(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179287
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】表示パネル
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20241219BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20241219BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20241219BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
G09F9/33
G09F9/30 349C
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098019
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】518074753
【氏名又は名称】mui Lab株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】小林 豊
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宗彦
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
【Fターム(参考)】
5C094AA03
5C094AA15
5C094BA25
5C094CA19
5C094DA13
5C094ED13
5C094ED15
5C094FA01
5C094FA02
5C094FB01
5C094HA05
5C094JA11
5F142AA56
5F142DB36
5F142EA16
5F142EA34
5F142GA01
(57)【要約】
【課題】装置の薄型化を図りつつ、発光時の表示の視認性が高く、かつ非発光時の外観の見栄えが良い表示パネルを提供する。
【解決手段】突板2、透明基材3、透明導電膜としてタッチパネルシート4、導光シートとして拡散シート5及び発光素子アレイとしてLEDアレイ6から構成され、それぞれ上から順に積層される。LEDアレイ6には多数のLED光源7が2次元に配列される。拡散シート5の表面すなわち出射面側には、明色のマスク部として白色印刷部8が設けられる。拡散シート5の裏面すなわち入射面側には、暗色のマスク部として黒色印刷部9が設けられる。白色印刷部8及び黒色印刷部9は、LEDアレイ6と拡散シート5を積層した状態で、各LED光源7と略重畳するエリアである非印刷部8a及び非印刷部9aを除くように印刷される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子が2次元配列された発光素子アレイ基板と、
前記2次元配列の透明パターンが施されるように、表面又は裏面の少なくとも何れかの面にマスク部が設けられ、前記発光素子の光軸方向の光が透過・拡散する導光シートと、
透明基材と、
前記透明基材の出射面を被覆する不透明の薄層、
を備えた表示パネル。
【請求項2】
前記導光シートは、拡散シートであることを特徴とする請求項1に記載の表示パネル。
【請求項3】
前記マスク部は、前記発光素子アレイ基板と前記導光シートを積層した状態で、前記発光素子と略重畳するエリアを除くように塗膜が形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示パネル。
【請求項4】
前記マスク部は、前記導光シートの表面に明色の塗膜が形成され、かつ、前記導光シートの裏面に暗色の塗膜が形成されたことを特徴とする請求項3に記載の表示パネル。
【請求項5】
前記マスク部は、前記導光シートの表面に前記薄層と同系色の塗膜が形成され、かつ、前記導光シートの裏面に表面の塗膜より透過率が低い塗膜が形成されたことを特徴とする請求項3に記載の表示パネル。
【請求項6】
前記マスク部は、前記導光シートの裏面に明色、暗色の順に塗膜が積層、又は、前記導光シートの裏面に前記薄層と同系色の塗膜、該塗膜より透過率が低い塗膜の順に積層されたことを特徴とする請求項3に記載の表示パネル。
【請求項7】
前記マスク部は、前記導光シートの表面に暗色、明色の順に塗膜が積層、又は、前記導光シートの表面に透過率が低い塗膜、該塗膜より透過率が高くかつ前記薄層と同系色の塗膜の順に積層されたことを特徴とする請求項3に記載の表示パネル。
【請求項8】
前記マスク部は、前記導光シートの表面の略全面に明色の塗膜が形成され、
前記発光素子アレイ基板と前記導光シートを積層した状態で、前記発光素子と略重畳するエリアを除くように、前記導光シートの裏面に暗色の塗膜が形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示パネル。
【請求項9】
前記マスク部は、前記導光シートの表面の略全面に前記薄層と同系色の塗膜が形成され、
前記発光素子アレイ基板と前記導光シートを積層した状態で、前記発光素子と略重畳するエリアを除くように、前記導光シートの裏面に該塗膜より透過率が低い塗膜が形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の表示パネル。
【請求項10】
前記薄層は、自然由来の木材、天然繊維、天然皮革もしくは天然石材、又は、自然の外観と手触りを模倣して生成された素材である樹脂、合成繊維、合成皮革もしくは人工石から成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の表示パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用電化製品のコントローラ、電子機器のディスプレイ又は自動車等の移動体等に搭載する操作表示装置において、表示性能や薄型化を向上する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信技術は目覚しい進化を遂げている。かつては、パーソナルコンピュータは自宅やオフィスなどの限られた空間のみで利用されていたが、スマートフォンやタブレット端末の普及により、今日ではいつでも誰でもインターネット等を利用した利便性の高い生活を送ることができるようになっている。また、IoT(Internet of Things)の観点から、従来はインターネットに接続されていなかった家電製品等についても、インターネットを利用した新しい製品が次々に開発されている。このように、インターネットやインターネットを利用した製品は、既に人々の生活に欠かせないものとなっており、そのような製品は、あらゆる場所に設置され、或は携帯されて、多くの人に利用されている。
しかしながら、このようにあらゆる機器が自身の身の回りに存在することで、便利な生活を享受できる反面、電子機器に囲まれて生活することにストレスを感じている人も多い。
【0003】
例えば、自然の木の温もりを大切にしたホテルは、宿泊する者にとって仕事等を忘れてリラックスできる上質な空間であるといえる。しかしながら、そのような客室の中に無機質な形態をした電子機器、ディスプレイ又はコントローラが多数置かれていると、日常を忘れて充分にリラックスするということができなくなってしまうのである。
【0004】
そこで、木材などから成る薄層が、筐体の外周面に組込まれたタッチセンサ付き表示パネル前面全体を被覆し筐体の外周面に配設された操作表示パネル組込物品が知られている(特許文献1を参照)。これは、薄層の厚さとパネルの輝度が、該パネルに表示されたコンテンツを視認できるように設計されたものであり、かかる技術によれば、操作表示パネルが組み込まれた物品であっても、空間に自然に調和してユーザにとって視覚的ノイズとならず、かつ、ユーザが使用したいと思ったときや必要なときには、自然素材の手触りを感じながら直感的に操作することが可能である。
【0005】
そして、特許文献1の操作表示パネル組込物品では、表示の際の視認性を向上させるために、透明導電性シートと発光素子アレイの間に、発光素子の光の射出方向を導くライトガイドが設けられるとしている。ここでのライトガイドとは、発光素子アレイの基板に積層される不透明の暗色基材であり、発光素子アレイ全体を囲い込み、それぞれの発光素子の光軸に沿って貫通孔が設けられているものを指している。このように、それぞれの発光素子の光軸に沿って貫通孔が設けられることにより、発光時の視認性を向上させることができるとする。
しかしながら、不透明の暗色基材に貫通孔が設けられるライトガイドの場合、LED光源の位置に合わせて正確に貫通孔を設ける必要があり、ライトガイドの作製にコストがかかるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に各LED素子の発光にはムラがあるところ、表示パネルにおいては表示の均一性を向上しつつ、光量の減衰を防止し、視認性を向上させることが求められる。一方で、装置の薄型化を図るニーズも存在する。
かかる状況に鑑みて、本発明は、装置の薄型化を図りつつ、発光時の表示の視認性が高く、かつ非発光時の外観の見栄えが良い表示パネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明の表示パネルは、発光素子が2次元配列された発光素子アレイ基板と、2次元配列の透明パターンが施されるように、表面又は裏面の少なくとも何れかの面にマスク部が設けられ、発光素子の光軸方向の光が透過・拡散する導光シートと、透明基材と、透明基材の出射面を被覆する不透明の薄層を備える。
ライトガイドではなくマスク部が設けられた導光シートを用いることで、装置の薄型化を図り、かつ低コストで作製できる。
【0009】
本発明の表示パネルにおける導光シートは、拡散シートであることが好ましい。LED光は直進性が高いため、そのままではLEDの形状が見えてしまうが、導光シートとして拡散シートを用いることで、発光素子の発光ムラによる表示ムラの発生を効果的に低減でき、均一な丸い表示ドットの表現を行うことができる。LEDの形状を隠すため、拡散シートとしては、光量の減衰が少ないものであることが好ましく、具体的にはヘイズ値は60%以上であることが好ましい。光量の減衰が少ない拡散シートを用いることで、少ない消費電力でも高い表示性能が得られ、省電力化に寄与する。
【0010】
本発明の表示パネルにおけるマスク部は、発光素子アレイ基板と導光シートを積層した状態で、発光素子と略重畳するエリアを除くように塗膜が形成されたことが好ましい。これにより、印刷されない箇所に、従来のライトガイドのガイド孔と同様の機能を持たせることができる。
【0011】
本発明の表示パネルにおけるマスク部は、導光シートの表面に明色の塗膜が形成され、かつ、導光シートの裏面に暗色の塗膜が形成されたことでもよい。
本発明の表示パネルは、透明基材の出射面を被覆する不透明の薄層を備えるが、薄層であるがゆえに、例えば薄層が木材で、背後に配置される部材が黒色であると、黒味を帯びた木材の外観となってしまうという問題がある。導光シートの表面に明色の塗膜が形成されることにより、薄層越しに発光素子アレイ基板の色調が映り込むことを防止でき、非発光時の外観の見栄えが良くなる。明色の塗膜としては、白色の印刷により形成されるものが好適に用いられる。
導光シートの裏面に暗色の塗膜が形成されることにより、発光素子からの光が光軸方向から逸れて表示がボケることを防止でき、発光時の表示の視認性を向上できる。暗色の塗膜としては、黒色の印刷により形成されるものが好適に用いられる。
なお、本明細書における「明色」又は「暗色」とは相対的なものであり、「明色」の塗膜は「暗色」の塗膜より明度が高く、「暗色」の塗膜は「明色」の塗膜より明度が低い塗膜である。
【0012】
本発明の表示パネルにおけるマスク部は、導光シートの表面に薄層と同系色の塗膜が形成され、かつ、導光シートの裏面に表面の塗膜より透過率が低い塗膜が形成されたことでもよい。導光シートの表面に薄層と同系色の塗膜が形成されることにより、薄層越しに発光素子アレイ基板の色調が映り込むことを防止でき、非発光時の外観の見栄えが良くなる。また、導光シートの裏面に表面の塗膜より透過率が低い塗膜が形成されることにより、発光素子からの光が光軸方向から逸れて表示がボケることを防止でき、発光時の表示の視認性を向上できる。ここでの同系色とは、色相環において近い位置にある色のことを指すが、厳密なものではなく、他方の塗膜と比較して近い位置にある色であればよい。塗膜は、印刷により形成されるものが好適に用いられる。
【0013】
本発明の表示パネルにおけるマスク部は、導光シートの裏面に明色、暗色の順に塗膜が積層、又は、導光シートの裏面に薄層と同系色の塗膜、該塗膜より透過率が低い塗膜の順に積層されたことでもよい。シートの片面に塗膜を積層することにより、シートを裏返して印刷加工などを施す必要がなくなり、加工が容易となる。また、裏面側すなわち入射面側に塗膜を積層することにより、発光素子からの光が側方に漏れることを効果的に防止できる。
【0014】
本発明の表示パネルにおけるマスク部は、導光シートの表面に暗色、明色の順に塗膜が積層、又は、導光シートの表面に透過率が低い塗膜、該塗膜より透過率が高くかつ薄層と同系色の塗膜の順に積層されたことでもよい。シートの片面に塗膜を積層することにより、シートを裏返して印刷加工などを施す必要がなくなり、加工が容易となる。また、表面側すなわち出射面側に塗膜を積層することにより、薄層越しに発光素子アレイ基板の色調が映り込むことを効果的に防止できる。
【0015】
本発明の表示パネルにおけるマスク部は、導光シートの表面の略全面に明色の塗膜が形成され、発光素子アレイ基板と導光シートを積層した状態で、発光素子と略重畳するエリアを除くように、導光シートの裏面に暗色の塗膜が形成されたことでもよい。
導光シートの表面の略全面に明色の塗膜が形成されることにより、導光シートの表面すなわち出射面側に塗膜が形成されない箇所が存在しないことになり、薄層越しに発光素子アレイ基板の色調が映り込むことをより効果的に防止でき、非発光時の外観の見栄えが良くなる。また、導光シートの裏面に暗色の塗膜が形成されることにより、発光素子からの光が光軸方向から逸れて表示がボケることを防止でき、発光時の表示の視認性を向上できる。
【0016】
本発明の表示パネルにおけるマスク部は、導光シートの表面の略全面に薄層と同系色の塗膜が形成され、発光素子アレイ基板と導光シートを積層した状態で、発光素子と略重畳するエリアを除くように、導光シートの裏面に該塗膜より透過率が低い塗膜が形成されたことでもよい。
導光シートの表面の略全面に薄層と同系色の塗膜が形成されることにより、導光シートの表面すなわち出射面側に塗膜が形成されない箇所が存在しないことになり、薄層越しに発光素子アレイ基板の色調が映り込むことをより効果的に防止でき、非発光時の外観の見栄えが良くなる。また、導光シートの裏面により透過率が低い塗膜が形成されることにより、発光素子からの光が光軸方向から逸れて表示がボケることを防止でき、発光時の表示の視認性を向上できる。
【0017】
本発明の表示パネルにおいて、薄層は、自然由来の木材、天然繊維、天然皮革もしくは天然石材、又は、自然の外観と手触りを模倣して生成された素材である樹脂、合成繊維、合成皮革もしくは人工石から成ることが好ましい。
自然由来の素材又は自然の外観と手触りを模倣して生成された素材を用いることによって、自然な手触り感を実現することができる。したがって、自然の外観や、自然な手触り感を実現するものであれば、薄層の材料として樹脂などの高分子材料を用いることもできる。樹脂は成形が容易であるため、3次元的に複雑な形状の薄層を作製できるという利点がある。ここで、高分子材料とは分子量が大きい材料を示し、モノマーを重合させて得られるポリマーや、天然高分子などの分子量の大きい化合物をいう。
【発明の効果】
【0018】
本発明の表示パネルによれば、装置の薄型化を図りつつ、発光時の表示の視認性及び非発光時の外観の見栄えを向上できるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】拡散シートとタッチパネルシートの距離の違いに関する説明図
【
図3】拡散シートとLED光源の距離の違いに関する説明図
【
図5】操作表示パネル組込物品の筐体への組付けイメージ図
【
図11】従来技術の操作表示パネル組込物品の構成イメージ図
【
図12】従来技術の操作表示パネル組込物品の断面模式図
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【0021】
まず、本発明の実施形態を説明するに当たり、従来技術の表示パネルを用いた操作表示パネル組込物品の基本的構成について説明する。
図11は、従来技術の操作表示パネル組込物品の構成イメージ図を示している。
図11に示すように、操作表示パネル組込物品101は、突板2、透明基材3、透明導電膜としてタッチパネルシート4、ライトガイド50及び発光素子アレイとしてLEDアレイ6から構成され、それぞれ上から順に積層されている。シカモア材が用いられた突板2は、操作表示パネル組込物品の外表面に位置し、LEDアレイ6は物品内部に位置するように構成される。LEDアレイ6には多数のLED光源7が2次元に配列されている。ライトガイド50は、各LED光源7の光の射出方向をLEDアレイ6の基板と垂直方向に導くものであり、LED光源7の個数と同じガイド孔50aが設けられている。
【0022】
図11においては、説明の都合上、全てのLED光源を図示していないが、例えば、縦32個横200個の計6400個のLED光源でLEDアレイ6が構成される。1つのLED光源は平面実装タイプのLEDで構成される。1つのLED光源の光で点光源を実現し、これを1ドットと見て、8×8ドット、或は、16×16ドットで1つの文字や図柄を表現することができる。例えば、6400個のLED光源を有するLEDアレイ6の場合、22文字×3行の文章を表現することができる。ここで、LED光源は、例えば、2mm×2mmのサイズで、700~1000mcd(ミリカンデラ)のものを用いる。
ライトガイド50は暗色の基材であり、LED光源7から発せられる光で構成される文字や図柄を、突板2を通して鮮明に視認させる役割を担っている。すなわち、LEDアレイ6の上にライトガイド50が積層された際に、各LED光源7の真上にガイド孔50aが配置されるように、LED光源7の配置に合わせて、多数のガイド孔50aが設けられている。
【0023】
次に、従来技術の表示パネルを用いた操作表示パネル組込物品の組み立て後の構造について
図12を参照しながら説明する。
図12は、従来技術の操作表示パネル組込物品の断面模式図を示している。
図12に示すように、操作表示パネル組込物品101において、突板2、透明基材3、タッチパネルシート4、ライトガイド50及びLEDアレイ6は、筐体120によって、上から順に積層された状態で接着されている。LEDアレイ6上に設けられたLED光源7から発せられた光の内、斜めに発せられた光(110b,110c)は、ライトガイド50によって遮られ、光110aのように、LEDアレイ6の基板と略垂直方向に導かれて突板2に届くこととなる。なお、筐体120は、主にABS樹脂で形成されている。
突板2と透明基材3、又は、透明基材3とタッチパネルシート4は、間隙を設けることなく、貼り合わされている。これに対して、タッチパネルシート4とライトガイド50の間には、ギャップG
3が設けられている。これは、ライトガイド50にはガイド孔50aが設けられているため、タッチパネルシート4とライトガイド50を接着すると、タッチパネルを操作した際に、応力にばらつきが生じ、誤作動の原因となるためである。
【0024】
また、ライトガイド50とLED光源7の間にも、ギャップG
4が設けられている。LEDアレイ6に設けられるLED光源7や、ライトガイド50に設けられるガイド孔50aの数は、数千個にも及ぶことから、ライトガイド50とLEDアレイ6を積層した場合に、配置の誤差が生じる可能性がある。誤差が生じた状態で、ライトガイド50とLEDアレイ6を接着すると、LED光源7から発せられた光がガイド孔50aに通らず、正確な表示がなされないこととなる。そこでギャップG
4を設けることにより、LED光源7とガイド孔50aの配置の誤差による表示品質の低下を防止することができる。また、多少の誤差があっても表示品質が保たれるため、製造が容易となる。
以下では、本発明の表示パネルについて説明する。なお、以下の実施例で説明する表示パネルは、
図12に示すような筐体120に内蔵することも可能である。
【実施例0025】
図1は、実施例1の表示パネルの断面模式図を示している。
図1に示すように、表示パネル1は、従来技術の操作表示パネル組込物品101の表示パネルとは異なり、ライトガイド50の代わりに、導光シートとして拡散シート5が設けられている。拡散シート5の物性については、厚みは115μm、全光線透過率は、表面から裏面へは99.0%、裏面から表面へは80.5%、ヘイズ値は、表面から裏面へは88.0%、裏面から表面へは89.0%である。但し、これらに限定されるものではない。
拡散シート5の表面すなわち出射面側には、明色のマスク部として白色印刷部8が設けられる。白色印刷部8は、印刷加工により明色かつ突板2と同系色の塗膜が形成されたものである。拡散シート5の表面に白色印刷部8が設けられることにより、非表示時、突板2の外側から見たときにLED光源7を配置しているところが目立たなくなり、外観の見栄えが良くなる。
また、拡散シート5の裏面すなわち入射面側には、暗色のマスク部として黒色印刷部9が設けられる。黒色印刷部9は、印刷加工により暗色かつ白色印刷部8より透過率が低い塗膜が形成されたものである。拡散シート5の裏面に黒色印刷部9が設けられることにより、内側への反射を抑制できる。これによりLED光源7からの光が他のドットに漏れ、表示がボケることを防止でき、発光時の表示の視認性を向上できる。
【0026】
白色印刷部8及び黒色印刷部9は、LEDアレイ6と拡散シート5を積層した状態で、各LED光源7と略重畳するエリアである非印刷部(8a,9a)を除くように印刷されている。非印刷部(8a,9a)の数は、LED光源7の個数と同じ数であり、LEDアレイ6上におけるLED光源7の2次元配列と同様の2次元配列の透明パターンが施されるように印刷されている。これにより拡散シート5のみから成る非印刷部(8a,9a)が、ガイド孔50aと同様の役割を果たすことになる。拡散シート5を用いることで、発光素子の発光ムラによる表示ムラの発生を効果的に低減できる。拡散シート5としては、薄くかつ光量の減衰が少ないものが用いられる。薄いシートを用いるのは、厚み方向を光が通る際に拡散することを防ぐと共に、製品の筐体厚みを薄くするためである。また、光量の減衰が少ないものを用いることで、省電力化を図っている。
LEDアレイ6上に設けられたLED光源7から発せられた光(11a~11c)の内、斜めに発せられた光(11b,11c)は、黒色印刷部9によって遮られ、光11aのように、LEDアレイ6の基板と略垂直方向に導かれて突板2に届くこととなる。
このように、白色印刷部8及び黒色印刷部9が設けられた拡散シート5は、各LED光源7の光の射出方向をLEDアレイ6の基板と垂直方向に導くものである。
【0027】
本実施例において、拡散シート5とタッチパネルシート4の間に設けられるギャップG
1は0.345mm、非印刷部(8a,9a)の径φ
1は0.9mmである。ここで、ギャップG
1と径φ
1の規定の仕方について説明する。
図2は、拡散シートとタッチパネルシートの距離の違いに関する説明図であり、(1)は距離が短い場合、(2)は距離が長い場合を示している。
図2(1)に示すように、拡散シート5とタッチパネルシート4のギャップG
1が短い場合は、LED光源7から発せられ突板2に届いた光11aの範囲Aが狭くなるのに対して、
図2(2)に示すようにギャップG
1が長い場合は、光11aの範囲Aが相対的に広くなる。したがって、目標とする見た目を実現するためにも、薄型化を図るためにも、拡散シート5とタッチパネルシート4の距離は短いことが好ましいことが分かる。
【0028】
図3は、拡散シートとLED光源の距離の違いに関する説明図であり、(1)は距離が短い場合、(2)は距離が長い場合を示している。
図3(1)に示すように、拡散シート5とLED光源7のギャップG
2が短い場合は、光11aの範囲Aが広くなるのに対して、
図2(2)に示すようにギャップG
2が長い場合は、光11aの範囲Aが相対的に狭くなる。したがって、目標とする見た目を実現するためには、拡散シート5とLED光源7の距離は長いことが好ましいが、薄型化を図るためには、拡散シート5とLED光源7の距離は短いことが好ましいことが分かる。
【0029】
図4は、非印刷部の径の違いに関する説明図であり、(1)は径が小さい場合、(2)は径が大きい場合を示している。
図4(1)に示すように非印刷部の径φが小さいすなわちガイド孔50aに相当する部位の開口面積が小さい場合は、LED光源7から発せられ突板2に届いた光11aの範囲Aが狭くなるのに対して、
図4(2)に示すように径φが大きいすなわちガイド孔50aに相当する部位の開口面積が大きい場合は、光11aの範囲Aが相対的に広くなる。したがって、目標とするための見た目を実現するためには、非印刷部の径φが小さいことが好ましいことが分かる。
【0030】
図5は、操作表示パネル組込物品の筐体への組付けイメージ図を示している。
図5に示すように、操作表示パネル組込物品100において、タッチパネルシート4は、接着部15により筐体12と接着され、透明基材3は、タッチパネルシート4及び接着部15を介して、筐体12と突板2により挟持される。LEDアレイ6には固定部14が設けられ、拡散シート5の端部は固定部14に固定される。
LEDアレイ6は螺子13を用いて筐体12に取り付けられる。装置の薄型化のニーズは存在するが、ビス止めを容易にし、かつ装置の強度を担保するためには、固定に必要となる雄螺子部13aの長さに応じて、筐体12の厚みT
1とLEDアレイ6の厚みT
2を合わせた厚みT
3につき所定の厚みを確保する必要がある。本実施例では、LEDアレイ6の厚みT
2は略2mmであるため、筐体12の厚みT
1を略2mm、厚みT
3を略4mmとした。
筐体12の厚みT
1及び雄螺子部13aの長さを規定することで、拡散シート5とタッチパネルシート4のギャップG
1が0.345mmと規定された。さらにギャップG
1に合わせて目標とするための見た目を調整した結果、非印刷部(8a,9a)の径φ
1は0.9mmが好ましいことが分かった。
なお、操作表示パネル組込物品100では、ユーザが突板2に触れたときに、あたかも木板に触れたかのような感触が得られるように、透明基材3として板厚が1mm程度のガラスパネルを用いている。透明基材3の剛性を高めることは誤動作の回避や、故障の防止にも役立つ。
黒色印刷部9は、LEDアレイ6と拡散シート5を積層した状態で、各LED光源7と略重畳するエリアである非印刷部9aを除くように印刷されている。拡散シート5のみから成る非印刷部9aがガイド孔50aと同様の役割を果たすことになる。
LEDアレイ6上に設けられたLED光源7から発せられた光(11a~11c)の内、斜めに発せられた光(11b,11c)は、黒色印刷部9によって遮られ、光11aのように、LEDアレイ6の基板と略垂直方向に導かれて突板2に届くこととなる。