(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179260
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】暖房装置
(51)【国際特許分類】
F24H 3/06 20220101AFI20241219BHJP
F24H 3/10 20220101ALI20241219BHJP
【FI】
F24H3/06 302
F24H3/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097970
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】小林 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】河井 利宏
(57)【要約】
【課題】温風感を損なうことなく熱交換効率を向上できる暖房装置を提供する。
【解決手段】バーナ部23による燃焼ガスが通過する筒状の外筒24と、外筒24を通過した燃焼ガスの流れを折り返す排気室25と、排気室25を通過した燃焼ガスが通過する熱交換器27と、室内空気を吸い込んで外筒24および熱交換器27に送風する対流ファン31と、外筒24の外周面に立設した放熱板60とを備え、放熱板60は、外筒24に接続する接合部60aを備え、外筒24の外周面のうち熱交換器27側の面を熱交側側面24bとすると、接合部60aは、熱交側側面24bに設けられ、放熱板60は熱交側側面から対流ファン側側面24aにかけて立設して設けた。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼を行うバーナ部と、
前記バーナ部による燃焼ガスが通過する筒状の外筒と、
前記外筒を通過した燃焼ガスの流れを折り返す排気室と、
前記排気室を通過した燃焼ガスが通過する熱交換器と、
室内空気を吸い込んで前記外筒および前記熱交換器に送風する対流ファンと、
前記外筒の外周面に立設した放熱板と、
を備え、
前記放熱板は、前記外筒に接続する接合部を備え、
前記外筒の外周面のうち前記熱交換器側の面を熱交側側面とすると、
前記接合部は、前記熱交側側面に設けられ、
前記放熱板は前記熱交側側面から前記対流ファン側の面にかけて立設して設けた
ことを特徴とする暖房装置。
【請求項2】
前記接合部は、1枚の前記放熱板に1か所のみとした
ことを特徴とする請求項1に記載した暖房装置。
【請求項3】
前記放熱板は、送風方向に対して傾斜して設け、
前記放熱板を複数備え、
前記放熱板のそれぞれは、送風方向正面視で互いに重ならないように設けた
ことを特徴とする請求項1または2に記載した暖房装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は暖房装置に関し、特に、燃焼ガスと室内空気とを熱交換して暖房を行う温風暖房機の熱効率向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の暖房装置は、バーナ部で発生した燃焼ガスを、外筒を通過して排気室にて流路方向を折り返し、外筒と平行に並ぶ熱交換器に送り、その後、排気口を通過して排気部から器具外に排出されるように構成されており、対流ファンで吸い込んだ室内空気を外筒および熱交換器に送風することで、室内空気と燃焼ガスとを熱交換して暖房を行うものであった。
【0003】
例えば、特許文献1の熱交換器には、偏平筒状の熱交換器が備えられ、この熱交換器には複数の凹部を配列して、内方に複数の蛇行路を形成されており、熱交換器の表面積を増し、燃焼ガスの流速を減速させて熱交換が促進されるように構成されたものが示されている。
また、対流ファンで吸い込んだ室内空気は、外筒および熱交換器に送風することで、室内空気と燃焼ガスとを熱交換する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この従来のものは、外筒からもそして熱交換器からも一定程度離れた空間S1(
図5)があり、送風ファンが送風した室内空気のうち、この空間S1を通過した室内空気は、外筒とも熱交換器とも十分に熱交換せず、器具内を通過して吹出口へ抜けてしまい、熱交換に寄与しないものであった。
対流ファンが送風する室内空気と熱交換を行う方法としては、外筒の外周に互いの間隔が狭い複数のフィン状の放熱板(図示せず)を設け、この放熱板同士の間隔を適度に狭くして熱効率を高める案があるが、狭くしすぎて逆に温風の風路が塞がれ、温風暖房としての温風感が損なわれる懸念があり、改善の余地があった。
【0006】
本発明はかかる背景を鑑みてなされたものであり、外筒と熱交換器の間の空間を通過する空気を熱交換に寄与させ、温風感を損なうことなく、熱交換効率を向上できる暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するためになされたものであり、請求項1では、燃焼を行うバーナ部と、前記バーナ部による燃焼ガスが通過する筒状の外筒と、前記外筒を通過した燃焼ガスの流れを折り返す排気室と、前記排気室を通過した燃焼ガスが通過する熱交換器と、室内空気を吸い込んで前記外筒および前記熱交換器に送風する対流ファンと、前記外筒の外周面に立設した放熱板と、を備え、前記放熱板は、前記外筒に接続する接合部を備え、前記外筒の外周面のうち前記熱交換器側の面を熱交側側面とすると、前記接合部は、前記熱交側側面に設けられ、前記放熱板は前記熱交側側面から前記対流ファン側の面にかけて立設して設けたことを特徴とした。
【0008】
請求項2では、前記接合部は、1枚の前記放熱板に1か所のみとしたことを特徴とした。
【0009】
請求項3では、前記放熱板は、送風方向に対して傾斜して設け、前記放熱板を複数備え、前記放熱板のそれぞれは、送風方向正面視で互いに重ならないように設けたことを特徴とした。
【発明の効果】
【0010】
この本発明によれば、温風感を損なうことなく熱交換効率を向上できる暖房装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】本発明の第1の実施形態の暖房装置の一部の部品を外した状態の正面図
【
図3】本発明の第1の実施形態の暖房装置の外筒と熱交換器の断面図
【
図4】本発明の第1の実施形態の暖房装置の放熱板の斜視図
【
図5】従来技術の暖房装置の外筒と熱交換器の断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明にかかる第1の実施形態を
図1から
図4を参照して説明する。
【0013】
1は温風暖房機本体で、前面略中央に温風を吹き出す吹き出し口2を設けるとともに、前面上部に運転スイッチ3や温度設定スイッチ4等の複数のボタンと温度や時間を表示する表示部5とが一体となった操作・表示ユニット6が設けられ、また、背面には屋外の空気を温風暖房機に給気するための給気部(図示せず)と温風暖房機の排気ガスを屋外に排気するための排気部(図示せず)とからなる給排気筒(図示せず)を接続する排気管7と、給気管8が設けられているもので、置台9と、前面略中央に温風を吹き出す吹き出し口2を設けた前面パネル10と、右側面板11と、左側面板12と、天板13と、背面板14とから構成されているものである。
【0014】
15は燃料供給部で、屋外等に設置されているメインタンク(図示せず)から供給される燃油を所定量貯油するレベラタンク17と、該レベラタンク17の上部にレベラタンク17内の燃油を送油する燃料供給手段である燃料ポンプ18と、メインタンクからの燃油をレベラタンク17に汲み上げる汲み上げポンプ19とが設けられる。
置台9の左側には遮熱板16により熱的に保護されたプリント基板からなる制御部20が取り付けられている。
【0015】
21は燃焼部で、燃料ポンプ18から送られてきた灯油と燃焼用送風機22から送られてくる燃焼用空気とにより燃焼をする横向きのバーナ部23と、該バーナ部23の左側に接続され、燃焼ガスを排気ガスとして導く外筒24とからなるものである。
【0016】
25は後述する熱交換器群26の排気室で、下部右側に外筒24の下流端が取り付けられ、内部には外筒24から流入する排気ガスを迂回させて通過させるための仕切板(図示せず)を設けたものである。
【0017】
26は熱交換器群で、排気室25の上部右側に設けられ、3個の偏平筒状の熱交換器27の各熱交換器27の一端が排気室25に接続されるとともに、熱交換器27の偏平筒状の断面の短辺側が温風暖房機本体1の前後方向に、長辺側が略上下方向になるように、3固上下に並列に配置されている。
【0018】
熱交換器27は、両端に偏平筒状の断面形状と同じ形状で排気室25と連通する入口と後述する排気集合室29と連通する出口とが開口され、一対の長手面部と一対の短手面部とを有した偏平筒状の筒体を備え、一対の長手面部の双方に熱交換器27の外側から内側に陥没する複数の凹部28を千鳥足状に配列し、内方中央で当接させて設けられている。
【0019】
熱交換器27の表面にこの凹部28を多数設けることによって、熱交換器27の表面積を増すことができ、熱交換器27内を通過する燃焼ガスとプロペラファンタイプの対流ファン31から送風される室内空気とが熱交換されるものである。
【0020】
この熱交換器27は、プレス成型した長手面部を有する上板と、長手面部を有する下板とを向き合わせ、短手面部の中央部でカシメにより接合して形成したものである。
【0021】
また、各熱交換器27の前側が後側よりも外筒24側へ近づくように前方下部側にかけて傾斜して設けられており、本実施形態では約15度の角度で斜めに設けられているものである。
【0022】
29は熱交換器27の右側に備えられ各熱交換器27を流通した後の排気ガスを再び集合させる排気集合室であり、内方には各熱交換器27からの排気ガスが衝突する1枚板から成る整流板(図示せず)が備えられ、屋外と連通している給排気筒の排気管7と接続され、各熱交換器27内を通過した排気ガスを排気管7に案内する排気口30が設けられている。
これにより、排気室25内を通過し、熱交換器群26の各熱交換器27に流入して内部を通過し、排気集合室29から排気口30を通過して給排気筒の排気部へと流れて屋外に排気されていくものである。
【0023】
本発明では、外筒24と熱交換器27の間のデッドスペースとなっている空間S1に着目し、この空間S1に熱交換を行うための複数の放熱板60を外筒24に設け、放熱板60と外筒24の接合部60aは、プロペラファンタイプの対流ファン31の軸部31aの正面となる外筒24の熱交換器側の面(24b)に設けた。
【0024】
より詳しくは、外筒24の外周面に立設した放熱板60を備え、この放熱板60は外筒24に接続するための脚部である接合部60aを備え、外筒24の外周面のうち対流ファン側の面を対流ファン側側面24a、熱交換器27側の面を熱交側側面24bとすると、接合部60aは熱交側側面24bにスポット溶接等で接合して設けたものである。
また、放熱板60は熱交側側面24bから対流ファン側側面24aにかけて立設して設け、接合部60aは1枚の放熱板に1か所のみとした。
また、放熱板60は、対流ファン31の送風方向に対して傾斜して設け、放熱板60のそれぞれは、送風方向正面視で互いに重ならないように設けたものである。
【0025】
また、それぞれの放熱板60の傾斜の向きは、すべて同じ向きで、対流ファン31の送風方向に対して左向きに30度傾けて配置した。なお、放熱板60の傾斜の向きを左向きと右向きとを混在させた場合は、放熱板60同士の間隔が狭くなった部分で、温風の風路が狭くなり、温風暖房としての温風感が損なわれる懸念があるため、放熱板60の傾斜の向きをすべて同じ方向であれば、傾斜の向きは右向きとしてもよいものである。
【0026】
次に、第1の実施形態における作用について説明する。
【0027】
まずバーナ部23に内蔵されているヒータ(図示せず)に通電してバーナ部23が所定の温度に上昇すると、燃料供給手段である燃料ポンプ18から燃油がバーナ部23に送られて気化し、またバーナ部23に燃焼用送風機22から燃焼用空気が送られ、気化した燃油と燃焼用空気が混合され、点火装置43により着火されて燃焼を開始する。
【0028】
燃焼ガスは排気ガスとしてバーナ部23から外筒24内を通過し、排気室25内の排気遮熱板(図示せず)に案内されて排気室25内を迂回して通過し、熱交換器群26の各熱交換器27に流入して内部を通過し、排気集合室29から排気口30を通過して給排気筒の排気部へと流れて屋外に排気されていくものである。
【0029】
また、バーナ部23で燃焼が開始されると温風暖房機本体1の背面に設けられた対流ファン31が駆動されて、室内の空気を温風暖房機本体1内に給気し、その給気された室内空気は、対流ファン31から前方に送風され、外筒24および熱交換器群26の各熱交換器27の外周、複数の放熱板60の間を通過して熱交換して加熱された後、温風暖房機本体1前面の吹き出し口2から室内に温風として吹き出すものである。
【0030】
このとき、外筒24の熱交換器27側の面である熱交側側面24bがバーナ部23の火炎の熱に曝されていることに加え、熱交側側面24bが対流ファン31の軸部31aの正面に位置し対流ファン31からの風速が小さく、対流ファン側側面24aは対流ファン31の翼部31bに近いため、熱交側側面24bより風速が大きく、このことから、外筒24の対流ファン側側面24aより熱交側側面24bは高温になっている。
【0031】
なお、外筒24を縦向きとした構成でも、熱交側側面24bが対流ファン31の軸部31aの正面に位置し対流ファン31からの風速が小さく、対流ファン側側面24aは対流ファン31の翼部31bに近いため、熱交側側面24bより風速が大きく、このことから、外筒24の対流ファン側側面24aより熱交側側面24bは高温になっているのである。
【0032】
そして、熱交換器27のうち最も外筒24側に位置する熱交換器27と外筒24との間には、対流ファン31による室内空気が通過するための隙間があり、この隙間を通過する空気は吹き出し口2から器具外へ送風される。
【0033】
従来技術では、対流ファン31による送風空気が外筒24と熱交換器27との間の隙間を流れる空気のうち、
図5に示すように、外筒24の上面側を通過する空気(矢印F1)は、外筒24の上部の表面からの放熱を受けて加熱されて下流側に流れるものであり、一方、熱交換器27の下側近傍を通過する空気(矢印F2)は、熱交換器27の表面からの放熱を受けて加熱されて下流側に流れるものである。
他方、矢印F1と矢印F2の中間を流れる空気(矢印F3)は、空間S1を通過し、外筒24からも熱交換器27からも少し離れており、十分に加温されずに下流側に流れていたものである。
【0034】
本発明では、外筒24と熱交換器27の間のデッドスペースとなっている空間に着目し、この空間に熱交換を行うための放熱板60を外筒24に備え、外筒24と放熱板60の接合部60aは外筒24の熱交側側面24bに設けつつ、外筒24の熱交側側面24bから対流ファン側側面24aにかけて立設して設けた。
【0035】
これにより、外筒24の外周のより高温の部位から放熱板60に熱を伝熱させつつ、対流ファン31からの冷たい室内空気が流通する送風方向で上流の領域に放熱板60を配置したので、熱交換をより促進させことができるものである。
【0036】
さらに、放熱板60の外筒24との接合部60aは、外筒24の熱交側側面24bに1点のみ設けたので、点火および消火時に放熱板60と外筒24の熱膨張の違いによる軋み音の発生を抑制できる。
【0037】
さらに、複数の放熱板60のそれぞれは、送風方向に対して傾斜して設けたので、対流ファン31の送風空気が放熱板60の対流ファン31側を向いた面に満遍なく当たり、さらに、送風方向正面視で互いに重ならないように設けたので、対流ファン31から吹き出し口2へ流れる送風空気の風速を落すことなく、したがって温風暖房機としての温風感を落とすことなく、熱交率を向上できるものである。
【0038】
なお、本実施形態では、バーナ部23および外筒24が横向きの場合について説明したが、縦向きでも良いものである。
【0039】
なお、本実施形態で用いたその他の構成は一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図しておらず、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0040】
23 :バーナ部
24 :外筒
24a :対流ファン側側面(対流ファン側の面)
24b :熱交側側面
25 :排気室
27 :熱交換器
31 :対流ファン
60 :放熱板
60a :接合部