(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179272
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】搬送用具回転装置および洗浄装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/14 20060101AFI20241219BHJP
B65G 59/02 20060101ALI20241219BHJP
B08B 3/02 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B65G47/14 V
B65G59/02 Z
B08B3/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023097985
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】福井 健太
(72)【発明者】
【氏名】山本 橘花
【テーマコード(参考)】
3B201
3F030
3F080
【Fターム(参考)】
3B201AA26
3B201AA46
3B201AB14
3B201BB22
3B201BB94
3B201BB98
3B201CC12
3F030AA04
3F030BA02
3F080AA23
3F080BA05
3F080BE06
3F080BF24
3F080CE03
3F080CG02
(57)【要約】
【課題】簡易な構造で、段バラシと反転を同時に行うことのできる装置を実現する。
【解決手段】搬送用具(P)を回転させる搬送用具回転装置(100)は、昇降可能な支持台(20)と回転ユニット(10)とを備える。回転ユニット(10)は、搬送用具(P)の載置領域(R)に隣接して位置し搬送用具(P)の水平方向への移動を制限する回転シャフト軸(11)と、回転シャフト軸(11)を軸として回動し引っ掛け具(13)を有する回動アーム(12)とを有している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
段積み可能な搬送用具を、前記搬送用具の底面に平行な仮想軸を軸として回転させる搬送用具回転装置であって、
上面に前記搬送用具を載置する載置領域を有し、昇降動作可能な支持台と、
前記支持台よりも上方に位置する回転ユニットと、を備え、
前記回転ユニットは、
上面視において前記載置領域に隣接して位置し、前記搬送用具の水平方向への移動を制限する回転シャフト軸と、
前記回転シャフト軸と前記載置領域を挟んで反対側に位置し、前記回転シャフト軸を軸として回動する回動アームと、を有しており、
前記回動アームは、前記搬送用具の外縁の少なくとも一部に位置する係止部に引っ掛け可能な引っ掛け具を有している、搬送用具回転装置。
【請求項2】
前記回転シャフト軸と、前記回動アームとの距離が調節可能に構成されている、請求項1に記載の搬送用具回転装置。
【請求項3】
前記引っ掛け具は、前記支持台の上昇動作に伴う、前記引っ掛け具の下方から上方への前記搬送用具の移動を許容し、前記引っ掛け具の上方に移動した前記搬送用具が下方へ移動することを許容しない、アンチバック構造を有している、請求項1に記載の搬送用具回転装置。
【請求項4】
前記搬送用具を、90°以上180°以下の角度で回転させる、請求項1に記載の搬送用具回転装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送用具回転装置を備える洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送用具を回転させる搬送用具回転装置および当該搬送用具回転装置を備える洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、通い箱を洗浄する洗浄装置が開示されている。このような洗浄装置によって洗浄される通い箱は、通常、開口部を上方に向け、段積みされた(重ねられた)状態で洗浄装置まで搬送されてくる。そのため、特許文献1に記載の搬入コンベヤのような搬送機構に載置するには、1つ1つに分ける段バラシ操作が必要となる。また、洗浄装置内では開口部を下方に向けた状態で洗浄が行われるため、容器を反転させる操作も必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、段バラシ操作と、反転操作を行うために、複雑な構造の装置を必要としていた。本発明の一態様は、簡易な構造で、段バラシと反転を同時に行うことのできる装置を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る搬送用具回転装置は、段積み可能な搬送用具を、前記搬送用具の底面に平行な仮想軸を軸として回転させる搬送用具回転装置であって、上面に前記搬送用具を載置する載置領域を有し、昇降動作可能な支持台と、前記支持台よりも上方に位置する回転ユニットと、を備え、前記回転ユニットは、上面視において前記載置領域に隣接して位置し、前記搬送用具の水平方向への移動を制限する回転シャフト軸と、前記回転シャフト軸と前記搭載領域を挟んで反対側に位置し、前記回転シャフト軸を軸として回動する回動アームと、を有しており、前記回動アームは、前記搬送用具の外縁の少なくとも一部に位置する係止部に引っ掛け可能な引っ掛け具を有している。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、簡易な構造で、段バラシと反転を同時に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施形態1に係る搬送用具回転装置および洗浄装置の概略側面図である。
【
図2】本開示の実施形態1に係る回転ユニットの概略側面図である。
【
図3】本開示の実施形態1に係る回転ユニットの概略正面図である。
【
図4】本開示の実施形態1に係る搬送用具回転装置の概略上面図である。
【
図5】本開示の実施形態1に係る引っ掛け具の作動図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一態様に係る回転装置100および当該回転装置100を備える洗浄装置900について、
図1~
図5を用いて詳細に説明する。図面において、地面(設置面)に直交する方向をZ軸方向とし、上方向をZ軸正方向とする。また、洗浄装置900における搬送用具の進行方向をX軸正方向とする。X軸正方向を前方、X軸負方向を後方と称することもある。Y軸方向は、Z軸およびX軸と直交する方向である。
【0009】
実施形態1に係る回転装置100は、本開示に係る搬送用具回転装置の一例である。回転装置100は、搬送用具を、搬送用具の底面に平行な仮想軸を軸として回転させる装置である。換言すると、回転装置100は、搬送用具を反転させる装置である。
【0010】
図1は回転装置100および洗浄装置900の概略側面図を示す。洗浄装置900については、一部のみ図示している。
図2は後述する回転ユニット10の概略側面図である。
図1および
図2は、Y軸負方向から見たときの側面図を示している。
図3は、回転ユニット10の概略正面図である。正面図とは、X軸負方向から見たときの図である。
図3は、回転ユニット10が、
図1の破線で示されている状態であるときの図である。
図4は、回転装置100の概略上面図である。上面図とは、Z軸方向から見たときの図である。
【0011】
〔洗浄装置900〕
洗浄装置900は、搬送用具を洗浄する装置である。実施形態1では、搬送用具がパンなどの運搬によく用いられる番重Pである場合について説明する。番重Pは、本開示に係る搬送用具の一例である。本開示に係る搬送用具は、番重Pに限定されず、段積み可能な搬送用具であればよい。例えば、搬送用具は、物品を搬送する容器またはパレットであってよい。物品を搬送する容器は、番重Pのように、物品を収容する本体部と、本体部から外側に突出する外縁部(係止部)と、を有する容器であってよい。
【0012】
洗浄装置900は、例えば、受入部と、搬送部と、洗浄部と、乾燥部と、搬出部とを備えていてもよい。受入部は、洗浄装置900の最上流に位置し、段積みされた番重Pを受け入れる部分である。また、受入部は、段積みされた番重Pを、個々に分け(段バラシして)、洗浄装置900内において番重Pを搬送する搬送部に載置する、段バラシ装置を備えていてもよい。回転装置100は、洗浄装置900の受入部において、段バラシ装置として用いられ得る。回転装置100の詳細な構成については後述する。
【0013】
図1には、受入部(回転装置100)と、受入部において段バラシされた番重Pを搬送するコンベヤ800(搬送部)とが示されている。コンベヤ800は、例えば、ベルトコンベヤ、チェーンコンベヤ、またはローラーコンベヤであってよい。コンベヤ800は、モータなどの駆動手段(不図示)に連結されており、モータを駆動することでコンベヤ800が作動し、番重Pを所定の速度で運搬することができる。コンベヤ800の高さは、任意に設計され得るが、例えば、コンベヤ800の上面が、地上から1000mm程度の高さに位置していてもよい。当該高さに設定されることにより、メンテナンス性が向上する。
【0014】
洗浄部は、コンベヤ800によって運搬される番重Pを洗浄する(不図示)。より具体的には、洗浄部は、例えば、高圧の液体を噴射可能なノズルを備えており、コンベヤ800によってX軸方向へ運搬される番重Pに水または洗剤などの洗浄液を噴きつけることにより、番重Pを洗浄してもよい。なお、洗浄部は、コンベヤ800とは別の運搬機構を備えていてもよい。この場合、当該運搬機は、コンベヤ800から番重Pを受け取ることができる。
【0015】
乾燥部は、洗浄部において洗浄された番重Pを乾燥させる(不図示)。乾燥部は、例えば、ブロワを備えており、当該ブロワを用いて温風を噴きつけることにより、番重Pを乾燥させてもよい。
【0016】
搬出部は、洗浄装置の最下流に位置し、乾燥部において乾燥した番重Pが搬出される部分である(不図示)。搬出部において、洗浄および乾燥後の番重Pは段積みされ、搬出されてもよい。
【0017】
〔回転装置100の構成〕
回転装置100は、番重Pの底面に平行な仮想軸を軸として番重Pを回転させる回転装置である。回転装置100は、支持台20と回転ユニット10とを備えている。回転装置100は、洗浄装置900における受入部において、段バラシおよび番重Pを回転させる装置として用いられ得る。
【0018】
〔支持台20〕
支持台20は、段積みされた番重Pを載置する台である。支持台20は、天板21と、天板21を昇降させる昇降装置22とを備えている。支持台20は、回転ユニット10の下方に位置しており、天板21に載置されている番重Pを回転ユニット10に供給する。より具体的には、支持台20は、段積みされた番重Pのうち、最上段に位置する番重Pを、回転ユニット10が番重Pを保持し得る初期位置まで移動させる。初期位置とは、番重Pが回転ユニット10に保持され、回動し始める時点における位置である。
図2は、初期位置における回転ユニット10および番重Pを示している。
【0019】
天板21は、番重Pを載置する台である。
図1では、天板21の上面に段積みされた番重Pが載置されている。天板21は、上面に番重Pを載置する載置領域Rを有している。天板21は、番重Pが載置可能な面積を有する載置面(上面)を備える板状部材であってよい。天板21は、載置面が略水平となるように、昇降装置22に取り付けられる。
【0020】
載置領域Rは、載置される番重Pと上面視で重なる領域であってよい。あるいは、載置領域Rは、天板21上での番重Pの移動を制限する制限部材もしくは凹部、または載置領域を示す目印によって規定される領域であってもよい。
図4において一点鎖線で図示した載置領域Rは、上面視において、番重Pと重なる領域である。載置領域Rは、天板21に載置される搬送容器の寸法によって適宜変更され得る。載置領域Rは、初期位置における上面視において後述する回転シャフト軸11と隣接している。
【0021】
昇降装置22は天板21を昇降させる装置である。昇降装置22は、例えば、電動モータを備えており、当該電動モータにより、昇降装置22に接続される天板21が電気駆動される。昇降装置22は、上面視において、天板21と重なる位置に配置されていてもよいし、天板21の側方に配置されていてもよい。
【0022】
〔回転ユニット10〕
回転ユニット10は、支持台20によって初期位置まで移動した番重Pを、番重Pの底面に平行な仮想軸を軸として回転させる。実施形態1において、当該仮想軸は、番重Pの底面に平行かつ、Y軸方向に平行な軸である。回転ユニット10は、支持台20よりも上方に位置している。
図2および
図3に示すように、回転ユニット10は、回転シャフト軸11と、回動アーム12と、引っ掛け具13と、接続アーム14と、モータ15とを有している。
図4に示すように、回動アーム12は、初期位置において、回転シャフト軸11と搭載領域Rを挟んで反対側に位置しており、回転シャフト軸11を軸として回動する。接続アーム14は、回転シャフト軸11に対して固定されており、回転シャフト軸11と回動アーム12とを接続する部材である。
【0023】
回転ユニット10は、コンベヤ800の上面よりも上方に位置している。回転ユニット10の位置は、高くするほど、番重Pの段積み可能数を増加でき、作業効率を向上させることができる。一方、回転後の番重Pは、コンベヤ800の上面に自然落下するため、コンベヤ800の上面との高さの差異が大きすぎると不都合が生じる。そのため、回転ユニット10の高さは、コンベヤ800の上面から最大250mmの位置に、後述する回転シャフト軸11がくるよう、設定されてもよい。
【0024】
〔回転シャフト軸11〕
回転シャフト軸11は、モータ15に貫入し、モータ15によって回転駆動されるとともに、回転動力を伝達する。回転シャフト軸11は、回転シャフト軸11に対して固定される接続アーム14を介して、回動アーム12と物理的に接続されている。これにより、回転シャフト軸11は、回転動力を回動アーム12に伝達し、回転シャフト軸11を軸として回動アーム12を回動させることができる。回転シャフト軸11の、モータ15側と反対側の端部は、ベアリングによって回転可能に土台に支持されていてもよい。
【0025】
回転シャフト軸11は、例えば、ステンレス製の円柱であってよい。回転シャフト軸11のY軸方向の長さは、載置領域RのY軸方向の長さよりも大きい。
【0026】
図4に示す通り、回転シャフト軸11は、上面視において載置領域Rに隣接して位置する。これにより初期位置において、番重Pが水平方向へ移動することを制限する。また、
図3に示すように、回転シャフト軸11は、回転動作中の番重Pを支持する支持具としても機能し得る。
【0027】
〔接続アーム14〕
接続アーム14は、回転シャフト軸11と回動アーム12とを接続する部材である。接続アーム14は、回転シャフト軸11に対して略垂直に固定されている。接続アーム14と、回動アーム12とは、L字金具などを用いて接続され得る。
【0028】
接続アーム14は、伸縮可能であってよい。つまり、接続アーム14を伸縮可能に構成することにより、回転シャフト軸11と、回動アーム12との距離が調節可能に構成されていてもよい。例えば、接続アーム14は、
図2および
図3に示されるように、第1アーム141と第2アーム142とが連結されて構成されていてもよい。第1アーム141の一方の端部は回転シャフト軸11に対して固定されており、他方の端部は第2アーム142の一方の端部に接続されている。第2アーム142の他方の端部は、L字金具を介して回動アーム12に接続されている。なお、第2アーム142と回動アーム12とは、一体となって形成されていてもよい。本明細書内において、第1アーム141と、第2アーム142と、をまとめて接続アーム14と呼称する場合もある。
【0029】
第1アーム141と第2アーム142とは接続具143によって接続されていてよい。接続具143としては、例えばボルトおよびナットを用いてもよい。あるいは、工具を用いず締緩可能な手回しねじ、ハンドルなどを用いてもよい。
図2に示すように、第1アーム141と第2アーム142との接続部において、第1アーム141および第2アーム142には、接続具143が貫通し得る幅を有する溝が切られている。当該構成により、接続アーム14を、番重Pのサイズに合わせて所望の長さに調節することができる。これにより、洗浄対象の搬送用具が複数種類であっても、共通の回転装置100を用いることができる。洗浄対象の搬送用具の種類が概ね決まっている場合、前記溝は、一定の間隔毎に開けられた貫通孔に代替されてもよい。この場合、貫通孔に合わせて接続アーム14の長さを設定するだけなので、接続アーム14の長さの設定に現物合わせが不要になり、接続アーム14の長さの決定が容易になる。
【0030】
〔回動アーム12〕
回動アーム12は、回転シャフト軸11を軸として回動する。回動アーム12は、内側に引っ掛け具13を備えている。回動アーム12は、初期位置における上面視において、回転シャフト軸11と載置領域Rを挟んで反対側に位置している。回動アーム12と回転シャフト軸11との距離は、接続アーム14を伸縮させることにより変更可能である。
【0031】
図2および
図3に示されるように、接続アーム14および回動アーム12は板状部材でよい。材質は特に限定されず、金属製または樹脂製であってよい。
【0032】
〔引っ掛け具13〕
引っ掛け具13は、回動アーム12に動作可能に取り付けられ、回転動作時に番重Pを引っ掛けるための部材である。引っ掛け具13は、回動アーム12が初期位置から回動するときに、番重Pの外縁の少なくとも一部に位置する係止部PKに引っ掛かる。回動アーム12の回動時に引っ掛け具13が係止部PKの下面に当接し、支持することにより、回動アーム12の回動に合わせて番重Pを回転させることができる。
【0033】
引っ掛け具13は、例えば、
図2などに示すようなL字金具を用いて構成されていてもよい。引っ掛け具13はアンチバック構造を有している。引っ掛け具13がアンチバック構造を有することにより、回転ユニット10は、支持台20の上昇動作に伴う、引っ掛け具13の下方から上方への番重Pの移動を許容し、引っ掛け具13の上方に移動した番重Pが下方へ移動することを許容しない。
【0034】
引っ掛け具13のアンチバック構造について、
図5に示した例をもとに説明する。
図5は、支持台20の動作に伴い、最上段に位置する番重Pが上方に移動するときの、引っ掛け具13の動作を説明するための図である。
図5において、支持台20は省略している。
図5に示すように、引っ掛け具13は、例えば、側面から見ると、L字形状を有しており、角部と回動アーム12との接触部を中心に、回転可能に構成されている。引っ掛け具13は、金属または樹脂で構成されていてよく、例えば、ステンレス製であってよい。
【0035】
符号5001で示す図は、番重Pが引っ掛け具13に引っ掛かる前の状態を示している。換言すると、番重Pが引っ掛け具13よりも下方に位置している状態を示している。
【0036】
符号5002で示す図は、番重Pが引っ掛け具13を押し上げているときの状態を示している。このとき、番重Pは支持台20によって押し上げられている。引っ掛け具13は、番重Pに押し上げられることにより、回転する。番重Pは、支持台20により引き続き押し上げられる一方、引っ掛け具13は、番重Pから離れ、上向きの力を受けなくなると、重力に従って元の姿勢に戻る。
【0037】
符号5003は、番重Pが引っ掛け具13に引っ掛かった状態を示している。このとき、引っ掛け具13に番重Pから荷重が掛かるが、引っ掛け具13はアンチバック構造により逆方向には回転しない。これにより回転時に番重Pを支持することができる。
【0038】
アンチバック構造は単純な構造で構成されており、番重Pの引っ掛けに別途動力を用いないため、回転ユニット10の構造の低コスト化および簡略化に寄与する。アンチバック構造については、上述した例に限定されず、従来公知の他のアンチバックを用いてもよい。なお、引っ掛け具13は、アンチバック構造を有していなくともよい。
【0039】
なお、番重Pを例示してアンチバック構造を説明したが、番重Pのような外縁部を有さない搬送用具においても用いることが可能である。例えば搬送用具にパレットを用いた場合を考える。パレットは、各側面にフォークリフトのフォークが挿入されうる開口部を有している。このとき、引っ掛け具13は先端部を開口部に挿入し、開口部の上面を係止部として、引っ掛けることが可能である。このようにして一般的な搬送用具の多くは係止を可能とする部分を有するため、本開示における回転装置および洗浄装置は番重P以外にも用いることができる。
【0040】
上述の説明において回転装置100は、各部材が簡単な構造を有しており駆動部も少ない。従って回転装置100は低いコストで実施可能である。さらに、
図1および
図4に示される通り、回転装置100は、その簡易な構造により、省スペースな回転装置を実現できる。
【0041】
〔回転装置100の制御〕
以下に、回転装置100の動作を説明する。回転装置100は、各部を制御するCPU等のプロセッサにて構成された不図示の制御部を備えていてもよい。制御部は、洗浄装置900が備える制御部であってもよい。また、回転装置100は、ユーザによって操作され、当該操作によって回転装置100によって番重Pを回転させる不図示の操作部を備えていてもよい。
【0042】
以下では、段積みされた番重Pが作業者によって支持台20に載せられた後の、制御部による例示的な回転装置100の制御を説明する。
【0043】
動作開始前、回転ユニット10の回動アーム12は、
図1の実線および
図2に示す初期位置にあるとする。初期位置において、回動アーム12に取り付けられている引っ掛け具13の上面は地面と略平行となっている。
【0044】
〔引っ掛け工程〕
制御部は、回転ユニット10の回動アーム12が初期位置にある状態で、例えば支持台20を駆動させるモータを制御して、支持台20を上昇させる。支持台20の上昇に伴い、最上段に位置する番重Pに押し上げられて引っ掛け具13が上方に回転する。番重Pが引っ掛け具13よりも上方に移動すると、引っ掛け具13は、回転前の姿勢に戻ることで番重Pを引っ掛けることが可能となる。
【0045】
制御部は、最上段に位置する番重P(より詳細には番重Pの係止部)が引っ掛け具13よりも上方に位置するまで、支持台20を上昇させると、支持台20の上昇動作を停止し、静止させる。
【0046】
〔回転工程〕
引っ掛け工程後、制御部は、回転ユニット10を駆動させるモータを制御して、回転シャフト軸11を回転させる。これにより、番重Pの係止部に引っ掛け具13が引っ掛かった状態で、回動アーム12が回動し、番重Pが回転(反転)する。
【0047】
番重Pの回転角度が90°(垂直位置)を超えると、番重Pは反転した状態で、自重によりコンベヤ800に落下する。本実施形態では、コンベヤ800に落下させる態様であるが、その後の洗浄装置の構成によっては、番重Pを90°以上、180°以下の任意の角度まで回転させ、当該角度に保持し得る保持機構を備える洗浄装置によって洗浄が行われてもよい。
【0048】
番重Pが回転ユニット10から離れると、制御部は、回転ユニット10を初期位置に戻し、再び引っ掛け工程を実施する。制御部は、引っ掛け工程および回転工程を、支持台20に載置された番重Pがなくなるまで繰り返す。
【0049】
上述のように、回転装置100は番重Pの段バラシと反転を同時に行うことが可能であるため、作業効率の向上を図ることができる。
【0050】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0051】
〔まとめ〕
(1)本開示の態様1に係る搬送用具回転装置は、段積み可能な搬送用具を、前記搬送用具の底面に平行な仮想軸を軸として回転させる搬送用具回転装置であって、上面に前記搬送用具を載置する載置領域を有し、昇降動作可能な支持台と、前記支持台よりも上方に位置する回転ユニットと、を備え、前記回転ユニットは、上面視において前記載置領域に隣接して位置し、前記搬送用具の水平方向への移動を制限する回転シャフト軸と、前記回転シャフト軸と前記載置領域を挟んで反対側に位置し、前記回転シャフト軸を軸として回動する回動アームと、を有しており、前記回動アームは、前記搬送用具の外縁の少なくとも一部に位置する係止部に引っ掛け可能な引っ掛け具を有している。
【0052】
当該構成により、簡易な構造で、段バラシと反転を同時に行うことができる。
【0053】
(2)本開示の態様2に係る搬送用具回転装置は、上記態様1において、前記回転シャフト軸と、前記回動アームとの距離が調節可能に構成されている。
【0054】
当該構成により、異なる大きさの搬送用具に対応できるため、搬送用具回転装置に供される搬送用具の種類が異なる場合であっても共通の搬送用具回転装置を使用することができる。
【0055】
(3)本開示の態様3に係る搬送用具回転装置は、上記態様1または2において、前記引っ掛け具は、前記支持台の上昇動作に伴う、前記引っ掛け具の下方から上方への前記搬送用具の移動を許容し、前記引っ掛け具の上方に移動した前記搬送用具が下方へ移動することを許容しない、アンチバック構造を有している。
【0056】
当該構成により、動力を必要とせず、簡易な引っ掛け構造を実現することができる。
【0057】
(4)本開示の態様4に係る搬送用具回転装置は、上記態様1から3のいずれかの態様において、前記搬送用具を、90°以上180°以下の角度で回転させる。
【0058】
当該構成により、搬送用具を反転させることができる。
【0059】
(5)本開示の態様5に係る洗浄装置は、上記態様1から4のいずれかの搬送用具回転装置を備える。
【0060】
当該構成により、洗浄装置における搬送用具回転機構を簡易な構造で実現できるため、洗浄装置全体として省コスト、省スペースを実現することができる。
【符号の説明】
【0061】
900 洗浄装置
800 コンベヤ
100 回転装置
10 回転ユニット
11 回転シャフト軸
12 回動アーム
13 引っ掛け具
14 接続アーム
20 支持台
21 天板
22 昇降装置
P 番重