(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179367
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】マグネシウム発電システム、マグネシウム電池及びマグネシウム発電方法
(51)【国際特許分類】
H01M 12/06 20060101AFI20241219BHJP
H01M 50/77 20210101ALI20241219BHJP
【FI】
H01M12/06 H
H01M50/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098157
(22)【出願日】2023-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】523221234
【氏名又は名称】平山 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100180921
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】平山 雄二
(72)【発明者】
【氏名】松尾 憲太
【テーマコード(参考)】
5H023
5H032
【Fターム(参考)】
5H023AA03
5H023AA09
5H023BB03
5H032AA02
5H032AA09
5H032AS02
5H032AS11
5H032BB06
5H032CC16
5H032CC25
5H032EE02
(57)【要約】
【課題】 本願発明は、従来より高い出力電圧を実現するマグネシウム発電システム等を提供することを目的とする。
【解決手段】 マグネシウムを含む負極と、正極と、電解槽とを有するマグネシウム電池部を備えるマグネシウム発電システムであって、第1マグネシウム電池部及び第2マグネシウム電池部と、電解槽内の電解液を濾過する濾過部と、電解液を循環させる循環部とを備え、第1マグネシウム電池部が有する第1電解槽と第2マグネシウム電池部が有する第2電解槽とを連通させる連通管をさらに備え、第2電解槽が第1電解槽の上に積み重ねられている、マグネシウム発電システムである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マグネシウムを含む負極と、
前記負極に対応する正極と、
前記負極、前記正極及び電解液を有する電解槽とを有するマグネシウム電池部を備えるマグネシウム発電システムであって、
複数の前記マグネシウム電池部である、第1マグネシウム電池部及び第2マグネシウム電池部と、
前記電解槽内の前記電解液を濾過する濾過部と、
前記マグネシウム電池部に接続していて、前記電解槽内の前記電解液を前記濾過部に送り、前記濾過部で濾過した後の前記電解液を前記電解槽内に戻して循環させる循環部とを備え、
前記第1マグネシウム電池部は、
第1負極と、
前記第1負極に対応する第1正極と、
前記第1負極、前記第1正極及び第1電解液を有する第1電解槽とを有し、
前記第2マグネシウム電池部は、
第2負極と、
前記第2負極に対応する第2正極と、
前記第2負極、前記第2正極及び第2電解液を有する第2電解槽とを有し、
前記第1電解槽と前記第2電解槽とを連通させる連通管をさらに備え、
前記第2電解槽が前記第1電解槽の上に積み重ねられている、マグネシウム発電システム。
【請求項2】
前記第2電解槽が前記連通管に接続する第2連通口は、前記第2電解槽における前記電解液の水位の上限を超えた前記電解液が流れ込む位置に設けられている、請求項1記載のマグネシウム発電システム。
【請求項3】
前記第1電解槽から電解液が流出する第1流出口が、前記第1電解槽の前記電解液の水位と前記第2電解槽の前記電解液の水位が同一になる位置に設けられている、請求項2記載のマグネシウム発電システム。
【請求項4】
マグネシウムを含む負極と、
前記負極に対応する正極と、
前記負極、前記正極及び電解液を有する電解槽とを有するマグネシウム電池部を備えるマグネシウム発電システムを用いたマグネシウム発電方法であって、
前記マグネシウム発電システムは、
複数の前記マグネシウム電池部である、第1マグネシウム電池部及び第2マグネシウム電池部と、
前記電解槽内の前記電解液を濾過する濾過部と、
前記マグネシウム電池部に接続していて、前記電解槽内の前記電解液を前記濾過部に送り、前記濾過部で濾過した後の前記電解液を前記電解槽内に戻して循環させる循環部とを備え、
前記第1マグネシウム電池部は、
第1負極と、
前記第1負極に対応する第1正極と、
前記第1負極、前記第1正極及び第1電解液を有する第1電解槽とを有し、
前記第2マグネシウム電池部は、
第2負極と、
前記第2負極に対応する第2正極と、
前記第2負極、前記第2正極及び第2電解液を有する第2電解槽とを有し、
前記第1電解槽と前記第2電解槽とを連通させる連通管をさらに備え、
前記第2電解槽が前記第1電解槽の上に積み重ねられており、
前記濾過部が、前記電解槽内の前記電解液を濾過する濾過ステップと、
前記循環部が、前記濾過ステップで濾過された前記電解液を前記電解槽に戻す循環ステップとを含む、マグネシウム発電方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、マグネシウム発電システム、マグネシウム電池及びマグネシウム発電方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネシウム電池は、マグネシウムからなる負極と、正極と、負極及び正極を内部に保持する電解槽からなり、電気化学反応によって外部に電気を取り出す電池の一種である。
【0003】
従来、工事現場や仮設店舗等の発電機を必要する場面では、ガソリン発電機が用いられることが多かった。
【0004】
マグネシウム電池は、ガソリン発電機に比べ、排気ガスがでないため、室内での使用にも適している。化石燃料を使わない利点もある。また、マグネシウム電池は、騒音を発生させない。そのため、夜間工事への応用にも向いているといえる。さらに、マグネシウム電池は、水を入れるだけで安全に発電ができるため、取り扱いが容易である。また、マグネシウム電池は、劣化しにくく、メンテナンスフリーでの長期保管が可能であるため、非常用発電機としても期待されている。
【0005】
ここで、電解液である塩水を循環させることにより、10A以上の大電流を流して72時間程度の長時間もつ循環式マグネシウム発電機について言及されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の循環式マグネシウム発電機も、大電流を長時間流すことを目的としていた。特許文献1に記載の発電機の出力電圧は約1.2Vとされており、100Vのような出力電圧は実現できていなかった。
【0008】
そこで、本願発明は、従来より高出力のマグネシウム発電システム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願発明の第1の観点は、マグネシウムを含む負極と、前記負極に対応する正極と、前記負極、前記正極及び電解液を有する電解槽とを有するマグネシウム電池部を備えるマグネシウム発電システムであって、複数の前記マグネシウム電池部である、第1マグネシウム電池部及び第2マグネシウム電池部と、前記電解槽内の前記電解液を濾過する濾過部と、前記マグネシウム電池部に接続していて、前記電解槽内の前記電解液を前記濾過部に送り、前記濾過部で濾過した後の前記電解液を前記電解槽内に戻して循環させる循環部とを備え、前記第1マグネシウム電池部は、第1負極と、前記第1負極に対応する第1正極と、前記第1負極、前記第1正極及び第1電解液を有する第1電解槽とを有し、前記第2マグネシウム電池部は、第2負極と、前記第2負極に対応する第2正極と、前記第2負極、前記第2正極及び第2電解液を有する第2電解槽とを有し、前記第1電解槽と前記第2電解槽とを連通させる連通管をさらに備え、前記第2電解槽が前記第1電解槽の上に積み重ねられている、マグネシウム発電システムである。
【0010】
本願発明の第2の観点は、第1の観点のマグネシウム発電システムであって、前記第2電解槽が前記第1電解槽の上に積み重ねられており、前記第2電解槽が前記連通管に接続する第2連通口は、前記第2電解槽における前記電解液の水位の上限を超えた前記電解液が流れ込む位置に設けられている。
【0011】
本願発明の第3の観点は、第2の観点のマグネシウム発電システムであって、前記第1電解槽から電解液が流出する第1流出口が、前記第1電解槽の前記電解液の水位と前記第2電解槽の前記電解液の水位が同一になる位置に設けられている。
【0012】
本願発明の第4の観点は、マグネシウムを含む負極と、前記負極に対応する正極と、前記負極、前記正極及び電解液を有する電解槽とを有するマグネシウム電池部を備えるマグネシウム発電システムを用いたマグネシウム発電方法であって、前記マグネシウム発電システムは、複数の前記マグネシウム電池部である、第1マグネシウム電池部及び第2マグネシウム電池部と、前記電解槽内の前記電解液を濾過する濾過部と、前記マグネシウム電池部に接続していて、前記電解槽内の前記電解液を前記濾過部に送り、前記濾過部で濾過した後の前記電解液を前記電解槽内に戻して循環させる循環部とを備え、前記第1マグネシウム電池部は、第1負極と、前記第1負極に対応する第1正極と、前記第1負極、前記第1正極及び第1電解液を有する第1電解槽とを有し、前記第2マグネシウム電池部は、第2負極と、前記第2負極に対応する第2正極と、前記第2負極、前記第2正極及び第2電解液を有する第2電解槽とを有し、前記第1電解槽と前記第2電解槽とを連通させる連通管をさらに備え、前記第2電解槽が前記第1電解槽の上に積み重ねられており、前記濾過部が、前記電解槽内の前記電解液を濾過する濾過ステップと、前記循環部が、前記濾過ステップで濾過された前記電解液を前記電解槽に戻す循環ステップとを含む、マグネシウム発電方法である。
【発明の効果】
【0013】
本願発明の各観点によれば、従来よりも出力電圧が高いマグネシウム発電システム等を提供することが可能となる。しかも、複数のセルを鉛直方向に積み重ねたことにより、特許文献1に記載のような従来技術よりも省スペースで高出力のマグネシウム発電システムを実現可能となる。
【0014】
また、水酸化マグネシウムを電解槽に沈殿させることがなくなり、電解槽の膨張を防止することが可能になった。
【0015】
また、本願発明の第2の観点によれば、水位の上限を超えた電解液は鉛直下方向にある電解槽に流れ込むため、電解槽の水位を一定に保つことができる。そのため、安定した電力量を供給することが容易になる。
【0016】
しかも、鉛直方向に電解槽が積み重ねられているため、濾過部から電解液を循環させるための流入口を従来よりも減らすことが可能となる。このため、高い出力電圧を実現するために電解槽を増やすことと、シンプルなシステム構成を維持することを両立することが可能となる。
【0017】
さらに、本願発明の第3の観点によれば、全ての電解槽の水位を揃えることができるため、安定した電力量を供給することがさらに容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施例に係るマグネシウム発電システムの概要を例示するブロック図である。
【
図2】本実施例に係る第1-1マグネシウム電池部の使用状態の構成を例示する図である。
【
図3】本実施例に係るマグネシウム発電システムの具体的な構成を例示する斜視図である。
【
図4】従来のマグネシウム電池における発電に伴うマグネシウム負極の変化(a)及び(b)発生した水酸化マグネシウムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本願発明の実施形態を詳細に説明する。なお、本願発明の実施例は、以下に記載する内容に限定されるものではない。
【実施例0020】
図1は、本実施例に係るマグネシウム発電システム1の概要を示す図である。
【0021】
マグネシウム発電システム1は、複数の発電層である第1発電層31、第2発電層32、第3発電層33を備える。各発電層は、おおよそ同様の構成を備える。例えば、第1発電層31は、複数のマグネシウム電池部である第1-1マグネシウム電池部511、…、第1-8マグネシウム電池部518を備える。以下、集合的に記載する場合に添え字を省略することがある。
【0022】
各マグネシウム電池部5は、負極7と、正極9と、電解槽11と、流入口13と、流出口15とを備える。第1発電層31の各マグネシウム電池部51の上に、第2発電層32の各マグネシウム電池部52が積み重ねられている。例えば、第1発電層31の第1-1マグネシウム電池部511の上に、第2発電層32の第2-1マグネシウム電池部521が積み重ねられている。また、第2発電層32の第2-1マグネシウム電池部521の上に、第3発電層33の第3-1マグネシウム電池部531が積み重ねられている。
【0023】
また、マグネシウム発電システム1は、タンク21と、循環装置23と、連通管41と、汲上管43も備える。循環装置23は、マグネシウム発電システム1の内部で電解液を循環させる。
【0024】
例えば、第1発電層31の第1-1マグネシウム電池部511は、タンク21と第1-1連通管4111で接続されている。同様に、第1発電層31の第1-2マグネシウム電池部512は、タンク21と第1-2連通管4112で接続されている。
【0025】
また、本実施例において、第2発電層32の第2-1マグネシウム電池部521が第1-1マグネシウム電池部511と第2-1連通管4121で接続されている。同様に、第2発電層32の第2-2マグネシウム電池部522が第1-2マグネシウム電池部512と第2-2連通管4122で接続されている。
【0026】
さらに、第3発電層33の第3-1マグネシウム電池部531が第2-1マグネシウム電池部521と第3-1連通管4131で接続されている。同様に、第3発電層33の第3-2マグネシウム電池部532が第2-2マグネシウム電池部522と第3-2連通管4132で接続されている。
【0027】
このように、上層のマグネシウム電池部5は、下層のマグネシウム電池部5と連通管41を介して接続されている。このため、上層のマグネシウム電池部5に注がれた電解液は、所定の高さまで電解液が電解槽11に入ると、電解液が流出口15から流出する。流出した電解液は、連通管を通って下層のマグネシウム電池部5の流入口13から電解槽11に流入する。結果として、電解液を最上層にのみ注入すれば自然と下層に位置する各層に電解液が注入される構成となっている。
【0028】
また、最下層である第1層のマグネシウム電池部51の流出口151から流出した電解液は、タンク21に収容される。タンク21に収容された電解液は、汲上管431を介して循環装置23を経由し、汲上管432を介して最上層である第3層のマグネシウム電池部53の流入口133から電解槽113に再び流入する。
【0029】
ここで、従来のマグネシウム電池では、発電に伴い負極のマグネシウムが溶け(
図4(a))、電解槽内に水酸化マグネシウム(
図4(b))が発生して沈殿してしまっていた。電解槽内に水酸化マグネシウムが沈殿すると、電解槽の膨張や出力低下の原因となる。そのため、従来のマグネシウム電池は、あらかじめ水酸化マグネシウムが沈殿するスペースを設けていたため、小型化が困難であった。
【0030】
濾過装置23は、循環部25と、濾過部27と、制御部29とを有する。
【0031】
循環部は、マグネシウム電池部に接続していて、具体的には、電解槽内の電解液を濾過部に送り、濾過部で濾過した後の電解液を電解槽内に戻して循環させる(本願請求項記載の「循環ステップ」の一例)。これにより、電解槽には水酸化マグネシウムを取り除かれた電解液が戻る。そのため、水酸化マグネシウムを電解槽に沈殿させることがなくなり、電解槽の膨張を防止することが可能になった。
【0032】
濾過部27は、循環装置23に流入した電解液を濾過する(本願請求項記載の「濾過ステップ」の一例)。これにより、発電に伴い生じた水酸化マグネシウムを取り除くことができる。
【0033】
制御部29は、循環部25を制御する。
【0034】
図2は、本実施例に係る第1-1マグネシウム電池部の使用状態の構成を例示する図である。
【0035】
第1-1マグネシウム電池部511は、負極711と、正極911と、電解槽1111と、流入口1311と、流出口1511と、連通管4111と、連通管4121とを備える。電解槽1111には、流入口1311から流入した電解液17が流出口1511の高さまで保持されている。
【0036】
負極711は、マグネシウムを含む電極であり、電解液17に浸かるように電解槽1111の内部に保持されている。
【0037】
正極911は、負極711に対応する電極である。正極911はシート状に構成されている。正極911は、電解槽1111の側面に設置されている。正極911は、電解槽1111の側面の開口を介して電解槽1111が内部に保持する電解液17と接する。正極911の材料としては、例えば、銅メッシュ箔をカーボンシートで挟んだものやグラファイトを用いることができる。なお、空気中の酸素を正極活物質とするため、正極911の材料には、例えば、銅板よりも、銅メッシュ箔のような材料が適している。また、正極911は、酸素を透過させるフィルムでカバーされていてもよい。
【0038】
電解槽1111は、負極711、正極911及び電解液17を内部に保持する容器である。電解液17としては、例えば、水や食塩水を用いることができ、伝導率が高く、かつ、安価である食塩水が特に適している。
【0039】
タンデム電解槽群は、複数の電解槽を重ねたものである。本実施例では、電解槽を垂直方向に3層積み重ねたタンデム電解槽群を用いた。また、1層は、8つの隣接する電解槽で構成されている。よって、本実施例のタンデム電解槽群は、全部で24の電解槽で構成されている。
【0040】
なお、隣接する8つの電解槽は電気的に直列につないだ。すなわち、電解槽の正極と、その電解槽に隣接する電解槽の負極とを順に直列に接続した。
図2に示す例では、正極9
11は、マグネシウム発電システム1としての正極部と電気的に接続されている。負極7
11は、隣接する第1-2マグネシウム電池部5
12の正極9
12と電気的に接続されている。1つの電解槽の電圧は1.5Vであるため、1層の電圧は12Vとなった。また、その他の層とは並列につないだ。
【0041】
連通管は、縦に積み重ねた電解槽同士を連通させる管である。複数の電解槽同士を接続する連通管に通じる開口を連通口と呼ぶこととする。ここで、各電解槽は、連通口として流入口と流出口とを有する。
【0042】
再び
図2を参照して、流入口13
11は、連通管41
21を通ってきた電解液17が電解槽11
11の内部に流入するための開口である。流出口15
11は、電解槽11
11の内部の電解液17を連通管41
11から流出させるための開口である。各電解槽は、電解液の水位の上限の高さに流出口を有する。このため、電解液の水位が上限を超えた電解液が流出口に流れ込む。
【0043】
電解液は、まず最上層の電解槽を所定の水位まで満たし、次に上限を超えた分は連通管を通じて下の電解槽に流れ込み、垂直方向に重ねられた各電解槽を上から順に満たしていく。ここで、このように電解槽が上から順に所定の水位に満たされていくことをオーバーフロー方式という。
【0044】
オーバーフロー方式を用いたことにより、複数の電解槽を省スペースに配置することが可能になった。従来は、電圧を上げるために、水平方向に並べた複数の電解槽を用いていたため、装置が大型化していた。オーバーフロー方式を用いることにより、高出力かつ省スペースのマグネシウム発電システムを提供することが可能になる。
【0045】
また、オーバーフロー方式を用いたことにより、複数の電解槽の水位を一定に保つことが容易になった。
【0046】
さらに、オーバーフロー方式を用いたことにより、複数の電解槽内の電解液を一か所の流入口から濾過装置部に送ることができ、濾過装置部で濾過した後の電解液を一か所の流入口から電解槽内に戻すことができる。そのため、一つの循環装置部で複数の電解槽内の電解液を循環させることが可能になる。また、電解槽への電解液の流入及び流出が容易であり、メンテナンス性が良いマグネシウム発電システムを提供することができる。
【0047】
図3は、本実施例に係るマグネシウム発電システム1の具体的な構成を例示する斜視図である。ただし、内部の様子を可視化するために最も手前のタンデム電解槽の第3発電層5
3は、あえて不可視とした。
図3に示すように、第1発電層3
1の上に第2発電層3
2が配置されている。また、第2発電層3
2の上に第3発電層3
3が配置されている。さらに、最も手前のタンデム電解槽の第2発電層において、8つの直列に接続されたマグネシウム電池部が層状に配列されていることが見てとれる。その他の発電層も同様に8つのマグネシウム電池部を有する構成となっている。
【0048】
また、本実施例に係るマグネシウム発電システム1は、バックパック等に入れて持ち運べることに適したサイズに小型化することが可能である。そのため、人が片手で持ち運びしやすいように取っ手51を備える。
【0049】
本実施例では、横に並べた電解槽同士を電気的に直列に接続した。しかし、積み重ねた電解槽同士を電気的に直列に接続してもよい。また、横に並べた電解槽同士が電気的に並列に接続されるものであってもよい。いずれにせよ、高い出力電圧や大電流といった高出力、かつ、省スペースのマグネシウム発電システム等を提供することが可能となる。