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特開2024-179340データ計測システム及びデータ計測方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179340
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】データ計測システム及びデータ計測方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G05B23/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098100
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】前野 裕樹
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223BA01
3C223CC01
3C223EA04
3C223EB02
3C223FF03
3C223FF08
3C223FF09
3C223FF13
3C223FF47
3C223GG01
3C223HH03
(57)【要約】
【課題】データ計測システムにおいて、計測されたアナログデータに基づいて制御モードを特定して期待しているタイミングで計測を行う。
【解決手段】センサデータに基づいて計測対象の制御モードを特定する制御モード特定部と、特定された制御モードに応じたトリガ条件を決定してセンサデータのデータ計測期間を設定するトリガ条件決定部と、設定されたデータ計測期間にセンサデータを計測するデータ計測部とを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測対象に設置されたセンサから送信されたセンサデータを取得するセンサデータ取得部と、
前記センサデータに基づいて前記計測対象の制御モードを特定する制御モード特定部と、
特定された前記制御モードに応じたトリガ条件を決定して前記センサデータのデータ計測期間を設定するトリガ条件決定部と、
設定された前記データ計測期間に前記センサデータを計測するデータ計測部と、
を有することを特徴とするデータ計測システム。
【請求項2】
前記制御モード特定部は、
データ分析部とモード分析部を有し、
前記データ分析部は、
前記センサデータを分析して特長となる特長データを生成し、
前記モード分析部は、
前記特長データに基づいて前記制御モードを特定することを特徴とする請求項1に記載のデータ計測システム。
【請求項3】
前記データ分析部は、
前記特長データとして、前記センサデータの波高値と前記波高値の傾きを生成することを特徴とする請求項2に記載のデータ計測システム。
【請求項4】
前記データ分析部は、
前記特長データとして、前記センサデータのフーリエ分析のピークと前記フーリエ分析の前記ピークの傾きを生成することを特徴とする請求項2に記載のデータ計測システム。
【請求項5】
ユーザが操作するユーザインターフェース部を有し、
前記ユーザインターフェース部は、
前記特長データに基づいて前記ユーザにより設定されたトリガ条件設定情報を生成し、
前記トリガ条件決定部は、
前記トリガ条件設定情報に基づいて前記トリガ条件を決定することを特徴とする請求項2に記載のデータ計測システム。
【請求項6】
前記ユーザインターフェース部は、
前記特長データを表示画面に表示し、
表示された前記特長データを参照して前記ユーザにより前記トリガ条件設定情報を設定することを特徴とする請求項5に記載のデータ計測システム。
【請求項7】
前記計測対象は、
前記制御モードとして、停止モード、加速運転モード、減速運転モード、低速運転モード及び高速運転モードを有するモータであり、
前記制御モード特定部は、
前記制御モードとして、前記停止モード、前記加速運転モード、前記減速運転モード、前記低速運転モード及び前記高速運転モードの少なくとも一つを特定することを特徴とする請求項1に記載のデータ計測システム。
【請求項8】
前記センサデータ取得部は、
前記センサデータとして、アナログデータを取得することを特徴とする請求項1に記載のデータ計測システム。
【請求項9】
計測対象に設置されたセンサから送信されたセンサデータを取得するセンサデータ取得ステップと、
前記センサデータに基づいて前記計測対象の制御モードを特定する制御モード特定ステップと、
特定された前記制御モードに応じたトリガ条件を決定して前記センサデータのデータ計測期間を設定するトリガ条件決定ステップと、
設定された前記データ計測期間に前記センサデータを計測するデータ計測ステップと、
を有することを特徴とするデータ計測方法。
【請求項10】
前記制御モード特定ステップは、
データ分析ステップとモード分析ステップを有し、
前記データ分析ステップは、
前記センサデータを分析して特長となる特長データを生成し、
前記モード分析ステップは、
前記特長データに基づいて前記制御モードを特定することを特徴とする請求項9に記載のデータ計測方法。
【請求項11】
前記データ分析ステップは、
前記特長データとして、前記センサデータの波高値と前記波高値の傾きを生成することを特徴とする請求項10に記載のデータ計測方法。
【請求項12】
前記データ分析ステップは、
前記特長データとして、前記センサデータのフーリエ分析のピークと前記フーリエ分析の前記ピークの傾きを生成することを特徴とする請求項10に記載のデータ計測方法。
【請求項13】
ユーザが操作するユーザインターフェース部により、前記特長データに基づいて前記ユーザにより設定されたトリガ条件設定情報を生成するトリガ条件設定情報生成ステップを更に有し、
前記トリガ条件決定ステップは、
前記トリガ条件設定情報に基づいて前記トリガ条件を決定することを特徴とする請求項10に記載のデータ計測方法。
【請求項14】
前記トリガ条件設定情報生成ステップは、
前記ユーザインターフェース部により、前記特長データを表示画面に表示し、
表示された前記特長データを参照して前記ユーザにより前記トリガ条件設定情報を設定することを特徴とする請求項13に記載のデータ計測方法。
【請求項15】
前記計測対象は、
前記制御モードとして、停止モード、加速運転モード、減速運転モード、低速運転モード及び高速運転モードを有するモータであり、
前記制御モード特定ステップは、
前記制御モードとして、前記停止モード、前記加速運転モード、前記減速運転モード、前記低速運転モード及び前記高速運転モードの少なくとも一つを特定することを特徴とする請求項9に記載のデータ計測方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ計測システム及びデータ計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世に中にはモータを始めとした様々な機械が使用されており、故障すると重大な事故に繋がったり、深刻な機会損失に繋がる可能性がある。特に重要なインフラ設備等では故障に備えて、高額なコストをかけて主構成、副構成という例で複数の機械を構成し、主構成が故障した場合には副構成に切り替えを行う等の対策を行っている。これは、機械の故障が事前に予知できないからであり、従来から早期に故障予知ができないかという要望がある。
【0003】
このような要望に対し、機械にセンサを取り付け、アナログデータを取得することにより機械の状態を把握しようという取り組みが世の中で行われている。しかしながら、機械の制御モードは一定ではなく、取得したアナログデータも制御モードにより異なるため、アナログデータ取得と同時に機器の制御モードも取得する必要がある。
【0004】
さらに、機械の制御モードは、時間帯や季節によって変更される場合や、負荷の状態に応じて自動制御されている等の場合もある。
【0005】
これまで機械の制御モードを特定するために従来技術でも制御モードを特定する手段が考慮されている。これに関連する技術として、例えば、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】再表2016-117021(特許第6514239号)号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ただし、従来技術では制御モード特定の為に、周波数の情報を用いているため、演算装置への負荷が大きい周波数分析等が必要であった。
【0008】
さらに、従来技術は最初に制御モードを専門家が定義するため、制御モードが時間帯や季節によって変更される場合や負荷の状態に応じて自動制御される場合には最初の定義から外れてしまい、期待しているタイミングで計測することができないことが課題であった。
【0009】
本発明の目的は、データ計測システムにおいて、計測されたアナログデータに基づいて制御モードを特定して期待しているタイミングで計測を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様のデータ計測システムは、計測対象に設置されたセンサから送信されたセンサデータを取得するセンサデータ取得部と、前記センサデータに基づいて前記計測対象の制御モードを特定する制御モード特定部と、特定された前記制御モードに応じたトリガ条件を決定して前記センサデータのデータ計測期間を設定するトリガ条件決定部と、設定された前記データ計測期間に前記センサデータを計測するデータ計測部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、データ計測システムにおいて、計測されたアナログデータに基づいて制御モードを特定して期待しているタイミングで計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一般的なアナログデータ取得装置を示す図である。
図2】アナログデータ取得の構成例を示す図である。
図3】実施例の計測データシステムのブロック構成を示す図である。
図4】制御モード特定部のブロック構成を示す図である。
図5】データ分析方法及びモード分析方法を示す図である。
図6】トリガ条件設定方法を示す図である。
図7】各設例の場合の計測タイミングを示す図である。
図8】機械の制御モードが時間帯や季節によって変更される例を示す図である。
図9】ユーザI/F部の表示画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
はじめにアナログデータ取得装置の基本的な動作について図1を使用して説明する。
【0014】
アナログデータ取得装置はアナログデータを直接計測するセンサと接続され、センサから送信されるアナログデータを記録する。センサは計測対象に接続され、例えば振動等のアナログ情報をセンシングしアナログデータ取得装置に送信する。接続構成例を図1(a)に示す。
【0015】
センサから送信されたアナログデータの記録方法は、例えば次の方法が一般的である。(1)連続的に取得する。(2)アナログデータとは別の信号を用いて、開始・終了のタイミングを指定する。(1)の場合は記録するデータ量が膨大なってしまう事や膨大なデータの中から意味のあるデータを見つけ出すことが困難となってしまう等の問題がある。これを解決する一つの手段として、(2)のアナログデータとは別の信号を用いて、開始・終了のタイミングを指定することが行われる。開始・終了に用いる情報は、例えば時間や計測対象の制御信号等が用いられる。
【0016】
内容について図1(b)、(c)を用いて説明する。計測対象の動作状態が停止と動作を繰り返す場合を例に説明する。また計測対象が例えばモータ等の場合、動作状態が停止中のアナログデータは不要であり、動作中のアナログデータだけ計測したいことが一般的である。
【0017】
図1(b)は、連続的にアナログデータを取得する場合の例である。この場合、動作中のデータを取得することが可能であるが、停止中の不要なデータも記録してしまう事になり記録するデータ量が膨大になってしまう。
【0018】
図1(c)は時間を用いて開始・終了のタイミングを指定した例である。この例では、毎時00分を開始タイミングとし、毎時15分を終了タイミングとした例である。計測対象の動作状態と時間が同期していないため、データの欠けや不要なデータを取得してしまう等の欠点がある。
【0019】
図1(d)はモータのON・OFF信号を用いて開始・終了のタイミングを指定した例である。動作状態が動作中の時のみデータを取得することができ理想的な状態である。
【0020】
しかしながら、モータのON・OFF信号はモータの制御システムに信号線を配線する必要やソフトウェアの変更も伴う場合があり、運転中のシステムに対して行うことは困難である。
【0021】
本発明の実施例は、上記課題を解決するものである。以下、図面を参照して本発明の実施例について詳細に説明する。
【0022】
図2は、アナログデータを計測する際の構成例を示した図である。
【0023】
計測対象21はモータ等の機械が例であるが、電気エネルギーを運動エネルギーに変換するものであれば何でもよい。センサ(1)は例えば電源ケーブルに流れる電流の計測を行い、信号ケーブル(1)を通じてデータ計測システムへ計測データを送信する。センサ(2)は例えば計測対象21の振動値の計測を行い、信号ケーブル(2)を通じてデータ計測システム22へ計測データを送信する。データ計測システム22はセンサ(1)及びセンサ(2)から送信されたデータの分析及び記録を行う。ここで、センサは、例えば、音、超音波を計測するセンサでも良い。また、計測対象21は、モータだけでなくポンプ等でも良い。
【0024】
図3は、本発明の実施例における計測データシステム内部のブロック図を示した図である。
【0025】
センサ31より送信されたデータはセンサデータ取得部32においてデータ計測システム内部で処理可能なデータに変換され、制御モード特定部33とデータ計測部34に送信される。
【0026】
制御モード特定部33は、センサデータ取得部32により送信されたデータの分析と制御モードの分析を行って制御モードの特定し、分析結果はトリガ条件決定部35に送信される。ここで、データの分析は常時実行される。
【0027】
ユーザI/F部36は管理者(ユーザ)により指定されたトリガ条件設定をトリガ条件決定部35に送信する。トリガ条件決定部35は、制御モード特定部33から送信された分析結果とユーザI/F部36から送信されたトリガ条件設定を基にデータ計測部34にトリガ(計測開始トリガ及び計測終了トリガ)を送信する。データ計測部34はトリガ条件決定部からトリガが送信されたときのみ、センサデータ取得部32から送信されたデータの計測を行う。計測されたデータはデータ記録部37にて記録する。
【0028】
ユーザI/F部36は、図9の内容を画面表示する。この表示画面に基づいて管理者(ユーザ)がトリガ条件を設定する(図6参照)。このように、ユーザが操作するユーザI/F部36は、特長データに基づいてユーザにより設定されたトリガ条件設定情報を生成する。トリガ条件決定部35は、トリガ条件設定情報に基づいてトリガ条件を決定する。ユーザI/F部36は、特長データを表示画面(図9参照)に表示し、表示された特長データを参照してユーザによりトリガ条件設定情報を設定する。
【0029】
図4は、制御モード特定部35のブロック図を示した図である。
【0030】
センサデータ取得部32より送信されたデータは、データ分析部41を経由してモード分析部42へ送信される。データ分析部41は、例えばフーリエ分析による周波数分析や波高値の算出等が例であるが、特長となるデータを算出する計算であれば何でもよい。
【0031】
モード分析部42は、データ分析部41より送信された特長となる特長データの分析を行う。ここでは、特長となるデータの絶対値や傾きを算出し、トリガ条件決定部35及びモード記録部43へ送信する。モード記録部43はモード分析部42より送信されたモード情報の記録を行う。
【0032】
ここで、特長データとは、波高値及び波高値の傾き又はフーリエ分析のピーク及びフーリエ分析のピークの傾きである。
【0033】
図5は、計測対象21がモータである場合を例として、データ分析とモード分析の方法について示した図である。また、図2のセンサ(1)が電流センサである場合の例として説明する。
【0034】
計測対象21がモータである場合、そのモータはインバータを用いて周波数制御されている場合があり、例えば図5(a)に示されているような制御モードを持っている場合がある。説明上、制御周波数、波高値及びフーリエ分析のピークの絶対値は図5に示す例とする。
【0035】
この場合、センサ(1)の電流センサを使って電流波形を計測し、データ分析部41にて波高値とフーリエ分析結果のピークをモータ回転数に対応させて記録していくと図5の(b)、(c)のようにデータを取得することが可能である。
【0036】
図5(b)では制御周波数を変化させた場合、瞬時的に波高値が大きな値を示しているが、これは計測対象21の物理的特性による過渡現象を示したものである。この現象は計測対象21に依存するため一定ではない。このため例として示したものである。
【0037】
モード分析部42では図5(b)、(c)のデータを基に時間毎に絶対値と傾きを算出する。図5(b)に絶対値と波高値の算出例を示す。尚、絶対値は波高値と同様となる。ここで算出された絶対値と傾きはトリガ条件決定部35に送信される。
【0038】
トリガ条件決定部35では、制御モード特定部33から送信された絶対値と傾きの情報とユーザI/F部36より入力される条件によってトリガ条件が決定される。
【0039】
図5(a)に示されているように、計測対象21であるモータは、制御モードとして、停止モード、加速運転モード、減速運転モード、低速運転モード及び高速運転モードを有している。制御モード特定部33は、制御モードとして、停止モード、加速運転モード、減速運転モード、低速運転モード及び高速運転モードの少なくとも一つを特定する。
【0040】
図6は、トリガ条件の設定方法の例である。
【0041】
管理者は図5の波高値の絶対値と傾き、フーリエ分析のピークの絶対値と傾きの情報を画面(図9参照)で確認することが可能であり、この情報を基に計測トリガ条件を設定する。
【0042】
例えば、制御周波数100Hzと200Hzの期間のみアナログデータを計測したい場合、フーリエ分析のピークの絶対値が100もしくは200の場合となり図6の設定例1に示す設定を行う。この場合の計測タイミングを図7の設定例1に示す。
【0043】
また、代替設定として波高値の絶対値が0以外の場合かつ傾きが0の場合となり図6の設定例2に示す設定を行う。この場合の計測タイミングを図7の設定例2に示す。設定例2は設定例1と同じタイミングとなりフーリエ分析のピークの情報を使わずに制御周波数100Hzと200Hzの期間のみアナログデータを計測することが可能となる。
【0044】
また別の例として、制御周波数100Hz期間のみアナログデータを計測したい場合、波高値の絶対値が10の場合となるが、制御周波数が0から100Hzへ加速している期間にも波高値が10のタイミングがあるため、これを除外するために傾きが0の場合の条件も追加することとなり図6の設定例3に示す設定を行う。この場合の計測タイミングを図7の設定例3に示す。
【0045】
ここまで制御周波数が一定速度時に計測する例を説明してきたが、次に加速時及び減速時に計測する例を示す。制御周波数が加速しているときの設定例を示す。制御周波数が加速している期間は0から100Hz、及び100から200Hzの期間である。この場合、フーリエ分析のピークの傾きの情報を使うと傾きが正の場合となり、図6の設定例4に示す設定となる。図6の設定例4の例では計測有効の条件が一つのみであり、何も設定していない入力が出来てしまう。この場合、入力の設定に1を入力することにより、条件設定しない入力を常時アクティブにすることが可能である。
【0046】
また、この場合、波高値を使った代替設定を図6の設定例5に示す。この場合の計測タイミングは図7の設定例5となり、設定例4と同じタイミングとなる。減速時に計測したい場合は、図6の設定例6、設定例7に示す設定となり、この場合の計測タイミングは図7の設定例6、7となる。
【0047】
さらに一定速度、加速時、減速時の単一の状態だけでなく、例えば加速時と一定速度時の両方を計測する場合について説明する。この場合、論理和もしくは論理積の入力条件が3つ以上必要となるが、入力は必要に応じて追加することが可能である。図6の設定例8に加速時及び一定速度時に計測を行う場合の設定を示す。
【0048】
以上の例に示した通り、モード分析部42で算出された絶対値と傾きの情報を用いて計測トリガ信号を生成し任意の制御モード時に計測を行うことが可能となる。尚、算出される絶対値と傾きは計測対象に依存する値の変動があるため、通常は一定値とならない。このため計測有効の条件となる入力値には許容差を設定することが可能である。尚、図6のトリガ条件の設定方法は、ハード的に行っても良いし、ソフト的に行っても良い。
【0049】
図8は、機械の制御モードが時間帯や季節によって変更される場合にも一定速度時のデータを取得することが可能な例を示した図である。
【0050】
トリガ条件設定を図6の設定例2とした場合を例に説明する。
【0051】
図8(a)は制御モードが夏の場合の制御周波数と波高値の絶対値と傾きを示したものであるが、実際に計測が行われるタイミングは計測有効軸がHighとなっている期間となり、図8(a)に計測中と示した期間である。
【0052】
図8(b)は制御モードが冬の場合の制御周波数と波高値の絶対値と傾きを示したものであるが、実際に計測が行われるタイミングは計測有効軸がHighとなっている期間となり、図8(b)の中で計測中と示した期間である。
【0053】
夏、冬で制御周波数が変化した場合でも、図6の設定例2のトリガ条件設定をしておくことで、季節問わず一定速度時のデータを取得することが可能となる。
【0054】
図9はユーザI/F部の表示画面を示す図である。
【0055】
ユーザI/F部36は、図9の内容を表示画面に表示する。この表示画面に基づいて管理者(ユーザ)がトリガ条件を設定する(図6参照)。
【0056】
上記実施例では、センサを使用して計測対象のアナログデータを常時計測する。計測されたデータを基に、比較的単純な計算式を用いて特徴的なデータを算出する。このデータにより制御モードを特定し、期待しているタイミングで計測を行う。制御モードの状態を常時監視し、得られた情報から特長となる特長データを算出することにより常時制御モードを認識する。
【0057】
上記実施例によれば、高価な演算装置を持たないデータ計測システムを使用して、期待しているタイミングでデータ計測を行うことが可能となる。さらに、制御モードが時間帯や季節によって変更される場合や負荷の状態に応じて自動制御される場合にも、期待しているタイミングで計測を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0058】
21 計測対象
22 データ計測システム
31 センサ
32 センサデータ取得部
33 制御モード特定部
34 データ計測部
35 トリガ条件決定部
36 ユーザI/F部
37 データ記録部
41 データ分析部
42 モード分析部
43 モード記録部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9