(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179267
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】コンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/12 20230101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q40/12 410
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097980
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】523228716
【氏名又は名称】高瀬 兼太
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】高瀬 兼太
(72)【発明者】
【氏名】阿部 将久
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB64
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】暗号資産に関する制度に対応した会計報告支援を可能とするコンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法を提供する。
【解決手段】コンピュータプログラムは、コンピュータに、暗号資産が紐づいたウォレットアドレスのデータに基づき、前記暗号資産の取引履歴を参照し、参照した取引履歴の各取引の内容を示す取引データと、各取引データに対応付けられた勘定科目及び/又は税区分とを出力する処理を実行させる。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータに、
暗号資産が紐づいたウォレットアドレスのデータに基づき、前記暗号資産の取引履歴を参照し、
参照した取引履歴の各取引の内容を示す取引データと、各取引データに対応付けられた勘定科目及び/又は税区分とを出力する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータに、
参照した前記取引履歴に含まれる取引の取引データのうち、勘定科目及び/又は税区分の設定対象とするか否かの選択を、各取引に対して受け付ける
処理を実行させる請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項3】
前記コンピュータに、
前記勘定科目及び/又は税区分の設定対象として選択された取引データに対し、勘定科目及び/又は税区分の選択を受け付ける
処理を実行させる請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項4】
前記コンピュータに、
前記勘定科目及び/又は税区分の設定対象として選択された取引データに対し、それぞれ、前記取引データに対応する取引のタイプ、取引日時、取引先、取引内容、及び手数料のうちの少なくとも1つに基づいて、勘定科目及び/又は税区分を推定する
処理を実行させる請求項2に記載のコンピュータプログラム。
【請求項5】
前記コンピュータに、
前記勘定科目及び/又は税区分の設定対象として選択された取引データに対し、それぞれ、取得価額及び/又は損益を算出し、
算出した取得価額及び/又は損益を出力する
処理を実行させる請求項3又は4に記載のコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記コンピュータに、
前記勘定科目及び/又は税区分の設定対象として選択された取引データに対して、勘定科目及び/又は税区分と、算出された取得価額及び/又は損益とを、他のソフトウェアで取り込める形式で出力する
処理を実行させる請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記コンピュータに、
前記取引履歴のうち、前記他のソフトウェア向けに出力した取引を識別させるデータを付加する
処理を実行させる請求項6に記載のコンピュータプログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに、
前記他のソフトウェア向けに出力した結果を表示させる
処理を実行させる請求項6に記載のコンピュータプログラム。
【請求項9】
前記コンピュータに、
前記勘定科目及び/又は税区分の選択候補として、設定データを取り込んで使用する
処理を実行させる請求項3に記載のコンピュータプログラム。
【請求項10】
前記コンピュータに、
参照した取引履歴から、一の取引の実行に必要となった手数料の支払いについて、前記一の取引と異なる別の取引として取引データを出力する
処理を実行させる請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項11】
前記コンピュータに、
前記取引データとして、取引先のウォレットアドレスか、又は、前記ウォレットアドレスから特定される取引先の名称を出力する
処理を実行させる請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項12】
前記コンピュータに、
予め設定されている期末のタイミングが到来した場合に、
前記ウォレットアドレスに紐づく暗号資産の所有量に基づき、簿価を算出し、
算出した簿価を出力する
処理を実行させる請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項13】
前記コンピュータに、
前記取引履歴に含まれる取引それぞれについて、ブロックチェーンにおける取引を特定する内容を表示するためのリンクを対応付けて出力する
処理を実行させる請求項1に記載のコンピュータプログラム。
【請求項14】
暗号資産が紐づいたウォレットアドレスのデータに基づき、前記暗号資産の取引履歴を参照し、
参照した取引履歴の各取引の内容を示す取引データと、各取引データに対応付けられた勘定科目及び/又は税区分とを出力する
処理を実行する処理部を備える情報処理装置。
【請求項15】
コンピュータが、
暗号資産が紐づいたウォレットアドレスのデータに基づき、前記暗号資産の取引履歴を参照し、
参照した取引履歴の各取引の内容を示す取引データと、各取引データに対応付けられた勘定科目及び/又は税区分とを出力する
処理を含む情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗号資産に関する制度に対応した会計報告支援を可能とするコンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
法人が、法人税等について国税庁へ提出しなければならない書類の作成を支援するシステムやプログラムが利用されている。このようなシステムでは、法人のオンラインの会計ソフトと連動し、取引記録から自動的に申告書を作成することが可能である(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、日本国国税庁では、法人が保有する暗号資産について税務上の取り扱いについて制度の整備が進められている。これらの制度を踏まえ、暗号資産にも対応した会計報告支援の技術の開発が求められている。
【0005】
本発明は、暗号資産に関する制度に対応した会計報告支援を可能とするコンピュータプログラム、情報処理装置、及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態のコンピュータプログラムは、コンピュータに、暗号資産が紐づいたウォレットアドレスのデータに基づき、前記暗号資産の取引履歴を参照し、参照した取引履歴の各取引の内容を示す取引データと、各取引データに対応付けられた勘定科目及び/又は税区分とを出力する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、暗号資産での取引1つ1つについての勘定科目や税区分の設定が簡易化され、過去に設定したものについて視認できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の会計支援システムの概要図である。
【
図2】サーバ装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図3】クライアント装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図6】取引管理に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】取引管理に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図10】「取引管理」の画面の一例を示す図である。
【
図11】「取引管理」の画面の一例を示す図である。
【
図12】「取引管理」の画面の一例を示す図である。
【
図13】「取引管理」の画面の一例を示す図である。
【
図14】「取引管理」の画面の一例を示す図である。
【
図15】期末に実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図16】自動割り当て手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。以下の実施の形態では、本開示のコンピュータプログラム、情報処理方法を適用した会計システムについて説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の会計支援システム100の概要図である。会計支援システム100は、顧客が使用するクライアント装置1と、クライアント装置1から通信接続が可能なサーバ装置2とを含む。クライアント装置1及びサーバ装置2はいずれも、ブロックチェーンシステム3に対してネットワークNを介してデータの参照が可能である。クライアント装置1とサーバ装置2との間も、ネットワークNで通信可能に接続されている。サーバ装置2は、ネットワークNを介して他のWebサービスの公開データを参照可能である。ネットワークNは、公衆通信網、専用線、キャリアネットワーク、無線通信網等を含み、クライアント装置1、サーバ装置2及び各種Webサービスとの間を通信接続する。
【0011】
本実施形態の会計支援システム100に、クライアント装置1から、顧客の暗号資産のウォレットアドレス(ウォレットのブロックチェーンアドレス等)が登録されると、クライアント装置1はサーバ装置2と連携して、顧客のウォレットアドレスに基づき、暗号資産のトランザクションのデータを参照し、税務及び会計上に必要なデータを作成する。サーバ装置2は、各取引について勘定科目の設定を受け付け、設定される勘定科目に対して必要に応じて損益を算出する。このように、暗号資産の場合は、法定通貨や外国為替とは異なる会計管理が必要であるところ、本実施形態の会計支援システム100で算出されるデータを用いることにより、法定通貨や外国為替に基づく会計報告書の作成と、暗号資産に関する会計報告書の作成とをシームレスに実行可能となる。
【0012】
上述の機能を発揮するための各装置の構成と、実行される処理手順と、顧客から確認可能な画面表示例とについて、以下に説明する。
【0013】
図2は、サーバ装置2の内部構成を示すブロック図である。サーバ装置2は、サーバコンピュータである。サーバ装置2は、説明を容易にするために1台のサーバコンピュータとして以下に説明するが、通信接続される複数のサーバコンピュータで処理又は機能を分散させた構成としてよい。
【0014】
サーバ装置2は、処理部20、記憶部21、通信部22及び入出力部23を備える。処理部20は、CPU(Central Processing Unit )及び/又はGPU(Graphics Processing Unit)を用いたプロセッサである。処理部20は、内蔵するRAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を用いて各構成部を制御する。処理部20は、記憶部21に記憶されている情報処理プログラムP2に基づき、後述する情報処理を実行する。
【0015】
記憶部21は、ハードディスク又はSSD(Solid State Drive )等を用いる。記憶部21は、情報処理プログラムP2を記憶しているほか、処理部20が参照する他のプログラム、及びデータを記憶する。情報処理プログラムP2は、Webサーバプログラムを含み、処理部20に、クライアント装置1からのWebブラウザを介したリクエストに応じて、後述するように種々のデータ処理及びデータ出力を実行させるプログラムである。サーバ装置2は、記憶部21の内部又は外部に設けた記録装置にデータベース210を構築している。
【0016】
記憶部21に記憶されている情報処理プログラムP2は、コンピュータから読み取り可能な記憶媒体9に記憶されていた情報処理プログラムP9を処理部20が読み出して記憶部21に記憶したものであってもよいし、プログラム配信サーバからダウンロードされたものであってもよい。
【0017】
通信部22は、ネットワークNを介した通信を実現する。処理部20は、通信部22によりネットワークNを介して、クライアント装置1との間の送受信が可能である。入出力部23は、データベース210を記憶した記憶装置への接続インタフェースである。データベース210が記憶部21内に設けられている場合は不要である(オンプレミス型)。入出力部23は通信部22であってもよく、つまり、記憶装置はネットワークNを介してサーバ装置2と通信接続可能なクラウド型であってもよい。ネットワークNを介して参照できる記憶装置は、ブロックチェーンを利用した分散記憶装置であってもよい。
【0018】
このように構成されるサーバ装置2による処理手順については詳細を後述する。
【0019】
図3は、クライアント装置1の内部構成を示すブロック図である。クライアント装置1は、ラップトップ型又はタブレット型のパーソナルコンピュータを用いる。クライアント装置1は、スマートフォンであってもよいし、デスクトップ型のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0020】
クライアント装置1は、処理部10、記憶部11、通信部12、表示部13、及び操作部14を備える。処理部10は、CPU又はGPUを用いたプロセッサを有し、内蔵するRAM及びROMを用いて各構成部を制御する。処理部10は、記憶部11に記憶してあるクライアントプログラムP1を読み出し、サーバ装置2によって提供されるWebページ等を取得して表示部13に表示できる。
【0021】
記憶部11は、フラッシュメモリ又はSSDを用いる。記憶部11は、クライアントプログラムP1を記憶しているほか、顧客が所有するブロックチェーンシステムでの暗号資産のウォレットアドレスを記憶する。クライアント装置1にて暗号資産の取引を行なう場合、記憶部11には鍵データが記憶されていてもよい。記憶部11は、処理部10が参照する他のデータ等を記憶してもよい。クライアントプログラムP1は、Webブラウザ機能を含む。クライアントプログラムP1は、Webブラウザに組み込まれるプラグインプログラムとして実装されてもよい。
【0022】
記憶部11に記憶されているクライアントプログラムP1は、コンピュータから読み取り可能な記憶媒体8に記憶されていたクライアントプログラムP8を処理部20が読み出して記憶部11に記憶したものであってもよいし、プログラム配信サーバからダウンロードされたものであってもよいし。Webブラウザを介して取得されるプラグインプログラムであってもよいし、Webブラウザのページに付随するエージェントプログラムであってもよい。
【0023】
通信部12は、ネットワークNを介した通信を実現する通信デバイスである。通信部12は、有線通信デバイスでもよいし、無線通信デバイスでもよい。
【0024】
表示部13は、液晶パネル又は有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を用いる。操作部14は、操作を受け付けるインタフェースである。操作部14は、物理ボタン、キーボード、ポインティングデバイス、表示部13内蔵のタッチパネルデバイス、スピーカ及びマイクロフォン等を用いる。操作部14は、物理ボタン又はタッチパネルにて表示部13で表示している画面上で操作を受け付けてもよいし、マイクロフォンにて入力音声から操作内容を認識し、スピーカで出力する音声との対話形式で操作を受け付けてもよい。
【0025】
上述のようなハードウェア構成の会計支援システム100において、クライアント装置1及びサーバ装置2で実行される処理手順について説明する。まず第1に、顧客には会計支援システム100の顧客IDを含むアカウントが発行される。顧客がクライアント装置1を用い、クライアントプログラムP1を選択し実行すると、サーバ装置2のWebサーバ機能により提供されるWeb画面が表示部13に表示される。顧客がクライアント装置1を用い、Webブラウザによってサーバ装置2のWebサーバ機能により提供されるWeb画面を表示させる態様であってもよい。顧客がシステムのアカウントを、サーバ装置2のWebサーバ機能によって提供されるWeb画面に入力すれば、クライアント装置1は、会計支援システム100のクライアントとしてログインした状態となる。
【0026】
第2に、会計支援システム100のアカウントに、顧客が所有する暗号資産が紐づくウォレットアドレスを対応付ける必要がある。上述したシステムのアカウント(顧客ID)によりログイン状態では最初に、「アカウント」のメニューを含むホーム画面が表示される。顧客が「アカウント」のメニューを選択する操作を、操作部14を介して実行すると、画面は暗号資産の「アカウント」に関する管理画面に遷移する。
【0027】
図4は、管理画面310の一例を示す図である。サーバ装置2から提供される管理画面310を含むWeb画面には、
図4に示すように、メニューエリア311が含まれる。メニューエリア311には、「アカウント」、「取引管理」、「設定」等のメニューが含まれている。
図4に示す管理画面310は、メニューエリア311に加えて管理エリア312を含む。管理エリア312には、顧客IDに対応付けられている暗号資産のウォレットアドレスの一覧が表示される。管理エリア312には、顧客IDに対応付けられたウォレットアドレスの名前、そのウォレットアドレスに関する取引の数が、サーバ装置2にて取得されて表示される。
図4では、登録されているウォレットアドレスがゼロであるため、一覧が空である。顧客IDには、複数のウォレットアドレスを対応付けることが可能である。Ethereum、Polygon、Bitcoin等の異なるブロックチェーンを対応付けることが可能であるし、同一のブロックチェーンについて複数のウォレットアドレスを対応付けてもよい。
【0028】
管理エリア312には、ウォレットアドレスの登録ボタン313が含まれる。登録ボタン313が選択されると、ウォレットアドレスの登録画面が表示部13に表示される。
図5は、登録画面314の一例を示す図である。登録画面314は、ウォレットアドレスの入力エリア315と、登録ボタン316とを含む。登録ボタン316が選択されると、入力エリア315に入力されていたウォレットアドレスがクライアント装置1からサーバ装置2へ送信され、サーバ装置2にて顧客IDと対応付けて記憶部21のデータベース210に顧客データとして記憶される。ウォレットアドレスは、複数のウォレット別に対応付けられていてもよく、この場合、顧客IDに対応付けて記憶されるウォレット一覧のウォレットテーブルに、ウォレットアドレスが記憶される。登録画面314は、キャンセルボタン317を含む。キャンセルボタン317が選択された場合、入力エリア315のウォレットアドレスは記憶されない。
【0029】
上述したように、会計支援システム100の顧客のアカウントに暗号資産のウォレットアドレスを対応付け、以下のような処理が可能になる。
図6及び
図7は、取引管理に関する処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6及び
図7に示す処理は、顧客が操作部14によってメニューエリア311の「取引管理」を選択する操作をする都度、「取引管理」の画面を表示している間定期的に更新される都度、又は、顧客の更新操作によって「取引管理」の画面が更新される都度、実行される。
【0030】
クライアント装置1の処理部10は、取引データのリクエストを記憶部11に記憶されている顧客IDを指定してサーバ装置2へ送信する(ステップS101)。
【0031】
サーバ装置2の処理部20は、取引データのリクエストを受け付けると(ステップS201)、リクエストで指定されている顧客IDに対応付けられているウォレットアドレス(ブロックチェーンアドレス)を記憶部21のデータベース210から読み出す(ステップS202)。ステップS202において処理部20は、データベース210にウォレットテーブルが含まれている場合、ウォレットテーブルからウォレットアドレスを読み出してもよい。
【0032】
処理部20は、読み出した顧客のウォレットアドレスに基づき、各ブロックチェーンシステム3から、顧客の取引履歴を参照する(ステップS203)。処理部20は、参照した取引履歴から、1つ1つの取引をレコードとして含む顧客の取引データを作成し(ステップS204)、クライアント装置1へ送信する(ステップS205)。1つ1つの取引は、取引を識別する取引識別データ(例えばトランザクションID)が対応付けられている。ステップS204において処理部20は、前回参照したブロックチェーンシステム3における取引履歴から新たに増加した取引のみを加えるようにしてもよい。1つ1つの取引は、暗号資産の取引や、ブロックチェーンシステム3上でのトランザクション実行等に必要なユーティリティトークン等による手数料や、ガス代等の支払いも含まれる。ステップS204において処理部20は、参照した取引履歴から、取引先との間の暗号資産の移動と、その取引(トランザクション実行)に対して必要な手数料の支払いとを、別の取引として作成する。このとき処理部20は、手数料の支払いについて、手数料を必要とした取引との関係が把握できるように、取引識別データを、別の取引として作成した取引データに対応付けておくとよい。
【0033】
クライアント装置1の処理部10は、取引データを受信すると(ステップ102)、取引データの1つ1つのレコードに、勘定科目、税区分、取得金額、及び損益等の項目のデータ(初期値はデータなし)を加えて管理対象データを作成する(ステップS103)。ステップS103において、取引データのレコードはそれぞれ、取引の内容が「支出」なのか「収入」なのかの区別、チェーンの種別、取引日時、取引先、取引内容(資産額)、手数料等、各チェーンから取得可能なデータを含む。処理部10は、ステップS103において、会計支援システム100で管理可能な項目として、上述の勘定科目、税区分、取得金額、及び損益の項目のデータを加える。これらの項目のデータの追加は、サーバ装置2側で行なってから、送信されてもよい。
【0034】
処理部10は、表示部13に表示中の「取引管理」の画面に、取引履歴の一覧として、管理対象データのレコードの一覧を表示させる(ステップS104)。ステップS104において処理部10は、複数のウォレットが管理対象として登録されている場合、異なるウォレットそれぞれにおける取引から作成される管理対象データを両方、時系列に一覧表示してよい。処理部10は、表示中の管理対象データの各レコードについて、未設定の取引に対し、会計の管理対象であるか否かの選択を受け付ける(ステップS105)。新たに増加した取引には初期的に、管理対象であると選択された状態で各レコードに対応付けられていてもよい。
【0035】
処理部10は、ステップS105で管理対象として選択された新たに増加した取引のレコードそれぞれについて、勘定科目及び/又は税区分の選択を受け付ける(ステップS106)。勘定科目は、管理対象データの作成時点では「未選択」が設定されており、「現金」、「開発費」、「売上高」、「売上原価」等から選択可能である(
図10参照)。税区分は、管理対象データの作成時点では「未選択」が設定されており、「課税売上*%」、「輸出売上*%」、「課対仕入%」、「非課仕入」等から選択可能である(
図11参照)。ステップS106において、処理部10は、勘定科目と税区分との間の対応関係を記憶しておき、勘定科目が選択されると、税区分が自動的に選択されるか、候補が絞り込まれてもよい。逆に、税区分が選択されると、勘定科目が選択されるか絞り込まれるようにしてもよい。
【0036】
ステップS106で選択対象とする勘定科目及び/又は税区分は、予め設定されている項目を記述したデータを、顧客IDに対応付けてクライアントプログラムP1に基づくインタフェースからインポート可能であってもよい。具体的には、勘定科目及び/又は税区分の名称のテキストを「カンマ」等で区切って記述したテキストデータを、クライアントプログラムP1に基づいて「設定」等の画面上に提供される「勘定科目インポート」ボタンなどを選択することで読み込み可能とする。なお、「勘定科目インポート」の態様は、上述したようなテキストベースのデータ(表計算方式)に限られず、連携対象の会計システムで提供されるAPIを呼び出して取得するようにしてもよい。クライアント装置1が、指定されたテキストデータから、勘定科目及び/又は税区分の名称のテキストを、顧客IDに対応付けて記憶部11に記憶し、サーバ装置2へも送信するとよい。
【0037】
処理部10は、管理対象であるか否かの選択と、勘定科目及び/又は税区分の選択とが完了すると、選択結果を反映させた管理対象データと、レート換算のリクエストとを顧客IDと対応付けてサーバ装置2へ送信する(ステップS107)。
【0038】
サーバ装置2の処理部20は、顧客IDと対応付けて管理対象データとレート換算のリクエストとを受信する(ステップS206)。処理部20は、受信した管理対象データを顧客IDに対応付けてデータベース210に記憶してもよい。
【0039】
処理部20は、各チェーンにおける暗号資産と、税法上の法定通貨(例えば「円」)とのレートを、所定の交換レート開示Webサービスから取得する(ステップS207)。
処理部20は、受信した管理対象データのうち、管理対象として選択されたレコードの暗号資産の取引それぞれについて、取得したレートを用いて税法上の法定通貨における取得価額及び/又は損益を算出する(ステップS208)。税法上の法定通貨が、何であるか(「円」であるか、他の通貨であるか)は、設定メニューによって予め顧客ID毎に設定できるようにしておくとよい。暗号資産が、法定通貨に対して固定レートであるようなステーブルコインである場合には、計算の対象から外すか否かを、設定メニューから設定できるようにしておくとよい。
【0040】
処理部20は、算出した取得価額及び/又は損益を反映した管理対象データを、顧客IDに対応するクライアント装置1へ送信する(ステップS209)。
【0041】
クライアント装置1の処理部10は、サーバ装置2から管理対象データを受信し(ステップS108)、取得価額及び/又は損益の算出済みの管理対象データのレコードの一覧を、表示部13に表示中の「取引管理」の画面に表示する(ステップS109)。
【0042】
処理部10は、ステップS109で表示した後、他の会計ソフトウェアに取り込める形式のデータでの出力の指示を受け付けたか否かを判断し(ステップS110)、指示を受け付けた場合(S110:YES)、記憶部11に保存し(ステップS111)、処理を終了する。「取引管理」の画面には、ステップS109で表示した内容が表示され続け、画面の更新の指示がされた場合、処理部10は、ステップS102の処理から再開する。ステップS111において処理部10は、他の会計ソフトウェアのAPIを呼び出して与えることで連携してもよい。
【0043】
処理部10は、指示を受け付けないと判断した場合(S109:NO)、そのまま処理を終了し、「取引管理」の画面には、ステップS109で表示した内容が表示され続ける。画面の更新の指示がされた場合、処理部10は、ステップS102の処理から再開する。
【0044】
図6及び
図7に示した処理は、サーバ装置2を介さずに、クライアント装置1にてクライアントプログラムP1に基づき実行してもよい。
【0045】
図8-
図14は、「取引管理」の画面330の一例を示す図である。「取引管理」の画面330は、メニューエリア311と、管理エリア318とを含む。管理エリア318には、表示しているクライアント装置1の顧客IDに対応付けられている各ウォレットアドレスに関する取引履歴の一覧が時系列(初期設定)に表示される。取引履歴の一覧は、時系列のみならず、他の要素でソート表示も可能である。
図8の画面330では、取引データのリクエストに応じて、新たに増加した取引に対応するレコードの一覧が表示されている例を示す。管理エリア318には、更新ボタン319及び出力ボタン320、並びにチェックボックス326が含まれている。これらのボタン319,320及びチェックボックス326については後述する。
【0046】
図8に示す「取引管理」の画面330における管理エリア318は、参照された取引それぞれについて、
図8においては、「タイプ」、「取引日時」、「取引先」、「取引内容」、「手数料」、「取得価額」、「損益」、「勘定科目」、「税区分」、「対象」の項目が表示されている。各項目によって、レコードのソートが可能である。
【0047】
「タイプ」は、
図8に示すように、「支出」に当たるのか「収入」に当たるのかの区別を示す。「取引日時」は取引が完了したタイミングを示す。「取引日時」の項目には、「取引詳細」の選択可能なボタン321が表示されている。ボタン321が選択されると、1つ1つの取引を識別するために与えられている取引識別データに基づき、その取引をブロックチェーンシステムから参照可能な会計支援システム100外のWebベースのデータが表示部13に表示される。つまり、ボタン321の選択により、取引識別データに対応付けられている関連証憑(領収書、証拠資料)が確認可能に構成されている。ボタン321の選択により、取引識別データに対応付けられている関連証憑(領収書、証拠資料)のデータが予め登録されているアドレス等へ送信されるようにしてもよい。
【0048】
「取引先」の項目は、暗号資産の取引相手のウォレットアドレスを示し、支払の場合は支払先、収入の場合は支払元のウォレットアドレスである。「取引先」の項目は、ウォレットアドレスに限らない。記憶部11又はデータベース210の顧客データに、顧客IDに対応付けてアドレスリストを記憶しておき、処理部10は、このアドレスリストに含まれる取引先のウォレットアドレスと、取引先の名称との対応関係から、取引先の名称を、「取引先」の名称を表示させてもよい。アドレスリストは、メッセージソフトなどの他のアプリケーションプログラムで記憶されているデータに含まれているウォレットアドレス等を用いてもよい。使用許可が得られている場合、公開されている各ウォレットアドレスと、そのウォレットアドレスの所有者の名称との対応関係が、他の顧客のアドレスリストにある場合、その対応関係から、取引先として提案されるようにしてもよい。
【0049】
「取引内容」は、支払った暗号資産の量の額面である。額面は、暗号資産の単位での表示と共に、取引時のレート(時価)で換算された法定通貨(設定で可変)での表示が含まれる。「手数料」は、ブロックチェーンシステム3への手数料の金額である。「取得価額」は、暗号資産の取引のバランスによって、当該画面330を閲覧している時点で顧客のウォレットアドレスに紐づけられている暗号資産の量を法定通貨で示したものである。「取得価額」の算出は、法令に則ったクライアントプログラムP1又はサーバ装置2における情報処理プログラムP2に基づいて実行される。具体的には、以下に示す通りである。
【0050】
算出対象のレコードのタイプが「収入」、即ち顧客が暗号資産を取得した場合には、処理部10(処理部20)は、取得価額を更新する。処理部10は、対象のレコードよりも過去で且つ直近のレコードの、暗号資産購入時のトークンの1単位当たりの購入時の法定通貨で換算した「平均取得価額」を算出する。
「平均取得価額」=「取得価額」/「取得した単位数」
直近のレコードも購入であって、追加購入である場合、洗い替えが発生する。処理部10は、取得価額の合計を、その時点での所有単位で除算した値を「平均取得価額」(平均単価)としてもよい。
「平均取得価額」=「購入時点の取得価額の合計」/「購入時点の保有単位数」
複数の種類のブロックチェーンの単位で分けられている場合、それぞれの単位にて算出されてもよい。
処理部10は、暗号資産を取得した時点で顧客IDに対応するウォレットアドレスに紐づけられている暗号資産の簿価を算出する。
「簿価」=「平均取得価額」×「保有暗号資産量」(暗号資産の単位別)
処理部10は、暗号資産の「簿価」を平均取得価額で除算し、この結果を「取得価額」として算出する。なお、「平均取得価額」の算出方法は、有価証券に関する計算方法と同様に、上述したような方法(移動平均法)に限らず、「総平均法」でもよい。「移動平均法」と「総平均法」とのいずれの方法で算出するかの選択を、「設定」メニューから可能であってもよい。
【0051】
「損益」は、取引時点におけるレートで換算された、損益である。なお、上述した「平均取得価額」の算出方法を「総平均法」とする場合も、参照時点で「総平均法」を適用して算出した結果を表示できる。「総平均法」で「損益」を算出する場合、その「損益」の確定は、期末に算出される額に対して行なわれる。「取得価額」及び「損益」については、にてサーバ装置2にて(クライアント装置1でもよい)算出された結果が記憶され、表示される。
【0052】
「勘定科目」は、各取引に対する項目の指定であり、「税区分」は、取引に対する課税の仕方についての申告内容である。いずれについても、
図6及び
図7のフローチャートで説明したように、顧客の操作によって選択可能にプルダウンリストのインタフェース322を有する。「対象」は、会計支援システム100での管理対象の取引であるか否かの設定であり、
図6及び
図7のフローチャートで説明したように、顧客の操作によって選択可能にスイッチスライドボタンのインタフェース323を有する。なお、
図8は、新たに増加した取引を表示しているので、「勘定科目」も「税区分」も未選択が設定されており、管理対象とするか否かの選択についても、初期的に、ONが選択された状態である。
【0053】
図9は、管理対象としない取引について、対象とするか否かの選択用のインタフェース323に対する選択操作によって、2つの取引が対象外に設定されたことを示している。
【0054】
図10は、「勘定科目」に対するプルダウンリストのインタフェース322の表示例を示している。
図10は、
図9の「取引管理」の画面330において、「勘定科目」のインタフェース322が選択された場合の表示内容の一例を示す。「勘定科目」は初期的に、「未選択」であるが、インタフェース322が選択されると、
図10に示すように、科目候補リスト324がポップアップ表示される。科目候補リスト324では、選択されている科目にチェックマークが付され、カーソルの位置に対応する科目は強調表示される。科目候補リスト324では、「現金」、「開発費」、「損益」、「売上高」、「売上原価」、「外注費」、「広告宣伝費」、「通信費」、「総収入」、「雑費」、「支払利息」等の多数のテキストから選択可能である。顧客が操作部14にていずれかを選択すると、処理部10は、選択された項目のテキストを、勘定科目として、取引識別データに対応付けることができる(S106)。取引識別データと勘定科目との対応関係は、記憶部11及びデータベース210で記憶しておくとよい。
【0055】
図10の科目候補リスト324に表示される科目のテキストデータは、「設定」メニューによって顧客の操作によって設定変更が可能である。設定変更は例えば、科目候補リスト324の科目ごとに、表示/非表示の設定が可能な設定画面から行なわれてもよいし、テキストデータ等をインポートして設定できてもよい。これらの設定は、顧客IDに対応付けて、科目候補リスト324に含まれるべき科目のテキストが記憶部11に記憶される。サーバ装置2にてデータベースに顧客データとして記憶されてもよい。
【0056】
図11は、「税区分」に対するプルダウンリストのインタフェース322の表示例を示している。
図11は、
図10の「取引管理」の画面330において「税区分」のインタフェース322が選択された場合の表示内容の一例を示す。「税区分」についても
図10を参照して説明した「勘定科目」と同様に、インタフェース322が選択されると、税区分候補リスト325がポップアップ表示される。税区分候補リスト325では、選択されている税区分にチェックマークが付され、カーソルの位置に対応する税区分は強調表示される。税区分候補リスト325では、「課税売上10%」、「輸出売上10%」、「課対仕入10%」、「非課仕入」、「課税10%」、「非課税」、「不課税」、「対象外」等のテキストから選択可能である。顧客が操作部14にていずれかを選択すると、処理部10は、選択された項目のテキストを、税区分として、取引識別データに対応付けることができる(S106)。取引識別データと税区分との対応関係は、記憶部11及びデータベース210で記憶しておくとよい。税区分候補リスト325に表示させるテキストの一覧の設定についても、勘定科目と同様に、「設定」メニューによって顧客の操作によって設定変更が行なわれてもよいし、テキストデータ等からインポートされることによって変更されてもよい。
【0057】
図12は、取得金額及び/又は損益が反映された画面330の一例を示す。
図12に示す画面330は、
図11にて「勘定科目」及び「税区分」の選択がされた後、管理エリア318に含まれる更新ボタン319が選択された場合に表示される例である。管理エリア318のページ更新によって表示されてもよい。
【0058】
図12の「取引管理」の画面330は、上述の
図6及び
図7のフローチャートに示したステップS108で受信した取得金額及び/又は損益の算出済みの管理対象データのレコードを表示している。このようにして、クライアント装置1にて暗号資産による取引を1つ1つ取り込むと、日付や取引先、金額を確認しながら1つ1つに対する勘定科目や税区分の設定が容易化される。後述するように、勘定科目や税区分の割り当てが自動的に実行されれば、顧客はその結果を確認しながら、結果を承認すればよく、より操作が容易化する。
【0059】
会計支援システム100は、
図12に示したように、顧客が、取引1つ1つについて勘定科目や税区分を設定し、過去に設定したものについては視認できるようにするのみならず、税務署へ提出する書面作成に使用できるデータを出力できるように支援する。会計支援システム100により、クライアント装置1にて暗号資産に関する書面データを作成できるようにしてもよい。
図12の「取引管理」の画面330の管理エリア318には、上述したように出力ボタン320が含まれている。出力ボタン320を選択すると、管理エリア318における取引履歴の一覧のうち、選択された取引に対応するレコードについて、「タイプ」、「取引日時」、「取引先」、「取引内容」、「手数料」、「取得価額」、「損益」、「勘定科目」、「税区分」等が出力される。出力ボタン320は、選択用のチェックボックス326が少なくとも1つ選択されると初めて選択可能に有効になる。
【0060】
図13は、「取引管理」の画面330の他の一例である。
図13では、出力対象としてチェックボックス326の一部が選択された状態であり、したがって、出力ボタン320も有効化されている。出力ボタン320が選択されると、処理部10は、管理対象データのうちの、チェックボックス326で対象として選択された取引履歴のレコードの各項目について、他の会計ソフトウェアに取り込める形式でデータを出力する。出力形式は、例えば表計算形式のファイルであってもよいし、ドキュメントデータであってもよい。出力ボタン320が選択された場合の処理については、
図6及び
図7のフローチャートに示した手順に限らない。例えば、出力されるデータを使用する他の会計ソフトウェアがオンラインのソフトウェアである場合、他の会計ソフトウェアのアカウントデータを記憶部11に記憶しておき、これによって自動ログインしてデータを渡すように連携されてもよい。
【0061】
図14は、「取引管理」の画面330の他の一例である。
図14では、管理対象データのレコードのうち、出力済みのレコードについてはマークが付される。また、他のオンラインの会計ソフトウェアに受け渡し済みのレコード(取引履歴)についても、
図14に示すように異なるマークが付されるとよい。これにより、他の連携対象の会計ソフトウェアとの連携が済んでいる取引履歴を識別可能である。
【0062】
クライアント装置1の処理部10は、「取引管理」の画面330にて、管理対象データとして選択された取引に基づき、資産の勘定科目ごとの内訳、税区分ごとの内訳など、グラフによって視覚化された画像を出力する機能(ダッシュボード機能)を有してもよい。ダッシュボード機能としては例えば、資産の増減、各時点で保有していた暗号資産量のスナップショット、管理会計的な機能(取引それぞれにタグ付けし、そのタグを軸とした分析結果)、ウォレット別又は暗号資産別の保有量や取得価額、損益などのグラフ化、保有しているNFT(Non-Fungible Token)の一覧表示等が含まれてもよい。
【0063】
更に、クライアント装置1の処理部10は、クライアントプログラムP1により、「設定」メニューで顧客IDに対応付けて設定されている期末のタイミングに、以下の処理を実行する。
図15は、期末に実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0064】
処理部10は、設定されている期末のタイミングが到来したか否かを判断する(ステップS301)。期末のタイミングが到来していないと判断された場合(S301:NO)、処理部10は処理をステップS301へ戻す。
【0065】
処理部10は、期末のタイミングが到来したと判断された場合(S301:YES)、期末の時点での顧客IDに紐づけられている暗号資産の保有量を参照する(ステップS302)。ステップS302において処理部10は、暗号資産の種類別(ETH,BTC)等に処理を実行するとよい。
【0066】
処理部10は、参照した暗号資産の保有量を用い、簿価を算出し(ステップS303)、期末用のデータとして出力し(ステップS304)、処理を終了する。ステップS303の簿価の算出方法は、上述した取得価額の算出方法について述べた通りである。ただし、期末の場合には、期末時価評価の仕訳の出力に該当し、厳密には取得価額と異なる。例えば、期末時点の取得価額は200,000円、簿価は1,000,000円であり、期末時点でのレートは300,000円/暗号資産単位、時価1,500,000円である場合の計算例は以下である。処理部10は、決算期末(決算月の末日)に借方の暗号資産を500,000円、貸方の暗号資産評価益を500,000円とする。処理部10は、洗替法により、期末時価評価分の戻し入れ仕訳を実施する。処理部10は、決算月の翌月初日には、借方の暗号資産評価損を500,000円、貸方の暗号資産を500,000円とする。処理部10は、期首の取得価額は、200,000円、簿価を1,000,000円と算出できる。
【0067】
これにより、期末時点で所有している暗号資産の価値を自動的に算出し、税法上の手続きに必要な仕訳の作成等、必要書面の作成が容易になる。
【0068】
(変形例)
上述の実施の形態において、「勘定科目」、「税区分」については、顧客自身が取引データに含まれる取引それぞれについて操作部14を操作して候補リスト324,325から選択する構成とした。しかしながら、これに限らず、クライアント装置1又はサーバ装置2の動作により、自動的に取引データに「勘定科目」、「税区分」を割り当てる処理を実行してもよい。
図16は、自動割り当て手順の一例を示すフローチャートである。
図16のフローチャートに示される処理手順は、
図6及び
図7のフローチャートに示した処理手順のうちのステップS106の処理の前に、実行される。
【0069】
処理部10は、管理対象データのうち、管理対象として選択されているレコードの取引先のウォレットアドレスを参照する(ステップS401)。処理部10は、過去の管理対象データから、ステップS401で参照したウォレットアドレスを取引先とするレコードを抽出する(ステップS402)。処理部10は、過去に同一の取引先のレコードを抽出できたか否かを判断し(ステップS403)、抽出できたと判断した場合(S403:YES)、抽出されたレコードに設定されている勘定科目、税区分を参照する(ステップS404)。処理部10は、参照した勘定科目、税区分を、対象のレコードの勘定科目、税区分に設定する(ステップS405)。
【0070】
処理部10は、管理対象として選択されているレコード全てについて処理を行なったか否かを判断し(ステップS406)、全てについて処理を行なったと判断した場合(S406:YES)、処理を終了する。全てについて処理を行なっていないと判断した場合(S406:NO)、処理部10は、処理をステップS401へ戻し、他のレコードについて取引先のウォレットアドレスを参照する処理から実行する。
【0071】
処理部10は、上述したように、レコードそれぞれについての勘定科目、税区分を推定してもよい。推定の方法は
図16のフローチャートを参照して説明した方法に限られず、取得価額、取引日時、チェーンの種類、手数料であるか否かといった内容に応じて実行されてもよい。処理部10は、言語に関する学習モデルを用い、取引データの他の項目や日時等を入力した場合に、「勘定科目」又は「税区分」を出力するように学習しておき、これらを用いてもよい。学習モデルは、クライアント装置1及びサーバ装置2に記憶して使用してもよいし、外部サービスのものを処理部10から呼び出して使用するようにしてもよい。言語に関する学習モデルの利用方法はこれに限らない。「設定」メニューにプロンプトを入力する画面を表示し、自動的に「勘定科目」又は「税区分」を割り当てるように自然言語で条件を与えるなどしてリクエストできるチャット式の指示を受け付けてもよい。同様にして、チャット式に各取引データにタグ付けを行なえるようにしてもよい。
【0072】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 クライアント装置
10 処理部
11 記憶部
P1,P8 クライアントプログラム(情報処理プログラム)
13 表示部
2 サーバ装置
20 処理部
21 記憶部
P2,P9 情報処理プログラム
8,9 記憶媒体