IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社アドマテックスの特許一覧

特開2024-179265高純度アルミナ粒子及びその製造方法、並びに電子機器用樹脂組成物及びその製造方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179265
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】高純度アルミナ粒子及びその製造方法、並びに電子機器用樹脂組成物及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C01F 7/422 20220101AFI20241219BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20241219BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
C01F7/422
C08L101/00
C08K3/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097978
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】501402730
【氏名又は名称】株式会社アドマテックス
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 友祐
【テーマコード(参考)】
4G076
4J002
【Fターム(参考)】
4G076AA02
4G076AB16
4G076BA09
4G076BE20
4G076CA03
4G076CA36
4G076CA37
4G076DA02
4J002AA001
4J002AC061
4J002AC081
4J002BB031
4J002BB121
4J002BC031
4J002BD041
4J002BD121
4J002BK001
4J002CC031
4J002CC161
4J002CD041
4J002CD051
4J002CD061
4J002CF061
4J002CH071
4J002CM041
4J002CP031
4J002DE146
4J002FD016
4J002GQ05
(57)【要約】
【課題】金属アルミニウムに由来するアルミナ粒子に残存する不純物量の低減を図るとともに、金属状態のアルミニウム量自体も低減して純度を高めた高純度アルミナ粒子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】金属アルミニウムに由来するアルミナ粒子中のウラン元素の含有量が5ppb以下、トリウム元素の含有量が5ppb以下、金属アルミニウムの含有量が5ppm以下、ナトリウムの含有量が10ppm以下、鉄の含有量が10ppm以下であり、金属アルミニウムの粉末を火炎中に投入して気化、酸化させ、冷却時の表面張力による球状化を通じて球状アルミナ粒子とし、球状アルミナ粒子を塩基性溶液に投入して粒子内に残留する金属状態のアルミニウムを溶解し、球状アルミナ粒子を乾燥する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属アルミニウムに由来するアルミナ粒子であって、
前記アルミナ粒子中のウラン元素の含有量が5ppb以下であり、
前記アルミナ粒子中のトリウム元素の含有量が5ppb以下であり、
前記アルミナ粒子中の金属アルミニウムの含有量が5ppm以下であり、
前記アルミナ粒子中のナトリウムの含有量が10ppm以下であり、
前記アルミナ粒子中の鉄の含有量が10ppm以下である
ことを特徴とする高純度アルミナ粒子。
【請求項2】
原料となる前記金属アルミニウムに由来する粒径20μm以上のアルミニウム粒子の残留量が、前記アルミナ粒子50gにおいて10個以下である請求項1に記載の高純度アルミナ粒子。
【請求項3】
請求項1に記載の高純度アルミナ粒子と、樹脂組成物とを有する
ことを特徴とする電子機器用樹脂組成物。
【請求項4】
請求項1に記載の高純度アルミナ粒子の製造方法であって、
金属アルミニウムの粉末を火炎中に投入して気化、酸化させ、冷却時の表面張力による球状化を通じて球状アルミナ粒子を得る粒子化工程と、
前記球状アルミナ粒子を塩基性溶液に投入して前記球状アルミナ粒子内に残留する金属状態のアルミニウムを溶解する溶解工程と、
前記球状アルミナ粒子を乾燥する乾燥工程と、を備える
ことを特徴とする高純度アルミナ粒子の製造方法。
【請求項5】
前記塩基性溶液が、アミン系化合物の水溶液である請求項4に記載の高純度アルミナ粒子の製造方法。
【請求項6】
前記溶解工程において、前記球状アルミナ粒子をpHが9以上であり20ないし60℃の液温の前記塩基性溶液に溶解して前記球状アルミナ粒子内に残留する金属状態のアルミニウムを溶解する請求項4に記載の高純度アルミナ粒子の製造方法。
【請求項7】
前記溶解工程において、前記球状アルミナ粒子の篩別が行われる請求項4に記載の高純度アルミナ粒子の製造方法。
【請求項8】
前記乾燥工程の前に、前記球状アルミナ粒子を洗浄する洗浄工程が加えられる請求項4に記載の高純度アルミナ粒子の製造方法。
【請求項9】
請求項3に記載の電子機器用樹脂組成物の製造方法であって、
金属アルミニウムの粉末を火炎中に投入して気化、酸化させ、冷却時の表面張力による球状化を通じて球状アルミナ粒子を得る粒子化工程と、
前記球状アルミナ粒子をpHが9以上であり20ないし60℃の液温の塩基性溶液に投入して前記球状アルミナ粒子内に残留する金属状態のアルミニウムを溶解する溶解工程と、
前記球状アルミナ粒子を乾燥する乾燥工程と、
前記乾燥工程を経た前記球状アルミナ粒子を樹脂組成物に分散して樹脂分散物を得る樹脂分散工程と、を備える
ことを特徴とする電子機器用樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は高純度アルミナ粒子及びその製造方法、並びに高純度アルミナ粒子を含有する電子機器用樹脂組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体等の精密電子部品を封止する封止材には、樹脂組成物に無機性材料のフィラーが添加される。フィラーには絶縁性、熱膨張係数の低さの性質が求められる。一般に、アルミナ(酸化アルミニウム)等が多用されている。
【0003】
アルミナは天然の高純度の鉱石を所定の粒子径に粉砕してフィラーに加工される。つまり、たとえ高純度であるとしても、天然の鉱石に由来するため、酸化アルミニウム以外の不純物の存在が不可避である。特に、天然物由来のアルミナの場合、ウラン元素、トリウム元素が存在する。半導体の処理速度の向上を目指して、加工精度、集積化がさらに促進している。そのため、半導体が外部から受ける電磁気的なノイズの影響が今まで以上に問題視されている。天然物由来のアルミナの場合、ウラン元素及びトリウム元素の放射性壊変によりアルファ線等が生じることが知られており、誤作動を引き起こす原因と考えられている。
【0004】
そこで、出来上がるフィラー等に含有される不純物の低減目的から、粉砕と火炎への曝露を組み合わせた製造方法が提案されている(特許文献1参照)。さらに、特許文献1等の製造方法に改良を加えるべく、アルミニウム等の金属状態の原材料から酸化物に加工した後、不純物アルミニウムを塩基性溶液に溶解する製造方法が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
従前の製造方法を通じて、不純物成分の低減は大きく前進した。ただし、アルミニウム等の両性金属元素の塩基性溶液への溶解は容易ではなかった。特に、アルミニウムの場合、金属状態の純度によっては、金属表面に酸化被膜が形成されて塩基性溶液への溶解が抑制される問題が生じていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-206870号公報
【特許文献2】特開2014-101239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
その後、発明者は金属状態のアルミニウムの塩基性溶液への溶解について鋭意検討を重ねていた。その結果、発明者は原材料の金属の塩基性溶液への溶解を適切に制御することにより、金属状態のアルミニウムの塩基性溶液への溶解効率を高め、金属状態の原料に起因する不純物成分を低減する途を開いた。
【0008】
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、封止材に添加するフィラー用であって、金属アルミニウムに由来するアルミナ粒子に残存する不純物量の低減を図るとともに、金属状態のアルミニウム量自体も低減して純度を高めた高純度アルミナ粒子及びその製造方法と、当該高純度アルミナ粒子を用いた電子機器用樹脂組成物及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、実施形態の高純度アルミナ粒子は、金属アルミニウムに由来するアルミナ粒子であって、アルミナ粒子中のウラン元素の含有量が5ppb以下であり、アルミナ粒子中のトリウム元素の含有量が5ppb以下であり、アルミナ粒子中の金属アルミニウムの含有量が5ppm以下であり、アルミナ粒子中のナトリウムの含有量が10ppm以下であり、アルミナ粒子中の鉄の含有量が10ppm以下であることを特徴とする。
【0010】
さらに、高純度アルミナ粒子において、原料となる金属アルミニウムに由来する粒径20μm以上のアルミニウム粒子の残留量が、アルミナ粒子50gにおいて10個以下であることとしてもよい。
【0011】
さらに、電子機器用樹脂組成物は、高純度アルミナ粒子と樹脂組成物とを有することを特徴とする。
【0012】
実施形態の高純度アルミナ粒子の製造方法は、金属アルミニウムの粉末を火炎中に投入して気化、酸化させ、冷却時の表面張力による球状化を通じて球状アルミナ粒子を得る粒子化工程と、球状アルミナ粒子を塩基性溶液に投入して前記球状アルミナ粒子内に残留する金属状態のアルミニウムを溶解する溶解工程と、球状アルミナ粒子を乾燥する乾燥工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
さらに、高純度アルミナ粒子の製造方法において、塩基性溶液が、アミン系化合物の水溶液であることとしてもよい。
【0014】
さらに、高純度アルミナ粒子の製造方法の溶解工程において、球状アルミナ粒子をpHが9以上であり20ないし60℃の液温の塩基性溶液に溶解して球状アルミナ粒子内に残留する金属状態のアルミニウムを溶解することとしてもよい。
【0015】
さらに、高純度アルミナ粒子の製造方法の溶解工程において、前記球状アルミナ粒子の篩別が行われることとしてもよい。
【0016】
さらに、高純度アルミナ粒子の製造方法においては、前記球状アルミナ粒子を洗浄する洗浄工程が加えられることとしてもよい。
【0017】
また、電子機器用樹脂組成物の製造方法によると、金属アルミニウムの粉末を火炎中に投入して気化、酸化させ、冷却時の表面張力による球状化を通じて球状アルミナ粒子を得る粒子化工程と、球状アルミナ粒子をpHが9以上であり20ないし60℃の液温の塩基性溶液に投入して前記球状アルミナ粒子内に残留する金属状態のアルミニウムを溶解する溶解工程と、球状アルミナ粒子を乾燥する乾燥工程と、乾燥工程を経た球状アルミナ粒子を樹脂組成物に分散して樹脂分散物を得る樹脂分散工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の高純度アルミナ粒子及び高純度アルミナ粒子の製造方法によると、封止材に添加するフィラー用のアルミナ粒子であって、金属アルミニウムに由来するアルミナ粒子に残存する金属状態のアルミニウム量を低減して純度を高めた高純度アルミナ粒子を得ることができ、併せてその製造方法を確立することができる。
【0019】
また、電子機器用樹脂組成物及びその製造方法によると、樹脂組成物に含有される球状粒子から放射される粒子線、電磁波の線量の低減が可能となり、ノイズ等の外乱要因を抑制して機器の誤作動等の不具合の軽減が見込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施形態の高純度アルミナ粒子の調製に際しては、原料となる金属アルミニウムの粉末に対し、次の工程を順に処理する製造方法が実施される。また、電子機器用樹脂組成物は高純度アルミナ粒子を含有する樹脂組成物であり、その製造方法は最終段階にて樹脂組成物に分散させる工程を包含する。高純度アルミナ粒子は、全重量の99.8%以上が酸化アルミニウムであるアルミナ粒子である。
【0021】
始めに、金属アルミニウムの粉末が原料として用意され、金属アルミニウムの粉末は火炎中に投入される。火炎中にて金属アルミニウムの粉末は気化し、酸化される。酸化により生じた酸化アルミニウム(アルミナ)は気体から液体に冷却する。この時の表面張力を通じて酸化アルミニウム(アルミナ)は球状化する。結果、微粒子状の球状アルミナ粒子が生成される(「粒子化工程」)。当該工程は爆燃反応の一種であり、VMC法(Vaporized Metal Combustion Method)等と称される。
【0022】
粒子化工程の火炎は、可燃性ガスに対して酸素を含む助燃ガスを混合して燃焼させて形成される。炉内温度の指標として炉の耐火構造体の温度は最も高くなる位置(炉体温度)で、900℃ないし1500℃の範囲である。炉体温度は、下限値として900℃ないし1100℃が好ましく、上限値として1300℃ないし1500℃が好ましい。助燃ガスには、空気、酸素が用いられる。可燃性ガスと助燃ガスは、炉内に供給するときに、別々の供給としても、予め混合した状態での供給としても良い。
【0023】
可燃性ガスの流速は、0.1m/s以上であることが好ましく、0.5m/s以上であることがより好ましく、1m/s以上であることがさらに好ましい。助燃ガスの流速は、5m/s以上であることが好ましく、7m/s以上であることがより好ましく、9m/s以上であることがさらに好ましい。流速比で可燃性ガス/助燃ガスは、0.5以下になることが好ましく、0.3以下になることがより好ましく、0.1以下になることがさらに好ましい。可燃性ガスと助燃ガスとの供給量は、供給する原料粒子材料を十分に加熱できる大きさの火炎が形成できるような可燃性ガスの量と、その可燃性ガスを十分に燃焼可能な助燃ガスの量により規定される。例えば、処理する粉砕物の単位重量に対し可燃性ガスは0.5Nm/hないし5Nm/h、助燃ガスとしての酸素は50Nm/h~500Nm/h程度とされる。
【0024】
金属アルミニウムの粉末を火炎中に供給する方法は特に限定しないが、キャリアガス中に分散させた状態で火炎中に供給することができる。キャリアガスとしては空気、酸素、窒素などが挙げられる。
【0025】
粒子化工程により生じた球状アルミナ粒子では、必ずしも全ての金属アルミニウムが酸化アルミニウムに酸化されず、少量ながら金属アルミニウムのまま残留している可能性がある。そこで、金属アルミニウムの除去のため、球状アルミナ粒子は塩基性溶液に投入され、球状アルミナ粒子内に残留する金属状態のアルミニウムは溶解される(「溶解工程」)。
【0026】
両性元素である金属アルミニウムを塩基性溶液に溶解する際に用いられる塩基性溶液はアルカリ金属を含有しない溶液である。一般に、アルカリ金属の水酸化物である水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液は強塩基性となる。しかしながら、塩基性溶液のアルカリ金属が球状アルミナ粒子に残留すると最終的に出来上がる球状アルミナ粒子の純度を押し下げることとなり好ましくない。
【0027】
そこで、アルカリ金属を含有しない塩基性溶液としてアミン系化合物の水溶液が使用される。アミン系化合物としては、アンモニア、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン、水酸化第四級アンモニウム(アンモニウム塩)、アリールアミン、シラザン、ヒドラジン等が該当する。
【0028】
さらに具体的に、アミン系化合物は、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピロリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化メチルトリアミルアンモニウム、水酸化メチルトリアミルアンモニウム、水酸化メチルトリブチルアンモニウム、ピロリジン、ピペリジン、ピリジン、キノリン、イミダゾール、インドール、ピリミジン、ヘキサメチルジシラザン、ヒドラジン、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン等の中から選択される1以上の化合物である。水溶液の調製に際し、アミン系化合物は単独種類としても、2種類以上の混合としてもよい。
【0029】
有機化合物であるアミン系化合物を用いる場合、以降の工程の処理に伴い、化合物分子が揮発、分解する。このため、アミン系化合物は最終的に出来上がる球状アルミナ粒子へほとんど残留しないため望ましい。むろん、水溶液におけるアミン系化合物の濃度に関し、球状アルミナ粒子に残留する金属アルミニウムの溶解時、同塩基性溶液のpHは9以上、より好ましくは、pHは10以上であり、球状アルミナ粒子に残留する金属アルミニウムは同塩基性溶液により20ないし60℃の液温下、より好ましくは、おおむね40ないし60℃の液温の条件下で加熱される。40℃未満の場合、析出までの時間が長くなる。また60℃を超過する場合、液温の影響から析出が生じにくくなる。後述の実施例より、主にpHと温度条件の制御は、金属アルミニウムの溶け残りの減少に有効である知見に基づく。
【0030】
ここで、塩基量と溶解対象の金属アルミニウムとの関係について、金属アルミニウム(Al)量(g)に対する塩基量(wt%)は、0.04ないし2wt%の範囲であることが好ましい。塩基量は、モル量からwt%(重量パーセント)に換算して秤量しやすくしている。
【0031】
球状アルミナ粒子内に残留する金属アルミニウムは、酸または塩基との反応に際し、金属表面にアルミナ(アルマイト等)の酸化物被膜を形成することが知られている。酸化物被膜が表面に形成されることにより、塩基等は酸化物被膜よりも内部の金属アルミニウムに接触することなく水酸化物化の反応が終了する。つまり、金属アルミニウムの未溶解物(溶け残り)が不可避的に生じる。そこで、金属アルミニウムと塩基性溶液(アミン系化合物の水溶液)とを極力激しく反応させることにより、水酸化物化を進めることが必要である。高純度のアルミニウム表面に生じる酸化被膜、つまり、高純度のアルミナは純度が高いため、アンモニア程度の塩基では酸化被膜を完全に溶解することができず、結果的に内部のアルミニウムの溶解が進まないと推測されている。
【0032】
前述の条件は、アルミニウムの水酸化物を形成する上で必要となるpHを確保しつつ、室温に準じた温和な温度として徐々に反応の進行させる条件である。むろん、使用するアミン系化合物の種類、濃度等による加減は行われる。
【0033】
また、溶解工程においては、必要により球状アルミナ粒子の篩別が行われる。粒子化工程では球状化は可能であるものの、球状アルミナ粒子の粒径を均質化することはできない。また、溶解工程では溶解時の強塩基の影響により球状アルミナ粒子が崩壊することもある。そこで、次の工程に先立ち、粒径の不均一な球状アルミナ粒子は篩別を通じて除去される。篩別に際し、公知の篩(ふるい)等が用いられ所定の粒径に応じて球状アルミナ粒子は分離される。
【0034】
溶解工程の後、球状アルミナ粒子は乾燥される(「乾燥工程」)。なお、乾燥工程の前に、塩基性溶液を除去するべく球状アルミナ粒子は洗浄される(「洗浄工程」)。始めに、洗浄工程では、球状アルミナ粒子は水洗により洗浄される。水洗の装置、回数は適宜であり、洗浄後の廃水のpHがおおむね7前後になった時点で水洗洗浄は終了となる。乾燥工程では、自然乾燥、乾燥機による温風または熱風に晒す乾燥等の適宜である。
【0035】
乾燥工程までを経て出来上がる球状アルミナ粒子については、途中の工程により凝集により粒子が大きく、また不均一になりやすい。そのため、均質な最終製品に調整するため、解砕が加えられる。粉砕に際しては、湿式解砕、乾式解砕といずれとしてもよい。また、解砕装置としては、ボールミル、振動ミル、チョッパー撹拌式解砕機、ジェットミル、アトマイザ等の公知の固形物の解砕用の器機が用いられる。実施形態では、解砕用のポッドに固形化物とアルミナ球を入れてポッドを回転させて湿式により解砕した。なお、ポッドの回転時間(解砕時間)は目標とする粒子径に応じて加減される。湿式解砕の後、ポッドから回収された解砕物はスプレードライ等により乾燥される。
【0036】
ここで、各工程の球状アルミナ粒子の平均粒子径はレーザ回折散乱法、動的散乱法等の公知の粒子径測定の方法により測定されるメディアン径(D50)を意味する。そこで、球状アルミナ粒子の平均粒子径(D50)は30μm以下、さらには20μm以下とすることが好ましい。
【0037】
一連の説明のとおり、金属アルミニウムの原料から、粒子化工程、溶解工程、乾燥工程、必要により洗浄を経て製造される球状アルミナ粒子(すなわち、高純度アルミナ粒子)は、金属アルミニウムの原料段階と比較してウラン元素及びトリウム元素、さらにはナトリウム、鉄等の不純物の総量が大きく減少している。後述の実施例から明らかであるように、さらに、球状粒子に含有される金属アルミニウム(酸化されてアルミナに変化しなかった成分)は、それぞれ、当初の金属アルミニウムの原料に含有されている量の1/10以下、さらには、6/100以下に減少している。このため、球状粒子から放射されるアルファ線、ベータ線等の粒子線、ガンマ線等の電磁波の線量をより低減可能となり、電子部品等への影響を軽減することができる。
【0038】
金属アルミニウムの粉末の酸化により生じた球状アルミニウム粒子が塩基性溶液に溶解されることにより、球状アルミニウム粒子に残留している金属アルミニウムは金属状態から水酸化物である水酸化アルミニウムに変化する。この時点で、金属アルミニウムの原料に含有される不純物成分は、塩基性溶液への溶解量よりも少ないと考えられる。U(ウラン)、Th(トリウム)等の重元素は両性元素ではないため、塩基性溶液には溶解しにくく、不溶成分として残留する。このような塩基性溶液への溶解のしやすさによりウラン元素及びトリウム元素、その他の不純物成分の分離が可能となる。従って、従前のフィラー用の酸化物の調製よりも、一層の不純物成分の減少が可能となる。
【0039】
また、塩基性溶液への溶解条件により、塩基性溶液との接触に際して金属アルミニウムの表面に生成される酸化物被膜も溶解されることから、未溶解分となる金属アルミニウムのまま高純度アルミナ粒子に残留する量を抑制することができる。
【0040】
高純度アルミナ粒子の特徴は、金属アルミニウムに由来するアルミナ粒子から調製される。そして、アルミナ粒子中のウラン元素の含有量は5ppb以下、好ましくは1ppb以下であり、また、アルミナ粒子中のトリウム元素の含有量は5ppb以下、好ましくは1ppb以下である。特に低減が望まれているウラン元素及びトリウム元素の存在量を大きく削減することができる。
【0041】
また、アルミナ粒子中のナトリウムの含有量は10ppm以下、好ましくは5ppb以下、さらに好ましくは1ppb以下であり、アルミナ粒子中の鉄の含有量は10ppm以下、好ましくは5ppb以下、さらに好ましくは1ppm以下である。このように、アルミニウム以外の不純物成分は減少するため、非常に純粋な高純度アルミナ粒子を得ることができる。
【0042】
加えて、高純度アルミナ粒子(アルミナ粒子)中の金属アルミニウムの含有量は5ppm以下、好ましくは3ppb以下、さらに好ましくは1ppm以下である。つまり、最終形態の高純度アルミナ粒子(球状アルミナ粒子)中に残留する金属アルミニウムは極力抑制される。金属アルミニウムが高純度アルミナ粒子に残留すると、前述のとおり、金属アルミニウムに残留しているウラン元素及びトリウム元素による影響を払拭することができない。加えて、金属アルミニウムは導体であるため、高純度アルミナ粒子を電子材料用フィラーとして使用する際の導通のおそれがあり得る。そこで、可能な限り金属アルミニウムの塩基性溶液への溶解を促進するべく、最終的な高純度アルミナ粒子(球状アルミナ粒子)中に残留する金属アルミニウムの量が規定される。
【0043】
さらに、原料となる金属アルミニウムに由来に由来する粒径20μm以上のアルミニウム粒子の残留量は、高純度アルミナ粒子(球状アルミナ粒子)50gにおいて10個以下、好ましくは5個以下、より好ましくは0個(未検出)である。最終的な高純度アルミナ粒子(球状アルミナ粒子)中に20μm以上の大きさの金属アルミニウムの粒状物が残留すると、高純度アルミナ粒子の電気絶縁性が低下する。つまり、金属アルミニウムは導電性であるため、フィラーとしての絶縁性能が低下する。そうすると、フィラーとして高純度アルミナ粒子を含有する樹脂組成物を塗布した部位において短絡等の電気的な不良を引き起こすおそれがある。このため、高純度アルミナ粒子中に存在する金属アルミニウムの粒状物を抑制して高純度アルミナ粒子の品質を管理することができる。
【0044】
これまで説明してきた実施形態の高純度アルミナ粒子の製造方法により調製される高純度アルミナ粒子は、主に、電子材料用フィラーとして使用される。高純度アルミナ粒子は、樹脂に添加されることによって電子機器用樹脂組成物(電子材料用フィラー含有樹脂組成物)に調製される(電子機器用樹脂組成物の製造方法における「樹脂分散工程」)。
【0045】
添加対象の樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、その他のオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂、フッ素樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等、ポリフェニレンエーテル、ビスマレイミド等の熱硬化性樹脂が挙げられる。さらには、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム等の弾性樹脂、シリコーン樹脂等への添加も可能である。例えば、電子部品のパッケージ用基板、層間絶縁フィルム等の樹脂基板を製造する場合には、樹脂としてエポキシ樹脂が用いられる。
【0046】
樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂等が挙げられる。樹脂組成物に配合される高純度アルミナ粒子の重量は、耐熱性、熱膨張率の観点から、多いことが好ましい。樹脂組成物の全体質量に対して、高純度アルミナ粒子(電子材料用フィラー)は80質量%以上添加されることが望ましい。
【0047】
さらに、実施形態の高純度アルミナ粒子(電子材料用フィラー)については、当該電子材料用フィラーを分散し、水分を実質的に含有しない液体状の分散媒を有する電子材料用スラリーとして調製することができる。この分散媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、トルエン、N-メチルピロリドン、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の溶媒が用いられる。分散媒についても、単体もしくは複数混合して使用することができる。また、適宜の分散剤を使用することも可能である。
【0048】
電子機器用樹脂組成物(電子材料用フィラー含有樹脂組成物)の特徴となる性質は、高純度アルミナ粒子の説明のとおり、樹脂組成物に含有される球状粒子から放射される粒子線、電磁波の線量の低減が可能となる。そのため、樹脂組成物の加工部位から電子部品等へ与える粒子線、電磁波の影響を軽減することができる。結果、ノイズ等の外乱要因を抑制して機器の誤作動等の不具合の軽減が見込まれる。
【実施例0049】
高純度アルミナ粒子の製造方法の実証のため、試験例1ないし29を用意し、各試験例の物性を評価した。以降、使用原料、作製方法、測定及び評価方法の順に説明する。各試作例の詳細は後出の表1ないし表6が参照される。
【0050】
[使用原材料]
試験例1ないし6の金属アルミニウムは、汎用品アルミニウム粉末、平均粒子径:20μmを使用した。
試験例7ないし22の金属アルミニウムは、高純度品アルミニウム粉末、平均粒子径:20μmを使用した。
試験例23、25、27のアルミナ粒子は、高純度品、平均粒子径:0.2μmを使用した。
試験例24、26、28、29のアルミナ粒子は、高純度品、平均粒子径:10μmを使用した。
【0051】
塩基性溶液の調製に際し、以下のアミン系化合物を使用した。
アンモニア:富士フイルム和光純薬株式会社製
ジメチルアミン:富士フイルム和光純薬株式会社製
水酸化テトラメチルアンモニウム(以降、TMAHと称する。):富士フイルム和光純薬株式会社製
ジアザビシクロウンデセン(以降、DBUと称する。):富士フイルム和光純薬株式会社製
【0052】
[金属アルミニウムの溶解性確認]
・試験例1ないし22
各試験例の金属アルミニウム粒子0.2g、イオン交換水100g、表中の塩基種の水溶液を混合し、40℃に加熱しながら各試験例の時間撹拌した。試験例1ないし12は28%のアンモニア水溶液とし、試験例13ないし20は50%ジメチルアミン水溶液とし、試験例21は25%TMAHとし、試験例22はDBU水溶液とした。
【0053】
[高純度アルミナ粒子の作製検証]
・試験例23ないし29
試験例23ないし29はアルミナ粒子を出発原料とする。これらは、爆燃反応の一種であり、VMC法(Vaporized Metal Combustion Method)において調製されたアルミナ粒子から当該粒子内に残留する金属アルミニウムの除去を企図する検証である。
【0054】
各試験例のアルミナ粒子100gに対しイオン交換水100gとし、これに塩基種となるアミン系化合物を添加し溶解した。塩基種の量は表中の試験例に応じた量とした。そして、各試験例の溶液を25℃にて5時間撹拌した。撹拌後、160℃で乾燥し、球状アルミナ粒子を回収した。
【0055】
・成分分析
酸化物粉末に含有される原子組成の分析に際し、株式会社島津製作所製,ICP(高周波誘導結合プラズマ発光分光分析)装置ICP-MS(U、Thの測定)、ICP-AES(アルミナ、その他の不純物の測定)を使用した。
測定に際し、各試験例のアルミナ粉末については硫酸により完全溶解して溶液化し、装置に供した。
【0056】
・残留金属アルミニウム量の測定
残留金属アルミニウム量の測定に際し、各試験例のアルミナ粉末(塩基性溶液への浸漬前と、塩基性溶液の浸漬後の両方)の試料を50g秤量し、500mL三角フラスコ中に投入した。同フラスコ内に2M水酸化ナトリウム溶液220mLを投入し、素早く密封後、マグネチックスターラーを用い、1000~1200rpmで撹拌した。ここで、撹拌開始時の気温:T1を測定した。
【0057】
金属アルミニウムと水酸化ナトリウムとの反応が終了すると考えられる時間(約15分間)密閉状態で撹拌を継続し、発生した水素を三角フラスコ中に捕集した。撹拌停止後、直ちに密栓を介して水素用検知管(光明理化学工業株式会社製,北川式ガス検知管 水素137U)を差し込み、検知管用ガス採取器(光明理化学工業株式会社,北川式ガス採取器 AP-20)を取り付け、密閉状態の三角フラスコ内の気体を50mL吸引し、水素濃度を測定した。
【0058】
検知管及びガス採取器を取り外し、密栓を介して三角フラスコ内の温度:T3を測定した。その後、三角フラスコ内に水を注いで水の体積から三角フラスコ内の空間容積:Vを測定した。
【0059】
前述の測定値から、理想気体の状態方程式及びボイル=シャルルの法則に従う次式を用いて残存金属アルミニウム濃度を測定した。
(残存金属アルミニウム濃度:ppm)=水素濃度(%)×(273(K)+T1(℃))×(V(mL)+ガス吸引量(mL))/{V(mL)×(273(K)+T3(℃))}×10000×V(mL)/1000×1/{22.4(L)×(273(K)+T1(℃))/273(K)}×(残存金属材料と水素の反応モル比)×未燃焼金属の原子量×1/使用試料量(g)
ここで(残存金属アルミニウムと水素の反応モル比)は残存金属アルミニウム1モルあたり水素が何モル生成されるのかを示す値であり、金属アルミニウムの場合は1.5である。
【0060】
・残留金属アルミニウム粒の測定
残存金属アルミニウム濃度とともに、粒状態の金属アルミニウムの残存について、20μm以上の導通アルミニウム粒量として測定した。アルミナ粉末(塩基性溶液への浸漬前と、塩基性溶液の浸漬後の両方)の試料を300g秤量し、ヘキサメタリン酸ナトリウムを0.1g添加し20μmの篩により篩別した。篩上からイソプロパノールを8時間ほど散布し続けアルミナ粉末を洗浄し、その後、24時間静置して乾燥した。
【0061】
乾燥後のアルミナ粉末中、光学顕微鏡を用いた目視により異物と思われる物体の個数を係数し、アルミナ粉末中より分取した。分取された異物について、タングステン針を用い電気の導通を確認した。導通が確認できた異物について、エネルギー分散型X線分析装置(SEM-EDX)により定性分析を行いアルミニウムであることを確認した。
【0062】
[結果]
試験例1ないし22は表1ないし4の結果であった。各表中、上段から金属アルミニウムの重量(g)、塩基性溶液の水量(g)、塩基種、金属アルミニウム(Al)量(mol)に対する塩基量(mol%)、pH、温度(℃)、時間(h)、最終状態のウラン量及びトリウムの量(ppb)、最終状態のナトリウム量及び鉄量(ppm)、及び溶解度評価(A、B、C、及びD)が示される。
【0063】
溶解度評価は次の4段階の評価とし、Aが最良、Bが良好、Cが普通、Dが不良の順である。
評価Aは、白色化して全ての金属粒子が水酸化アルミニウムに変化したことを示す。
評価Bは、ある程度白色化が進んでいるものの金属状態のアルミニウムが肉眼で確認できることを示す。
評価Cは、前出の評価Bよりも金属状態のアルミニウムの量が多いことを示す。
評価Dは、水酸化アルミニウムへの変化をほとんど確認できないことを示す。
【0064】
試験例23ないし29は、従前の金属粉末から出発しVMC法によりアルミナ粉末を作製する方法に塩基性溶液への溶解を加えた方法に相当する。ここで、VMC法とは、金属粉末の爆燃現象を利用して真球状酸化物微粒子を製造する方法である。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
[金属アルミニウム粉末溶解の考察]
試験例1ないし6は、汎用の金属アルミニウム粉末であり、試験例7ないし22の高純度の金属アルミニウム粉末と比較して不純物量は総じて多い。アルミニウムの純度が高くないことにより、塩基性溶液による溶解条件のpHを加減しても溶解度評価への影響は少ない(試験例4、5、6参照)。これに対し、高純度の金属アルミニウム粉末の試験例10、11、12では同様の条件としながらも、溶解度の評価は悪化した。従って、汎用の金属アルミニウム粉末の塩基性溶液に溶解する際の条件を、そのまま高純度の金属アルミニウム粉末の塩基性溶液に溶解する条件とすることは難しい。
【0070】
そこで、試験例13ないし22のとおり、塩基性溶液におけるアミン系化合物の種類とその塩基量、pH、溶解時間とすることにより、高純度の金属アルミニウム粉末についても塩基性溶液への良好な溶解を実現することができた。
【0071】
試験例23ないし29は表5及び表6の結果であった。各表中、上段からアルミナ粉末の重量(g)、塩基性溶液の水量(g)、塩基種、金属アルミニウム(Al)量(mol)に対する塩基量(mol%)、pH、温度(℃)、時間(h)、アルミナ粉末の金属アルミニウム量(塩基性溶液への浸漬前と、塩基性溶液の浸漬後の両方)(ppm)、20μm以上の導通アルミニウム粒量(塩基性溶液への浸漬前と、塩基性溶液の浸漬後の両方)(個/50g)、最終状態のウラン量及びトリウムの量(ppb)、最終状態のナトリウム量及び鉄量(ppm)が示される。
【0072】
【表5】
【0073】
【表6】
【0074】
[アルミナ粉末溶解の考察]
試験例23ないし29は、塩基性溶液への浸漬前には金属アルミニウム量、個数は多いとしても、塩基性溶液への浸漬を経ることにより、初期の量にかかわらず金属アルミニウム量、個数の減少を確認することができた。具体的には1ppm以下であり、かつ0個であった。従って、アルミナ粒子(粉末)に対し、事後的に塩基性溶液に浸漬することの有効性は明らかとなった。なお、試験例27は塩基量が少なすぎると考えられる。
【0075】
一連の結果から、金属アルミニウムから出発するアルミナ粉末の調製における不純物成分の低減とともに、事後的にアルミナ粉末からも溶解不良の金属アルミニウムの低減も可能となり、アルミナ粉末のフィラーの性状を飛躍的に向上できる。そのため、電子機器用樹脂組成物の改良への貢献が期待される。