(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179269
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】磁気センサ装置
(51)【国際特許分類】
G01R 33/09 20060101AFI20241219BHJP
G01R 33/07 20060101ALI20241219BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20241219BHJP
G02B 7/28 20210101ALI20241219BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20241219BHJP
G01R 33/02 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G01R33/09
G01R33/07
G03B13/36
G02B7/28 Z
G03B5/00 J
G01R33/02 N
G01R33/02 L
G01R33/02 Z
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097982
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(74)【代理人】
【識別番号】100127177
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 貴子
(72)【発明者】
【氏名】山脇 和真
【テーマコード(参考)】
2G017
2H011
2H151
2K005
【Fターム(参考)】
2G017AA01
2G017AB05
2G017AC04
2G017AC06
2G017AD53
2G017AD55
2H011CA19
2H151FA76
2K005CA40
(57)【要約】
【課題】配線層の設計の自由度が高く、出力特性が安定した磁気センサ装置を提供する。
【解決手段】磁気センサ装置1は、第1層L1に形成された複数の磁気検出素子アレイ30と、第1層L1とは異なる第2層L2に形成され、複数の磁気検出素子アレイ30と電気的に接続された配線層4と、を備えている。複数の磁気検出素子アレイ30は、第1の磁気検出素子アレイ31及び第2の磁気検出素子アレイ32を含み、第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイ32とは、同数の磁気検出素子Eでそれぞれ構成され、第2層L2から第1層L1へ向かう面直方向Zにおいて、配線層4の輪郭O4に重なっている第1の磁気検出素子アレイ31の磁気検出素子E´の個数と、配線層4の輪郭O4に重なっている第2の磁気検出素子アレイ32の磁気検出素子E´の個数とが略同数である。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層に形成された複数の磁気検出素子アレイと、
前記第1層とは異なる第2層に形成され、前記複数の磁気検出素子アレイと電気的に接続された配線層と、を備え、
前記複数の磁気検出素子アレイは、第1の磁気検出素子アレイ及び第2の磁気検出素子アレイを含み、前記第1の磁気検出素子アレイと前記第2の磁気検出素子アレイとは、同数の磁気検出素子でそれぞれ構成され、
前記第2層から前記第1層へ向かう面直方向において、前記配線層の輪郭に重なっている前記第1の磁気検出素子アレイの磁気検出素子の個数と、前記配線層の輪郭に重なっている前記第2の磁気検出素子アレイの磁気検出素子の個数とが略同数である、
磁気センサ装置。
【請求項2】
第1層に形成された複数の磁気検出素子アレイと、
前記第1層とは異なる第2層に形成され、前記複数の磁気検出素子アレイと電気的に接続された配線層と、
前記第2層に形成され、前記複数の磁気検出素子アレイと電気的に接続されていないダミーパターンと、を備え、
前記複数の磁気検出素子アレイは、第1の磁気検出素子アレイ及び第2の磁気検出素子アレイを含み、前記第1の磁気検出素子アレイと前記第2の磁気検出素子アレイとは、同数の磁気検出素子でそれぞれ構成され、
前記第2層から前記第1層へ向かう面直方向において、前記配線層の輪郭に重なっている前記第1の磁気検出素子アレイの磁気検出素子の個数と、前記ダミーパターンの輪郭に重なっている前記第2の磁気検出素子アレイの磁気検出素子の個数とが略同数である、
磁気センサ装置。
【請求項3】
前記第1の磁気検出素子アレイ及び前記第2の磁気検出素子アレイは、ブリッジ回路の一部を構成するように出力ポートを挟んで直列に接続されている、
請求項1又は2に記載の磁気センサ装置。
【請求項4】
前記面直方向において、前記配線層に重なっている前記第1の磁気検出素子アレイの領域と、前記配線層に重なっている前記第2の磁気検出素子アレイの領域とが等積である、
請求項2に記載の磁気センサ装置。
【請求項5】
前記面直方向において、前記配線層に重なっている前記第1の磁気検出素子アレイの領域と、前記配線層に重なっている前記第2の磁気検出素子アレイの領域とが不等積である、
請求項1に記載の磁気センサ装置。
【請求項6】
前記面直方向において、前記配線層に重なっている前記第1の磁気検出素子アレイの領域と、前記ダミーパターンに重なっている前記第2の磁気検出素子アレイの領域とが等積である、
請求項2に記載の磁気センサ装置。
【請求項7】
前記面直方向において、前記配線層に重なっている前記第1の磁気検出素子アレイの領域と、前記ダミーパターンに重なっている前記第2の磁気検出素子アレイの領域とが不等積である、
請求項2に記載の磁気センサ装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の磁気センサ装置を備えた、
角度センサ。
【請求項9】
請求項1又は2に記載の磁気センサ装置を備えた、
磁気コンパス。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の磁気センサ装置を備えた、
電流センサ。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の磁気センサ装置を備えたオートフォーカス機構及び/又は光学式手振れ補正機構を含む、
カメラモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、磁気センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気センサ装置は、磁性材料で構成された磁気検出素子を備えている。磁性材料に外力を加えると逆磁歪効果によって磁場に対する応答が変動してしまう。とりわけ、トンネル磁気抵抗効果素子は、MR比が大きい優れた出力特性を有する反面、外力によって出力特性が変動しやすい。
【0003】
磁気センサ装置において、撓みのあるボンディングワイヤではなく撓みのない配線層によって磁気検出素子と外部とを導通するものも存在する。そのような磁気センサ装置では、温度変化によって膨張したり収縮したりする配線層の熱応力が磁気検出素子に作用するおそれがある。特許文献1には、半導体装置が加熱される際に配線層の熱変形に基づく応力が発生して配線層の応力がセンサ素子に到達するという課題を解決するべく、配線部が、センサ素子と半導体チップの厚さ方向に重ならない位置に配されている半導体装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかるに、特許文献1の半導体装置では、半導体チップの厚さ方向においてセンサ素子と重ならない位置に配線部を迂回させなければならないため、配線部のレイアウトが大きく制限されてしまう。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、配線層の設計の自由度が高く、出力特性が安定した磁気センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る磁気センサ装置は、第1層に形成された複数の磁気検出素子アレイと、第1層とは異なる第2層に形成され、複数の磁気検出素子アレイと電気的に接続された配線層と、を備えている。複数の磁気検出素子アレイは、第1の磁気検出素子アレイ及び第2の磁気検出素子アレイを含み、第1の磁気検出素子アレイと第2の磁気検出素子アレイとは、同数の磁気検出素子でそれぞれ構成され、第2層から第1層へ向かう面直方向において、配線層の輪郭に重なっている第1の磁気検出素子アレイの磁気検出素子の個数と、配線層の輪郭に重なっている第2の磁気検出素子アレイの磁気検出素子の個数とが略同数である。
【0008】
本開示の他の一態様に係る磁気センサ装置は、第1層に形成された複数の磁気検出素子アレイと、第1層とは異なる第2層に形成され、複数の磁気検出素子アレイと電気的に接続された配線層と、第2層に形成され、複数の磁気検出素子アレイと電気的に接続されていないダミーパターンと、を備えている。複数の磁気検出素子アレイは、第1の磁気検出素子アレイ及び第2の磁気検出素子アレイを含み、第1の磁気検出素子アレイと第2の磁気検出素子アレイとは、同数の磁気検出素子でそれぞれ構成され、第2層から第1層へ向かう面直方向において、配線層の輪郭に重なっている第1の磁気検出素子アレイの磁気検出素子の個数と、ダミーパターンの輪郭に重なっている第2の磁気検出素子アレイの磁気検出素子の個数とが略同数である。
【0009】
面直方向において配線層又はダミーパターンの輪郭に重なる位置は、配線層又はダミーパターンから熱応力の影響を受けやすい。これらの態様によれば、配線層又はダミーパターンの輪郭に重なっている磁気検出素子の個数が、第1の磁気検出素子アレイと第2の磁気検出素子アレイとで略同数であるため、第1の磁気検出素子アレイが受ける熱応力の影響と第2の磁気検出素子アレイが受ける熱応力の影響とが釣り合う。第1の磁気検出素子アレイと第2の磁気検出素子アレイとの間で抵抗比等が変化しにくいため、出力特性が安定した磁気センサを提供することができる。第1の磁気検出素子アレイ及び/又は第2の磁気検出素子アレイに重なるように配線層を配することができるため、全ての磁気検出素子アレイを迂回しなければならない場合と比べて配線層の設計の自由度を高めることができる。
【0010】
上記態様において、第1の磁気検出素子アレイ及び第2の磁気検出素子アレイは、ブリッジ回路の一部を構成するように出力ポートを挟んで直列に接続されていてもよい。
【0011】
後述するように、ブリッジ回路の並列回路を構成する第1の磁気検出素子アレイ及び第2の磁気検出素子アレイの抵抗比が変化すると、磁気センサ装置の出力特性が不安定になってしまう。この態様によれば、第1の磁気検出素子アレイが受ける熱応力の影響と第2の磁気検出素子アレイが受ける熱応力の影響とが釣り合うことにより、ブリッジ回路の平衡条件が変化しにくいため、磁気センサ装置の出力特性を安定させることができる。
【0012】
上記態様では、面直方向において、配線層に重なっている第1の磁気検出素子アレイの領域と、配線層に重なっている第2の磁気検出素子アレイの領域とが等積であってもよいし、不等積であってもよい。
【0013】
上記態様では、面直方向において、配線層に重なっている第1の磁気検出素子アレイの領域と、ダミーパターンに重なっている第2の磁気検出素子アレイの領域とが等積であってもよいし、不等積であってもよい。
【0014】
第1の磁気検出素子アレイ及び第2の磁気検出素子アレイが受ける熱応力の影響は、配線層又はダミーパターンに重なっている面積や形状ではなく、配線層又はダミーパターンの輪郭に重なっている磁気検出素子の個数によって左右される。これらの態様によれば、配線層又はダミーパターンに第1の磁気検出素子アレイ及び第2の磁気検出素子アレイが重なっている領域が等積になるように、第1の磁気検出素子アレイと第2の磁気検出素子アレイとに対称に配線層を配することができる。配線層又はダミーパターンに第1の磁気検出素子アレイ及び第2の磁気検出素子アレイが重なっている領域が不等積になるように、第1の磁気検出素子アレイと第2の磁気検出素子アレイとに非対称に配線層を配することもできる。配線層の設計の自由度をより一層高めることができる。
【0015】
上記態様において、角度センサが磁気センサ装置を備えていてもよいし、磁気コンパスが磁気センサ装置を備えていてもよいし、電流センサが磁気センサ装置を備えていてもよいし、カメラモジュールのオートフォーカス機構及び/又は光学式手振れ補正機構が磁気センサ装置を備えていてもよい。
【0016】
これらの態様によれば、磁気センサ装置を種々の目的に応用できる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、配線層の設計の自由度が高く、出力特性が安定した磁気センサ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る磁気センサ装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示された磁気センサ装置の内部構造の一例を模式的に示す断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示された磁気センサ装置の製造プロセスを説明する斜視図である。
【
図4】
図4は、角度センサとして構成された磁気センサ装置の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、磁気コンパスとして構成された磁気センサ装置の一例を示す平面図である。
【
図6】
図6は、電流センサの一部として用いられた磁気センサ装置の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図6に示された電流センサの回路構成を示す図である。
【
図8】
図8は、カメラモジュールのオートフォーカス機構及び光学式手振れ補正機構の一部として用いられた磁気センサ装置の一例を示す斜視図である。
【
図9】
図9は、
図8に示されたカメラモジュールの内部構造を示す断面図である。
【
図10】
図10は、シミュレーションのモデルを面直方向から見た平面図である。
【
図11】
図11は、シミュレーションのモデルを面直方向に直交するXY平面に沿って見た断面図である。
【
図13】
図13は、磁気検出素子アレイの間で熱応力の影響が釣り合うように構成された第1の例を示す平面図である。
【
図14】
図14は、磁気検出素子アレイの間で熱応力の影響が釣り合うように構成された第2の例を示す平面図である。
【
図15】
図15は、磁気検出素子アレイの間で熱応力の影響が釣り合うように構成された第3の例を示す平面図である。
【
図16】
図16は、磁気検出素子アレイの間で熱応力の影響が釣り合うように構成された第4の例を示す平面図である。
【
図17】
図17は、磁気検出素子アレイの間で熱応力の影響が釣り合うように構成された第5の例を示す平面図である。
【
図18】
図18は、
図13~
図17との対比のために示す、磁気検出素子アレイの間で熱応力の影響が釣り合わない例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
添付図面を参照して、好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
図1は、一実施形態に係る磁気センサ装置1を示す斜視図である。図示した例では、磁気センサ装置1が、支持基板2、センサチップ3、配線層4、封止樹脂5、電極6等を備えている。一台の磁気センサ装置1が複数のセンサチップ3を備えていてもよい。
【0020】
図1に示すように、支持基板2は、第1面2Aと該第1面2Aとは反対側の第2面2Bを有する平板状に形成されている。以下の説明において、支持基板2の厚さ方向を面直方向Zあるいは上下方向Zと称し、第2面2Bから第1面2Aへの向きを上向きと称し、第1面2Aから第2面2Bへの向きを下向きと称する。第1面2Aは、面直方向Zに直交するXY平面に沿って平行に延在している。
【0021】
図2は、
図1に示された磁気センサ装置1の内部構造の一例を模式的に示す断面図である。図示した例では、支持基板2がASIC(Application Specific Integrated Circuit,特定用途向け集積回路)であり、配線層4と電気的に接続された電極2Eが第1面2Aに設けられている。支持基板2はASICに限定されず、シリコン基板やサファイア基板であってもよい。それらの基板に集積回路を含まない配線のみが形成された中継基板(インターポーザ)であってもよい。
【0022】
センサチップ3は、支持基板2の第1面2Aに接着剤等で固定されている。
図2に示すように、センサチップ3は、センサ基板10、該センサ基板10に設けられた複数の磁気検出素子アレイ30、各々の磁気検出素子アレイ30を囲む保護膜20等を備えている。
【0023】
センサ基板10は、例えばシリコン基板であり、支持基板2の第1面2Aと保護膜20との間に配されている。磁気センサ装置1の構成は図示した例に限定されず、センサ基板10を省略し、支持基板2と磁気検出素子アレイ30とをフォトリソグラフィにより一体的構造物として構成したモノリシック構造であってもよい。保護膜20は、シリカ(二酸化ケイ素 SiO2)を主成分とする無機膜であってもよいし、シリカを主成分とする無機膜とアルミナ(酸化アルミニウム Al2O3)を主成分とする無機膜との積層膜であってもよい。
【0024】
各々の磁気検出素子アレイ30は、数珠繋ぎに接続されてマトリクス状に配列された複数の磁気検出素子E(
図13に示す)で構成されている。磁気検出素子Eの一例は、TMR(トンネル磁気抵抗効果 Tunnel magnetoresistance effect)素子である。磁気検出素子Eは、TMR素子に限定されず、GMR(巨大磁気抵抗効果 Giant magnetoresistance effect)素子であってもよいし、AMR(異方性磁気抵抗 Anisotropic magnetoresistance effect)素子であってもよいし、ホール素子であってもよいし、他種の磁気検出素子であってもよい。TMR素子は、他種のMR素子と比べて接合面積が小さくセンサチップ3を小型化でき、MR比が大きくセンサチップ3の出力を大きくできるため、磁気検出素子Eにとりわけ好適である。
【0025】
磁気検出素子アレイ30は、支持基板2の第1面2A側に配され、支持基板2の第1面2A側の第1層L1に形成されている。配線層4は、支持基板2の第1面2A側に配され、第1層L1とは異なる第2層L2に形成されている。後述するダミーパターン4D(
図14に示す)も、配線層4と同様に第2層L2に形成されている。
【0026】
第2層L2は、第1層L1とは異なる層であれば特に限定されず、複数の層であってもよい。例えば、第2層L2は、後述する第1樹脂層51(
図3に示す)の上面であってもよいし、第2樹脂層52(
図3に示す)の上面であってもよい。第2層L2はいずれも、第1層L1よりも支持基板2から遠位にある。第1層L1から第2層L2に向かう方向は、前述した面直方向Zに一致する。
【0027】
配線層4は、支持基板2の第1面2Aに沿って平行に延在し、面直方向Zに延在する複数のビア40を介して支持基板2の電極2Eとセンサチップ3の上面3Aに設けられた電極3Eとを電気的に接続している。配線層4は、面直方向Zにおいてセンサ基板10に部分的に重なるように配されている。
【0028】
封止樹脂5は、支持基板2の第1面2A側に配され、センサチップ3及び配線層4を被覆している。封止樹脂5は、支持基板2の第1面2Aに沿って平行に延在する複数の樹脂層51,52,53(
図3に示す)が積層されて構成されている。配線層4及びダミーパターン4D(
図14に示す)は、例えば、樹脂層51,52の上面に設けられた銅めっきである。電極6は、例えばはんだボールや銅ピラーであり、配線層4と電気的に接続され、封止樹脂5から露出している。
【0029】
図3は、
図1に示された磁気センサ装置1の製造プロセスを説明する斜視図である。
図3(A)に示すように、支持基板2の第1面2Aにセンサチップ3を接着剤等で固定する。
図3(B)に示すように、センサチップ3及び支持基板2の第1面2Aを覆うように樹脂層(第1樹脂層)51を形成し、電極2E,3E(
図10に示す)の位置にビア40(
図2に示す)のための貫通孔40Pを開口させる。
【0030】
図3(C)に示すように、スパッタリング等によりシード層を成膜し、めっきによりビア40及び第1配線層41を形成する。これらのプロセスは、サブトラクティブ法であってもよいし、アディティブ法であってもよい。
図3(D)に示すように、ビア40、第1配線層41及び樹脂層51を覆うように樹脂層(第2樹脂層)52を形成し、ビア40のための貫通孔40Pを開口させる。
【0031】
図3(E)に示すように、
図3(C)と同様のプロセスによってビア40及び第2配線層42を形成する。
図3(F)に示すように、ビア40、第2配線層42及び樹脂層52を覆うように樹脂層(第3樹脂層)53を形成し、電極6のための貫通孔6Pを開口させる。
図3(G)に示すように、貫通孔6Pにはんだ等を充填して電極6を形成する。
図3(A)~(G)に示された手順により、別々に用意した支持基板2とセンサチップ3とを電気的に接続して
図1に示された磁気センサ装置1を得ることができる。
【0032】
図4は、検出対象の角度に対応した検出値を生成する角度センサとして構成された磁気センサ装置1の一例を示す図である。図示した例では、磁気センサ装置1が、円柱の中心軸Oを回転軸として回転可能な磁石300の角度を検出する角度センサとして構成されている。図示した例では、X方向、Y方向及びZ方向が互いに直交し、中心軸OがZ方向に平行である。
【0033】
磁気センサ装置1は、磁石300が発生する磁界であって磁気センサ装置1に印加される磁界成分MFのX方向に平行な方向の第1の成分を検出し、第1の成分の強度を表す第1の検出信号を生成するとともに、磁石300が発生する磁界のY方向に平行な方向の第2の成分を検出し、第2の成分の強度を表す第2の検出信号を生成する。図示しないプロセッサは、第1の検出信号と第2の検出信号との比のアークタンジェントを計算することにより、磁石300が発生する磁界が基準方向DRに対してなす角度θを算出する。
【0034】
図5は、地磁気の角度に対応した検出値を生成する磁気コンパスとして構成された磁気センサ装置1の一例を示す図である。
図5に示すように、磁気センサ装置1は、三つのセンサチップ3(第1~第3センサチップ3X,3Y,3Z)を備え、外部磁界の互いに直交する三方向の成分を第1~第3センサチップ3X,3Y,3Zがそれぞれ検出するように構成されている。
【0035】
図6は、検出対象の電流値に対応した検出値を生成する電流センサ400の一部として用いられた磁気センサ装置1の一例を示す図である。図示した例では、電流センサ400は、バスバー410を流れる電流Itgの値を検出するように構成されている。バスバー410の周囲には、電流Itgによって磁界MFが発生する。電流センサ400は、磁界MFが印加される位置であってバスバー410の近傍に配置されている。
【0036】
図7は、
図6に示された電流センサ400の回路構成を示す図である。図示した例では、電流センサ400が、磁気平衡式電流センサとして構成されている。電流センサ400は、磁気センサ装置1に加え、コイル420を備えている。コイル420は、磁界MFの第1の磁界MF1を相殺する第2の磁界MF2を発生するためのものである。磁気センサ装置1は、第1の磁界MF1と第2の磁界MF2との残差の磁界を検出し、当該磁界の強度に応じた磁界検出値Sを生成する。
【0037】
電流センサ400は、フィードバック回路430、電流検出器440等を更に備えている。フィードバック回路430は、磁界検出値Sに基づいて第2の磁界MF2を発生させるためのフィードバック電流をコイル420に流す。電流検出器440は、コイル420に流れるフィードバック電流の値を検出する。電流検出器440は、例えば、フィードバック電流の電流路に挿入された抵抗器である。その場合、抵抗器の両端の電位差がフィードバック電流の検出値に相当する。フィードバック電流の検出値は、バスバー410の電流Itgの値と比例関係にあるため、フィードバック電流の検出値から電流Itgの値を検出することができる。
【0038】
本開示の磁気センサ装置1は、情報機器等の電子機器に搭載されて地磁気を検出する磁気コンパスとして用いてもよいし、カメラモジュールのオートフォーカス機構や光学式手振れ補正機構の一部として用いてもよいし、磁石から発生する磁界が基準方向に対してなす角度を検出する角度センサとして構用いてもよいし、バスバーを流れる電流の値を検出する電流センサの一部として用いてもよい。
【0039】
図8は、カメラモジュール200のオートフォーカス機構及び光学式手振れ補正機構の一部として用いられた磁気センサ装置1の一例を示す斜視図である。
図9は、
図8に示されたカメラモジュール200の内部構造を示す断面図である。カメラモジュール200のオートフォーカス機構及び光学式手振れ補正機構は、レンズ220を移動させる駆動装置230を備え、複数の磁気センサ装置1が検出したレンズ220の位置情報に基づいて駆動装置230を制御する。
【0040】
詳しく述べると、オートフォーカス機構は、イメージセンサやオートフォーカスセンサ等によって被写体に焦点が合った状態を検出し、レンズをイメージセンサに対してZ方向に移動させる。光学式手振れ補正機構は、ジャイロセンサ等によって手振れを検出し、レンズをイメージセンサに対してU方向及び/又はV方向に移動させる。
【0041】
図8に示されたカメラモジュール200は、CMOS等のイメージセンサ210、イメージセンサ210に対して位置合わせされるレンズ220、イメージセンサ210に対してU方向及びV方向に移動可能な第1保持部材241、第1保持部材241に対してZ方向に移動可能な第2保持部材242、第1保持部材241及び第2保持部材242を支持する弾性変形可能な複数のワイヤ244、第1保持部材241及び第2保持部材242を移動させる駆動装置230、それらを収容する筐体250等を備えている。
【0042】
カメラモジュール200のオートフォーカス機構及び光学式手振れ補正機構は、駆動装置230、複数の磁気センサ装置1に加え、駆動装置230を制御するプロセッサ、被写体に焦点が合った状態を検出するオートフォーカスセンサ、手振れを検出するジャイロセンサ等を備えている。図示しないプロセッサ、オートフォーカスセンサ、ジャイロセンサ等は、筐体の外部に配置されている。
【0043】
レンズ220は、筒状に形成された第2保持部材242の内部に固定されている。第2保持部材242は、箱状に形成された第1保持部材241にレンズ220ごと収容されている。第2保持部材242には、少なくとも一つの磁気センサ装置1が第2保持部材242の位置情報を検出するために、少なくとも一つの第2磁石243が固定されている。
【0044】
駆動装置230は、複数の第1コイル231、複数の第2コイル232、複数の第1磁石233等を備えている。筐体250には、複数の第1コイル231が固定されている。第2保持部材242には、複数の第2コイル232が固定されている。第1保持部材241には、複数の第1磁石233が固定されている。複数の第1コイル231の各々は、対応する第1磁石233に対向している。複数の第2コイル232の各々は、対応する第1磁石233に対向している。
【0045】
オートフォーカス機構の場合、プロセッサからの指令で任意の第2コイル232に電流が流れると、第1磁石233から発生する磁界と第2コイル232から発生する磁界との相互作用によって、第2コイル232に固定されている第2保持部材242が、Z方向に移動する。少なくとも一つの磁気センサ装置1は、第2保持部材242に固定された少なくとも一つの第2磁石243から発生する磁界と第1保持部材241に固定された第1磁石233から発生する磁界とが合成された合成磁界に基づいて検出信号を生成し、プロセッサに送信する。プロセッサは、検出信号からZ方向におけるレンズ220の位置情報を検出し、被写体に焦点が合うように駆動装置230を制御する。
【0046】
光学式手振れ補正機構の場合、プロセッサからの指令で任意の第1コイル231に電流が流れると、第1磁石233から発生する磁界と第1コイル231から発生する磁界との相互作用により、第1磁石233に固定されている第1保持部材241がU方向及び/又はV方向に移動する。複数の磁気センサ装置1の各々は、対応する第1磁石233の位置に基づいて検出信号を生成し、プロセッサに送信する。プロセッサは、検出信号からU方向及びV方向におけるレンズ220の位置情報を検出し、手振れを補正するように駆動装置230を制御する。
【0047】
続いて、
図10~
図18を参照して本開示の磁気センサ装置1について詳しく説明する。
図10は、シミュレーションのモデルを面直方向Zから見た平面図であり、センサチップ3の上面3Aにプロットした位置P=0~14を示している。
図10に示すように、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ100μm四方の配線層4の中心の直下の位置をP=0とし、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ10μmずつ移動させ、P=1,2,3,…14としてプロットしている。例えば、P=14は、P=0からX軸方向及びY軸方向にそれぞれ140μmずつ離れた位置にある。
【0048】
図11は、シミュレーションのモデルを面直方向Zに直交するXY平面に沿って見た断面図である。
図12は、
図10に示された位置Pの
図11に示された距離Qの各々においてシミュレーションした角度誤差を示す図であり、横軸として、
図10に示された位置Pを0~14の15パターンに変化させ、縦軸として、
図11に示されたセンサチップ3の上面3Aから配線層4までの距離Qを1μ,2μm,3μm,5μm,8μm,10μm,15μm,20μmの8パターンに変化させて、磁気センサ装置1に所定の応力値を加えた場合のシミュレーション結果をプロットしている。
【0049】
図12に示すように、センサチップ3の上面3Aから配線層4までの距離Qが近いほど角度誤差が最も大きくなる傾向がある。いずれの距離Qであっても面直方向Zにおいて配線層4の輪郭O4に重なる位置P=5及びその近傍の位置P=6において角度誤差が最も大きくなる。磁気検出素子アレイ30がこれらの位置にあると、配線層4からの熱応力の影響を受けやすい。
【0050】
図13~
図17は、第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイ32との間で配線層4からの熱応力の影響が釣り合うように構成された例を示す平面図である。本開示の磁気センサ装置1は、第1層L1(
図2に示す)に形成された複数の磁気検出素子アレイ30を備えている。図示した例では、複数の磁気検出素子アレイ30が、第1乃至第4の磁気検出素子アレイ31,32,33,34を含んでいる。
【0051】
図13~
図17に示した例では、二つの並列回路によりブリッジ回路が構成されている。第1の磁気検出素子アレイ31及び第2の磁気検出素子アレイ32は、ブリッジ回路の一方の並列回路を構成するように出力ポートAを挟んで直列に接続され、第3の磁気検出素子アレイ33及び第4の磁気検出素子アレイ34は、ブリッジ回路の他方の並列回路を構成するように出力ポートBを挟んで直列に接続されている。出力ポートA,Bは、電極2Eに接続されている。
【0052】
図13~
図17に示すように、本開示の磁気センサ装置1は、第1の磁気検出素子アレイ31が受ける熱応力の影響と第2の磁気検出素子アレイ32が受ける熱応力の影響とが釣り合うように、面直方向Zに沿って見た平面視において、配線層4又はダミーパターン4Dの輪郭O4,ODに重なっている磁気検出素子E´の個数が、第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイ32とで略同数になるように構成されていることが特徴の一つである。
【0053】
例えば、
図13~
図15に示した第1~第3の例では、面直方向Zにおいて、第1の磁気検出素子アレイ31及び第2の磁気検出素子アレイ32の各々に配線層4の輪郭O4が重なっている。配線層4の輪郭O4に重なっている磁気検出素子E´の個数は、第1の磁気検出素子アレイ31及び第2の磁気検出素子アレイ32のどちらも六個であって同数になっている。
【0054】
例えば、
図16~
図18に示した第4~第5の例では、面直方向Zにおいて、第1の磁気検出素子アレイ31に配線層4の輪郭O4が重なり、第2の磁気検出素子アレイ32にダミーパターン4Dが重なっている。配線層4の輪郭O4に重なっている第1の磁気検出素子アレイ31内の磁気検出素子E´の個数と、面直方向Zにおいてダミーパターン4Dの輪郭ODに重なっている第2の磁気検出素子アレイ32内の磁気検出素子E´の個数とは、どちらも八個であって同数になっている。
【0055】
前述したように、複数の磁気検出素子アレイ30の各々は、マトリクス状に配列された複数の磁気検出素子Eで構成されている。各々の磁気検出素子30において、複数の磁気検出素子Eは、直列に接続されている。図示した例では、各々の磁気検出素子30において、複数の磁気検出素子Eが等間隔に並べられている。磁気検出素子アレイ30と電極3Eとの間は、第1層L1に形成された配線Wで電気的に接続されている。磁気検出素子アレイ30と他の磁気検出素子アレイ30との間も配線Wで電気的に接続されている。
【0056】
本開示の磁気センサ装置1は、第1の磁気検出素子アレイ31が受ける熱応力の影響と第2の磁気検出素子アレイ32が受ける熱応力の影響とが釣り合っていればよい。そのため、第1の磁気検出素子アレイ31及び第2の磁気検出素子アレイ32の各々が多数の磁気検出素子Eを含む場合、配線層4又はダミーパターン4Dの輪郭O4,ODに重なっている磁気検出素子E´の個数が、第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイ32とで厳密に同数ではなく若干の差異があってもよい。例えば、磁気検出素子アレイ30が四十個の磁気検出素子Eを含む場合、輪郭O4に重なっている磁気検出素子E´が一個存在しても、熱応力の影響は1/40に薄まる。そのため、第1の磁気検出素子アレイ31及び第2の磁気検出素子アレイ32の各々が四十個以上の磁気検出素子Eを含む場合、輪郭O4,ODに重なっている磁気検出素子E´の個数が一個程度違っていてもよい。
【0057】
前述したように、ダミーパターン4Dは、配線層4と同様に第2層L2に形成されている。ただし、ダミーパターン4Dは、配線層4とは異なり複数の磁気検出素子アレイ30と電気的に接続されていない。また、ダミーパターン4Dは、配線層4とも電気的に接続されていない。
【0058】
図18は、
図13~
図17との対比のために示す、第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイ32との間で配線層4の熱応力の影響が釣り合わない磁気センサ装置101の一例を示す平面図である。
図18に示された比較例の磁気センサ装置101では、面直方向Zにおいて、配線層104の輪郭O4に重なっている磁気検出素子E´の個数が、第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイ32とで略同数ではない。
【0059】
配線層104の輪郭O4に重なっている第1の磁気検出素子アレイ31の磁気検出素子E´は十二個であり、配線層104の輪郭O4に重なっている第2の磁気検出素子アレイ32の磁気検出素子E´は二個であり、十個の差異がある。
図12を参照して説明したように、面直方向Zにおいて、配線層4(配線層104)の輪郭O4に重なる位置では再配線4の熱応力の影響を受けやすい。
【0060】
比較例の磁気センサ装置101では、影響を受けやすい磁気検出素子E´の個数に大きな差異があるため、第1の磁気検出素子アレイ31が受ける熱応力の影響と第2の磁気検出素子アレイ32が受ける熱応力の影響とが釣り合わず、磁気検出素子アレイ30の出力特性が悪化するおそれがある。
【0061】
これに対し、
図13~
図17に示した本開示の例では、面直方向Zにおいて、配線層4又はダミーパターン4Dの輪郭O4,ODに重なっている磁気検出素子E´の個数が、第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイ32とで略同数であるため、第1の磁気検出素子アレイ31が受ける熱応力の影響と第2の磁気検出素子アレイ32が受ける熱応力の影響とが釣り合う。第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイ32との間で抵抗比等が変化しにくいため、磁気センサ装置1の磁気検出素子30の出力特性が安定する。例えば、角度センサとして磁気センサ装置1を構成した場合、
図12に示すように角度誤差を小さくできる。
【0062】
前述したように、第1の磁気検出素子アレイ31及び第2の磁気検出素子アレイ32は、ブリッジ回路の一方の並列回路を構成している。第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイ32との間で抵抗比等が変化しにくいと、ブリッジ回路の平衡条件が変化しにくい。そのため、磁気センサ装置1の出力特性を安定させることができる。
【0063】
第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイ32とは、同数の磁気検出素子Eで構成されており互いに等積(面積が等しいことをいう。以下同じ。)である。本開示の例では、面直方向Zにおいて、配線層4又はダミーパターン4Dに重なっている領域の面積が、第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイの領域とで等積であってもよいし、不等積(面積が等しくないことをいう。以下同じ。)であってもよい。
【0064】
例えば、
図13に示した第1の例では、配線層4に重なっている第1の磁気検出素子アレイ31の領域の面積は、第1の磁気検出素子アレイ31の全体の面積の58%であり、配線層4に重なっている第2の磁気検出素子アレイ32の領域の面積は、第2の磁気検出素子アレイ32の全体の面積の58%である。面直方向Zにおいて、配線層4に重なっている領域の面積が、第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイの領域とで等積になっている。また、等積の領域の形状は、対称性を有している。図した例では、等積の領域の形状が点対称である。図示しないが、等積の領域の形状は線対称であってもよい。
【0065】
これに対し、
図14に示した第2の例では、配線層4に重なっている第1の磁気検出素子アレイ31の領域の面積は、第1の磁気検出素子アレイ31の全体の面積の58%であり、配線層4に重なっている第2の磁気検出素子アレイ32の領域の面積は、第2の磁気検出素子アレイ32の全体の面積の4.5%である。面直方向Zにおいて、配線層4に重なっている領域の面積が、第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイの領域とで不等積になっている。ただし、前述したように、配線層4の輪郭O4に重なっている磁気検出素子E´の個数は、第1の磁気検出素子アレイ31及び第2の磁気検出素子アレイ32のどちらも六個であって同数になっている。
【0066】
第2の例と同様に、
図15に示した第3の例では、配線層4に重なっている第1の磁気検出素子アレイ31の領域の面積は、第1の磁気検出素子アレイ31の全体の面積の58%であり、配線層4に重なっている第2の磁気検出素子アレイ32の領域の面積は、第2の磁気検出素子アレイ32の全体の面積の21%であり、不等積になっている。ただし、前述したように、配線層4の輪郭O4に重なっている磁気検出素子E´の個数は、第1の磁気検出素子アレイ31及び第2の磁気検出素子アレイ32のどちらも六個であって同数になっている。第3の例では、第1の例及び第2の例とは異なり、配線層4に重なっている第2の磁気検出素子アレイ32の領域が複数の領域に分割されている。
【0067】
また、例えば、
図16に示した第4の例では、配線層4に重なっている第1の磁気検出素子アレイ31の領域の面積は、第1の磁気検出素子アレイ31の全体の面積の46%であり、ダミーパターン4Dに重なっている第2の磁気検出素子アレイ32の領域の面積は、第2の磁気検出素子アレイ32の全体の面積の46%である。面直方向Zにおいて、配線層4又はダミーパターン4Dに重なっている領域の面積が、第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイの領域とで等積になっている。前述した第1の例と同様に、等積の領域の形状は、対称性を有している。
【0068】
これに対し、
図17に示した第5の例では、配線層4に重なっている第1の磁気検出素子アレイ31の領域の面積は、第1の磁気検出素子アレイ31の全体の面積の46%であり、ダミーパターン4Dに重なっている第2の磁気検出素子アレイ32の領域の面積は、第2の磁気検出素子アレイ32の全体の面積の60%である。面直方向Zにおいて、配線層4又はダミーパターン4Dに重なっている領域の面積が、第1の磁気検出素子アレイ31と第2の磁気検出素子アレイの領域とで不等積になっている。ただし、前述したように、配線層4又はダミーパターン4Dの輪郭O4,ODに重なっている磁気検出素子E´の個数は、第1の磁気検出素子アレイ31及び第2の磁気検出素子アレイ32のどちらも八個であって同数になっている。
【0069】
以上説明した実施形態は、本開示の理解を容易にするためのものであり、本開示を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0070】
1…磁気センサ装置、2…支持基板、2A…第1面、2B…第2面、2E…電極、3…センサチップ、3A…上面、3E…電極、3X…第1センサチップ、3Y…第2センサチップ、3Z…第3センサチップ、4…配線層、4D…ダミーパターン、5…封止樹脂、6…電極、6P…貫通孔、10…センサ基板、20…保護膜、30…磁気検出素子アレイ、31…第1の磁気検出素子アレイ、32…第2の磁気検出素子アレイ、33…第3の検出素子アレイ、34…第4の磁気検出素子アレイ、40…ビア、40P…貫通孔、41…第1配線層、42…第2配線層、51~53…樹脂層、101…比較例の磁気センサ装置、104…比較例の配線層、200…カメラモジュール、210…イメージセンサ、220…レンズ、230…駆動装置、231…第1コイル、232…第2コイル、233…第1磁石、241…第1保持部材、242…第2保持部材、243…第2磁石、244…ワイヤ、250…筐体、300…磁石、400…電流センサ、410…バスバー、420…コイル、430…フィードバック回路、440…電流検出器440、A,B…出力ポート、DR…基準方向、E…磁気検出素子、E´…配線層又はダミーパターンの輪郭に重なっている磁気検出素子、Itg…電流、L1…第1層、L2…第2層、MF…磁界、MF1…第1の磁界、MF2…第2の磁界、O…中心軸、O4…配線層の輪郭、OD…ダミーパターンの輪郭、P…位置、Q…距離、S…磁界検出値、U,V…手振れの方向、W…配線、X…左右方向、Y…前後方向、Z…面直方向、θ…角度。