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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179254
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/32 20060101AFI20241219BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B60H1/32 626B
B60H1/00 103H
B60H1/00 103S
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097961
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100203264
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 未久
(72)【発明者】
【氏名】秋下 耀介
(72)【発明者】
【氏名】坂大 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】丸田 峻也
【テーマコード(参考)】
3L211
【Fターム(参考)】
3L211BA07
3L211BA12
3L211DA04
3L211DA83
3L211EA12
3L211EA26
3L211EA56
3L211EA66
3L211EA72
3L211FA06
3L211FB04
3L211GA04
3L211GA82
(57)【要約】
【課題】車両において外気導入モードから内気循環モードに切り替える制御を実行するタイミングを改善する。
【解決手段】情報処理装置は、取得した車両の環境データ及び走行データに基づいて、車両において外気導入モードから内気循環モードに切り替える切り替え制御を実行すべきか否かを判定する制御部を備える。制御部は、切り替え制御を実行すべきと判定した場合、切り替え制御の実行を推奨するための通知処理を実行するか、又は、切り替え制御を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得した車両の環境データ及び走行データに基づいて、前記車両において外気導入モードから内気循環モードに切り替える切り替え制御を実行すべきか否かを判定する制御部を備え、
前記制御部は、前記切り替え制御を実行すべきと判定した場合、前記切り替え制御の実行を推奨するための通知処理を実行するか、又は、前記切り替え制御を実行する、情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記取得した車両の環境データ及び走行データが設定条件を満たす場合、前記切り替え制御を実行すべきと判定し、
前記設定条件は、燃費差が大きくなる条件であって、車両の環境条件及び車両の走行条件の少なくとも何れかに基づいて設定され、
前記燃費差は、車両の車室内が冷房状態である場合において、前記切り替え制御が実行されているときの車両の燃費から前記切り替え制御が実行されていないときの車両の燃費を差し引いたものである、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
複数の前記設定条件は、車種毎に設定される、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記情報処理装置は、出力部をさらに備える車載機器であり、
前記制御部は、前記通知処理として、前記切り替え制御の実行を推奨する通知を前記出力部に出力させる、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記車載機器は、入力部をさらに備え、
前記制御部は、
前記通知を前記出力部に出力させた後、前記切り替え制御を実行したこと又は実行しないことが車両の走行を阻害するか否かを示す評価結果を前記入力部によって受け付け、
前記評価結果に基づいて前記切り替え制御が実行されているときに前記車両の走行が阻害される阻害条件が特定され、
前記切り替え制御を実行すべきと判定した場合であっても、前記取得した車両の環境データ及び走行データが前記阻害条件を満たす場合、前記通知を前記出力部に出力させない、請求項4に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両において外気導入モードと内気循環モードとを切り替える制御が知られている。例えば、特許文献1には、冷房効率を向上させるために、車室内の冷房状態に応じて内気導入口と外気導入口とを切り替えることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-335414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両において外気導入モードから内気循環モードに切り替える制御を実行するタイミングには、改善の余地がある。
【0005】
かかる点に鑑みてなされた本開示の目的は、車両において外気導入モードから内気循環モードに切り替える制御を実行するタイミングを改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る情報処理装置は、取得した車両の環境データ及び走行データに基づいて、前記車両において外気導入モードから内気循環モードに切り替える切り替え制御を実行すべきか否かを判定する制御部を備える。前記制御部は、前記切り替え制御を実行すべきと判定した場合、前記切り替え制御の実行を推奨するための通知処理を実行するか、又は、前記切り替え制御を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一実施形態によれば、車両において外気導入モードから内気循環モードに切り替える制御を実行するタイミングを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係るシステムの概略構成を示す図である。
図2図1に示すシステムの動作例を示すシーケンス図である。
図3】設定条件の一例を示す図である。
図4図1に示す車載機器の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態に係るシステム1は、サーバ装置10と、複数の車両20とを含む。サーバ装置10と車両20とは、ネットワーク2を介して通信可能である。ネットワーク2は、移動体通信網及びインターネット等を含む任意のネットワークであってよい。
【0011】
サーバ装置10は、情報処理装置である。サーバ装置10は、例えば、サーバとして機能するように構成された専用のコンピュータ、汎用のパーソナルコンピュータ又はクラウドコンピューティングシステム等である。
【0012】
サーバ装置10は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。
【0013】
通信部11は、ネットワーク2に接続可能な少なくとも1つの通信モジュールを含んで構成される。通信モジュールは、例えば、有線LAN(Local Area Network)又は無線LAN等の規格に対応した通信モジュールである。通信部11は、通信モジュールによって有線LAN又は無線LANを介して、ネットワーク2に接続される。
【0014】
記憶部12は、少なくとも1つの半導体メモリ、少なくとも1つの磁気メモリ、少なくとも1つの光メモリ又はこれらのうちの少なくとも2種類の組み合わせを含んで構成される。記憶部12は、主記憶装置、補助記憶装置又はキャッシュメモリとして機能してよい。記憶部12には、サーバ装置10の動作に用いられるデータと、サーバ装置10の動作によって得られたデータとが記憶される。
【0015】
制御部13は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路又はこれらの組み合わせを含んで構成される。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)等の汎用プロセッサ又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。制御部13は、サーバ装置10の各部を制御しながら、サーバ装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0016】
車両20は、例えば、ガソリン自動車又はハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)等の自動車である。ただし、車両20は、これらに限定されない。車両20は、後述の空調装置24を備え、且つガソリン等の燃料で駆動するものであれば、任意の種類の自動車であってよい。
【0017】
車両20は、第1センサ部21と、第2センサ部22と、電子制御ユニット23と、空調装置24と、車載機器30とを備える。
【0018】
第1センサ部21は、車両20の車室内温度及び車室内湿度を検出可能である。第1センサ部21は、温度センサ及び湿度センサを含んで構成される。第1センサ部21は、車両20の車室内に配置されてよい。
【0019】
第2センサ部22は、車両20の周辺温度及び周辺湿度を検出可能である。第2センサ部22は、温度センサ及び湿度センサを含んで構成される。第2センサ部22の少なくとも一部は、車両20の車外に配置されてよい。車両20の周辺温度は、車両20の外気温度とも記載される。
【0020】
電子制御ユニット23は、車両20のECU(Electronic Control Unit)である。電子制御ユニット23は、車両20の各種機能を制御する。
【0021】
空調装置24は、車両20の車室内を冷房可能である。空調装置24は、車両20の車室内を暖房可能であってもよい。空調装置24は、車両20の車室内を暖房可能である場合、いわゆるエアコン又は冷暖房装置であってよい。
【0022】
空調装置24は、動作モードとして、外気導入モード及び内気循環モードを有する。外気導入モードは、車両20の外部の空気すなわち外気を車両20の車室内に導入するモードである。内気循環モードは、車両20の車室内の内気を循環させるモードである。内気循環モードでは、車両20の車室内への外気の侵入が遮断されてよい。空調装置24の初期設定の動作モードは、外気導入モードである。
【0023】
空調装置24は、電子制御ユニット25と、スイッチ26とを備える。
【0024】
電子制御ユニット25は、車両20のECUである。電子制御ユニット25は、空調装置24を制御する。
【0025】
電子制御ユニット25は、切り替え制御を実行可能である。切り替え制御は、車両20において外気導入モードから内気循環モードに切り替える制御である。本実施形態に係る切り替え制御は、車両20の外気温度に応じて、空調装置24の動作モードを外気導入モードから内気循環モードに切り替える制御である。例えば、電子制御ユニット25は、車両20の外気温度が設定温度を超えた場合、空調装置24の動作モードを外気導入モードから内気循環モードに切り替える。電子制御ユニット25は、車両20の外気温度が設定温度以下である場合、空調装置24の動作モードを初期設定の外気導入モードに維持する。設定温度は、車両20が走行する環境に応じて設定されてよい。設定温度は、例えば、26度である。電子制御ユニット25は、第2センサ部22から、車両20の外気温度を取得してよい。電子制御ユニット25は、内気循環モードの実行指示を外部ボタン等から受け付けた場合、空調装置24の動作モードを内気循環モードに切り替えてよい。
【0026】
スイッチ26は、車両20のユーザによって操作される。スイッチ26は、切り替え制御を実行するか否かを切り替えるスイッチである。電子制御ユニット25は、スイッチ26が切り替え制御を実行する方に切り替えられると、切り替え制御を実行する。電子制御ユニット25は、スイッチ26が切り替え制御を実行しない方に切り替えられると、切り替え制御を実行しない。切り替え制御が実行されないとき、本実施形態では、空調装置24は、初期設定の外部導入モードで動作する。
【0027】
車載機器30は、情報処理装置である。車載機器30は、例えば、ナビゲーション装置である。車載機器30は、通信部31と、入力部32と、出力部33と、記憶部34と、制御部35とを備える。
【0028】
通信部31は、ネットワーク2に接続可能な少なくとも1つの通信モジュールを含んで構成される。通信モジュールは、例えば、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)又は5G(5th Generation)等の移動体通信規格に対応した通信モジュールである。
【0029】
通信部31は、第1センサ部21、第2センサ部22、電子制御ユニット23及び電子制御ユニット25と通信可能な少なくとも1つの通信モジュールを含んで構成される。通信モジュールは、例えば、車載ネットワーク又は専用線の規格に対応した通信モジュールである。
【0030】
入力部32は、ユーザからの入力を受け付け可能である。入力部32は、ユーザからの入力を受け付け可能な少なくとも1つの入力用インタフェースを含んで構成される。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン又はマイク等である。
【0031】
出力部33は、データを出力可能である。出力部33は、データを出力可能な少なくとも1つの出力用インタフェースを含んで構成される。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカ等である。ディスプレイは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等である。
【0032】
記憶部34の構成は、記憶部12の構成と同じ又は類似であってよい。記憶部34には、車載機器30の動作に用いられるデータと、車載機器30の動作によって得られたデータとが記憶される。例えば、記憶部34には、車両20の車種の情報等が記憶される。
【0033】
制御部35の構成は、制御部13の構成と同じ又は類似であってよい。制御部35は、車載機器30の各部を制御しながら、車載機器30の動作に関わる処理を実行する。
【0034】
(システムの動作)
図2は、図1に示すシステム1の動作例を示すシーケンス図である。
【0035】
S1及びS2の処理は、システム1に含まれる複数の車両20のうちの任意の車両20の車載機器30によって実行されてよい。
【0036】
S1の処理において、車載機器30では、制御部35は、車両20の環境データを取得する。車両20の環境データは、例えば、車両20の車室内温度の時系列データ、車両20の車室内湿度の時系列データ、車両20の周辺温度の時系列データ及び車両20の周辺湿度の時系列データを含む。制御部35は、第1センサ部21が検出した車両20の車室内温度及び車室内湿度のデータを通信部31によって逐次受信することにより、車両20の車室内温度及び車室内湿度のそれぞれの時系列データを取得する。制御部35は、第2センサ部22が検出した車両20の周辺温度及び周辺湿度のデータを通信部31によって逐次受信することにより、車両20の周辺温度及び周辺湿度のそれぞれの時系列データを取得する。
【0037】
S1の処理において、制御部35は、車両20の走行データを取得する。車両20の走行データは、例えば、車両20のトリップ時間のデータ及びトリップ時間毎の車両20の燃費のデータを含む。トリップ時間は、出発地から目的地まで車両20が走行した時間である。車両20の燃費は、燃料の単位容量当たりの車両20の走行距離である。制御部35は、通信部31を介して電子制御ユニット23と通信することにより、車両20の走行データを取得する。
【0038】
S1の処理において、制御部35は、空調装置24の使用履歴のデータを取得する。空調装置24の使用履歴のデータは、例えば、車両20の車室内が冷房状態である時間帯、切り替え制御が実行されている時間帯及び切り替え制御が実行されていない時間帯のデータを含む。制御部35は、通信部31を介して電子制御ユニット25と通信することにより、空調装置24の使用履歴のデータを取得する。
【0039】
S1の処理において、制御部35は、記憶部34から、車両20の車種の情報を取得する。
【0040】
S2の処理において、制御部35は、車両20の環境データ、車両20の走行データ、空調装置24の使用履歴のデータ及び車両20の車種の情報を、ネットワーク2を介してサーバ装置10に通信部31によって送信する。
【0041】
S3の処理において、サーバ装置10では、制御部13は、ネットワーク2を介して車両20から、車両20の環境データ、車両20の走行データ、空調装置24の使用履歴のデータ及び車両20の車種の情報を通信部11によって受信する。制御部13は、受信した車両20の環境データ等を記憶部12に記憶させる。
【0042】
S1からS3までの処理は、所定期間、繰り返し実行されてよい。所定期間は、システム1に含まれる複数の車両20の走行頻度等に基づいて設定されてよい。S1からS3までの処理が繰り返し実行されることにより、サーバ装置10の記憶部12には、複数の車両20の環境データ等が蓄積される。
【0043】
S4の処理において、サーバ装置10では、制御部13は、記憶部12に蓄積された複数の車両20の環境データ等を取得する。制御部13は、取得したデータ等に基づいて、車両20における燃費差を算出する。
【0044】
本開示において、車両20における燃費差とは、車両20の車室内が冷房状態である場合において、切り替え制御が実行されているときの車両20の燃費から、切り替え制御が実行されていないときの車両20の燃費を差し引いたものである。つまり、車両20における燃費差が大きいほど、車両20の車室内が冷房状態である場合では、切り替え制御が実行されているときの車両20の燃費の方が、切り替え制御が実行されていないときの車両20の燃費よりも大きくなる。上述したように、車両20の燃費は、燃料の単位容量当たりの車両20の走行距離である。そのため、車両20の燃費が大きいほど、車両20の燃費が良くなる。車両20の燃費が良くなるとは、より少ない燃料量で車両20がより多くの距離を走行することである。
【0045】
ここで、車両20における燃費差は、以下の例示のように、車両20の環境条件及び走行条件の少なくとも何れかに依拠する。
【0046】
上記依拠する例として、車両20の周辺温度が車両20の車室内温度及び設定温度よりも高く、且つ車両20のトリップ時間が短くなる条件が挙げられる。この条件下では、切り替え制御が実行されているときの車両20の燃費の方が、切り替え制御が実行されていないときの車両20の燃費よりも大きくなる。つまり、車両20における燃費差が大きくなる。その理由は、切り替え制御が実行されると、車両20の周辺温度が設定温度よりも高いことにより、空調装置24の動作モードが内気循環モードに切り替わるためである。空調装置24の動作モードが内気循環モードに切り替わると、車両20の車室内温度よりも高い温度の外気が車両20の車室内へ導入されないため、車両20の車室内を効率良く冷房することができる。車両20の車室内を効率良く冷房することができると、車両20の燃費が大きくなる。
【0047】
上記依拠する例として、車両20の車室内温度の方が車両20の周辺温度よりも高く、且つ車両20の周辺温度が設定温度よりも高くなる条件が挙げられる。この条件下では、切り替え制御が実行されていないときの車両20の燃費の方が、切り替え制御が実行されているときの車両20の燃費よりも大きくなる。つまり、車両20における燃費差が小さくなる。その理由は、この条件下では、車両20の車室内温度の方が車両20の周辺温度よりも高いため、車両20の外気を車室内に導入した方が車両20の車室内を効率良く冷房することができるためである。つまり、切り替え制御が実行されると、車両20の周辺温度が設定温度よりも高いことにより、空調装置24の動作モードが内気循環モードに切り替わってしまい、車両20の外気が車室内に導入されなくなるためである。車両20の外気が車室内に導入されなくなると、車両20の車室内を効率良く冷房することができなくなる。車両20の車室内を効率良く冷房することができないと、車両20の燃費が小さくなる。
【0048】
このように車両20における燃費差は、車両20の環境条件及び走行条件の少なくとも何れかに依拠する。そこで、制御部13は、燃費差が大きくなる車両20の環境条件及び走行条件の少なくとも何れかを特定することにより、燃費差が大きくなる車両20の設定条件を設定する。制御部13は、燃費差が大きくなる車両20の環境条件及び走行条件の少なくとも何れかを特定することにより、燃費差が大きくなる車両20の設定条件を特定することによって、燃費差が大きくなる車両20の設定条件を設定してよい。例えば、制御部13は、記憶部12に蓄積された車両20の環境データ及び走行データをデータ群に分ける。制御部13は、空調装置24の使用履歴のデータに基づいてそれぞれのデータ群で燃費差を算出することにより、車両20における燃費差が大きくなる車両20の環境条件及び走行条件の少なくとも何れかを特定する。
【0049】
ここで、車両20の車種によって、空調装置24又は車室内等の構造が異なる。そのため、同じ環境条件及び走行条件であっても、車両20の車種によって、燃費差が大きくなる車両20の設定条件が変わる場合がある。そこで、制御部13は、車両20の車種毎に設定条件を設定してもよい。車両20の車種毎に設定条件が設定されることにより、燃費差がより大きくなる車両20の設定条件を設定することができる。
【0050】
例えば、制御部13は、図3に示すように、設定条件を設定する。図3では、設定条件は、「aaa」及び「bbb」との車両20の車種毎に設定される。「aaa」との車種では、燃費差が大きくなる設定条件として、条件Aが設定される。条件Aでは、車両20の環境条件として、温度Ta1から温度Ta2までの車両20の車室内温度の範囲と、温度Tb1から温度Tb2までの車両20の周辺温度の範囲とが設定される。条件Aでは、車両20の走行条件として、時間Ha1から時間Ha2までのトリップ時間の範囲が設定される。「bbb」との車種では、燃費差が大きくなる設定条件として、条件Bが設定される。条件Bでは、車両20の環境条件として、温度Tc1から温度Tc2までの車両20の車室内温度の範囲と、温度Td1から温度Td2までの車両20の周辺温度の範囲とが設定される。条件Bでは、車両20の走行条件として、時間Hb1から時間Hb2までのトリップ時間の範囲が設定される。
【0051】
S5の処理において、制御部13は、車種毎の設定条件のデータを、システム1に含まれる複数の車両20のそれぞれに、ネットワーク2を介して通信部11によって送信する。
【0052】
S6の処理において、車両20の車載機器30では、制御部35は、ネットワーク2を介してサーバ装置10から、車種毎の設定条件のデータを通信部31によって受信する。制御部35は、受信した車種毎の設定条件のデータを記憶部34に記憶させる。
【0053】
(車載機器の動作)
図4は、図1に示す車載機器30の動作例を示すフローチャートである。S11の処理前にS6の処理が実行されているものとする。つまり、記憶部34には、車種毎の設定条件のデータが記憶されているものとする。制御部35は、例えば、車両20のイグニッションがオフからオンになると、S11の処理を開始する。
【0054】
S11の処理において、制御部35は、車両20の環境データを取得する。車両20の環境データは、例えば、車両20の車室内温度、車両20の車室内湿度、車両20の周辺温度及び車両20の周辺湿度を含む。制御部35は、第1センサ部21から、車両20の車室内温度及び車両20の車室内湿度を取得する。制御部35は、第2センサ部22から、車両20の周辺温度及び車両20の周辺湿度を取得する。
【0055】
S11の処理において、制御部35は、車両20の走行データを取得する。車両20の走行データは、例えば、車両20のトリップ時間のデータを含む。車両20が走行開始前である場合、制御部35は、走行予定の走行ルートから、車両20のトリップ時間を算出してよい。
【0056】
S11の処理において、制御部35は、空調装置24の使用状況のデータを取得する。空調装置24の使用状況のデータは、例えば、車両20の車室内が冷房状態であるか否かを示すデータ、及び、切り替え制御が実行されているか否かを示すデータを含む。制御部35は、通信部31を介して電子制御ユニット25と通信することにより、空調装置24の使用状況のデータを取得する。
【0057】
S12の処理において、制御部35は、S11の処理で取得した空調装置24の使用状況のデータを用い、車両20の車室内が冷房状態であり、且つ切り替え制御が実行されていない状態であるか否かを判定する。
【0058】
制御部35は、車両20の車室内が冷房状態であり、且つ切り替え制御が実行されていない状態であると判定した場合(S12:YES)、S13の処理に進む。一方、制御部35は、車両20の車室内が冷房状態であり、且つ切り替え制御が実行されていない状態であると判定しない場合(S12:NO)、所定時間経過後、S11の処理に戻る。所定時間は、車両20の走行速度等に基づいて設定されてよい。
【0059】
S13の処理において、制御部35は、切り替え制御を実行すべきか否かを判定する。制御部35は、S11の処理で取得した車両20の環境データ及び走行データが記憶部34に記憶された自車両と同じ車種の設定条件を満たすか否かを判定する。制御部35は、S11の処理で取得した車両20の環境データ及び走行データが自車両と同じ車種の設定条件を満たすと判定する場合、切り替え制御を実行すべきと判定する。制御部35は、S11の処理で取得した車両20の環境データ及び走行データが自車両と同じ車種の設定条件を満たすと判定しない場合、切り替え制御を実行すべきではないと判定する。
【0060】
例えば、図3に示すような設定条件のデータが記憶部34に記憶されるものとする。また、自車両の車種は、「aaa」であるものとする。この場合、制御部35は、S11の処理で取得した車両20の車室内温度が温度Ta1~Ta2の範囲にあり、周辺温度が温度Tb1~Tb2の範囲にあり、且つトリップ時間が時間Ha1~Ha2の範囲にある場合、条件Aを満たすと判定する。制御部35は、条件Aを満たすと判定する場合、切り替え制御を実行すべきと判定する。
【0061】
制御部35は、切り替え制御を実行すべきと判定した場合(S13:YES)、S14の処理に進む。一方、制御部35は、切り替え制御を実行すべきではないと判定した場合(S13:NO)、所定時間経過後、S11の処理に戻る。
【0062】
S14の処理において、制御部35は、通知処理を実行する。通知処理は、切り替え制御の実行を推奨するための処理である。本実施形態では、制御部35は、切り替え制御の実行を推奨する通知を出力部33に出力させる。一例として、制御部35は、「切り替え制御の実行を推奨します」との音声を出力部33のスピーカに出力させる。他の例として、制御部35は、「切り替え制御の実行を推奨する」との文字を出力部33のディスプレイに表示させる。
【0063】
S14の処理すなわち通知処理が実行されることにより、車両20のユーザは、切り替え制御を実行しようか否かを考える。ユーザは、切り替え制御の実行を選択した場合、スイッチ26を操作し、電子制御ユニット25に切り替え制御を実行させる。ここで、車両20の周辺湿度又は車両20の室内温度等の条件によっては、切り替え制御が実行されると、車両20のフロントガラス等が曇る場合がある。この場合、ユーザは、切り替え制御を実行しないことを選択する。
【0064】
S14の処理後、ユーザは、評価結果を入力部32から入力する。この評価結果は、切り替え制御を実行したこと又は実行しないことが車両20の走行を阻害するか否かを示す。例えば、切り替え制御が実行されることにより、フロントガラスが曇り、車両20の前方の視界が不明瞭になる場合がある。この場合、ユーザは、切り替え制御の実行が車両20の走行を阻害するとの評価結果を入力部32から入力する。
【0065】
S15の処理において、制御部35は、評価結果を入力部32によって受け付ける。
【0066】
S16の処理において、制御部35は、S15の処理で受け付けた評価結果と、車両20の車種の情報と、S11の処理で取得した車両20の環境データ及び走行データとを、ネットワーク2を介してサーバ装置10に通信部31によって送信する。サーバ装置10では、制御部13は、ネットワーク2を介して車両20から、評価結果等を受信する。制御部13は、受信した評価結果と、車両20の車種、環境データ及び走行データとを対応付けて記憶部12に記憶させる。
【0067】
S16の処理後、制御部35は、所定時間経過後、S11の処理に戻る。
【0068】
ここで、再度実行されるS11の処理では、制御部35は、走行済みの走行ルートと、走行予定の走行ルートとによって、トリップ時間を算出してよい。繰り返し実行されるS11からS16の処理において、制御部35は、車両20が目的地に到着すると、図4に示すような処理を終了してよい。また、制御部35は、S11の処理を繰り返し実行することにより、S1の処理で取得される車両20の環境データ、車両20の走行データ及び空調装置24の使用履歴のデータと同じデータを取得することができる。そこで、制御部35は、図4に示すような処理を終了する前に、繰り返し実行されたS11の処理で取得したデータを車両20の車種の情報とともに、ネットワーク2を介してサーバ装置10に通信部31によって送信してもよい。この処理は、S2の処理に対応する。
【0069】
また、制御部35は、切り替え制御を実行すべきと判定した場合(S13:YES)、S14の処理を実行せずに、電子制御ユニット25によって切り替え制御を実行してもよい。このような構成により、切り替え制御が自動的に実行される。そのため、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0070】
また、複数の車両20がS16の処理を実行することにより、サーバ装置10の記憶部12には、評価結果等のデータが蓄積される。サーバ装置10では、制御部13は、記憶部12に蓄積された評価結果等のデータに基づいて、阻害条件を特定してよい。阻害条件は、車両20の車室内が冷房状態である場合において切り替え制御が実行されるときに、車両20の走行が阻害される条件である。阻害条件は、車両20の環境データ及び走行データに基づいて設定されてよい。ここで、車両20の車種によって、車両20の構造が異なる。そのため、同じ環境条件及び走行条件であっても、車両20の車種によって、阻害条件が異なり得る。そこで、制御部13は、車両20の車種毎に阻害条件を特定してよい。制御部13は、特定した車両20の車種毎の阻害条件を、システム1に含まれる複数の車両20のそれぞれに、ネットワーク2を介して通信部11によって送信してよい。車両20に搭載される車載機器30では、制御部35は、ネットワーク2を介してサーバ装置10から、車両20の車種毎の阻害条件を通信部31によって受信してよい。制御部35は、受信した車両20の車種毎の阻害条件を記憶部34に記憶させてよい。この場合、制御部35は、S13の処理で切り替え制御を実行すべきと判定した場合であっても、S11の処理で取得した車両20の環境データ及び走行データが自車両の車種に設定された阻害要件を満たす場合、S14の処理すなわち通知処理を実行しなくてよい。つまり、制御部35は、S14の処理に進まずに、S11の処理に戻ってよい。このような構成により、切り替え制御が実行されることにより、車両20の走行が阻害される可能性を低減することができる。
【0071】
このように情報処理装置である車載機器30では、制御部35は、取得した車両20の環境データ及び走行データに基づいて切り替え制御を実行すべきか否かを判定する。制御部35は、切り替え制御を実行すべきと判定した場合、切り替え制御の実行を推奨するための通知処理を実行するか、又は、電子制御ユニット25によって切り替え制御を実行する。このような構成により、例えば、車両20の環境データ及び走行データに応じて車両20の燃費が良くなるタイミングで、切り替え制御を実行することができる。よって、本実施形態によれば、車両20において外気導入モードから内気循環モードに切り替える制御を実行するタイミングを改善することができる。
【0072】
本開示を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び改変を行ってもよいことに注意されたい。したがって、これらの変形及び改変は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部又は各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部又はステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0073】
例えば、上述した実施形態では、情報処理装置として車載機器30が、切り替え制御を実行すべきか否かを判定するものとして説明した。ただし、切り替え制御を実行すべきか否かを判定する情報処理装置は、車載機器30に限定されない。任意の情報処理装置が、切り替え制御を実行すべきか否かを判定してよい。他の例として、情報処理装置であるサーバ装置10が、切り替え制御を実行すべきか否かを判定し、切り替え制御の実行を推奨するための通知処理を実行するか、又は、切り替え制御を実行してもよい。この場合、制御部13は、車両20の車種毎の台数と車両20の車種毎の燃費差とを乗算することにより、車両20の車種毎に総燃費差を算出してよい。制御部13は、総燃費差が所定値を超える車種の車両20に、切り替え制御の実行を推奨する通知をネットワーク2を介して通信部11によって送信してもよい。所定値は、通知を送信するコスト等を考慮して設定されてよい。総燃費差が所定値を超える車種の車両20に通知が送信されることにより、複数の車両20の燃費を効率的に良くすることができる。また、燃費が良くなる車種の車両20に集中的に通知を送信することができる。
【符号の説明】
【0074】
1:システム、2:ネットワーク、10:サーバ装置、11:通信部、12:記憶部、13:制御部、20:車両、21:第1センサ部、22:第2センサ部、23:電子制御ユニット、24:空調装置、25:電子制御ユニット、26:スイッチ、30:車載機器、31:通信部、32:入力部、33:出力部、34:記憶部、35:制御部
図1
図2
図3
図4