(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179334
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ウェーハエッジ部の外観検査機構
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241219BHJP
H01L 21/68 20060101ALI20241219BHJP
G01N 21/956 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L21/66 J
H01L21/68 F
G01N21/956 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098092
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】517387535
【氏名又は名称】株式会社オプティマ
(74)【代理人】
【識別番号】100140567
【弁理士】
【氏名又は名称】猪狩 充
(72)【発明者】
【氏名】安道 俊次
【テーマコード(参考)】
2G051
4M106
5F131
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB01
2G051AB02
2G051BA01
2G051BA20
2G051BB01
2G051CA06
4M106AA01
4M106BA04
4M106CA25
4M106CA38
4M106DB04
4M106DB07
4M106DB18
5F131AA02
5F131CA01
5F131CA53
5F131EA02
5F131KA14
5F131KB05
(57)【要約】
【課題】 本発明は、円盤形状をした検査対象物のエッジ部を外観検査するための機構であって、顕微鏡の撮像レンズの倍率が2~10倍等と低く、観察する範囲(FOV)が広い場合であっても、エッジ部端面について、その頂点周辺だけでなく、ウェーハの表面や裏面に近い部分をも好適に外観検査することができる、ウェーハエッジ部の外観検査機構を提供することを目的とする。
【解決手段】 ウェーハエッジ部の外観検査機構1は、顕微鏡2、及び、照光体3を有している。顕微鏡2は、撮像レンズ4が、ウェーハWの中心を向くようにして、ウェーハWの盤面と平行に配置されている。矢印Pは、撮像レンズ4から出た平行光を示している。複数の矢印Dは、照光手段から出た拡散光を示している。照光体3は、アクリル等の透過性の高い材料によって構成され、その表面が鏡面となっていることが好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕微鏡を使用してウェーハのエッジ部を外観検査するための機構であって、
ウェーハの表面から裏面に至るエッジ部の全端面に向かって光を照らすように構成された照光手段を有しており、
顕微鏡は、撮像レンズと、撮像レンズの外側に向かって、撮像レンズの光軸と平行に光を発する発光手段を備えており、
前記顕微鏡は、撮像レンズが、ウェーハの中心を向くようにして、ウェーハの盤面と平行に配置されており、かつ、
検査対象ウェーハのエッジ部付近において照光体が配置されていることを特徴とする、ウェーハエッジ部の外観検査機構。
【請求項2】
顕微鏡を使用してウェーハのエッジ部を外観検査するための機構であって、
ウェーハのエッジ部の全端面のうち、表面側半分又は裏面側半分を光で照らす照光手段を有しており、
顕微鏡は、撮像レンズと、撮像レンズの外側に向かって、撮像レンズの光軸と平行に光を発する発光手段を備えており、
前記顕微鏡は、撮像レンズが、前記照光手段によって照らされた面側のウェーハのエッジ部を向くようにして、ウェーハの盤面と垂直に配置されており、かつ、
検査対象ウェーハのエッジ部付近において照光体が配置されていることを特徴とする、ウェーハエッジ部の外観検査機構。
【請求項3】
前記照光体が、ウェーハの表面側と裏面側とにおいて、ウェーハのエッジ部を間に挟むように配置されていることを特徴とする、請求項1に記載のウェーハエッジ部の外観検査機構。
【請求項4】
前記照光体が、ウェーハの端面側において配置されていることを特徴とする、請求項2に記載のウェーハエッジ部の外観検査機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の円盤形状をした検査対象物のエッジ部を外観検査するための機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェーハ等のエッジ部において、キズ、クラック、パーティクル等の凹凸が存在すると、一連の半導体製造工程において悪影響を与えるおそれが有ることから、従来より、半導体製造工程の途中において複数回に渡ってエッジ部を検査し、当該検査によって得た情報から、不具合の有る半導体ウェーハ等を選別する作業が行われている。
【0003】
そして、このようなエッジ部を検査する方法として、従来より、様々な方法が提案・実施されており、その一つとして、顕微鏡によって、エッジ部の外観を観察し、検査する方法が広く知られている。
【0004】
このような外観検査は、ウェーハエッジ部に同軸もしくはリング型照明等を照射し、その反射光を顕微鏡で観察することによって実施される。なお、この場合、顕微鏡の撮像レンズのNA(開口数)が大きいと、エッジ部端面の頂点周辺における狭い範囲からの反射光しか観察できず、ウェーハの表面や裏面に近い部分については、十分な反射光を得られず、適切な観察ができないという問題が生じてしまっていた。
【0005】
本願発明者は、このような問題点を解消するため鋭意検討を重ねてきた。その結果、ウェーハエッジ部の外観検査機構において、撮像レンズ、及び、複数の照光体の配置等を工夫することによって、以上のような問題を解決できるという知見を得、これに基づき、本発明を創作するに至った。
【0006】
なお、本発明を出願するにあたって、本願出願人及び本願発明者において過去の特許文献等を調査したところ、本発明の属する技術分野において、下記の文献を発見することができたが、本発明に係る技術的思想等を詳述した特許文献については発見することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003-139523号公報
【特許文献2】特開2009-36609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、円盤形状をした検査対象物のエッジ部を外観検査するための機構であって、顕微鏡の撮像レンズの倍率が2~10倍等と低く、観察する範囲(FOV)が広い場合であっても、エッジ部端面について、その頂点周辺だけでなく、ウェーハの表面や裏面に近い部分をも好適に外観検査することができる、ウェーハエッジ部の外観検査機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そのための手段として、本発明に係るウェーハエッジ部の外観検査機構は、顕微鏡を使用してウェーハのエッジ部を外観検査するための機構であって、ウェーハの表面から裏面に至るエッジ部の全端面に向かって光を照らすように構成された照光手段を有しており、顕微鏡は、撮像レンズと、撮像レンズの外側に向かって、撮像レンズの光軸と平行に光を発する発光手段を備えており、前記顕微鏡は、撮像レンズが、ウェーハの中心を向くようにして、ウェーハの盤面と平行に配置されており、かつ、検査対象ウェーハのエッジ部付近において照光体が配置されていることを特徴としている。
【0010】
なお、この場合において、本発明に係るウェーハエッジ部の外観検査機構は、前記照光体が、ウェーハの表面側と裏面側とにおいて、ウェーハのエッジ部を間に挟むように配置されていることも特徴としている。
【0011】
また、本発明に係るウェーハエッジ部の外観検査機構は、顕微鏡を使用してウェーハのエッジ部を外観検査するための機構であって、ウェーハのエッジ部の全端面のうち、表面側半分又は裏面側半分を光で照らす照光手段を有しており、顕微鏡は、撮像レンズと、撮像レンズの外側に向かって、撮像レンズの光軸と平行に光を発する発光手段を備えており、前記顕微鏡は、撮像レンズが、前記照光手段によって照らされた面側のウェーハのエッジ部を向くようにして、ウェーハの盤面と垂直に配置されており、かつ、検査対象ウェーハのエッジ部付近において照光体が配置されていることも特徴としている。
【0012】
なお、この場合において、本発明に係るウェーハエッジ部の外観検査機構は、前記照光体が、ウェーハの端面側において配置されていることも特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、顕微鏡の撮像レンズの倍率が2~10倍等と低く、観察する範囲(FOV)が広い場合であっても、エッジ部端面について、その頂点周辺だけでなく、ウェーハの表面や裏面に近い部分をも好適に外観検査することができる、ウェーハエッジ部の外観検査機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第一の実施形態に係るウェーハエッジ部の外観検査機構1の概略図
【
図2】第二の実施形態に係るウェーハエッジ部の外観検査機構1の概略図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係るウェーハエッジ部の外観検査機構を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係るウェーハエッジ部の外観検査機構1の概略図であって、ウェーハWを横方向から見た様子を示している。
【0016】
ウェーハエッジ部の外観検査機構1は、顕微鏡2、及び、照光体3を有している。顕微鏡2は、撮像レンズ4が、ウェーハWの中心を向くようにして、ウェーハWの盤面と平行に配置されている。そして、顕微鏡2は、撮像レンズ4の外側に向かって、撮像レンズ4の光軸と平行に光を発する公知技術を適用した発光手段(図示せず)を備えている。
図1における矢印Pは、その撮像レンズ4から出た平行光を示している。
【0017】
また、外観検査機構1は、ウェーハWの表面から裏面に至るエッジ部の全端面に向かって拡散光を照らすように構成された照光手段(図示せず)も備えている。なお、当該照光手段も公知技術を適用したものである。
図1における複数の矢印Dは、その照光手段から出た拡散光を示している。
【0018】
照光体3,3は、拡散光を出す光源を内部に有しており、ウェーハWのエッジ部付近に配置されている。そして、その配置は、図示されているように、ウェーハWの表面側(図の上側)と裏面側(図の下側)とにおいて、ウェーハWのエッジ部を間に挟むようになっていることが好ましい。
【0019】
本実施形態に係るウェーハエッジ部の外観検査機構1は、以上のような構成をしているので、ウェーハの表面から裏面に至るエッジ部の全端面が、発光手段からの平行光、及び、照光手段からの拡散光に加えて、照光体3からの直射光及び反射光によっても隈無く照らされることになる。そのため、エッジ部端面について、その頂点周辺だけでなく、ウェーハの表面や裏面に近い部分をも好適に外観検査することができる。
【0020】
次に、本発明に係るウェーハエッジ部の外観検査機構を実施するための第二の実施形態について説明する。
図2は、第二の実施形態に係るウェーハエッジ部の外観検査機構1の概略図であって、
図1と同様に、ウェーハWを横方向から見た様子を示している。
【0021】
本実施形態において、顕微鏡2は、撮像レンズ4が、ウェーハWのエッジ部を向くようにして、ウェーハWの表面側(図の上側)において、ウェーハWの盤面と垂直に配置されている。そして、本実施形態においても、顕微鏡2は、撮像レンズ4の外側に向かって、撮像レンズ4の光軸と平行に光を発する公知技術を適用した発光手段(図示せず)を備えている。
図2における矢印Pは、その撮像レンズ4から出た平行光を示している。
【0022】
また、外観検査機構1は、ウェーハWのエッジ部の全端面のうち、表面側半分(図の上側半分)を拡散光で照らすように構成された照光手段(図示せず)も備えている。なお、当該照光手段も公知技術を適用したものである。
図2における複数の矢印Dは、その照光手段から出た拡散光を示している。
【0023】
図2における照光体3も、拡散光を出す光源を内部に有しており、図示されているように、ウェーハWのエッジ部付近の端面側(図の右側)において配置されている。
【0024】
本実施形態に係るウェーハエッジ部の外観検査機構1は、以上のような構成をしているので、エッジ部の上側半分が、発光手段からの平行光、及び、照光手段からの拡散光に加えて、照光体3からの直射光及び反射光によっても隈無く照らされることになる。そのため、エッジ部の上側半分を好適に外観検査することができる。
【0025】
なお、本実施形態においては、顕微鏡2を表面側に配置し、表面側を照光手段によって照らすようにしているが、顕微鏡2を裏面側に配置し、裏面側を照光手段によって照らすようにしても構わない。このような構成とすることで、エッジ部の下側半分を好適に外観検査することも可能である。
【0026】
以上に説明した実施形態において、照光体3は、光量を増やすため、アクリル等の透過性の高い材料によって構成されることが好ましい。また、照光体3の表面は、照光体3自身の反射板として機能も高まるように、鏡面となっていることが好ましい。更に、照光体3からウェーハWまでの距離は、好適に外観検査をする上で、0.5-2.0mmの範囲とすることが好ましく、1.0mmとすることが最も好ましい。
【0027】
また、本発明を実施する際は、最初(第一)の実施形態に係る機構のみ採用したり、第二の実施形態に係る機構のみを採用したり、又は、これら二つの実施形態に係る機構を同時に採用したりすることのいずれも可能である。また、第二の実施形態に係る機構について、顕微鏡を二つ用意し、表面側及び裏面側のそれぞれに配置することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によれば、顕微鏡の撮像レンズの倍率が2~10倍等と低く、観察する範囲(FOV)が広い場合であっても、エッジ部端面について、その頂点周辺だけでなく、ウェーハの表面や裏面に近い部分をも好適に外観検査することができる、ウェーハエッジ部の外観検査機構を提供することができる。