるため、算出されたピクセル数が切り下げられた場合、右端の位置は4889ピクセル、下端の位置は6844ピクセルとなる。小数点以下の切り捨てられた右端0.76ピクセル(右端0.032mm、上端からは206.96mm~207mmの位置に該当する)、下端0.88ピクセル(下端0.037mm)の位置に画素データがある場合、印刷領域の外側と判断され、印刷されない。
【0080】
そこで印刷ファイル印刷領域が印刷ピクセル数に含まれるように、疑似的な解像度変換を行い縮小する。ここでは解像度を微小に小さくしてレンダリング処理を行うことで実現する。一例として右端は4889ピクセルを599dpiとしてレンダリングすることで、同一ピクセル数での描画領域を伸張させることができる。これをmmに換算すると4889ピクセル÷599dpi×25.4mm/inch=207.31mmになり、切り捨てにより描画されなかった位置(206.96mm~207mm)も印刷領域内に含まれるようになる。これにより、印刷ファイルの画像の右端と下端の画素データを印刷させることができる。尚、減少する解像度は1dpi単位でなくてもよく、より理論値に近づけるように小さな値にしてもよい。
【0081】
上述の例では、原稿サイズを印刷サイズに合わせて縮小する例で説明したが、原稿サイズを印刷サイズに合わせて拡大する場合も同様に説明できる。
【0082】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0083】
本明細書及び図面は、以下の画像処理装置とその制御方法、及びプログラムを開示する。
【0084】
[項目1]
印刷対象の画像の印刷解像度に基づく縦或いは横方向の印刷画素数を取得する第1取得手段と、
前記画像のプレビュー表示の解像度に基づく縦或いは横方向のプレビュー画素数を取得する第2取得手段と、
前記プレビュー画素数に基づいて前記画像のプレビューを生成する生成手段と、
前記第1取得手段により取得された前記印刷画素数が整数であるか、及び前記第2取得手段により取得された前記プレビュー画素数が整数であるかに基づいて、前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小することで前記画像のプレビューを表示するよう制御する制御手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【0085】
[項目2]
前記制御手段は、前記プレビュー画素数を所定の画素数、増大、或いは減少させることにより前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小することを特徴とする項目1に記載の画像処理装置。
【0086】
[項目3]
前記所定の画素数は1であることを特徴とする項目2に記載の画像処理装置。
【0087】
[項目4]
前記印刷解像度は、前記画像の印刷品質に基づいて決定されることを特徴とする項目1乃至3のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【0088】
[項目5]
前記プレビュー表示の解像度は、前記プレビュー表示の画素数と前記画像を印刷する画像のサイズに基づいて決定されることを特徴とする項目1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【0089】
[項目6]
前記画像のサイズは、前記画像の長辺の長さであることを特徴とする項目5に記載の画像処理装置。
【0090】
[項目7]
前記制御手段は、前記印刷画素数が整数で前記プレビュー画素数が整数でない場合、前記プレビューの描画領域を縮小して前記画像のプレビューを表示するよう制御することを特徴とする項目1乃至6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【0091】
[項目8]
前記制御手段は、前記印刷画素数が整数でなく前記プレビュー画素数が整数である場合、前記プレビューの描画領域を拡張して前記画像のプレビューを表示するよう制御することを特徴とする項目1乃至7のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【0092】
[項目9]
前記制御手段は、前記印刷画素数と前記プレビュー画素数がともに整数である場合、前記生成手段により生成された前記画像のプレビューを表示することを特徴とする項目1乃至8のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【0093】
[項目10]
前記制御手段は、前記印刷画素数が整数であれば前記プレビューの描画領域を縮小して前記画像のプレビューを表示するよう制御することを特徴とする項目1乃至9のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【0094】
[項目11]
前記制御手段は、前記プレビュー画素数が整数であれば前記プレビューの描画領域を拡張して前記画像のプレビューを表示するよう制御することを特徴とする項目1乃至10のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【0095】
[項目12]
前記プレビュー表示の解像度或いは前記印刷解像度の画像の端或いは最外周の画素が特定の色情報或いは特定の描画オブジェクトかどうかを判定する判定手段を、更に有し、
前記制御手段は、前記判定手段が前記特定の色情報或いは特定の描画オブジェクトでないと判定した場合に、前記第1取得手段により取得された前記印刷画素数が整数であるか、及び前記第2取得手段により取得された前記プレビュー画素数が整数であるかに基づいて前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小することで前記画像のプレビューを表示し、
前記判定手段が前記特定の色情報或いは特定の描画オブジェクトであると判定した場合、前記生成手段により生成された前記画像のプレビューを表示するよう制御することを特徴とする項目1乃至11のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【0096】
[項目13]
前記制御手段は、前記画像の縦方向及び横方向の両方の前記プレビュー画素数を減少或いは増大することで前記画像の縦横比を維持した状態で前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小して前記画像のプレビューを表示するよう制御することを特徴とする項目1乃至12のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【0097】
[項目14]
前記印刷対象の画像を含む印刷ファイルで同一サイズが連続するページにおいて、いずれかのページで前記制御手段が前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小した場合、前記制御手段は、後続の同一サイズが連続するページすべてのページに対しても同様に前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小することを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【0098】
[項目15]
画像処理装置を制御する制御方法であって、
印刷対象の画像の印刷解像度に基づく縦或いは横方向の印刷画素数を取得する第1取得工程と、
前記画像のプレビュー表示の解像度に基づく縦或いは横方向のプレビュー画素数を取得する第2取得工程と、
前記プレビュー画素数に基づいて前記画像のプレビューを生成する生成工程と、
前記第1取得工程で取得された前記印刷画素数が整数であるか、及び前記第2取得工程で取得された前記プレビュー画素数が整数であるかに基づいて、前記プレビューの描画領域を拡張或いは縮小することで前記画像のプレビューを表示するよう制御する制御工程と、
を有することを特徴とする制御方法。
【0099】
[項目16]
請求項15に記載の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるプログラム。
【0100】
本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために、以下の請求項を添付する。
【符号の説明】
【0101】
100…画像出力装置、101…印刷PC、102…印刷アプリケーション、103…ネットワーク接続部、203…システムバス、307…制御部、311…メインバス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11