(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179239
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】キーボード装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/02 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G06F3/02 440
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097935
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】下坂 喜一郎
(72)【発明者】
【氏名】淵上 良恵
(72)【発明者】
【氏名】久保田 聡
【テーマコード(参考)】
5B020
【Fターム(参考)】
5B020AA01
5B020AA02
5B020AA04
5B020AA05
5B020AA07
5B020BB02
5B020CC06
5B020DD02
5B020DD23
(57)【要約】
【課題】利用者の利便性をより向上させることができるキーボード装置、制御方法及び制御プログラムを提供すること。
【解決手段】キーボード装置は、筐体と、筐体の上面に配置された複数のキーと、筐体の少なくとも一つの側面に設けられたタッチパッドと、を有し、複数のキーのうちのホームポジションに割り当てられたキーとタッチパッドが設けられた側面の上端部との間の最短距離Dと、タッチパッドの幅Wとは、2<log
2(1+D/W)<6を満たす。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の上面に配置された複数のキーと、
前記筐体の少なくとも一つの側面に設けられたタッチパッドと、を有し、
前記複数のキーのうちのホームポジションに割り当てられたキーと前記タッチパッドが設けられた側面の上端部との間の最短距離Dと、前記タッチパッドの幅Wとは、以下の式を満たす、
2<log2(1+D/W)<6
ことを特徴とするキーボード装置。
【請求項2】
筐体と、
前記筐体の上面に配置された複数のキーと、
前記筐体の上面に配置されたマウスポインタと、
前記筐体の少なくとも一つの側面に設けられたタッチパッドと、を有し、
前記マウスポインタと前記タッチパッドが設けられた側面の上端部との間の最短距離Dと、前記タッチパッドの幅Wとは、以下の式を満たす、
2<log2(1+D/W)<6
ことを特徴とするキーボード装置。
【請求項3】
前記タッチパッドは、前記筐体の手前側面及び奥側面のうちの少なくとも一つの側面に設けられる、請求項1又は2に記載のキーボード装置。
【請求項4】
前記タッチパッドは、前記筐体の手前側面に設けられ、
前記複数のキーのうちのスペースキーと前記タッチパッドが設けられた側面の上端部との間の最短距離は55.1mm以下である、請求項1又は2に記載のキーボード装置。
【請求項5】
前記複数のキーのうちのホームポジションに割り当てられたキーより奥側に配置されたキーの手前側の端部の高さは当該キーの奥側の端部の高さより低く、ホームポジションに割り当てられたキーより手前側に配置されたキーの手前側の端部の高さは当該キーの奥側の端部の高さより高い、請求項1に記載のキーボード装置。
【請求項6】
前記マウスポインタは、前記複数のキーのうちのFキーとJキーとの間に配置される、請求項2に記載のキーボード装置。
【請求項7】
前記複数のキーのうちのホームポジションに割り当てられたキーと前記タッチパッドとの間に配置されたマウスキーをさらに有する、請求項1に記載のキーボード装置。
【請求項8】
前記マウスポインタと前記タッチパッドとの間に配置されたマウスキーをさらに有する、請求項2に記載のキーボード装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キーボード装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な種類のキーボード装置が開発されている。このようなキーボード装置では、利用者の利便性をより向上させることが求められている。
【0003】
特許文献1には、筐体の操作面と側面とが交差して形成する第1縁部に配置された第1方向位置操作入力部、及び、第1縁部と交差する第2縁部に配置された第2方向位置操作入力部が設けられた入力支援手段操作装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キーボード装置では、利用者の利便性をより向上させることが求められている。
【0006】
本発明の目的は、利用者の利便性をより向上させることができるキーボード装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係るキーボード装置は、筐体と、筐体の上面に配置された複数のキーと、筐体の少なくとも一つの側面に設けられたタッチパッドと、を有し、複数のキーのうちのホームポジションに割り当てられたキーとタッチパッドが設けられた側面の上端部との間の最短距離Dと、タッチパッドの幅Wとは、以下の式を満たす。
2<log2(1+D/W)<6
【0008】
本発明の一側面に係るキーボード装置は、筐体と、筐体の上面に配置された複数のキーと、筐体の上面に配置されたマウスポインタと、筐体の少なくとも一つの側面に設けられたタッチパッドと、を有し、マウスポインタとタッチパッドが設けられた側面の上端部との間の最短距離Dと、タッチパッドの幅Wとは、以下の式を満たす。
2<log2(1+D/W)<6
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、キーボード装置は、利用者の利便性をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係るキーボード装置を示す斜視図である。
【
図3】実験結果について説明するためのグラフである。
【
図4】スペースキー及びタッチパッドと利用者の指との関係を示す模式図である。
【
図5】マウスポインタのカバーについて説明するための模式図である。
【
図6】
図2に示すキーボード装置のA-A断面図である。
【
図7】(a)~(c)は、キーボード装置の側面の形状について説明するための模式図である。
【
図8】(a)~(h)は、キーボード装置の側面のタッチパッドが配置される部分の形状について説明するための模式図である。
【
図9】キーボード装置に設けられたスイッチを示す斜視図である。
【
図10】キーボード装置の角度切替部を示す斜視図である。
【
図11】(a)は角度切替部が収容されたキーボード装置を示す図であり、(b)は第1角度調整部が展開されたキーボード装置を示す図であり、(c)は第2角度調整部が展開されたキーボード装置を示す図である。
【
図12】(a)はキーボード装置の概略構成を示すブロック図であり、(b)は記憶装置及び処理回路の概略構成を示す図である。
【
図13】キーボード装置により実行される制御処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】他の実施形態に係るキーボード装置の処理回路の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一側面に係るキーボード装置について図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0012】
図1は、本実施形態に係るキーボード装置100を示す斜視図である。
図2はキーボード装置100の上面図である。
【0013】
図1及び
図2において、矢印A1は略鉛直方向(キーボード装置100の高さ方向)を示し、矢印A2は高さ方向と直交するキーボード装置100の長手方向(幅方向)を示し、矢印A3は高さ方向及び幅方向と直交するキーボード装置100の短手方向(奥行き方向)を示す。
【0014】
キーボード装置100は、記号又は英数字等の文字を入力するためのメインキーを有するキーボード装置である。キーボード装置100は、数字を入力するためのテンキーを有する、いわゆるテンキー装置であってもよい。キーボード装置100は、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を、キーボード装置100に電気的に接続される不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)へ出力する。
【0015】
キーボード装置100は、筐体101、複数のキー102、マウスポインタ103、複数のマウスキー104及び複数のタッチパッド110を有する。なお、タッチパッド110の数は、一つでもよい。複数のキー102、マウスポインタ103、複数のマウスキー104及び複数のタッチパッド110は、いずれも筐体101に設けられる。
【0016】
複数のキー102は、記号又は英数字等の文字を入力するために用いられる。複数のキー102は、筐体101の上面に配置される。各キー102は、キートップ及びキースイッチを含む。複数のキー102には、ホームポジションに割り当てられたキー102a~102hが含まれる。複数のキー102がメインキーである場合、Aキー、Sキー、Dキー、Fキー、Jキー、Kキー、Lキー及び「;(セミコロン)」キーがホームポジションに割り当てられる。複数のキー102がテンキーである場合、5キーがホームポジションに割り当てられる。
【0017】
マウスポインタ103は、キーボード装置100が接続される情報処理装置が有する表示装置(図示せず)の画面上で、入力位置又は座標を指定するために用いられる。マウスポインタ103は、筐体101の上面に配置される。マウスポインタ103は、マウスキー104と共に操作することを考慮して、マウスキー104の位置を基準とした位置に設けられる。例えば、マウスポインタ103は、奥行方向A3から見て、すなわち幅方向A2においてマウスキー104と重複する位置に設けられる。また、マウスポインタ103は、幅方向A2から見て、すなわち奥行方向A3においてマウスキー104と重複する位置に設けられる。
【0018】
マウスポインタ103は、複数のキー102のうちのFキー102dとJキー102eとの間に配置される。これにより、利用者は、ホームポジションに割り当てられたFキー102dとJキー102eとに置かれた人差し指を用いて、マウスポインタ103を容易に操作することができる。したがって、キーボード装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0019】
複数のマウスキー104は、それぞれボタンであり、一般的な3ボタンマウスに設けられた左ボタン、右ボタン及びホイールボタンと同様の機能を割り当て可能である。複数のマウスキー104には、一般的なキーボード装置で用いられている他の機能が割り当てられてもよい。
【0020】
複数のマウスキー104は、筐体101の上面から手前側面に亘って設けられる。マウスキー104は、複数のキー102のうちのホームポジションに割り当てられたキー102a~102hとタッチパッド110a、110bとの間に配置される。これにより、利用者は、各キー102a~102hに人差し指、中指、薬指及び小指を置いた状態で、親指でマウスキー104を容易に操作することができる。したがって、キーボード装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0021】
また、マウスキー104は、マウスポインタ103とタッチパッド110a、110bとの間に配置される。これにより、利用者は、人差し指でマウスポインタ103を操作しながら、親指でマウスキー104を容易に操作することができる。したがって、キーボード装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0022】
複数のタッチパッド110は、ジェスチャ機能を割り当て可能であり、スワイプ、タップ、ダブルタップ、プレス又はロングプレス等の操作に応じた信号を出力する。複数のタッチパッド110は、キーボード装置100が接続される情報処理装置が有する表示装置に表示される画面内のオブジェクトに対する上下若しくは左右スクロール、拡大若しくは縮小、又は、回転等を行うために用いられる。
【0023】
複数のタッチパッド110は、タッチパッド110a~110fを含む。タッチパッド110a及び110bは筐体101の手前側面に設けられる。タッチパッド110c及び110dは筐体101の奥側面に設けられる。タッチパッド110eは筐体101の左側面に設けられる。タッチパッド110fは筐体101の右側面に設けられる。各タッチパッド110は、各側面の延伸方向に沿って設けられる。タッチパッド110は、利用者のタッチを検知するセンサを含む。
【0024】
複数のキー102のうちのホームポジションに割り当てられたキー102a~102hとタッチパッド110が設けられた側面の上端部E1~E4との間の最短距離D1と、タッチパッド110の幅Wとは、以下の式(1)を満たす。
2<log2(1+D1/W)<6 …(1)
【0025】
タッチパッド110の幅Wは、タッチパッド110の操作面における短手方向の長さ、すなわちタッチパッド110の高さ方向A1における長さである。
【0026】
最短距離D1は、奥行き方向A3におけるホームポジションに割り当てられたキー102a~102hのキートップの中心位置と、手前側面の上端部E1との間の距離である。最短距離D1は、奥行き方向A3におけるホームポジションに割り当てられたキー102a~102hのキートップの手前側の端部と、手前側面の上端部E1との間の距離でもよい。
【0027】
最短距離D1は、奥行き方向A3におけるホームポジションに割り当てられたキー102a~102hのキートップの中心位置と、奥側面の上端部E2との間の距離でもよい。最短距離D1は、奥行き方向A3におけるホームポジションに割り当てられたキー102a~102hのキートップの奥側の端部と、奥側面の上端部E2との間の距離でもよい。
【0028】
最短距離D1は、幅方向A2におけるホームポジションに割り当てられたキー102a~102hのうち最も左側に配置されたキー102aのキートップの中心位置と、左側面の上端部E3との間の距離でもよい。最短距離D1は、幅方向A2におけるキー102aのキートップの左側の端部と、左側面の上端部E3との間の距離でもよい。最短距離D1は、幅方向A2におけるホームポジションに割り当てられたキー102a~102hのうちの任意のキーの位置と、左側面の上端部E3との間の距離でもよい。
【0029】
最短距離D1は、幅方向A2におけるホームポジションに割り当てられたキー102a~102hのうち最も右側に配置されたキー102hのキートップの中心位置と、右側面の上端部E4との間の距離でもよい。最短距離D1は、幅方向A2におけるキー102hのキートップの右側の端部と、右側面の上端部E4との間の距離でもよい。最短距離D1は、幅方向A2におけるホームポジションに割り当てられたキー102a~102hのうちの任意のキーの位置と、右側面の上端部E4との間の距離でもよい。
【0030】
特に、最短距離D1と、幅Wとは、以下の式(2)を満たすことがより好ましい。
2.2<log2(1+D1/W)<4.1 …(2)
【0031】
対象物の領域に移動するのに必要な時間が対象物までの距離と対象物の大きさの関数となることを予測するフィッツの法則が知られている。フィッツの法則は、ある点を指すという動作、すなわち対象物に手若しくは指で物理的に触れることをモデル化するために用いられる。フィッツの法則では、動作を完了する時間Tは、以下の式(3)で算出されることが示されている。
T=a+blog2(1+D/W) …(3)
【0032】
ここで、aは、移動の開始・停止に要する時間である。bは、移動速度である。Dは、開始点から対象の中心までの距離である。Wは、移動の方向に測った対象物の幅である。これらのパラメータのうち、時間a及び速度bは、実験条件により定まる。式(2)の対数項log2(1+D1/W)は難易度指数IDと呼ばれ、動作を完了する時間Tは、この難易度指数IDに依存する。
【0033】
発明者は、側面にタッチパッドが設けられたキーボード装置について、キーのホームポジションを開始点とし、タッチパッドの幅を対象物の幅として、キーのホームポジションとタッチパッドの間の距離及びタッチパッドの幅を変更しながら、複数の利用者にホームポジションに置いた指をタッチパッドの位置まで移動させる実験を行った。
【0034】
図3は、上記の実験結果について説明するためのグラフである。
【0035】
図3において、横軸は難易度指数IDを示し、縦軸は利用者による操作性の快適さの主観値を示す。主観値は、非常に不快であることを示す1、不快であることを示す2、普通であることを示す3、快適であることを示す4、非常に快適であることを示す5の5段階の値を有する。
図3のグラフ301は、上記の実験における各キーの難易度指数IDと複数の利用者による主観値の平均値との関係を示すグラフである。グラフ301の上方に位置する各ライン302a~302gは、各キー102の難易度指数IDに対する各利用者による主観値の最大値を示し、グラフ301の下方に位置するライン303a~303gは、各キー102の難易度指数IDに対する各利用者による主観値の最小値を示す。
図3に示すように、難易度指数IDが6未満である場合に、各利用者の主観値は、普通であることを示す3以上であり、全ての利用者は操作性に不満を持たなかった。一方、ホームポジションとタッチパッドの間にキーを適切に配置するためには、難易度指数IDは少なくとも2より大きくする必要がある。したがって、キーボード装置は、上記式(1)が満たされる場合に、キーを適切に配置しつつ、利用者の操作性を向上させることができる。
【0036】
また、
図3に示すように、難易度指数IDが4.1未満である場合に、各利用者の主観値は、快適であることを示す4以上であり、全ての利用者は操作性に快適さを感じた。また、利用者が快適にキータイピングを行えるように、ホームポジションとタッチパッドとの間に余裕をもってキーを配置するためには、難易度指数IDは2.2より大きくする必要がある。したがって、キーボード装置は、上記式(2)が満たされるようにタッチパッドが配置される場合に、複数のキーをより適切に配置しつつ、利用者の操作性をより向上させることができる。
【0037】
特に、タッチパッド110が筐体101の手前側面又は奥側面に配置される場合、タッチパッド110は、キー102を操作する人差し指、中指、薬指及び小指の全てに対して操作しやすい位置に配置される。
【0038】
なお、上記の式(1)、(2)において、最短距離D1に代えて、ホームポジションに割り当てられたキー102a~102hと各タッチパッド110の上端部との間の最短距離(ユークリッド距離)が用いられてもよい。また、上記の式(1)、(2)において、最短距離D1に代えて、最短距離D1に、上端部E1~E4と各タッチパッド110の上端部との間の距離を加算した距離が用いられてもよい。
【0039】
また、マウスポインタ103とタッチパッド110が設けられた側面の上端部E1~E4との間の最短距離D2と、タッチパッド110の幅Wとは、以下の式(4)を満たす。
2<log2(1+D2/W)<6 …(4)
【0040】
最短距離D2は、奥行き方向A3におけるマウスポインタ103の中心位置と、手前側面の上端部E1との間の距離である。最短距離D2は、奥行き方向A3におけるマウスポインタ103の手前側の端部と手前側面の上端部E1との間の距離でもよい。
【0041】
最短距離D2は、奥行き方向A3におけるマウスポインタ103の中心位置と、奥側面の上端部E2、左側面の上端部E3又は右側面の上端部E4との間の距離でもよい。最短距離D2は、奥行き方向A3におけるマウスポインタ103の奥側の端部と奥側面の上端部E2との間の距離、左側の端部と左側面の上端部E3との間の距離、又は、右側の端部と右側面の上端部E4との間の距離でもよい。
【0042】
ホームポジションとタッチパッド110との位置関係と同様に、キーボード装置100は、マウスポインタ103に対して上記式(4)が満たされるようにタッチパッド110が配置される場合に、複数のキー102を適切に配置しつつ、利用者の操作性を向上させることができる。
【0043】
特に、最短距離D2と、幅Wとは、以下の式(5)を満たすことがより好ましい。
2.2<log2(1+D2/W)<4.1 …(5)
【0044】
ホームポジションとタッチパッド110との位置関係と同様に、キーボード装置100は、マウスポインタ103に対して上記式(5)が満たされるようにタッチパッド110が配置される場合に、複数のキー102をより適切に配置しつつ、利用者の操作性をより向上させることができる。
【0045】
なお、上記の式(4)、(5)において、最短距離D2に代えて、マウスポインタ103とタッチパッド110の上端部との間の最短距離(ユークリッド距離)が用いられてもよい。また、最短距離D2に代えて、最短距離D2に、上端部E1~E4とタッチパッド110の上端部との間の距離を加算した距離が用いられてもよい。
【0046】
また、キーボード装置100全体のサイズを考慮すると、距離D1,D2は、300mm以下であることが好ましい。また、タッチパッド110全体のサイズを考慮すると、タッチパッド110の幅Wは、1mm以上且つ50mm未満の範囲内であることが好ましい。
【0047】
また、複数のキー102には、スペースキー102iが含まれる。スペースキー102iと、タッチパッド110a,110bが設けられた筐体101の手前側面の上端部E1との間の最短距離は、55.1mm以下であることが好ましい。スペースキー102iと、タッチパッド110a,110bが設けられた筐体101の手前側面の上端部E1との間の最短距離は、37.7mm以下であることがより好ましい。スペースキー102iと上端部E1との間の最短距離は、奥行き方向A3におけるスペースキー102iのキートップにおける中心位置から上端部E1までの距離である。スペースキー102iと上端部E1との間の最短距離は、奥行き方向A3におけるスペースキー102iのキートップにおける手前側の端部から上端部E1までの距離でもよい。
【0048】
キーボード装置100において、スペースキー102iと、タッチパッド110a,110bが設けられた筐体101の手前側面の上端部E1との間にはマウスキー104が配置される。一方、人工知能研究センターによる研究結果(https://www.airc.aist.go.jp/dhrt/hand/data/list.html)によると、日本人の第1指(親指)背側長の平均値は53.4mmであり、最小値は43.5mmであり、最大値は63.6mmである。また、人差し指に対して親指が可動する角度(人差し指の延伸方向に対する親指の延伸方向の角度)は、30°~90°の範囲内である。
【0049】
図4は、スペースキー102i及びタッチパッド110a,110bと利用者の指との関係を示す模式図である。
【0050】
利用者の操作性を向上させるためには、人差し指をFキー102d又はJキー102eから離さない状態で、親指がスペースキー102iとタッチパッド110a,110bとの両方を操作できることが好ましい。
図4に示すように、スペースキー102i上に位置する親指の人差し指に対する角度が30°であり且つタッチパッド110a上に位置する親指の人差し指に対する角度が90°である場合、親指の各位置の間の距離D
3は親指の長さにsin(60°)を乗じた値となる。したがって、人差し指をFキー102d又はJキー102eから離さない状態で、長さが43.5mmである親指によってスペースキー102iとタッチパッド110a,110bとの両方を操作可能とするためには、スペースキー102iと上端部E
1との間の距離は37.7mm以下である必要がある。また、人差し指をFキー102d又はJキー102eから離さない状態で、長さが63.6mmである親指によってスペースキー102iとタッチパッド110a,110bとの両方を操作可能とするためには、スペースキー102iと上端部E
1との間の距離は55.1mm以下である必要がある。
【0051】
すなわち、スペースキー102iと筐体101の手前側面の上端部E1との間の距離が55.1mm以下である場合、親指の長さが63.6mmである利用者は、人差し指をFキー102d又はJキー102eから離さない状態で、スペースキー102i及びタッチパッド110a,110bを親指で操作することができる。また、スペースキー102iと筐体101の手前側面の上端部E1との間の距離を37.7mm以下とすることにより、親指の長さが短い利用者も、人差し指をFキー102d又はJキー102eから離さない状態で、スペースキー102i及びタッチパッド110a,110bを親指で操作することができる。したがって、キーボード装置100は、スペースキー102iと筐体101の手前側面との間にマウスキー104を配置させつつ、利用者の操作性を向上させることができる。
【0052】
図5は、マウスポインタ103のカバー103aについて説明するための模式図である。
【0053】
図5に示すように、マウスポインタ103は、着脱可能に設けられたカバー103aを有する。カバー103aが着脱可能に設けられていることにより、マウスポインタ103は、カバー103aを容易に交換でき、表面の素材(ゴムの硬さ違い等)、及び/又は、形状(凸凹形状等)を変更可能である。利用者は、マウスポインタ103のカバー103aを利用者が使いやすい部材に変更でき、キーボード装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0054】
図6は、
図2に示すキーボード装置100のA-A断面図である。
【0055】
図6に示すように、キーボード装置100の載置面Sを基準として、複数のキー102のうちのホームポジションに割り当てられたキー102a~102hより奥側に配置された各キー102jの上面の手前側の端部E
5の高さは、各キー102jの上面の奥側の端部E
6の高さより低い。奥側に配置された各キー102jの上面が手前側に向くように傾斜することにより、利用者の指は、ホームポジションに割り当てられたキー102a~102hから各キー102jに移動する際に、各キー102jの上面にスムーズに接触できる。また、キーボード装置100の載置面Sを基準として、ホームポジションに割り当てられたキー102a~102hより手前側に配置された各キー102kの上面の手前側の端部E
7の高さは、各キー102kの上面の奥側の端部E
8の高さより高い。手前側に配置された各キー102kの上面が奥側に向くように傾斜することにより、利用者の指は、ホームポジションに割り当てられたキー102a~102hから各キー102kに移動する際に、各キー102kの上面にスムーズに接触する。したがって、キーボード装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0056】
また、キーボード装置100の載置面Sを基準として、複数のキー102のうちのマウスポインタ103より奥側に配置されたキー102a~102h,102jの手前側の端部E9,E5の高さは、各キー102a~102h,102jの上面の奥側の端部E10,E6の高さより低い。奥側に配置された各キー102a~102h,102jの上面が手前側に向くように傾斜することにより、利用者の指は、マウスポインタ103から各キー102a~102h,102jに移動する際に、各キー102a~102h,102jの上面にスムーズに接触できる。また、キーボード装置100の載置面Sを基準として、マウスポインタ103より手前側に配置されたキー102kの上面の手前側の端部E7の高さは、各キー102kの上面の奥側の端部E8の高さより高い。手前側に配置された各キー102kの上面が奥側に向くように傾斜することにより、利用者の指は、マウスポインタ103から各キー102kに移動する際に、各キー102kの上面にスムーズに接触する。これにより、キー102j及びキー102kを操作した後にマウスポインタ103を操作する場合等にキー102j及びキー102kに利用者の指が接触しにくくなり、利用者は、マウスポインタ103を円滑に操作することができる。したがって、キーボード装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0057】
図7(a)~(c)は、キーボード装置100の側面の形状について説明するための模式図である。
【0058】
キーボード装置100の側面において、タッチパッド110が配置される部分は、タッチパッド110が配置されない部分より、キーボード装置100の内側(中心側)に配置される。例えば、
図7(a)に示すように、タッチパッド110は、高さ方向A1においてキーボード装置100の側面の上側の領域に配置される。タッチパッド110の下方において、キーボード装置100の側面の延伸方向に沿って延伸し且つタッチパッド110より外側に突出する案内部111が設けられる。案内部111は、キーボード装置100の側面の延伸方向の両端部にわたるように形成される。案内部111は、高さ方向A1においてキーボード装置100の側面の中央位置、上側位置、下側位置等、任意の位置に形成される。
【0059】
図7(b)に示すように、案内部111に代えて案内部112が形成されてもよい。案内部112は、案内部111と同様に、タッチパッド110より外側に突出するように形成される。但し、案内部112は、タッチパッド110の下方においてキーボード装置100の側面の延伸方向に沿って延伸しつつ、側面の延伸方向の両端部には到達しない。また、案内部112は、側面の延伸方向におけるタッチパッド110の両端部の位置において上方に向かって延伸し且つ側面の上端まで到達するように形成される。キーボード装置100の側面には、案内部112により、凹部113が形成される。案内部112のキーボード装置100の側面の延伸方向に沿って延伸する部分は、高さ方向A1においてキーボード装置100の側面の中央位置、上側位置、下側位置等、任意の位置に形成される。凹部113は、キーボード装置100の側面の延伸方向において、その側面の中央位置又は一方の端部寄りの位置等、任意の位置に形成される。
【0060】
図7(c)に示すように、タッチパッド110は、高さ方向A1においてキーボード装置100の側面の下側の領域に配置されてもよい。その場合、案内部112に代えて案内部114が形成されてもよい。案内部114は、案内部112と同様に、タッチパッド110より外側に突出するように形成される。但し、案内部114は、タッチパッド110の上方においてキーボード装置100の側面の延伸方向に沿って延伸しつつ、側面の延伸方向の両端部には到達しない。また、案内部114は、側面の延伸方向におけるタッチパッド110の両端部の位置において下方に向かって延伸し且つ側面の下端まで到達するように形成される。キーボード装置100の側面には、案内部114により、凹部115が形成される。案内部114のキーボード装置100の側面の延伸方向に沿って延伸する部分は、高さ方向A1においてキーボード装置100の側面の中央位置、上側位置、下側位置等、任意の位置に形成される。凹部115は、キーボード装置100の側面の延伸方向において、その側面の中央位置又は一方の端部寄りの位置等、任意の位置に形成される。案内部114に代えて、タッチパッド110の上方において、キーボード装置100の側面の延伸方向に沿って延伸し且つキーボード装置100の側面の延伸方向の両端部にわたるように形成された案内部が設けられてもよい。
【0061】
案内部が形成されることにより、キーボード装置100は、利用者に、タッチパッド110の操作領域の位置を明確に把握させることができ、利用者の操作性を向上させることができる。また、凹部が形成されることにより、キーボード装置100は、利用者が意図せずに誤ってタッチパッド110に接触することを抑制することができる。特に、タッチパッド110が配置される部分に形成された凹部において、高さ方向A1の上端部又は下端部が開口していることにより、利用者は、容易にタッチパッド110に接触でき、キーボード装置100は、利用者の操作性を向上させることができる。
【0062】
図8(a)~(h)は、キーボード装置100の側面のタッチパッド110が配置される部分の形状について説明するための模式図である。
【0063】
図8(a)に示すように、キーボード装置100の側面のタッチパッド110が配置される部分は、高さ方向A1に沿って延伸する平面形状を有する。なお、
図8(b)に示すように、タッチパッド110が配置される部分は、高さ方向A1の中央部分が幅方向A2の内側に向かって張り出すように湾曲した湾曲形状を有してもよい。また、
図8(c)に示すように、タッチパッド110が配置される部分は、高さ方向A1の中央部分が幅方向A2の外側に向かって張り出すように湾曲した湾曲形状を有してもよい。また、
図8(d)に示すように、タッチパッド110が配置される部分は、高さ方向A1の下側が高さ方向A1の上側より幅方向A2において外側に位置するように延伸する平面形状を有してもよい。また、
図8(e)に示すように、タッチパッド110が配置される部分は、高さ方向A1の上側が高さ方向A1の下側より幅方向A2において外側に位置するように延伸する平面形状を有してもよい。また、
図8(f)に示すように、タッチパッド110が配置される部分は、高さ方向A1の中央部が上側及び下側より幅方向A2において内側に位置するように延伸する屈曲した屈曲形状を有してもよい。また、
図8(g)に示すように、タッチパッド110が配置される部分は、高さ方向A1の中央部が上側及び下側より幅方向A2において外側に位置し且つ高さ方向A1の中央部が高さ方向A1に沿って延伸する、3つの平面で形成される屈曲形状を有してもよい。また、
図8(h)に示すように、タッチパッド110が配置される部分は、高さ方向A1の中央部が上側及び下側より幅方向A2において内側に位置するように延伸する屈曲した屈曲形状を有してもよい。また、タッチパッド110が配置される部分は、高さ方向A1の中央部が上側及び下側より幅方向A2において内側に位置し且つ高さ方向A1の中央部が高さ方向A1に沿って延伸する、3つの平面で形成される屈曲形状を有してもよい。
【0064】
図9は、キーボード装置100に設けられたスイッチ105を示す斜視図である。
【0065】
図9に示すように、キーボード装置100には、スイッチ105が設けられている。例えば、スイッチ105は、キーボード装置100の側面に設けられる。スイッチ105は、マウスポインタ103、マウスキー104及びタッチパッド110のうちの少なくとも一つによる操作を有効にするか無効にするかを切り替える機能を有する。これにより、キーボード装置100は、利用者の要望に応じて、マウスポインタ103、マウスキー104及びタッチパッド110のうちの少なくとも一つによる操作を無効化でき、利用者による操作誤りの発生を抑制できる。なお、スイッチ105は、マウスポインタ103、マウスキー104及びタッチパッド110のそれぞれに対応付けて、キーボード装置100に複数設けられてもよい。また、キーボード装置100は、スイッチ105の押下回数に応じて、マウスポインタ103、マウスキー104及びタッチパッド110のいずれか一つによる操作を無効にしてもよい。また、キーボード装置100は、一つのスイッチにより、マウスポインタ103、マウスキー104及びタッチパッド110の全てによる操作を無効にしてもよい。
【0066】
図10は、キーボード装置100の角度切替部106を示す斜視図である。
【0067】
図10に示すように、キーボード装置100には、角度切替部106が設けられている。例えば、角度切替部106は、キーボード装置100の底面且つキーボード装置100の右奥角及び左奥角の周辺にそれぞれ設けられる。角度切替部106は、キーボード装置100の載置面Sに対する、筐体101の上面の傾きを変更可能に設けられる。角度切替部106は、収容部106a、第1角度調整部106b及び第2角度調整部106cを含む。第1角度調整部106b及び第2角度調整部106cの奥側面側の端部は、回転軸106dを中心に筐体101に回転可能に支持される。
【0068】
図11(a)は角度切替部106が収容されたキーボード装置100を示す図であり、
図11(b)は第1角度調整部106bが展開されたキーボード装置100を示す図であり、
図11(c)は第2角度調整部106cが展開されたキーボード装置100を示す図である。
【0069】
図11(a)に示すように、角度切替部106が収容されたとき、筐体101の上面の角度は、θ
1である。
図11(b)に示すように、第1角度調整部106bが展開されたとき、筐体101の上面の角度は、θ
1より大きいθ
2である。また、
図11(c)に示すように、第2角度調整部106cが展開された場合の筐体101の上面の角度は、θ
2より大きいθ
3である。θ
3は、15°以上且つ25°以下の範囲内であり、好ましくは20°である。これにより、利用者は、好みの角度でキー102、マウスポインタ103、マウスキー104及びタッチパッド110を操作することができる。したがって、キーボード装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0070】
図12(a)は、キーボード装置100の概略構成を示すブロック図である。キーボード装置100は、前述した構成に加えて、操作信号受信回路120、通信装置130、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0071】
操作信号受信回路120は、複数のキー102、複数のマウスキー104、マウスポインタ103及び複数のタッチパッド110のそれぞれから出力された利用者の入力操作に応じた操作信号を取得し、処理回路150に送信する。
【0072】
通信装置130は、情報処理装置と通信可能である通信部として機能する。通信装置130は、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて不図示の情報処理装置と信号の送受信を行うための無線通信インタフェース回路とを有している。所定の通信プロトコルは、例えばBluetooth(登録商標)又はIEEE802.15を用いる無線通信プロトコルである。また、キーボード装置100は、通信装置130の代わりに、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置と有線により接続して、信号を送受信してもよい。
【0073】
記憶装置140は、記憶部として機能する。記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置等を有する。また、記憶装置140には、キーボード装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。また、コンピュータプログラムは、サーバ等から配信されて記憶装置140にインストールされてもよい。
【0074】
処理回路150は、制御部として機能する。処理回路150は、記憶装置140に予め記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路150は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。処理回路150は、操作信号受信回路120、通信装置130及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、操作信号受信回路120を介して複数のキー102、複数のマウスキー104、マウスポインタ103及び複数のタッチパッド110のそれぞれから操作信号を取得する。処理回路150は、取得した操作信号を通信装置130から出力可能且つ情報処理装置で処理可能な電気信号に変換し、通信装置130を介して情報処理装置に送信する。
【0075】
図12(b)は、
図12(a)に示す記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0076】
図12(b)に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141等が記憶される。プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶されたプログラムを読み取り、読み取ったプログラムに従って動作することにより、制御部151として機能する。
【0077】
図13は、キーボード装置100により実行される制御処理の一例を示すフローチャートである。制御処理は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150によってキーボード装置100の各要素と協働して実行される。
【0078】
まず、制御部151は、操作信号を取得するまで待機する(ステップS101)。利用者によりキー102、マウスポインタ103、マウスキー104又はタッチパッド110に対して操作が行われた場合、各キー102、マウスポインタ103、マウスキー104又はタッチパッド110は、その操作に対応する操作信号を操作信号受信回路120に出力する。操作信号受信回路120は、各キー102、マウスポインタ103、マウスキー104又はタッチパッド110から操作信号を受信した場合、受信した操作信号を所定の形式に変換して処理回路150に出力する。
【0079】
次に、制御部151は、操作信号で示される操作がマウスポインタ103に対する操作であるか否かを判定する(ステップS102)。操作信号で示される操作がマウスポインタ103に対する操作でない場合(ステップS102のNo)、制御部151は、処理をステップS105へ移行する。一方、操作信号で示される操作がマウスポインタ103に対する操作である場合(ステップS102のYes)、制御部151は、マウスポインタ103に対する操作が無効に設定されているか否かを判定する(ステップS103)。制御部151は、スイッチ105の状態を検出し、マウスポインタ103に対する操作が無効に設定されているか否かを判定する。マウスポインタ103に対する操作が無効に設定されている場合(ステップS103のYes)、操作信号を破棄してマウスポインタ103に対する操作を無効にし(ステップS104)、ステップS101へ処理を戻す。
【0080】
一方、マウスポインタ103に対する操作が無効に設定されていない場合(ステップS103のNo)、制御部151は、操作信号で示される操作がマウスキー104に対する操作であるか否かを判定する(ステップS105)。操作信号で示される操作がマウスキー104に対する操作でない場合(ステップS105のNo)、制御部151は、処理をステップS108へ移行する。
【0081】
一方、操作信号で示される操作がマウスキー104に対する操作である場合(ステップS105のYes)、制御部151は、マウスキー104に対する操作が無効に設定されているか否かを判定する(ステップS106)。制御部151は、スイッチ105の状態を検出し、マウスキー104に対する操作が無効に設定されているか否かを判定する。マウスキー104に対する操作が無効に設定されている場合(ステップS106のYes)、操作信号を破棄してマウスキー104に対する操作を無効にし(ステップS107)、ステップS101へ処理を戻す。
【0082】
一方、マウスキー104に対する操作が無効に設定されていない場合(ステップS106のNo)、制御部151は、操作信号で示される操作がタッチパッド110に対する操作であるか否かを判定する(ステップS108)。タッチパッド110に対する操作でない場合(ステップS108のNo)、制御部151は、ステップS113へ処理を移行する。
【0083】
一方、操作信号で示される操作がタッチパッド110に対する操作である場合(ステップS108のYes)、制御部151は、タッチパッド110に対する操作が無効に設定されているか否かを判定する(ステップS109)。制御部151は、スイッチ105の状態を検出し、タッチパッド110に対する操作が無効に設定されているか否かを判定する。タッチパッド110に対する操作が無効に設定されている場合(ステップS109のYes)、操作信号を破棄してタッチパッド110に対する操作を無効にし(ステップS110)、ステップS101へ処理を戻す。
【0084】
一方、タッチパッド110に対する操作が無効に設定されていない場合(ステップS109のNo)、制御部151は、マウスポインタ103による操作中であるか否かを判定する(ステップS111)。例えば、制御部151は、マウスポインタ103から操作信号を受信しているか否か、及び、マウスポインタ103が最後に操作されてから所定時間内であるか否かにより、マウスポインタ103の操作中であるか否かを判定する。マウスポインタ103の操作中である場合(ステップS111のYes)、制御部151は、操作信号を破棄してタッチパッド110に対する操作を無効にし(ステップS110)、ステップS101へ処理を戻す。このように、制御部151は、マウスポインタ103による操作を受け付けている間、タッチパッド110による操作を無効にする。キーボード装置100は、利用者がマウスポインタ103の操作中に誤ってタッチパッド110に触れてしまった場合に、タッチパッド110に対する操作を無効にすることができ、利用者による操作誤りの発生を抑制できる。
【0085】
一方、マウスポインタ103の操作中でない場合(ステップS111のNo)、制御部151は、マウスキー104の操作中であるか否かを判定する(ステップS112)。例えば、制御部151は、マウスキー104から操作信号を受信しているか否か、及び、マウスキー104が最後に操作されてから所定時間内であるか否かにより、マウスキー104の操作中であるか否かを判定する。マウスキー104の操作中である場合(ステップS112のYes)、制御部151は、操作信号を破棄してタッチパッド110に対する操作を無効にし(ステップS110)、ステップS101へ処理を戻す。このように、制御部151は、マウスキー104による操作を受け付けている間、タッチパッド110による操作を無効にする。キーボード装置100は、利用者がマウスキー104の操作中に誤ってタッチパッド110に触れてしまった場合に、タッチパッド110に対する操作を無効にすることができ、利用者による操作誤りの発生を抑制できる。
【0086】
一方、マウスキー104の操作中でない場合(ステップS112のNo)、制御部151は、取得した操作信号に応じたコード(コマンド)を、通信装置130を介して情報処理装置に送信し(ステップS113)、ステップS101へ処理を移行する。
【0087】
以上詳述したように、キーボード装置100では、筐体101の側面に設けられたタッチパッド110が、フィッツの法則に基づいて利用者が良好に操作可能な位置に配置される。これにより、キーボード装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0088】
また、キーボード、マウス及びタッチパッドが物理的に独立している場合、利用者は、物理的に独立した各装置を操作する際、各装置に対して手を離したり添えたりする必要がある。
【0089】
一方、本実施形態に係るキーボード装置100において、複数のキー102、マウスポインタ103、複数のマウスキー104及び複数のタッチパッド110は、いずれも筐体101に設けられている。また、複数のキー102、マウスポインタ103、複数のマウスキー104及び複数のタッチパッド110のそれぞれは、人差し指をFキー102d又はJキー102eから離さない状態で、容易に操作可能な位置に配置されている。このため、利用者は、手をホームポジションから移動させることなく、複数のキー102、マウスポインタ103、複数のマウスキー104及び複数のタッチパッド110のそれぞれを容易に操作することができる。特に、キーボード装置100は、マウスポインタ103及び複数のマウスキー104を筐体101に設けているため、キーボード装置100単体でマウス機能を実現することができる。したがって、キーボード装置100は、利用者の利便性を向上させることができる。
【0090】
また、複数のキー102、マウスポインタ103、複数のマウスキー104及び複数のタッチパッド110は、いずれも筐体101に設けられている。このため、利用者は、上記した複数のキー102、マウスポインタ103、複数のマウスキー104及び複数のタッチパッド110をまとめて持ち運ぶことができ、キーボード装置100は、特に移動を頻繁に行う利用者に対する利便性を向上させることができる。
【0091】
図14は、他の実施形態に係るキーボード装置100の処理回路250の概略構成を示す図である。
【0092】
図14に示すように、処理回路250は、キーボード装置100の処理回路150の代わりに使用され、制御処理等を実行する。処理回路250は、制御回路251等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0093】
制御回路251は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路251は、スイッチ105及び操作信号受信回路120から操作信号を受信すると共に、操作信号に応じたコードを、通信装置130を介して情報処理装置に送信する。
【0094】
以上詳述したように、キーボード装置は、処理回路250を用いる場合も、利用者の利便性をより向上させることができる。
【0095】
上述した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0096】
(付記1)
筐体と、
筐体の上面に配置された複数のキーと、
筐体の手前側面に設けられたタッチパッドと、を有し、
複数のキーのうちのスペースキーとタッチパッドが設けられた側面の上端部との間の最短距離は55.1mm以下である、
ことを特徴とするキーボード装置。
【符号の説明】
【0097】
100 キーボード装置、101 筐体、102 キー、110 タッチパッド