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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179328
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/56 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H01R13/56
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098078
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 勇之介
(72)【発明者】
【氏名】宮村 哲矢
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FB07
5E021FB13
5E021FC02
5E021FC32
5E021FC40
5E021GA03
(57)【要約】
【課題】ハウジング内において電線の位置決めを可能としたコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ10は、ハウジング11と、端子モジュール12と、電線13と、カバー14と、を備える。電線13は、端子モジュール12における端子12aに接続される。ハウジング11は、電線13と端子モジュール12とを収容する収容部31と、収容部31に連通する開口部32と、を有する。カバー14は、開口部32を覆うようにハウジング11に取付可能に構成されている。収容部31は、カバー14がハウジング11から取り外された状態において、開口部32を通じてハウジング11の外部に露出される。カバー14は、ハウジング11の内部において電線13に接触して当該電線13の位置決めをする電線位置決め部56を有している。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、端子モジュールと、電線と、カバーと、を備えるコネクタであって、
前記電線は、前記端子モジュールにおける端子に接続され、
前記ハウジングは、前記電線と前記端子モジュールとを収容する収容部と、前記収容部に連通する開口部と、を有し、
前記カバーは、前記開口部を覆うように前記ハウジングに取付可能に構成され、
前記収容部は、前記カバーが前記ハウジングから取り外された状態において、前記開口部を通じて前記ハウジングの外部に露出され、
前記カバーは、前記ハウジングの内部において前記電線に接触して当該電線の位置決めをする電線位置決め部を有している、
コネクタ。
【請求項2】
前記ハウジングは、前記電線を前記ハウジングの外部に引き出すための引き出し口を、前記開口部とは別に有している、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記電線は、複数設けられ、
前記電線位置決め部は、前記複数の電線のうちの一部の電線に接触して当該電線の位置決めをするように構成されている、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記複数の電線は、電源線と、複数の通信線と、を含み、
前記複数の通信線は、前記複数の通信線が束ねられて構成された通信線束を構成しており、
前記電線位置決め部は、前記通信線束に接触して当該通信線束の位置決めをするように構成されている、
請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ハウジングは、第1誤組付抑制部を有し、
前記カバーは、第2誤組付抑制部を有し、
前記第2誤組付抑制部は、前記カバーを誤った向きで前記ハウジングに取り付けようとしたときに、前記第1誤組付抑制部に対して前記カバーの組付方向に当接する、
請求項3に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記カバーは、
前記開口部を覆うカバー本体と、
前記カバー本体の幅方向一端部から前記組付方向に沿って延びる第1ロック部と、
前記カバー本体の幅方向他端部から前記組付方向に沿って延びる第2ロック部と、
を有し、
前記ハウジングは、幅方向一方側の側壁である第1側壁と、幅方向他方側の側壁である第2側壁と、を有し、
前記第1ロック部が前記第1側壁に係止されるとともに前記第2ロック部が前記第2側壁に係止されることで、前記カバーが前記ハウジングに固定され、
前記第1誤組付抑制部は、前記第1側壁の外側面から突出するように設けられ、
前記第2誤組付抑制部は、前記第2ロック部に設けられ、
前記第2誤組付抑制部は、前記第2ロック部を誤った向きで前記第1側壁に係止させようとしたときに、前記第1誤組付抑制部に対して前記組付方向に当接する、
請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記第1ロック部は、前記第1ロック部が前記第1側壁に係止される状態において前記第1誤組付抑制部が入り込む凹部を有する、
請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記第1誤組付抑制部における前記組付方向とは反対方向の端部には、前記組付方向に向かうほど前記第1側壁の前記外側面に近づくように傾斜する傾斜面が設けられている、
請求項6に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ハウジングと、端子モジュールと、電線と、カバーと、を備えるコネクタが開示されている。端子モジュールは、ハウジングに収容される。電線は、端子モジュールにおける端子に接続されるとともに、ハウジングの内部から外部に引き出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-168263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなコネクタでは、ハウジング内で電線が動かないように、電線の位置決めを行う必要が生じる場合があった。
本開示の目的は、ハウジング内において電線の位置決めを可能としたコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のコネクタは、ハウジングと、端子モジュールと、電線と、カバーと、を備えるコネクタであって、前記電線は、前記端子モジュールにおける端子に接続され、前記ハウジングは、前記電線と前記端子モジュールとを収容する収容部と、前記収容部に連通する開口部と、を有し、前記カバーは、前記開口部を覆うように前記ハウジングに取付可能に構成され、前記収容部は、前記カバーが前記ハウジングから取り外された状態において、前記開口部を通じて前記ハウジングの外部に露出され、前記カバーは、前記ハウジングの内部において前記電線に接触して当該電線の位置決めをする電線位置決め部を有している。
【発明の効果】
【0006】
本開示のコネクタによれば、ハウジング内において電線の位置決めをすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態におけるコネクタの分解斜視図である。
図2図2は、同形態におけるコネクタの断面図である。
図3図3は、同形態におけるコネクタの平面図である。
図4図4は、図3における4-4線断面図である。
図5図5は、同形態におけるカバーの斜視図である。
図6図6は、同形態におけるカバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示のコネクタは、
[1]ハウジングと、端子モジュールと、電線と、カバーと、を備えるコネクタであって、前記電線は、前記端子モジュールにおける端子に接続され、前記ハウジングは、前記電線と前記端子モジュールとを収容する収容部と、前記収容部に連通する開口部と、を有し、前記カバーは、前記開口部を覆うように前記ハウジングに取付可能に構成され、前記収容部は、前記カバーが前記ハウジングから取り外された状態において、前記開口部を通じて前記ハウジングの外部に露出され、前記カバーは、前記ハウジングの内部において前記電線に接触して当該電線の位置決めをする電線位置決め部を有している。
【0009】
この構成によれば、カバーの電線位置決め部が、ハウジングの内部において電線に接触して当該電線の位置決めをする。したがって、電線位置決め部により、ハウジング内における電線の移動が規制されるため、例えば、電線がコネクタの他の部位と干渉することを抑制可能となる。
【0010】
[2]上記[1]において、前記ハウジングは、前記電線を前記ハウジングの外部に引き出すための引き出し口を、前記開口部とは別に有していてもよい。
この構成によれば、電線の引き出し口とは別の開口部をハウジングが有している構成において、開口部を覆うカバーの電線位置決め部によって電線の位置決めをすることが可能となる。
【0011】
[3]上記[1]または[2]において、前記電線は、複数設けられ、前記電線位置決め部は、前記複数の電線のうちの一部の電線に接触して当該電線の位置決めをするように構成されていてもよい。
【0012】
この構成によれば、複数の電線のうちの一部の電線が電線位置決め部によって位置決めされることで、電線位置決め部によって位置決めされた電線と電線位置決め部によって位置決めされない電線との間の間隔を確保することが可能となる。
【0013】
[4]上記[3]において、前記複数の電線は、電源線と、複数の通信線と、を含み、前記複数の通信線は、前記複数の通信線が束ねられて構成された通信線束を構成しており、前記電線位置決め部は、前記通信線束に接触して当該通信線束の位置決めをするように構成されていてもよい。
【0014】
この構成によれば、ハウジング内において、電線位置決め部によって位置決めされる通信線束と、電線位置決め部によって位置決めされない電源線との間の間隔を確保することが可能となる。これにより、電源線が通信線に与える影響を小さく抑えることが可能となり、その結果、通信線における所望の通信性能を得ることが可能となる。
【0015】
[5]上記[3]または[4]において、前記ハウジングは、第1誤組付抑制部を有し、前記カバーは、第2誤組付抑制部を有し、前記第2誤組付抑制部は、前記カバーを誤った向きで前記ハウジングに取り付けようとしたときに、前記第1誤組付抑制部に対して前記カバーの組付方向に当接する構成であってもよい。
【0016】
この構成によれば、第1誤組付抑制部と第2誤組付抑制部とによって、カバーを誤った向きで組み付けてしまう誤組付を抑制することが可能となる。したがって、カバーの誤組付によって電線位置決め部が本来位置決めの対象とする電線とは異なる電線に干渉することを抑制することが可能となる。
【0017】
[6]上記[5]において、前記カバーは、前記開口部を覆うカバー本体と、前記カバー本体の幅方向一端部から前記組付方向に沿って延びる第1ロック部と、前記カバー本体の幅方向他端部から前記組付方向に沿って延びる第2ロック部と、を有し、前記ハウジングは、幅方向一方側の側壁である第1側壁と、幅方向他方側の側壁である第2側壁と、を有し、前記第1ロック部が前記第1側壁に係止されるとともに前記第2ロック部が前記第2側壁に係止されることで、前記カバーが前記ハウジングに固定され、前記第1誤組付抑制部は、前記第1側壁の外側面から突出するように設けられ、前記第2誤組付抑制部は、前記第2ロック部に設けられ、前記第2誤組付抑制部は、前記第2ロック部を誤った向きで前記第1側壁に係止させようとしたときに、前記第1誤組付抑制部に対して前記組付方向に当接する構成であってもよい。
【0018】
この構成によれば、ハウジングの第1側壁に設けられた第1誤組付抑制部と、カバーの第2ロック部に設けられた第2誤組付抑制部とによって、カバーの誤組付を抑制することが可能となる。
【0019】
[7]上記[6]において、前記第1ロック部は、前記第1ロック部が前記第1側壁に係止される状態において前記第1誤組付抑制部が入り込む凹部を有していてもよい。
この構成によれば、第1ロック部が第1側壁に係止される状態、すなわち、カバーが適正な向きで組み付けられた状態において、ハウジングの第1誤組付抑制部が第1ロック部の凹部に入り込む。これにより、カバーが適正な向きで組み付けられたときに、第1ロック部が第1誤組付抑制部に干渉することを抑制可能となる。
【0020】
[8]上記[6]または[7]において、前記第1誤組付抑制部における前記組付方向とは反対方向の端部には、前記組付方向に向かうほど前記第1側壁の前記外側面に近づくように傾斜する傾斜面が設けられていてもよい。
【0021】
この構成によれば、カバーの誤組付時において、第2ロック部が第1誤組付抑制部を乗り越えてしまうことを、傾斜面によって抑制することが可能となる。したがって、カバーの誤組付をより確実に抑制することが可能となる。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のコネクタの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張または簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。また、本明細書における「垂直」は、厳密に垂直の場合のみでなく、本実施形態における作用ならびに効果を奏する範囲内で概ね垂直の場合も含まれる。
【0023】
図1に示す本実施形態のコネクタ10は、例えば、車両に搭載される図示しない電気機器に接続される。コネクタ10が接続される電気機器としては、車載カメラ等が挙げられる。なお、各図面では、互いに直交する三軸をX軸、Y軸、Z軸として図示している。以下の説明では、X軸に沿った方向を、X軸方向、または、コネクタ10の長さ方向と呼称する場合がある。また、以下の説明では、Y軸に沿った方向を、Y軸方向、または、コネクタ10の幅方向と呼称する場合がある。また、以下の説明では、Z軸に沿った方向を、Z軸方向、または、コネクタ10の高さ方向と呼称する場合がある。
【0024】
コネクタ10は、ハウジング11と、端子モジュール12と、複数の電線13と、カバー14と、を備える。カバー14は、ハウジング11に対して、Z軸に沿った組付方向Dに組み付けられる。
【0025】
(電線13)
複数の電線13は、例えば、一対の電源線21と、複数の通信線22と、を含んでいる。各電源線21は、前記電気機器に電源を供給するための電線である。各通信線22は、前記電気機器に対する信号の入出力を行うための電線である。複数の通信線22は、複数の通信線22が束ねられて構成された通信線束23を形成している。通信線束23は、例えば、複数の通信線22の外周をまとめて覆う外装部材24を備える。外装部材24の内部において、複数の通信線22は、例えば螺旋状に互いに巻き付けられている。なお、外装部材24は、各通信線22を電磁シールドする機能を備えていてもよい。通信線束23の外径、すなわち、外装部材24の外径は、各電源線21の外径よりも大きく設定されている。
【0026】
端子モジュール12は、複数の端子12aを内部に有している(図2参照)。各電源線21および各通信線22は、端子モジュール12における各端子12aに接続されている。コネクタ10が前記電気機器に接続された状態において、端子モジュール12は、当該電気機器が備える図示しない相手端子に接続される。これにより、電気機器と複数の電線13との間の電気的な導通が図られる。
【0027】
(ハウジング11)
図2は、図3における2-2線断面図である。図2に示すように、ハウジング11は、電線13と端子モジュール12とを収容する収容部31と、収容部31に連通する開口部32と、を有する。収容部31は、端子モジュール12を収容するモジュール収容部33と、各電線13を収容する電線収容部34とを含む。モジュール収容部33と電線収容部34とは、ハウジング11内で繋がっている。モジュール収容部33に収容された端子モジュール12は、前記電気機器に対してZ軸方向に接続される。
【0028】
ハウジング11は、各電線13をハウジング11の外部に引き出すための引き出し口35を、開口部32とは別に有している。引き出し口35は、例えばX軸方向に開口している。各電源線21および通信線束23は、引き出し口35からハウジング11の外部に引き出される。コネクタ10は、前記電気機器に対する接続方向と電線13の引き出し方向とが直角をなすいわゆるL字コネクタである。
【0029】
(開口部32)
開口部32は、Z軸方向に開口している。開口部32は、収容部31とハウジング11の外部とを繋ぐように開口する。すなわち、収容部31は、開口部32を通じてハウジング11の外部に露出される。コネクタ10において、前記電気機器に取り付けられる側を下側としたとき、開口部32は、コネクタ10の上面側に設けられている。なお、以下の説明では、コネクタ10の高さ方向(Z軸方向)において、開口部32が開口する側を上側とし、その反対側を下側とする場合がある。開口部32は、Z軸方向から見て、例えば、X軸方向に長い略長方形をなしている(図3参照)。前記カバー14は、開口部32を覆うようにハウジング11に取付可能に構成されている。
【0030】
図3に示すように、ハウジング11は、幅方向(Y軸方向)の一方側の側壁である第1側壁36と、幅方向(Y軸方向)の他方側の側壁である第2側壁37と、を有する。第1側壁36は、第1外側面36aを有している。第2側壁37は、第2外側面37aを有している。第1外側面36aおよび第2外側面37aの各々は、例えばY軸に対して垂直な平面状をなしている。
【0031】
第1側壁36は、カバー14を固定するための第1凸部41を有している。第1凸部41は、第1側壁36から幅方向外側に突出するように形成されている。第1凸部41は、例えば2つ設けられている。第2側壁37は、カバー14を固定するための第2凸部42を有している。第2凸部42は、第1側壁36から幅方向外側に突出するように形成されている。第2凸部42は、例えば2つ設けられている。各第1凸部41と各第2凸部42とは、Z軸方向から見たとき、例えば、コネクタ10の幅方向中心線CLに対して線対称となる位置にそれぞれ設けられている。
【0032】
(第1誤組付抑制部43)
図1および図2に示すように、第1側壁36は、第1誤組付抑制部43を有する。第1誤組付抑制部43は、第1側壁36から幅方向外側に突出するように形成されている。第1誤組付抑制部43は、各第1凸部41におけるX軸方向の両側にそれぞれ設けられている。すなわち、本実施形態のハウジング11には、4つの第1誤組付抑制部43が設けられている。各第1誤組付抑制部43は、例えば、Z軸方向に沿って細長い形状をなしている。また、図4に示すように、第1誤組付抑制部43における組付方向Dとは反対方向の端部(上端部)には、組付方向D(下方)に向かうほど第1外側面36aに近づくように傾斜する傾斜面44が設けられている。
【0033】
(カバー14)
図1図5および図6に示すように、カバー14は、カバー本体50と、第1ロック部51と、第2ロック部52と、を有する。カバー本体50は、開口部32を覆っている。カバー本体50は、例えば、開口部32をシールする役割もなす。第1ロック部51および第2ロック部52の各々は、カバー14をハウジング11に固定するための部位である。
【0034】
(第1ロック部51および第2ロック部52)
第1ロック部51は、カバー本体50の幅方向一端部から組付方向Dに沿って延びている。第2ロック部52は、カバー本体50の幅方向他端部から組付方向Dに沿って延びている。すなわち、第1ロック部51と第2ロック部52とは互いに同方向に延びている。
【0035】
第1ロック部51は、カバー本体50の幅方向一端部に例えば2つ設けられている。各第1ロック部51は、ハウジング11の各第1凸部41に対してZ軸方向に係止可能に構成されている。
【0036】
第2ロック部52は、カバー本体50の幅方向他端部に例えば2つ設けられている。各第2ロック部52は、ハウジング11の各第2凸部42に対してZ軸方向に係止可能に構成されている。各第1ロック部51と各第2ロック部52とは、Z軸方向から見たとき、例えば、コネクタ10の幅方向中心線CLに対して線対称となる位置にそれぞれ設けられている。また、Y軸方向から見て、第1ロック部51の外形と第2ロック部52の外形は、互いに同形状とされている。
【0037】
各第1ロック部51が第1側壁36の各第1凸部41に係止されるとともに各第2ロック部52が第2側壁37の各第2凸部42に係止されることで、カバー14がハウジング11に固定される。以下の説明では、第1ロック部51が第1凸部41に係止され、第2ロック部52が第2凸部42に係止されるカバー14の向きを適正向きと称するとともに、当該適正向きに対して、Z軸方向から見てカバー14を180度反転させた向きを反転向きと称する。
【0038】
図4および図5に示すように、各第1ロック部51は、第1外側面36aと対向する裏面に凹部53を有している。凹部53は、例えば、Z軸に沿って延びるスリット状をなしている。各第1ロック部51において、凹部53は例えば2つ設けられている。第1ロック部51が第1側壁36の第1凸部41に係止される状態において、第1側壁36の各第1誤組付抑制部43は、各凹部53に入り込むようになっている。これにより、カバー14を適正向きでハウジング11に組み付ける際に、第1ロック部51が第1誤組付抑制部43に対して組付方向Dにぶつかることがないようになっている。すなわち、第1誤組付抑制部43が、第1凸部41に対する第1ロック部51の係止の妨げにならないように構成されている。
【0039】
凹部53は第1ロック部51には設けられているが、第2ロック部52には設けられていない。さらに、各第2ロック部52は、第2誤組付抑制部54を有している。各第2ロック部52において、第2誤組付抑制部54は例えば2つ設けられている。各第2誤組付抑制部54は、第2ロック部52から突出するように形成されている。各第2誤組付抑制部54の下端面は、例えば、Z軸方向に対して垂直な平面状をなしている。各第2誤組付抑制部54は、カバー14を誤った向き(反転向き)で組み付けようとしたときに、ハウジング11の各第1誤組付抑制部43に対して組付方向Dに当接するようになっている。
【0040】
(カバー本体50)
カバー本体50は、例えば、カバー本体50の裏面からZ軸方向に延びて開口部32に挿入される挿入部55を有している。挿入部55は、開口部32の周縁に沿った環状の壁部である。
【0041】
(電線位置決め部56)
カバー本体50は、電線位置決め部56を有している。電線位置決め部56は、カバー本体50の裏面からZ軸方向に延びている。電線位置決め部56は、例えば、その少なくとも一部が挿入部55の内側に位置するように設けられている。
【0042】
図3では、Z軸方向から見たカバー14の外形および電線位置決め部56の外形を2点鎖線で示している。同図に示すように、Z軸方向から見た電線位置決め部56の外形は、例えば四角形状をなしている。Z軸方向から見て、ハウジング11において幅方向中心線CLにて区画される2つの領域をそれぞれ第1領域A1および第2領域とする。カバー14が適正向きのとき、電線位置決め部56は、例えば第1領域A1に位置する。このため、カバー14を反転向きとした場合、電線位置決め部56が第2領域A2に位置してしまう。
【0043】
図2および図4に示すように、カバー14が適正向きのとき、電線位置決め部56は、通信線束23に対してZ軸方向に接触可能である。そして、電線位置決め部56がZ軸方向において通信線束23に接触することにより、通信線束23のZ軸方向の位置決めがなされる。
【0044】
本実施形態の作用について説明する。
コネクタ10を組み立てる際には、まず、各電線13が接続された端子モジュール12を、ハウジング11における引き出し口35から収容部31内に挿入する。その後、端子モジュール12を開口部32からハウジング11の外部に一旦引き出した後、端子モジュール12をモジュール収容部33に対してZ軸方向に差し込む。すなわち、開口部32は、端子モジュール12をモジュール収容部33に取り付けるために必要な開口である。
【0045】
端子モジュール12をモジュール収容部33に取り付けた後、開口部32を覆うカバー14をハウジング11に組み付ける。カバー14を適正向きで組み付けたとき、各第1ロック部51がハウジング11の各第1凸部41に係止されるとともに、各第2ロック部52がハウジング11の各第2凸部42に係止される。これにより、カバー14がハウジング11に固定される。
【0046】
ここで、ハウジング11内の通信線束23が適正な位置にない場合、(例えば、通信線束23の位置が図3に示す位置よりも上側にあるとき)、電線位置決め部56の先端部が、通信線束23に接触し、通信線束23を下方に押さえる。したがって、ハウジング11内において、通信線束23が上方に移動しないように移動規制される。これにより、通信線束23と電源線21との間の間隔が確保されるため、電源線21が通信線22に与える影響を小さく抑えることが可能となる。その結果、通信線22における所望の通信性能を得ることが可能となる。
【0047】
カバー14を反転向きで組み付けようとしたとき、各第2誤組付抑制部54は、ハウジング11の各第1誤組付抑制部43に対して組付方向Dに当接する。これにより、カバー14が反転向きで組み付けられる誤組付が抑制されている。その結果、これにより、カバー14の誤組付によって電線位置決め部56が電源線21と干渉することが抑制されている。
【0048】
本実施形態の効果について説明する。
(1)カバー14は、ハウジング11の内部において電線13に接触して当該電線13の位置決めをする電線位置決め部56を有している。この構成によれば、カバー14の電線位置決め部56が、ハウジング11の内部において電線13に接触して当該電線13の位置決めをする。したがって、電線位置決め部56により、ハウジング11内における電線13の移動が規制されるため、例えば、電線13がコネクタ10の他の部位と干渉することを抑制可能となる。
【0049】
(2)ハウジング11は、電線13をハウジング11の外部に引き出すための引き出し口35を、開口部32とは別に有している。この構成によれば、電線13の引き出し口35とは別の開口部32をハウジング11が有している構成において、開口部32を覆うカバー14の電線位置決め部56によって電線13の位置決めをすることが可能となる。
【0050】
(3)電線位置決め部56は、複数の電線13のうちの一部の電線に接触して当該電線13の位置決めをするように構成されている。これにより、電線位置決め部56によって位置決めされた電線13と電線位置決め部56によって位置決めされない電線13との間の間隔を確保することが可能となる。
【0051】
(4)複数の電線13は、電源線21と、複数の通信線22と、を含んでいる。複数の通信線22は、複数の通信線22が束ねられて構成された通信線束23を形成している。電線位置決め部56は、通信線束23に接触して当該通信線束23の位置決めをするように構成されている。この構成によれば、ハウジング11内において、電線位置決め部56によって位置決めされる通信線束23と、電線位置決め部56によって位置決めされない電源線21との間の間隔を確保することが可能となる。これにより、電源線21が通信線22に与える影響を小さく抑えることが可能となり、その結果、通信線22における所望の通信性能を得ることが可能となる。
【0052】
(5)ハウジング11は、第1誤組付抑制部43を有する。カバー14は、第2誤組付抑制部54を有する。第2誤組付抑制部54は、カバー14を誤った向き(反転向き)で誤組付したときに、第1誤組付抑制部43に対してカバー14の組付方向Dに当接する。この構成によれば、第1誤組付抑制部43と第2誤組付抑制部54とによって、カバー14を誤った向き(反転向き)で組み付けてしまう誤組付を抑制することが可能となる。したがって、カバー14の誤組付によって電線位置決め部56が本来位置決めの対象とする電線13とは異なる電線13に干渉することを抑制することが可能となる。
【0053】
(6)カバー14は、開口部32を覆うカバー本体50と、カバー本体50の幅方向一端部から組付方向Dに沿って延びる第1ロック部51と、カバー本体50の幅方向他端部から組付方向Dに沿って延びる第2ロック部52と、を有する。ハウジング11は、幅方向一方側の側壁である第1側壁36と、幅方向他方側の側壁である第2側壁37と、を有する。第1ロック部51が第1側壁36に係止されるとともに第2ロック部52が第2側壁37に係止されることで、カバー14がハウジング11に固定される。第1誤組付抑制部43は、第1側壁36における第1外側面36aから突出するように設けられている。第2誤組付抑制部54は、第2ロック部52に設けられている。第2誤組付抑制部54は、第2ロック部52を第1側壁36に係止させようとカバー14を誤組付したときに、第1誤組付抑制部43に対してカバー14の組付方向Dに当接する。この構成によれば、ハウジング11の第1側壁36に設けられた第1誤組付抑制部43と、カバー14の第2ロック部52に設けられた第2誤組付抑制部54とによって、カバー14の誤組付を抑制することが可能となる。
【0054】
(7)第1ロック部51は、第1ロック部51が第1側壁36に係止される状態において第1誤組付抑制部43が入り込む凹部53を有している。この構成によれば、第1ロック部51が第1側壁36に係止される状態、すなわち、カバー14が適正向きで組み付けられた状態において、ハウジング11の第1誤組付抑制部43が第1ロック部51の凹部53に入り込む。これにより、カバー14が適正向きで組み付けられたときに、第1ロック部51が第1誤組付抑制部43に干渉することを抑制可能となる。
【0055】
(8)第1誤組付抑制部43における組付方向Dとは反対方向の端部には、組付方向Dに向かうほど第1外側面36aに近づくように傾斜する傾斜面44が設けられている。
この構成によれば、カバー14の誤組付時において、第2ロック部52が第1誤組付抑制部43を乗り越えてしまうことを、傾斜面44によって抑制することが可能となる。したがって、カバー14の誤組付をより確実に抑制することが可能となる。
【0056】
(変更例)
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0057】
・第1誤組付抑制部43の上端部に形成した傾斜面44を省略するとともに、第1誤組付抑制部43の上端面をZ軸方向に対して例えば垂直な平面としてもよい。
・第1ロック部51から各凹部53を省略するとともに、第1ロック部51のX軸方向の長さを第1誤組付抑制部43に干渉しない程度に短く構成してもよい。
【0058】
・上記実施形態では、誤組付時に第1誤組付抑制部43に当接する第2誤組付抑制部54を第2ロック部52に設けた。しかしながら、これに限らず、誤組付時に第1誤組付抑制部43に当接する第2誤組付抑制部を、カバー14における第2ロック部52とは別の部位に設けてもよい。
【0059】
・第1ロック部51と第1側壁36との間の係止構造における凹凸関係を、上記実施形態とは反対にしてもよい。すなわち、第1ロック部51に係止凸部を設けるとともに、第1側壁36に当該係止凸部が係止される係止凹部を設ける構成としてもよい。同様に、第2ロック部52と第2側壁37との間の係止構造における凹凸関係を、上記実施形態とは反対にしてもよい。すなわち、第2ロック部52に係止凸部を設けるとともに、第2側壁37に当該係止凸部が係止される係止凹部を設ける構成としてもよい。
【0060】
・上記実施形態の電線位置決め部56は、通信線束23に当接して当該通信線束23の位置決めを行うが、これ以外に例えば、電線位置決め部56は、電源線21に当接して当該電源線21の位置決めを行う構成であってもよい。また、電線位置決め部56は、ハウジング11内にある複数の電線13の全てに当接して当該複数の電線13の位置決めを行う構成であってもよい。
【0061】
・コネクタ10が接続される電気機器は、車載カメラ以外の車載機器であってもよい。
・今回開示された実施形態及び変更例はすべての点で例示であって、本発明はこれらの例示に限定されるものではない。すなわち、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
10 コネクタ
11 ハウジング
12 端子モジュール
12a 端子
13 電線
14 カバー
21 電源線
22 通信線
23 通信線束
24 外装部材
31 収容部
32 開口部
33 モジュール収容部
34 電線収容部
35 引き出し口
36 第1側壁
36a 第1外側面(外側面)
37 第2側壁
37a 第2外側面
41 第1凸部
42 第2凸部
43 第1誤組付抑制部
44 傾斜面
50 カバー本体
51 第1ロック部
52 第2ロック部
53 凹部
54 第2誤組付抑制部
55 挿入部
56 電線位置決め部
A1 第1領域
A2 第2領域
CL 幅方向中心線
D カバーの組付方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6