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特開2024-179351発電機及びこれを備えるガスタービンエンジン
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179351
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】発電機及びこれを備えるガスタービンエンジン
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/22 20060101AFI20241219BHJP
   F02C 7/32 20060101ALI20241219BHJP
   F02C 6/00 20060101ALI20241219BHJP
   H02K 7/18 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H02K5/22
F02C7/32
F02C6/00 B
H02K7/18 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098124
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柴山 義康
(72)【発明者】
【氏名】前里 晃
(72)【発明者】
【氏名】大▲桑▼ 達也
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
5H605BB01
5H605CC01
5H605CC06
5H605EC05
5H607FF30
(57)【要約】
【課題】発電機を備えるガスタービンエンジンにおいて、発電機の配置の自由度を高める。
【解決手段】
発電機は、ガスタービンエンジンに用いられる。発電機は、ステータコアと、ステータコアに巻かれた電線と、を含むステータと、ステータの内側に配置されたロータと、ステータ及びロータを収容するケースと、を備える。電線は、スター結線された中性点を有する。中性点は、ケースの外部に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジンに用いられる発電機であって、
ステータコアと、前記ステータコアに巻かれた電線と、を含むステータと、
前記ステータの内側に配置されたロータと、
前記ステータ及び前記ロータを収容するケースと、を備え、
前記電線は、スター結線された中性点を有し、
前記中性点は、前記ケースの外部に配置されている、発電機。
【請求項2】
前記中性点は、前記ロータの回転軸線との直交方向における前記ケースの外部に配置されている、請求項1に記載の発電機。
【請求項3】
前記中性点は、前記ロータの回転軸線が延びる軸線方向における前記ケースの外部に配置されている、請求項1に記載の発電機。
【請求項4】
前記中性点は、前記ケースから離隔して配置されている、請求項1に記載の発電機。
【請求項5】
前記電線に取り付けられたコネクタを更に備え、
前記中性点は、前記コネクタに取り付けられている、請求項1~4のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項6】
前記ロータは、永久磁石を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項7】
前記電線は、三相巻線であって、
前記三相巻線から出力される三相交流電力のいずれかの相の交流電力の相電圧を検知する電圧センサを更に備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の発電機。
【請求項8】
圧縮機と、
燃焼ガスを生成する燃焼器と、
前記燃焼器から燃焼ガスが供給されるタービンと、
前記圧縮機を前記タービンに機械的に接続する回転軸と、
少なくとも前記圧縮機及び前記燃焼器を収容するケーシングと、
請求項1に記載の発電機であって、前記圧縮機と前記回転軸との間の内部空間に配置されて、前記回転軸に機械的に接続された発電機と、を備える、ガスタービンエンジン。
【請求項9】
前記中性点は、前記燃焼器よりも前方に配置されている、請求項8に記載のガスタービンエンジン。
【請求項10】
前記中性点は、前記ケースの前方に配置されている、請求項8又は9に記載のガスタービンエンジン。
【請求項11】
前記中性点は、前記回転軸の径方向に前記ケースから離隔して配置されている、請求項8又は9に記載のガスタービンエンジン。
【請求項12】
前記中性点は、前記ケースが最高温度となる領域よりも低温の領域に配置されている、請求項8又は9に記載のガスタービンエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電機及びこれを備えるガスタービンエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるように、ガスタービンエンジンのケーシングの内部空間には、例えば、当該エンジンに備えられた電動補機への供給電力を発電する発電機が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7174169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガスタービンエンジンは、圧縮機、燃焼器、タービン等の複数の構成要素を備えており、発電機の配置スペースが制約される。
【0005】
そこで、本開示の一態様は、発電機を備えるガスタービンエンジンにおいて、発電機の配置の自由度を高めることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、ガスタービンエンジンに用いられる発電機であって、ステータコアと、前記ステータコアに巻かれた電線と、を含むステータと、前記ステータの内側に配置されたロータと、前記ステータ及び前記ロータを収容するケースと、を備え、前記電線は、スター結線された中性点を有し、前記中性点は、前記ケースの外部に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、発電機を備えるガスタービンエンジンにおいて、発電機の配置の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係るガスタービンエンジンの概要図である。
図2図2は、図1の発電機とその周辺の構成を示す図である。
図3図3は、第1変形例に係る発電機とその周辺の構成を示す図である。
図4図4は、第2変形例に係るガスタービンエンジンの概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。本開示では、断りのない限り、各用語は、以下の意味とする。「軸線方向」とは、ガスタービンエンジンの回転軸の軸線方向を意味する。「前方」とは、ガスタービンエンジン内の空気の流通方向の上流側を意味する。また「後方」とは、前記流通方向の下流側を意味する。言い換えると、「前方」とは、前記軸線方向のうち、ファンが配置されている側を意味する。また「後方」とは、前記軸線方向のうち、ファンが配置されている側と反対側を意味する。また「径方向」とは、前記軸線方向に対する直交方向を意味する。また「周方向」とは、前記回転軸の回転軸線周りの方向を意味する。
【0010】
図1は、実施形態に係るガスタービンエンジン1(以下、単に「エンジン1」とも称する。)の概要図である。エンジン1は、一例として、航空機用のガスタービンエンジンである。ただし、エンジン1は、航空機用途に限定されない。図1に示すように、エンジン1は、発電機2を備える。
【0011】
ガスタービンエンジンは、エンジン内部のスペースに制約があるので、発電機をエンジン内部の所望の位置に配置することが困難な場合がある。小型のガスタービンエンジンにおいては、エンジン内部のスペースがより制約される。
【0012】
一方で、エンジン1では、発電機2の電線29が、スター結線された中性点29dを有し、中性点29dが発電機2のケース27の外部に配置されている。よって、エンジン1は、発電機2を配置するスペースが制約される場合でも、発電機2の配置の自由度を高めることができる。
【0013】
エンジン1は、2軸ガスタービンエンジンであるが、これに限らない。エンジン1は、ファン3と、圧縮機4と、燃焼器5と、タービン6と、圧縮機4をタービン6に機械的に接続する回転軸7と、圧縮機4、燃焼器5、及びタービン6を収容するケーシング8と、少なくとも1つの電動補機9とを備える。圧縮機4は、ファン3によりエンジン1の外部から内部に供給される空気を圧縮する。燃焼器5は、燃料を燃焼して燃焼ガスを生成する。タービン6は、燃焼器5で生成した燃焼ガスが供給される。回転軸7は、エンジン1の前後方向に延び、所定の回転軸線X(図2参照)の周りを回転する。回転軸7は、複数の軸受BR1、BR2により、回転自在に支持されている。ファン3は、回転軸7に機械的に接続されて、回転軸7と共に回転する。ファン3と、圧縮機4と、燃焼器5と、タービン6とは、この順に、前方から後方に向けて配置されている。
【0014】
圧縮機4は、低圧圧縮機13と、低圧圧縮機13の後方に配置された高圧圧縮機14とを含む。低圧圧縮機13は軸流圧縮機である。高圧圧縮機14は遠心圧縮機である。低圧圧縮機13及び高圧圧縮機14の各種類は、これに限定されない。タービン6は、低圧タービン15と、低圧タービン15の前方に配置された高圧タービン16とを含む。回転軸7は、低圧圧縮機13を低圧タービン15に連結する低圧軸11と、高圧圧縮機14を高圧タービン16に連結する高圧軸12とを含む。高圧軸12は、前後方向に延びる中空の筒体である。低圧軸11は、高圧軸12の内部に挿通されている。低圧タービン15は、低圧軸11を介してファン3に連結されている。
【0015】
ケーシング8は、回転軸線Xの軸線方向に延びる筒体である。ケーシング8は、ファン3と、圧縮機4と、燃焼器5と、タービン6と、回転軸7とを収容する。ケーシング8は、内殻80と、外殻81と、ストラット82、83とを有する。内殻80は、圧縮機4と、燃焼器5と、タービン6とを収容する。外殻81は、内殻80から径方向外側に離間した状態で、内殻80と同心円状に配置されている。内殻80及び外殻81の間には、筒状のバイパス路BPが形成されている。ファン3によりエンジン1の内部に吸い込まれた空気の一部は、バイパス路BPを通流して後方に排出される。電動補機9は、ケーシング8の外周面に取り付けられている。電動補機9は、ケーシング8の内部に取り付けられていてもよい。電動補機9は、例えば、燃料ポンプ、及び、潤滑オイルポンプ等の電力消費装置であるが、これに限定されない。
【0016】
ストラット82は、径方向に延びて、内殻80と外殻81とを連結する。ストラット82は、低圧圧縮機13の後方に配置されている。なお、ストラット82は、軸線方向における低圧圧縮機13及び高圧圧縮機14の間に配置されていてもよい。
【0017】
エンジン1は、内殻80の内部において、軸線方向に低圧圧縮機13と高圧圧縮機14とを繋ぐ筒体20を更に備える。筒体20は、前方から後方に向けて、外径及び内径が縮径している。筒体20は、低圧圧縮機13から高圧圧縮機14に向かう圧縮空気流路Rの一部を画定する。筒体20の外周面は、圧縮空気流路Rと面している。ストラット83は、径方向に延びて、筒体20及び内殻80を連結する。ストラット83は、低圧圧縮機13の後方に配置されている。なお、ストラット83は、軸線方向における低圧圧縮機13及び高圧圧縮機14の間に配置されていてもよい。
【0018】
発電機2は、回転軸7の回転駆動力により駆動されて発電する。発電機2により発電された電力は、電動補機9に供給されて電動補機9を駆動する。発電機2は、エンジン1の起動時に回転軸7を回転駆動するスターター機能を有していてもよい。この場合、発電機2は、モータジェネレータである。発電機2は、ケーシング8の内部に配置されている。発電機2は、筒体20の内部、かつ、高圧圧縮機14の前方に配置されている。
【0019】
図2は、図1の発電機2とその周辺の構成を示す図である。図2では、発電機2の内部と電線29の中性点29dとが図示されている。発電機2は、回転軸24と、ロータ25と、ステータ26と、ケース27と、コネクタ31とを備える。回転軸24及びロータ25は、ステータ26の内側に配置されている。回転軸24は、軸線方向に延び、回転軸線Xの周りを回転するように軸支されている。ロータ25は、回転軸線Xの軸線方向に延びる内部空間を有する筒体である。ロータ25の内部空間には、回転軸24が挿通されている。ロータ25は、回転軸24に結合されて、回転軸24と共に回転軸線Xの周りを回転する。ロータ25は、回転軸線Xの周方向にステータ26により囲まれている。ロータ25は、永久磁石30を含む。即ち、発電機2は、永久磁石式である。発電機2は、U相、V相、及びW相を含む三相交流電力を発電する三相交流式である。
【0020】
ステータ26は、回転軸線Xの周りに配置された少なくとも1つのステータコア28と、ステータコア28に巻かれた電線29とを含む。ステータ26は、複数のステータコア28を含む。ケース27は、ステータ26及びロータ25を収容する。ケース27は、一例として、径方向外側、及び、軸線方向の両側から、ステータ26及びロータ25を覆う。
【0021】
電線29は、三相巻線である。電線29は、ステータコア28に巻かれた複数の巻線部29aを有する。複数の巻線部29aは、U相巻線部と、V相巻線部と、W相巻線部とを含む、コイル部である。複数の巻線部29aは、ステータコア28に巻かれている。電線29は、シート状の絶縁部材を介して、ステータコア28に巻かれている。これにより、電線29とステータコア28とは、互いに絶縁されている。
【0022】
電線29は、複数の巻線部29aの各々の一端から延びる第1引出線部29bと、複数の巻線部29aの各々の他端から延びる第2引出線部29cとを有する。複数の第1引出線部29bは、スター結線、言い換えると、Y結線されている。これにより電線29は、電気的中性点である中性点29dを有する。複数の第2引出線部29cは、ケース27の外部において、後述する配線40と電気的に接続される。電線29には、コネクタ31が取り付けられる。コネクタ31は、複数の第2引出線部29cに取り付けられる。
【0023】
発電機2では、少なくともエンジン1の駆動時において、中性点29dによるY結線の結線状態が保持されている。発電機2では、中性点29dが、ケース27の外部に配置されている。発電機2では、第1引出線部29bと第2引出線部29cとが、中性点29dと共にケース27の外部に配置されている。
【0024】
中性点29dは、ロータ25の回転軸線Xとの直交方向におけるケース27の外部に配置してもよい。中性点29dは、ロータ25の回転軸線Xが延びる軸線方向におけるケース27の外部に配置してもよい。
【0025】
中性点29dは、ケース27から離隔して配置されていてもよい。一例として、中性点29dは、軸線方向において、巻線部29aの両端とケース27を隔てて配置されている。
【0026】
中性点29dは、燃焼器5よりも前方に配置してもよい。また中性点29dは、エンジン1の駆動時において、エンジン1のケース27が最高温度となる領域よりも低温の領域に配置してもよい。中性点29dは、一例として、エンジン1の駆動時において、エンジン1のケース27が最高温度となる領域よりも100℃以下の低温となる領域に配置されている。
【0027】
エンジン1は、第2引出線部29cを通じて、発電機2により発電された電力を電動補機9に送電する配線40と、配線40に取り付けられたコネクタ41とを備える。コネクタ41は、コネクタ31と接続される。これにより、配線40は、コネクタ31が取り付けられた第2引出線部29cと電気的に接続される。コネクタ31は、一例として、耐熱性を有する樹脂部材を含む。
【0028】
中性点29dは、コネクタ31に取り付けられている。コネクタ31は、一例として、内部空間を有する。この内部空間には、中性点29dが収容されている。中性点29dは、第2引出線部29cと絶縁された状態で、コネクタ31に取り付けられている。なお、中性点29dは、接地されていなくてもよい。
【0029】
発電機2は、一例として、三相巻線である電線29から出力される三相交流電力のいずれかの相の交流電力の相電圧を検知する電圧センサ32を備える。電圧センサ32は、電線29のいずれかの第1引出線部29bと、中性点29dとの間の電圧を、前記相電圧として検知する。電圧センサ32は、エンジン1が備える処理回路33に接続される。処理回路33は、電圧センサ32の検出信号を受信するように構成されている。処理回路33は、一例として、電圧センサ32の検出信号に基づいて、発電機2の回転数を算出する。このように、前記相電圧を検知する構成によれば、線間電圧を検知する構成と比較して、発電機2の回転数を低電圧で測定できる。このため、電圧センサ32で電圧を検知する際に絶縁破壊が生じるのを抑制できる。
【0030】
処理回路33は、一例として、プロセッサ330と、システムメモリ331と、ストレージメモリ332と、を含むコントローラ333である。コントローラ333は、電圧センサ32の検出信号を受信する。ストレージメモリ332には、プロセッサ330が実行する制御プログラムが記憶されている。プロセッサ330は、ストレージメモリ332からシステムメモリ331に読み出された前記制御プログラムを実行して、前記回転数を算出する。
【0031】
以上説明したように、発電機2の電線29の中性点29dをケース27の外部に配置することで、中性点29dをエンジン1内部の任意のスペースに配置できる。また、ケース27における中性点29dを収容するスペースが不要となる。このため、ケース27を小型化できる。よって、エンジン1において発電機2の配置の自由度を高めることができる。
【0032】
また、第1引出線部29b及び第2引出線部29cをケース27の外部に配置することで、ケース27を更に小型化できる。
【0033】
なお、中性点29dを、エンジン1の駆動時において、エンジン1のケース27が最高温度となる領域よりも低温の領域に配置する場合、使用できる絶縁部材の選択肢が増える。即ち、耐熱温度の低い絶縁部材を使用できる。
【0034】
(変形例)
以下、本開示の変形例について、実施形態との差異を中心に説明する。図3は、第1変形例に係る発電機102とその周辺の構成を示す図である。図3に示されるように、第1変形例の中性点29dは、コネクタ31に取り付けられていない状態で、ケース27とは離隔して配置されている。即ち、中性点29dは、コネクタ31及びケース27の両方と離隔して配置されている。中性点29dは、回転軸線Xとの直交方向におけるケース27の外部に配置されている。
【0035】
なお、中性点29dは、回転軸線Xが延びる軸線方向におけるケース27の外部に配置されていてもよい。また中性点29dは、ケース27に対して取り付けられてもよい。また中性点29dは、ケース27に対して支持部材を介して取り付けられてもよい。
【0036】
図4は、第2変形例に係るガスタービンエンジン101の概要図である。図4に示されるように、第2変形例のコネクタ31は、筒体20に対して取り付けられている。中性点29dは、コネクタ31に取り付けられた状態で、筒体20の内周面に取り付けられている。中性点29dは、コネクタ31に取り付けられた状態で、筒体20に対して、支持部材を介して取り付けられていてもよい。また、中性点29dは、コネクタ31とは別個に、筒体20に取り付けられていてもよい。
【0037】
なお、上記実施形態の回転軸線Xは、回転軸7の回転軸線と一致しているが、一致していなくてもよい。またケース27は、単一部材又は複数部材のいずれで構成されていてもよい。また、エンジン1の前記「低温の領域」としては、例えば、ケース27よりも前方の領域が挙げられるが、これに限定されない。例えば、エンジン1の駆動時におけるケース27及びケース27の周辺の温度変化を予め把握しておくことで、エンジン1の「低温の領域」として、エンジン1のどの領域を選択できるかを確認できる。また電圧センサ32は、発電機2の回転数を算出する以外の目的で用いられていてもよい。また中性点29dは、例えば、コネクタ31の外表面に取り付けられていてもよい。このように、中性点29dがコネクタ31に収容されない場合、コネクタ31を小型化できる。
【0038】
また、回転軸線Xの軸線方向において、ケース27は、軸線方向の両側又は一方側から、ステータ26及びロータ25の各々の少なくとも一部を覆っていてもよい。また、ケース27は、回転軸線Xの軸線方向の両側が開放されていてもよい。この場合、ケース27の内部空間は、ケース27の回転軸線Xの軸線方向の一端から他端までの間でケース27により画定される空間を指す。
【0039】
(開示項目)
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
[項目1]
ガスタービンエンジンに用いられる発電機であって、
ステータコアと、前記ステータコアに巻かれた電線と、を含むステータと、
前記ステータの内側に配置されたロータと、
前記ステータ及び前記ロータを収容するケースと、を備え、
前記電線は、スター結線された中性点を有し、
前記中性点は、前記ケースの外部に配置されている、発電機。
【0040】
上記構成によれば、中性点をケースの外部に配置することで、ケースと中性点とを個別のスペースに配置できる。これにより、ガスタービンエンジンにおいて、発電機の配置の自由度を高めることができる。その結果、ガスタービンエンジンにおいて、発電機を配置するスペースが制約される場合でも、発電機を配置し易くできる。
【0041】
[項目2]
前記中性点は、前記ロータの回転軸線との直交方向における前記ケースの外部に配置されている、項目1に記載の発電機。
【0042】
上記構成によれば、発電機を配置するスペースがロータの回転軸線が延びる軸線方向において十分でない場合でも、ガスタービンエンジンに発電機を配置し易くできる。また、前記直交方向に中性点をロータの回転軸線から離隔できる。これにより、ガスタービンエンジンの駆動時において、ロータの振動や熱が中性点に伝わることを抑制できる。
【0043】
[項目3]
前記中性点は、前記ロータの回転軸線が延びる軸線方向における前記ケースの外部に配置されている、項目1又は2に記載の発電機。
【0044】
上記構成によれば、発電機を配置するスペースがロータの回転軸線と直交する方向において十分でない場合でも、ガスタービンエンジンに発電機を配置し易くできる。また、ガスタービンエンジンの回転軸の周りに発電機が配置される場合、中性点をケースの前方に配置することで、ガスタービンエンジンの駆動時において、ロータの振動や熱が中性点に及ぶことを抑制できる。
【0045】
[項目4]
前記中性点は、前記ケースから離隔して配置されている、項目1~3のいずれか1項に記載の発電機。
【0046】
上記構成によれば、ガスタービンエンジンの駆動時において、ケースの振動や熱が中性点に及ぶことを抑制できる。また、ガスタービンエンジンにおける発電機のレイアウトの自由度を向上できる。
【0047】
[項目5]
前記電線に取り付けられたコネクタを更に備え、
前記中性点は、前記コネクタに取り付けられている、項目1~4のいずれか1項に記載の発電機。
【0048】
上記構成によれば、電線に取り付けられたコネクタに中性点を取り付けることで、ケースに対して中性点を容易に位置決めできる。また、例えばコネクタの内部空間に中性点を収容する場合、中性点を外部から保護できる。また例えば、コネクタをガスタービンエンジンに固定する場合、ガスタービンエンジンに対して中性点を容易に位置決めできる。
【0049】
[項目6]
前記ロータは、永久磁石を含む、項目1~5のいずれか1項に記載の発電機。
【0050】
上記構成によれば、発電機を永久磁石式発電機として構成できる。これにより、誘導式発電機等に比べて発電機を小型化できる。
【0051】
[項目7]
前記電線は、三相巻線であって、
前記三相巻線から出力される三相交流電力のいずれかの相の交流電力の相電圧を検知する電圧センサを更に備える、項目1~6のいずれか1項に記載の発電機。
【0052】
上記構成によれば、線間電圧を電圧センサで検知する場合に比べて、電圧センサで電圧を検知する際に絶縁破壊が生じるのを抑制できる。よって、例えば当該電圧センサを用いて、発電機の回転数を低電圧で測定できる。
【0053】
[項目8]
圧縮機と、
燃焼ガスを生成する燃焼器と、
前記燃焼器から燃焼ガスが供給されるタービンと、
前記圧縮機を前記タービンに機械的に接続する回転軸と、
少なくとも前記圧縮機及び前記燃焼器を収容するケーシングと、
項目1~7のいずれか1項に記載の発電機であって、前記圧縮機と前記回転軸との間の内部空間に配置されて、前記回転軸に機械的に接続された発電機と、を備える、ガスタービンエンジン。
【0054】
上記構成によれば、ガスタービンエンジンが備える複数の構成要素により、発電機を配置するスペースが制約される場合でも、発電機を配置し易くできる。
【0055】
[項目9]
前記中性点は、前記燃焼器よりも前方に配置されている、項目8に記載のガスタービンエンジン。
【0056】
上記構成によれば、ガスタービンエンジンの駆動時において、燃焼器の熱が中性点に及ぶことを抑制できる。
【0057】
[項目10]
前記中性点は、前記ケースの前方に配置されている、項目8又は9に記載のガスタービンエンジン。
【0058】
上記構成によれば、ガスタービンエンジンにおいて、発電機を配置するスペースが、回転軸の径方向で十分でない場合でも、発電機を配置し易くできる。また、中性点をケースの前方に配置することで、ガスタービンエンジンの駆動時において、ケースの振動や熱が中性点に及ぶことを抑制できる。
【0059】
[項目11]
前記中性点は、前記回転軸の径方向に前記ケースから離隔して配置されている、項目8~10のいずれか1項に記載のガスタービンエンジン。
【0060】
上記構成によれば、ガスタービンエンジンにおいて、発電機を配置するスペースが、回転軸の軸線方向で十分でない場合でも、発電機を配置し易くできる。また、回転軸の径方向に中性点を前記ケースと離隔することで、ガスタービンエンジンの駆動時において、ケース又は回転軸からの熱や振動が、中性点に伝わることを抑制できる。
【0061】
[項目12]
前記中性点は、前記ケースが最高温度となる領域よりも低温の領域に配置されている、項目8~11のいずれか1項に記載のガスタービンエンジン。
【0062】
上記構成によれば、エンジンのケースが最高温度となる領域よりも低温の領域に中性点を配置することで、駆動時のガスタービンエンジンの熱の影響が中性点に及ぶことを抑制できる。また、中性点への熱の影響が抑制されるため、例えば、電線を被覆する被覆部材として、高度な耐熱性を有するもの以外の部材も使用できる。これにより、被覆部材を選択又は設計する際の自由度を向上できる。
【符号の説明】
【0063】
X 回転軸線
1、101 ガスタービンエンジン
2、102 発電機
3 ファン
4 圧縮機
5 燃焼器
6 タービン
7 回転軸
8 ケーシング
25 ロータ
26 ステータ
27 ケース
29 電線
29d 中性点
30 永久磁石
31 コネクタ
図1
図2
図3
図4