IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-電子機器 図1
  • 特開-電子機器 図2
  • 特開-電子機器 図3
  • 特開-電子機器 図4
  • 特開-電子機器 図5
  • 特開-電子機器 図6
  • 特開-電子機器 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179258
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20241219BHJP
   H04M 1/02 20060101ALI20241219BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G06F1/16 312F
G06F1/16 312G
G06F1/16 312J
H04M1/02 C
H05K5/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097968
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】劉 ガロ
(72)【発明者】
【氏名】木下 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】森野 貴之
(72)【発明者】
【氏名】肖 浩楠
【テーマコード(参考)】
4E360
5K023
【Fターム(参考)】
4E360AB04
4E360AB05
4E360AB17
4E360AB18
4E360AB42
4E360BA02
4E360BA11
4E360BB02
4E360BB14
4E360BB27
4E360BD05
4E360CA03
4E360EA14
4E360EA18
4E360EA24
4E360EC14
4E360ED02
4E360ED07
4E360ED16
4E360ED17
4E360ED30
4E360FA02
4E360FA12
4E360FA13
4E360GA12
4E360GA14
4E360GA46
4E360GA51
4E360GB26
4E360GB46
4E360GC03
4E360GC04
4E360GC08
4E360GC20
5K023AA07
5K023DD08
5K023HH06
5K023QQ02
5K023RR08
(57)【要約】
【課題】折り曲げされるディスプレイを安定して支持することができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器は、第1筐体と、第2筐体と、折曲領域を有するディスプレイと、折曲領域の裏面を支持する支持面が設けられると共に、該支持面に段差を有する支持部品と、第1可動部品と、第2可動部品とを備える。さらに電子機器は、可撓性を有し、前記支持部品の長手方向に沿って延在すると共に、該長手方向に直交する幅方向での一縁部が前記折曲領域と前記支持面との間に配置され、他縁部が前記第1表面に固定された第1シート状部材と、可撓性を有し、前記支持部品の長手方向に沿って延在すると共に、該長手方向に直交する幅方向での一縁部が前記折曲領域と前記支持面との間に配置されて前記第1シート状部材の一縁部と対向し、他縁部が前記第2表面に固定された第2シート状部材とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
第1筐体と、
前記第1筐体と隣接すると共に、前記第1筐体に対して、互いの面方向が重なるように積層される第1姿勢と、互いの面方向が左右に並んで配置される第2姿勢との間で相対的に回動可能に連結された第2筐体と、
前記第1筐体と前記第2筐体との間に亘って設けられ、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動することに応じて折り曲げられる折曲領域を有するディスプレイと、
前記第1筐体及び前記第2筐体の互いの隣接端部を跨ぐように該隣接端部に沿って延在し、前記第2姿勢時に前記折曲領域の裏面を支持する支持面が設けられると共に、該支持面に段差を有する支持部品と、
前記支持部品の前記第1筐体側に配置されると共に、前記第1筐体と前記第2筐体とが回動することに伴って前記支持部品に対して相対移動し、前記第2姿勢時に前記支持面の前記第1筐体側に並ぶ第1表面を有する第1可動部品と、
前記支持部品の前記第2筐体側に配置されると共に、前記第1筐体と前記第2筐体とが回動することに伴って前記支持部品に対して相対移動し、前記第2姿勢時に前記支持面の前記第2筐体側に並ぶ第2表面を有する第2可動部品と、
可撓性を有し、前記支持部品の長手方向に沿って延在すると共に、該長手方向に直交する幅方向での一縁部が前記折曲領域と前記支持面との間に配置され、他縁部が前記第1表面に固定された第1シート状部材と、
可撓性を有し、前記支持部品の長手方向に沿って延在すると共に、該長手方向に直交する幅方向での一縁部が前記折曲領域と前記支持面との間に配置されて前記第1シート状部材の一縁部と対向し、他縁部が前記第2表面に固定された第2シート状部材と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記段差は、前記支持面の長手方向に沿って形成され、前記第1姿勢時に円弧状に折り曲げられた前記折曲領域を逃げるための溝部を含み、
前記第2姿勢において、前記第1シート状部材の一縁部及び前記第2シート状部材の一縁部は、それぞれ前記溝部の一部を覆うように配置される
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器であって、
前記第2姿勢において、前記第1シート状部材の一縁部及び前記第2シート状部材の一縁部は、互いの端面同士が前記溝部の上方で所定の隙間を介して近接する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の電子機器であって、
前記第1姿勢において、前記第1シート状部材の一縁部及び前記第2シート状部材の一縁部は、それぞれ前記溝部に挿入される
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記第1姿勢において、前記第1シート状部材の一縁部及び前記第2シート状部材の一縁部は、それぞれ前記溝部の底面に接触する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記第1シート状部材及び前記第2シート状部材は、弾性を有する金属シートである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器であって、
前記金属シートは、ステンレスシートである
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の筐体をヒンジ装置で連結した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル式の液晶ディスプレイを有し、物理的なキーボードを持たないPCやスマートフォン等の電子機器が急速に普及している。この種の電子機器のディスプレイは、使用時には大きい方が望ましい反面、非使用時には小型化できることが望まれている。そこで、有機EL(Electro Luminescence)等のフレキシブルディスプレイを用いることで、筐体だけでなくディスプレイまでも折り曲げ可能に構成した電子機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-166990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなフレキシブルディスプレイの裏面は、180度に開かれた状態では段差の少ない高い平面度を有する面で支持されることが望まれる。例えばタッチ操作時にペンや指先が段差を拾うと操作感が低下するためである。ところが、例えばディスプレイの折曲領域の裏面側にはヒンジ装置の構成要素等の機構部品が配置されることがあり、このような部品から段差を完全になくすことは難しい。また、タッチ操作に非対応であったとしても、フレキシブルディスプレイは非常に薄く衝撃等にも弱い。このため、折曲領域の裏面の直下に段差があると、ディスプレイが衝撃を受けた場合等に不具合を生じる可能性もある。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、折り曲げされるディスプレイを安定して支持することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る電子機器は、第1筐体と、前記第1筐体と隣接すると共に、前記第1筐体に対して、互いの面方向が重なるように積層される第1姿勢と、互いの面方向が左右に並んで配置される第2姿勢との間で相対的に回動可能に連結された第2筐体と、前記第1筐体と前記第2筐体との間に亘って設けられ、前記第1筐体と前記第2筐体とが相対的に回動することに応じて折り曲げられる折曲領域を有するディスプレイと、前記第1筐体及び前記第2筐体の互いの隣接端部を跨ぐように該隣接端部に沿って延在し、前記第2姿勢時に前記折曲領域の裏面を支持する支持面が設けられると共に、該支持面に段差を有する支持部品と、前記支持部品の前記第1筐体側に配置されると共に、前記第1筐体と前記第2筐体とが回動することに伴って前記支持部品に対して相対移動し、前記第2姿勢時に前記支持面の前記第1筐体側に並ぶ第1表面を有する第1可動部品と、前記支持部品の前記第2筐体側に配置されると共に、前記第1筐体と前記第2筐体とが回動することに伴って前記支持部品に対して相対移動し、前記第2姿勢時に前記支持面の前記第2筐体側に並ぶ第2表面を有する第2可動部品と、可撓性を有し、前記支持部品の長手方向に沿って延在すると共に、該長手方向に直交する幅方向での一縁部が前記折曲領域と前記支持面との間に配置され、他縁部が前記第1表面に固定された第1シート状部材と、可撓性を有し、前記支持部品の長手方向に沿って延在すると共に、該長手方向に直交する幅方向での一縁部が前記折曲領域と前記支持面との間に配置されて前記第1シート状部材の一縁部と対向し、他縁部が前記第2表面に固定された第2シート状部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の上記態様によれば、折り曲げされるディスプレイを安定して支持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器を閉じて0度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す電子機器を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。
図3図3は、図2に示す電子機器の模式的な平面図である。
図4図4は、図2に示す電子機器の内部構造を模式的に示す平面図である。
図5図5は、図3中のV-V線に沿う模式的な断面図である。
図6図6は、図5に示す電子機器を0度姿勢とした状態を示す模式的な断面図である。
図7図7は、変形例に係る電子機器を180度姿勢とした状態での模式的な側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る電子機器について好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を閉じて0度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。図2は、図1に示す電子機器10を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す斜視図である。図3は、図2に示す電子機器10の模式的な平面図である。図4は、図2に示す電子機器10の内部構造を模式的に示す平面図である。
【0011】
図1図4に示すように、電子機器10は、第1筐体12A及び第2筐体12Bと、ヒンジ装置14と、ディスプレイ16とを備える。本実施形態の電子機器10は、本のように折り畳み可能なタブレット型PC或いはノート型PCを例示する。電子機器10は、スマートフォン又は携帯用ゲーム機等であってもよい。
【0012】
各筐体12A,12Bは、互いに隣接して配置されている。各筐体12A,12Bは、CPUを実装したマザーボード、バッテリ装置、アンテナモジュール、及び通信モジュール等の各種電子部品を適宜搭載している。
【0013】
第1筐体12Aは、フレーム部材17Aと、カバー部材18Aとを備える。フレーム部材17Aは、第2筐体12Bと隣接する隣接端部12Aa以外の3辺に立壁を形成した矩形の枠状部材である。カバー部材18Aは、フレーム部材17Aの裏面開口を閉じるプレート状部材である(図5も参照)。同様に、第2筐体12Bは、第1筐体12Aと隣接する隣接端部12Ba以外の3辺に立壁を形成したフレーム部材17Bと、フレーム部材17Bの裏面開口を閉じるカバー部材18Bとを備える。フレーム部材17A,17Bの表面開口は、ディスプレイ16で閉じられる。
【0014】
各部材17A,17B,18A,18Bは、例えばステンレスやマグネシウム、アルミニウム等の金属部材、或いは炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂板等で構成される。
【0015】
ヒンジ装置14は、筐体12A,12Bを0度姿勢と180度姿勢との間で相対的に回動可能に連結している。ヒンジ装置14は、図1に示す0度姿勢で形成される隣接端部12Aa,12Ba間の隙間を隠す背表紙としても機能する。ディスプレイ16は、筐体12A,12B間に亘って延在している。
【0016】
以下、電子機器10について、筐体12A,12Bの並び方向をX方向、これと直交する隣接端部12Aa,12Baに沿う方向をY方向、筐体12A,12Bの厚み方向をZ方向、と呼んで説明する。また、筐体12A,12B間の角度姿勢について、互いに面方向で重なるように積層された状態を0度姿勢(図1参照)と呼び、互いに面方向と垂直する方向(X方向)に並んだ状態を180度姿勢(図2及び図3参照)と呼んで説明する。0度と180度の間の姿勢は適宜角度を刻んで呼ぶことができ、例えば筐体12A,12Bの互いの面方向が直交した状態が90度姿勢となる。これらの角度は説明の便宜上のものであり、実際の製品では角度数字の示す正確な角度位置から多少ずれた角度位置となることも当然生じ得る。
【0017】
図5は、図3中のV-V線に沿う模式的な断面図である。図6は、図5に示す電子機器10を0度姿勢とした状態を示す模式的な断面図である。
【0018】
図1及び図6に示す0度姿勢において、筐体12A,12Bは、二つ折りに折り畳まれた状態となる。ディスプレイ16は、有機ELで形成されたタッチ操作可能なペーパー状のフレキシブルディスプレイである。0度姿勢時、ディスプレイ16は、図2に示す第1筐体12A側の領域R1と第2筐体12B側の領域R2とが対向するように配置され、領域R1,R2間の境界領域である折曲領域R3が円弧状に折り曲げられた状態となる。図2に示す180度姿勢において、筐体12A,12Bは、互いに左右に並んで配置される。この際、ディスプレイ16は、領域R1,R2及び折曲領域R3がXY平面上に並んで配置され、全体として1枚の平板形状を成す(図5も参照)。
【0019】
ディスプレイ16は、領域R1が第1筐体12Aに対して相対的に固定され、領域R2が第2筐体12Bに対して相対的に固定される。具体的には、領域R1の裏面16aが第1プレート20Aを介して第1筐体12Aと固定され、領域R2の裏面16aが第2プレート20Bを介して第2筐体12Bと固定される。第1プレート20Aは第1サポートプレート22Aと隣接し、第2プレート20Bは第2サポートプレート22Bと隣接している(図4及び図5参照)。
【0020】
図3図5に示すように、プレート20A,20Bは、ヒンジ装置14を間に挟むように左右に配置され、それぞれの表面20Aa,20Baでディスプレイ16の裏面16aを支持する。ディスプレイ16の裏面16aは、領域R1が第1プレート20Aの表面20Aaに粘着固定され、領域R2が第2プレート20Bの表面20Baに粘着固定される。
【0021】
プレート20A,20Bは、例えばベースプレート24と、金属フレーム25とで構成されている。ベースプレート24は、例えば炭素繊維にエポキシ樹脂等のマトリクス樹脂を含侵させた炭素繊維強化樹脂板である。金属フレーム25は、例えばマグネシウム合金等で形成され、ベースプレート24の裏面24aの外周縁部に固定されている。
【0022】
プレート20A,20Bは、炭素繊維強化樹脂で形成されているため、高い平面度の確保と、薄型化及び軽量化とが可能である。但し、炭素繊維強化樹脂は、炭素繊維が外周端面(エッジ)から粉吹き状に脱落する懸念があり、また、形状加工やねじ加工等も難しい。そこで、プレート20A,20Bは、それぞれの外周端面及び裏面24aの外縁部を囲むように金属フレーム25を設けている。プレート20A,20Bは、金属フレーム25に形成されたねじ穴26にねじ27を螺合させることで、筐体12A,12Bのフレーム部材17A,17Bと固定される。プレート20A,20Bは、炭素繊維強化樹脂ではなく、金属材料や樹脂材料で形成されてもよい。この場合、金属フレーム25は省略してもよい。
【0023】
ディスプレイ16の折曲領域R3は、筐体12A,12Bに対して相対移動可能である。180度姿勢時、折曲領域R3の裏面16aは、支持部品28及びサポートプレート22A,22Bで支持される(図4参照)。0度姿勢時、折曲領域R3は、円弧状に折り曲げられ、裏面16aの一部がサポートプレート22A,22Bで支持され、大部分はヒンジ装置14から離間する(図6参照)。
【0024】
図3図5に示すように、本実施形態のヒンジ装置14は、支持部品28と、第1リンクアーム30A及び第2リンクアーム30Bと、第1ブラケット31A及び第2ブラケット31Bとを有する。
【0025】
支持部品28は、筐体12A,12Bの隣接端部12Aa,12Baを跨ぐ位置に設けられ、隣接端部12Aa,12Baに沿ってY方向で略全長に亘って延在している。支持部品28は、アルミニウム等の金属材料で形成されたブロック状部品である。支持部品28には、180度姿勢でX方向に並ぶ2本のヒンジ軸14A,14Bが支持されている。支持部品28の表面は、180度姿勢時に折曲領域R3の裏面16aを支持する支持面28aとなる。支持面28aの幅方向(X方向)で中央には溝部28bが形成されている。溝部28bは支持部品28の長手方向(Y方向)の全長又は略全長に亘って延在する。溝部28bは、0度姿勢時に円弧状に折り曲げられた折曲領域R3を支持面28aが押し潰すことを防止するための逃げ部となる。
【0026】
第1ヒンジ軸14Aには、第1リンクアーム30Aの第1端部が軸周りに回転可能に支持されている。第2ヒンジ軸14Bには、第2リンクアーム30Bの第1端部が軸周りに回転可能に支持されている。リンクアーム30A,30Bは、ヒンジ軸14A,14Bから離間する方向に向かって次第に筐体12A,12Bの内面12Ab,12Bbに近接するブーメラン状の湾曲形状を有する。
【0027】
第1リンクアーム30Aの第2端部は、第1ブラケット31Aに対して回転軸34を用いて相対回転可能に連結されている。第1ブラケット31Aは、ねじ27等を用いて第1筐体12Aの内面12Abに固定されている。第2リンクアーム30Bの第2端部は、第2ブラケット31Bに対して回転軸35を用いて相対回転可能に連結されている。第2ブラケット31Bは、ねじ27等を用いて第2筐体12Bの内面12Bbに固定されている。
【0028】
リンクアーム30A,30B及びブラケット31A,31Bは、支持部品28の長手方向であるY方向に沿って複数並ぶように設けられている(図4参照)。これにより支持部品28は、筐体12A,12B間を相対的に回動可能に連結している。支持部品28内には、筐体12A,12B間の回動動作を同期させるギヤ機構や、筐体12A,12B間の回動動作に所定の回動トルクを付与するトルク機構等も設けられている。図1及び図4に示すように、支持部品28の裏面には、化粧カバーとなる背表紙部品36が取り付けられている。支持部品28の支持面28aには、リンクアーム30A,30Bの一部が露出し、さらに、上記したギヤ機構やトルク機構等を固定するための複数のねじ28cの頭部等も露出している(図4参照)。
【0029】
図5に示す180度姿勢時、支持部品28は、支持面28aでディスプレイ16の折曲領域R3の裏面16aを支持する。この際、支持部品28は、筐体12A,12B内に収納され、互いに近接又は当接した隣接端部12Aa,12BaをX方向に跨いだ配置となる。図6に示す0度姿勢時、支持部品28は、大きく離間した隣接端部12Aa,12Ba間の隙間を塞ぐように配置され、本のように折り畳まれた電子機器10の背表紙となる。この際、背表紙部品36が最外面に露出することで、折り畳まれた電子機器10の外観意匠が低下することを防止している(図1参照)。また支持面28aは溝部28bが円弧状に折り曲げられた折曲領域R3に対向し、折曲領域R3を押し潰すことが抑制される。
【0030】
サポートプレート22A,22Bは、アルミニウム等の金属材料で形成されたプレートであり、左右対称形状である。サポートプレート22A,22Bは、筐体12A,12Bの内面12Ab,12Bb側に設けられ、隣接端部12Aa,12Baに沿ってY方向で略全長に亘って延在している。
【0031】
第1サポートプレート22Aは、第1プレート20Aと支持部品28との間に配置される。第1サポートプレート22Aは、第1プレート20A側の縁部22Aaが第1ブラケット31Aに対して回転軸38を介して相対回転可能に連結されている。第1サポートプレート22Aは、支持部品28側の縁部22Abが支持部品28に対して相対移動可能である。
【0032】
第2サポートプレート22Bは、第2プレート20Bと支持部品28との間に配置される。第2サポートプレート22Bは、第2プレート20B側の縁部22Baが第2ブラケット31Bに対して回転軸39を介して相対回転可能に連結されている。第2サポートプレート22Bは、支持部品28側の縁部22Bbが支持部品28に対して相対移動可能である。
【0033】
サポートプレート22A,22Bは、筐体12A,12Bの回動動作に応じて、回転軸38,39を回転中心として揺動する可動部品である。180度姿勢時、第1サポートプレート22Aは、その表面である第1表面22Acによってディスプレイ16の折曲領域R3の裏面16aを支持する。第2サポートプレート22Bは、その表面である第2表面22Bcによってディスプレイ16の折曲領域R3の裏面16aを支持する。180度以外の角度姿勢では、サポートプレート22A,22Bは、ディスプレイ16との間に隙間を設けた状態、又はディスプレイ16を変形させない程度の僅かな力でディスプレイ16に接触する(図6参照)。サポートプレート22A,22Bは、180度以外の角度姿勢でもディスプレイ16の折曲領域R3を支持し、その形状を矯正する構成としてもよい。このように、サポートプレート22A,22Bは、180度姿勢時にはディスプレイ16の折曲領域R3を平面で安定して支持する一方、折曲領域R3の折曲動作を阻害することはない。
【0034】
図4及び図5に示す180度姿勢時、プレート20A,20Bのサポートプレート22A,22B側の縁部と、サポートプレート22A,22Bの縁部22Aa,22Baとは、段差なく1枚の平面を形成する。同様に、サポートプレート22A,22Bの縁部22Ab,22Bbと、支持部品28との間も、段差なく1枚の平面を形成する。これにより180度姿勢時、電子機器10は、1枚の平板状の大画面を形成するディスプレイ16の裏面16aを略1枚の平板で支持した構成となる。このため、ディスプレイ16の湾曲、波打ち、視認不良、又は表示不良等の製品不良が抑制される。
【0035】
図3及び図4中の参照符号44は、プレート20A,20Bのサポートプレート22A,22B側の縁部から突出したスロープ部材である。スロープ部材44は、180度姿勢から0度姿勢に向かう回動時にディスプレイ16の裏面16aに摺動し、折曲領域R3を回動角度に応じた適切な形状(直線形状や湾曲形状)に矯正することを補助する部材である。各サポートプレート22A,22Bの縁部22Ab,22Bbには、180度姿勢時にスロープ部材44が干渉することを回避するための凹状の切欠部が形成されている。スロープ部材44は省略されてもよい。
【0036】
ところで、本実施形態のディスプレイ16はタッチ操作式のペーパー状のフレキシブルディスプレイである。180度姿勢時、折曲領域R3の裏面16aは、支持部品28の支持面28a及びサポートプレート22A,22Bの表面22Ac,22Bcで支持される。ところが、支持面28aには溝部28bによる段差が形成され、さらにねじ28c等による段差も各所に形成されている。このためディスプレイ16へのタッチ操作時、ユーザはディスプレイ16の裏側にある支持面28a上の段差をペンや指先を通して感じることがあり、操作感が低下する。特に溝部28bは、支持面28aの幅方向中央でその長手方向の略全長に亘って延在している。このため、例えば折曲領域R3をX方向になぞるようなタッチ操作時、ユーザは溝部28bによる段差をダイレクトに受け取ってしまう可能性がある。
【0037】
なお、仮にディスプレイ16をタッチパネル式でない構成とした場合であっても、支持面28a上の段差が可能な限りディスプレイ16に影響を及ぼさないことが望まれる。フレキシブルディスプレイであるディスプレイ16は薄く衝撃等に弱い。このため、例えば折曲領域R3が表示面側から強い衝撃を受けた際、その直下に段差があると、ディスプレイ16が不具合を生じる可能性が高めるためである。
【0038】
そこで、次に、支持面28aに形成された段差の影響がディスプレイ16に伝達されることを抑え、ディスプレイ16をより安定して支持するための構成について説明する。
【0039】
図3図6に示すように、電子機器10は、ディスプレイ16と支持面28a及び表面22Ac,22Bcとの間に第1シート状部材46A及び第2シート状部材46Bを備える。図4は、図3からシート状部材46A,46Bの図示を省略した図である。
【0040】
シート状部材46A,46Bは、それぞれ支持部品28の長手方向(Y方向)に沿って延在する帯状のシートである。第1シート状部材46Aは第1表面22Ac及び支持面28aのX方向で第1筐体12A側の略半分を覆う。第2シート状部材46Bは第2表面22Bc及び支持面28aのX方向で第2筐体12B側の略半分を覆う。シート状部材46A,46Bは、180度姿勢時にディスプレイ16の裏面16aと、支持面28a及び表面22Ac,22Bcとの間に挟まれる。これによりシート状部材46A,46Bは、支持面28aに形成された段差及び表面22Ac,22Bcに形成された段差がディスプレイ16に直接的に伝達されることを抑制する。
【0041】
電子機器10は筐体12A,12B間が回動するため、シート状部材46A,46Bは可撓性を有し、この回動に伴って柔軟に変形することができる。シート状部材46A,46Bは筐体12A,12B間が回動した際に塑性変形することを防止するため、弾性を有することが好ましい。シート状部材46A,46Bの材質は樹脂又は金属を例示できる。但し、シート状部材46A,46Bは支持面28a等の段差がディスプレイ16に伝達されることを効果的に防止するため、樹脂よりも硬質な金属シートであることが好ましい。本実施形態のシート状部材46A,46Bはステンレスシートである。ステンレスの種類は問わないが、例えばSUS301EH又はSUS301Hを用いることができる。
【0042】
シート状部材46A,46Bはディスプレイ16と支持面28a及び表面22Ac,22Bcとの間に介在する。このためシート状部材46A,46B自体が段差を形成することを防止するため、極めて薄い必要がある。そこで、シート状部材46A,46Bの厚みは、例えば0.2mm以下とすることが好ましい。一方、シート状部材46A,46Bは溝部28b等の段差がディスプレイ16に伝わることを防止する必要があるため、ある程度の厚みは必要である。そこで、本実施形態ではシート状部材46A,46Bの厚みは0.05mmとしている。
【0043】
図5に示すように、第1シート状部材46Aは、支持面28aの幅方向(X方向)で略中央から第1サポートプレート22Aの第1表面22Acまでを覆う。第1シート状部材46Aは、幅方向での一縁部46Aaが折曲領域R3と支持面28aとの間に配置され、その端面46Abが溝部28bの開口の幅方向で略中央に配置される。第1シート状部材46Aの他縁部46Acは第1表面22Acに固定される。
【0044】
第2シート状部材46bは、支持面28aの幅方向で略中央から第2サポートプレート22Bの第2表面22Bcまでを覆う。第2シート状部材46Bは、幅方向での一縁部46Baが折曲領域R3と支持面28aとの間に配置され、その端面46Bbが溝部28bの開口の幅方向で略中央に配置される。第2シート状部材46Bの他縁部46Bcは第2表面22Bcに固定される。
【0045】
シート状部材46A,46Bの表面22Ac,22Bcへの固定は、例えば接着剤48を用いることができる。接着剤48の塗布範囲は限定されないが、表面22Ac,22Bcに露出したリンクアーム30A,30B等の機構部品を避けた位置とするとよい(図3参照)。接着剤48は両面粘着テープ等で代用してもよい。
【0046】
シート状部材46A,46Bは、互いの一縁部46Aa,46Ba同士が対向する。具体的には、180度姿勢において、シート状部材46A,46Bは互いの端面46Ab,46Bb同士が対向する。この際、端面46Ab,46Bb間には所定の隙間Cが形成されることが好ましい。隙間Cは、例えば0.5mm程度である。隙間Cを設けることで、180度姿勢時にシート状部材46A,46Bの一縁部46Aa,46Ba同士がラップして段差となることを防止できる。さらに隙間Cにより、180度姿勢時にシート状部材46A,46Bの端面46Ab,46Bbが突き合って上方に盛り上がり、ディスプレイ16の裏面16aを押圧することも抑制できる。これによりシート状部材46A,46Bによってディスプレイ16にしわや波打ちを形成することを抑制できる。
【0047】
0度姿勢において、シート状部材46A,46Bは互いの一縁部46Aa,46Baがそれぞれ溝部28bに挿入された状態で互いの端面46Ab,46Bbが対向する。これによりシート状部材46A,46Bは円弧状に折り曲げられた折曲領域R3を押し潰すことが抑制される。また0度姿勢時の一縁部46Aa,46Baの位置が定められるため、その後180度姿勢に回動された際、円滑に元の位置に復帰する。シート状部材46A,46Bは、0度姿勢時にそれぞれの端面46Ab,46Bbが溝部28bの底面に接触することが好ましい。そうすると0度姿勢時に各シート状部材46A,46Bの端面46Ab,46Bbの位置が規制されるため、その後180度姿勢に回動された際、より円滑に元の位置に復帰する。
【0048】
以上のように、本実施形態の電子機器10は、可撓性を有し、支持部品28の長手方向に沿って延在すると共に、これに直交する幅方向での一縁部46Aa,46Baが折曲領域R3と支持面28aとの間に配置され、他縁部46Ac,46Bcが支持部品28と並ぶ可動部品の表面22Ac,22Bcに固定されたシート状部材46A,46Bを備える。
【0049】
従って、電子機器10は、ディスプレイ16の裏面16aを支持する支持面28aの段差がディスプレイ16にダイレクトに伝達されることをシート状部材46A,46Bによって防止できる。その結果、折り曲げされるディスプレイ16を安定して支持することができる。すなわち、電子機器10はディスプレイ16のタッチ操作時に支持面28aの段差によってユーザが受ける違和感をシート状部材46A,46Bが抑制するため、タッチ操作感が向上する。また、ディスプレイ16の表示面側に衝撃が加えられた際にもシート状部材46A,46Bがディスプレイ16と段差との間で衝撃を吸収するため、ディスプレイ16の不具合も抑制できる。
【0050】
特に、シート状部材46A,46Bは可撓性を有し、支持部品28の側部に並ぶ可動部品、上記ではサポートプレート22A,22Bに他縁部46Ac,46Bcが固定され、一縁部46Aa,46Baが支持面28aとディスプレイ16との間に介在する。これによりシート状部材46A,46Bは筐体12A,12B間の回動に伴って柔軟に変形し、また支持部品28と可動部品との間の相対移動を阻害することもないため、筐体12A,12Bの回動が妨げられることがない。さらにシート状部材46A,46Bが表面22Ac,22Bcも覆うことで、可動部品であるサポートプレート22A,22Bと支持部品28との間の隙間に起因する段差も覆うことができる。
【0051】
特に当該電子機器10は、0度姿勢時に円弧状に折り曲げられた折曲領域R3を逃げるための溝部28bを支持面28aに有する。溝部28bは支持面28aの長手方向に沿って延在するため、タッチ操作時に特にユーザに違和感を与える可能性が高い。この点についても、シート状部材46A,46Bはそれぞれの一縁部46Aa,46Baが溝部28bの一部を覆うように配置されることで、溝部28bによる段差がディスプレイ16にダイレクトに伝達されることを効果的に抑制できる。
【0052】
この際、上記したように、180度姿勢時にシート状部材46A,46Bの端面46Ab,46Bb間は所定の隙間Cを介して近接することが好ましい。例えば隙間Cを0.5mm程度の幅狭に設定することで、シート状部材46A,46B同士の重なりや衝突を抑制しつつ、溝部28bの段差がユーザに伝達されることを有効に抑えることができるためである。
【0053】
図7は、変形例に係る電子機器50を180度姿勢とした状態での模式的な側面断面図である。図7に示す電子機器50において、図1図6に示す電子機器10と同一又は同様な機能及び効果を奏する要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0054】
図7に示す電子機器50は、上記した電子機器10と比べてサポートプレート22A,22Bを持たず、代わりにシート状部材46A,46Bをプレート20A,20Bに固定した点が異なる。すなわち電子機器50はプレート20A,20Bが支持部品28の側部まで延出されることで、支持面28aの側部にそれぞれ表面20Aa,20Baが並んで配置される。電子機器50において、第1シート状部材46Aの他縁部46Acは第1プレート20Aの表面20Aaに固定され、第2シート状部材46Bの他縁部46Bcは第2プレート20Bの表面20Baに固定される。他縁部46Ac,46Bcの表面20Aa,20Baへの固定も接着剤48を用いればよい。
【0055】
この場合、電子機器50ではプレート20A,20Bが支持部品28に対して相対移動する可動部品となる。そこで電子機器50はシート状部材46A,46Bをプレート20A,20Bに固定し、その一縁部46Aa,46Baで支持面28aを覆うように構成している。これにより電子機器50においても、支持面28aの段差の影響がディスプレイ16に伝達されることを抑えつつ、筐体12A,12B間の円滑な回動を確保している。
【0056】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【0057】
上記では、本のように二つ折りに折り畳み可能な電子機器10,50を例示したが、本発明は、同形の筐体同士を二つ折りに折り畳む構成以外、例えば大形の筐体の左右縁部にそれぞれ小形の筐体を折り畳み可能に連結した観音開きの構成、1つの筐体の左右縁部にそれぞれ折り畳み方向の異なる筐体を連結したS型の折り畳み構成、大形の筐体の左右一方の縁部に小形の筐体を折り畳み可能に連結したJ型の折り畳み構成等、各種構成に適用可能であり、筐体の連結数は4以上としてもよい。
【符号の説明】
【0058】
10,50 電子機器
12A 第1筐体
12B 第2筐体
14 ヒンジ装置
16 ディスプレイ
20A 第1プレート
20B 第2プレート
22A 第1サポートプレート
22B 第2サポートプレート
28 支持部品
28a 支持面
28b 溝部
46A 第1シート状部材
46B 第2シート状部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7