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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179304
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/16 20060101AFI20241219BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H05K1/16 D
H05K3/46 Q
H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098046
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 司
【テーマコード(参考)】
4E351
5E316
【Fターム(参考)】
4E351AA03
4E351AA04
4E351AA13
4E351BB03
4E351BB24
4E351BB33
4E351CC03
4E351CC06
4E351DD04
4E351DD06
4E351DD10
4E351DD11
4E351DD17
4E351DD19
4E351DD20
4E351DD21
4E351GG01
4E351GG20
5E316AA32
5E316AA33
5E316AA43
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC18
5E316CC32
5E316CC34
5E316CC35
5E316CC36
5E316CC37
5E316CC38
5E316DD02
5E316DD17
5E316DD25
5E316DD33
5E316EE08
5E316FF07
5E316FF09
5E316FF10
5E316FF15
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH33
5E316JJ04
(57)【要約】
【課題】キャパシタと絶縁層との密着性を十分に確保し、キャパシタと絶縁層との間の剥離の発生を抑制する。
【解決手段】配線基板1は、第1面を有するガラス基板と、ガラス基板の第1面の上方に設けられる第1電極BE、第1電極の上方に設けられる誘電体層16、及び誘電体層の上方に設けられる第2電極TEを含むキャパシタと、ガラス基板の第1面及びキャパシタを覆う第1絶縁層とを含む。誘電体層の第2面と向かい合う第1電極の第3面は、誘電体層の第2面と接触している接触部CPと、誘電体層の第2面と接触していない非接触部NPとを含む。接触部の外周OC1は、鋸歯状の形状を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を有するガラス基板と、
前記ガラス基板の前記第1面の上方に設けられる第1電極、前記第1電極の上方に設けられる誘電体層、及び前記誘電体層の上方に設けられる第2電極を含むキャパシタと、
前記ガラス基板の前記第1面及び前記キャパシタを覆う第1絶縁層と
を備え、
前記誘電体層の第2面と向かい合う前記第1電極の第3面は、前記誘電体層の前記第2面と接触している接触部と、前記誘電体層の前記第2面と接触していない非接触部とを含み、
前記接触部の外周は、鋸歯状の形状を有する、
配線基板。
【請求項2】
前記接触部のLER(Line Edge Roughness)は、1000nm以上5000nm以下である、
請求項1記載の配線基板。
【請求項3】
前記誘電体層の前記第2面の外周は、矩形の形状を有する、
請求項1または2記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1電極は、第1シード層と第1導電層とを積層した構造を含み、
前記接触部の前記外周は、前記第1シード層の厚さの1.2倍以上40倍以下の範囲で前記誘電体層の端面よりも内側に位置する、
請求項1または2記載の配線基板。
【請求項5】
前記第2電極は、第2シード層と第2導電層とを積層した構造を含み、
前記接触部の前記外周は、前記第2シード層の厚さの1.2倍以上40倍以下の範囲で前記誘電体層の端面よりも内側に位置する、
請求項1または2記載の配線基板。
【請求項6】
前記接触部の前記外周と前記誘電体層の端面との間の距離は、0μmよりも大きく12μm以下である、
請求項1または2記載の配線基板。
【請求項7】
前記接触部における前記第1電極の厚さは、前記非接触部における前記第1電極の厚さよりも厚い、
請求項1または2記載の配線基板。
【請求項8】
前記誘電体層は、透過性を有する材料からなる、
請求項1または2記載の配線基板。
【請求項9】
前記第1電極の前記第3面のサイズは、前記誘電体層の前記第2面のサイズよりも大きい、
請求項1または2記載の配線基板。
【請求項10】
前記第2面と向かい合う前記誘電体層の第4面のサイズは、前記誘電体層の前記第4面と向かい合う前記第2電極の第5面のサイズよりも大きい、
請求項1または2記載の配線基板。
【請求項11】
前記第1絶縁層は、絶縁樹脂からなる、
請求項1または2記載の配線基板。
【請求項12】
前記第1電極と前記誘電体層との間に設けられる密着層
を更に備える、
請求項1または2記載の配線基板。
【請求項13】
ガラス基板の上方に第1シード層を形成することと、
前記第1シード層の一部の上に第1導電層を形成することと、
前記第1シード層及び前記第1導電層の上方に誘電体層を形成することと、
前記誘電体層の上方に第2シード層を形成することと、
前記第2シード層の一部の上に第2導電層を形成することと、
前記第2導電層を覆うマスクを形成して、前記第2シード層及び前記誘電体層を除去することと、
前記第1導電層の表面の端部をエッチングすることと、
前記第1シード層を除去することと、
前記ガラス基板の表面、前記第1シード層、前記第1導電層、前記誘電体層、前記第2シード層、及び前記第2導電層を覆うように第1絶縁層を形成することと
を備える、
配線基板の製造方法。
【請求項14】
前記第1導電層の表面の端部をエッチングすることは、前記第1導電層の前記表面の端部に、表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲の荒れを生成することを含む、
請求項13記載の配線基板の製造方法。
【請求項15】
前記第1シード層を除去することは、前記第1シード層の厚さの1.2倍以上40倍以下の範囲で前記第1シード層をエッチングすることを含む、
請求項13または14記載の配線基板の製造方法。
【請求項16】
前記第1絶縁層を形成することは、前記第1シード層の除去によって前記第1導電層の一部が除去された部分に、前記第1絶縁層を埋め込むことを含む、
請求項15記載の配線基板の製造方法。
【請求項17】
ガラス基板の上方に第1シード層を形成することと、
前記第1シード層の一部の上に第1導電層を形成することと、
前記第1シード層を除去することと、
前記ガラス基板及び前記第1導電層の上方に誘電体層を形成することと、
前記誘電体層の一部を覆うマスクを形成して、前記誘電体層を除去することと、
前記第1導電層の表面の端部をエッチングすることと、
前記ガラス基板、前記第1導電層、及び前記誘電体層の上方に第2シード層を形成することと、
前記第2シード層の一部の上に第2導電層を形成することと、
前記第2導電層を覆うマスクを形成して、前記第2シード層を除去することと、
前記ガラス基板の表面、前記第1シード層、前記第1導電層、前記誘電体層、前記第2シード層、及び前記第2導電層を覆うように第1絶縁層を形成することと
を備える、
配線基板の製造方法。
【請求項18】
前記第1導電層の表面の端部をエッチングすることは、前記第1導電層の前記表面の端部に、表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲の荒れを生成することを含む、
請求項17記載の配線基板の製造方法。
【請求項19】
前記第2シード層を除去することは、前記第2シード層の厚さの1.2倍以上40倍以下の範囲で前記第2シード層をエッチングすることを含む、
請求項17または18記載の配線基板の製造方法。
【請求項20】
前記第1絶縁層を形成することは、前記第2シード層の除去によって前記第1導電層の一部が除去された部分に、前記第1絶縁層を埋め込むことを含む、
請求項19記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及び配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス材料をコア基板として用いた多層配線基板が知られている。多層配線基板は、ガラスインターポーザとして多用されている。多層配線基板には、受動回路の一部として、誘電体層を金属層と金属層で挟持したMIM(Metal Insulator Metal)構造を有するキャパシタが形成されることがある。
【0003】
MIM構造のキャパシタは、例えば、次のように形成される。まず、ガラス基板の上方に第1シード層を設け、第1シード層を用いてめっき等により第1導電層を設けて、第1シード層及び第1導電層をキャパシタの下部電極(金属層)とする。次に、当該下部電極の上方に誘電体層を設ける。次に、当該誘電体層の上方に第2シード層を設け、第2シード層を用いてめっき等により第2導電層を設けて、第2シード層及び第2導電層をキャパシタの上部電極(金属層)とする。MIM構造のキャパシタ形成後、当該キャパシタを覆うように第1絶縁層(例えば、樹脂)が形成される。
【0004】
特許文献1には、MIM構造のキャパシタの下部電極と誘電体層との境界付近に段差を形成した構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2019/244382号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シード層を用いて下部電極や上部電極を形成するMIM構造のキャパシタにおいては、シード層の膜厚が薄いことから、シード層を除去する際に、例えば、下部電極(導電層)のサイドエッチングが発生しやすい。
【0007】
誘電体層の下に下部電極がサイドエッチングされた部分が発生した場合、樹脂(絶縁層)によってMIM構造のキャパシタを覆う際に、サイドエッチングされた部分において、樹脂が誘電体層と下部電極との接触部分に到達しない箇所が発生する場合がある。この場合、誘電体層及び下部電極と樹脂との密着力が弱くなり、誘電体層及び下部電極と樹脂との間で剥離が発生する可能性がある。即ち、キャパシタと絶縁層との間で剥離が発生する可能性がある。
【0008】
本発明は、キャパシタと絶縁層との密着性を十分に確保し、キャパシタと絶縁層との間の剥離の発生を抑制し得る技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によると、第1面を有するガラス基板と、前記ガラス基板の前記第1面の上方に設けられる第1電極、前記第1電極の上方に設けられる誘電体層、及び前記誘電体層の上方に設けられる第2電極を含むキャパシタと、前記ガラス基板の前記第1面及び前記キャパシタを覆う第1絶縁層とを備え、前記誘電体層の第2面と向かい合う前記第1電極の第3面は、前記誘電体層の前記第2面と接触している接触部と、前記誘電体層の前記第2面と接触していない非接触部とを含み、前記接触部の外周は、鋸歯状の形状を有する配線基板が提供される。
【0010】
本発明の他の側面によると、前記接触部のLER(Line Edge Roughness)は、1000nm以上5000nm以下である上記側面に係る配線基板が提供される。
【0011】
本発明の更に他の側面によると、前記誘電体層の前記第2面の外周は、矩形の形状を有する上記側面の何れかに係る配線基板が提供される。
【0012】
本発明の更に他の側面によると、前記第1電極は、第1シード層と第1導電層とを積層した構造を含み、前記接触部の前記外周は、前記第1シード層の厚さの1.2倍以上40倍以下の範囲で前記誘電体層の端面よりも内側に位置する上記側面の何れかに係る配線基板が提供される。
【0013】
本発明の更に他の側面によると、前記第2電極は、第2シード層と第2導電層とを積層した構造を含み、前記接触部の前記外周は、前記第2シード層の厚さの1.2倍以上40倍以下の範囲で前記誘電体層の端面よりも内側に位置する上記側面の何れかに係る配線基板が提供される。
【0014】
本発明の更に他の側面によると、前記接触部の前記外周と前記誘電体層の端面との間の距離は、0μmよりも大きく12μm以下である上記側面の何れかに係る配線基板が提供される。
【0015】
本発明の更に他の側面によると、前記接触部における前記第1電極の厚さは、前記非接触部における前記第1電極の厚さよりも厚い上記側面の何れかに係る配線基板が提供される。
【0016】
本発明の更に他の側面によると、前記誘電体層は、透過性を有する材料からなる上記側面の何れかに係る配線基板が提供される。
【0017】
本発明の更に他の側面によると、前記第1電極の前記第3面のサイズは、前記誘電体層の前記第2面のサイズよりも大きい上記側面の何れかに係る配線基板が提供される。
【0018】
本発明の更に他の側面によると、前記第2面と向かい合う前記誘電体層の第4面のサイズは、前記誘電体層の前記第4面と向かい合う前記第2電極の第5面のサイズよりも大きい上記側面の何れかに係る配線基板が提供される。
【0019】
本発明の更に他の側面によると、前記第1絶縁層は、絶縁樹脂からなる上記側面の何れかに係る配線基板が提供される。
【0020】
本発明の更に他の側面によると、前記第1電極と前記誘電体層との間に設けられる密着層を更に備える上記側面の何れかに係る配線基板が提供される。
【0021】
本発明の更に他の側面によると、ガラス基板の上方に第1シード層を形成することと、前記第1シード層の一部の上に第1導電層を形成することと、前記第1シード層及び前記第1導電層の上方に誘電体層を形成することと、前記誘電体層の上方に第2シード層を形成することと、前記第2シード層の一部の上に第2導電層を形成することと、前記第2導電層を覆うマスクを形成して、前記第2シード層及び前記誘電体層を除去することと、前記第1導電層の表面の端部をエッチングすることと、前記第1シード層を除去することと、前記ガラス基板の表面、前記第1シード層、前記第1導電層、前記誘電体層、前記第2シード層、及び前記第2導電層を覆うように第1絶縁層を形成することとを備える配線基板の製造方法が提供される。
【0022】
本発明の更に他の側面によると、前記第1導電層の表面の端部をエッチングすることは、前記第1導電層の前記表面の端部に、表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲の荒れを生成することを含む上記側面に係る配線基板の製造方法が提供される。
【0023】
本発明の更に他の側面によると、前記第1シード層を除去することは、前記第1シード層の厚さの1.2倍以上40倍以下の範囲で前記第1シード層をエッチングすることを含む上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
【0024】
本発明の更に他の側面によると、前記第1絶縁層を形成することは、前記第1シード層の除去によって前記第1導電層の一部が除去された部分に、前記第1絶縁層を埋め込むことを含む上記側面に係る配線基板の製造方法が提供される。
【0025】
本発明の更に他の側面によると、ガラス基板の上方に第1シード層を形成することと、前記第1シード層の一部の上に第1導電層を形成することと、前記第1シード層を除去することと、前記ガラス基板及び前記第1導電層の上方に誘電体層を形成することと、前記誘電体層の一部を覆うマスクを形成して、前記誘電体層を除去することと、前記第1導電層の表面の端部をエッチングすることと、前記ガラス基板、前記第1導電層、及び前記誘電体層の上方に第2シード層を形成することと、前記第2シード層の一部の上に第2導電層を形成することと、前記第2導電層を覆うマスクを形成して、前記第2シード層を除去することと、前記ガラス基板の表面、前記第1シード層、前記第1導電層、前記誘電体層、前記第2シード層、及び前記第2導電層を覆うように第1絶縁層を形成することとを備える配線基板の製造方法が提供される。
【0026】
本発明の更に他の側面によると、前記第1導電層の表面の端部をエッチングすることは、前記第1導電層の前記表面の端部に、表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲の荒れを生成することを含む上記側面に係る配線基板の製造方法が提供される。
【0027】
本発明の更に他の側面によると、前記第2シード層を除去することは、前記第2シード層の厚さの1.2倍以上40倍以下の範囲で前記第2シード層をエッチングすることを含む上記側面の何れかに係る配線基板の製造方法が提供される。
【0028】
本発明の更に他の側面によると、前記第1絶縁層を形成することは、前記第2シード層の除去によって前記第1導電層の一部が除去された部分に、前記第1絶縁層を埋め込むことを含む上記側面に係る配線基板の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、キャパシタと絶縁層との密着性を十分に確保し、キャパシタと絶縁層との間の剥離の発生を抑制し得る技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る配線基板の断面図である。
図2図2は、図1に示す配線基板の一部を拡大して示す断面図である。
図3図3は、図1に示す配線基板の上面図である。
図4図4は、図3に示す配線基板の一部を拡大して示す上面図である。
図5図5は、図1に示す配線基板の製造方法における一工程を示す断面図である。
図6図6は、図1に示す配線基板の製造方法における他の工程を示す断面図である。
図7図7は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
図8図8は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
図9図9は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
図10図10は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
図11図11は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
図12図12は、図11に示す断面図の一部を拡大して示す断面図である。
図13図13は、図1に示す配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
図14図14は、本発明の第2実施形態に係る配線基板の製造方法における一工程を示す断面図である。
図15図15は、本発明の第2実施形態に係る配線基板の製造方法における他の工程を示す断面図である。
図16図16は、本発明の第2実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
図17図17は、本発明の第2実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
図18図18は、図17に示す断面図の一部を拡大して示す断面図である。
図19図19は、本発明の第2実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
図20図20は、本発明の第2実施形態に係る配線基板の製造方法における更に他の工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、上記側面の何れかをより具体化したものである。以下に記載する事項は、単独で又は複数を組み合わせて、上記側面の各々に組み入れることができる。
【0032】
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、下記の構成部材の材質、形状、及び構造等によって限定されるものではない。本発明の技術的思想には、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0033】
なお、同様又は類似した機能を有する要素については、以下で参照する図面において同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面は模式的なものであり、或る方向の寸法と別の方向の寸法との関係、及び、或る部材の寸法と他の部材の寸法との関係等は、現実のものとは異なり得る。
【0034】
<1>第1実施形態
<1.1>配線基板
図1は、本発明の第1実施形態に係る配線基板の断面図である。
【0035】
図1に示す配線基板1は、ガラスコア配線基板である。一例によれば、配線基板1は、インターポーザとして使用する配線基板、即ち、ガラスインターポーザである。
【0036】
図1に示すように、配線基板1は、ガラス基板11、第1密着層12、第1シード層13、第1導電層14、第2密着層15、誘電体層16、第3密着層17、第2シード層18、第2導電層19、及び第1絶縁層21を含む。
【0037】
ガラス基板11は、光透過性を有する透明のガラス材料である。ガラス基板11の成分、及び成分の配合比率は、特に限定されない。ガラス基板11の例としては、珪酸塩を主成分とするガラス材料が挙げられるが、その他のガラス材料であってもよい。ガラス基板11の具体例としては、無アルカリガラス、アルカリガラス、ホウ珪酸ガラス、石英ガラス、サファイアガラス、感光性ガラス等が挙げられるが、ガラス基板11に半導体チップを実装して用いる場合には、無アルカリガラスがより好ましい。
【0038】
ガラス基板11の線膨張係数は、例えば、-1ppm/K以上15.0ppm/K以下であることが好ましい。ガラス基板11の線膨張係数が-1ppm/K未満である場合、ガラス材料自体を選定することが困難となり安価に作製できない。ガラス基板11の線膨張係数が15.0ppm/Kを超える場合、他層との線膨張係数の差が大きくなり、他層との接続信頼性が低下する。また、ガラス基板11に半導体チップを実装する場合には半導体チップとの接続信頼性が低下する。なお、ガラス基板11の線膨張係数は、0.5ppm/K以上8.0ppm/K以下であることがより好ましく、1.0ppm/K以上4.0ppm/K以下であることが更に好ましい。
【0039】
ガラス基板11の製造方法は、特に限定されない。ガラス基板11の製造方法の例としては、フロート法、ダウンドロー法、フュージョン法、アップドロー法、ロールアウト法等が挙げられるが、その他の方法であってもよい。即ち、ガラス基板11としては、いずれの方法によって作製されたガラス材料を用いてもよい。
【0040】
ガラス基板11の厚さは、例えば、0mmよりも大きく1mm以下であることが好ましく、ガラス基板11に貫通孔を形成するプロセスの容易性や製造時のハンドリング性を考慮すると、0.1mm以上0.8mm以下であることがより好ましい。
【0041】
ガラス基板11には、予め反射防止膜又は赤外線(IR)カットフィルタ等の機能膜が形成されてもよい。また、強度付与、帯電防止付与、着色、テクスチャー制御等の機能が付与されてもよい。これら機能膜の例として、強度付与については、ハードコート膜、帯電防止付与については、帯電防止膜、着色については、光学フィルタ膜、テクスチャー制御については、アンチグレア、光散乱膜等が挙げられるが、これらに限定されない。これら機能膜の形成方法としては、蒸着、スパッタリング法、ウエット方式等の成膜技術が用いられる。
【0042】
ガラス基板11は、第1面S1、及び第1面S1と向かい合う第2面S2を有する。第1面S1と第2面S2とは、平行である。
【0043】
以下では、第1面S1及び第2面S2と平行な面をXY平面とする。XY平面において互いに直交する方向をX方向及びY方向とする。XY平面に略垂直な方向をZ方向とする。また、第1面S1は、ガラス基板11の表面とも表記する。第2面S2は、ガラス基板11の裏面とも表記する。
【0044】
なお、図1には図示が省略されているが、ガラス基板11には、各々が第1面S1から第2面S2まで達する1以上の貫通孔が設けられている。即ち、貫通孔の各々は、ガラス基板11をZ方向に貫通している。
【0045】
貫通孔の各々は、例えば、順テーパ形状を有する。即ち、貫通孔の開口径又は断面積(第1面S1に対して平行な断面の面積)は、第1面S1側から第2面S2側に向かって大きくなっている。
【0046】
貫通孔の各々は、例えば、逆テーパ形状を有してもよい。即ち、貫通孔の開口径又は断面積は、第1面S1側から第2面S2側に向かって小さくなっていてもよい。
【0047】
また、貫通孔の各々は、第1面S1と第2面S2との間に、貫通孔の開口径又は断面積が極小値をとる位置(以下、「第1位置」と表記する)を有してもよい。即ち、貫通孔の開口径又は断面積は、第1面S1側から第1位置に向かって小さくなっており、第1位置から第2面S2側に向かって大きくなっていてもよい。換言すると、貫通孔の各々は、第1面S1から第1位置までの逆テーパ形状部分、及び第1位置から第2面S2までの順テーパ形状部分を有する形状であってもよい。
【0048】
貫通孔の各々は、第1面S1と第2面S2との間に、貫通孔の開口径又は断面積が極大値をとる位置(以下、「第2位置」と表記する)を有してもよい。即ち、貫通孔の開口径又は断面積は、第1面S1側から第2位置に向かって大きくなっており、第2位置から第2面S2側に向かって小さくなっていてもよい。換言すると、貫通孔の各々は、第1面S1から第2位置までの順テーパ形状部分、及び第2位置から第2面S2までの逆テーパ形状部分を有する形状であってもよい。
【0049】
第1密着層12は、ガラス基板11の第1面S1上に設けられている。第1密着層12は、ガラス基板11と第1シード層13との密着性を高める。第1密着層12の材料は、例えば、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、Cu合金単体、またはこれらのうちの複数を組み合わせたものが用いられる。密着性、電気伝導性、製造の容易性の観点及びコスト面を考慮すると、Tiが好ましい。
【0050】
第1密着層12は、例えば、スパッタリング法によって形成される。なお、ガラス基板11と第1シード層13との密着性が十分である場合には、第1密着層12は設けられなくてもよい。
【0051】
第1密着層12の厚さは、例えば、10nm以上1000nm以下であることが好ましい。第1密着層12の厚さが10nm未満である場合、密着性が不十分となる可能性がある。第1密着層12の厚さが1000nmを超える場合、成膜に時間がかかりすぎて量産性に欠けるばかりでなく、不要部分の除去にも時間がかかる可能性がある。なお、第1密着層12の厚さは、10nm以上500nm以下であることがより好ましい。
【0052】
第1シード層13は、第1密着層12上(ガラス基板11の第1面S1の上方)に設けられている。第1密着層12が設けられない場合、第1シード層13は、ガラス基板11の第1面S1上に設けられる。第1シード層13は、第1導電層14をセミアディティブ法で形成する際の電解めっきの給電層として機能する。第1シード層13の材料は、例えば、Cu、Ni、Al、Ti、Cr、Mo、W、Ta、Au、Ir、Ru、Pd、Pt、AlSi、AlSiCu、AlCu、NiFe、ITO、IZO、AZO、ZnO、PZT、TiN、Cu、Cu合金単体、またはこれらのうちの複数を組み合わせたものが用いられる。
【0053】
第1シード層13は、例えば、スパッタリング法又はCVD(chemical vapor deposition)法によって形成される。なお、第1シード層13上に無電解めっき層(無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき等)が形成されてもよい。
【0054】
第1シード層13の厚さは、例えば、50nm以上5000nm以下であることが好ましい。第1シード層13の厚さが50nm未満である場合、第1導電層14の電解めっき工程において通電不良が発生する可能性がある。第1シード層13の厚さが5000nmを超える場合、不要部分の除去に時間がかかる可能性がある。なお、第1シード層13の厚さは、100nm以上500nm以下であることがより好ましい。ここで、第1シード層13の厚さは、第1シード層13のうち、第1密着層12上(第1密着層12が設けられない場合は、ガラス基板11上)に設けられた部分の厚さである。
【0055】
第1導電層14は、第1シード層13上に設けられている。第1導電層14の材料は、例えば、銅が用いられる。
【0056】
第1導電層14の形成方法としては、例えば、電解銅めっきが簡便かつ安価であり、電気伝導性が良好であることから好ましい。第1導電層14は、電解銅めっきの他、電解ニッケルめっき、電解クロムめっき、電解パラジウムめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、電解イリジウムめっき等で形成されてもよい。
【0057】
第1導電層14の厚さ(電解銅めっきの厚さ)は、例えば、3μm以上30μm以下であることが好ましい。第1導電層14の厚さが3μm未満の場合、第1導電層14を形成した後のエッチング処理によって回路が消失する可能性がある。更に、回路の接続信頼性、電気伝導性が低下する可能性がある。第1導電層14の厚さが30μmを超える場合、30μmを超える厚さのレジスト層を形成する必要があり、製造コストがかかる。更に、レジスト解像性が低下することから、ピッチ30μm以下の微細な配線形成が困難となる。なお、第1導電層14の厚さは、5μm以上25μm以下であることがより好ましく、10μm以上20μm以下であることが更に好ましい。
【0058】
第1導電層14は、第3面S3、及び第3面S3と向かい合う第4面S4を有する。第4面S4は、ガラス基板11の第1面S1と向かい合う。以下では、第3面S3は、第1導電層14の表面とも表記する。
【0059】
第2密着層15は、第1導電層14上に設けられている。第2密着層15は、第1導電層14と誘電体層16との密着性を高める。第2密着層15には、第1密着層12について例示する材料を使用することができる。
【0060】
第2密着層15は、例えば、スパッタリング法によって形成される。なお、第1導電層14と誘電体層16との密着性が十分である場合には、第2密着層15は設けられなくてもよい。
【0061】
第2密着層15の厚さは、第1密着層12と同様に、例えば、10nm以上1000nm以下であることが好ましく、10nm以上500nm以下であることがより好ましい。
【0062】
誘電体層16は、第2密着層15上(第1導電層14の上方)に設けられている。第2密着層15が設けられない場合、誘電体層16は、第1導電層14上に設けられる。誘電体層16の材料は、絶縁性、比誘電率の観点から、例えば、アルミナ、シリカ、シリコンナイトライド、タンタルオキサイド、酸化チタン、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、及びチタン酸ストロンチウムから選択される少なくとも1つの材料が用いられる。
【0063】
誘電体層16は、例えば、CVD法によって形成される。
【0064】
誘電体層16の厚さは、例えば、10nm以上5000nm以下であることが好ましい。誘電体層16の厚さが10nm未満である場合、絶縁性を保つことができずにキャパシタとしての機能が発現しない。誘電体層16の厚さが5000nmを超える場合、成膜に時間がかかりすぎて量産性に欠けるばかりでなく、不要部分の除去にも時間がかかる可能性がある。なお、誘電体層16の厚さは、50nm以上1000nm以下であることがより好ましい。
【0065】
誘電体層16は、第5面S5、及び第5面S5と向かい合う第6面S6を有する。第6面S6は、第1導電層14の第3面S3と向かい合う。
【0066】
第3密着層17は、誘電体層16上に設けられている。第3密着層17は、誘電体層16と第2シード層18との密着性を高める。第3密着層17には、第1密着層12について例示する材料を使用することができる。
【0067】
第3密着層17は、例えば、スパッタリング法によって形成される。誘電体層16と第2シード層18との密着性が十分である場合には、第3密着層17は設けられなくてもよい。
【0068】
第3密着層17の厚さは、第1密着層12と同様に、例えば、10nm以上1000nm以下であることが好ましく、10nm以上500nm以下であることがより好ましい。第1密着層12、第2密着層15及び第3密着層17の厚さは、異なってもよいが、構造上単純になるため、同じであることが好ましい。
【0069】
第2シード層18は、第3密着層17上(誘電体層16の上方)に設けられている。第3密着層17が設けられない場合、第2シード層18は、誘電体層16上に設けられる。第2シード層18は、第2導電層19をセミアディティブ法で形成する際の電解めっきの給電層として機能する。第2シード層18には、第1シード層13について例示する材料を使用することができる。エッチングによる不要部分の除去が簡便になるため、銅が好ましい。
【0070】
第2シード層18は、例えば、スパッタリング法又はCVD法によって形成される。なお、第2シード層18上に無電解めっき層(無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき等)が形成されてもよい。
【0071】
第2シード層18の厚さは、第1シード層13と同様に、例えば、50nm以上5000nm以下であることが好ましく、100nm以上500nm以下であることがより好ましい。ここで、第2シード層18の厚さは、第2シード層18のうち、第3密着層17上(第3密着層17が設けられない場合は、誘電体層16上)に設けられた部分の厚さである。
【0072】
第2導電層19は、第2シード層18上に設けられている。第2導電層19の材料は、例えば、銅が用いられる。
【0073】
第2導電層19の形成方法としては、例えば、電解銅めっきが簡便かつ安価であり、電気伝導性が良好であることから好ましい。第2導電層19は、電解銅めっきの他、電解ニッケルめっき、電解クロムめっき、電解パラジウムめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、電解イリジウムめっき等で形成されてもよい。
【0074】
第2導電層19の厚さ(電解銅めっきの厚さ)は、第1導電層14と同様に、例えば、3μm以上30μm以下であることが好ましく、5μm以上25μm以下であることがより好ましく、10μm以上20μm以下であることが更に好ましい。
【0075】
第2導電層19は、第7面S7、及び第7面S7と向かい合う第8面S8を有する。第8面S8は、誘電体層16の第5面S5と向かい合う。
【0076】
以上で説明した第1シード層13、第1導電層14、誘電体層16、第2シード層18、及び第2導電層19は、MIM構造のキャパシタ(以下、「MIMキャパシタ」と表記する)C1を構成する。換言すると、配線基板1は、MIMキャパシタC1を含む。第1シード層13及び第1導電層14は、MIMキャパシタC1の下部電極BEである。下部電極BEは、第1シード層13と第1導電層14とを積層した構造を含み、ガラス基板11の第1面S1の上方に設けられる。なお、本明細書では、第1導電層14のみ、及び第1密着層12と第1シード層13と第1導電層14とを積層した構造も下部電極BEと称する。誘電体層16は、MIMキャパシタC1の誘電体層である。誘電体層16は、下部電極BEの上方に設けられる。第2シード層18及び第2導電層19は、MIMキャパシタC1の上部電極TEである。上部電極TEは、第2シード層18と第2導電層19とを積層した構造を含み、誘電体層16の上方に設けられる。なお、本明細書では、第2導電層19のみ、及び第3密着層17と第2シード層18と第2導電層19とを積層した構造も上部電極TEと称する。
【0077】
図1の例では、第1導電層14の第3面S3のサイズは、誘電体層16の第6面S6のサイズよりも大きい。誘電体層16の第5面S5のサイズは、第2導電層19の第8面S8のサイズよりも大きい。第1導電層14、誘電体層16、及び第2導電層19をこのようなサイズに形成することにより、下部電極BEと上部電極TEとの間におけるショートの発生を抑制できるとともに、プロセスを簡便にすることができる。
【0078】
第1絶縁層21は、ガラス基板11の第1面S1、第1密着層12、第1シード層13、第1導電層14、第2密着層15、誘電体層16、第3密着層17、第2シード層18、及び第2導電層19を被覆する。即ち、第1絶縁層21は、ガラス基板11の第1面S1及びキャパシタC1を覆っている。なお、第1絶縁層21には、第1導電層14及び第2導電層19の位置にビアが設けられてもよい。
【0079】
第1絶縁層21の材料は、例えば、絶縁樹脂が好ましい。絶縁樹脂の成分、及び成分の配合比率、並びに絶縁樹脂の製造方法は特に限定されない。絶縁樹脂の例としては、エポキシ樹脂、ポリイミド、マレイミド樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリフェニレンオキシド、液晶ポリマー、及びこれらの複合材料、並びに感光性ポリイミド樹脂、感光性ポリベンゾオキサゾール、感光性アクリル-エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0080】
第1絶縁層21の厚さは、例えば、0μmよりも大きく100μm以下であることが好ましく、第1絶縁層21にビアを形成するプロセスの容易性や製造時のハンドリング性を考慮すると、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。
【0081】
図2は、図1に示す配線基板1の一部(領域R1)を拡大して示す断面図である。なお、図2において、第1シード層13、第2密着層15、第3密着層17、及び第2シード層18は、図示を省略している。
【0082】
図2に示すように、誘電体層16の端部の下には、誘電体層16と第1導電層14(下部電極BE)との間に、第1絶縁層21が埋め込まれた部分がある。この部分は、例えば、第1シード層13のエッチング時に、サイドエッチングにより第1導電層14が除去された部分(以下、「サイドエッチング部SP」と表記する)である。図2は、サイドエッチング部SPに、後工程で第1絶縁層21が埋め込まれた状態を示している。
【0083】
換言すると、誘電体層16の第6面S6と向かい合う第1導電層14の第3面S3は、誘電体層16の第6面S6と接触している接触部CPと、誘電体層16の第6面S6と接触していない非接触部NPとを含む。即ち、第1導電層14と誘電体層16とは、一部において接触している。このため、接触部CPにおける第1導電層14(下部電極BE)の厚さは、非接触部NPにおける第1導電層14の厚さよりも厚い。以下では、第1導電層14の第3面S3の接触部CPと非接触部NPとの境界を、「境界BD」又は「接触部CPの外周OC1」と表記する。また、接触部CPの外周OC1と誘電体層16の端面S9との間の距離を「距離A」又は「サイドエッチング量A」と表記する。
【0084】
なお、本明細書において、第1導電層14の接触部CPは、第2密着層15がない場合には、第1導電層14の第3面S3のうちの誘電体層16の第6面S6と直接接触している部分を指し、第2密着層15がある場合には、第1導電層14の第3面S3のうちの第2密着層15と直接接触している部分を指す。また、第1導電層14と誘電体層16とが接触しているとは、第2密着層15がない場合には、第1導電層14と誘電体層16とが直接接触している状態を指し、第2密着層15がある場合には、第1導電層14と第2密着層15とが直接接触し、且つ誘電体層16と第2密着層15とが直接接触している状態を指す。
【0085】
また、本明細書において、第1導電層14の非接触部NPは、第2密着層15がない場合には、第1導電層14の第3面S3のうちの誘電体層16の第6面S6と直接接触していない部分を指し、第2密着層15がある場合には、第1導電層14の第3面S3のうちの第2密着層15と直接接触していない部分を指す。また、第1導電層14と誘電体層16とが接触していないとは、第2密着層15がない場合には、第1導電層14と誘電体層16とが直接接触していない状態を指し、第2密着層15がある場合には、第1導電層14と第2密着層15とが直接接触しておらず、且つ誘電体層16と第2密着層15とが直接接触している状態を指す。
【0086】
第1シード層13をエッチングする際に、第1シード層13のエッチング量を第1シード層13の厚さに調整することにより、第1導電層14のサイドエッチングが発生しないようにすることは可能である。しかしながら、第1シード層13の厚さのばらつきを考慮すると、第1シード層13を除去しきれない箇所が発生する可能性がある。このため、本実施形態では、第1シード層13の厚さのばらつきも考慮して、第1シード層13をエッチングする際に、第1導電層14のサイドエッチング量Aが第1シード層13の厚さよりも大きくなるように、第1シード層13のエッチング量を調整する。このように調整することにより、良好な品質を得ることができる。
【0087】
第1導電層14のサイドエッチング量Aは、例えば、第1シード層13の厚さをTとすると、以下の式のように表される。
A= T × 1.2~40
1.2≦ A/T ≦ 40
即ち、第1導電層14のサイドエッチング量Aは、第1シード層13の厚さTの1.2倍以上40倍以下であることが好ましい。換言すると、上記の式を満たすように第1シード層13のエッチング量を調整することが好ましい。これにより、第1導電層14の接触部CPの外周OC1は、例えば、第1シード層13の厚さTの1.2倍以上40倍以下の範囲で誘電体層16の端面S9よりも内側に位置する。サイドエッチング量Aが第1シード層13のエッチング量の1.2倍未満である場合、第1シード層13の膜が残る箇所が発生する可能性がある。サイドエッチング量Aが第1シード層13のエッチング量の40倍を超える場合、第1絶縁層21の形成時にサイドエッチング部SPへの樹脂の入り込みが不足してサイドエッチング部SPにボイドが発生し、キャパシタC1と第1絶縁層21との密着性が悪化する可能性がある。また、誘電体層16と第1導電層14との接触部分が小さくなるため、少しの応力がかかることにより、誘電体層16の割れが発生する可能性がある。
【0088】
また、第1導電層14のサイドエッチング量Aは、例えば、0μmよりも大きく12μm以下であることが好ましい。サイドエッチング量Aが0μmである場合、上述のように、第1シード層13の膜が残る箇所が発生する可能性がある。サイドエッチング量Aが12μmを超える場合、上述のように、サイドエッチング部SPにボイドが発生し、キャパシタC1と第1絶縁層21との密着性が悪化する可能性がある。また、上述のように、誘電体層16の割れが発生する可能性がある。
【0089】
なお、第1絶縁層21に使用される絶縁樹脂には、フィラーが含まれていてもよい。絶縁樹脂にフィラーが含まれる場合、フィラーの最大粒径は、第1シード層13の厚さT以下であることが好ましい。フィラーの最大粒径が第1シード層13の厚さTよりも大きい場合、サイドエッチング部SPにフィラーが入り込まず、絶縁樹脂の充填が不十分になり、サイドエッチング部SPにボイドが発生し、キャパシタC1と第1絶縁層21との密着性が悪化する可能性がある。また、誘電体層16と第1導電層14との接触部分が小さくなるため、少しの応力がかかることにより、誘電体層16の割れが発生する可能性がある。
【0090】
一方、絶縁樹脂にフィラーが含まれない場合、絶縁樹脂の流動性がフィラー含有の絶縁樹脂よりも優れるため、サイドエッチング部SPへの絶縁樹脂の充填率は、フィラー含有の絶縁樹脂よりも高くなる。このため、キャパシタC1と第1絶縁層21との密着性を十分に確保し、誘電体層16の割れの発生を抑制できる。
【0091】
図3は、図1に示す配線基板1の上面図である。図3には、第1導電層14の接触部CPの外周OC1が実線で示されている。なお、図3において、ガラス基板11、第1密着層12、第1シード層13、第2密着層15、第3密着層17、第2シード層18、及び第1絶縁層21は、図示を省略している。
【0092】
図3に示すように、第1導電層14の接触部CPの外周OC1は、上面視で(Z方向から見て)、鋸歯状の形状(ガタツキ)を有する。即ち、接触部CPの外周OC1は、上面視で直線ではない。換言すると、接触部CPの外周OC1と誘電体層16の端面S9との間の距離Aは、一定ではない。これにより、第1絶縁層21の形成時に、サイドエッチング部SPにおいて、鋸歯状の形状を有する接触部CPの外周OC1の凹凸の凹み部分に樹脂が入り込む。このため、アンカー効果により、樹脂が第1導電層14及び誘電体層16と強固に密着することが可能となる。
【0093】
なお、誘電体層16は、透過性を有する材料であってもよい。透過性を有する材料は、例えば、シリコンナイトライド、酸化シリコン等である。誘電体層16として透過性を有する材料を用いることにより、上面視で、境界BD(接触部CPの外周OC1)を確認することができる。
【0094】
また、ミクロトームや集束イオンビーム(FIB)等を用いて試料の連続断面スライスと断面観察を交互に行い、得られた二次元連続画像を三次元再構築する方法として、例えば、シリアルセクショニング法がある。この方法を使用することにより、上面視で、境界BD(接触部CPの外周OC1)が鋸歯状の形状を有する(直線ではない)ことを確認することができる。
【0095】
図3に示すように、誘電体層16の第6面S6の外周OC2は、矩形の形状を有する。これにより、誘電率のばらつきが抑制されるため、キャパシタC1の静電容量が安定化する。
【0096】
図4は、図3に示す配線基板1の一部(領域R2)を拡大して示す上面図である。なお、図4において、ガラス基板11、第1密着層12、第1シード層13、第2密着層15、第3密着層17、第2シード層18、及び第1絶縁層21は、図示を省略している。
【0097】
ここで、X方向における第1導電層14のサイドエッチング量Aの最大値と最小値との差、及びY方向における第1導電層14のサイドエッチング量Aの最大値と最小値との差を、第1導電層14の接触部CPのLER(Line Edge Roughness)と定義する。LERは、例えば、1000nm以上5000nm以下であることが好ましい。LERが1000nm未満である場合、アンカー効果が得られず、第1絶縁層21と、第1導電層14及び誘電体層16との密着性が不十分となり、第1絶縁層21と、第1導電層14及び誘電体層16との間で剥離が発生する可能性がある。LERが5000nmを超える場合、キャパシタC1の寄生容量がばらつく可能性がある。
【0098】
<1.2>配線基板の製造方法
上記の配線基板1は、例えば、以下の方法により製造することができる。
【0099】
図5乃至図11及び図13は、図1に示す配線基板の製造方法における一工程を示す断面図である。
【0100】
<1.2.1>第1工程
図5には図示されていないが、この方法では、まず、ガラス基板11に、ガラス基板11の表面から裏面に貫通する1以上の貫通孔を形成する。ガラス基板11としては、上述した方法によって作製されたガラス材料が使用される。ガラス基板11の厚さは、例えば、0mmよりも大きく1mm以下の範囲の厚さとすることができる。貫通孔は、例えば、レーザ光照射によって形成される。形成された貫通孔は、上述したいずれかの形状を有する。
【0101】
<1.2.2>第2工程
次に、図5に示すように、ガラス基板11の表面及び貫通孔内に第1密着層12及び第1シード層13をこの順に形成する。これにより、ガラス基板11の上方及び貫通孔内に第1シード層13が形成される。
【0102】
第1密着層12は、例えば、スパッタリング法によって形成される。第1密着層12としては、上述した材料、例えば、チタンが使用される。ガラス基板11上に形成される第1密着層12の厚さは、例えば、10nm以上1000nm以下の範囲の厚さとすることができる。
【0103】
第1シード層13は、例えば、スパッタリング法及び無電解めっきによって形成される。例えば、スパッタリング法により、上述した材料、例えば、銅を形成した後、無電解めっきにより金属層(無電解めっき層)を付加形成する。第1シード層13をスパッタリング法のみで形成すると、貫通孔の内壁に金属膜が均一に形成できない可能性がある。このため、スパッタリング法により銅を形成した後に無電解めっきにより金属層を増強するのが好ましい。無電解めっきの例としては、無電解銅めっき、無電解ニッケルめっき等が挙げられるが、ガラス又はチタン、銅との密着性がよいことから無電解ニッケルめっきが好ましい。
【0104】
無電解ニッケルめっき層の厚さが厚過ぎると、微細な配線形成が困難となる可能性がある。また、膜応力が増加することによって、密着性が低下する可能性がある。このため、無電解ニッケルめっき層の厚さは、0μmよりも大きく1μm以下の範囲の厚さとすることができる。なお、無電解ニッケルめっき層の厚さは、0μmよりも大きく0.5μm以下であることがより好ましく、0μmよりも大きく0.3μm以下であることが更に好ましい。
【0105】
また、無電解ニッケルめっき層には、還元剤に由来する共析物であるリンや、無電解ニッケルめっき液中に含まれる硫黄や鉛やビスマス等が含まれていてもよい。
【0106】
第1密着層12上に形成される第1シード層13の厚さTは、例えば、50nm以上5000nm以下の範囲の厚さとすることができる。
【0107】
なお、ガラス基板11と第1シード層13との密着性が十分である場合には、第1密着層12は設けられなくてもよい。この場合、本工程では、ガラス基板11の表面及び貫通孔内に第1シード層13を形成する。
【0108】
<1.2.3>第3工程
次に、図5に示すように、第1シード層13上にマスクパターン(以下、「マスク」とも表記する)を形成する。マスクパターンは、例えば、第1シード層13上にレジスト層51を設け、第1導電層14が設けられる部分が露出するように位置合わせを行い、フォトリソグラフィー法によって、レジスト層51へのパターン露光及び現像を行うことにより形成される。形成されたマスクパターン(レジスト層51)は、第1導電層14に対応する位置に開口部を有している。レジスト層51としては、ネガ型ドライフィルムレジスト、ネガ型液状レジスト、ポジ型液状レジストが挙げられるが、レジスト層51の形成が簡便でかつ安価であるため、ネガ型ドライフィルムレジストが好ましい。
【0109】
第1シード層13上に形成されるレジスト層51の厚さは、第1導電層14の厚さにも依存するが、例えば、5μm以上25μm以下の範囲の厚さとすることができる。レジスト層51の厚さが5μm未満である場合、第1導電層14となる電解めっき層を5μm以上の厚さに形成できなくなり、回路の接続信頼性が低下する可能性がある。レジスト層51の厚さが25μmを超える場合、ピッチ30μm以下の微細配線を形成することが困難となる。
【0110】
<1.2.4>第4工程
次に、図6に示すように、第1シード層13に給電し、メッキ液に浸漬することによって、マスクパターン(レジスト層51)が形成されていない第1シード層13上(第1シード層13の一部の上)に、第1導電層14である金属層(電解めっき層)を形成する。電解めっきの例としては、例えば、電解銅めっきである。第1シード層13上に形成される第1導電層14の厚さは、例えば、3μm以上30μm以下の範囲の厚さとすることができる。
【0111】
<1.2.5>第5工程
次に、図7に示すように、レジスト層51を除去し、第1シード層13の一部を露出させる。レジスト層51の除去方法は、何ら特定の方法に限定されるものではないが、例えば、アルカリ水溶液によって剥離除去することができる。
【0112】
<1.2.6>第6工程
次に、図8に示すように、第1シード層13及び第1導電層14を覆うように第2密着層15を形成した後、第2密着層15上に、誘電体層16、第3密着層17、及び第2シード層18をこの順に形成する。これにより、第1シード層13及び第1導電層14の上方に誘電体層16が形成される。誘電体層16の上方に第2シード層18が形成される。第2密着層15、誘電体層16、第3密着層17、及び第2シード層18の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE(Molecular Beam Epitaxy)法、レーザアブレーション法、CVD法等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0113】
第2密着層15は、第1密着層12と同様の方法で形成される。第2密着層15の材料、並びに第1シード層13及び第1導電層14を覆うように形成される第2密着層15の厚さは、第1密着層12と同様である。
【0114】
誘電体層16は、例えば、CVD法により形成される。誘電体層16としては、上述した材料、例えば、シリコンナイトライドが使用される。第2密着層15上に形成される誘電体層16の厚さは、例えば、10nm以上5000nm以下の範囲の厚さとすることができる。
【0115】
第3密着層17は、第1密着層12と同様の方法で形成される。第3密着層17の材料、及び誘電体層16上に形成される第3密着層17の厚さは、第1密着層12と同様である。
【0116】
第2シード層18は、第1シード層13と同様の方法で形成される。第2シード層18の材料、及び第3密着層17上に形成される第2シード層18の厚さは、第1シード層13と同様である。
【0117】
本実施形態では、第1導電層14の形成後に、第1シード層13及び第1密着層12の不要部分を除去することなく、第2密着層15、誘電体層16、第3密着層17、及び第2シード層18を形成する。このため、第2シード層18を形成する際に、第2シード層18の付きまわり性の異常を抑制することができる。この結果、第2導電層19についても安定して形成することができる。
【0118】
なお、第1導電層14と誘電体層16との密着性が十分である場合には、第2密着層15は設けられなくてもよい。この場合、本工程では、第1シード層13及び第1導電層14を覆うように誘電体層16を形成する。また、誘電体層16と第2シード層18との密着性が十分である場合には、第3密着層17は設けられなくてもよい。この場合、本工程では、誘電体層16上に第2シード層18を形成する。
【0119】
<1.2.7>第7工程
次に、図9に示すように、第2シード層18上にマスクパターンを形成する。マスクパターンは、例えば、第2シード層18上にレジスト層52を設け、第2導電層19が設けられる部分が露出するように位置合わせを行い、フォトリソグラフィー法によって、レジスト層52へのパターン露光及び現像を行うことにより形成される。形成されたマスクパターン(レジスト層52)は、第2導電層19に対応する位置に開口部を有している。レジスト層52の開口部は、断面積(ガラス基板11の第1面S1に対して平行な断面の面積)が第1導電層14の第3面S3のサイズよりも小さくなるように形成される。レジスト層52としては、レジスト層51と同様のレジストが使用される。
【0120】
<1.2.8>第8工程
次に、図9に示すように、第2シード層18に給電し、メッキ液に浸漬することによって、マスクパターン(レジスト層52)が形成されていない第2シード層18上(第2シード層18の一部の上)に、第2導電層19である金属層(電解めっき層)を形成する。電解めっきの例としては、例えば、電解銅めっきである。第2シード層18上に形成される第2導電層19の厚さは、例えば、3μm以上30μm以下の範囲の厚さとすることができる。
【0121】
<1.2.9>第9工程
次に、図10に示すように、レジスト層52を除去し、第2シード層18の一部を露出させる。レジスト層52の除去方法は、レジスト層51の除去方法と同様である。
【0122】
<1.2.10>第10工程
次に、図10に示すように、第2シード層18及び第2導電層19上にマスクパターンを形成する。マスクパターンは、レジスト層53を使用し、上述したマスクパターンと同様の方法で形成することができる。形成されたマスクパターン(レジスト層53)は、第2シード層18の一部及び第2導電層19を覆っている。レジスト層53は、断面積(ガラス基板11の第1面S1に対して平行な断面の面積)が第1導電層14の第3面S3のサイズよりも小さく、且つ第2導電層19の第7面S7及び第8面S8のサイズよりも大きくなるように形成される。レジスト層53としては、レジスト層51と同様のレジストが使用される。
【0123】
次に、図11に示すように、第2シード層18、第3密着層17、誘電体層16、及び第2密着層15の不要部分をエッチングにより除去する。除去方法としては、化学エッチング又はドライエッチングを用いることができる。各層で異なる除去方法を採用してもよいし、全ての層で同じ除去方法を採用してもよい。レジスト層53は、断面積が上述のサイズになるように形成されるため、第2シード層18、第3密着層17、誘電体層16、及び第2密着層15は、図11に示すように、例えば、第2シード層18、第3密着層17、誘電体層16、及び第2密着層15の各々の端面が、第1導電層14の端面S10よりも内側、且つ第2導電層19の端面S11よりも外側に位置するように、エッチングされる。即ち、誘電体層16は、第1導電層14よりも小さいサイズで形成される。
【0124】
なお、第2シード層18及び第3密着層17の不要部分の除去は、本工程で実施することに限定されず、例えば、本工程の前に第2導電層19をマスクとして、第2シード層18及び第3密着層17の不要部分が除去されてもよい。
【0125】
<1.2.11>第11工程
次に、図11に示すように、レジスト層53を除去し、第2シード層18の一部及び第2導電層19を露出させる。レジスト層53の除去方法は、レジスト層51の除去方法と同様である。
【0126】
<1.2.12>第12工程
次に、第1導電層14の表面の端部(露出部)をエッチングする。これにより、図12に示すように、第1導電層14の表面の端部に荒れが生成される。以下、本工程のエッチング処理を「シード層エッチング前処理」とも表記する。図12は、図11に示す断面図の一部(領域R3)を拡大して示す断面図である。なお、図12において、第1シード層13、第2密着層15、第3密着層17、及び第2シード層18は、図示を省略している。
【0127】
本工程では、エッチングにより、第1導電層14の表面の端部に、表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲の荒れを生成する。例えば、第1導電層14の表面の表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲になるように、後述する第13工程の第1シード層13の除去処理で使用されるエッチング液の濃度、処理時間、及び処理温度を調節してエッチングを行うことができる。表面粗さが30nm未満である場合、後述する第14工程の第1絶縁層21形成時にアンカー効果が発現されなくなるため、第1導電層14及び誘電体層16と第1絶縁層21との密着力が弱くなり、第1絶縁層21が剥離しやすくなる。表面粗さが70nmを超える場合、誘電体層16と第1導電層14との界面にサイドエッチングが入りやすくなるため、誘電体層16と第1導電層14との接触部分が小さくなる。当該接触部分に応力が集中する。このため、誘電体層16と第1導電層14との密着力が弱くなり、誘電体層16が剥離しやすくなる。なお、本明細書において、表面粗さは、算術平均粗さRaに対応する。算術平均粗さRaは、JIS B0601:2001で規定される表面性状パラメータである。
【0128】
<1.2.13>第13工程
次に、第1シード層13及び第1密着層12の不要部分をエッチングにより除去する。除去方法としては、化学エッチング又はドライエッチングを用いることができる。各層で異なる除去方法を採用してもよいし、全ての層で同じ除去方法を採用してもよい。例えば、第1シード層13の無電解めっき層及び銅層、並びに第1密着層12を順次化学エッチングにより除去する方法を用いることができるが、これに限定されない。エッチング液の種類は、除去する金属の種類により適宜選択される。
【0129】
本工程では、第1導電層14のサイドエッチング量Aが第1シード層13の厚さTの1.2倍以上40倍以下の範囲になるように、第1シード層13をエッチングする。例えば、第1シード層13の厚さTの1.2倍以上40倍以下の範囲で第1シード層13をエッチングすることができる。
【0130】
本工程により、図2に示すように、第1導電層14がサイドエッチングされることによって、サイドエッチング部SPが形成される。第12工程において第1導電層14の表面の端部に荒れが生成されるため、本工程の第1シード層13の除去時の誘電体層16の端部の下へのエッチング液の侵入に差が生じる。このため、図3に示すように、第1導電層14の接触部CPの外周OC1は鋸歯状の形状となる。
【0131】
<1.2.14>第14工程
次に、真空ラミネーターやロールコーター等を用いて、ガラス基板11の表面、第1密着層12、第1シード層13、第1導電層14、第2密着層15、誘電体層16、第3密着層17、第2シード層18、及び第2導電層19を覆うように第1絶縁層21を形成する。このとき、第1シード層13の除去によって第1導電層14の一部が除去された部分(サイドエッチング部SP)に、第1絶縁層21が埋め込まれる。サイドエッチング部SPにおいて、鋸歯状の形状を有する接触部CPの外周OC1の凹凸の凹み部分に樹脂が入り込む。このため、アンカー効果により、樹脂が第1導電層14及び誘電体層16と強固に密着することが可能となる。これにより、図1に示す配線基板1(ガラス基板11の表面にキャパシタC1が形成された配線基板1)の構造を得る。第1絶縁層21としては、上述した材料、例えば、絶縁樹脂が使用される。第1絶縁層21の厚さは、例えば、0μmよりも大きく100μm以下の範囲の厚さとすることができる。
【0132】
<1.2.15>第15工程
次に、図13に示すように、第1絶縁層21の第1導電層14及び第2導電層19の位置にビアを形成する。
【0133】
次に、第1絶縁層21の上面、第1絶縁層21に設けられたビアの側壁、並びに第1導電層14及び第2導電層19のうち当該ビアの位置で露出した部分を被覆するように、第3シード層22を形成する。第3シード層22は、第1シード層13と同様の方法で形成される。第3シード層22の材料は、第1シード層13と同様である。なお、第3シード層22を形成する前に、第1絶縁層21の上面、第1絶縁層21に設けられたビアの側壁、並びに第1導電層14及び第2導電層19のうち当該ビアの位置で露出した部分を被覆するように、密着層を形成してもよい。
【0134】
次に、第3シード層22上にマスクパターンを形成する。マスクパターンは、例えば、第3シード層22上にレジスト層を設け、第3導電層23が設けられる部分が露出するように位置合わせを行い、フォトリソグラフィー法によって、当該レジスト層へのパターン露光及び現像を行うことにより形成される。形成されたマスクパターン(レジスト層)は、第3導電層23に対応する位置に開口部を有している。
【0135】
次に、第3シード層22に給電し、メッキ液に浸漬することによって、マスクパターン(レジスト層)が形成されていない第3シード層22上に、第3導電層23である金属層(電解めっき層)を形成する。電解めっきの例としては、例えば、電解銅めっきであることが簡便かつ安価であり、電気伝導性が良好であることから好ましい。第3導電層23は、電解銅めっきの他、電解ニッケルめっき、電解クロムめっき、電解パラジウムめっき、電解金めっき、電解ロジウムめっき、電解イリジウムめっき等で形成されてもよい。
【0136】
第3導電層23の厚さ(電解銅めっきの厚さ)は、第1導電層14と同様に、例えば、3μm以上30μm以下であることが好ましく、5μm以上25μm以下であることがより好ましく、10μm以上20μm以下であることが更に好ましい。
【0137】
次に、レジスト層を除去し、第3シード層22の一部を露出させる。レジスト層の除去方法は、レジスト層51の除去方法と同様である。
【0138】
次に、第3シード層22の不要部分(露出部)をエッチングにより除去する。第3シード層22の除去方法は、第1シード層13の除去方法と同様である。
【0139】
次に、第1絶縁層21、第3シード層22、及び第3導電層23を覆うように第2絶縁層24を形成する。第2絶縁層24は、第1絶縁層21と同様の方法で形成される。第2絶縁層24の材料は、第1絶縁層21と同様である。
【0140】
次に、第2絶縁層24の第3導電層23の位置にビアを形成する。
【0141】
本工程により、第3導電層23は、第1導電層14の一部、第2導電層19、及び第1絶縁層21の一部の上方に設けられる。第3導電層23は、第1絶縁層21に設けられたビアに導電材料が埋め込まれたビア部、第2絶縁層24のビアの位置で露出したパッド部、及びこれら以外の配線部を含む。第3導電層23のビア部は、第1導電層14である配線部、又は第2導電層19であるキャパシタC1の上部電極を第3導電層23のパッド部に接続している。換言すると、第3導電層23は、回路形成のための配線及びキャパシタC1の引き出し配線として用いられる。なお、第3導電層23のパッド部は、外部接続端子として形成されてもよい。
【0142】
また、ガラス基板11の裏面にも、第2乃至第15工程を実施し、第1密着層12、第1シード層13、第1導電層14、第2密着層15、誘電体層16、第3密着層17、第2シード層18、第2導電層19、第1絶縁層21、第3シード層22、第3導電層23、及び第2絶縁層24を形成する。これにより、図13に示す配線基板1の構造を得る。なお、図13において、第2密着層15、第3密着層17、及び第2シード層18は、図示を省略している。
【0143】
なお、配線基板1上の回路や積層構造は、公知のセミアディティブ法又はサブトラクティブ法を用いて形成することができる。
【0144】
配線基板1を形成した後に外部接続端子を形成することもできる。外部接続端子に、はんだボールを形成することもできる。
【0145】
配線基板1において、回路や積層構造、外部接続端子、及びはんだボールは、ガラス基板11の片面に設けられてもよいし、ガラス基板11の両面に設けられてもよい。配線基板1には、半導体チップ、及びチップ部品(抵抗、キャパシタ、及びインダクタ等)が搭載されてもよい。
【0146】
<1.3>効果
上述した技術は、例えば、以下に記載する効果を奏する。
【0147】
本実施形態では、エッチングにより第1導電層14の表面の端部に荒れを生じさせた後、エッチングにより第1シード層13の不要部分を除去する。その後、第1絶縁層21によってキャパシタC1を覆う。
【0148】
エッチングにより第1シード層13の不要部分を除去すると、第1導電層14は等方的にサイドエッチングされる。このとき、第1導電層14の表面の端部に荒れが存在するため、誘電体層16の端部の下へのエッチング液の侵入に差が生じる。これにより、第1導電層14のサイドエッチング量Aにばらつきが生じる。このため、第1導電層14の接触部CPの外周OC1は、鋸歯状の形状となる。
【0149】
第1絶縁層21によってキャパシタC1を覆うと、樹脂はサイドエッチング部SPにも入り込む。このとき、接触部CPの外周OCが鋸歯状の形状を有するため、サイドエッチング部SPにおいて、接触部CPの外周OC1の凹凸の凹み部分に樹脂が入り込む。このため、アンカー効果により、樹脂が第1導電層14及び誘電体層16と強固に密着することが可能となる。
【0150】
従って、本実施形態によれば、キャパシタC1と第1絶縁層21との密着性を十分に確保し、キャパシタC1と第1絶縁層21との間の剥離の発生を抑制できる。
【0151】
<2>第2実施形態
本発明の第2実施形態は、配線基板を以下の方法により製造すること以外は、第1実施形態と同様である。
【0152】
<2.1>配線基板の製造方法
図14乃至図17図19、及び図20は、本発明の第2実施形態に係る配線基板の製造方法における一工程を示す断面図である。
【0153】
第2実施形態に係る配線基板の製造方法では、第1実施形態の第6乃至第14工程が第16乃至第26工程に置き換えられる。以下では、第16乃至第26工程について説明する。
【0154】
<2.1.1>第16工程
第1乃至第5工程を実施した後、図14に示すように、第1シード層13及び第1密着層12の不要部分をエッチングにより除去する。除去方法としては、化学エッチング又はドライエッチングを用いることができる。各層で異なる除去方法を採用してもよいし、全ての層で同じ除去方法を採用してもよい。例えば、第1シード層13の無電解めっき層及び銅層、並びに第1密着層12を順次化学エッチングにより除去する方法を用いることができるが、これに限定されない。エッチング液の種類は、除去する金属の種類により適宜選択される。
【0155】
<2.1.2>第17工程
次に、図15に示すように、ガラス基板11の表面、第1密着層12、第1シード層13、及び第1導電層14を覆うように第2密着層15を形成した後、第2密着層15上に誘電体層16を形成する。これにより、ガラス基板11及び第1導電層14の上方に誘電体層16が形成される。第2密着層15及び誘電体層16の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザアブレーション法、CVD法等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0156】
なお、第1導電層14と誘電体層16との密着性が十分である場合には、第2密着層15は設けられなくてもよい。この場合、本工程では、ガラス基板11の表面、第1密着層12、第1シード層13、及び第1導電層14を覆うように誘電体層16を形成する。
【0157】
<2.1.3>第18工程
次に、図16に示すように、誘電体層16上にマスクパターンを形成する。マスクパターンは、レジスト層54を使用し、第1実施形態で説明したマスクパターンと同様の方法で形成することができる。形成されたマスクパターン(レジスト層54)は、誘電体層16の一部を覆っている。レジスト層54は、断面積(ガラス基板11の第1面S1に対して平行な断面の面積)が第1導電層14の第3面S3のサイズよりも小さくなるように形成される。レジスト層54としては、レジスト層51と同様のレジストが使用される。
【0158】
次に、誘電体層16及び第2密着層15の不要部分をエッチングにより除去する。除去方法としては、化学エッチング又はドライエッチングを用いることができる。各層で異なる除去方法を採用してもよいし、全ての層で同じ除去方法を採用してもよい。誘電体層16は、ドライエッチングにより除去することが好ましい。レジスト層54は、断面積が上述のサイズになるように形成されるため、誘電体層16及び第2密着層15は、図17に示すように、例えば、誘電体層16及び第2密着層15の各々の端面が、第1導電層14の端面S10よりも内側に位置するように、エッチングされる。即ち、誘電体層16は、第1導電層14よりも小さいサイズで形成される。
【0159】
<2.1.4>第19工程
次に、図17に示すように、レジスト層54を除去し、誘電体層16を露出させる。レジスト層54の除去方法は、レジスト層51の除去方法と同様である。
【0160】
<2.1.5>第20工程
次に、図17に示すように、第1導電層14の表面の端部(露出部)をエッチングする。これにより、図18に示すように、第1導電層14の表面の端部に荒れが生成される。以下、本工程のエッチング処理を「シード層エッチング前処理」とも表記する。図18は、図17に示す断面図の一部(領域R4)を拡大して示す断面図である。なお、図18において、第1シード層13及び第2密着層15は、図示を省略している。
【0161】
本工程では、エッチングにより、第1導電層14の表面の端部に、表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲の荒れを生成する。例えば、第1導電層14の表面の表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲になるように、後述する第25工程の第2シード層18の除去処理で使用されるエッチング液の濃度、処理時間、及び処理温度を調節してエッチングを行うことができる。
【0162】
<2.1.6>第21工程
次に、図19に示すように、ガラス基板11の表面、第1密着層12、第1シード層13、第1導電層14、第2密着層15、及び誘電体層16を覆うように第3密着層17を形成した後、第3密着層17上に第2シード層18を形成する。これにより、ガラス基板11、第1導電層14、及び誘電体層16の上方に第2シード層18が形成される。第3密着層17及び第2シード層18の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、MBE法、レーザアブレーション法、CVD法等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0163】
なお、誘電体層16と第2シード層18との密着性が十分である場合には、第3密着層17は設けられなくてもよい。この場合、本工程では、ガラス基板11の表面、第1密着層12、第1シード層13、第1導電層14、第2密着層15、及び誘電体層16を覆うように第2シード層18を形成する。
【0164】
<2.1.7>第22工程
次に、図19に示すように、第2シード層18上にマスクパターンを形成する。マスクパターンは、例えば、第2シード層18上にレジスト層55を設け、第2導電層19が設けられる部分が露出するように位置合わせを行い、フォトリソグラフィー法によって、レジスト層55へのパターン露光及び現像を行うことにより形成される。形成されたマスクパターン(レジスト層55)は、第2導電層19に対応する位置に開口部を有している。レジスト層55の開口部は、断面積(ガラス基板11の第1面S1に対して平行な断面の面積)が第1導電層14の第3面S3のサイズよりも小さく、且つ誘電体層16の第5面S5のサイズよりも小さくなるように形成される。レジスト層55としては、レジスト層51と同様のレジストが使用される。
【0165】
<2.1.8>第23工程
次に、図19に示すように、第2シード層18に給電し、メッキ液に浸漬することによって、マスクパターン(レジスト層55)が形成されていない第2シード層18上(第2シード層18の一部の上)に、第2導電層19である金属層(電解めっき層)を形成する。電解めっきの例としては、例えば、電解銅めっきである。第2シード層18上に形成される第2導電層19の厚さは、例えば、3μm以上30μm以下の範囲の厚さとすることができる。
【0166】
<2.1.9>第24工程
次に、図20に示すように、レジスト層55を除去し、第2シード層18の一部を露出させる。レジスト層55の除去方法は、レジスト層51の除去方法と同様である。
【0167】
<2.1.10>第25工程
次に、図20に示すように、第2シード層18及び第2導電層19上にマスクパターンを形成する。マスクパターンは、レジスト層56を使用し、上述したマスクパターンと同様の方法で形成することができる。形成されたマスクパターン(レジスト層56)は、第2シード層18の一部及び第2導電層19を覆っている。レジスト層56は、断面積(ガラス基板11の第1面S1に対して平行な断面の面積)が第1導電層14の第3面S3のサイズよりも小さく、且つ第2導電層19の第7面S7及び第8面S8のサイズよりも大きくなるように形成される。レジスト層56としては、レジスト層51と同様のレジストが使用される。
【0168】
次に、第2シード層18及び第3密着層17の不要部分をエッチングにより除去する。除去方法としては、化学エッチング又はドライエッチングを用いることができる。各層で異なる除去方法を採用してもよいし、全ての層で同じ除去方法を採用してもよい。例えば、第2シード層18の無電解めっき層及び銅層、並びに第3密着層17を順次化学エッチングにより除去する方法を用いることができるが、これに限定されない。エッチング液の種類は、除去する金属の種類により適宜選択される。レジスト層56は、断面積が上述のサイズになるように形成されるため、第2シード層18及び第3密着層17は、図11と同様に、例えば、第2シード層18及び第3密着層17の各々の端面が、第1導電層14の端面S10よりも内側、且つ第2導電層19の端面S11よりも外側に位置するように、エッチングされる。
【0169】
本工程では、第1導電層14のサイドエッチング量Aが第2シード層18の厚さの1.2倍以上40倍以下の範囲になるように、第2シード層18をエッチングする。例えば、第2シード層18の厚さの1.2倍以上40倍以下の範囲で第2シード層18をエッチングすることができる。
【0170】
本工程により、図2に示すように、第1導電層14がサイドエッチングされることによって、サイドエッチング部SPが形成される。第20工程において第1導電層14の表面の端部に荒れが生成されるため、本工程の第2シード層18の除去時の誘電体層16の端部の下へのエッチング液の侵入に差が生じる。このため、図3に示すように、第1導電層14の接触部CPの外周OC1は鋸歯状の形状となる。また、第1導電層14の接触部CPの外周OC1は、例えば、第2シード層18の厚さの1.2倍以上40倍以下の範囲で誘電体層16の端面S9よりも内側に位置する。
【0171】
なお、第2シード層18及び第3密着層17の不要部分の除去は、本工程で実施することに限定されず、例えば、本工程の前に第2導電層19をマスクとして、第2シード層18及び第3密着層17の不要部分が除去されてもよい。
【0172】
<2.1.11>第26工程
次に、真空ラミネーターやロールコーター等を用いて、ガラス基板11の表面、第1密着層12、第1シード層13、第1導電層14、第2密着層15、誘電体層16、第3密着層17、第2シード層18、及び第2導電層19を覆うように第1絶縁層21を形成する。このとき、第2シード層18の除去によって第1導電層14の一部が除去された部分(サイドエッチング部SP)に、第1絶縁層21が埋め込まれる。これにより、図1に示す配線基板1の構造を得る。第1絶縁層21としては、上述した材料、例えば、絶縁樹脂が使用される。第1絶縁層21の厚さは、例えば、0μmよりも大きく100μm以下の範囲の厚さとすることができる。
【0173】
本工程を実施した後、第15工程を実施する。
【0174】
<2.2>効果
第2実施形態は、第1実施形態と同様の効果を奏する。
【実施例0175】
以下に、本発明に関連して行った試験について記載する。
【0176】
<試験>
実施例1~実施例4では、第1実施形態及び第2実施形態に係る配線基板の製造方法を採用して配線基板1をそれぞれ20個製造した。なお、第1実施形態に係る配線基板の製造方法を採用した場合、シード層の厚さTは、第1シード層13の厚さを指す。第2実施形態に係る配線基板の製造方法を採用した場合、シード層の厚さTは、第2シード層18の厚さを指す。
【0177】
実施例1では、シード層のエッチングによる、第1導電層14のサイドエッチング量Aを0.5μmとした。サイドエッチング量A/シード層の厚さTを2とした。シード層エッチング前処理により、第1導電層14の表面の端部に、表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲の荒れを生成した。シード層のエッチングにより、1000nm以上5000nm以下の範囲のLERが形成された。
【0178】
実施例2では、シード層のエッチングによる、第1導電層14のサイドエッチング量Aを1μmとした。サイドエッチング量A/シード層の厚さTを3とした。シード層エッチング前処理により、第1導電層14の表面の端部に、表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲の荒れを生成した。シード層のエッチングにより、1000nm以上5000nm以下の範囲のLERが形成された。
【0179】
実施例3では、シード層のエッチングによる、第1導電層14のサイドエッチング量Aを5μmとした。サイドエッチング量A/シード層の厚さTを17とした。シード層エッチング前処理により、第1導電層14の表面の端部に、表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲の荒れを生成した。シード層のエッチングにより、1000nm以上5000nm以下の範囲のLERが形成された。
【0180】
実施例4では、シード層のエッチングによる、第1導電層14のサイドエッチング量Aを12μmとした。サイドエッチング量A/シード層の厚さTを40とした。シード層エッチング前処理により、第1導電層14の表面の端部に、表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲の荒れを生成した。シード層のエッチングにより、1000nm以上5000nm以下の範囲のLERが形成された。
【0181】
比較例1及び比較例2では、シード層エッチング前処理を実施しないこと以外は第1実施形態と同様の製造方法により配線基板をそれぞれ20個製造した。
【0182】
比較例1では、シード層のエッチングによる、第1導電層14のサイドエッチング量Aを5μmとした。サイドエッチング量A/シード層の厚さTを17とした。第1導電層14の表面の端部に、表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲の荒れを生成しなかった。シード層のエッチングにより、1000nm以上5000nm以下の範囲のLERは形成されなかった。
【0183】
比較例2では、シード層のエッチングによる、第1導電層14のサイドエッチング量Aを12μmとした。サイドエッチング量A/シード層の厚さTを40とした。第1導電層14の表面の端部に、表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲の荒れを生成しなかった。シード層のエッチングにより、1000nm以上5000nm以下の範囲のLERは形成されなかった。
【0184】
比較例3では、シード層エッチング前処理を実施せず、シード層のエッチングによる、第1導電層14のサイドエッチング量Aを0μmとし、サイドエッチング量A/シード層の厚さTを0としたこと以外は第1実施形態と同様の製造方法により配線基板を20個製造した。第1導電層14の表面の端部に、表面粗さが30nm以上70nm以下の範囲の荒れを生成しなかった。シード層のエッチングにより、1000nm以上5000nm以下の範囲のLERは形成されなかった。
【0185】
これらの配線基板について、熱冷衝撃試験を実施した。熱冷衝撃試験では、-40℃から+125℃の範囲で配線基板の雰囲気温度を変動させるサイクルを1000回繰り返した。熱冷衝撃試験の実施後、これらの配線基板について、断面観察により、シード層の膜残りの有無を確認した。また、断面観察により、MIMキャパシタC1の第1導電層14及び誘電体層16と第1絶縁層21との間の剥離の有無を確認し、20個の検体における剥離発生率を算出した。以下の表1に結果を示す。
【0186】
【表1】
【0187】
表1に示すように、比較例1及び比較例2において製造された配線基板では、シード層の膜残りの発生は見られなかった。比較例3において製造された配線基板では、シード層の膜残りの発生が見られた。これに対し、実施例1~実施例4において製造された配線基板では、シード層(第1シード層13又は第2シード層18)の膜残りの発生は見られなかった。
【0188】
比較例1において製造された配線基板では、MIMキャパシタC1の第1導電層14及び誘電体層16と第1絶縁層21との間の剥離の発生が見られた(剥離発生率=8%)。比較例2において製造された配線基板では、MIMキャパシタC1の第1導電層14及び誘電体層16と第1絶縁層21との間の剥離の発生が見られた(剥離発生率=14%)。これに対し、実施例1~実施例4において製造された配線基板では、MIMキャパシタC1の第1導電層14及び誘電体層16と第1絶縁層21との間の剥離の発生は見られなかった(剥離発生率=0%)。また、誘電体層16の四隅の剥離の発生も見られなかった。
【符号の説明】
【0189】
1…配線基板、11…ガラス基板、12…第1密着層、13…第1シード層、14…第1導電層、15…第2密着層、16…誘電体層、17…第3密着層、18…第2シード層、19…第2導電層、21…第1絶縁層、22…第3シード層、23…第3導電層、24…第2絶縁層
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