(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179251
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電流センサ、及び遮断装置
(51)【国際特許分類】
G01R 15/18 20060101AFI20241219BHJP
H01H 39/00 20060101ALI20241219BHJP
H01H 71/24 20060101ALI20241219BHJP
H01F 38/30 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G01R15/18 B
H01H39/00 C
H01H71/24
H01F38/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097958
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木本 進弥
(72)【発明者】
【氏名】小玉 和広
(72)【発明者】
【氏名】中村 真人
【テーマコード(参考)】
2G025
5E081
5G030
【Fターム(参考)】
2G025AA00
2G025AB14
2G025AC01
5E081AA14
5E081CC07
5E081CC12
5E081DD05
5E081DD13
5E081EE05
5E081GG05
5G030FC04
5G030XX18
(57)【要約】
【課題】過電流の検出の信頼性の向上を図る。
【解決手段】電流センサ4は、コイル41と、磁気回路ユニット42と、を備える。磁気回路ユニット42は、コイル41内に配置された第1部位400を含むヨーク40と、第1部位400と磁気的に接続された磁石43と、磁石43に対して磁気的に並列接続された磁気抵抗部44と、を有する。磁気回路ユニット42は、第1部位400と磁気抵抗部44とを含む第1磁気回路C1と、第1部位400と磁石43とを含む第2磁気回路C2と、磁気抵抗部44と磁石43とを含む第3磁気回路C3と、を形成する。磁石43がヨーク40内で発生させる第1磁界からみて、第2磁気回路C2の磁気抵抗は、第3磁気回路C3の磁気抵抗よりも小さい。第1磁界と第1部位400において逆向きである第2磁界からみて、第1磁気回路C1の磁気抵抗は、第2磁気回路C2の磁気抵抗よりも小さい。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルと、
前記コイル内に配置された第1部位を含むヨークと、前記第1部位と磁気的に接続された磁石と、前記磁石に対して磁気的に並列接続された磁気抵抗部と、を有する磁気回路ユニットと、
を備え、
前記磁気回路ユニットは、
前記第1部位と前記磁気抵抗部とを含む第1磁気回路と、
前記第1部位と前記磁石とを含む第2磁気回路と、
前記磁気抵抗部と前記磁石とを含む第3磁気回路と、
を形成し、
前記磁石が前記ヨーク内で発生させる第1磁界からみて、前記第2磁気回路の磁気抵抗は、前記第3磁気回路の磁気抵抗よりも小さく、
前記磁石が発生させる前記第1磁界と前記第1部位において逆向きである第2磁界からみて、前記第1磁気回路の磁気抵抗は、前記第2磁気回路の磁気抵抗よりも小さい、
電流センサ。
【請求項2】
前記ヨークは、
前記磁気抵抗部と接触する第1端と、
前記磁気抵抗部と接触し、前記磁気抵抗部を介して前記第1端と磁気的に接続される第2端と、
前記磁石と接触する第3端と、
前記磁石と接触し、前記磁石を介して前記第3端と磁気的に接続される第4端と、
を含み、
前記第2磁界からみて、前記第1端と前記第2端との間の磁気抵抗は、前記第3端と前記第4端との間の磁気抵抗よりも小さい、
請求項1記載の電流センサ。
【請求項3】
前記ヨークは、
前記磁気抵抗部と磁気的に接続される第1端と、
前記磁気抵抗部を挟んで前記第1端と向かい合い、前記第1端と磁気的に接続される第2端と、
前記磁石と接触する第3端と、
前記磁石と接触し、前記磁石を介して前記第3端と磁気的に接続される第4端と、
を含み、
前記磁気抵抗部は、前記第1端と前記第2端との間に形成された間隙である、
請求項1記載の電流センサ。
【請求項4】
前記ヨークは、
前記磁気抵抗部と磁気的に接続される第1端と、
前記磁気抵抗部を挟んで前記第1端と向かい合い、前記第1端と磁気的に接続される第2端と、
前記磁石と接触する第3端と、
前記磁石と接触し、前記磁石を介して前記第3端と磁気的に接続される第4端と、
を含み、
前記磁気抵抗部は、前記第1端と前記第2端との間に配置された空気を含み、
前記第1端と前記第2端との間の距離は、前記第3端と前記第4端との間の距離と同じ又は小さい、
請求項1又は3記載の電流センサ。
【請求項5】
コイルと、
前記コイル内に配置された磁気抵抗部と、前記磁気抵抗部と磁気的に接続された磁石と、前記磁石に対して磁気的に並列に接続された第1部位を含むヨークと、を有する磁気回路ユニットと、
を備え、
前記磁気回路ユニットは、
前記第1部位と前記磁気抵抗部とを含む第1磁気回路と、
前記第1部位と前記磁石とを含む第2磁気回路と、
前記磁気抵抗部と前記磁石とを含む第3磁気回路と、
を形成し、
前記磁石が前記ヨーク内で発生させる第1磁界からみて、前記第2磁気回路の磁気抵抗は、前記第3磁気回路の磁気抵抗よりも小さく、
前記磁石が発生させる前記第1磁界と前記第1部位において逆向きである第2磁界からみて、前記第1磁気回路の磁気抵抗は、前記第2磁気回路の磁気抵抗よりも小さい、
電流センサ。
【請求項6】
前記ヨークは、
前記磁気抵抗部と接触する第1端と、
前記磁気抵抗部と接触し、前記磁気抵抗部を介して前記第1端と磁気的に接続される第2端と、
前記磁石と接触する第3端と、
前記磁石と接触し、前記磁石を介して前記第3端と磁気的に接続される第4端と、
を含み、
前記第2磁界からみて、前記第1端と前記第2端との間の磁気抵抗は、前記第3端と前記第4端との間の磁気抵抗よりも小さい、
請求項5記載の電流センサ。
【請求項7】
前記ヨークは、
前記磁気抵抗部と磁気的に接続される第1端と、
前記磁気抵抗部を挟んで前記第1端と向かい合い、前記第1端と磁気的に接続される第2端と、
前記磁石と接触する第3端と、
前記磁石と接触し、前記磁石を介して前記第3端と磁気的に接続される第4端と、
を含み、
前記磁気抵抗部は、前記第1端と前記第2端との間に形成された間隙である、
請求項5記載の電流センサ。
【請求項8】
前記ヨークは、
前記磁気抵抗部と磁気的に接続される第1端と、
前記磁気抵抗部を挟んで前記第1端と向かい合い、前記第1端と磁気的に接続される第2端と、
前記磁石と接触する第3端と、
前記磁石と接触し、前記磁石を介して前記第3端と磁気的に接続される第4端と、
を含み、
前記磁気抵抗部は、前記第1端と前記第2端との間に配置された空気を含み、
前記第1端と前記第2端との間の距離は、前記第3端と前記第4端との間の距離と同じ又は小さい、
請求項5又は7記載の電流センサ。
【請求項9】
前記磁石は、
永久磁石と、
前記第3端と前記永久磁石との間に配置されて前記第3端と接触する、又は、前記第3端と前記永久磁石との間及び前記第4端と前記永久磁石との間に配置されて前記第3端及び前記第4端と接触する非磁性体と、
を有する、
請求項2~4、6~8のいずれか一項記載の電流センサ。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の電流センサと、
火薬を含み、前記コイルの発電した電力によって前記火薬を点火可能に構成された点火器と、
点火された前記火薬によって射出されて移動する射出体と、
を備える、
遮断装置。
【請求項11】
請求項1~4のいずれか一項に記載の電流センサと、
前記コイルと前記磁気抵抗部との間の位置を通る配線部材と、
火薬を含み、前記コイルの発電した電力によって前記火薬を点火可能に構成された点火器と、
点火された前記火薬によって射出されて移動し、前記配線部材の通電を遮断する射出体と、
を備え、
前記配線部材には、所定の向きの電流が流れ、
前記配線部材は、前記配線部材に前記電流が流れると、前記第2磁界を前記ヨーク内に発生させ、
前記コイルは、前記配線部材に流れる前記電流によって発電し、
前記点火器は、前記配線部材に流れる前記電流の値がある値に達する又はある値を上回ったときに、前記コイルの発電した電力によって前記火薬を点火し、
前記射出体は、前記配線部材に向かって射出されて移動して、前記配線部材の通電を遮断する、
遮断装置。
【請求項12】
請求項5~8のいずれか一項に記載の電流センサと、
前記コイルと前記ヨークの前記第1部位との間の位置を通る配線部材と、
火薬を含み、前記コイルの発電した電力によって前記火薬を点火可能に構成された点火器と、
点火された前記火薬によって射出されて移動し、前記配線部材の通電を遮断する射出体と、
を備え、
前記配線部材には、所定の向きの電流が流れ、
前記配線部材は、前記配線部材に前記電流が流れると、前記第2磁界を前記ヨーク内に発生させ、
前記コイルは、前記配線部材に流れる前記電流によって発電し、
前記点火器は、前記配線部材に流れる前記電流の値がある値に達する又はある値を上回ったときに、前記コイルの発電した電力によって前記火薬を点火し、
前記射出体は、前記配線部材に向かって射出されて移動して、前記配線部材の通電を遮断する、
遮断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に電流センサ、及び遮断装置に関する。本開示は、より詳細には、コイルを備える電流センサ、及び電流センサを備える遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車載用遮断装置が開示されている。この車載用遮断装置は、第1導電路と、第2導電路と、第1電流検出器と、第2電流検出器と、火工遮断器と、遮断制御部と、を備えている。
【0003】
第1導電路は、第1入力端と第1出力端とを接続する。第1入力端には、第1極性の直流電力が供給される。第2導電路は、第2入力端と第2出力端とを接続する。第2入力端には、第1極性とは逆極性である第2極性の直流電力が供給される。第1電流検出器は、第1導電路もしくは第2導電路に流れる電流を検出可能である。第2電流検出器は、第1導電路もしくは第2導電路に流れる電流を検出可能である。火工遮断器は、第1導電路を不可逆的に遮断する動作が可能である。遮断制御部は、火工遮断器の遮断動作に対する制御が可能である。
【0004】
遮断制御部は、第1電流検出器と第2電流検出器とから検出電流に対応して発信される第1検出信号と第2検出信号との受信が可能である。遮断制御部は、第1検出信号に基づいて得られる第1電流値及び第2検出信号に基づいて得られる第2電流値の双方が過電流閾値を超越したときに、火工遮断器に遮断動作を実行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の車載用遮断装置のような遮断装置に用いられる電流センサでは、過電流の検出の信頼性の向上が望まれる場合がある。
【0007】
本開示の目的は、過電流の検出の信頼性の向上を図ることが可能な電流センサ、及び遮断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様の電流センサは、コイルと、磁気回路ユニットと、を備える。前記磁気回路ユニットは、前記コイル内に配置された第1部位を含むヨークと、前記第1部位と磁気的に接続された磁石と、前記磁石に対して磁気的に並列接続された磁気抵抗部と、を有する。前記磁気回路ユニットは、前記第1部位と前記磁気抵抗部とを含む第1磁気回路と、前記第1部位と前記磁石とを含む第2磁気回路と、前記磁気抵抗部と前記磁石とを含む第3磁気回路と、を形成する。前記磁石が前記ヨーク内で発生させる第1磁界からみて、前記第2磁気回路の磁気抵抗は、前記第3磁気回路の磁気抵抗よりも小さい。前記磁石が発生させる前記第1磁界と前記第1部位において逆向きである第2磁界からみて、前記第1磁気回路の磁気抵抗は、前記第2磁気回路の磁気抵抗よりも小さい。
【0009】
本開示の一態様の電流センサは、コイルと、磁気回路ユニットと、を備える。前記磁気回路ユニットは、前記コイル内に配置された磁気抵抗部と、前記磁気抵抗部と磁気的に接続された磁石と、前記磁石に対して磁気的に並列に接続された第1部位を含むヨークと、を有する。前記磁気回路ユニットは、前記第1部位と前記磁気抵抗部とを含む第1磁気回路と、前記第1部位と前記磁石とを含む第2磁気回路と、前記磁気抵抗部と前記磁石とを含む第3磁気回路と、を形成する。前記磁石が前記ヨーク内で発生させる第1磁界からみて、前記第2磁気回路の磁気抵抗は、前記第3磁気回路の磁気抵抗よりも小さい。前記磁石が発生させる前記第1磁界と前記第1部位において逆向きである第2磁界からみて、前記第1磁気回路の磁気抵抗は、前記第2磁気回路の磁気抵抗よりも小さい。
【0010】
本開示の一態様の遮断装置は、前記電流センサと、点火器と、射出体と、を備える。前記点火器は、火薬を含み、前記コイルの発電した電力によって前記火薬を点火可能に構成されている。前記射出体は、点火された前記火薬によって射出されて移動する。
【0011】
本開示の一態様の遮断装置は、前記電流センサと、配線部材と、点火器と、射出体と、を備える。前記配線部材は、前記コイルと前記磁気抵抗部との間の位置を通る。前記点火器は、火薬を含み、前記コイルの発電した電力によって前記火薬を点火可能に構成されている。前記射出体は、点火された前記火薬によって射出されて移動し、前記配線部材の通電を遮断する。前記配線部材には、所定の向きの電流が流れる。前記配線部材は、前記配線部材に前記電流が流れると、前記第2磁界を前記ヨーク内に発生させる。前記コイルは、前記配線部材に流れる前記電流によって発電する。前記点火器は、前記配線部材に流れる前記電流の値がある値に達する又はある値を上回ったときに、前記コイルの発電した電力によって前記火薬を点火する。前記射出体は、前記配線部材に向かって射出されて移動して、前記配線部材の通電を遮断する。
【0012】
本開示の一態様の遮断装置は、前記電流センサと、配線部材と、点火器と、射出体と、を備える。前記配線部材は、前記コイルと前記ヨークの前記第1部位との間の位置を通る。前記点火器は、火薬を含み、前記コイルの発電した電力によって前記火薬を点火可能に構成されている。前記射出体は、点火された前記火薬によって射出されて移動し、前記配線部材の通電を遮断する。前記配線部材には、所定の向きの電流が流れる。前記配線部材は、前記配線部材に前記電流が流れると、前記第2磁界を前記ヨーク内に発生させる。前記コイルは、前記配線部材に流れる前記電流によって発電する。前記点火器は、前記配線部材に流れる前記電流の値がある値に達する又はある値を上回ったときに、前記コイルの発電した電力によって前記火薬を点火する。前記射出体は、前記配線部材に向かって射出されて移動して、前記配線部材の通電を遮断する。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、過電流の検出の信頼性の向上を図ることが可能な電流センサ、及び遮断装置を提供することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、一実施形態の遮断装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の遮断装置の回路構成を示す図である。
【
図3】
図3は、同上の遮断装置が備える検知ユニットの斜視図である。
【
図4】
図4は、同上の検知ユニットの要部の斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の検知ユニットの要部の正面図である。
【
図6】
図6は、同上の検知ユニットの電流センサが備える磁気回路ユニットが形成する磁気回路を説明するための概略図である。
【
図7】
図7は、同上の電流センサにおいて、配線部材に流れる電流とコイルを通過する磁束密度との関係を示すグラフである。
【
図8】
図8は、同上の磁気回路ユニットの磁気等価回路である。
【
図9】
図9は、同上の磁気回路ユニットの磁気等価回路である。
【
図10】
図10は、比較例の電流センサの要部の正面図である。
【
図11】
図11は、同比較例の電流センサが備える磁気回路ユニットが形成する磁気回路を説明するための概略図である。
【
図12】
図12は、同比較例の電流センサにおいて、配線部材に流れる電流とコイルを通過する磁束密度との関係を示すグラフである。
【
図13】
図13は、上記実施形態の遮断装置が備える遮断ユニットの断面図である。
【
図14】
図14は、同上の遮断装置を備える車両の概略構成図である。
【
図15】
図15は、変形例1の電流センサの要部の正面図である。
【
図16】
図16は、変形例2の電流センサの要部の正面図である。
【
図17】
図17は、同上の電流センサが備える磁気回路ユニットが形成する磁気回路を説明するための概略図である。
【
図18】
図18Aは、変形例3の遮断装置が備える第1スイッチング素子の回路構成を示す図である。
図18Bは、同上の遮断装置が備える第2スイッチング素子の回路構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態に係る電流センサ、及び遮断装置について、添付の図面を参照して説明する。ただし、下記の各実施形態は、本開示の様々な実施形態の一部に過ぎない。下記の各実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、下記の各実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0016】
(1)実施形態
(1.1)遮断装置
本実施形態の遮断装置200について、
図1~
図13を参照して説明する。
【0017】
遮断装置200は、対象物に搭載される。対象物は、電源から供給される電流を通す電気回路を有する装置である。遮断装置200は、例えば、対象物内の電気回路又はシステム等の異常時に作動して電気回路を遮断することにより、異常の被害が大きくなることを防止する。
【0018】
遮断装置200が搭載される対象物は、例えば車両6(
図14参照)である。車両6は、車両6の駆動用の電気回路60を有している。電気回路60は、モータ62、モータ駆動用の電池61(例えば、リチウムイオンバッテリ)、及びスイッチを含む回路部品を、配線部材9により接続して構成されている。遮断装置200は、例えば、車両6の異常又は事故等の緊急時に電気回路60を遮断することで、モータ62と電池61との電気的な接続を遮断する。なお、対象物は、車両6以外であってもよく、例えば、家電製品、太陽光発電システム等が例示されるが、特に限定されない。
【0019】
図1に示すように、遮断装置200は、検知ユニット1と、検知ユニット1と電気的に接続される遮断ユニット2と、を備えている。本開示において「第1部材と第2部材とが電気的に接続される」とは、第1部材から第2部材へ(及び/又は第2部材から第1部材へ)電気を流すことが可能なように、第1部材と第2部材とが直接又は第3部材を介して接続されることを意味する。
【0020】
(1.2)検知ユニット
図1、
図2に示すように、検知ユニット1は、電流センサ4と、フィルタ回路5と、を備えている。また、
図3~
図5に示すように、検知ユニット1は、コネクタ17と、基板18と、筐体19と、を更に備えている。
【0021】
(1.2.1)電流センサの構成
本実施形態の電流センサ4は、配線部材9を流れる電流Ibを検出するセンサである。配線部材9は、例えばバスバー90を含む。バスバー90とは、大電流を流すための導電体であり、例えば銅等の金属製の板状又は棒状の部材である。
【0022】
本実施形態の電流センサ4は、特に、配線部材9(バスバー90)に過電流が流れたことを検出するためのセンサである。電流センサ4は、配線部材9(バスバー90)に過電流が流れると、外部(例えばフィルタ回路5)へ信号を出力する。過電流とは、配線部材9に流れることが許容されている電流を超える電流である。
【0023】
図4、
図5に示すように、電流センサ4は、コイル41と、磁気回路ユニット42と、を備える。磁気回路ユニット42は、ヨーク40と、磁石43と、磁気抵抗部44と、を有している。
図5には、便宜上、磁石43の極性(N極及びS極)も示してある。
【0024】
以下では、電流センサ4及び検知ユニット1に対して、下記の通りに右手系の三次元直交座標系の三軸(X軸、Y軸、及びZ軸)を規定して説明する。すなわち、磁石43と磁気抵抗部44とが並ぶ方向をZ軸方向、Z軸方向と直交する方向であって磁石43のN極とS極とを結ぶ方向をY軸方向、Y軸方向及びZ軸方向と直交する方向をX軸方向とする。また、説明の便宜上、Z軸に沿った方向を上下方向ともいい、磁石43から見て磁気抵抗部44が位置する側(Z軸の向き)を「上」、その反対を「下」ともいう。また、Y軸に沿った方向を左右方向ともいい、磁石43のS極とN極とが並ぶ並び方向において、S極からN極へ向かう向き(磁石43のN極からヨーク40へ磁力線が向かう向き;Y軸の正の向き)を「右」、その反対を「左」ともいう。また、X軸に沿った方向を前後方向ともいい、X軸の正の向きを「前」、その反対を「後」ともいう。ただし、本開示における軸及び方向の規定は、電流センサ4の部材間の相対的な位置関係を示すものに過ぎず、電流センサ4並びに電流センサ4を備えた遮断装置200を対象物に設置する際の姿勢等を限定するものではない。
【0025】
ヨーク40は、磁性体で形成されている。
図5に示すように、ヨーク40は、正面視においてデジタル数字の「8」を模した形状を有しており、より詳細には、デジタル数字の「8」の上下方向の中央における左右の中央部分及び下側の中央部分を取り除いた形状を有している。
図4に示すように、ヨーク40は、前後方向において略同一の断面形状を有している。ヨーク40は、単一の部材で形成されていてもよいし、複数の部材を結合して形成されていてもよい。例えば、ヨーク40は、正面視E字状の第1部材と正面視逆E字状の第2部材との上端同士を結合して形成されていてもよい。
【0026】
より詳細には、ヨーク40は、第1部分405、第2部分4061、第3部分4062、第4部分4071、第5部分4072、第6部分4081、第7部分4082、第8部分4091、及び第9部分4092を有している。第1部分405~第9部分4092は、厚さが互いに同じ板状の部分である。
【0027】
第1部分405は、左右に延びる矩形板状である。
【0028】
第2部分4061は、第1部分405の左端から下方に延びる矩形板状である。第3部分4062は、第2部分4061の下端から下方に延びる矩形板状である。
【0029】
第4部分4071は、第1部分405の右端から下方に延びる矩形板状である。第5部分4072は、第4部分4071の下端から下方に延びる矩形板状である。
【0030】
第6部分4081は、第2部分4061と第3部分4062とがつながる部分から右方に延びる矩形板状である。第7部分4082は、第4部分4071と第5部分4072とがつながる部分から左方に延びる矩形板状である。第6部分4081の突出端(右端)と第7部分4082の突出端(左端)とは、左右方向で向かい合う。第6部分4081と第7部分4082との間には、間隙G1が形成されている。
【0031】
第8部分4091は、第3部分4062の下端から右方に延びる矩形板状である。第9部分4092は、第5部分4072の下端から左方に延びる矩形板状である。第8部分4091の突出端(右端)と第9部分4092の突出端(左端)とは、左右方向で向かい合う。第8部分4091と第9部分4092との間には、間隙G2が形成されている。第8部分4091と第9部分4092との間の距離L2(間隙G2の大きさ)は、第6部分4081と第7部分4082との間の距離L1(間隙G1の大きさ)よりも大きい。
【0032】
ヨーク40には、第1部分405、第2部分4061、第4部分4071、第6部分4081、及び第7部分4082(並びに間隙G1)で囲まれるように、前後方向に貫通する第1貫通孔T1が形成されている。また、ヨーク40には、第3部分4062、第5部分4072、第6部分4081、第7部分4082、第8部分4091、及び第9部分4092(並びに間隙G1及び間隙G2)で囲まれるように、前後方向に貫通する第2貫通孔T2が形成されている。
【0033】
コイル41は、ヨーク40の第1部分405に設けられている。すなわち、ヨーク40の第1部分405は、コイル41が設けられる第1部位400を含む。言い換えれば、ヨーク40は、コイル41内に配置された第1部位400を含んでいる。
【0034】
コイル41は、導電性を有する導線(例えば銅線)を、ヨーク40の第1部位400に巻き回すことで、形成されている。コイル41は、例えば、樹脂材料等の絶縁材料から形成されるボビン410を介してヨーク40に設けられている。
【0035】
図2に示すように、コイル41は、第1端411及び第2端412を有している。コイル41の第1端411及び第2端412は、フィルタ回路5と電気的に接続される。例えば、コイル41の第1端411は、フィルタ回路5の第1入力端子511と電気的に接続され、コイル41の第2端412は、フィルタ回路5の第2入力端子512と電気的に接続される。
【0036】
磁気抵抗部44は、単位長さ当たりの磁気抵抗がヨーク40よりも大きな要素である。磁気抵抗部44は、
図5に示すように、ヨーク40の第6部分4081と第7部分4082との間の間隙G1に位置している。本実施形態では、磁気抵抗部44は、間隙G1である。磁気抵抗部44は、例えば空気を含んでおり、本実施形態では空気のみを含んでいる。
【0037】
見方を変えて説明すると、ヨーク40は、磁気抵抗部44と磁気的に接続される第1端401と、磁気抵抗部44を挟んで第1端401と向かい合い、第1端401と磁気的に接続される第2端402と、を含む。ヨーク40の第1端401は、例えば第6部分4081の突出端である。ヨーク40の第2端402は、例えば第7部分4082の突出端である。本実施形態では、磁気抵抗部44は、第1端401と第2端402との間に形成された間隙G1である。また、磁気抵抗部44は、第1端401と第2端402との間に配置された空気を含んでいる。
【0038】
図5に示すように、磁石43は、ヨーク40の第8部分4091と第9部分4092との間の間隙G2に配置されている。例えば、第8部分4091の突出端は、磁石43と接触する。また、第9部分4092の突出端は、磁石43と接触する。磁石43は、ヨーク40と磁気的に接続されている。そのため、磁石43は、ヨーク40の第1部位400と磁気的に接続されている。また、第1部位400に対して磁石43が磁気的に並列接続されており、かつ磁石43に対して磁気抵抗部44が磁気的に並列接続されている。言い換えれば、磁気抵抗部44は、磁石43に対して、第1部位400と磁気的に並列接続されている。
【0039】
見方を変えて説明すると、ヨーク40は、磁石43と接触する第3端403と、磁石43と接触し、磁石43を介して第3端403と磁気的に接続される第4端404と、を含む。ヨーク40の第3端403は、例えば第8部分4091の突出端である。ヨーク40の第4端404は、例えば第9部分4092の突出端である。
【0040】
磁石43は、永久磁石430を有している。永久磁石430は、硬磁性材料から形成される。本実施形態では、磁石43は、永久磁石430のみを有している。ただし、これに限らず、磁石43は、永久磁石430と、非磁性体と、を有していてもよい。非磁性体は、非磁性材料から形成される。非磁性体は、例えば、永久磁石430を覆うコーティング材、永久磁石430を覆うケース、永久磁石430をヨーク40に接着するための接着剤等を含み得る。非磁性体は、例えば、ヨーク40の第3端403と永久磁石430との間に配置されてヨーク40の第3端403と接触してもよい。非磁性体は、例えば、ヨーク40の第4端404と永久磁石430との間に配置されてヨーク40の第4端404と接触してもよい。非磁性体は、例えば、ヨーク40の第3端403と永久磁石430との間及びヨーク40の第4端404と永久磁石430との間に配置されて第3端403及び第4端404と接触してもよい。
【0041】
ヨーク40の第1部位400(ヨーク40)、磁気抵抗部44、及び磁石43は、上下方向において上からこの順に並んでいる。
【0042】
図6に、磁気回路ユニット42が形成する磁気回路を示す。本開示において、「磁気回路」とは、磁気回路ユニット42内で磁界(磁束)が発生した場合にその磁界(磁束)が主として通り得る経路(磁気的な抵抗が比較的小さな経路)を意味する。
【0043】
図6に示すように、磁気回路ユニット42は、第1磁気回路C1と、第2磁気回路C2と、第3磁気回路C3と、を形成する。
【0044】
第1磁気回路C1は、第1部位400と磁気抵抗部44とを含む。本実施形態では、第1磁気回路C1は、ヨーク40の第1部分405(第1部位400を含む)、第2部分4061、第4部分4071、第6部分4081、及び第7部分4082と、磁気抵抗部44と、を含んでいる。第2磁気回路C2は、第1部位400と磁石43とを含む。本実施形態では、第2磁気回路C2は、ヨーク40の第1部分405(第1部位400を含む)、第2部分4061、第3部分4062、第4部分4071、第5部分4072、第8部分4091、及び第9部分4092と、磁石43と、を含んでいる。第3磁気回路C3は、磁気抵抗部44と磁石43とを含む。本実施形態では、第3磁気回路C3は、ヨーク40の第3部分4062、第5部分4072、第6部分4081、第7部分4082、第8部分4091、及び第9部分4092と、磁気抵抗部44と、磁石43と、を含んでいる。
【0045】
図5に示すように、磁石43は、S極が第8部分4091と向かい合いN極が第9部分4092と向かい合うように、間隙G2に配置されている。磁石43は、ヨーク40内に磁界(以下、「第1磁界」ともいう)H1を発生させる。
【0046】
磁石43がヨーク40内で発生させる第1磁界H1は、第2磁気回路C2と第3磁気回路C3とを通り得る。ここで、第1磁界H1からみて、ヨーク40の第1部位400の磁気抵抗は、磁気抵抗部44の磁気抵抗よりも小さい。そのため、第1磁界H1からみて、第2磁気回路C2の磁気抵抗は、第3磁気回路C3の磁気抵抗よりも小さい。本実施形態では、第1磁界H1からみて、第2磁気回路C2の磁気抵抗は、第3磁気回路C3の磁気抵抗よりも十分に小さい。そのため第1磁界H1は、主として第2磁気回路C2を通る。そのため、第1磁界H1は、ヨーク40の第1部位400に設けられたコイル41内を通過する。
【0047】
図5に示すように、ヨーク40の第1貫通孔T1には、バスバー90が配置される。バスバー90は、例えば、前後方向に延びる板状である。バスバー90(配線部材9)は、コイル41と磁気抵抗部44との間の位置を通る。
【0048】
バスバー90(配線部材9)には、例えば電池61の放電時に、所定の向き(
図2の電流Ibの矢印の向き、
図5の電流Ibの向き)の電流Ibが流れる。バスバー90(配線部材9)は、バスバー90に電流Ibが流れると、
図5に示すように、バスバー90の周りに、電流Ibの向きに応じた向きの磁界(以下、「第2磁界」ともいう)H2を発生させる。バスバー90を流れる電流Ibは、磁石43が発生させる第1磁界H1と第1部位400において逆向きである第2磁界H2を発生させる(そのように、電流Ibの向き及び磁石43の極性が設定されている)。第2磁界H2は、ヨーク40の第1部位400に設けられたコイル41内を通過する。
【0049】
バスバー90が第1貫通孔T1に配置されているため、第2磁界H2は、主として第1磁気回路C1と第2磁気回路C2とを通り得る。ここで、本実施形態の磁気回路ユニット42では、第2磁界H2からみて、第1磁気回路C1の磁気抵抗は、第2磁気回路C2の磁気抵抗よりも小さい。具体的には、ヨーク40の第1端401と第2端402との間の距離L1は、第3端403と第4端404との間の距離L2より小さい。また、ヨーク40の第3端403と第4端404との間の間隙G2には、第2磁界H2からみると磁気抵抗として働く磁石43が配置されている。そのため第2磁界H2は、第1磁気回路C1と第2磁気回路C2とのうち、主として第1磁気回路C1を通る。
【0050】
コイル41は、コイル41を通過する磁束が変化すると発電する。本実施形態の電流センサ4では、コイル41には、上述のように第1磁界H1及び第2磁界H2が通過する。このうち第1磁界H1は、実質的に変化しない。一方、第2磁界H2は、電流Ibの変化に応じて変化する。そのため、コイル41を通過する磁束は、バスバー90を流れる電流Ibの変化に応じて変化する。要するに、本実施形態の電流センサ4では、コイル41は、バスバー90(配線部材9)に流れる電流Ibによって発電し、誘導電流Icを発生させる。
【0051】
(1.2.2)電流センサの動作
本実施形態の電流センサ4の動作について、
図7~
図9を参照して説明する。
【0052】
上述のように、コイル41を通過する磁束は、バスバー90を流れる電流Ibが変化すると変化する。
図7に、バスバー90を流れる電流Ibとコイル41を通過する磁束密度Bとの関係の概略を表すグラフG10を示す。なお、
図7のグラフG10において、コイル41を通過する磁束密度Bの正負については、第2磁界H2の向きと同じ向きを「正」としている。
【0053】
図8に、バスバー90に電流Ibが流れていない(電流Ibの大きさが0[kA]の)状態での、磁気回路ユニット42の磁気等価回路C10を示す。バスバー90に電流Ibが流れていない場合、
図8に示すように、コイル41には、磁石43の起磁力Fmによる負の向きの磁束Φmのみが通っている。特に、本実施形態の電流センサ4では、バスバー90に電流Ibが流れていない場合、磁石43による第1磁界H1によって、ヨーク40の第1部位400は磁気飽和している(
図7参照)。
【0054】
バスバー90に電流Ibが流れると、コイル41には、磁石43による第1磁界H1に加えて、電流Ibによる、第1磁界H1とは逆向きの第2磁界H2も通過する。そのため、ヨーク40の第1部位400において、第1磁界H1の一部は第2磁界H2によって打ち消される。ただし、電流Ibが小さい(具体的には、
図7に示す第1所定値P1未満の)場合には、第2磁界H2は第1磁界H1よりも十分に小さく、磁石43の第1磁界H1による第1部位400の磁気飽和が維持される。そのため、0から第1所定値P1までの領域A11内で電流Ibが変化しても、コイル41を通過する磁束密度Bは変化しない。
【0055】
電流Ibが増加すると、第2磁界H2も増加する。そして、電流Ibの大きさが第1所定値P1になると、磁石43の第1磁界H1によるヨーク40の第1部位400の磁気飽和が解消される。
【0056】
図7に示すように、電流Ibが第1所定値P1から第3所定値P3(第3所定値P3>第1所定値P1)までの領域A10では、コイル41を通過する磁束密度Bは、電流Ibに応じてほぼ線形に変化する。ここでは、コイル41を通過する磁束密度Bは、電流Ibの増加に応じて線形に増加する。より詳細には、電流Ibが第1所定値P1から第2所定値P2(第1所定値P1<第2所定値P2<第3所定値P3)までの領域では、電流Ibの増加に応じて第2磁界H2が増加し、負の向きの磁束密度Bの大きさが線形に減少する。電流Ibが第2所定値P2の場合に、第1磁界H1と第2磁界H2とが打ち消しあい、コイル41を通過する磁束密度Bは実質的に0となる。そして、電流Ibが第2所定値P2以上の領域では、第1磁界H1よりも第2磁界H2の方が大きくなる。電流Ibが第2所定値P2から第3所定値P3までの領域では、電流Ibの増加に応じて、正の向きの磁束密度Bの大きさが線形に増加する。
【0057】
図9に、大きさが所定値P10(
図7参照)の電流Ibがバスバー90に流れている状態での、磁気回路ユニット42の磁気等価回路C20を示す。
図9では、便宜上、バスバー90を流れる電流Ibによる磁束Φ
Iを駆動する起磁力F
Iを、磁気等価回路C20上に図示してある。なお、バスバー90を流れる電流Ibは、バスバー90の周囲に(同心状に)第2磁界H2を発生させるため、起磁力F
Iを磁気等価回路C20上に表すことは厳密にはできない。
図9では、便宜上、起磁力F
Iを、第2磁界H2が最も強く作用し得る位置であるヨーク40の第1部分405の位置に示してある。また、
図9では図示を省略しているが、磁気回路ユニット42には、磁石43の起磁力Fmによる負の向きの磁束Φm(
図8参照)も通っている。すなわちコイル41には、磁石43の起磁力Fmによる磁束Φと、電流Ibの起磁力F
Iによる磁束Φ
Iと、を合成した(互いに逆向きのため、大きさで言えば引き算)磁束が通っている。
【0058】
図7に示すように、電流Ibが第3所定値P3以上の領域A12では、電流Ibによる第2磁界H2が磁石43による第1磁界H1よりも十分に大きい。そのため、領域A12では、電流Ibの第2磁界H2によってヨーク40の第1部位400が磁気飽和する。そのため、領域A12内で電流Ibが変化しても、コイル41を通過する磁束密度Bは変化しない。
【0059】
このように、電流センサ4では、0から第1所定値P1までの領域A11内で電流Ibが変化しても、コイル41を通過する磁束密度Bは変化せず、コイル41は発電しない。また、電流センサ4では、第3所定値P3以上の領域A13内で電流Ibが変化しても、コイル41を通過する磁束密度Bは変化せず、コイル41は発電しない。
【0060】
一方、電流センサ4では、第1所定値P1から第3所定値P3までの領域A10内で電流Ibが変化すると、電流Ibの変化に応じてコイル41を通過する磁束密度Bが変化し、これによりコイル41が発電して誘導電流Icを発生させる。
【0061】
本実施形態の電流センサ4は、領域A10内で電流Ibが変化したときにコイル41が発生する誘導電流Icを、信号として外部へ出力する。本実施形態の電流センサ4は、領域A10内での電流Ibの変化に対して感度を有している、と言える。
【0062】
例えば、対象物としての車両6の走行時には、電池61から供給される一定の電流Ib、例えば第1所定値P1の電流Ibが、バスバー90を流れている。本実施形態の電流センサ4では、バスバー90に流れている電流Ibが第1所定値P1よりも大きくなった増加した場合に、コイル41が発電して誘導電流Icを発生させることができる。そのため、本実施形態の電流センサ4は、バスバー90(配線部材9)に一定の電流Ib(例えば第1所定値P1の電流Ib)が流れている状態で発生する過電流の検出に、特に利用することができる。
【0063】
また、本実施形態の電流センサ4では、領域A11内(第1所定値P1以下)で電流Ibが変化しても、コイル41は発電しない。そのため、電流センサ4は、例えば電流Ibが0から第1所定値P1まで増加しても、信号を発生させない。そのため、電流センサ4では、意図しない電流Ibの変化(例えば、領域A11内での電流Ibの変化)を過電流として検出してしまう可能性を、低減できる。これにより、過電流の検出の信頼性が向上し得る。
【0064】
(1.2.3)電流センサの利点
本実施形態の電流センサ4の利点を、比較例の電流センサ4Aとの比較を交えて説明する。
【0065】
比較例の電流センサ4Aは、
図10に示すように、コイル41Aと磁気回路ユニット42Aとを備えている。磁気回路ユニット42Aは、実施形態の磁気回路ユニット42が備える磁気抵抗部44を備えていない。比較例の磁気回路ユニット42Aのヨーク40Aは、実施形態のヨーク40から第6部分4081及び第7部分4082を取り除いた形状を有している。比較例のヨーク40Aは、それぞれ矩形板状の第1部分405A、第2部分406A、第3部分407A、第4部分4091A及び第5部分4092Aを有しており、第1部分405A~第5部分4092Aを、第4部分4091Aと第5部分4092Aとの間に間隙G0が形成されるように矩形筒状につないだ形状を有している。ヨーク40Aには、第1部分405A~第5部分4092A(並びに間隙G0)で囲まれるように、前後方向に貫通する貫通孔T0が形成されている。コイル41Aは、第1部分405Aの第1部位400Aに設けられている。比較例の電流センサ4Aの磁石43Aは、実施形態の電流センサ4の磁石43と実質的に同じであって、ヨーク40Aの間隙G0に配置されている。ヨーク40Aの貫通孔T0に、バスバー90(配線部材9)が配置される。
【0066】
図11に、比較例の磁気回路ユニット42Aが形成する磁気回路を示す。磁気回路ユニット42Aは、磁気回路C100のみを形成する。磁気回路C100は、ヨーク40Aの第1部分405A、第2部分406A、第3部分407A、第4部分4091A、及び第5部分4092Aと、磁石43Aと、を含んでいる。比較例の電流センサ4Aの磁気回路C100は、実質的に、実施形態の電流センサ4の第2磁気回路C2に対応する。
【0067】
図10に示すように、比較例の電流センサ4Aでも、磁石43Aによる第1磁界H1と、バスバー90を流れる電流Ibによる第2磁界H2とが、コイル41Aを通過する。第1磁界H1は実質的に変化しないが、第2磁界H2は、電流Ibの変化に応じて変化する。
【0068】
図12に、比較例の電流センサ4Aにおいて、バスバー90を流れる電流Ibとコイル41Aを通過する磁束密度Bとの関係の概略を表すグラフG100を示す。
【0069】
図12に示すように、比較例の電流センサ4Aでも、グラフG100は、磁石43Aの第1磁界H1による磁気飽和によって磁束密度Bが変化しない領域A21と、電流Ibの変化に応じて磁束密度Bが変化する(電流Ibの増加に応じて磁束密度Bが増加する)領域A20と、電流Ibの第2磁界H2による磁気飽和によって磁束密度Bが変化しない領域A22と、を有している。比較例の電流センサ4Aは、領域A20内で電流Ibが変化したときにコイル41Aが発生する誘導電流を、信号として外部へ出力する。
【0070】
ここで、比較例の電流センサ4Aでは、電流Ibが領域A20内で単位量増加した場合に増加する磁束密度Bの大きさが、実施形態の電流センサ4において電流Ibが領域A10内で単位量増加した場合に増加する磁束密度Bの大きさよりも、小さい。すなわち、グラフG100(
図12参照)の領域A20での傾きは、グラフG10(
図7参照)の領域A10での傾きよりも、小さい。以下、この点について説明する。なお、以下では、「電流Ibが領域A10(又はA20)内で単位量増加した場合に増加する磁束密度Bの大きさ」を、便宜上「単位磁束密度変化量」ともいう。
【0071】
上述のように、実施形態の電流センサ4の磁気回路ユニット42では、磁石43による第1磁界H1は、主として第2磁気回路C2(
図6参照)を通る(
図8参照)。また、比較例の電流センサ4Aの磁気回路ユニット42Aでは、磁石43Aによる第1磁界H1は、磁気回路C100(
図11参照)を通る。磁石43及び磁石43Aによる第1磁界H1からみると、実施形態の第2磁気回路C2の磁気抵抗と比較例の磁気回路C100の磁気抵抗とは、実質的に等しい。そのため、実施形態の電流センサ4において磁石43の第1磁界H1がコイル41に作用させる磁束と、比較例の電流センサ4Aにおいて磁石43Aの第1磁界H1がコイル41Aに作用させる磁束とは、実質的に同じである。
【0072】
一方、バスバー90に流れる電流Ibによる第2磁界H2は、実施形態の電流センサ4の磁気回路ユニット42では、主として第1磁気回路C1(
図6参照)を通る(
図9参照)。これに対し、比較例の電流センサ4Aの磁気回路ユニット42Aでは、バスバー90に流れる電流Ibによる第2磁界H2は、磁気回路C100(
図11参照)を通る。バスバー90に流れる電流Ibによる第2磁界H2からみると、実施形態の電流センサ4の第1磁気回路C1の磁気抵抗は、第2磁気回路C2の磁気抵抗よりも小さく、したがって比較例の電流センサ4Aの磁気回路C100の磁気抵抗よりも小さい。そのため、実施形態の電流センサ4において、電流Ibが領域A10内で単位量増加した場合に増加する磁束密度Bの大きさは、比較例の電流センサ4Aにおいて、電流Ibが領域A20内で単位量増加した場合に増加する磁束密度Bの大きさよりも、大きくなる。言い換えれば、単位磁束密度変化量は、実施形態の電流センサ4の方が、比較例の電流センサ4Aよりも大きい。
【0073】
要するに、実施形態の電流センサ4では、磁気回路ユニット42は、第2磁界H2を通すことができる磁気回路として、磁石43を通る第2磁気回路C2よりも磁気抵抗の小さい第1磁気回路C1を有している。これにより実施形態の電流センサ4は、比較例の電流センサ4Aよりも、第2磁界H2が単位量増加した場合に増加する磁束密度Bの大きさを大きくでき、単位磁束密度変化量を大きくできる。
【0074】
ここで、単位磁束密度変化量が小さい場合、バスバー90に流れる電流が増加したとしても、磁束密度Bの増加量は小さい。コイル41の起電力は、コイル41を通過する磁束の時間変化に対応するため、磁束密度Bの時間的な増加量が小さい場合には、コイル41の発電量が小さくなる。そのため、比較例の電流センサ4Aでは、バスバー90に過電流が流れたとしても、発電量(コイル41Aが発生させる誘導電流Ic)が十分でない可能性がある。
【0075】
これに対して、本実施形態の電流センサ4では、バスバー90に過電流が流れたときの発電量(コイル41が発生させる誘導電流Ic)を、比較例の電流センサ4Aよりも大きくできる。これにより、本実施形態の電流センサ4では、バスバー90に過電流が流れた場合に確実に信号(誘導電流Ic)を出力することができる。これにより、過電流の検出の信頼性を向上させることが可能となる。
【0076】
(1.2.4)フィルタ回路
フィルタ回路5は、電流センサ4と電気的に接続される。
図2に示すように、フィルタ回路5は、電流センサ4のコイル41と電気的に接続される。
【0077】
図2に示すように、フィルタ回路5は、第1入力端子511と、第2入力端子512と、整流素子(ダイオード)52と、第1抵抗531と、第2抵抗532と、コンデンサ54と、第1スイッチング素子55と、第2スイッチング素子56と、第1接続端子571と、第2接続端子572と、を有している。
【0078】
ダイオード52は、電流センサ4のコイル41の両端と電気的に接続される。ダイオード52のカソードがコイル41の第1端411と電気的に接続され、ダイオード52のアノードがコイル41の第2端412と電気的に接続される。
【0079】
第1抵抗531は、ダイオード52の両端と電気的に接続されている。
【0080】
第1スイッチング素子55は、ダイオード52と電気的に接続されている。第1スイッチング素子55の第1端551は、ダイオード52のカソードと電気的に接続されている。第1スイッチング素子55の第2端552は、第2スイッチング素子56の第1端561と電気的に接続されている。
【0081】
第1スイッチング素子55は、例えばサイリスタを備える。サイリスタは、例えば双方向サイリスタである。第1スイッチング素子55は、パッケージされた素子であってよく、例えばサイダック(登録商標)であってもよい。
【0082】
第1スイッチング素子55は、第1スイッチング素子55の両端間(第1端551と第2端552との間)に印加される電圧の電圧値が第1値未満の場合、電流を(ほとんど)通さない。一方、第1スイッチング素子55は、第1値以上の電圧が印加されると、第1端551から第2端552へ向かって電流を流す。第1値は、例えば、サイダックとしての第1スイッチング素子55のブレークオーバー電圧である。
【0083】
コンデンサ54は、第1スイッチング素子55と電気的に接続されている。コンデンサ54の第1端は、第1スイッチング素子55の第2端552と電気的に接続されており、コンデンサ54の第2端は、ダイオード52のアノードと電気的に接続されている。コンデンサ54は、第1スイッチング素子55を通って流れる電流の電荷を蓄積する。
【0084】
第2抵抗532は、コンデンサ54の両端と電気的に接続されている。
【0085】
第2スイッチング素子56は、第1スイッチング素子55と電気的に接続されている。第2スイッチング素子56の第1端561は、第1スイッチング素子55の第2端552と電気的に接続されている。第2スイッチング素子56の第2端562は、第1接続端子571と電気的に接続されている。
【0086】
第2スイッチング素子56は、例えばサイリスタを備える。サイリスタは、例えば双方向サイリスタである。第2スイッチング素子56は、パッケージされた素子であってよく、例えばサイダックであってもよい。
【0087】
第2スイッチング素子56は、第2スイッチング素子56の両端間(第1端561と第2端562との間)に印加される電圧の電圧値が第2値未満の場合、電流を(ほとんど)通さない。一方、第2スイッチング素子56は、第2値以上の電圧が印加されると、第1端561から第2端562へ向かって電流を流す。第2値は、例えば、サイダックとしての第2スイッチング素子56のブレークオーバー電圧である。第2値は、例えば、第1値と同じか第1値よりも大きい。
【0088】
図2に示すように、フィルタ回路5は、整流素子(ダイオード)580を更に備えていてもよい。
図2に示すように、ダイオード580のアノードは、第2スイッチング素子56の第2端562と電気的に接続されており、これにより、第2スイッチング素子56を介して第1スイッチング素子55の第2端552と電気的に接続されている。また、ダイオード580のカソードは、第1接続端子571と電気的に接続されている。
【0089】
第1接続端子571は、第2スイッチング素子56の第2端562と電気的に接続されている。例えば、第1接続端子571は、ダイオード580を介して第2スイッチング素子56の第2端562と電気的に接続されている。第2接続端子572は、ダイオード52のアノードと電気的に接続されている。
【0090】
フィルタ回路5には、電流センサ4から、コイル41で発生した誘導電流Icが供給される。
【0091】
コイル41で発生した誘導電流Icが0又は比較的小さい場合、第1スイッチング素子55に印加される電圧の電圧値は第1値未満である。そのため、第1スイッチング素子55はオフに維持され、フィルタ回路5の外部には電流が流れない。
【0092】
一方、例えば配線部材9に短絡電流等の過電流が流れる等して、配線部材9に流れる電流Ibが大きく変化すると、コイル41は大きな誘導電流Icを発生させる。この誘導電流Icが第1抵抗531を流れると、第1スイッチング素子55に第1値以上の電圧が印加されて、第1スイッチング素子55がオンされる。これによりコンデンサ54が充電されて、コンデンサ54の両端電圧が増加する。そして、コンデンサ54の両端電圧が増加することにより、第2スイッチング素子56に第2値以上の電圧が印加されると、第2スイッチング素子56がオンされる。これにより、検知ユニット1から遮断ユニット2へ、電流Idが供給される。
【0093】
フィルタ回路5では、例えば、電流センサ4から十分な大きさの誘導電流Ic(信号)が供給されると、第1スイッチング素子55及び第2スイッチング素子56がオンされて、遮断ユニット2へ電流Idを供給する。
【0094】
(1.2.5)筐体
筐体19は、例えば、中空の直方体状である。筐体19は、上面が開口した箱状の本体191と、本体191の開口上面を閉じる矩形板状の蓋材192と、を有している。筐体19は、コイル41、磁気回路ユニット42、コネクタ17、及び基板18を、収容又は保持する。
【0095】
図3に示すように、筐体19には、貫通孔190が形成されている。貫通孔190は、本体191に形成されている。貫通孔190は、筐体19を前後方向に貫通する。貫通孔190は、矩形の断面形状を有している。筐体19には、本体191の内部を貫通するように、前後方向に延びる矩形筒状の筒体193が設けられている。筒体193の内周面が、貫通孔190の内面に相当する。貫通孔190は、高さ寸法(上下方向の寸法)よりも幅寸法(左右方向の寸法)の方が大きい。
【0096】
図3に示すように、貫通孔190には、バスバー90が通される。筐体19の貫通孔190にバスバー90が通されることで、磁気回路ユニット42の第1貫通孔T1にバスバー90が通される。
【0097】
コネクタ17には、第1接続端子571と、第2接続端子572と、が設けられている。コネクタ17は、筐体19の蓋材192から、第1接続端子571及び第2接続端子572が上方へ露出するように突出している。
【0098】
基板18は、矩形の板状である。基板18は、例えばプリント配線板である。基板18は、法線方向が上下方向を向くように、筐体19内に収容されている。
【0099】
基板18には、フィルタ回路5の回路部品(本実施形態では、ダイオード52、第1抵抗531、第2抵抗532、コンデンサ54、第1スイッチング素子55、及び第2スイッチング素子56を含む)が実装されている。基板18には、コネクタ17も実装されている。また、基板18には、回路部品同士等をつなぐ導体(パターン導体)が設けられている。コイル41の両端(第1端411及び第2端412)は、基板18のパターン導体とつながっている。
【0100】
(1.3)遮断ユニット
遮断ユニット2は、検知ユニット1と電気的に接続される。遮断ユニット2には、コイル41の発電した電力が供給される。
【0101】
図2、
図13に示すように、遮断ユニット2は、点火器21と、射出体22と、導電体23と、筐体24と、を備えている。筐体24は、点火器21、射出体22及び導電体23を保持又は収容する。
【0102】
点火器21の第1端211は、検知ユニット1の第1接続端子571と電気的に接続される。点火器21の第2端212は、検知ユニット1の第2接続端子572と電気的に接続される。これにより点火器21は、第1スイッチング素子55及び第2スイッチング素子56を介して、コイル41と電気的に接続される。点火器21には、コイル41の発電した電力による電流Idが、供給される。
【0103】
点火器21は、いわゆる電気式点火器である。
図13に示すように、点火器21は、発熱素子213と、火薬214と、を含んでいる。
【0104】
発熱素子213は、例えばニクロム線、又は鉄とクロムとアルミの合金線等である。発熱素子213は、点火器21の第1端211と第2端212との間に電気的に接続されている。発熱素子213は、発熱素子213に電流が流れることで熱を発生させる。
【0105】
図13に示すように、火薬214は、発熱素子213の周囲に配置されている。火薬214は、発熱素子213で発生した熱により点火される。発熱素子213には、コイル41で発生した電力による電流Idが流れるため、点火器21は、コイル41の発電した電力によって火薬214を点火可能に構成されている、と言える。また、点火器21は、配線部材9(バスバー90)に流れる電流Ibの値がある値に達する又はある値を上回ったときに、コイル41の発電した電力によって火薬214を点火する、と言える。
【0106】
点火器21では、火薬214が点火されると、火薬214が燃焼することにより大量のガスが発生する。発生したガスは、点火器21が収容されている筐体24の内部空間240へと、放出される。
【0107】
図13に示すように、射出体22は、筐体24の内部空間240に配置されている。射出体22は、筐体24の内部において、点火器21と導電体23との間の位置に配置されている。射出体22は、筐体24が備える保持部241に、保持されている。射出体22は、導電体23と向かい合うように保持部241に保持されている。保持部241は、ここでは筐体24の内側面であるが、筐体24の内側面から突出して射出体22を保持する突部等を有していてもよい。
【0108】
射出体22は、点火器21で発生したガスの圧力を受けて、保持部241から射出されて移動する。すなわち、射出体22は、点火された火薬214に応じて射出されて、移動する。
【0109】
保持部241から射出された射出体22は、導電体23へと向かって移動し、導電体23を押すことで導電体23を破断する。導電体23は、例えば、検知ユニット1の筐体19の貫通孔190に通されるバスバー90の、少なくとも一部である。そのため、射出体22は、配線部材9(バスバー90)に向かって射出されて移動して、配線部材9の通電を遮断するよう構成されている。なお、筐体19の貫通孔190に通されるバスバー90は、導電体23とは別体であって導電体23と電気的に接続されている金属板であってもよいし、導電体23そのものであってもよい。
【0110】
要するに、本実施形態の遮断装置200では、配線部材9(バスバー90)に短絡電流が流れる等して配線部材9(バスバー90)に流れる電流Ibが大きく変化すると、コイル41の発電した電力が、遮断ユニット2へ供給される。これにより、遮断ユニット2が動作して、配線部材9を含む電気回路60を遮断することができる。
【0111】
(1.4)車両
上述のように、遮断装置200は、例えば、対象物としての車両6に搭載される。車両6は、例えば、電動車両、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車等であり得る。
【0112】
図14に示すように、車両6は、遮断装置200(検知ユニット1及び遮断ユニット2)と、電池61と、配線部材9と、モータ62と、制御部30と、を備えている。
【0113】
モータ62は、配線部材9を介して電池61と電気的に接続される。
【0114】
また、配線部材9はバスバー90を含む。バスバー90は、例えば検知ユニット1の筐体19の貫通孔190に通されている。
【0115】
制御部30は、例えば車両6のECU(Electronic Control Unit)64に備えられている。制御部30は、配線部材9を流れる電流Ibの供給を制御する。
【0116】
車両6では、電池61とモータ62との間(すなわち配線部材9)に過電流が流れると、遮断装置200のコイル41が発電した電力によって、火薬214が点火される。
【0117】
そして、遮断装置200の遮断ユニット2の射出体22は、点火された火薬214に応じてバスバー90(ここでは導電体23)に向かって射出されて移動して、電池61とモータ62との電気的な接続を遮断する。これにより、車両6の事故又は電気回路60の漏電等の異常時に、遮断ユニット2を動作させて、電気回路60を強制的に遮断することが可能となる。
【0118】
本実施形態の車両6では、
図14に示すように、配線部材9のバスバー90(導電体23)は、射出体22と向かい合う可動部231と、可動部231が押し当てられる固定部232と、を有する。射出体22は、点火された火薬214に応じて射出されて移動し、可動部231が固定部232から離れる向きに可動部231を押圧する。すなわち、
図14の例では、バスバー90は、射出体22によって破断されるわけではなく、射出体22に押されて可動部231が固定部232から離れることで、バスバー90を含む電気回路60が遮断される。
【0119】
(2)変形例
上記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。上記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。上記の実施形態及び以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下の各変形例の説明において、上記の実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する場合がある。
【0120】
本開示では、制御部30等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部30としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0121】
また、制御部30における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されていることは必須の構成ではない。制御部30の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。反対に、制御部30における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、制御部30の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0122】
(2.1)変形例1
本変形例の電流センサ4では、
図15に示すように、磁気抵抗部44が、樹脂部材440を備えている。そして、ヨーク40の第1端401は、磁気抵抗部44としての樹脂部材440と接触し、ヨーク40の第2端402は、磁気抵抗部44としての樹脂部材440と接触しかつ磁気抵抗部44を介して第1端401と磁気的に接続される。
【0123】
本変形例の電流センサ4では、第2磁界(バスバー90を流れる電流Ibによる磁界)H2からみて、第1端401と第2端402との間の磁気抵抗は、第3端403と第4端404との間の磁気抵抗よりも小さい。
【0124】
本変形例の電流センサ4でも、バスバー90を流れる電流Ibによる第2磁界H2は、主として、ヨーク40の第1部位400及び磁気抵抗部44を含む第1磁気回路C1(
図6参照)を通る。そのため、比較例の電流センサ4Aと比較して、バスバー90に過電流が流れたときの発電量(コイル41が発生させる誘導電流Ic)を大きくできる。これにより、過電流の検出の信頼性を向上させることが可能となる。
【0125】
なお、磁気抵抗部44は、樹脂部材440に限られず、例えばヨーク40を形成する磁性体よりも透磁率の小さな材料で形成された部材であってもよい。
【0126】
また、磁気抵抗部44は、例えば、ヨーク40の第6部分4081よりも細い板状であってヨーク40と同じ磁性材料から形成されていてヨーク40の第6部分4081と第7部分4082とをつなぐ磁性部材と、磁性部材の周囲の空気と、から構成されていてもよい。
【0127】
また、磁気抵抗部44は、間隙G1に交互に配置された複数の樹脂部材440と1以上の磁性体と、から構成されていてもよい。
【0128】
(2.2)変形例2
本変形例の電流センサ4は、
図16に示すように、コイル41が、ヨーク40の第1部位400ではなく、ヨーク40の第6部分4081と第7部分4082との間の間隙G1に跨がるように、設けられている。すなわち、本変形例の電流センサ4の磁気回路ユニット42では、磁気抵抗部44(ヨーク40の第1端401と第2端402との間に形成された間隙G1;ヨーク40の第1端401と第2端402との間に配置された空気)は、コイル41内に配置されている。また、磁石43は、磁気抵抗部44と磁気的に接続されており、ヨーク40の第1部位400は、磁石43に対して磁気的に並列に接続されている。
【0129】
図17に示すように、磁気回路ユニット42は、ヨーク40の第1部位400と磁気抵抗部44とを含む第1磁気回路C1と、ヨーク40の第1部位400と磁石43とを含む第2磁気回路C2と、磁気抵抗部44と磁石43とを含む第3磁気回路C3と、を形成する。
図16に示すように、バスバー90(配線部材9)は、コイル41とヨーク40の第1部位400との間の位置を通るように配置されており、第1貫通孔T1を通っている。
【0130】
そして、磁石43がヨーク40内で発生させる第1磁界H1からみて、第2磁気回路C2の磁気抵抗は、第3磁気回路C3の磁気抵抗よりも小さい。また、バスバー90を流れる電流Ibによる第2磁界H2(磁石43が発生させる第1磁界H1と第1部位400において逆向きである第2磁界H2)からみて、第1磁気回路C1の磁気抵抗は、第2磁気回路C2の磁気抵抗よりも小さい。
【0131】
本変形例の電流センサ4でも、磁石43による第1磁界H1は、主として第2磁気回路C2を通るが、一部は第3磁気回路C3を通る。
【0132】
また、バスバー90を流れる電流Ibによる第2磁界H2は、主として、ヨーク40の第1部位400及び磁気抵抗部44を含む第1磁気回路C1を通る。
【0133】
本変形例の電流センサ4でも、バスバー90を流れる電流Ibの増加に応じてコイル41を通過する磁束が増加するので、バスバー90を流れる過電流等を検出できる。
【0134】
また、本変形例の電流センサ4によれば、例えば、
図10の比較例の電流センサ4Aにおいて第1部位400に間隙が設けられた第2比較例の電流センサよりも、単位磁束密度変化量を大きくできる。これにより、過電流の検出の信頼性を向上させることが可能となる。
【0135】
本変形例の電流センサ4において、変形例1の電流センサ4のように、間隙G1に樹脂部材440等が設けられてもよい。すなわち、ヨーク40の第1端401が、磁気抵抗部44としての樹脂部材440と接触し、ヨーク40の第2端402が、磁気抵抗部44としての樹脂部材440と接触しかつ磁気抵抗部44を介して第1端401と磁気的に接続されてもよい。
【0136】
(2.3)変形例3
フィルタ回路5において、第1スイッチング素子55は、単方向サイリスタ553を備えていてもよい。例えば
図21Aに示すように、単方向サイリスタ553のアノードが第1スイッチング素子55の第1端551と電気的に接続され、単方向サイリスタ553のカソードが第1スイッチング素子55の第2端552と電気的に接続されている。
【0137】
例えば、第1スイッチング素子55は、
図14Aに示すように、ダイオード554と、ツェナーダイオード555と、抵抗556と、コンデンサ557と、を更に備えている。ダイオード554とツェナーダイオード555との直列回路が、単方向サイリスタ553のアノードとゲートとの間に電気的に接続されている。ダイオード554とツェナーダイオード555とのカソード同士が、電気的に接続されている。抵抗556とコンデンサ557との並列回路が、単方向サイリスタ553のゲートとカソードとの間に電気的に接続されている。
【0138】
また、第2スイッチング素子56は、単方向サイリスタ563を備えていてもよい。例えば
図21Bに示すように、単方向サイリスタ563のアノードが第2スイッチング素子56の第1端561と電気的に接続され、単方向サイリスタ563のカソードが第2スイッチング素子56の第2端562と電気的に接続されている。
【0139】
例えば、第2スイッチング素子56は、
図14Bに示すように、ダイオード564と、ツェナーダイオード565と、抵抗566と、コンデンサ567と、を更に備えている。ダイオード564とツェナーダイオード565との直列回路が、単方向サイリスタ563のアノードとゲートとの間に電気的に接続されている。ダイオード564とツェナーダイオード565とのカソード同士が、電気的に接続されている。抵抗566とコンデンサ567との並列回路が、単方向サイリスタ563のゲートとカソードとの間に電気的に接続されている。
【0140】
(2.4)その他の変形例
一変形例において、配線部材9(バスバー90)は、ヨーク40の第2貫通孔T2に通されていてもよい。すなわち、配線部材9(バスバー90)は、実施形態の電流センサ4(
図5参照)において、磁気抵抗部44と磁石43との間の位置を通っていてもよい。或いは、配線部材9(バスバー90)は、変形例2の電流センサ4(
図16参照)において、コイル41と磁石43との間の位置を通っていてもよい。
【0141】
一変形例において、磁気回路ユニット42の形状は上記の形状に限られず、例えば実施形態の形状において磁石43と磁気抵抗部44との位置が反対であってもよい。
【0142】
一変形例において、ヨーク40の形状はデジタル数字の8を模した形状に限られず、例えばアラビア数字の8を模した形状であってもよい。
【0143】
一変形例において、第1貫通孔T1に通される配線部材9は、バスバー90に限られず、電線等であってもよい。
【0144】
一変形例において、フィルタ回路5は、整流素子(ダイオード580)を備えていなくてもよい。
【0145】
一変形例において、第1スイッチング素子55及び第2スイッチング素子56の少なくとも一方は、サイダック以外のスイッチング素子、例えばダイアック等であってもよい。
【0146】
一変形例において、第1スイッチング素子55(又は第2スイッチング素子56)が省略されていてもよい。
【0147】
一変形例において、電流センサ4は、遮断ユニット2が接続されることなく電流センサ4単独で用いられてもよい。
【0148】
(3)態様
以上説明した実施形態及び変形例から明らかなように、本明細書には以下の態様が開示されている。
【0149】
第1の態様の電流センサ(4)は、コイル(41)と、磁気回路ユニット(42)と、を備える。磁気回路ユニット(42)は、コイル(41)内に配置された第1部位(400)を含むヨーク(40)と、第1部位(400)と磁気的に接続された磁石(43)と、磁石(43)に対して磁気的に並列接続された磁気抵抗部(44)と、を有する。磁気回路ユニット(42)は、第1部位(400)と磁気抵抗部(44)とを含む第1磁気回路(C1)と、第1部位(400)と磁石(43)とを含む第2磁気回路(C2)と、磁気抵抗部(44)と磁石(43)とを含む第3磁気回路(C3)と、を形成する。磁石(43)がヨーク(40)内で発生させる第1磁界(H1)からみて、第2磁気回路(C2)の磁気抵抗は、第3磁気回路(C3)の磁気抵抗よりも小さい。磁石(43)が発生させる第1磁界(H1)と第1部位(400)において逆向きである第2磁界(H2)からみて、第1磁気回路(C1)の磁気抵抗は、第2磁気回路(C2)の磁気抵抗よりも小さい。
【0150】
この態様によれば、過電流の検出の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0151】
第2の態様の電流センサ(4)では、第1の態様において、ヨーク(40)は、磁気抵抗部(44)と接触する第1端(401)と、磁気抵抗部(44)と接触し、磁気抵抗部(44)を介して第1端(401)と磁気的に接続される第2端(402)と、磁石(43)と接触する第3端(403)と、磁石(43)と接触し、磁石(43)を介して第3端(403)と磁気的に接続される第4端(404)と、を含む。第2磁界(H2)からみて、第1端(401)と第2端(402)との間の磁気抵抗は、第3端(403)と第4端(404)との間の磁気抵抗よりも小さい。
【0152】
この態様によれば、過電流の検出の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0153】
第3の態様の電流センサ(4)では、第1の態様において、ヨーク(40)は、磁気抵抗部(44)と磁気的に接続される第1端(401)と、磁気抵抗部(44)を挟んで第1端(401)と向かい合い、第1端(401)と磁気的に接続される第2端(402)と、磁石(43)と接触する第3端(403)と、磁石(43)と接触し、磁石(43)を介して第3端(403)と磁気的に接続される第4端(404)と、を含む。磁気抵抗部(44)は、第1端(401)と第2端(402)との間に形成された間隙(G1)である。
【0154】
この態様によれば、過電流の検出の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0155】
第4の態様の電流センサ(4)では、第1又は第3の態様において、ヨーク(40)は、磁気抵抗部(44)と磁気的に接続される第1端(401)と、磁気抵抗部(44)を挟んで第1端(401)と向かい合い、第1端(401)と磁気的に接続される第2端(402)と、磁石(43)と接触する第3端(403)と、磁石(43)と接触し、磁石(43)を介して第3端(403)と磁気的に接続される第4端(404)と、を含む。磁気抵抗部(44)は、第1端(401)と第2端(402)との間に配置された空気を含む。第1端(401)と第2端(402)との間の距離は、第3端(403)と第4端(404)との間の距離と同じ又は小さい。
【0156】
この態様によれば、過電流の検出の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0157】
第5の態様の電流センサ(4)は、コイル(41)と、磁気回路ユニット(42)と、を備える。磁気回路ユニット(42)は、コイル(41)内に配置された磁気抵抗部(44)と、磁気抵抗部(44)と磁気的に接続された磁石(43)と、磁石(43)に対して磁気的に並列に接続された第1部位(400)を含むヨーク(40)と、を有する。磁気回路ユニット(42)は、第1部位(400)と磁気抵抗部(44)とを含む第1磁気回路(C1)と、第1部位(400)と磁石(43)とを含む第2磁気回路(C2)と、磁気抵抗部(44)と磁石(43)とを含む第3磁気回路(C3)と、を形成する。磁石(43)がヨーク(40)内で発生させる第1磁界(H1)からみて、第2磁気回路(C2)の磁気抵抗は、第3磁気回路(C3)の磁気抵抗よりも小さい。磁石(43)が発生させる第1磁界(H1)と第1部位(400)において逆向きである第2磁界(H2)からみて、第1磁気回路(C1)の磁気抵抗は、第2磁気回路(C2)の磁気抵抗よりも小さい。
【0158】
この態様によれば、過電流の検出の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0159】
第6の態様の電流センサ(4)では、第5の態様において、ヨーク(40)は、磁気抵抗部(44)と接触する第1端(401)と、磁気抵抗部(44)と接触し、磁気抵抗部(44)を介して第1端(401)と磁気的に接続される第2端(402)と、磁石(43)と接触する第3端(403)と、磁石(43)と接触し、磁石(43)を介して第3端(403)と磁気的に接続される第4端(404)と、を含む。第2磁界(H2)からみて、第1端(401)と第2端(402)との間の磁気抵抗は、第3端(403)と第4端(404)との間の磁気抵抗よりも小さい。
【0160】
この態様によれば、過電流の検出の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0161】
第7の態様の電流センサ(4)では、第5の態様において、ヨーク(40)は、磁気抵抗部(44)と磁気的に接続される第1端(401)と、磁気抵抗部(44)を挟んで第1端(401)と向かい合い、第1端(401)と磁気的に接続される第2端(402)と、磁石(43)と接触する第3端(403)と、磁石(43)と接触し、磁石(43)を介して第3端(403)と磁気的に接続される第4端(404)と、を含む。磁気抵抗部(44)は、第1端(401)と第2端(402)との間に形成された間隙(G1)である。
【0162】
この態様によれば、過電流の検出の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0163】
第8の態様の電流センサ(4)では、第5又は第7の態様において、ヨーク(40)は、磁気抵抗部(44)と磁気的に接続される第1端(401)と、磁気抵抗部(44)を挟んで第1端(401)と向かい合い、第1端(401)と磁気的に接続される第2端(402)と、磁石(43)と接触する第3端(403)と、磁石(43)と接触し、磁石(43)を介して第3端(403)と磁気的に接続される第4端(404)と、を含む。磁気抵抗部(44)は、第1端(401)と第2端(402)との間に配置された空気を含む。第1端(401)と第2端(402)との間の距離は、第3端(403)と第4端(404)との間の距離と同じ又は小さい。
【0164】
この態様によれば、過電流の検出の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0165】
第9の態様の電流センサ(4)では、第2~第4、第6~第8のいずれか一つの態様において、磁石(43)は、永久磁石(430)と、非磁性体と、を有する。非磁性体は、第3端(403)と永久磁石(430)との間に配置されて第3端(403)と接触する、又は、第3端(403)と永久磁石(430)との間及び第4端(404)と永久磁石(430)との間に配置されて第3端(403)及び第4端(404)と接触する。
【0166】
この態様によれば、過電流の検出の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0167】
第10の態様の遮断装置(200)は、第1~第9のいずれか一つの態様の電流センサ(4)と、点火器(21)と、射出体(22)と、を備える。点火器(21)は、火薬(214)を含み、コイル(41)の発電した電力によって火薬(214)を点火可能に構成されている。射出体(22)は、点火された火薬(214)によって射出されて移動する。
【0168】
この態様によれば、電流センサ(4)を備えた遮断装置(200)において、電流センサ(4)の過電流の検出の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0169】
第11の態様の遮断装置(200)は、第1~第4のいずれか一つの態様の電流センサ(4)と、配線部材(9)と、点火器(21)と、射出体(22)と、を備える。配線部材(9)は、コイル(41)と磁気抵抗部(44)との間の位置を通る。点火器(21)は、火薬(214)を含み、コイル(41)の発電した電力によって火薬(214)を点火可能に構成されている。射出体(22)は、点火された火薬(214)によって射出されて移動し、配線部材(9)の通電を遮断する。配線部材(9)には、所定の向きの電流(Ib)が流れる。配線部材(9)は、配線部材(9)に電流(Ib)が流れると、第2磁界(H2)をヨーク(40)内に発生させる。コイル(41)は、配線部材(9)に流れる電流(Ib)によって発電する。点火器(21)は、配線部材(9)に流れる電流(Ib)の値がある値に達する又はある値を上回ったときに、コイル(41)の発電した電力によって火薬(214)を点火する。射出体(22)は、配線部材(9)に向かって射出されて移動して、配線部材(9)の通電を遮断する。
【0170】
この態様によれば、電流センサ(4)を備えた遮断装置(200)において、電流センサ(4)の過電流の検出の信頼性の向上を図ることが可能となる。
【0171】
第12の態様の遮断装置(200)は、第5~第8のいずれか一つの態様の電流センサ(4)と、配線部材(9)と、点火器(21)と、射出体(22)と、を備える。配線部材(9)は、コイル(41)とヨーク(40)の第1部位(400)との間の位置を通る。点火器(21)は、火薬(214)を含み、コイル(41)の発電した電力によって火薬(214)を点火可能に構成されている。射出体(22)は、点火された火薬(214)によって射出されて移動し、配線部材(9)の通電を遮断する。配線部材(9)には、所定の向きの電流(Ib)が流れる。配線部材(9)は、配線部材(9)に電流(Ib)が流れると、第2磁界(H2)をヨーク(40)内に発生させる。コイル(41)は、配線部材(9)に流れる電流(Ib)によって発電する。点火器(21)は、配線部材(9)に流れる電流(Ib)の値がある値に達する又はある値を上回ったときに、コイル(41)の発電した電力によって火薬(214)を点火する。射出体(22)は、配線部材(9)に向かって射出されて移動して、配線部材(9)の通電を遮断する。
【符号の説明】
【0172】
200 遮断装置
21 点火器
214 火薬
22 射出体
4 電流センサ
40 ヨーク
400 第1部位
401 第1端
402 第2端
403 第3端
404 第4端
41 コイル
42 磁気回路ユニット
43 磁石
430 永久磁石
44 磁気抵抗部
9 配線部材
C1 第1磁気回路
C2 第2磁気回路
C3 第3磁気回路
G1 間隙
H1 第1磁界
H2 第2磁界
Ib 電流