(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179336
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】エア緩衝材およびエア緩衝材の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/05 20060101AFI20241219BHJP
B65D 81/03 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B65D81/05 400
B65D81/03 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098094
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】599041411
【氏名又は名称】株式会社アスカ
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森田 康裕
(72)【発明者】
【氏名】柘植 毅
【テーマコード(参考)】
3E066
【Fターム(参考)】
3E066AA52
3E066CA01
3E066HA01
3E066JA21
3E066KA10
3E066MA01
(57)【要約】
【課題】従来技術と比較して折り曲げを容易に行うことができるようにすることを課題とする。
【解決手段】シート部材が袋状に形成されたエア緩衝材であって、シート部材に形成されたエア室であって、幅が小さい連通部と、当該連通部に連通し幅が大きいバブル部とが繰り返し連続するように構成されたエア室と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート部材が袋状に形成されたエア緩衝材であって、
前記シート部材に形成されたエア室であって、幅が小さい連通部と、当該連通部に連通し幅が大きいバブル部とが繰り返し連続するように構成されたエア室と、
を備えたエア緩衝材。
【請求項2】
シート部材が袋状に形成されたエア緩衝材であって、
前記シート部材に形成された折返し部と、
前記シート部材の折り返された各折返し部材の左右周縁部が封かんされた左右周縁封かん部と、
前記折返し部を跨ぐように前記シート部材の長手方向に沿って形成されたエア室であって、左右幅が小さい連通部と、当該連通部に連通し左右幅が大きいバブル部とが長手方向に繰り返し連続するように構成されたエア室と、
前記エア室に連通し当該エア室内にエアを供給するためのエア供給口であって、エア供給後に封かんされるエア供給口封かん部と、
を備えたエア緩衝材。
【請求項3】
前記エア室は、前記シート部材の幅方向に沿って複数配列され、
複数列のエア室はそれぞれ、前記連通部と前記バブル部とが長手方向に繰り返し連続するように構成されていると共に、
左右で隣り合うエア室のバブル部同士が長手方向の同一位置で隣り合わないように千鳥状に配列されている、
請求項2に記載のエア緩衝材。
【請求項4】
前記エア供給口封かん部は、前記シート部材の長手方向の一端部側に形成され、熱溶着によって封かんされている、
請求項2に記載のエア緩衝材。
【請求項5】
前記左右周縁封かん部は、熱溶着によって封かんされている、
請求項2に記載のエア緩衝材。
【請求項6】
ポリエチレンで構成されている、
請求項2に記載のエア緩衝材。
【請求項7】
エア緩衝材の底部は、縦断面でみて折返し線に沿って折り返したV字形状に形成されている、
請求項2に記載のエア緩衝材。
【請求項8】
袋入口を閉じるためのヘッダ部が、シート部材の袋入口側端部に形成され、
前記ヘッダ部は、折り返されたシート部材に重ねて熱溶着されている、
請求項2に記載のエア緩衝材。
【請求項9】
左右幅が小さい連通部と、当該連通部に連通し左右幅が大きいバブル部とが長手方向に繰り返し連続するエア室をシート部材に形成するエア室形成工程と、
シート部材を折り返す折返し工程と、
前記シート部材の折り返された各折返し部材の左右周縁部を封かんする左右周縁封かん工程と、
前記折返し部を跨ぐように前記シート部材の長手方向に沿って形成されたエア室内にエア供給口からエアを供給するエア供給工程と、
エア供給後に前記エア供給口を封かんするエア供給口封かん工程と、
を含むエア緩衝材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エア緩衝材およびエア緩衝材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、帯状のフィルムを幅方向に二つ折りにして重ね合わせ、幅方向に熱溶着して各空気室と境界部とを仕切っている仕切り部を形成して三方が閉じた袋状部分を形成し、搬送されながら開口部から空気が供給され、開口部が熱溶着されてシール部によりシールされたエア緩衝材の態様が記載されている。
【0003】
特許文献2には、中折れ線に沿って気室シートをU字に空気袋として二つ折りし、側辺熱溶着線を介して空気袋の両側辺を接合して袋体として使用する態様が記載されている。
【0004】
特許文献3には、長手方向に複数のエア充てん室を有するとともに、長手方向と直交する方向の一方の端部にエア供給路を有した偏平なチューブ材を用いて、エア供給路を水平に延びる棒状のノズルに被せて、チューブ材を搬送手段で搬送しながらエア供給とシールを行い、エア充てん室を封止するとともに、チューブ材のエア供給路側の端を切り開いて製造されたエア緩衝材を送り出すエア緩衝材製造装置の態様が記載されている。
【0005】
特許文献4には、長手方向に沿って空気室が並設された長尺な緩衝材用シートがロール状に巻き取られた巻取体から、緩衝材シートを巻き出しながら空気室内に空気を封入してエア緩衝材を製造するエア緩衝材製造装置の態様が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-190699号公報
【特許文献2】特開2014-144800号公報
【特許文献3】特開2021-30509号公報
【特許文献4】特開2017-100411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来技術と比較して折り曲げを容易に行うことができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様は、シート部材が袋状に形成されたエア緩衝材であって、前記シート部材に形成されたエア室であって、幅が小さい連通部と、当該連通部に連通し幅が大きいバブル部とが繰り返し連続するように構成されたエア室と、を備えたエア緩衝材である。
【0009】
第2の態様は、シート部材が袋状に形成されたエア緩衝材であって、前記シート部材に形成された折返し部と、前記シート部材の折り返された各折返し部材の左右周縁部が封かんされた左右周縁封かん部と、前記折返し部を跨ぐように前記シート部材の長手方向に沿って形成されたエア室であって、左右幅が小さい連通部と、当該連通部に連通し左右幅が大きいバブル部とが長手方向に繰り返し連続するように構成されたエア室と、前記エア室に連通し当該エア室内にエアを供給するためのエア供給口であって、エア供給後に封かんされるエア供給口封かん部と、を備えたエア緩衝材である。
【0010】
第3の態様は、第2の態様において、前記エア室は、前記シート部材の幅方向に沿って複数配列され、複数列のエア室はそれぞれ、前記連通部と前記バブル部とが長手方向に繰り返し連続するように構成されていると共に、左右で隣り合うエア室のバブル部同士が長手方向の同一位置で隣り合わないように千鳥状に配列されている、エア緩衝材である。
【0011】
第4の態様は、第2の態様において、前記エア供給口封かん部は、前記シート部材の長手方向の一端部側に形成され、熱溶着によって封かんされている、エア緩衝材である。
【0012】
第5の態様は、第2の態様において、前記左右周縁封かん部は、熱溶着によって封かんされている、エア緩衝材である。
【0013】
第6の態様は、第2の態様において、ポリエチレンで構成されている、エア緩衝材である。
【0014】
第7の態様は、第2の態様において、エア緩衝材の底部は、縦断面でみて折返し線に沿って折り返したV字形状に形成されている、エア緩衝材である。
【0015】
第8の態様は、第2の態様において、袋入口を閉じるためのヘッダ部が、シート部材の袋入口側端部に形成され、前記ヘッダ部は、折り返されたシート部材に重ねて熱溶着されている、エア緩衝材である。
【0016】
第9の態様は、左右幅が小さい連通部と、当該連通部に連通し左右幅が大きいバブル部とが長手方向に繰り返し連続するエア室をシート部材に形成するエア室形成工程と、シート部材を折り返す折返し工程と、前記シート部材の折り返された各折返し部材の左右周縁部を封かんする左右周縁封かん工程と、前記折返し部を跨ぐように前記シート部材の長手方向に沿って形成されたエア室内にエア供給口からエアを供給するエア供給工程と、エア供給後に前記エア供給口を封かんするエア供給口封かん工程と、を含むエア緩衝材の製造方法である。
【発明の効果】
【0017】
第1の態様から第9の形態によれば、従来技術と比較して折り曲げを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態のエア緩衝材を示す平面図である。
【
図2】
図2は、
図1のエア緩衝材を展開状態で示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1のA-A断面図であり、エア緩衝材の底部を縦断面で示す図である。
【
図4】
図4は、エア室の部分を拡大して示す図である。
【
図5A】
図5Aは、ヘッダ部が折り曲げられることで袋入口が閉じられたエア緩衝材の平面図である。
【
図6】
図6は実施形態のエア緩衝材の製造方法の手順を示すフローチャートである。
【
図7A】
図7Aは、エア緩衝材を製造する製造装置の構成例を示す図で、エア室形成工程を示す図である。
【
図7B】
図7Bは、エア緩衝材を製造する製造装置の構成例を示す図で、折返し工程を示す図である。
【
図7C】
図7Cは、エア緩衝材を製造する製造装置の構成例を示す図で、左右周縁封かん工程を示す図である。
【
図8A】
図8Aは、エア供給工程を実施するエア供給機を示す図である。
【
図8B】
図8Bは、エア供給口封かん工程を実施するエア供給口溶着機を示す図である。
【
図9】
図9(A)、(B)は、実施形態のエア緩衝材と比較例のエア緩衝材を対比して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照してエア緩衝材およびエア緩衝材の製造方法の実施形態について説明する。
【0020】
【0021】
図2は、
図1のエア緩衝材を展開状態で示す平面図である。
【0022】
(エア緩衝材の構成)
【0023】
図1に示すように、エア緩衝材1は、シート部材100を袋状に形成したものである。エア緩衝材1の材料は、例えばポリエチレン(PE)で構成されている。エア緩衝材1は、
図2に示す展開状態のシート部材100を折り返すことで形成される。
【0024】
図1において図面下側を緩衝材1の底部2側とし、図面上側を緩衝材1の袋入口3側とする。
図1、
図2において図面上側と図面下側を結ぶ方向を長手方向Yとする。
図1、
図2において図面左側と図面右側を結ぶ方向、つまり長手方向Yに直交する方向を幅方向Xとする。
【0025】
また図面左側を緩衝材1の左L側とし図面右側を緩衝材1の右R側とする。
【0026】
また
図1において、シート部材100の折り返された各部分を折返しシート部材100A、100Bとする。
図1において図面の看者側をオモテ面側折返しシート部材100Aとし、図面の奥側を裏面側折返しシート部材100Bとする。
【0027】
また
図1、
図2において図面左向を製造ラインにおけるシート部材100の連続体100Cの流れ方向MDとする。流れ方向MD(図面左向)は緩衝材1の幅方向Xに一致する。シート部材100の連続体100Cは、後述するように個々のエア緩衝材1に対応する幅WDに切断される。
【0028】
シート部材100の底部2は、折返し部110として形成されている。シート部材100を長手方向Yの略中心の折返し線111に沿って折り返すことで折返し部110としての底部2が形成される。
【0029】
図3は、
図1のA-A断面図であり、エア緩衝材1の底部2を縦断面で示す。エア緩衝材1の底部2は、折返し線111に沿って折り返したV字形状に形成されている。
【0030】
図1、
図2に戻り、シート部材100の折り返された各折返しシート部材100A、100Bの左右周縁部100L、100Rが封かんされてエア緩衝材1の左右周縁封かん部1L、1Rが形成される。左右周縁封かん部1L、1Rは、例えば熱溶着(ヒートシール)によって封かんされている。なおシート部材100の連続体100Cは、切断線CLによって切断され、個々のエア緩衝材1に分離される。
【0031】
シート部材100には、折返し部110を跨ぐようにシート部材100の長手方向Yに沿ってエア室120が形成されている。なお、
図1、
図2においてシート部材100の連続体100Cの内、左側のエア緩衝材1に対応する部分のみにエア室120の形状を図示している。中央、右側のエア緩衝材1に対応する部分についても同様にエア室120が形成されているが同様の形状、配列であるため重複する図示は省略している。
【0032】
図4は、エア緩衝材1のうちエア室120の部分を拡大して示す。
【0033】
エア室120は、シート部材100の幅方向Xに沿って複数配列されている。
【0034】
複数列のエア室120はそれぞれ、左右幅121Dが小さい連通部121と、当該連通部121に連通し左右幅122Dが大きいバブル部122とが長手方向Yに繰り返し連続するように構成されている。
【0035】
複数列のエア室120はそれぞれ、左右で隣り合うエア室120のバブル部122同士が長手方向Yの同一位置Y0で隣り合わないように千鳥状に配列されている。
【0036】
図2に戻り、シート部材100は上側シート部材100S1と下側シート部材100S2からなる袋状に形成されている。複数列のエア室120それぞれは、エア室120の輪郭線に沿って熱溶着されている。複数列のエア室120それぞれの長手方向Yの一端には、エア供給口123が開口している。このためシート部材100には、外方とエア供給口123を連通させる袋閉じ部100Eが形成される。
【0037】
図8Aで後述するようにエア供給機330のエアノズル331が袋閉じ部100Eに挿入され、エアノズル331からエアARが吐出される。これによりエア供給口123を介してシート部材100のエア室120内にエアARが供給される。エア供給口123は、エア供給口123を介してエア室120内にエアARが供給された後に、封かんされる。
【0038】
図1に示すように、エア供給口123は、例えば熱溶着線123HLに沿って熱溶着によって封かんされている。エア供給口123が封かんされることでエア緩衝材1にはエア供給口封かん部4が形成される。
【0039】
袋入口3を閉じるためのヘッダ部5が、シート部材100の袋入口側端部に形成されている。例えば裏面側折返しシート部材100Bがオモテ面側折返しシート部材100Aよりも長くなるように折り返すことでヘッダ部5を形成することができる。
【0040】
図5Aは、ヘッダ部5が折り曲げられることで袋入口3が閉じられたエア緩衝材1の平面図で、
図5Bは、
図5AのB-B断面図で、封かんされた袋入口3を縦断面で示す。
【0041】
例えばヘッダ部5を折り曲げて、オモテ面側折返しシート部材100Aに重ね、ヘッダ部5とオモテ面側折返しシート部材100Aと裏面側折返しシート部材100Bを熱溶着線3HLに沿って熱溶着を施すことで袋入口3が閉じられる。例えば袋入口3から物品200を挿入してから袋入口3が閉じられる。これによりエア緩衝材1の内部に物品200を収容、密閉することができる。
【0042】
エア緩衝材1の材料としては、ポリエチレン以外に、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性プラスチックで成形されたフィルム、シート(例えばポリプロピレン製不織布やポリエチレン製フィルム)といった溶融、加圧して冷却することにより相互に接着することが可能な材質で構成することができる。
【0043】
またエア緩衝材1各部の封かん方法としては、熱溶着(ヒートシール)以外に、例えば超音波による溶着(超音波シール)、高周波による溶着(高周波シール)、ホットメルト接着剤による接着、ホットメルト以外の接着剤による接着を用いてもよい。
【0044】
(エア緩衝材1の製造方法)
【0045】
図6は実施形態のエア緩衝材1の製造方法の手順を示すフローチャートである。また
図7A、
図7B、
図7Cは、エア緩衝材1を製造する製造装置300の構成例を示す図で、エア室形成工程と折返し工程と左右周縁封かん工程を実施する製造装置300を示している。
【0046】
図8Aは、エア供給工程を実施するエア供給機330を示し、
図8Bは、エア供給口封かん工程を実施するエア供給口溶着機340を示している。
【0047】
(エア室形成工程)
【0048】
図7Aに示すように、製造ラインには、袋状に形成されたシート部材100の連続体100Cが流れ方向MDに供給されている。シート部材100の連続体100Cは、上側シート部材100S1と下側シート部材100S2で構成されている。形状溶着機310によって上側シート部材100S1と下側シート部材100S2はエア室120の輪郭線に沿って溶着される。これにより左右幅121Dが小さい連通部121と、当該連通部121に連通し左右幅122Dが大きいバブル部122とが長手方向Yに繰り返し連続するエア室120がシート部材100に形成される(ステップS1)。
【0049】
(折返し工程)
【0050】
つぎに
図7Bに示すように、図示しない折曲げ機によってシート部材100が折返し線111に沿って折り返される(ステップS2)。
【0051】
(左右周縁封かん工程)
【0052】
つぎに
図7Cに示すように、幅溶着機320によって、シート部材100の折り返されたオモテ面側折返しシート部材100Aと裏面側折返しシート部材100Bの左右周縁部100L、100Rが熱溶着される(ステップS3)。
【0053】
(エア供給工程)
【0054】
つぎに
図8Aに示すように、シート部材100の袋閉じ部100Eにエア供給機330のエアノズル331が挿入され、エアノズル331からエアARが吐出される。これによりエア供給口123を介してシート部材100のエア室120内にエアARが供給される。なおエア供給後に袋閉じ部100Eが切断刃335によって切り開かれる(ステップS4)。
【0055】
(エア供給口封かん工程)
【0056】
つぎに
図8Bに示すように、エア供給後にエア供給口溶着機340によってエア供給口123が熱溶着線123HLに沿って熱溶着される(ステップS5)。
【0057】
シート部材100の連続体100Cは、切断線CLによって切断され、個々のエア緩衝材1が取得される。なお切断線CLにミシン目を形成して容易に個々のエア緩衝材1に分離できるようにしてもよい。
【0058】
なお、
図5A、
図5Bに示すように、エア緩衝材1の内部に物品200を収容してから、ヘッダ部5を熱溶着して物品200をエア緩衝材1内に密閉してもよい。
【0059】
(実施形態の効果)
【0060】
(折曲げなどの変形が容易)
【0061】
実施形態によれば、比較例と比較して折り曲げなどの変形を容易に行うことができる。
【0062】
実施形態のエア緩衝材1のエア室120を
図9(A)に示し、比較例のエア緩衝材1のエア室190を
図9(B)に対比して示す。
図9(B)に示すシート部材100´には、左右幅122Dが長手方向Yに亘って同一幅であるエア室190が形成されている。
【0063】
本実施形態によれば
図3に示したようにシート部材100を折り曲げた際に、比較例のシート部材100´と比較して折曲げを容易に行うことができる。折曲げなどの変形が容易であるため、エア緩衝材1の底部2をV字形状に形成することができる。このため収容する物品200の厚さに応じてエア緩衝材1の底面2の厚さTNを変化させることができる。
【0064】
また
図5Bに示したように物品200の形態に合わせてエア緩衝材1の形態を変化させることが容易となる。例えば物品200をエア緩衝材1の内部に収容してから物品200の大きさ、形状に合わせてエア緩衝材1を巻いたり折り曲げたりすることで全体をコンパクト化することができる。
【0065】
また折曲げなどの変形が容易であるためエア緩衝材1の内部に物品200を収容してから、ヘッダ部5の折返しを容易に行うことができる。
【0066】
エア緩衝材1の材料をポリエチレンなどの柔らかい材質とすることにより一層折曲げなどの変形が容易となる。
【0067】
(NG領域が狭い)
【0068】
図9(A)は実施形態のエア緩衝材1に形成された複数列のエア室120のうち一列RNのエア室120が破れた様子(破線で示す)を示し、
図9(B)は比較例のエア緩衝材1´に形成された複数列のエア室190のうち一列RNのエア室190が破れた様子(破線で示す)を示す。ここで、比較例のエア緩衝材1´のエア室190の幅は、実施形態のエア緩衝材1のバルブ部122の幅122Dと同一であり、比較例のエア緩衝材1´の溶着幅は、実施形態のエア緩衝材1の溶着幅HDと同一であるという条件とする。
【0069】
実施形態のエア緩衝材1は、左右で隣り合うエア室120のバブル部122同士が長手方向Yの同一位置Y0で隣り合わないように千鳥状に配列されている。このため実施形態のエア緩衝材1は、エア室120が破れることによって緩衝機能を発揮していないNG領域SNG(ハッチングで示す)が、比較例のNG領域幅S´NGよりも狭くなる。この理由は、比較例のエア緩衝材1´で緩衝機能が機能しているRN-1列のエア室190とRN+1列のエア室190との間隔は一義的に最大間隔W1であるのに対して、実施形態のエア緩衝材1で緩衝機能が機能しているRN-1列のエア室120とRN+1列のエア室120との間隔は最大間隔W1から最小間隔W2(<W1)の範囲にあるからである。
【0070】
このため実施形態のエア緩衝材1は、比較例のエア緩衝材1´と比較して破損による緩衝機能の低下を抑えることができる。
【0071】
なお実施形態においてエアの概念は空気、窒素ガスなどの任意の緩衝用のガスを含む。
【符号の説明】
【0072】
1 エア緩衝材
100 シート部材
110 折返し部
120 エア室