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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179296
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】接合部材
(51)【国際特許分類】
   F16B 12/02 20060101AFI20241219BHJP
   F16B 12/44 20060101ALI20241219BHJP
   F16B 5/06 20060101ALI20241219BHJP
   A47B 55/00 20060101ALI20241219BHJP
   A47B 87/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F16B12/02 C
F16B12/44 E
F16B5/06 A
A47B55/00
A47B87/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098035
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000104973
【氏名又は名称】クリナップ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100224926
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 雄久
(72)【発明者】
【氏名】吉江 邦将
【テーマコード(参考)】
3B067
3B260
3J001
3J024
【Fターム(参考)】
3B067AA08
3B260BA01
3B260BB01
3B260BD02
3B260BE02
3B260BF02
3J001FA02
3J001GA10
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA08
3J001JD27
3J001KA19
3J001KB03
3J024AA33
3J024BA03
3J024CA16
(57)【要約】
【課題】接着剤を用いることなく板材同士を短時間で接合できる接合部材を提供する。
【解決手段】実施形態における接合部材1は、第1主面111を切り欠いた第1凹部113を有する第1板材110と第2主面121を切り欠いた第2凹部123を有する第2板材120とを接合するための接合部材1であって、揺動軸部2と、揺動軸部2の揺動中心の延伸方向において互いに異なる位置から延伸される第1延伸部3と第2延伸部4と、を備える。揺動軸部2は、互いに対向して配置された第1凹部113と第2凹部114とに挿入可能であり、第1延伸部3は、第1凹部113と第2凹部114とに揺動軸部2が挿入された状態で揺動軸部2を中心に揺動させることで、第1凹部113に嵌合可能であり、第2延伸部4は、第1凹部113と第2凹部114とに揺動軸部2が挿入された状態で揺動軸部2を中心に揺動させることで、第2凹部114に嵌合可能である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1板材の第1主面を切り欠いた第1凹部を有する前記第1板材と第2板材の第2主面を切り欠いた第2凹部を有する前記第2板材とを接合するための接合部材であって、
揺動軸部と、
前記揺動軸部の揺動中心の延伸方向において互いに異なる位置から延伸される第1延伸部と第2延伸部と、を備え、
前記揺動軸部は、互いに対向して配置された前記第1凹部と前記第2凹部とに挿入可能であり、
前記第1延伸部は、前記第1凹部と前記第2凹部とに前記揺動軸部が挿入された状態で前記揺動軸部を中心に揺動させることで、前記第1凹部に嵌合可能であり、
前記第2延伸部は、前記第1凹部と前記第2凹部とに前記揺動軸部が挿入された状態で前記揺動軸部を中心に揺動させることで、前記第2凹部に嵌合可能であること
を特徴とする接合部材。
【請求項2】
前記揺動軸部は、前記第1端面から離間されて前記第1主面に形成される前記第1凹部を構成する第1孔部と、前記第2端面から離間されて前記第2主面に形成される前記第2凹部を構成する第2孔部とに挿入可能であり、
前記第1延伸部は、前記第1孔部から前記第1板材の第1端面に向けて前記第1主面を切り欠いた第1開口部に挿入可能であり、
前記第2延伸部は、前記第2孔部から前記第2板材の第2端面に向けて前記第2主面を切り欠いた第2開口部に挿入可能であり、
前記第1延伸部は、前記第1開口部よりも板厚方向の内側に前記第1開口部の幅よりも拡幅された第1溝において、前記揺動軸部を中心に前記第1延伸部を揺動させることで、前記第1溝に嵌合可能であり、
前記第2延伸部は、前記第2開口部よりも板厚方向の内側に前記第2開口部の幅よりも拡幅された第2溝において、前記揺動軸部を中心に前記第2延伸部を前記第1延伸部の揺動方向と同一方向に揺動させることで、前記第2溝に嵌合可能であること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項3】
前記第2延伸部は、前記第1延伸部が揺動したとき、前記第1延伸部の揺動方向と同一方向に揺動可能であること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項4】
前記第2延伸部は、前記第1延伸部に向けて突出された突起部を有すること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項5】
前記第2延伸部の延伸方向の長さは、前記第1延伸部の延伸方向の長さより長いこと
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項6】
前記第1凹部と前記第2凹部との少なくとも何れかに挿入される間詰め材を更に備えること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【請求項7】
前記第2延伸部は、前記揺動軸部の揺動中心を通り前記第1延伸部の延伸方向を法線とする第1基準面としたとき、前記第1基準面を隔てて前記第1延伸部が延伸される側に延伸されること
を特徴とする請求項1記載の接合部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1板材の第1主面と第2板材の第2主面とを接合するための接合部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャビネットに使われている側板等の板材同士を接合する構造においては、板材の接合部にダボを取り付け、接着剤を塗布することが一般的に行われている。この際、塗布する接着剤の量や、木質のダボの乾燥状態による接着剤の吸収度合い等によって、板材同士の接合強度にバラつきが生じるおそれがある。また、ダボに塗布した接着剤が硬化するまでに養生時間が必要となる。このため、接合が完了するまでに時間がかかる。
【0003】
そこで、接着剤を用いずに板材同士を接合する技術として、例えば特許文献1が開示されている。
【0004】
特許文献1には、第1の収納具と第2の収納具とを接続するために用いられるジョイント機構であって、第1の収納具の外壁に設けたジョイント収納孔の内部に収納されその全体を第1の収納具の外壁の厚さ寸法内に配することが可能な第1の要素と、第2の収納具の外壁に設けたジョイント収納孔の内部に収納されその全体を第2の収納具の外壁の厚さ寸法内に配することが可能な第2の要素とを備え、前記第1の要素の雄部材と第2の要素の雌部材とをそれぞれ第1及び第2の収納具の外壁の厚さ寸法内に配した状態から互いに接近させて相対回転させることにより第1の収納具と第2の収納具とを連結することを特徴とするジョイント機構が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-170621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の開示技術では、前記第1の要素の雄部材と第2の要素の雌部材とをそれぞれ第1及び第2の収納具の外壁の厚さ寸法内に配した状態から互いに接近させて相対回転させることにより第1の収納具と第2の収納具とを連結する。雄部材と雌部材とを相対回転させる必要があるため、接合に時間がかかる。
【0007】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、接着剤を用いることなく板材同士を短時間で接合できる接合部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る接合部材は、第1板材の第1主面を切り欠いた第1凹部を有する前記第1板材と第2板材の第2主面を切り欠いた第2凹部を有する前記第2板材とを接合するための接合部材であって、揺動軸部と、前記揺動軸部の揺動中心の延伸方向において互いに異なる位置から延伸される第1延伸部と第2延伸部と、を備え、前記揺動軸部は、互いに対向して配置された前記第1凹部と前記第2凹部とに挿入可能であり、前記第1延伸部は、前記揺動軸部を中心に揺動させることで、前記第1凹部に嵌合可能であり、前記第2延伸部は、前記揺動軸部を中心に揺動させることで、前記第2凹部に嵌合可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、接着剤を用いることなく板材同士を短時間で接合できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態における接合部材が用いられるキャビネットの一例を示す斜視図である。
図2図2は、第1実施形態における接合部材が用いられる板材の接合構造の一例を分解して示す斜視図である。
図3図3は、第1実施形態における接合部材が設けられる第1板材の一例を示す図であり、図3(a)は、第1端面側から示す図であり、図3(b)は、第1主面側から示す図である。
図4図4は、第1実施形態における接合部材が設けられる第2板材の一例を示す図であり、図4(a)は、第2端面側から示す図であり、図4(b)は、第2主面側から示す図である。
図5図5は、第1実施形態における接合部材の一例を示す図であり、図5(a)は、揺動中心の延伸方向に交わる方向から示す図であり、図5(b)は、揺動中心の延伸方向に沿う方向から示す図である。
図6図6は、第1実施形態における接合部材を用いた板材の接合方法において揺動軸部を第1凹部に挿入した状態を示す図であり、図6(a)は、第1端面側から示す図であり、図6(b)は、図6(a)のA-A断面図である。
図7図7は、第1実施形態における接合部材を用いた板材の接合方法において揺動軸部を第2凹部に挿入した状態を示す図であり、図7(a)は、第2端面側から示す図であり、図7(b)は、図7(a)のB-B断面図である。
図8図8は、第1実施形態における接合部材を用いた板材の接合方法において第1延伸部と第2延伸部を揺動した後の状態を第1端面側から示す図である。
図9図9(a)は、図8のC-C断面図であり、図9(b)は、図8のD-D断面図である。
図10図10(a)は、第2実施形態における接合部材を用いた板材の接合構造を第1端面側から示す図であり、図10(b)は、図10(a)のE-E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した接合部材を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<キャビネット100>
図1に示すように、キャビネット100は、接合構造10により接合された複数の板材を含む棚等である。キャビネット100は、例えば板材等を接合して構成されるとともに内部に収納空間を有する、箱型の収納家具である。キャビネット100は、例えば該収納空間の前面に丁番を介して開閉可能に扉を設けたり、該収納空間に摺動可能な引出を設けたりすることもできる収納家具である。キャビネット100は、例えば吊戸棚であってもよい。キャビネット100は、例えば対面式キッチンの壁側に配されるカップボード等の収納スペースに用いられる収納庫であってもよい。キャビネット100は、例えばキッチン、洗面化粧台等のカウンターの下方に設けられるキャビネットでもよい。なお、キャビネット100がカウンター下にワゴンを収容するための空間や、座りながらの作業が可能な空間が設けられるキャビネット(シンクキャビネット等)である場合等には、底板等の一部の板材が省略されることもある。
【0013】
キャビネット100は、例えば2つの分割キャビネット101、102を接合して構成される。2つの分割キャビネット101、102は、それぞれ側板11と、底板13と、天板14と、背板15と、を備える。
【0014】
板材の接合構造10は、例えば分割キャビネット101の側板11と、分割キャビネット102の側板11と、が接合部材1を介して接合される。接合部材1は、主面が互いに対向して配置された板材同士を着脱自在に接合する。接合部材1を用いて分割キャビネット101、102を接合できるため、設置現場で組み立て可能なノックダウン方式によるキャビネット100を構成できる。
【0015】
<板材の接合構造10、第1板材110、第2板材120>
図2に示すように、板材の接合構造10は、第1板材110の第1主面111を切り欠いた第1凹部113を有する第1板材110と第2板材120の第2主面121を切り欠いた第2凹部123を有する第2板材120とが接合部材1を用いて接合される。接合部材1は、第1凹部113と第2凹部123に設けられる。なお、第1凹部113と第2凹部123とは、同一形状に形成される。この場合、第1凹部113と第2凹部123とを例えばルーター加工機等により切削して形成する際に、切削加工プログラムを同一にできるため、第1凹部113と第2凹部123の形成を容易にできる。
【0016】
第1板材110は、例えば直方体状に形成され、一対の第1主面111と、一対の第1主面111を繋ぐ4つの第1端面112と、が形成される。第2板材120は、例えば直方体状に形成され、一対の第2主面121と、一対の第2主面121を繋ぐ4つの第2端面122と、が形成される。
【0017】
第1板材110と第2板材120とは、例えばMDF(Medium Density Fiberboard)、無垢材、合板、集成材、及びパーチクルボード等の木製の板材であってもよい。第1板材110と第2板材120とは、例えば鋼板やステンレス等の金属製の板材を含んだ構成であってもよい。また、第1板材110と第2板材120とは、例えばアクリル系、ウレタン系、及びFRP等の樹脂製の板材であってもよい。第1板材110と第2板材120とは、例えば発泡ポリスチレン等の発泡樹脂製の板材であってもよい。
【0018】
図3(a)及び図3(b)に示すように、第1凹部113は、第1端面112から離間されて第1主面111に形成される第1孔部114と、第1孔部114から第1板材110の第1端面112に向けて第1主面111を切り欠いた第1開口部115と、第1開口部115よりも第1板材110の板厚方向の内側に第1開口部115よりも拡幅された第1溝116と、を有する。
【0019】
第1孔部114は、例えば円形状に形成される。第1孔部114は、例えば多角形状であってもよい。第1開口部115は、第1孔部114から第1端面112まで延伸される。第1開口部115の延伸方向に交わる方向の幅は、第1孔部114から第1端面112に向けて徐々に拡幅される。第1開口部115の第1孔部114側の端部の幅は、第1孔部114の径よりも小さく形成される。第1溝116は、第1孔部114から第1端面112まで延伸される。第1溝116の延伸方向に交わる方向の幅は、第1孔部114から第1端面112に向けて徐々に拡幅される。第1溝116は、第1開口部115の幅の両側にそれぞれ拡幅される。
【0020】
図4(a)及び図4(b)に示すように、第2凹部123は、第1孔部114に対向して配置されるとともに、第2端面122から離間されて第2主面121に形成される第2孔部124と、第2孔部124から第2板材120の第2端面122に向けて第2主面121を切り欠いた第2開口部125と、第2開口部125よりも第2板材120の板厚方向の内側に第2開口部125よりも拡幅された第2溝126と、を有する。
【0021】
第2孔部124は、例えば円形状に形成される。第2孔部124は、例えば多角形状であってもよい。第2開口部125は、第2孔部124から第2端面122まで延伸される。第2開口部125の延伸方向に交わる方向の幅は、第2孔部124から第2端面122に向けて徐々に拡幅される。第2開口部125の第2孔部124側の端部の幅は、第2孔部124の径よりも小さく形成される。第2溝126は、第2孔部124から第2端面122まで延伸される。第2溝126の延伸方向に交わる方向の幅は、第2孔部124から第2端面122に向けて徐々に拡幅される。第2溝126は、第2開口部125の幅の両側にそれぞれ拡幅される。
【0022】
<第1実施形態:接合部材1>
図5(a)及び図5(b)に示すように、接合部材1は、揺動軸部2と、第1延伸部3と、第2延伸部4と、を備える。接合部材1は、揺動軸部2と、第1延伸部3と、第2延伸部4と、が一体的に形成される。接合部材1は、例えば樹脂で構成される。
【0023】
揺動軸部2は、例えば円柱状に形成される。揺動軸部2は、例えば六角形状、八角形状等の多角形状に形成されてもよいし、球状に形成されてもよい。揺動軸部2は、第1延伸部3と第2延伸部4とを揺動させる際の中心となる揺動中心Cを有する。
【0024】
第1延伸部3と第2延伸部4とは、揺動軸部2の揺動中心Cの延伸方向において互いに異なる位置から延伸される。第1延伸部3と第2延伸部4とは、互いに離間される。第2延伸部4の延伸方向の長さは、第1延伸部3の延伸方向の長さよりも長い。なお、第1延伸部3の延伸方向の長さは、第2延伸部4の延伸方向の長さよりも長くてもよい。図5(b)に示すように、揺動軸部2の揺動中心Cを通り第1延伸部3の延伸方向を法線とする面を第1基準面Lとする。第2延伸部4は、第1基準面Lを隔てて第1延伸部3が延伸される側に延伸される。この場合、揺動中心Cに沿う方向から見て、第1延伸部3の延伸方向と第2延伸部4の延伸方向とのなす角は、0°以上90°未満であり、例えば30°程度である。
【0025】
第1延伸部3は、第1延伸部3の延伸方向に交わる方向の端部に、第2延伸部4に向けて突出された突起部5を有する。なお、第2延伸部4は、第2延伸部4の延伸方向に交わる方向の端部に、第1延伸部3に向けて突出された突起部5を有してもよい。
【0026】
<板材の接合方法>
次に、板材の接合方法の一例について説明する。板材の接合方法では、第1板材110の第1主面111を切り欠いた第1凹部113を有する第1板材110と第2板材120の第2主面121を切り欠いた第2凹部123を有する第2板材120とを接合部材1を用いて接合する。板材の接合方法は、挿入工程と、揺動工程と、を備える。
【0027】
<挿入工程>
図6(a)、図6(b)、図7(a)及び図7(b)に示すように、揺動軸部2は、互いに対向して配置された第1凹部113と第2凹部123とに挿入可能である。
【0028】
図6(a)及び図6(b)に示すように、揺動軸部2は、第1端面112から離間されて第1主面111に形成される第1凹部113を構成する第1孔部114に挿入可能である。第1延伸部3は、第1孔部114から第1板材110の第1端面112に向けて第1主面111を切り欠いた第1開口部115に挿入可能である。
【0029】
そして、図7(a)及び図7(b)に示すように、揺動軸部2は、第2端面122から離間されて第2主面121に形成される第2凹部123を構成する第2孔部124に挿入可能である。第2延伸部4は、第2孔部124から第2板材120の第2端面122に向けて第2主面121を切り欠いた第2開口部125に挿入可能である。
【0030】
挿入工程では、揺動軸部2と第1延伸部3とを第1板材110の第1凹部113に挿入し、揺動軸部2と第2延伸部4とを第2板材120の第2凹部123に挿入する。
【0031】
詳細には、図6(a)及び図6(b)に示すように、挿入工程では、揺動軸部2を第1孔部114に挿入し、第1延伸部3を第1開口部115から挿入し、第1開口部115よりも拡幅された第1溝116に第1延伸部3を配置する。
【0032】
このとき、突起部5は、第1開口部115に接触され、第1開口部115に配置される。また、揺動軸部2の一部と、第2延伸部4は、第1板材110の外側に配置される。第1延伸部3の延伸方向の第1端部31の少なくとも一部は、第1端面112から突出されて第1板材110の外側に配置される。
【0033】
そして、図7(a)及び図7(b)に示すように、挿入工程では、第1凹部113と第2凹部123とを対向させ、第1主面111と第2主面121とを接触させる。挿入工程では、第1板材110の外側に配置された揺動軸部2の一部を第2孔部124に挿入し、第2延伸部4を第2開口部125から挿入し、第2開口部125よりも拡幅された第2溝126に第2延伸部4を配置する。
【0034】
このとき、第2延伸部4の延伸方向の第2端部41の少なくとも一部は、第2端面122から突出されて第2板材120の外側に配置される。
【0035】
<揺動工程>
図8図9(a)及び図9(b)に示すように、第1延伸部3は、第1凹部113と第2凹部123とに揺動軸部2が挿入された状態で揺動軸部2を中心に揺動させることで、第1凹部113に嵌合可能である。第2延伸部4は、第1凹部113と第2凹部123とに揺動軸部2が挿入された状態で揺動軸部2を中心に揺動させることで、第2凹部123に嵌合可能である。
【0036】
揺動工程では、第1凹部113と第2凹部123とに挿入された揺動軸部2を中心に第1延伸部3を揺動させることで、第1凹部113に嵌合させる。また、揺動工程では、第1凹部113と第2凹部123とに挿入された揺動軸部2を中心に第2延伸部4を揺動させることで、第2凹部123に嵌合可能である。
【0037】
揺動軸部2は、円柱状に形成され、第1孔部114と第2孔部124とは、円柱状に切り欠かれて形成される。これにより、第1孔部114と第2孔部124とに挿入された揺動軸部2の揺動を円滑にできる。
【0038】
第1延伸部3は、第1開口部115よりも板厚方向の内側に第1開口部115の幅よりも拡幅された第1溝116において、揺動軸部2を中心に第1延伸部3を揺動させることで、第1溝116に嵌合可能である。第2延伸部4は、第2開口部125よりも板厚方向の内側に第2開口部125の幅よりも拡幅された第2溝126において、揺動軸部2を中心に第2延伸部4を第1延伸部3の揺動方向と同一方向に揺動させることで、第2溝126に嵌合可能である。
【0039】
揺動工程では、第1溝116に配置された第1延伸部3を揺動させて、第1溝116に嵌合させる。揺動工程では、第2溝126に配置された第2延伸部4を揺動させて、第2溝126に嵌合させる。
【0040】
接合部材1は、揺動軸部2と、第1延伸部3と、第2延伸部4と、が一体的に形成される。このため、第2延伸部4は、第1延伸部3が揺動したとき、第1延伸部3の揺動方向と同一方向に揺動可能である。
【0041】
揺動工程では、例えば第2端面122から突出された第2端部41を力点として、揺動軸部2を中心として第2延伸部4を揺動させ、第2溝126に第2延伸部4を嵌合させる。これにより、揺動軸部2と一体的に形成された第1延伸部3は、第2延伸部4と同一方向に揺動して、第1溝116に嵌合できる。このため、ワンタッチで第1板材110と第2板材120とを接合できる。
【0042】
第2延伸部4の延伸方向の長さは、第1延伸部3の延伸方向の長さより長い。これにより、第1端部31を力点として第1延伸部3を揺動させる場合と比べて、第2端部41を力点として第2延伸部4を揺動させる方が、より小さな力で揺動動作を行うことができる。
【0043】
また、第1延伸部3を第1溝116に嵌合させたとき、第1延伸部3の延伸方向の第1端部31は、第1端面112と略面一となる。また、第2延伸部4を第2溝126に嵌合させたとき、第2延伸部4の延伸方向の第2端部41は、第2端面122から突出されて第2板材120の外側に配置される。突起部5は、第1延伸部3を第1溝116に嵌合させたとき、第1開口部115から離間する。
【0044】
第2延伸部4は、第1基準面Lを隔てて第1延伸部3が延伸される側に延伸される。これにより、図8に示すように、面の向きが同一方向に向けられた第1端面112と第2端面122とに、第1端部31と第2端部41とがそれぞれ露出される。このため、ユーザは、第1延伸部3と第2延伸部4とが第1凹部113と第2凹部123とに嵌合されているか否かを把握し易くなる。
【0045】
このようにして第1板材110と第2板材120とを接合部材1を用いて接合できる。第1板材110と第2板材120との接合を解除する場合、上記と逆の手順により行うことができる。
【0046】
接合を解除する場合、例えば第2端面122から突出された第2端部41を力点として、揺動軸部2を中心として第2延伸部4を揺動させ、第2溝126に嵌合された第2延伸部4の嵌合を解除する。これにより、揺動軸部2と一体的に形成された第1延伸部3は、第2延伸部と同一方向に揺動して、第1溝116への嵌合を解除できる。このため、ワンタッチで第1板材110と第2板材120との接合を解除できる。
【0047】
第1延伸部3を揺動させて嵌合を解除するとき、図7(a)及び図7(b)に示すように、第1延伸部3に形成された突起部5が第1開口部115に接触できる。このため、嵌合を解除する際に、第1溝116における第1延伸部3が嵌合されていた部分とは反対側の部分に第1延伸部3が再度嵌合されるのを抑制でき、第1延伸部3の第1溝116への嵌合の解除をより確実にできる。
【0048】
本実施形態では、揺動軸部2は、互いに対向して配置された前記第1凹部と前記第2凹部とに挿入可能であり、第1延伸部3は、第1凹部113と第2凹部123とに揺動軸部2が挿入された状態で揺動軸部2を中心に揺動させることで、第1凹部113に嵌合可能であり、第2延伸部4は、第1凹部113と第2凹部123とに揺動軸部2が挿入された状態で揺動軸部2を中心に揺動させることで、第2凹部123に嵌合可能である。これにより、第1延伸部3と第2延伸部4の揺動により、第1板材110と第2板材120とを接合できる。このため、接着剤を用いることなく板材同士を短時間で接合できる。また、第1延伸部3と第2延伸部4の揺動により、第1板材110と第2板材120との接合を解除できる。このため、板材同士の接合を短時間で解除できる。
【0049】
本実施形態では、揺動軸部2は、第1孔部114と、第2孔部124とに挿入可能であり、第1延伸部3は、第1開口部115に挿入可能であり、第2延伸部4は、第2開口部125に挿入可能であり、第1延伸部3は、第1溝116において、揺動軸部2を中心に第1延伸部3を揺動させることで、第1溝116に嵌合可能であり、第2延伸部4は、第2溝126において、揺動軸部2を中心に第2延伸部4を第1延伸部3の揺動方向と同一方向に揺動させることで、第2溝126に嵌合可能である。これにより、第1延伸部3は、第1溝116に嵌合され、第2延伸部4は、第2溝126に嵌合される。このため、板材同士の接合をより確実にできる。
【0050】
本実施形態では、第2延伸部4は、第1延伸部3が揺動したとき、第1延伸部3の揺動方向と同一方向に揺動可能である。これにより、第1板材110と第2板材120との接合とその解除をワンタッチで行うことができる。このため、板材同士の接合とその解除をより短時間でできる。
【0051】
本実施形態では、第1延伸部3は、第2延伸部4に向けて突出された突起部5を有する。これにより、揺動軸部2を中心に第1延伸部3を揺動させて嵌合を解除するとき、第1延伸部3に形成された突起部5が第1開口部115に接触できる。このため、嵌合を解除する際に、第1溝116における第1延伸部3が嵌合されていた部分とは反対側の部分に第1延伸部3が再度嵌合されるのを抑制でき、第1延伸部3の第1溝116への嵌合の解除をより確実にできる。
【0052】
本実施形態では、第2延伸部4の延伸方向の長さは、第1延伸部3の延伸方向の長さより長い。これにより、第1端部31を力点として第1延伸部3を揺動させる場合と比べて、第2端部41を力点として第2延伸部4を揺動させる方が、より小さな力で揺動動作を行うことができる。
【0053】
本実施形態では、第1孔部114と第2孔部124とに揺動軸部2を挿入したとき、第1延伸部3の延伸方向の第1端部31は、第1端面112から突出される、及び第2延伸部4の延伸方向の第2端部41は、第2端面122から突出される、の少なくとも何れかである。これにより、板材の外側に配置された第1延伸部3と第2延伸部4の少なくとも何れか一方を力点とできる。このため、板材同士を更に短時間で接合できる。
【0054】
本実施形態では、第1延伸部3を第1溝116に嵌合させたとき、第1延伸部3の延伸方向の第1端部31は、第1端面112と略面一となる。これにより、第1端部31への誤接触による意図しない嵌合の解除を抑制できる。また、第1端部31は、第1端面112と略面一となるため、見栄えが向上する。
【0055】
本実施形態では、第2延伸部4を第2溝126に嵌合させたとき、第2延伸部4の延伸方向の第2端部41は、第2端面122から突出されて第2板材120の外側に配置される。これにより、嵌合を解除する際に、板材の外側に配置された第2延伸部4の延伸方向の第2端部41を力点とし易い。このため、嵌合の解除をより容易に行うことができる。
【0056】
本実施形態では、第2延伸部4は、第1基準面Lを隔てて第1延伸部3が延伸される側に延伸される。これにより、面の向きが同一方向に向けられた第1端面112と第2端面122とに、第1端部31と第2端部41とがそれぞれ露出される。このため、ユーザは、第1延伸部3と第2延伸部4とが第1凹部113と第2凹部123とに嵌合されているか否かを把握し易くなる。
【0057】
本発明では、揺動軸部2は、外形が多角形状に形成され、第1孔部114と第2孔部124とは、揺動軸部2と嵌合可能な多角形状に形成されてもよい。この場合、第1孔部114と第2孔部124とに揺動軸部2を嵌合できるため、揺動軸部2が円柱状の場合と比べて、第1延伸部3と第2延伸部4とを揺動させる際により大きな力が必要となる。このため、板材同士の接合を強固にできる。
【0058】
本発明では、第1延伸部3を第1溝116に嵌合させたとき、第1延伸部3と第1溝116との間に、例えばマイナスドライバー等の差込部材を挿入できる隙間が形成されてもよい。この場合、第1延伸部3を第1溝116への嵌合を解除するとき、マイナスドライバー等の差込部材をこの隙間に差し込んだ上で、差込部材により第1延伸部3を揺動させることができる。これにより、第1延伸部3の第1溝116に対する嵌合の解除を更に容易に行うことができる。同様に、本発明では、第2延伸部4を第2溝126に嵌合させたとき、第2延伸部4と第2溝126との間に、差込部材を挿入できる隙間が形成されてもよい。
【0059】
本発明では、第1延伸部3に、マイナスドライバー等の差込部材を挿入できる差込溝が形成されてもよい。この場合、第1延伸部3の第1溝116への嵌合を解除するとき、マイナスドライバー等の差込部材をこの差込溝に差し込んだ上で、差込部材により第1延伸部3を揺動させることができる。これにより、第1延伸部3の第1溝116への嵌合の解除を更に容易に行うことができる。同様に、本発明では、第2延伸部4に、マイナスドライバー等の差込部材を挿入できる差込溝が形成されてもよい。
【0060】
<第2実施形態:接合部材1>
図10(a)及び図10(b)に示すように、接合部材1は、間詰め材7を更に備える点で、第1実施形態と相違する。以下、第1実施形態と同様の構成は、詳細な説明を省略する。
【0061】
接合部材1は、揺動軸部2と、第1延伸部3と、第2延伸部4と、間詰め材7と、を備える。接合部材1は、揺動軸部2と、第1延伸部3と、第2延伸部4と、が一体的に形成され、間詰め材7がこれらとは別体として形成される。間詰め材7は、第1延伸部3に接触可能であり、例えばテーパー状に形成される。
【0062】
間詰め材7は、第1延伸部3を第1溝116に嵌合させたとき、第1溝116に挿入可能である。間詰め材7により第1延伸部3の揺動が制限されることから、第1延伸部3の第1溝116への嵌合の解除を抑制できる。このため、第1端部31及び第2端部41の少なくとも何れかへの誤接触による意図しない嵌合の解除を抑制できる。
【0063】
板材同士を接合する場合には、揺動工程において、第1延伸部3を第1溝116に嵌合した後、間詰め材7を第1溝116に挿入すればよい。
【0064】
板材同士の接合を解除する場合には、第1溝116に挿入された間詰め材7を取り除く。そして、第1溝116に嵌合された第1延伸部3を揺動させ、これらの嵌合を解除すればよい。
【0065】
なお、本発明では、間詰め材7は、第2延伸部4を第2溝126に嵌合させたとき、第2溝126に挿入可能であってもよい。この場合、上記と同様に、間詰め材7により第2延伸部4の揺動が制限されることから、第2延伸部4の第2溝126への嵌合の解除を抑制できる。このため、第1端部31及び第2端部41の少なくとも何れかへの誤接触による意図しない嵌合の解除を抑制できる。間詰め材7は、第2延伸部4が第2溝126に嵌合させたとき、第2延伸部4に接触可能であってもよい。
【0066】
以上、この発明のいくつか実施形態を説明したが、これら実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。さらに、この発明は、上記の実施形態の他、様々な新規な形態で実施することができる。したがって、上記の実施形態は、この発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更が可能である。このような新規な形態や変形は、この発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明、及び特許請求の範囲に記載された発明の均等物の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1 :接合部材
2 :揺動軸部
3 :第1延伸部
31 :第1端部
4 :第2延伸部
41 :第2端部
5 :突起部
7 :間詰め材
10 :板材の接合構造
11 :側板
13 :底板
14 :天板
15 :背板
100 :キャビネット
101 :分割キャビネット
102 :分割キャビネット
110 :第1板材
111 :第1主面
112 :第1端面
113 :第1凹部
114 :第1孔部
115 :第1開口部
116 :第1溝
120 :第2板材
121 :第2主面
122 :第2端面
123 :第2凹部
124 :第2孔部
125 :第2開口部
126 :第2溝
C :揺動中心
L :第1基準面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10