(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179293
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】接合部材
(51)【国際特許分類】
F16B 12/02 20060101AFI20241219BHJP
F16B 5/06 20060101ALI20241219BHJP
F16B 12/44 20060101ALI20241219BHJP
A47B 55/00 20060101ALI20241219BHJP
A47B 96/06 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F16B12/02 C
F16B5/06 E
F16B5/06 G
F16B12/44 E
A47B55/00
A47B96/06 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098031
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000104973
【氏名又は名称】クリナップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100224926
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 雄久
(72)【発明者】
【氏名】吉江 邦将
【テーマコード(参考)】
3B067
3J001
3J024
【Fターム(参考)】
3B067AA09
3B067DA00
3J001FA05
3J001FA07
3J001GA10
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA03
3J001HA08
3J001JD32
3J001KA19
3J001KB03
3J024AA13
3J024AA43
3J024BA03
3J024CA16
(57)【要約】
【課題】接着剤を用いることなく板材同士を確実に接合できる接合部材を提供する。
【解決手段】接合部材1は、揺動軸部21と、揺動軸部21から離間した第1拡幅部22と第2拡幅部23と、揺動軸部21が設けられるとともに、第1拡幅部22と第2拡幅部23とを繋ぐ腕部29と、揺動軸部21が設けられる挿入部3と、を備える。第1拡幅部22と第2拡幅部23は、腕部29よりも拡幅され、挿入部3は、第1端面112側から第1凹部113に挿入可能な第1挿入部31を有し、第2拡幅部23は、第2端面122側から第2凹部123に挿入可能である。第1拡幅部22は、第1挿入部32が第1凹部113に挿入された状態で揺動軸部21を中心に揺動させることで、第1凹部113に嵌合可能であり、第2拡幅部23は、第1挿入部32が第1凹部113に挿入された状態で揺動軸部21を中心に揺動させることで、第2凹部123に嵌合可能である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1板材の第1主面と第1端面とを切り欠いた第1凹部を有する前記第1板材と第2板材の第2主面と第2端面とを切り欠いた第2凹部を有する前記第2板材とを接合するための接合部材であって、
揺動軸部と、
前記揺動軸部から離間した第1拡幅部と第2拡幅部と、
前記揺動軸部が設けられるとともに、前記第1拡幅部と前記第2拡幅部とを繋ぐ腕部と、
前記揺動軸部が設けられる挿入部と、を備え、
前記第1拡幅部と前記第2拡幅部は、前記腕部よりも拡幅され、
前記挿入部は、前記第1端面側から前記第1凹部に挿入可能な第1挿入部を有し、
前記第2拡幅部は、前記第2端面側から前記第2凹部に挿入可能であり、
前記第1拡幅部は、前記第1挿入部が前記第1凹部に挿入された状態で前記揺動軸部を中心に揺動させることで、前記第1凹部に嵌合可能であり、
前記第2拡幅部は、前記第1挿入部が前記第1凹部に挿入された状態で前記揺動軸部を中心に揺動させることで、前記第2凹部に嵌合可能であること
を特徴とする接合部材。
【請求項2】
前記第1挿入部は、前記第1端面側から前記第1板材の板厚方向の内部を切り欠いた前記第1凹部を構成する第1挿入溝に挿入可能であり、
前記第2拡幅部は、前記第2端面側から前記第2板材の板厚方向の内部を切り欠いた前記第2凹部を構成する第2挿入溝に挿入可能であり、
前記腕部は、
前記第1挿入溝よりも縮幅されて前記第1端面から前記第1主面を切り欠いた第1開口部と、
前記第2挿入溝よりも縮幅されて前記第2端面から前記第2主面を切り欠いた第2開口部と、に収容可能であり、
前記第1拡幅部は、前記揺動軸部を中心に揺動させることで、前記第1開口部よりも拡幅された第1嵌合孔に嵌合可能であり、
前記第2拡幅部は、前記揺動軸部を中心に揺動させることで、前記第2開口部よりも拡幅された第2嵌合孔に嵌合可能であること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項3】
前記挿入部は、前記第2端面側から前記第2凹部への第2挿入方向から前記第2凹部に挿入可能な第2挿入部を有すること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項4】
前記第1挿入部の前記第1凹部への第1挿入方向は、前記第2拡幅部の前記第2凹部への第2挿入方向と交わる方向であり、
前記第1拡幅部は、前記揺動軸部の中心を通り前記第1挿入方向を法線とする面を第1基準面としたとき、前記第1基準面を隔てて前記第1挿入部の先端部が配置される側と同じ側に配置されること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項5】
前記第1挿入部の前記第1凹部への第1挿入方向は、前記第2拡幅部の前記第2凹部への第2挿入方向と交わる方向であり、
前記第1拡幅部は、前記揺動軸部の中心を通り前記第1挿入方向を法線とする面を第1基準面としたとき、前記第1基準面を隔てて前記第1挿入部の先端部が配置される側と反対側に配置されること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項6】
前記第1挿入部の前記第1凹部への第1挿入方向は、前記第2拡幅部の前記第2凹部への第2挿入方向と反対方向であること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項7】
前記第1挿入部は、前記第1拡幅部に接触可能であること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項8】
前記第1挿入部は、前記第1拡幅部に嵌合可能であること
を特徴とする請求項7記載の接合部材。
【請求項9】
前記第2挿入部は、前記第2拡幅部に接触可能であること
を特徴とする請求項3記載の接合部材。
【請求項10】
前記第1拡幅部の少なくとも一部は、前記揺動軸部の中心に交わる方向の先端側から離間するにつれて厚みが薄くなること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項11】
前記第2拡幅部の少なくとも一部は、前記揺動軸部の中心に交わる方向の先端側に近づくにつれて厚みが薄くなること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項12】
前記第1拡幅部と前記第2拡幅部との少なくとも何れかは、外面に溝が形成されること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項13】
前記揺動軸部は、前記第1板材の板厚方向の内部と前記第2板材の板厚方向の内部との少なくとも何れかに収容可能であり、
前記第1挿入部と前記第1拡幅部は、前記第1板材の板厚方向の内部に収容可能であり、
前記第2拡幅部は、前記第2板材の板厚方向の内部に収容可能であり、
前記腕部は、前記第1板材の板厚方向の内部と前記第2板材の板厚方向の内部とに収容可能であること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1板材と第2板材とを接合するための接合部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャビネットを構成する板材同士を接合する構造においては、板材の接合部にダボを取り付け、接着剤を塗布することが一般的に行われている。この際、塗布する接着剤の量や、木質のダボの乾燥状態による接着剤の吸収度合い等によって、板材同士の接合強度にバラつきが生じるおそれがある。また、ダボに塗布した接着剤が硬化するまでに養生時間が必要となる。このため、接合が完了するまでに時間がかかる。
【0003】
そこで、接着剤を用いずに板材同士を接合する技術として、例えば特許文献1が開示されている。
【0004】
特許文献1には、第一部材と第二部材とを連結する連結部材であって、第一部材に形成された第一穴部内に配設された第一拡径部と、第二部材に形成された第二穴部内に配設された第二拡径部と、第一拡径部内に挿入されて第一拡径部を拡径する第一連結部と、第一連結部に連結され、第二拡径部内に挿入されることで第二拡径部を拡径するとともに、第一連結部を第一拡径部内に挿入する第二連結部と、を備える連結部材が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の開示技術では、前框の取付穴内に配置されたリング部は、蓋体の内傾斜壁部が挿入されることで、前後方向に沿う方向を軸線方向として周方向に拡径し、取付穴に固定される。また、蓋体は、ピンを、ダボ部に形成されたピン挿入空間内に挿入する。そして、側板の取付穴内に配置されたダボ部は、左右方向に沿う方向を中心軸として周方向に拡径し、取付穴の内面に係合する。このように、リング部とダボ部は、周方向に拡径して取付穴に係合されるため、取り外しを繰り返すと取付穴も変形を繰り返すことになる。したがって、部材同士の接合が弱くなり、接合が不確実となるおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、接着剤を用いることなく板材同士を確実に接合できる接合部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る接合部材は、第1板材の第1主面と第1端面とを切り欠いた第1凹部を有する前記第1板材と第2板材の第2主面と第2端面とを切り欠いた第2凹部を有する前記第2板材とを接合するための接合部材であって、揺動軸部と、前記揺動軸部から離間した第1拡幅部と第2拡幅部と、前記揺動軸部が設けられるとともに、前記第1拡幅部と前記第2拡幅部とを繋ぐ腕部と、前記揺動軸部が設けられる挿入部と、を備え、前記第1拡幅部と前記第2拡幅部は、前記腕部よりも拡幅され、前記挿入部は、前記第1端面側から前記第1凹部に挿入可能な第1挿入部を有し、前記第2拡幅部は、前記第2端面側から前記第2凹部に挿入可能であり、前記第1拡幅部は、前記第1挿入部が前記第1凹部に挿入された状態で前記揺動軸部を中心に揺動させることで、前記第1凹部に嵌合可能であり、前記第2拡幅部は、前記第1挿入部が前記第1凹部に挿入された状態で前記揺動軸部を中心に揺動させることで、前記第2凹部に嵌合可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接着剤を用いることなく板材同士を確実に接合できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態における接合部材が用いられるキャビネットの一例の一部を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態における接合部材が用いられる板材の接合構造の一例を分解して示す斜視図である。
【
図3】
図3(a)は、第1実施形態における接合部材が設けられる第1板材の一例を第1主面側から示す図であり、
図3(b)は、第1板材の一例を第1端面側から示す図であり、
図3(c)は、第1実施形態における接合部材が設けられる第2板材の一例を第2主面側から示す図であり、
図3(d)は、第2板材の一例を第2端面側から示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態における接合部材の一例を示す平面図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、第1実施形態における接合部材の一例を示す側面図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態における接合部材を用いた板材の接合方法において接合部材を第1凹部と第2凹部に挿入した状態を示す断面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態における接合部材を用いた板材の接合方法において接合部材を第1凹部と第2凹部に嵌合した状態を示す断面図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態における接合部材が用いられるキャビネットの一例の一部を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態における接合部材が用いられる板材の接合構造の一例を分解して示す斜視図である。
【
図11】
図11(a)は、第2実施形態における接合部材が設けられる第1板材の一例を第1主面側から示す図であり、
図11(b)は、第1板材の一例を第1端面側から示す図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態における接合部材の一例を示す正面図である。
【
図13】
図13(a)及び
図13(b)は、第2実施形態における接合部材の一例を示す側面図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態における接合部材を用いた板材の接合方法において接合部材を第1凹部と第2凹部に挿入した状態を示す断面図である。
【
図15】
図15は、第2実施形態における接合部材を用いた板材の接合方法において接合部材を第1凹部と第2凹部に嵌合した状態を示す断面図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態における接合部材を用いた板材の接合方法において接合部材を第1凹部と第2凹部に嵌合した状態を示す正面図である。
【
図17】
図17は、第3実施形態における接合部材が用いられるキャビネットの一例の一部を示す斜視図である。
【
図18】
図18は、第3実施形態における接合部材が用いられる板材の接合構造の一例を分解して示す斜視図である。
【
図19】
図19は、第3実施形態における接合部材の一例を示す平面図である。
【
図20】
図20(a)及び
図20(b)は、第3実施形態における接合部材の一例を示す側面図である。
【
図21】
図21は、第3実施形態における接合部材を用いた板材の接合方法において接合部材を第1凹部と第2凹部に挿入した状態を示す断面図である。
【
図22】
図22は、第3実施形態における接合部材を用いた板材の接合方法において接合部材を第1凹部と第2凹部に嵌合した状態を示す断面図である。
【
図23】
図23は、第3実施形態における接合部材を用いた板材の接合方法において接合部材を第1凹部と第2凹部に嵌合した状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した接合部材を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<キャビネット100>
図1に示すように、キャビネット100は、接合構造10により接合された複数の板材を含む棚等である。キャビネット100は、例えば板材等を接合して構成されるとともに内部に収納空間を有する、箱型の収納家具である。キャビネット100は、例えば該収納空間の前面に丁番を介して開閉可能に扉を設けたり、該収納空間に摺動可能な引出を設けたりすることもできる収納家具である。キャビネット100は、例えば吊戸棚であってもよい。キャビネット100は、例えば対面式キッチンの壁側に配されるカップボード等の収納スペースに用いられる収納庫であってもよい。キャビネット100は、例えばキッチン、洗面化粧台等のカウンターの下方に設けられるキャビネットでもよい。
【0013】
キャビネット100は、例えば側板と、底板と、天板と、背板と、を備える。なお、キャビネット100がカウンター下にワゴンを収容するための空間や、座りながらの作業が可能な空間が設けられるキャビネット(シンクキャビネット等)である場合等には、底板等の一部の板材が省略されることもある。
【0014】
板材の接合構造10は、例えばキャビネット100における側板と、底板と、天板と、背板と、のうちの何れか2つの板材同士が接合部材1を介して接合される。接合部材1は、キャビネット100を構成する第1板材110と第2板材120とを着脱自在に接合する。接合部材1を用いて板材同士を接合できるため、設置現場で組み立て可能なノックダウン方式によるキャビネット100を構成できる。
【0015】
<第1実施形態:板材の接合構造10、第1板材110、第2板材120>
図2に示すように、板材の接合構造10は、第1板材110の第1主面111と第1端面112とを切り欠いた第1凹部113を有する第1板材110と第2板材120の第2主面121と第2端面122とを切り欠いた第2凹部123を有する第2板材120とを接合するための接合部材1を用いて接合される。
【0016】
第1実施形態における接合部材1は、第1主面111と第2主面121とが異なる向きに向けられた第1板材110と第2板材120とを接合できる。接合部材1は、第1凹部113と第2凹部123に収容され、キャビネット100の内側から第1板材110と第2板材120とを接合できる。
【0017】
第1板材110は、例えば直方体状に形成され、一対の第1主面111と、一対の第1主面111を繋ぐ4つの第1端面112と、が形成される。第2板材120は、例えば直方体状に形成され、一対の第2主面121と、一対の第2主面121を繋ぐ4つの第2端面122と、が形成される。
【0018】
第1板材110と第2板材120とは、例えばMDF(Medium Density Fiberboard)、無垢材、合板、集成材、及びパーチクルボード等の木製の板材であってもよい。第1板材110と第2板材120とは、例えば鋼板やステンレス等の金属製の板材を含んだ構成であってもよい。また、第1板材110と第2板材120とは、例えばアクリル系、ウレタン系、及びFRP等の樹脂製の板材であってもよい。第1板材110と第2板材120とは、例えば発泡ポリスチレン等の発泡樹脂製の板材であってもよい。
【0019】
図3(a)及び
図3(b)に示すように、第1凹部113は、第1端面112側から第1板材110の板厚方向の内部を切り欠いた第1挿入溝114と、第1挿入溝114よりも縮幅されて第1端面112から第1主面111を切り欠いた第1開口部115と、第1開口部115よりも拡幅されて第1主面111に形成される第1嵌合孔116と、が形成される。
【0020】
第1挿入溝114の幅B114は、第1端面112からの延伸方向に略一様に形成される。第1開口部115の幅B115は、第1端面112からの延伸方向に略一様に形成される。第1開口部115の幅B115は、第1挿入溝114の幅B114よりも小さい。第1開口部115は、第1挿入溝114に連通される。第1嵌合孔116は、第1端面112から離間して形成される。第1嵌合孔116は、第1挿入溝114と第1開口部115とに連通される。第1嵌合孔116は、第1主面111側から見て楕円形状に形成される。第1嵌合孔116の最大部分の幅B116は、第1挿入溝114の幅B114と略同じであり、第1開口部115の幅B115よりも大きい。
【0021】
図3(c)及び
図3(d)に示すように、第2凹部123は、第2端面122側から第2板材120の板厚方向の内部を切り欠いた第2挿入溝124と、第2挿入溝124よりも縮幅されて第2端面122から第2主面121を切り欠いた第2開口部125と、第2開口部125よりも拡幅されて第2主面121に形成される第2嵌合孔126と、が形成される。
【0022】
第2挿入溝124の幅B124は、第2端面122からの延伸方向に略一様に形成される。第2開口部125の幅B125は、第2端面122からの延伸方向に略一様に形成される。第2開口部125の幅B125は、第2挿入溝124の幅B124よりも小さい。第2開口部125は、第2挿入溝124に連通される。第2嵌合孔126は、第2端面122から離間して形成される。第2嵌合孔126は、第2挿入溝124と第2開口部125とに連通される。第2嵌合孔126は、第2主面121側から見て円形状に形成される。第2嵌合孔126の最大部分の幅B126は、第2挿入溝124の幅B124と略同じであり、第2開口部125の幅B125よりも大きい。
【0023】
<接合部材1>
図4、
図5(a)及び
図5(b)に示すように、接合部材1は、揺動部2と、挿入部3と、を備える。
【0024】
揺動部2は、揺動軸部21と、第1拡幅部22と、第2拡幅部23と、腕部29と、を有する。挿入部3は、軸受溝31と、第1挿入部32と、第2挿入部33と、を有する。接合部材1は、揺動軸部21と、第1拡幅部22と、第2拡幅部23と、腕部29と、が一体的に形成され、挿入部3がこれらと別体として形成される。接合部材1は、例えば樹脂で構成される。なお、本発明では、第2挿入部33を省略することもできる。
【0025】
揺動軸部21は、例えば円柱状に形成される。揺動軸部21は、例えば六角形状、八角形状等の多角形状に形成されてもよいし、球状に形成されてもよい。揺動軸部21は、第1拡幅部22と第2拡幅部23とを揺動させる際の中心となる中心Cを有する。
【0026】
腕部29は、揺動軸部21が設けられるとともに第1拡幅部22と第2拡幅部23とを繋ぐ。腕部29は、揺動軸部21と第1拡幅部22とを繋ぐ第1腕部24と、揺動軸部21と第2拡幅部23とを繋ぐ第2腕部25と、を有する。第1腕部24と第2腕部25とは、揺動軸部21の中心Cに沿う方向から見てL字状に形成される。第1腕部24の外面と第2腕部25の外面とは、異なる方向に向けられる。
【0027】
第1拡幅部22と第2拡幅部23とは、揺動軸部21から離間される。第1拡幅部22は、楕円形状に形成される。第2拡幅部23は、円形状に形成される。第1拡幅部22と第2拡幅部23とは、腕部29よりも拡幅される。中心Cに沿う方向において、第1拡幅部22の最大部分の幅B22は、第1腕部24の幅B24よりも拡幅される。中心Cに沿う方向において、第2拡幅部23の最大部分の幅B23は、第2腕部25の幅B25よりも拡幅される。
【0028】
第1拡幅部22の少なくとも一部は、中心Cに交わる方向の先端側から離間するにつれて厚みが薄くなる。第1拡幅部22の第1挿入部32側の内面22aは、中心Cに交わる方向の先端側から離間するにつれて厚みが薄くなるように傾斜される傾斜面と、外面22bと平行な平行面と、が形成される。第1拡幅部22の外面22bは、第1腕部24の外面と略面一な平坦な面が形成される。
【0029】
第1拡幅部22は、第1挿入部32側に向けて突出した突起部26が形成される。突起部26は、例えば円柱状に形成されるが、形状は任意である。
【0030】
第2拡幅部23の少なくとも一部は、中心Cに交わる方向の先端側に近づくにつれて厚みが薄くなる。第2拡幅部23の第2挿入部33側の内面23aは、中心Cに交わる方向の先端側に近づくにつれて厚みが薄くなるように傾斜される傾斜面が形成される。第2拡幅部23の外面23bは、第2腕部25の外面と略面一な平坦な面が形成される。
【0031】
軸受溝31は、U字状に切り欠かれた溝であり、揺動軸部21が設けられる。
【0032】
第1挿入部32は、棒状、板状等の所定の形状に形成される。第1挿入部32は、第1拡幅部22に対向して配置され、第1拡幅部22に接触可能である。第1挿入部32は、第1腕部24よりも拡幅される。第1挿入部32は、第1拡幅部22に対向する面に孔34が形成される。第1挿入部32の孔34には、第1拡幅部22に形成された突起部26が嵌合可能である。第1挿入部32には、軸受溝31が形成される。
【0033】
第2挿入部33は、棒状、板状等の所定の形状に形成される。第2挿入部33は、第1挿入部32から第2拡幅部23に向けて突出される。第2挿入部33は、第2腕部25を挟んで両側に一対配置される。
【0034】
第1挿入部32は、第1端面112側から第1凹部113に挿入可能である。第2拡幅部23と第2挿入部33とは、第2端面122側から第2凹部123に挿入可能である。第1挿入部32の第1凹部113への挿入方向を第1挿入方向Xとし、第2拡幅部23の第2凹部123への挿入方向を第2挿入方向Yとする。第1挿入方向Xは、第2挿入方向Yと交わる方向である。
【0035】
ここで、揺動軸部21の中心Cを通り第1挿入方向Xを法線とする面を第1基準面Lとする。第1拡幅部22は、第1基準面Lを隔てて第1挿入部32の先端部32aが配置される側と同じ側に配置される。
【0036】
第2拡幅部23は、第2挿入方向Yに沿って延伸される。第2拡幅部23は、第2挿入方向Yにおいて、第2挿入部33の先端部よりも突出された位置に配置される。
【0037】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、第1拡幅部22と第2拡幅部23とは、揺動軸部21を中心として時計回りの方向と反時計回りの方向(図中R方向)とに揺動させることができる。腕部29を介して第1拡幅部22と第2拡幅部23とが繋がるため、第1拡幅部22と第2拡幅部23の何れか一方を押圧して揺動軸部21を中心として揺動させることによって、第1拡幅部22と第2拡幅部23の何れか他方を揺動軸部21を中心として揺動させることができる。すなわち、第2拡幅部23の揺動方向は、第1拡幅部22の揺動方向と同一方向となる。
【0038】
図5(a)に示すように、第1拡幅部22は、第1挿入部32と離間される。
図5(b)に示すように、第1拡幅部22を揺動軸部21を中心として揺動させたとき、第1拡幅部22は、第1挿入部32に接触可能である。このとき、突起部26は、孔34に嵌合される。
【0039】
図5(a)に示すように、第2拡幅部23は、第2挿入部33の先端部と接触可能である。
図5(b)に示すように、第2拡幅部23を揺動軸部21を中心として揺動させたとき、第2拡幅部23は、第2挿入部33の先端部から離間される。
【0040】
<板材の接合方法>
次に、板材の接合方法の一例について説明する。板材の接合方法では、第1板材110の第1主面111と第1端面112とを切り欠いた第1凹部113を有する第1板材110と第2板材120の第2主面121と第2端面122とを切り欠いた第2凹部123を有する第2板材120とを接合部材1を用いて接合する。板材の接合方法は、挿入工程と、揺動工程と、を備える。
【0041】
<挿入工程>
図6に示すように、挿入部3は、第1端面112側から第1凹部113に挿入可能な第1挿入部32を有する。第1挿入部32は、第1端面112側から第1板材110の板厚方向の内部を切り欠いた第1挿入溝114に挿入可能である。第1挿入部32は、第1開口部115にも挿入可能であってもよい。
【0042】
挿入工程では、第1挿入部32を第1端面112側から第1凹部113を構成する第1挿入溝114に挿入する。第1挿入部32の幅は、第1挿入溝114の幅と略同じである。第1挿入部32を第1挿入溝114に挿入したとき、第1挿入部32は、第1挿入溝114の側壁に接して嵌合される。このため、第1挿入部32のずれを抑制できる。
【0043】
詳細には、挿入工程では、第1拡幅部22が第1主面111から突出されるように、第1拡幅部22と第1挿入部32とを離間させた状態で、第1挿入部32を第1挿入溝114に挿入する。これにより、第1拡幅部22は、第1開口部115よりも板厚方向の外側を通って第1嵌合孔116の板厚方向の外側に配置される。このとき、第1拡幅部22は、先端側から離間するにつれて厚みが薄くなる。このため、第1拡幅部22の内面22aが第1主面111に引っかかるのを抑制でき、第1挿入部32を第1挿入溝114に挿入し易くなる。
【0044】
第1挿入部32を第1挿入溝114に挿入したとき、第1挿入部32の第1挿入方向Xの後端部は、第1端面112と略面一である。
【0045】
そして、第2拡幅部23は、第2端面122側から第2凹部123に挿入可能である。第2拡幅部23は、第2端面122側から第2板材120の板厚方向の内部を切り欠いた第2凹部123を構成する第2挿入溝124に挿入可能である。
【0046】
挿入工程では、第2端面122を第1主面111に対向させ、第2端面122側から第2凹部123に第2拡幅部23を挿入する。挿入工程では、第2拡幅部23を第2端面122側から第2挿入溝124に挿入する。
【0047】
詳細には、挿入工程では、第2拡幅部23と第2挿入部33の先端部とを接触させた状態で、第2板材120の板厚方向の内部を切り欠いた第2挿入溝124に第2拡幅部23を挿入する。これにより、第2拡幅部23は、第2開口部125よりも板厚方向の内側を通って第2嵌合孔126よりも板厚方向の内側に配置される。このとき、第2拡幅部23は、先端側に近づくにつれて厚みが薄くなる。このため、第2拡幅部23を第2挿入溝124に挿入し易くなる。
【0048】
挿入工程では、第2拡幅部23を第2挿入溝124に挿入する際、第2挿入部33も第2挿入溝124に挿入する。これにより、第2挿入部33は、第2開口部125よりも板厚方向の内側に配置される。第2挿入部33を第2挿入溝124に挿入したとき、第2挿入部33は、第2挿入溝124の側壁に接して嵌合される。これにより、第2挿入部33のずれを抑制できる。
【0049】
本実施形態では、第1挿入部32を第1凹部113に挿入した後に第2拡幅部23を第2凹部123に挿入したが、本発明では、第2拡幅部23を第2凹部123に挿入した後に第1挿入部32を第1凹部113に挿入してもよい。
【0050】
<揺動工程>
図7に示すように、第1拡幅部22は、揺動軸部21を中心に揺動させることで、第1凹部113に嵌合可能である。第1拡幅部22は、揺動軸部21を中心に揺動させることで、第1開口部115よりも拡幅されて第1主面111に形成される第1嵌合孔116に嵌合可能である。第2拡幅部23は、揺動軸部21を中心に揺動させることで、第2凹部123に嵌合可能である。第2拡幅部23は、揺動軸部21を中心に揺動させることで、第2開口部125よりも拡幅されて第2主面121に形成される第2嵌合孔126に嵌合可能である。
【0051】
腕部29は、第1挿入溝114よりも縮幅されて第1端面112から第1主面111を切り欠いた第1開口部115と、第2挿入溝124よりも縮幅されて第2端面122から第2主面121を切り欠いた第2開口部125と、に収容可能である。
【0052】
揺動工程では、第1嵌合孔116よりも板厚方向の外側に配置された第1拡幅部22を第1挿入部32側に向けて押圧することにより、揺動軸部21を中心として第1拡幅部22を揺動させる。これにより、第1拡幅部22は、第1嵌合孔116に嵌合され、第1腕部24は、第1開口部115に収容される。
【0053】
また、揺動軸部21を中心として第1拡幅部22を揺動させることにより、腕部29を介して第1拡幅部22に繋がる第2拡幅部23を揺動軸部21を中心として揺動させる。これにより、第2拡幅部23は、第2嵌合孔126に嵌合され、第2腕部25は、第2開口部125に収容される。
【0054】
第1嵌合孔116に第1拡幅部22を嵌合し、第2嵌合孔126に第2拡幅部23を嵌合したとき、第1拡幅部22の外面22bは、第1主面111に略面一である。第2拡幅部23の外面23bは、第2主面121に略面一である。また、腕部29の外面は、第1主面111と第2主面121とに略面一である。このように、接合部材1は、第1凹部113と第2凹部123とに収容される。接合部材1は、第1板材110と第2板材120とをキャビネットの内側から接合できる。
【0055】
図8(a)に示すように、第1腕部24よりも拡幅される第1拡幅部22が第1嵌合孔116に嵌合されるため、第1拡幅部22が第1開口部115から抜け出すのを防止できる。また、
図8(b)に示すように、第2腕部25よりも拡幅される第2拡幅部23が第2嵌合孔126に嵌合されるため、第2拡幅部23が第2開口部125から抜け出すのを防止できる。このため、接着剤を用いることなく板材同士を確実に接合できる。
【0056】
また、第1拡幅部22と第2拡幅部23とを繋ぐ腕部29を有することから、第1拡幅部22と第2拡幅部23の何れか一方を押圧して揺動軸部21を中心として揺動させることによって、第1拡幅部22と第2拡幅部23の何れか他方を揺動軸部21を中心として揺動させることができる。このため、接合部材1は、ワンタッチで第1板材110と第2板材120とを接合できる。
【0057】
このようにして第1板材110と第2板材120とを接合部材1を用いて接合できる。第1板材110と第2板材120との接合を解除する場合、上記と逆の手順により行えばよい。
【0058】
接合を解除する場合、例えば第2嵌合孔126に嵌合された第2拡幅部23を第2挿入部33側に向けて押圧することにより、揺動軸部21を中心として第2拡幅部23を揺動させる。これにより、第2拡幅部23は、第2嵌合孔126への嵌合が解除され、第2挿入溝124に配置される。
【0059】
また、揺動軸部21を中心として第2拡幅部23を揺動させることにより、腕部29を介して第2拡幅部23に繋がる第1拡幅部22を揺動軸部21を中心として揺動させる。これにより、第1拡幅部22は、第1嵌合孔116への嵌合が解除され、第1嵌合孔116よりも板厚方向の外側に配置される。このため、接合部材1は、ワンタッチで第1板材110と第2板材120との接合を解除できる。
【0060】
本実施形態では、第1拡幅部22と第2拡幅部23は、腕部29よりも拡幅され、挿入部3は、腕部29よりも拡幅されるとともに、第1挿入方向Xから第1凹部113に挿入可能な第1挿入部32を有し、第2拡幅部23は、第2挿入方向Yから第2凹部123に挿入可能であり、第1拡幅部22は、第1挿入部32を第1凹部113に挿入した状態で揺動軸部21を中心に揺動させることで、第1凹部113に嵌合可能であり、第2拡幅部23は、第1挿入部32を第1凹部113に挿入した状態で揺動軸部21を中心に揺動させることで、第2凹部123に嵌合可能である。これにより、接合と接合の解除を繰り返しても、第1凹部113と第2凹部123の損傷が抑制される。このため、接着剤を用いることなく板材同士を確実に接合できる。
【0061】
本実施形態では、第1拡幅部22は、揺動軸部21を中心に揺動させることで、第1開口部115よりも拡幅されて第1主面に形成される第1嵌合孔116に嵌合可能であり、第2拡幅部23は、揺動軸部21を中心に揺動させることで、第2開口部125よりも拡幅されて第2主面121に形成される第2嵌合孔126に嵌合可能である。これにより、第1拡幅部22は、第1嵌合孔116に嵌合され、第2拡幅部23は、第2嵌合孔126に嵌合される。このため、板材同士の接合をより確実にできる。
【0062】
本実施形態では、挿入部3は、第2挿入溝124の側壁に接触可能な第2挿入部33を有する。これにより、第2挿入部33を第2挿入溝124に挿入したとき、第2拡幅部23のずれを抑制できる。
【0063】
本実施形態では、第1拡幅部22は、第1挿入部32に接触可能である。これにより、第1拡幅部22を第1挿入部32側に向けて押圧したとき、第1拡幅部22を第1挿入部32に接触させて第1拡幅部22の揺動を停止できる。このため、ユーザは、板材同士の接合をより容易に行うことができる。
【0064】
本実施形態では、突起部26は、孔34に嵌合される。このため、第1拡幅部22と第1挿入部32とを更に強固に接合できる。
【0065】
本実施形態では、第2拡幅部23は、第2挿入部33に接触可能である。これにより、第2拡幅部23を第2挿入部33側に向けて押圧したとき、第2拡幅部23を第2挿入部33に接触させて第2拡幅部23の揺動を停止できる。このため、ユーザは、板材同士の接合の解除をより容易に行うことができる。
【0066】
本実施形態では、第1挿入方向Xは、第2挿入方向Yと交わる方向であり、第1拡幅部22は、揺動軸部21の中心Cを通り第1挿入方向Xを法線とする面を第1基準面Lとしたとき、第1基準面Lを隔てて第1挿入部32の先端部32aが配置される側と同じ側に配置される。これにより、第1板材110と第2板材120とをキャビネットの内側から接合できる。
【0067】
本実施形態では、第1拡幅部22の少なくとも一部は、中心Cに交わる方向の先端側から離間するにつれて厚みが薄くなる。このため、第1拡幅部22の内面22aが第1主面111に引っかかるのを抑制でき、第1挿入部32を第1挿入溝114に挿入し易くなる。
【0068】
本実施形態では、第2拡幅部23の少なくとも一部は、中心Cに交わる方向の先端側に向けて厚みが薄くなる。このため、第2拡幅部23を第2挿入溝124に挿入し易くなる。
【0069】
本実施形態では、揺動軸部21は、第1板材110の板厚方向の内部と第2板材120の板厚方向の内部との少なくとも何れかに収容可能であり、第1挿入部32と第1拡幅部22は、第1板材110の板厚方向の内部に収容可能であり、第2拡幅部23は、第2板材120の板厚方向の内部に収容可能であり、腕部29は、第1板材110の板厚方向の内部と第2板材120の板厚方向の内部とに収容可能である。これにより、接合部材1は、第1板材110の板厚方向の内部と第2板材120の板厚方向の内部とに収容される。これにより、キャビネット100の内側の空間を広く使用できる。また、キャビネット100を部屋の壁に接して設置できる。
【0070】
<第2実施形態:板材の接合構造10、第1板材110、第2板材120>
図9に示すように、板材の接合構造10は、第1板材110の第1主面111と第1端面112とを切り欠いた第1凹部113を有する第1板材110と第2板材120の第2主面121と第2端面122とを切り欠いた第2凹部123を有する第2板材120とを接合するための接合部材1を用いて接合される。
【0071】
第2実施形態における接合部材1は、第1主面111と第2主面121とが異なる向きに向けられた第1板材110と第2板材120とを接合できる。接合部材1は、第1凹部113と第2凹部123に収容され、キャビネット100の外側から第1板材110と第2板材120とを接合できる。以下、上述した実施形態と相違する点について主に説明し、上述した実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0072】
図10、
図11(a)及び
図11(b)に示すように、第1凹部113は、第1端面112側から第1板材110の板厚方向の内部を切り欠いた第1挿入溝114と、第1挿入溝114よりも縮幅されて第1端面112から第1主面111を切り欠いた第1開口部115と、第1開口部115よりも拡幅されて第1端面112に形成される第1嵌合孔116と、が形成される。第2実施形態では、第1嵌合孔116は、第1挿入溝114の第1端面112側の端部に形成される。
【0073】
第1挿入溝114の幅は、第1端面112からの延伸方向に略一様に形成される。第1開口部115の幅は、第1端面112からの延伸方向に略一様に形成される。第1開口部115の幅は、第1挿入溝114の幅よりも小さい。第1開口部115は、第1挿入溝114に連通される。第1嵌合孔116は、第1主面111から離間して形成される。第1嵌合孔116は、第1挿入溝114と第1開口部115とに連通され、第1端面112側から見て矩形状に形成される。
【0074】
第2実施形態における第2凹部123は、第1実施形態における第2凹部123と同様である。
【0075】
<接合部材1>
図12、
図13(a)及び
図13(b)に示すように、接合部材1は、揺動部2と、挿入部3と、を備える。揺動部2は、揺動軸部21と、第1拡幅部22と、第2拡幅部23と、腕部29と、を有する。挿入部3は、軸受溝31と、第1挿入部32と、第2挿入部33と、を有する。
【0076】
腕部29は、揺動軸部21が設けられるとともに第1拡幅部22と第2拡幅部23とを繋ぐ。腕部29は、揺動軸部21と第1拡幅部22とを繋ぐ第1腕部24と、揺動軸部21と第2拡幅部23とを繋ぐ第2腕部25と、を有する。第1腕部24と第2腕部25とは、棒状に形成される。第1腕部24の外面と第2腕部25の外面とは、同じ方向に向けられる。
【0077】
第1拡幅部22と第2拡幅部23とは、揺動軸部21から離間される。第1拡幅部22は、中心Cに交わる方向から見て矩形状に形成される。第2拡幅部23は、中心Cに交わる方向から見て円形状に形成される。第1拡幅部22と第2拡幅部23とは、腕部29よりも拡幅される。中心Cに沿う方向において、第1拡幅部22の幅は、第1腕部24の幅よりも拡幅される。中心Cに沿う方向において、第2拡幅部23の最大部分の幅は、第2腕部25の幅よりも拡幅される。
【0078】
第1拡幅部22の少なくとも一部は、中心Cに交わる方向の先端側から離間するにつれて厚みが薄くなる。第1拡幅部22の第1挿入部32側の内面22aは、中心Cに交わる方向の先端側から離間するにつれて厚みが薄くなるように傾斜される傾斜面と、外面22bと平行な平坦な面と、が形成される。第1拡幅部22の外面22bは、第1腕部24の外面と略面一な平坦な面で形成される。
【0079】
第1拡幅部22は、外面22bに溝27が形成される。溝27にマイナスドライバー等の差込部材を挿入することにより、第1拡幅部22を揺動させることができる。このため、揺動動作をより容易に行うことができる。
【0080】
第2拡幅部23の少なくとも一部は、中心Cに交わる方向の先端側に近づくにつれて厚みが薄くなる。第2拡幅部23の第2挿入部33側の内面23aは、平坦な面が形成される。第2拡幅部23の外面23bは、中心Cに交わる方向の先端側に近づくにつれて厚みが薄くなるように傾斜される傾斜面と、第2腕部25の外面と略面一な平坦な面と、が形成される。
【0081】
図示は省略するが、第2拡幅部23の外面23bには、溝が形成されてもよい。この溝に、マイナスドライバー等の差込部材を挿入することにより、第2拡幅部23を揺動させることもできる。外面23bに形成される場合、外面23bの傾斜面に溝が形成されることが好ましい。
【0082】
軸受溝31は、U字状に切り欠かれた溝であり、揺動軸部21が設けられる。
【0083】
第1挿入部32は、第1端面112側から第1凹部113に挿入可能である。第2拡幅部23と第2挿入部33は、第2端面122側から第2凹部123に挿入可能である。第1挿入方向Xは、第2挿入方向Yと交わる方向である。
【0084】
ここで、揺動軸部21の中心Cを通り第1挿入方向Xを法線とする面を第1基準面Lとする。第1拡幅部22は、第1基準面Lを隔てて第1挿入部32の先端部32aが配置される側と反対側に配置される。
【0085】
図13(a)及び
図13(b)に示すように、第1拡幅部22と第2拡幅部23とは、揺動軸部21を中心として時計回りの方向と反時計回りの方向(図中R方向)とに揺動させることができる。腕部29を介して第1拡幅部22と第2拡幅部23とが繋がるため、第1拡幅部22と第2拡幅部23の何れか一方を押圧して揺動軸部21を中心として揺動させることによって、第1拡幅部22と第2拡幅部23の何れか他方を揺動軸部21を中心として揺動させることができる。すなわち、第2拡幅部23の揺動方向は、第1拡幅部22の揺動方向と同一方向となる。
【0086】
図13(a)に示すように、第1拡幅部22の内面22aは、外面22bと平行な面が第1挿入部32と離間され、傾斜面が第1挿入部32と接触可能である。
図13(b)に示すように、第1拡幅部22を揺動軸部21を中心として揺動させたとき、第1拡幅部22は、内面22aの外面22bと平行な面が第1挿入部32に接触可能であり、内面22aの傾斜面が第1挿入部32と離間される。
【0087】
図13(a)に示すように、第2拡幅部23は、第2挿入部33の先端部と接触可能である。
図13(b)に示すように、第2拡幅部23を揺動軸部21を中心として揺動させたとき、第2拡幅部23は、第2挿入部33の先端部から離間される。
【0088】
<板材の接合方法>
次に、板材の接合方法の一例について説明する。板材の接合方法では、第1板材110の第1主面111と第1端面112とを切り欠いた第1凹部113を有する第1板材110と第2板材120の第2主面121と第2端面122とを切り欠いた第2凹部123を有する第2板材120とを接合部材1を用いて接合する。板材の接合方法は、挿入工程と、揺動工程と、を備える。
【0089】
<挿入工程>
図14に示すように、挿入工程では、第1挿入部32を第1端面112側から第1凹部113を構成する第1挿入溝114に挿入する。このとき、第1挿入部32は、第1開口部115にも挿入される。第1挿入部32の幅は、第1挿入溝114の幅と略同じである。第1挿入部32を第1挿入溝114に挿入したとき、第1挿入部32は、第1挿入溝114の側壁に接して嵌合される。このため、第1挿入部32のずれを抑制できる。
【0090】
第1挿入部32を第1凹部113に挿入したとき、第1拡幅部22の内面22aは、外面22bと平行な面が第1挿入部32から離間される。
【0091】
詳細には、挿入工程では、第1拡幅部22が第1端面112から突出されるように、第1拡幅部22の内面22aにおける外面22bに平行な面と第1挿入部32とを離間させた状態で、第1挿入部32を第1挿入溝114に挿入する。
【0092】
そして、挿入工程では、第2端面122を第1主面111に対向させ、第2端面122側から第2凹部123を構成する第2挿入溝124に第2拡幅部23を挿入する。
【0093】
詳細には、挿入工程では、第2拡幅部23と第2挿入部33の先端部とを接触させた状態で、第2板材120の板厚方向の内部を切り欠いた第2挿入溝124に第2拡幅部23を挿入する。これにより、第2拡幅部23は、第2開口部125よりも板厚方向の内側を通って第2嵌合孔126よりも板厚方向の内側に配置される。このとき、第2拡幅部23は、先端側に近づくにつれて厚みが薄くなる。このため、第2拡幅部23を第2挿入溝124に挿入し易くなる。
【0094】
挿入工程では、第2拡幅部23を第2挿入溝124に挿入する際、第2挿入部33を第2挿入溝124に挿入する。これにより、第2挿入部33は、第2開口部125よりも板厚方向の内側に配置される。第2挿入部33を第2挿入溝124に挿入したとき、第2挿入部33は、第2挿入溝124の側壁に接して嵌合される。これにより、第2挿入部33のずれを抑制できる。
【0095】
<揺動工程>
図15に示すように、揺動工程では、図示しないマイナスドライバー等の差込部材を溝27に差し込み、差込部材により第1拡幅部22を第1挿入部32側に向けて押圧することにより、揺動軸部21を中心として第1拡幅部22を揺動させる。これにより、第1拡幅部22は、第1嵌合孔116に嵌合され、第1腕部24は、第1開口部115に収容される。
【0096】
また、揺動軸部21を中心として第1拡幅部22を揺動させることにより、腕部29を介して第1拡幅部22に繋がる第2拡幅部23を揺動軸部21を中心として揺動させる。これにより、第2拡幅部23は、第2嵌合孔126に嵌合され、第2腕部25は、第2開口部125に収容される。
【0097】
第1嵌合孔116に第1拡幅部22を嵌合し、第2嵌合孔126に第2拡幅部23を嵌合したとき、第1拡幅部22の外面22bは、第1端面112に略面一である。第2拡幅部23の外面23bは、第2主面121に略面一である。また、腕部29の外面も第1端面112と第2主面121とに略面一である。このように、接合部材1は、第1凹部113と第2凹部123とに収容される。接合部材1は、第1板材110と第2板材120とをキャビネットの外側から接合できる。
【0098】
図16に示すように、第1腕部24よりも拡幅される第1拡幅部22が第1嵌合孔116に嵌合されるため、第1拡幅部22が第1開口部115から抜け出すのを防止できる。また、第2腕部25よりも拡幅される第2拡幅部23が第2嵌合孔126に嵌合されるため、第2拡幅部23が第2開口部125から抜け出すのを防止できる。このため、接着剤を用いることなく板材同士を確実に接合できる。
【0099】
また、第1拡幅部22と第2拡幅部23とを繋ぐ腕部29を有することから、第1拡幅部22と第2拡幅部23の何れか一方を押圧して揺動軸部21を中心として揺動させることによって、第1拡幅部22と第2拡幅部23の何れか他方を揺動軸部21を中心として揺動させることができる。このため、ワンタッチで第1板材110と第2板材120とを接合できる。
【0100】
このようにして第1板材110と第2板材120とを接合部材1を用いて接合できる。第1板材110と第2板材120との接合を解除する場合、上記と逆の手順により行えばよい。
【0101】
接合を解除する場合、例えば第2嵌合孔126に嵌合された第2拡幅部23を第2挿入部33側に向けて押圧することにより、揺動軸部21を中心として第2拡幅部23を揺動させる。これにより、第2拡幅部23は、第2嵌合孔126への嵌合が解除され、第2挿入溝124に配置される。
【0102】
また、揺動軸部21を中心として第2拡幅部23を揺動させることにより、腕部29を介して第2拡幅部23に繋がる第1拡幅部22を揺動軸部21を中心として揺動させる。これにより、第1拡幅部22は、第1嵌合孔116への嵌合が解除され、第1嵌合孔116よりも板厚方向の外側に配置される。このため、ワンタッチで第1板材110と第2板材120との接合を解除できる。
【0103】
本実施形態では、第1拡幅部22と第2拡幅部23は、腕部29よりも拡幅され、挿入部3は、腕部29よりも拡幅されるとともに、第1挿入方向Xから第1凹部113に挿入可能な第1挿入部32を有し、第2拡幅部23は、第2挿入方向Yから第2凹部123に挿入可能であり、第1拡幅部22は、揺動軸部21を中心に揺動させることで、第1凹部113に嵌合可能であり、第2拡幅部23は、揺動軸部21を中心に揺動させることで、第2凹部123に嵌合可能である。これにより、接合と接合の解除を繰り返しても、第1凹部113と第2凹部123の損傷が抑制される。このため、接着剤を用いることなく板材同士を確実に接合できる。
【0104】
本実施形態では、第1挿入方向Xは、第2挿入方向Yと交わる方向であり、第1拡幅部22は、揺動軸部21の中心Cを通り第1挿入方向Xを法線とする面を第1基準面Lとしたとき、第1基準面Lを隔てて第1挿入部32の先端部32aが配置される側と反対側に配置される。これにより、第1板材110と第2板材120とをキャビネットの外側から接合できる。
【0105】
本実施形態では、第1拡幅部22の外面22bには、溝27が形成される。この溝27にマイナスドライバー等の差込部材を挿入することにより、第1拡幅部22を揺動させることができる。このため、揺動動作をより容易に行うことができる。
【0106】
本発明では、第2拡幅部23の外面23bには、溝が形成されてもよい。この溝にマイナスドライバー等の差込部材を挿入することにより、第2拡幅部23を揺動させることができる。このため、揺動動作をより容易に行うことができる。
【0107】
<第3実施形態:板材の接合構造10、第1板材110、第2板材120>
図17に示すように、板材の接合構造10は、第1板材110の第1主面111と第1端面112とを切り欠いた第1凹部113を有する第1板材110と第2板材120の第2主面121と第2端面122とを切り欠いた第2凹部123を有する第2板材120とを接合するための接合部材1を用いて接合される。
【0108】
第3実施形態における接合部材1は、第1主面111と第2主面121とが同じ向きに向けられた第1板材110と第2板材120とを接合できる。接合部材1は、第1凹部113と第2凹部123に収容される。接合部材1は、第1端面112と第2端面122とが対向した第1板材110と第2板材120とを接合できる。以下、上述した実施形態と相違する点について主に説明し、上述した実施形態と同様の構成については、適宜説明を省略する。
【0109】
第3実施形態における第1凹部113と第2凹部123は、第1実施形態における第2凹部123と同様である。
【0110】
<接合部材1>
図18、
図19及び
図20に示すように、接合部材1は、揺動部2と、挿入部3と、を備える。揺動部2は、揺動軸部21と、第1拡幅部22と、第2拡幅部23と、腕部29と、を有する。挿入部3は、軸受溝31と、第1挿入部32と、第2挿入部33と、を有する。
【0111】
腕部29は、揺動軸部21が設けられるとともに第1拡幅部22と第2拡幅部23とを繋ぐ。腕部29は、揺動軸部21と第1拡幅部22とを繋ぐ第1腕部24と、揺動軸部21と第2拡幅部23とを繋ぐ第2腕部25と、を有する。第1腕部24と第2腕部25とは、棒状に形成される。第1腕部24の外面と第2腕部25の外面とは、同じ方向に向けられる。
【0112】
第1拡幅部22と第2拡幅部23とは、揺動軸部21から離間される。第1拡幅部22は、中心Cに交わる方向から見て円形状に形成される。第2拡幅部23は、中心Cに交わる方向から見て円形状に形成される。第1拡幅部22と第2拡幅部23とは、腕部29よりも拡幅される。中心Cに沿う方向において、第1拡幅部22の最大部分の幅は、第1腕部24の幅よりも拡幅される。中心Cに沿う方向において、第2拡幅部23の最大部分の幅は、第2腕部25の幅よりも拡幅される。
【0113】
第1拡幅部22は、中心Cに交わる方向の先端側から離間するにつれて厚みが薄くなる。第1拡幅部22の挿入部3側の内面22aは、中心Cに交わる方向の先端側から離間するにつれて厚みが薄くなるように傾斜される傾斜面と、外面22bと平行な平坦な面と、が形成される。第1拡幅部22の外面22bは、第1腕部24の外面と略面一な平坦な面で形成される。
【0114】
第1拡幅部22は、第1挿入部32に対向する面に孔28が形成される。第1拡幅部22の孔28には、第1挿入部32に形成された突起部35が嵌合可能である。
【0115】
第2拡幅部23は、中心Cに交わる方向の先端側に近づくにつれて厚みが薄くなる。第2拡幅部23の第2挿入部33側の内面23aは、第2腕部25の外面と平行な平坦な面が形成される。第2拡幅部23の外面23bは、中心Cに交わる方向の先端側に近づくにつれて厚みが薄くなるように傾斜される第1傾斜面と、第2腕部25の外面と略面一な平坦な面と、この平坦な面の両側に中心Cに交わる方向の先端側に近づくにつれて厚みが厚くなるように傾斜される第2傾斜面と、が形成される。
【0116】
第2拡幅部23の外面23bには、溝が形成されてもよい。この溝に、マイナスドライバー等の差込部材を挿入することにより、第2拡幅部23を揺動させることもできる。この溝が外面23bに形成される場合、外面23bの第1傾斜面に溝が形成されることが好ましい。
【0117】
軸受溝31は、U字状に切り欠かれた溝であり、揺動軸部21が設けられる。
【0118】
第1挿入部32は、第1端面112側から第1凹部113に挿入可能である。第2拡幅部23と第2挿入部33とは、第2端面122側から第2凹部123に挿入可能である。第1挿入方向Xは、第2挿入方向Yと反対方向である。
【0119】
第1挿入部32は、第1拡幅部22側に向けて突出した突起部35が形成される。突起部35は、例えば円柱状に形成される。
【0120】
第2挿入部33は、第2腕部25よりも拡幅される。第2挿入部33には、軸受溝31が形成される。
【0121】
ここで、揺動軸部21の中心Cを通り第1挿入方向Xを法線とする面を第1基準面Lとする。第1拡幅部22は、第1基準面Lを隔てて第1挿入部32の先端部32aが配置される側と同じ側に配置される。
【0122】
図20(a)及び
図20(b)に示すように、第1拡幅部22と第2拡幅部23とは、揺動軸部21を中心として時計回りの方向と反時計回りの方向(図中R方向)とに揺動させることができる。腕部29を介して第1拡幅部22と第2拡幅部23とが繋がるため、第1拡幅部22と第2拡幅部23の何れか一方を押圧して揺動軸部21を中心として揺動させることによって、第1拡幅部22と第2拡幅部23の何れか他方を揺動軸部21を中心として揺動させることができる。すなわち、第2拡幅部23の揺動方向は、第1拡幅部22の揺動方向と同一方向となる。
【0123】
図20(a)に示すように、第1拡幅部22は、第1挿入部32と離間される。
図20(b)に示すように、第1拡幅部22を揺動軸部21を中心として揺動させたとき、第1拡幅部22は、第1挿入部32に接触可能である。このとき、突起部35は、孔28に嵌合される。
【0124】
図20(a)に示すように、第2拡幅部23は、第2挿入部33の先端部と接触可能である。
図20(b)に示すように、第2拡幅部23を揺動軸部21を中心として揺動させたとき、第2拡幅部23は、第2挿入部33の先端部から離間される。
【0125】
<板材の接合方法>
次に、板材の接合方法の一例について説明する。板材の接合方法では、第1板材110の第1主面111と第1端面112とを切り欠いた第1凹部113を有する第1板材110と第2板材120の第2主面121と第2端面122とを切り欠いた第2凹部123を有する第2板材120とを接合部材1を用いて接合する。板材の接合方法は、挿入工程と、揺動工程と、を備える。
【0126】
<挿入工程>
図21に示すように、挿入工程では、第1挿入部32を第1端面112側から第1凹部113を構成する第1挿入溝114に挿入する。第1挿入部32の幅は、第1挿入溝114の幅と略同じである。第1挿入部32を第1挿入溝114に挿入したとき、第1挿入部32は、第1挿入溝114の側壁に接して嵌合される。このため、第1挿入部32のずれを抑制できる。
【0127】
詳細には、挿入工程では、第1拡幅部22が第1主面111から突出されるように、第1拡幅部22と第1挿入部32とを離間させた状態で、第1挿入部32を第1挿入溝114に挿入する。これにより、第1拡幅部22は、第1開口部115よりも板厚方向の外側を通って第1嵌合孔116よりも板厚方向の外側に配置される。このとき、第1拡幅部22は、先端側から離間するにつれて厚みが薄くなる。このため、第1拡幅部22の内面22aが第1主面111に引っかかるのを抑制でき、第1挿入部32を第1挿入溝114に挿入し易くなる。
【0128】
挿入工程では、第2端面122を第1端面112に対向させ、第2端面122側から第2凹部123を構成する第2挿入溝124に第2拡幅部23を挿入する。
【0129】
詳細には、挿入工程では、第2拡幅部23と第2挿入部33の先端部とを接触させた状態で、第2板材120の板厚方向の内部を切り欠いた第2挿入溝124に第2拡幅部23を挿入する。これにより、第2拡幅部23は、第2開口部125よりも板厚方向の内側を通って第2嵌合孔126よりも板厚方向の内側に配置される。このとき、第2拡幅部23は、先端側に近づくにつれて厚みが薄くなる。このため、第2拡幅部23を第2挿入溝124に挿入し易くなる。
【0130】
挿入工程では、第2拡幅部23を第2挿入溝124に挿入する際、第2挿入部33を第2挿入溝124に挿入する。これにより、第2挿入部33は、第2開口部125よりも板厚方向の内側に配置される。第2挿入部33を第2挿入溝124に挿入したとき、第2挿入部33は、第2挿入溝124の側壁に接して嵌合される。これにより、第2挿入部33のずれを抑制できる。
【0131】
<揺動工程>
図22に示すように、揺動工程では、第1嵌合孔116よりも板厚方向の外側に配置された第1拡幅部22を第1挿入部32側に向けて押圧することにより、揺動軸部21を中心として第1拡幅部22を揺動させる。これにより、第1拡幅部22は、第1嵌合孔116に嵌合され、第1腕部24は、第1開口部115に収容される。
【0132】
また、揺動軸部21を中心として第1拡幅部22を揺動させることにより、腕部29を介して第1拡幅部22に繋がる第2拡幅部23を揺動軸部21を中心として揺動させる。これにより、第2拡幅部23は、第2嵌合孔126に嵌合され、第2腕部25は、第2開口部125に収容される。
【0133】
第1嵌合孔116に第1拡幅部22を嵌合し、第2嵌合孔126に第2拡幅部23を嵌合したとき、第1拡幅部22の外面22bは、第1主面111に略面一である。第2拡幅部23の外面23bは、第2主面121に略面一である。また、腕部29の外面も第1主面111と第2主面121とに略面一である。このように、接合部材1は、第1凹部113と第2凹部123とに収容される。接合部材1は、第1端面112と第2端面122とを突き合わせた第1板材110と第2板材120とを接合できる。
【0134】
図23に示すように、第1腕部24よりも拡幅される第1拡幅部22が第1嵌合孔116に嵌合されるため、第1拡幅部22が第1開口部115から抜け出すのを防止できる。また、第2腕部25よりも拡幅される第2拡幅部23が第2嵌合孔126に嵌合されるため、第2拡幅部23が第2開口部125から抜け出すのを防止できる。このため、接着剤を用いることなく板材同士を確実に接合できる。
【0135】
また、第1拡幅部22と第2拡幅部23とを繋ぐ腕部29を有することから、第1拡幅部22と第2拡幅部23の何れか一方を押圧して揺動軸部21を中心として揺動させることによって、第1拡幅部22と第2拡幅部23の何れか他方を揺動軸部21を中心として揺動させることができる。このため、ワンタッチで第1板材110と第2板材120とを接合できる。
【0136】
このようにして第1板材110と第2板材120とを接合部材1を用いて接合できる。第1板材110と第2板材120との接合を解除する場合、上記と逆の手順により行えばよい。
【0137】
接合を解除する場合、例えば第2嵌合孔126に嵌合された第2拡幅部23を第2挿入部33側に向けて押圧することにより、揺動軸部21を中心として第2拡幅部23を揺動させる。これにより、第2拡幅部23は、第2嵌合孔126への嵌合が解除され、第2挿入溝124に配置される。
【0138】
また、揺動軸部21を中心として第2拡幅部23を揺動させることにより、腕部29を介して第2拡幅部23に繋がる第1拡幅部22を揺動軸部21を中心として揺動させる。これにより、第1拡幅部22は、第1嵌合孔116への嵌合が解除され、第1嵌合孔116よりも板厚方向の外側に配置される。このため、ワンタッチで第1板材110と第2板材120との接合を解除できる。
【0139】
本実施形態では、第1拡幅部22と第2拡幅部23は、腕部29よりも拡幅され、挿入部3は、腕部29よりも拡幅されるとともに、第1挿入方向Xから第1凹部113に挿入可能な第1挿入部32を有し、第2拡幅部23は、第2挿入方向Yから第2凹部123に挿入可能であり、第1拡幅部22は、揺動軸部21を中心に揺動させることで、第1凹部113に嵌合可能であり、第2拡幅部23は、揺動軸部21を中心に揺動させることで、第2凹部123に嵌合可能である。これにより、接合と接合の解除を繰り返しても、第1凹部113と第2凹部123の損傷が抑制される。このため、接着剤を用いることなく板材同士を確実に接合できる。
【0140】
本実施形態では、第1挿入方向Xは、第2挿入方向Yと反対方向である。これにより、第1端面112と第2端面122とを突き合わせて第1板材110と第2板材120とを接合できる。
【0141】
本実施形態では、第1拡幅部22の孔28には、第1挿入部32の突起部35が嵌合される。このため、第1拡幅部22と第1挿入部32とを更に強固に接合できる。
【0142】
以上、この発明のいくつか実施形態を説明したが、これら実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。さらに、この発明は、上記の実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記の実施形態は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0143】
1 :接合部材
2 :揺動部
21 :揺動軸部
22 :第1拡幅部
22a :内面
22b :外面
23 :第2拡幅部
23a :内面
23b :外面
24 :第1腕部
25 :第2腕部
26 :突起部
27 :溝
28 :孔
29 :腕部
3 :挿入部
31 :軸受溝
32 :第1挿入部
32a :先端部
33 :第2挿入部
34 :孔
35 :突起部
10 :板材の接合構造
100 :キャビネット
110 :第1板材
111 :第1主面
112 :第1端面
113 :第1凹部
114 :第1挿入溝
115 :第1開口部
116 :第1嵌合孔
120 :第2板材
121 :第2主面
122 :第2端面
123 :第2凹部
124 :第2挿入溝
125 :第2開口部
126 :第2嵌合孔
C :中心
L :第1基準面
X :第1挿入方向
Y :第2挿入方向