(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179369
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】蓄電システム、サーバコンピュータ、制御方法およびコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 3/32 20060101AFI20241219BHJP
H02J 3/38 20060101ALI20241219BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J7/35 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098160
(22)【出願日】2023-06-15
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年10月24日 株式会社NEXTAGE GROUPに資料を送付して公開 令和4年11月4日 ECO信頼サービス株式会社に資料を送付して公開 令和4年11月10日 株式会社novisに資料を送付して公開 令和4年11月11日 株式会社日本エコライフに資料を送付して公開 令和4年11月25日 九州電力株式会社に資料を送付して公開 令和4年12月1日 ハンファQセルズジャパン株式会社に資料を送付して公開 令和4年12月23日 株式会社セブン-イレブンジャパンに資料を送付して公開 令和5年1月27日 マテリアルエード株式会社に資料を送付して公開 令和5年2月17日 ブルーコンシャスグループ株式会社に資料を送付して公開 令和5年4月12日 TEPCOホームテック株式会社に資料を送付して公開 令和5年4月20日 中部電力ミライズ株式会社に資料を配布して公開 令和5年4月28日 株式会社エネルギア・ソリューション・アンド・サービスに資料を配布して公開
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099933
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 敏
(74)【代理人】
【識別番号】100124028
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 公雄
(74)【代理人】
【識別番号】100078813
【弁理士】
【氏名又は名称】上代 哲司
(74)【代理人】
【識別番号】100094477
【弁理士】
【氏名又は名称】神野 直美
(72)【発明者】
【氏名】中島 由晴
(72)【発明者】
【氏名】綾井 直樹
(72)【発明者】
【氏名】秋田 哲男
(72)【発明者】
【氏名】小野 愛実
(72)【発明者】
【氏名】奥村 俊明
【テーマコード(参考)】
5G066
5G503
【Fターム(参考)】
5G066HB06
5G066HB09
5G066JA07
5G066JB03
5G503AA01
5G503AA06
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA08
5G503DA07
5G503DA18
5G503GB06
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】少ない計算コストにより、買電力量を小さくできる蓄電システム、サーバコンピュータ、制御方法およびコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】蓄電システムは、発電装置の電力により蓄電池を充電し、所定の夜間充電期間に系統から供給される電力により蓄電池を充電する充電部と、夜間充電期間における蓄電池の充電目標値である夜間充電容量を決定する制御部とを含み、制御部は、夜間充電期間の開始時を含む当日における所定期間において系統から購入した電力量を表す買電力量と所定期間において系統に販売した電力量を表す売電力量とに基づいて、前日以前に使用された夜間充電容量を修正することにより夜間充電容量を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置の電力により蓄電池を充電し、所定の夜間充電期間には系統から供給される電力により前記蓄電池を充電する充電部と、
前記夜間充電期間における前記蓄電池の充電目標値である夜間充電容量を決定する制御部とを含み、
前記制御部は、前記夜間充電期間の開始時を含む当日における所定期間において前記系統から購入した電力量を表す買電力量と前記所定期間において前記系統に販売した電力量を表す売電力量とに基づいて、前日以前に使用された前記夜間充電容量を修正することにより前記夜間充電容量を決定する、蓄電システム。
【請求項2】
前記買電力量は、前記夜間充電期間において前記系統から購入した電力量のうち前記蓄電池の充電に使用された電力量を除いた電力量を含む、請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記買電力量および第1重み係数の積と前記売電力量および第2重み係数の積との差に基づいて、前日以前に使用された前記夜間充電容量を修正することにより前記夜間充電容量を決定する、請求項1または請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項4】
前記発電装置の発電電力量は、天気に依存し、
前記制御部は、前日に発表された当日の昼間の天気予報が当日の昼間の天気と異なっていれば、前記差に基づいて、前記前日以前に使用された前記夜間充電容量を修正することなく前記夜間充電量を決定する、請求項3に記載の蓄電システム。
【請求項5】
前記発電装置は、太陽光発電装置を含む、請求項4に記載の蓄電システム。
【請求項6】
前記昼間の前日に発表された当該昼間の天気予報、および、当該昼間において発表された当該昼間の天気予報に基づく天気実績の各々は複数のランクに分類され、
前記制御部は、前記天気予報の前記ランクと前記夜間充電容量の候補である充電容量とを対応させて記憶する記憶部を含み、
前記制御部は、前記夜間充電期間に続く昼間の天気予報のランクに対応する、前記記憶部に記憶された前記充電容量を、前記夜間充電期間の前記夜間充電容量として決定し、
前記記憶部に記憶された前記充電容量は、前記昼間の前記天気予報のランクおよび前記天気実績のランクが同じであれば変更される、請求項5に記載の蓄電システム。
【請求項7】
前記制御部は、
前記天気予報のランクと前記天気実績のランクとが一致するか否かを判定し、
前記天気予報のランクと前記天気実績のランクとが一致したことを受けて、一致した当該ランクに対応する前記記憶部に記憶された前記充電容量を、一致した前記ランクに対応する前記記憶部に記憶された前記充電容量をCCo、前記差をΔ、定数をKとして、CCo+K×Δにより更新し、
前記天気予報のランクと前記天気実績のランクとが一致しなかったことを受けて、前記記憶部に記憶された前記充電容量を維持する、請求項6に記載の蓄電システム。
【請求項8】
天気予報の予報区毎に関して、前記天気予報のランクと前記天気実績のランクとが一致するか否かを判定するサーバコンピュータと通信し、
前記制御部は、
前記蓄電池が設置されているエリアを特定するエリア特定情報と、前記記憶部に記憶されている前記天気予報の前記ランクおよび前記夜間充電容量の候補である充電容量と、前記買電力量および前記売電力量とを前記サーバコンピュータに送信し、
前記サーバコンピュータから受信したランクに対応する、前記記憶部に記憶されている前記充電容量を、前記サーバコンピュータから受信した新たな充電容量により更新し、
前記サーバコンピュータから受信した前記ランクは、前記エリア特定情報から前記サーバコンピュータにより特定された前記予報区の前記天気実績に対応するランクであり、
前記サーバコンピュータから受信した前記新たな充電容量は、
前記エリア特定情報から特定された前記予報区に関して、前記天気予報のランクと前記天気実績のランクとが一致する場合、一致した当該ランクに対応する、前記制御部から受信した前記電容量をCCo、前記差をΔ、定数をKとして、CCo+K×Δにより、前記サーバコンピュータにより算出された値であり、
前記エリア特定情報から特定された前記予報区に関して、前記天気予報のランクと前記天気実績のランクとが一致しなかった場合、前記制御部から前記サーバコンピュータにより受信された前記充電容量のうち前記天気実績のランクに対応する充電容量である、請求項6に記載の蓄電システム。
【請求項9】
前記天気予報は、前記昼間を複数の時間帯に分割した場合の前記時間帯毎の天気情報を含み、
前記天気予報の前記ランクは、前記天気情報に対応するスコアと前記時間帯に対応する重みとを乗算した値を、前記複数の時間帯に関して加算して得られた合計スコアに基づいて決定される、請求項6に記載の蓄電システム。
【請求項10】
修正される前記夜間充電容量は、前記当日が属するランクに基づいて決定され、
前記ランクは、前記買電力量および前記売電力量に影響する、周期的に繰返される繰返し期間に基づいて設定される、請求項1または請求項2に記載の蓄電システム。
【請求項11】
前記繰返し期間は、1年を構成する複数の期間を含む、請求項10に記載の蓄電システム。
【請求項12】
前記繰返し期間は、曜日を含む、請求項10に記載の蓄電システム。
【請求項13】
前記繰返し期間は、休日および平日を含む、請求項10に記載の蓄電システム。
【請求項14】
予報区毎の天気予報を記憶する記憶部と、
前記予報区毎に関して、前日に発表された当日の昼間の天気予報のランクと、前記昼間に発表された前記天気予報に基づく天気実績のランクとが一致するか否かを判定する判定部と、
蓄電池が設置されている設置エリアを特定するエリア特定情報と、前記天気予報のランク、および、所定の夜間充電期間における前記蓄電池の充電目標値である夜間充電容量の候補である充電容量と、前記夜間充電期間を含む当日における所定期間において系統から購入した電力量を表す買電力量と、前記所定期間において前記系統に販売した電力量を表す売電力量とを、外部装置から受信する受信部と、
前記エリア特定情報により特定される前記予報区に関して、
前記判定部により、前記天気予報のランクと前記天気実績のランクとが一致したと判定されたことを受けて、一致した当該ランクに対応する、前記外部装置から受信した前記充電容量をCCo、前記買電力量および第1重み係数の積と前記売電力量および第2重み係数の積との差をΔ、定数をKとして、CCo+K×Δを新たな充電容量として決定し、
前記判定部により、前記天気予報のランクと前記天気実績のランクとが一致しないと判定されたことを受けて、前記天気実績のランクに対応する、前記外部装置から受信した前記充電容量を、新たな充電容量として決定する決定部と、
前記エリア特定情報により特定される前記予報区の前記天気実績に対応するランクおよび前記新たな充電容量を、前記外部装置に送信する送信部とを含む、サーバコンピュータ。
【請求項15】
蓄電システムに含まれる制御部により実行される制御方法であって、
発電装置の電力により蓄電池を充電するステップと、
所定の夜間充電期間には系統から供給される電力により前記蓄電池を充電するステップと、
前記夜間充電期間の開始時を含む当日における所定期間において前記系統から購入した電力量を表す買電力量と前記所定期間において前記系統に販売した電力量を表す売電力量とに基づいて、前日以前に使用された前記夜間充電容量を修正することにより、前記夜間充電期間における前記蓄電池の充電目標値である夜間充電容量を決定するステップとを含む、制御方法。
【請求項16】
サーバコンピュータにより実行される制御方法であって、
予報区毎の天気予報を記憶する記憶ステップと、
前記予報区毎に関して、前日に発表された当日の昼間の天気予報のランクと、前記昼間に発表された前記天気予報に基づく天気実績のランクとが一致するか否かを判定する判定ステップと、
蓄電池が設置されている設置エリアを特定するエリア特定情報と、前記天気予報のランク、および、所定の夜間充電期間における前記蓄電池の充電目標値である夜間充電容量の候補である充電容量と、前記夜間充電期間の開始時を含む当日における所定期間において系統から購入した電力量を表す買電力量と、前記所定期間において前記系統に販売した電力量を表す売電力量とを、外部装置から受信する受信ステップと、
前記エリア特定情報により特定される前記予報区に関して、
前記判定ステップにより、前記天気予報のランクと前記天気実績のランクとが一致したと判定されたことを受けて、一致した当該ランクに対応する、前記外部装置から受信した前記充電容量をCCo、前記買電力量および第1重み係数の積と前記売電力量および第2重み係数の積との差をΔ、定数をKとして、CCo+K×Δを新たな充電容量として決定し、
前記判定ステップにより、前記天気予報のランクと前記天気実績のランクとが一致しないと判定されたことを受けて、前記天気実績のランクに対応する、前記外部装置から受信した前記充電容量を、新たな充電容量として決定する決定ステップと、
前記エリア特定情報により特定される前記予報区の前記天気実績に対応するランクおよび前記新たな充電容量を、前記外部装置に送信する送信ステップとを含む、制御方法。
【請求項17】
蓄電システムを制御するコンピュータに、
発電装置の電力により蓄電池を充電する機能と、
所定の夜間充電期間に系統から供給される電力により前記蓄電池を充電する機能と、
前記夜間充電期間の開始時を含む当日における所定期間において系統から購入した電力量を表す買電力量と前記所定期間において前記系統に販売した電力量を表す売電力量とに基づいて、前日以前に使用された前記夜間充電容量を修正することにより前記夜間充電容量を決定する機能とを実現させる、コンピュータプログラム。
【請求項18】
サーバコンピュータに、
予報区毎の天気予報を記憶する記憶機能と、
前記予報区毎に関して、前日に発表された当日の昼間の天気予報のランクと、前記昼間に発表された前記天気予報に基づく天気実績のランクとが一致するか否かを判定する判定機能と、
蓄電池が設置されている設置エリアを特定するエリア特定情報と、前記天気予報のランク、および、所定の夜間充電期間における前記蓄電池の充電目標値である夜間充電容量の候補である充電容量と、前記夜間充電期間の開始時を含む当日における所定期間において系統から購入した電力量を表す買電力量と、前記所定期間において前記系統に販売した電力量を表す売電力量とを、外部装置から受信する受信機能と、
前記エリア特定情報により特定される前記予報区に関して、
前記判定機能により、前記天気予報のランクと前記天気実績のランクとが一致したと判定されたことを受けて、一致した当該ランクに対応する、前記外部装置から受信した前記充電容量をCCo、前記買電力量および第1重み係数の積と前記売電力量および第2重み係数の積との差をΔ、定数をKとして、CCo+K×Δを新たな充電容量として決定し、
前記判定機能により、前記天気予報のランクと前記天気実績のランクとが一致しないと判定されたことを受けて、前記天気実績のランクに対応する、前記外部装置から受信した前記充電容量を、新たな充電容量として決定する決定機能と、
前記エリア特定情報により特定される前記予報区の前記天気実績に対応するランクおよび前記新たな充電容量を、前記外部装置に送信する送信機能とを実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電システム、サーバコンピュータ、制御方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光パネル(以下、PV(Photovoltaic)パネルという)が発電した電力を蓄電池に充電することが可能な蓄電システムが知られている。電力系統(以下、系統という)から供給される電力の料金に関して、夜間の電気料金が昼間の電気料金よりも安価であれば、蓄電システムは、系統からの電力により夜間に蓄電池を充電する。昼間において、PVパネルが十分に発電できない場合(例えば、曇り、雨天等)、蓄電システムは、蓄電池に貯めた電力を放電することにより負荷に電力を供給する。これにより、系統から買う電力量(以下、買電力量という)を抑制できる。
【0003】
一方、PVパネルの発電電力が負荷の消費電力よりも大きい場合、蓄電システムは、PVパネルの余剰電力を蓄電池に充電する。このとき、蓄電池が満充電状態であれば、余剰電力により蓄電池を充電できない。この場合、PVパネルの余剰電力は、系統に逆潮流されて余剰電力が系統に販売(売電)される。しかし、売電する余剰電力を自家消費電力として利用すれば、買電力量をより抑制できる。即ち、自家消費電力の最大化の観点からは、売電する電力を少なくするのが好ましい。そのためには、夜間に蓄電池を充電する充電容量を適切に設定して、蓄電池を充電できない状態を回避する必要がある。
【0004】
下記特許文献1には、デマンドレスポンスへの参加が可能になるように蓄電装置における充電量を適切に制御する充放電制御装置が開示されている。この充放電制御装置は、翌日の気象予測情報と、昼間時間帯における過去の消費電力情報と、蓄電装置の残量とに基づいて、夜間時間帯における充電量を算出する。翌日の気象予測情報として、翌日の気温(最高気温および最低気温)、日射量、気圧(最高気圧および変化量)等に係る予測情報が用いられる。夜間時間帯における充電量を算出するための算出式は複数のパラメータを含む。これらのパラメータはロジスティック回帰により推定される。具体的には、ロジスティック回帰による推定においては、翌日の発電装置の余剰電力が多い場合および少ない場合のデータセットを用意し、尤度関数が最大となるパラメータ行列を算出する。ロジスティック回帰において、説明変数行列が、日射量、最高気温、最低気温および最高気圧の各々に係る予測情報と、蓄電装置の残量と、前日から7日前の消費電力情報とを含む場合、説明変数の数は12となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1においては、蓄電装置の夜間充電量の決定にロジスティック回帰を用いるので、計算負荷が大きく、多くの計算リソースが必要となる。そのため、特許文献1に記載の技術は、計算コストが大きいという問題がある。
【0007】
したがって、本開示は、少ない計算コストにより、買電力量を小さくできる蓄電システム、サーバコンピュータ、制御方法およびコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面に係る蓄電システムは、発電装置の電力により蓄電池を充電し、所定の夜間充電期間に系統から供給される電力により蓄電池を充電する充電部と、夜間充電期間における蓄電池の充電目標値である夜間充電容量を決定する制御部とを含み、制御部は、夜間充電期間の開始時を含む当日における所定期間において系統から購入した電力量を表す買電力量と所定期間において系統に販売した電力量を表す売電力量との差に基づいて、前日以前に使用された夜間充電容量を修正することにより夜間充電容量を決定する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、少ない計算コストにより、買電力量を小さくできる蓄電システム、サーバコンピュータ、制御方法およびコンピュータプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る蓄電システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したコントローラの構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した第1サーバの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、天気予報の発表タイミングと夜間充電期間との関係等を示す模式図である。
【
図5】
図5は、コントローラによる夜間充電容量を決定する動作を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、コントローラの記憶部に記憶されるデータを示す模式図である。
【
図7】
図7は、第1サーバの機能的構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、サーバの記憶部に記憶されるデータを示すブロック図である。
【
図9】
図9は、第1サーバの動作を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、変形例に係る蓄電システムのコントローラの機能的構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の実施形態の内容を列記して説明する。以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組合せてもよい。
【0012】
(1)本開示の第1の局面に係る蓄電システムは、発電装置の電力により蓄電池を充電し、所定の夜間充電期間に系統から供給される電力により蓄電池を充電する充電部と、夜間充電期間における蓄電池の充電目標値である夜間充電容量を決定する制御部とを含み、制御部は、夜間充電期間の開始時を含む当日における所定期間において系統から購入した電力量を表す買電力量と所定期間において系統に販売した電力量を表す売電力量とに基づいて、前日以前に使用された夜間充電容量を修正することにより夜間充電容量を決定する。これにより、少ない計算コストにより、買電力量を小さくできる。また、例えば、機械学習に必要となる大量のサンプルデータを長期間保存する必要がない。
【0013】
(2)上記(1)において、買電力量は、夜間充電期間において系統から購入した電力量のうち蓄電池の充電に使用された電力量を除いた電力量を含んでいてもよい。これにより、蓄電池の適切な夜間充電容量を決定できる。
【0014】
(3)上記(1)または(2)において、制御部は、買電力量および第1重み係数の積と売電力量および第2重み係数の積との差に基づいて、前日以前に使用された夜間充電容量を修正することにより夜間充電容量を決定してもよい。これにより、より適切な夜間充電容量を決定できる。
【0015】
(4)上記(3)において、発電装置の発電電力量は、天気に依存してもよく、制御部は、前日に発表された当日の昼間の天気予報が当日の昼間の天気と異なっていれば、差に基づいて、前日以前に使用された夜間充電容量を修正することなく夜間充電量を決定してもよい。これにより、天気により発電電力量が変動する発電装置(例えば、太陽光発電装置または風力発電装置)の電力により蓄電池を充電する蓄電システムにおいて、適切な夜間充電容量を決定できる。
【0016】
(5)上記(4)において、発電装置は、太陽光発電装置を含んでいてもよい。これにより、天気により発電電力量が変動する太陽光発電装置の電力により蓄電池を充電する蓄電システムにおいて、適切な夜間充電容量を決定できる。
【0017】
(6)上記(5)において、昼間の前日に発表された当該昼間の天気予報、および、当該昼間において発表された当該昼間の天気予報に基づく天気実績の各々は複数のランクに分類されていてもよく、制御部は、天気予報のランクと夜間充電容量の候補である充電容量とを対応させて記憶する記憶部を含んでいてもよく、制御部は、夜間充電期間に続く昼間の天気予報のランクに対応する、記憶部に記憶された充電容量を、夜間充電期間の夜間充電容量として決定してもよく、記憶部に記憶された充電容量は、昼間の天気予報のランクおよび天気実績のランクが同じであれば変更されてもよい。これにより、買電力量を小さくするために適切な蓄電池の夜間充電容量を効率的に決定でき、夜間充電容量の精度を向上できる。
【0018】
(7)上記(6)において、制御部は、天気予報のランクと天気実績のランクとが一致するか否かを判定してもよく、天気予報のランクと天気実績のランクとが一致したことを受けて、一致した当該ランクに対応する記憶部に記憶された充電容量を、一致したランクに対応する記憶部に記憶された充電容量をCCo、差をΔ、定数をKとして、CCo+K×Δにより更新してもよく、天気予報のランクと天気実績のランクとが一致しなかったことを受けて、記憶部に記憶された充電容量を維持してもよい。これにより、発電量を予測することなく、発電電力の自家消費を大きくし、買電力量を小さくできる夜間充電容量を自動的に決定できる。
【0019】
(8)上記(6)において、天気予報の予報区毎に関して、天気予報のランクと天気実績のランクとが一致するか否かを判定するサーバコンピュータと通信してもよく、制御部は、蓄電池が設置されているエリアを特定するエリア特定情報と、記憶部に記憶されている天気予報のランクおよび夜間充電容量の候補である充電容量と、買電力量および売電力量とをサーバコンピュータに送信し、サーバコンピュータから受信したランクに対応する、記憶部に記憶されている充電容量を、サーバコンピュータから受信した新たな充電容量により更新してもよく、サーバコンピュータから受信したランクは、エリア特定情報からサーバコンピュータにより特定された予報区の天気実績に対応するランクであってもよく、サーバコンピュータから受信した新たな充電容量は、エリア特定情報から特定された予報区に関して、天気予報のランクと天気実績のランクとが一致する場合、一致した当該ランクに対応する、制御部から受信した電容量をCCo、差をΔ、定数をKとして、CCo+K×Δにより、サーバコンピュータにより算出された値であり、エリア特定情報から特定された予報区に関して、天気予報のランクと天気実績のランクとが一致しなかった場合、制御部からサーバコンピュータにより受信された充電容量のうち天気実績のランクに対応する充電容量であってもよい。これにより、各エリアに配置された各蓄電システムにおいて、夜間充電容量の決定に要する計算コストを低減でき、夜間充電容量を効率的に決定できる。
【0020】
(9)上記(6)から(8)のいずれか1つにおいて、天気予報は、昼間を複数の時間帯に分割した場合の時間帯毎の天気情報を含んでいてもよく、天気予報のランクは、天気情報に対応するスコアと時間帯に対応する重みとを乗算した値を、複数の時間帯に関して加算して得られた合計スコアに基づいて決定されてもよい。これにより、天気予報のランクを効率的に決定できる。スコアおよび重みを調整することにより、発電電力に応じた適切なランクを決定でき、夜間充電容量の精度を向上できる。
【0021】
(10)上記(1)または(2)において、修正される夜間充電容量は、当日が属するランクに基づいて決定されてもよく、ランクは、買電力量および売電力量に影響する、周期的に繰返される繰返し期間に基づいて設定されてもよい。これにより、買電力量および売電力量の周期的な変動を考慮して、適切な夜間充電容量を決定できる。
【0022】
(11)上記(10)において、繰返し期間は、1年を構成する複数の期間を含んでいてもよい。これにより、月または季節等に応じて、適切な夜間充電容量を決定できる。季節は、例えば、春(例えば3月から5月まで)、夏(例えば、6月から8月まで)、秋(例えば、9月から11月まで)、および冬(例えば、12月から翌年の2月まで)である。
【0023】
(12)上記(10)において、繰返し期間は、曜日を含んでいてもよい。これにより、曜日に応じて、適切な蓄電池の夜間充電容量を決定できる。
【0024】
(13)上記(10)において、繰返し期間は、休日および平日を含んでいてもよい。これにより、休日および平日のいずれかに応じて、適切な夜間充電容量を決定できる。休日は、例えば、土曜、日曜および祝日を含む。
【0025】
(14)本開示の第2の局面に係るサーバコンピュータは、予報区毎の天気予報を記憶する記憶部と、予報区毎に関して、前日に発表される、当日の昼間の天気予報のランクと、昼間に発表された天気予報に基づく天気実績のランクとが一致するか否かを判定する判定部と、蓄電池が設置されている設置エリアを特定するエリア特定情報と、天気予報のランク、および、所定の夜間充電期間における蓄電池の充電目標値である夜間充電容量の候補である充電容量と、夜間充電期間を含む当日における所定期間において系統から購入した電力量を表す買電力量と、所定期間において系統に販売した電力量を表す売電力量とを、外部装置から受信する受信部と、エリア特定情報により特定される予報区に関して、判定部により、天気予報のランクと天気実績のランクとが一致したと判定されたことを受けて、一致した当該ランクに対応する、外部装置から受信した充電容量をCCo、買電力量および第1重み係数の積と売電力量および第2重み係数の積との差をΔ、定数をKとして、CCo+K×Δを新たな充電容量として決定し、判定部により、天気予報のランクと天気実績のランクとが一致しないと判定されたことを受けて、天気実績のランクに対応する、外部装置から受信した充電容量を、新たな充電容量として決定する決定部と、エリア特定情報により特定される予報区の天気実績に対応するランクおよび新たな充電容量を、外部装置に送信する送信部とを含む。これにより、蓄電システムにおいて、少ない計算コストにより、買電力量を小さくできる。
【0026】
(15)本開示の第3の局面に係る制御方法は、蓄電システムに含まれる制御部により実行される制御方法であって、発電装置の電力により蓄電池を充電するステップと、所定の夜間充電期間には系統から供給される電力により蓄電池を充電するステップと、夜間充電期間の開始時を含む当日における所定期間において系統から購入した電力量を表す買電力量と所定期間において系統に販売した電力量を表す売電力量とに基づいて、前日以前に使用された夜間充電容量を修正することにより、夜間充電期間における蓄電池の充電目標値である夜間充電容量を決定するステップとを含む。これにより、蓄電システムにおいて、少ない計算コストにより、買電力量を小さくできる。
【0027】
(16)本開示の第4の局面に係る制御方法は、サーバコンピュータにより実行される制御方法であって、予報区毎の天気予報を記憶する記憶ステップと、予報区毎に関して、前日に発表された当日の昼間の天気予報のランクと、昼間に発表された天気予報に基づく天気実績のランクとが一致するか否かを判定する判定ステップと、蓄電池が設置されている設置エリアを特定するエリア特定情報と、天気予報のランク、および、所定の夜間充電期間における蓄電池の充電目標値である夜間充電容量の候補である充電容量と、夜間充電期間の開始時を含む当日における所定期間において系統から購入した電力量を表す買電力量と、所定期間において系統に販売した電力量を表す売電力量とを、外部装置から受信する受信ステップと、エリア特定情報により特定される予報区に関して、判定ステップにより、天気予報のランクと天気実績のランクとが一致したと判定されたことを受けて、一致した当該ランクに対応する、外部装置から受信した充電容量をCCo、買電力量および第1重み係数の積と売電力量および第2重み係数の積との差をΔ、定数をKとして、CCo+K×Δを新たな充電容量として決定し、判定ステップにより、天気予報のランクと天気実績のランクとが一致しないと判定されたことを受けて、天気実績のランクに対応する、外部装置から受信した充電容量を、新たな充電容量として決定する決定ステップと、エリア特定情報により特定される予報区の天気実績に対応するランクおよび新たな充電容量を、外部装置に送信する送信ステップとを含む。これにより、蓄電システムにおいて、少ない計算コストにより、買電力量を小さくできる。
【0028】
(17)本開示の第5の局面に係るコンピュータプログラムは、蓄電システムを制御するコンピュータに、発電装置の電力により蓄電池を充電する機能と、所定の夜間充電期間に系統から供給される電力により蓄電池を充電する機能と、夜間充電期間の開始時を含む当日における所定期間において系統から購入した電力量を表す買電力量と所定期間において系統に販売した電力量を表す売電力量とに基づいて、前日以前に使用された夜間充電容量を修正することにより夜間充電容量を決定する機能とを実現させる。これにより、蓄電システムにおいて、少ない計算コストにより、買電力量を小さくできる。
【0029】
(18)本開示の第6の局面に係るコンピュータプログラムは、サーバコンピュータに、予報区毎の天気予報を記憶する記憶機能と、予報区毎に関して、前日に発表された当日の昼間の天気予報のランクと、昼間に発表された天気予報に基づく天気実績のランクとが一致するか否かを判定する判定機能と、蓄電池が設置されている設置エリアを特定するエリア特定情報と、天気予報のランク、および、所定の夜間充電期間における蓄電池の充電目標値である夜間充電容量の候補である充電容量と、夜間充電期間の開始時を含む当日における所定期間において系統から購入した電力量を表す買電力量と、所定期間において系統に販売した電力量を表す売電力量とを、外部装置から受信する受信機能と、エリア特定情報により特定される予報区に関して、判定機能により、天気予報のランクと天気実績のランクとが一致したと判定されたことを受けて、一致した当該ランクに対応する、外部装置から受信した充電容量をCCo、買電力量および第1重み係数の積と売電力量および第2重み係数の積との差をΔ、定数をKとして、CCo+K×Δを新たな充電容量として決定し、判定機能により、天気予報のランクと天気実績のランクとが一致しないと判定されたことを受けて、天気実績のランクに対応する、外部装置から受信した充電容量を、新たな充電容量として決定する決定機能と、エリア特定情報により特定される予報区の天気実績に対応するランクおよび新たな充電容量を、外部装置に送信する送信機能とを実行させる。これにより、蓄電システムにおいて、少ない計算コストにより、買電力量を小さくできる。
【0030】
[本開示の実施形態の詳細]
以下の実施形態においては、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0031】
(システム構成)
図1を参照して、本開示の実施形態に係る蓄電システム100は、本体装置102、コントローラ104およびPVパネル106を含む。蓄電システム100は、例えば住宅に設置される。本体装置102およびPVパネル106は屋外に配置され、コントローラ104は屋内に配置される。コントローラ104は、例えばリモコンである。コントローラ104は、翌日の天気予報に応じて、本体装置102に含まれる蓄電池122の夜間充電容量を自動的に決定する機能を有する。
【0032】
本体装置102は、PCS(Power Conditioning System)120および蓄電池122を含む。蓄電池122は、リチウムイオン二次電池等の充放電可能な蓄電池である。蓄電池122は、直流電源として機能する。PCS120は、双方向のDC/ACコンバータを含み、蓄電池122の放電により蓄電池122から出力される直流電力を交流電力に変換して出力する。PCS120から出力される交流電力は負荷202に供給される。また、PCS120は、系統電源200から電力量計110を介して供給される交流電力を直流電力に変換し、蓄電池122を充電する。さらに、PCS120は、PVパネル106により発電される直流電力を交流電力に変換して出力する。これにより、PVパネル106による発電電力は負荷202に供給される。
【0033】
PCS120は、PVパネル106による発電電力のうち、負荷202により消費される電力を除いた余剰電力により蓄電池122を充電する。即ち、PCS120は、DC/DCコンバータを含み、PVパネル106から供給される直流電力の電圧を、蓄電池122の充電に適した電圧に変換し、これにより蓄電池122を充電する。PVパネル106の余剰電力により蓄電池122を充電できない場合、余剰電力は系統電源200に出力(即ち売電)され得る。
【0034】
PVパネル106は、直列接続された複数の太陽電池セルが平面に配置され、強化ガラス等が用いられて封止されたものである。PVパネル106は、直流電源として機能する。PVパネル106から出力される直流電力はPCS120に供給されて交流電力に変換され、負荷202に供給される。
図1においては、1つのPVパネル106を示しているが、PVパネル106は複数配置されていてもよい。その場合、複数のPVパネル106の各々に対応させて、PCS120に入力端子を設ければよい。
【0035】
負荷202には、電力量計110を介して系統電源200から交流電力が供給される。電力量計110は、系統電源200から供給される電力(即ち買電力)および系統電源200に出力する電力(即ち売電力)を計量する。電力量計110により計量された買電力および売電力は、例えばコントローラ104に入力され、所定期間において集計(時間積分)されて、それぞれ買電力量および売電力量が算出される。なお、電力量計110と、本体装置102および負荷202との間には分電盤(図示せず)が配置されている。分電盤は、契約ブレーカおよび漏電遮断器等を含む。
【0036】
コントローラ104は、本体装置102のPCS120と通信可能に接続されており、蓄電システム100の状態(例えば、PVパネル106の発電状態、蓄電池122の充電状態および放電状態等)をユーザに提示し、ユーザにより蓄電システム100の動作条件の設定を受け付ける。
図2を参照して、コントローラ104は、制御部130、記憶部132、通信部134、表示部136、操作部138、タイマ140およびバス142を含む。各部間のデータ交換はバス142を介して行われる。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部132は、例えば、書換可能な不揮発性の半導体メモリであり、制御部130が実行するコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を記憶している。制御部130は、記憶部132を、処理を実行するためのワークメモリとしても利用し、実行した処理の結果を適宜記憶部132に記憶する。コントローラ104の機能は、制御部130が記憶部132に記憶されているプログラムを読出して実行することにより実現される。
【0037】
通信部134は、PCS120およびルータ112との通信機能を有する。通信部134とPCS120との通信は、例えば有線通信であり、通信部134とルータ112との通信は、例えば無線通信である。ルータ112は、ローカルネットワークをインターネット等の公衆のネットワーク214に接続する。ルータ112は、例えば無線LAN(Local Area Network)ルータ(例えばWi-Fiルータ)である。これにより、コントローラ104は、ルータ112およびネットワーク214を介して、サーバコンピュータである第1サーバ210および第2サーバ212と通信できる。
【0038】
表示部136は、蓄電システム100に関する情報を表示するための装置であり、例えば液晶パネルである。操作部138は、コントローラ104に対する指示を入力するための装置であり、例えばタッチパネルである。表示部136および操作部138は、例えば、液晶パネルにタッチパネルが重畳された一体の装置として構成され得る。タイマ140は、制御部130からの要求を受けて制御部130に現在時刻を返信する。
【0039】
図3を参照して、第1サーバ210は、制御部220、記憶部222、通信部224、タイマ226およびバス228を含む。第2サーバ212も第1サーバ210と同様に構成されている。制御部220が、例えばCPUであり、第1サーバ210の各部を制御することにより、後述する第1サーバ210の機能を実現する。記憶部222は、書換可能な半導体の不揮発性メモリおよびハードディスクドライブ等の大容量記憶装置を含む。記憶部222は、制御部220が実行するプログラムを記憶している。通信部224は、ネットワーク214を介して外部装置(例えばルータ112)との通信を行う。通信部224により受信されたデータは、記憶部222に伝送されて記憶される。タイマ226は、制御部220からの要求を受けて制御部220に現在時刻を返信する。各部間におけるデータ交換は、バス228を介して行われる。
【0040】
第2サーバ212は、天気予報を提供する機能を有する。第2サーバ212は、天気予報のデータベースを保持し、外部からの要求に応じて天気予報を返信する。第2サーバ212は、例えば気象庁に設置されているサーバであり、日本全国における予報区毎の天気予報を発表する。なお、「発表」とは、外部からの天気予報の要求に対して、最新の天気予報を提供する準備ができている状態にあることを意味する。「予報区」は、例えば、各都道府県を複数に区分して決定された領域を意味する。「天気予報」には、例えば発表時から翌日までにおける所定時間(例えば3時間)毎の天気情報が含まれる。天気とは、気温、湿度、風、雲量、視程、雨、雪、雷等の気象に関係する要素を総合した大気の状態を意味し、「天気情報」は、例えば「晴」、「曇」、「雨」、「雨または雪」、「雪」の5種類により表される。PVパネル106の発電電力は、天気に依存し、晴、曇、雨、雨または雪、雪の順に減少する。
【0041】
(天気予報と夜間充電容量との関係)
第1サーバ210は、第2サーバ212から天気予報データを取得し、コントローラ104からの要求を受けて、蓄電システム100が設置されたエリア(即ち予報区)における天気予報に基づいて、コントローラ104が蓄電池122の適切な夜間充電容量を決定するために必要となる情報を提供する。夜間充電は、翌日のPVパネル106の発電状態に対応するためのものである。即ち、PVパネル106の発電量が多く余剰電力が生じる場合には余剰電力により蓄電池122が充電でき、PVパネル106の発電量が少ない場合には、蓄電池122の放電により負荷に電力を供給し、買電力を低減するために、夜間充電が行われる。PVパネル106による発電電力は天気によって変化するので、これに対応した蓄電池の夜間充電容量を決定するには、天気予報を考慮することが必要となる。
【0042】
図4に、第2サーバ212により発表される天気予報と、天気予報に基づいて、コントローラ104により決定される夜間充電容量との関係を模式的に示す。
図4において、上方に示した右向きの矢印は時間軸を表し、n日からn+2日の3日間が示されている。t1からt9を付した下向きの矢印は、第2サーバ212が天気予報を発表する時刻を示している。例えば、第2サーバ212は、天気予報を、毎日5時、11時および17時に発表する。各時刻に発表される天気予報は、各予報区に関する、発表時刻から翌日までの3時間毎の天気情報を含む。
図4においては、各天気予報に、どの期間の天気情報が含まれるかを斜線により示している。例えば、n日の時刻t1(即ち5時)に発表された天気予報は、n日の6時から翌日(n+1日)の24時までの天気情報を含む。n日の時刻t2(即ち11時)に発表された天気予報は、n日の12時から翌日(n+1日)の24時までの天気情報を含む。n日の時刻t3(即ち17時)に発表された天気予報は、n日の18時から翌日(n+1日)の24時までの天気情報を含む。第1サーバ210は、記憶部222に、例えば、連続する2日間に発表された天気予報を記憶しておけばよい。第1サーバ210により新たな1日間の天気予報が取得された場合、最も古い1日間の天気予報は削除されてもよい。
【0043】
図4において、「太陽光発電期間」は、日照が期待される昼間(例えば、6時から18時まで)を意味し、この間にPVパネル106による発電が行われ得る。「夜間充電期間」は、日照が期待されない夜間のうち、蓄電池122が、系統電源200から供給される電力(即ち夜間電力)により充電され得る期間(例えば、22時から翌日の6時まで)を意味する。夜間充電期間の下には、括弧を付して、蓄電池122の充電容量の上限値である夜間充電容量を示す。即ち、n日とn+1日にまたがる夜間充電期間における夜間充電容量はSOC1であり、n+1日とn+2日にまたがる夜間充電期間における夜間充電容量はSOC2である。
【0044】
後述するように、コントローラ104は、夜間充電容量を、翌日の天気予報のうち、太陽光発電期間に関する最新の天気予報に基づいて決定する。例えば、n日とn+1日にまたがる夜間充電期間における夜間充電容量SOC1は、時刻t3(即ち、n日の17時)に発表された天気予報のうち、太枠により囲まれた範囲P3に含まれる天気情報に基づいて決定される(太線の矢印参照)。n+1日とn+2日にまたがる夜間充電期間における夜間充電容量SOC2は、時刻t6(即ち、n+1日の17時)に発表された天気予報のうち、太枠により囲まれた範囲P6に含まれる天気情報に基づいて決定される。
【0045】
上記したように、PVパネル106の発電状態は実際の天気に依存するので、夜間充電容量の決定に、実際の天気を反映できれば好ましいが、夜間充電期間よりも未来における天気を直接用いることはできない。また、第2サーバ212からは天気予報の評価結果、即ち、天気予報に対する実際の天気の情報は発表されない。したがって、本開示においては、発表された天気予報に対する実際の天気(以下、天気実績という)は、その翌日に発表された天気予報の天気情報により表されていると仮定する。例えば、n日の時刻t3に発表された天気予報のうち、太陽光発電期間の天気情報(範囲P3に含まれる天気情報)に対する天気実績を考える。その場合、n+1日の時刻t4に発表された天気予報のうち6時から12時までの天気情報(範囲P4に含まれる天気情報)と、n+1日の時刻t5に発表された天気予報のうち12時から18時までの天気情報(範囲P5に含まれる天気情報)とを天気実績とする。時刻t4に発表された天気予報のうち、時刻t4に近い6時から12時までの天気情報は、対応する時間帯の実際の天気を表している可能性が高い。また、時刻t5に発表された天気予報のうち、時刻t5に近い12時から18時までの天気情報は、対応する時間帯の実際の天気を表している可能性が高い。即ち、上記のように決定される天気実績は、実際の天気を表す情報として信頼できる。後述するように、範囲P3に含まれる天気情報と、範囲P4および範囲P5に含まれる天気情報(天気実績)との比較結果に応じて、夜間充電容量の候補である複数の充電容量を含むテーブルが修正される。そして、修正されたテーブルを用いて、範囲P6に含まれる天気情報に基づいて、夜間充電容量SOC2が決定される。これにより、より適切な夜間充電容量を決定できる。
【0046】
(コントローラの動作)
図5を参照して、コントローラ104の動作に関して具体的に説明する。
図5に示した処理は、コントローラ104がユーザにより操作され、夜間充電容量を自動的に決定する機能が有効にされたことを受けて、制御部130が記憶部132に記憶されている所定のプログラムを読出し、実行することにより開始される。なお、制御部130は、本プログラムと並行して、買電力量および売電力量を算出するプログラムを実行する。例えば、制御部130は、電力量計110から入力される買電力および売電力を用いて、夜間充電期間を除く期間(例えば、6時から22時まで)における買電力量および売電力量を算出する。制御部130は、算出した買電力量および売電力量を記憶部132に記憶する。
【0047】
ステップ300において、制御部130は、第1サーバ210に天気予報および充電容量を問合せる時刻を決定する。その後、制御はステップ302に移行する。コントローラ104から第1サーバ210への問合せは、太陽光発電期間の経過後、次の夜間充電期間が開始するまでの間(例えば、18時から22時まで)に行われる。制御部130は、その間の1つの時刻をランダムに決定する。決定された時刻を表す情報(以下、単に時刻という)は、問合せ時刻として記憶部132に記憶される。制御部130は、例えば乱数(または疑似乱数)を生成し、これを用いて問合せ時刻を決定する。問合せ時刻をランダムに決定するのは、蓄電システム100と同様の構成の蓄電システムが日本全国に設置されている状況において、コントローラから第1サーバ210へのアクセス集中を回避するためである。
【0048】
ステップ302において、制御部130は、問合せ時刻が経過したか否かを判定する。具体的には、制御部130はタイマ140から現在時刻を取得し、ステップ300により決定された問合せ時刻を記憶部132から読出し、両者を比較する。問合せ時刻が経過したと判定された場合、制御はステップ304に移行する。そうでなければ、ステップ302が繰返される。
【0049】
ステップ304において、制御部130は、ルータ112およびネットワーク214を介して、第1サーバ210に天気予報および充電容量を問合せる。具体的には、制御部130は、通信部134を制御し、蓄電システム100の設置場所を含むエリアを特定するエリア特定情報(例えば郵便番号)と、天気予報および充電容量を要求する所定のコード(以下、要求コードという)と、第1サーバ210が充電容量を算出するために必要となる情報(以下、必要情報という)とを含むパケットデータを生成して出力する。パケットデータには、送信元アドレスとしてコントローラ104のネットワークアドレスが含まれ、送信先アドレスとして第1サーバ210のネットワークアドレスが含まれる。その後、制御はステップ306に移行する。
【0050】
図6を参照して、記憶部132には、複数のランクと充電容量CCo(%)とを対応させたテーブル(以下、充電容量テーブルという)が記憶されている。複数の充電容量CCoは夜間充電容量の候補であり、夜間充電容量は複数の充電容量CCoの中から選択される。記憶部132には、上記したように、買電力量PCboおよび売電力量PCso(いずれも単位は、例えばkWh)も記憶されている。制御部130は、上記した必要情報として、各ランクおよび対応する充電容量の組{ランク,CCo}と、買電力量PCboおよび売電力量PCsoとを送信する。後述するように、第1サーバ210は、制御部130から送信されたこれらの情報を、要求された充電容量の算出に用いる。
【0051】
(天気予報ランクおよび天気実績ランク)
図6を参照して上記したように、夜間充電容量を決定するために用いられる天気情報が含まれる期間(例えば、6時から18時まで)には、複数の天気情報が含まれる。例えば、天気予報が3時間毎の天気情報を含む場合、時系列に4つの天気情報(「晴、晴、曇、雨」、「雨、曇、晴、晴」等)が含まれる。上記した天気実績にも同様に、時系列に4つの天気情報が含まれる。時系列の4つの天気情報を「天気情報パターン」という。天気情報パターンの数は、256(=4
4)である。天気予報の天気情報パターンと天気実績の天気情報パターンとの違いが大きければ、PVパネル106の発電電力の差は大きいが、天気情報パターンの差がわずかであれば、PVパネル106の発電電力は同程度である。したがって、256個の天気情報パターンのまま、天気予報と天気実績とを比較する必要はなく、256個の天気情報パターンを、より少数のランクに分類して比較することが効率的である。これにより、天気予報と天気実績との比較が容易になる。また、天気情報が「晴」、「曇」、「雨」、「雨または雪」および「雪」から変更された場合に、容易に対応可能となる。
【0052】
例えば、天気情報パターンは、PVパネル106の発電状態に応じてA、BおよびCの3つのランクに分類される。各ランクに対応して充電容量CCo(%)が設定される。
図6には、ランクA、ランクBおよびランクCのそれぞれに対する充電容量CCoが、18%、54%および87%であることが示されている。即ち、PVパネル106の発電電力が減少する順にランクA、ランクBおよびランクCが定められ、PVパネル106の発電電力が減少する順に対応して、夜間充電容量の候補である充電容量CCoは増大するように設定されている。後述するように、第1サーバ210は、受信したエリア特定情報により特定される予報区に対応する天気予報ランクと天気実績ランクとが一致すれば、コントローラ104から受信した充電容量CCoのうち、一致した天気実績ランクと同じランクの充電容量を修正して、新たな充電容量を生成する。第1サーバ210は、一致した天気実績ランクと新たな充電容量とをコントローラ104に送信する。これらを受信したコントローラ104の制御部130は、記憶部132に記憶された充電容量テーブルのうち、第1サーバ210から受信した天気実績ランクと同じランクの充電容量CCoを、受信した新たな充電容量により更新する。例えば、制御部130が第1サーバ210から、実績ランクとしてランクAを表す情報(例えばA)と、新たな充電容量として15%を受信すれば、
図6に示した充電容量テーブルにおいて、ランクAのCCoは18%から15%に更新される。
【0053】
図5に戻り、ステップ306において、制御部130は、ステップ304により送信した問合せに対する返信を第1サーバ210から受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合、制御はステップ308に移行する。そうでなければ、ステップ306が繰返される。第1サーバ210は、コントローラ104から受信したエリア特定情報に対応する予報区の天気予報ランクを、コントローラ104に送信する。また、第1サーバ210は、上記したように、天気実績ランクと、必要情報を用いて算出した新たな充電容量とを、コントローラ104に送信する。
【0054】
ステップ308において、制御部130は、ステップ306により受信された天気予報ランク、天気実績ランクおよび充電容量を記憶部132に記憶する。即ち、上記したように、制御部130は、記憶部132に記憶されている充電容量テーブル(
図6参照)において、第1サーバ210から受信した天気実績ランクに対応する充電容量を、第1サーバ210から受信した新たな充電容量により更新(上書き記憶)する。その後、制御はステップ310に移行する。
【0055】
ステップ310において、制御部130は、ステップ306により受信した天気予報ランクに対応する夜間充電容量をPCS120に送信する。具体的には、制御部130は、更新後の充電容量テーブルの中から、受信した天気予報ランクと同じランクに対応する充電容量CCoを読出し、夜間充電容量として送信する。その後、制御はステップ312に移行する。
【0056】
ステップ312において、制御部130は、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了する指示を受けたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ300に戻り、上記した処理が繰返される。終了の指示は、例えば、ユーザがコントローラ104の操作部138を操作し、夜間充電容量を自動的に決定する機能を無効に設定することによりなされる。
【0057】
(第1サーバの機能)
図7に第1サーバ210の機能的構成を示す。第1サーバ210は、通信部250、天気予報取得部252、記憶部254、天気予報ランク決定部256、天気実績ランク決定部258、判定部260および充電容量決定部262を含む。通信部250は、ネットワーク214を介して第2サーバ212と通信し、ネットワーク214およびルータ112を介してコントローラ104と通信する。通信部250は、
図3に示した制御部220および記憶部222により実現される。通信部250は、コントローラ104からの要求コード(
図5のステップ304参照)を受信した場合、受信した必要情報とその送信元アドレスとを対応させて記憶部254に記憶させ、後述するように、その一部の情報を判定部260に入力する。送信元アドレスにより、要求コードを送信したコントローラ104を特定できる。また、通信部250は、要求コードに対する返信として、後述するように、充電容量決定部262により決定された充電容量を、要求コードの送信元であるコントローラ104に送信する。
【0058】
天気予報取得部252は、所定のタイミング(
図6に示した時刻t1、時刻t2および時刻t3等)において第2サーバ212から発表される全国の天気予報を、通信部250を介して取得する。天気予報取得部252は、
図3に示した制御部220により実現される。記憶部254は、天気予報取得部252により取得された天気予報、および、コントローラ104から受信した情報を記憶する。記憶部254は、
図3に示した記憶部222によりに実現される。
図8を参照して、記憶部222は、天気予報取得部252により受信された全国の天気予報と、コントローラ104から受信した受信データとを記憶する。
【0059】
(ランクの決定)
天気予報ランク決定部256は、記憶部254に記憶されている17時に発表された天気予報から、各予報区に関して、翌日の太陽光発電期間(6時から18時まで)に関する天気情報を読出し、対応するランクを決定する。天気予報ランク決定部256は、決定されたランクを「天気予報ランク」として、予報区を特定する情報(以下、予報区特定情報という)と対応させて記憶部254に記憶する。天気予報ランク決定部256は、
図3に示した制御部220により実現される。天気予報ランク決定部256は、1日の最後の天気予報が発表された後、コントローラ104からの問合せ(
図5のステップ304参照)がある前に(例えば、
図4に示した期間T
n、期間T
n+1に)、当該処理を実行する。時刻t3にはn日の最後の天気予報が発表されるので、期間T
nにおいて天気予報ランク決定部256が処理を実行するとき、記憶部254には、時刻t1、時刻t2および時刻t3の天気予報が記憶されている。このとき、「当日」とはn日を意味し、「翌日」とは、n+1日を意味する。同様に、時刻t6にはn+1日の最後の天気予報が発表されるので、期間T
n+1において天気予報ランク決定部256が処理を実行するとき、記憶部254には、時刻t4、時刻t5および時刻t6の天気予報が記憶されている。このとき、「当日」とはn+1日を意味し、「翌日」とは、n+2日を意味する。
【0060】
図8を参照して、記憶部222(即ち記憶部254)は、各天気情報とそれに対応するスコアSとを含むテーブル(以下、スコアテーブルという)を記憶している。また、記憶部222は、判定基準とその判定基準を満たす場合に決定されるランクとを含むテーブル(以下、ランクテーブルという)を記憶している。天気予報ランク決定部256は、例えば期間T
n(
図4参照)において、記憶部254に記憶されている時刻t3(即ち17時)に発表された天気予報から、各予報区に関して、6時から18時までの天気情報パターン(即ち、
図4の範囲P3に含まれる4つの天気情報)を読出し、スコアテーブルを参照して、式1により合計スコアStを算出する。
St=α1×S1+α2×S2+α3×S3+α4×S4 ・・・(式1)
S1、S2、S3、S4はそれぞれ、6時から9時の間、9時から12時の間、12時から15時の間、および15時から18時の間の天気情報に対応するランクを表す。α1、α2、α3およびα4は、重み係数を表す。例えば、α1=α2=α3=α4=0.25である。その場合、天気情報パターンが、例えば晴、晴、曇および雨であれば、
図8に示したスコアテーブルを参照して、St=0.25×(1.0+1.0+0.43+0.16)=0.6475 となる。なお、重み係数α1、α2、α3およびα4は、α1+α2+α3+α4=1となるように決定されていればよく、上記以外の値であってもよい。例えば、9時から12時の間の重み係数α2および12時から15時の間の重み係数α3を、6時から9時の間の重み係数α1および15時から18時の間の重み係数α4よりも大きい値に設定してもよい。
【0061】
続いて、天気予報ランク決定部256は、算出された合計スコアStが、ランクテーブルのいずれの判定条件を満たすかを判定し、満たされる判定条件に対応するランクを決定する。例えば、St=0.6475であれば、0.33≦St<0.66を満たすので、ランクはBに決定される。天気予報ランク決定部256は、決定したランクを表す情報(例えばB)を天気予報ランクとして、予報区特定情報と対応させて記憶部254に記憶する。これにより、記憶部254に、予報区毎の天気予報ランクが記憶される。
【0062】
天気実績ランク決定部258は、記憶部254に記憶されている5時および11時に発表された天気予報から、各予報区に関して、当日の太陽光発電期間(6時から18時まで)に関する天気予報を読出し、対応するランクを決定する。天気実績ランク決定部258は、決定されたランクを「天気実績ランク」として、予報区特定情報と対応させて記憶部254に記憶する。天気実績ランク決定部258は、
図3に示した制御部220により実現される。天気実績ランク決定部258は、天気予報ランク決定部256と同様に、1日の最後の天気予報が発表された後に(例えば、
図4の期間T
n、期間T
n+1)、当該処理を実行する。天気実績ランク決定部258は、例えば期間T
n+1において、各予報区に関して、記憶部254に記憶されている時刻t4(即ち5時)に発表された天気予報から、6時から12時までの天気情報(
図4の範囲P4参照)を読出し、時刻t5(即ち11時)に発表された天気予報から、12時から18時までの天気情報(
図4の範囲P5参照)を読出す。これにより、天気予報(範囲P3に含まれる天気情報)に対する天気実績として、時系列に4つの天気情報を含む1つの天気情報パターンが得られる。天気実績ランク決定部258は、得られた天気実績(4つの天気情報を含む)を用いて、天気予報ランク決定部256に関して上記したのと同様に、スコアテーブルを参照して合計スコアStを算出し、算出された合計スコアStを用いてランクテーブルを参照して、ランクを決定する。天気実績ランク決定部258は、決定したランクを表す情報を天気実績ランクとして、予報区特定情報と対応させて記憶部254に記憶する。これにより、記憶部254に、予報区毎の天気実績ランクが記憶される。
【0063】
判定部260は、コントローラ104からの問合せ(
図5のステップ304参照)を受けて、記憶部254に記憶されている天気予報ランクと天気実績ランクとが一致するか否かを判定する。判定部260は、
図3に示した制御部220により実現される。通信部250は、コントローラ104からの問合せを受信すると、受信した情報を記憶部254に記憶させると共に、受信した情報のうち、エリア特定情報と送信元アドレス(コントローラ104のネットワークアドレス)とを判定部260に入力する。これを受けて、判定部260は処理を開始する。即ち、判定部260は、エリア特定情報を用いて、記憶部254に記憶されている予報区特定情報を参照し、エリア特定情報により特定されるエリアが含まれる予報区を特定する。判定部260は、特定した予報区に対応する天気予報ランクと天気実績ランクを記憶部254から読出し、両者が同じであるか否か(即ち、一致するか否か)を判定する。判定部260は、判定結果と送信元アドレスとを充電容量決定部262に出力する。判定部260は、判定結果として、天気予報ランクと天気実績ランクとが一致した場合、所定データ(例えば“1”)を出力し、一致しなかった場合、所定データと異なるデータ(例えば“0”)を出力する。
【0064】
例えば、n+1日の18時から22時までの間に、通信部250がコントローラ104からの問合せを受信した場合、判定部260は、n+1日の6時から18時の天気予報ランク(即ち、範囲P3の天気情報に関するランク)と天気実績ランク(即ち、範囲P4および範囲P5の天気情報に関するランク)とが同じであるか否かを判定する。天気予報ランクは、n日の時刻t3に発表された天気予報のうち、範囲P3に含まれる天気情報パターンに関するランクであり、天気実績ランクは、n+1日の時刻t4および時刻t5に発表された天気予報のうち、範囲P4および範囲P5に含まれる天気情報パターンに関するランクである。
【0065】
充電容量決定部262は、判定部260から入力された情報を用いて充電容量を決定する。充電容量決定部262は、
図3に示した制御部220により実現される。充電容量決定部262は、判定部260から上記した情報が入力されたことを受けて処理を開始する。充電容量決定部262は、判定部260から入力された送信元アドレスおよび天気実績ランクを用いて記憶部254を参照し、送信元アドレスに対応させて記憶されている情報を読出す。即ち、充電容量決定部262は、買電力量PCbo(kWh)および売電力量PCso(kWh)と、天気実績ランクと同じランクに対応する充電容量CCo(%)とを読出す。判定部260から入力された判定結果が、天気予報ランクと天気実績ランクとが一致したことを表す場合、充電容量決定部262は、読出した情報を用いて、式2により、新たな充電容量CCo’(%)を算出する。
CCo’=CCo+K×Δ ・・・(式2)
Δ=α×PCbo-β×PCsoであり、Kは所定の定数(1未満)である。第1重み係数αおよび第2重み係数βは、例えばα=β=1である。なお、この場合(α=β=1の場合)、Δは、第1重み係数αおよび第2重み係数βを乗算しない、PCboとPCsoとの差と解釈してもよい。
判定部260から入力された判定結果が、天気予報ランクと天気実績ランクとが一致しないことを表す場合、充電容量決定部262は、記憶部254から読出した情報を用いて、式3により、新たな充電容量CCo’を算出する。
CCo’=CCo ・・・(式3)
即ち、新たな充電容量CCo’は、第1サーバ210がコントローラ104から受信した充電容量CCoと同じ値である。
【0066】
なお、α=β=1でなくてもよい。α=β=1は、買電力量が少ないことがよい、売電力量が少ないことがよい、という条件下における1つの評価関数を定めるためのものである。買電価格および売電価格をも考慮して、第1重み係数αおよび第2重み係数βが決定されてもよい。これにより、より適切な夜間充電容量を決定できる。
【0067】
充電容量決定部262は、算出した新たな充電容量CCo’と、判定部260から入力された送信元アドレスおよび天気実績ランクとを通信部250に入力する。これを受けて、通信部250は、記憶部254から、天気予報ランクを読出す。通信部250は、読出した天気予報ランクと、天気実績ランクおよび充電容量CCo’とを含み、送信元アドレスを送信先アドレスとするパケットデータを生成して、送信する。なお、天気予報ランクは、実績ランクが決定された時間帯よりも後の時間帯の天気予報ランクである。例えば、n+1日の18時から22時の間に、コントローラ104が要求コードを送信した場合、第1サーバ210は、範囲P4および範囲P5の天気情報に関する天気実績ランクと、範囲P6の天気情報に関する天気予報ランクとを送信する。
【0068】
これにより、コントローラ104は、第1サーバ210から受信した天気実績ランクおよび新たな充電容量CCo’を用いて充電容量テーブルを更新できる(
図5のステップ308参照)。なお、上記したように、式3が使用された場合には、新たな充電容量CCo’はコントローラ104が第1サーバ210に送信した充電容量CCoと同じ値であるので、充電容量テーブルが更新されても、充電容量テーブルに含まれる充電容量は変わらない。その後、コントローラ104は、第1サーバ210から受信した天気予報ランクを用いて、更新後の充電容量テーブルを参照し、夜間充電容量を決定できる(
図5のステップ310参照)。
【0069】
上記の式2および式3を用いることにより、翌日のPVパネル106による発電量を予測することなく、当日の夜間充電容量を容易に決定できる。蓄電池122の夜間充電を行うのは、翌日の消費電力のうち、PVパネル106による発電によっては供給できない不足電力を、蓄電池122からできるだけ供給し、買電力量を小さくするためである。式2および式3を用いてフィードバック制御を繰返すことにより、太陽光発電による発電量+夜間充電量=負荷の消費電力量、とすることができ、発電電力の自家消費を最大にし、買電力量を小さくできる。なお、係数Kは、蓄電システム100の設置環境等を考慮して、1未満の適切な値を設定すればよい。適切な夜間充電容量は、蓄電システムの能力、蓄電システムが設置された家庭における電力消費状態に依存し、電力消費状態は季節等にも依存する。式2を繰返し用いることにより、自動的に、それらの影響が総合的にフィードバック制御されて、適切な夜間充電容量が決定される。
【0070】
(第1サーバの動作)
図9を参照して、第1サーバ210の動作に関して説明する。
図9に示した処理は、第1サーバ210の制御部220が、記憶部222に記憶されているプログラムを読出して実行することにより実現される。なお、蓄電システム100と同様に構成された複数の蓄電システムが全国に設置されており、第1サーバ210は、それらの蓄電システムに含まれるコントローラからの問合せ受けて、対応する情報を提供する。以下において、蓄電システム100(コントローラ104を含む)に関する説明は、全国に設置されている複数の蓄電システムにも当てはまる。
【0071】
ステップ400において、制御部220は、天気予報を取得する時刻(以下、天気予報取得時刻という)になった否かを判定する。具体的には、制御部220は、タイマ226から現在時刻を取得し、現在時刻が5時、11時および17時のいずれかを経過しているか否かを判定する。天気予報取得時刻を経過したと判定された場合、制御はステップ402に移行する。そうでなければ、制御はステップ404に移行する。
【0072】
ステップ402において、制御部220は、第2サーバ212から発表された全国の天気予報を取得する。制御部220は取得した天気予報を、記憶部222に記憶する。これは、
図7に示した天気予報取得部252の機能に対応する。その後、制御はステップ400に戻る。なお、1日において、5時、11時および17時のいずれかを経過したときの天気予報の取得は1回だけ行われる。
【0073】
ステップ404において、制御部220は、天気予報および天気実績ランクを決定する時刻(以下、ランク決定時刻という)になったか否かを判定する。ランク決定時刻を経過したと判定された場合、制御はステップ406に移行する。そうでなければ、制御はステップ408に移行する。ステップ406は、第1サーバ210が、第2サーバ212から1日に発表される天気予報を全て取得した後に実行される。したがって、ランク決定時刻は、例えば、1日において最後に発表される天気予報の発表時刻(即ち17時)以降に設定される。これにより、ステップ406の処理は、
図4に示した期間T
n、期間T
n+1等において実行される。
【0074】
ステップ406において、制御部220は、天気予報ランクおよび天気実績ランクを決定する。これは、
図7に示した天気予報ランク決定部256および天気実績ランク決定部258の機能に対応する。制御部220は、天気予報ランク決定部256の機能として上記したように、記憶部222に記憶されている天気予報を用いて、各予報区に関して、翌日の太陽光発電期間(6時から18時まで)の天気情報に関するランク(即ち天気予報ランク)を決定する。また、制御部220は、天気実績ランク決定部258の機能として上記したように、記憶部222に記憶されている天気予報を用いて、各予報区に関して、当日の太陽光発電期間(6時から18時まで)の天気実績に関するランク(即ち天気実績ランク)を決定する。
【0075】
ステップ408において、制御部220は、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示は、例えば、第1サーバ210の操作装置(コンピュータ用キーボード、マウス等)が管理者により操作されることによりなされる。終了の指示を受けたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ400に戻る。これにより、1日に発表される天気予報を取得するまで、ステップ400からステップ404が繰返される。
【0076】
ステップ410において、制御部220は、コントローラ104からの問合せを受信したか否かを判定する。コントローラ104からの問合せは、
図5に示したステップ304により実行される天気予報および充電容量の問合せである。具体的には、第1サーバ210は、上記した要求コードを含むデータを受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合、制御はステップ412に移行する。そうでなければ、制御はステップ416に移行する。
【0077】
ステップ412において、制御部220は、充電容量を算出する。これは、
図7に示した判定部260および充電容量決定部262の機能に対応する。即ち、制御部220は、上記したように、コントローラ104から受信したデータに含まれるエリア特定情報を用いて、蓄電システム100の設置場所が含まれる予報区を特定し、その予報区に対応する天気予報ランクおよび天気実績ランクを比較し、比較結果に基づいて、天気実績ランクに対応する充電容量を算出する。その後、制御はステップ414に移行する。
【0078】
ステップ414において、制御部220は、ステップ412により決定された、天気情報ランクおよび充電容量と、ステップ412により特定された予報区の天気ランクとを、ステップ410により受信した問合せを送信したコントローラ104に送信する。これは、
図7に示した通信部250の機能に対応する。その後、制御はステップ416に移行する。これにより、問合せを送信したコントローラ104は、上記したように、第1サーバ210から送信された充電容量により充電容量テーブル(
図6参照)を更新する。そして、コントローラ104は、更新後の充電容量テーブルから、第1サーバ210から受信した天気予報ランクと同じランクに対応する充電容量を夜間充電容量として決定する。
【0079】
ステップ416において、制御部220は、夜間充電を開始する時刻(以下、夜間充電開始時刻という)になったか否かを判定する。例えば、
図4に示したように、夜間充電期間が22時から翌日の6時までであれば、夜間充電開始時刻は22時に設定される。制御部220は、タイマ226から現在時刻を取得し、現在時刻が夜間充電開始時刻を経過したか否かを判定する。夜間充電開始時刻を経過したと判定された場合、制御は、ステップ420に移行する。そうでなければ、制御はステップ418に移行する。
【0080】
ステップ418において、制御部220は、ステップ408と同様に、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示を受けたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ410に戻る。これにより、第1サーバ210は、夜間充電開始時刻まで、複数の蓄電システムのコントローラからの問合せに対して、ステップ412およびステップ414を繰返し、上記のように情報を返信できる。
【0081】
ステップ420において、制御部220は、ステップ408と同様に、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示を受けたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ400に戻る。これにより、第1サーバ210は、毎日、天気予報の取得、天気予報ランクおよび天気実績ランクの決定、並びに、コントローラからの問合せに対する、天気予報ランクおよび新たな充電容量等を提供できる。
【0082】
これにより、少ない計算コストにより、買電力量を小さくできる。例えば、機械学習に必要となる大量のサンプルデータを長期間保存する必要がない。
【0083】
上記したように、前日に発表された天気予報の正確さ(即ち、天気予報および天気実績のランクが一致しているか否か)に応じて、前日までの夜間充電容量の決定に用いられた充電容量(夜間充電容量の候補)を修正する。即ち、天気予報が当っていれば、買電力量および第1重み係数αの積と売電力量および第2重み係数βの積との差を用いた式2により充電容量を修正する。天気予報が外れていれば、式3を用いる。天気予報が当たるとは、前日に発表された天気予報が、当日の天気と同じであること、具体的には、天気予報のランクおよび天気実績のランクが一致していることを意味する。天気予報が外れるとは、前日に発表された天気予報が、当日の天気と異なること、具体的には、天気予報のランクおよび天気実績のランクが不一致であることを意味する。したがって、天気により発電電力量が変化するPVパネル106を含む蓄電システム100において、適切な蓄電池の夜間充電容量を決定できる。また、発電量を予測することなく、発電電力の自家消費を最大にし、買電力量を小さくできる。
【0084】
天気予報をランクに分類することにより、適切な夜間充電容量を効率的に決定でき、夜間充電容量の精度を向上できる。
【0085】
第1サーバ210により、全国の天気予報を取得し、予報区毎の天気予報ランクと天気実績ランクを決定し、蓄電システムのコントローラからの問合せに対して、式2または式3を用いて、蓄電池122の夜間充電容量の候補となる充電容量を返信する。これにより、各エリアに配置された各蓄電システムにおいて、夜間充電容量の決定に要する計算コストを低減でき、夜間充電容量を効率的に決定できる。
【0086】
上記したように、天気予報のランクは、天気情報に対応するスコアと時間帯に対応する重みとを乗算した値を、複数の時間帯に関して加算して得られた合計スコアに基づいて決定される。これにより、天気予報のランクを効率的に決定できる。スコアおよび重みを調整することにより、発電電力に応じた適切なランクを決定でき、夜間充電容量の精度を向上できる。
【0087】
上記においては、第1サーバ210は、記憶部222に、連続する2日間に発表された天気予報を記憶しておく場合を説明したが、これに限定されない。例えば、第1サーバ210が、コントローラからの問合せに対応するときには、各予報区に関して、当日の太陽光発電期間の天気予報ランクおよび天気実績ランクと、翌日の太陽光発電期間の太陽光発電期間天気予報ランクとが記憶されていればよい。例えば、
図4に示した期間T
n+1後のコントローラの問合せに対応する期間(即ち、n+1日の18時から22時まで)おいて、範囲P3に関する天気予報ランク、並びに、範囲P4および範囲P5に関する天気実績ランクと、範囲P6に関する天気予報ランクが記憶部222に記憶されていればよい。
【0088】
上記においては、第1サーバ210は、1日の天気予報を取得した後に、天気予報ランクおよび天気実績ランクを決定する処理を行う場合を説明したが、これに限定されない。第1サーバ210は、5時および11時に発表された天気予報を取得すれば、天気実績ランクを決定できる。したがって、第1サーバ210は、11時に発表された天気予報を取得した時点において、天気実績ランクを決定してもよい。その後、第1サーバ210は、17時に発表された天気予報を取得した後、天気予報ランクを決定すればよい。
【0089】
上記においては、コントローラ104から、天気予報ランクと充電容量とを1度に問合せる場合を説明したがこれに限定されない。コントローラ104から、充電容量テーブル(
図6参照)を更新するために充電容量を問合せ、その後、夜間充電容量を決定するために天気予報ランクを問合せてもよい。例えば、上記したように、第1サーバ210が、11時に発表された天気予報を取得した時点において、天気実績ランクを決定する場合、前日の天気予報から天気予報ランクは既に決定されているので、第1サーバ210は、天気実績ランクを決定した時点において、コントローラ104からの充電容量の問合せに対応可能である。したがって、コントローラ104は、11時以降、第1サーバ210が対応可能になった時点(天気実績ランクの決定後)において、第1サーバ210に充電容量の問合せを行うことができる。
【0090】
(変形例)
上記した第1サーバ210が行う処理は、コントローラ104が実行してもよい。変形例に係る蓄電システムのコントローラは、天気予報の取得、天気予報ランクおよび天気実績ランクの決定、並びに、新たな充電容量の生成を行う。
図10を参照して、変形例に係るコントローラ104Aは、
図7に示した構成と同様に構成され、通信部500、天気予報取得部502、記憶部504、天気予報ランク決定部506、天気実績ランク決定部508、判定部510および充電容量決定部512を含む。以下においては、
図1に示した蓄電システム100において、コントローラ104がコントローラ104Aにより代替されており、コントローラ104Aは
図2と同じ構成を有するとし、
図1および
図2の符号を適宜参照する。
【0091】
通信部500は、
図2に示した通信部134により実現される。天気予報取得部502は、
図7に示した天気予報取得部252と同様に、第2サーバ212により発表される天気予報を取得する。天気予報取得部502は、天気予報取得部252と異なり、蓄電システム100の設置場所が含まれる予報区の天気予報だけを記憶部504に記憶すればよい。記憶部504は、
図2に示した記憶部132により実現される。天気予報ランク決定部506は、
図7に示した天気予報ランク決定部256と同様に、記憶部504に記憶された天気予報を用いて、太陽光発電期間に関する天気予報ランクを決定する。天気実績ランク決定部508は、
図7に示した天気実績ランク決定部258と同様に、記憶部504に記憶された天気予報を用いて、太陽光発電期間に関する天気実績ランクを決定する。天気予報ランク決定部506および天気実績ランク決定部508により決定されたランクは、判定部510に入力される。
【0092】
判定部510は、
図7に示した判定部260と同様に、記憶部504から当日の天気予報ランクおよび天気実績ランクを読出し、両者が一致するか否かを判定する。判定部510は、判定結果を充電容量決定部512に入力する。充電容量決定部512は、
図7に示した充電容量決定部262と同様に、入力される判定結果に基づいて、式2または式3により新たな充電容量CCo’を算出する。充電容量決定部512は、記憶部504に記憶されている充電容量テーブル(
図6参照)において、天気実績ランクと同じランクに対応する充電容量を、算出された新たな充電容量CCo’により更新する。これにより、夜間充電容量SOCの候補となる充電容量CCo(
図6参照)を、買電力量および売電力量により適切な値に修正できる。
【0093】
その後、コントローラ104Aは、更新後の充電容量テーブルから、記憶部504に記憶されている翌日の天気予報ランクと同じランクに対応する充電容量を読出し、読出した充電容量を夜間充電容量SOCとして、通信部500を介して本体装置102のPCS120に送信する。これにより、PCS120は、受信した夜間充電容量SOCを、蓄電池122の充電の目標値として、夜間充電期間に系統電源200から供給される電力を用いて蓄電池122を充電する。
【0094】
なお、コントローラ104Aの機能(
図10参照)は、
図1に示したPCS120が有していてもよい。その場合、PCS120がルータ112と通信可能に構成されていればよい。PCS120は、第2サーバ212から天気予報を取得でき、上記したコントローラ104Aと同じ機能を実現できる。
【0095】
上記においては、気象庁から発表される天気予報を用いる場合を説明したが、これに限定されない。気象庁以外から発表される天気予報を用いてもよい。また、1日における天気予報の発表時刻は、上記した時刻(即ち、5時、11時および17時)と異なる可能性があり、1日の発表回数も3回と異なり得る。その場合には、上記した天気予報取得時刻、ランク決定時刻、および、コントローラからの問合せを受け付ける時間帯を適宜変更すればよい。
【0096】
上記においては、買電力量PCboが、夜間充電期間を除いた期間において系統電源200から供給される電力量である場合を説明したが、これに限定されない。夜間充電期間において系統電源200から供給される電力量のうち、蓄電池122の充電に利用される電力量を除いた電力量、即ち、負荷により消費された電力量を買電力量PCboに含めてもよい。これにより、上記の式2における第2項の(α×PCbo-β×PCso)の値を、より適切な値にでき、蓄電池の適切な夜間充電容量を決定できる。
【0097】
上記においては、蓄電システムが太陽光発電システムを含む場合を説明したが、これに限定されない。蓄電システムが、天気の影響を受ける発電装置を含んでいれば、上記と同様に、蓄電池の夜間充電容量を、翌日の天気に応じて決定でき、天気に応じて決定される充電電力を、買電力量および売電力量に応じて更新できる。例えば、発電装置が、風力発電装置であれば、天気予報のうち、風速および風向を用いればよい。また、発電期間における風速および風向のパターンを、ランク付けして、夜間充電容量の候補となる充電容量を設定してもよい。
【0098】
また、発電装置は、天気に依存しないものであってもよい。例えば、燃料電池、バイオマス発電等、天気の影響を受けずに一定の電力を出力可能なものであってもよい。そのような場合には、上記の式2を用いて算出された充電容量を夜間充電容量として用いればよい。発電電力が一定であっても、例えば、季節(例えば四季(春夏秋冬))により、1日における買電力量および売電力量は変動する。例えば、季節を複数のランクに区分し、各ランクに対応する夜間充電容量を設定しておき、式2において、第1項(CCo)の代わりに、該当するランクに対応する前回の夜間充電容量を用いればよい。式2の第2項(K×Δ)により、季節の影響を反映させたフィードバック制御が可能となり、適切な夜間充電容量を算出できる。なお、季節は四季に限定されず、1年を構成する複数の期間であればよい。
【0099】
また、例えば、月、曜日、平日または休日(例えば、土曜、日曜および祝日を含む)によっても、買電力量および売電力量は変動し得る。したがって、1日または複数日により構成される周期的に繰返される期間であれば、上記と同様に、夜間充電容量を修正できる。例えば、7日を周期とする曜日に関して、曜日をランクとして扱い、各ランクに対応する夜間充電容量を設定しておき、式2において、第1項の代わりに、該当するランクに対応する前回の夜間充電容量を用いればよい。上記の式2の第2項により、周期的な買電力量および売電力量の変動を反映させたフィードバック制御が可能となり、適切な夜間充電容量を算出できる。
【0100】
以上、実施の形態を説明することにより本開示を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本開示は上記した実施の形態のみに制限されるわけではない。本開示の範囲は、発明の詳細な説明の記載を参酌した上で、特許請求の範囲の各請求項によって示され、そこに記載された文言と均等の意味および範囲内における全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0101】
100 蓄電システム
102 本体装置
104、104A コントローラ
106 PVパネル
110 電力量計
112 ルータ
120 PCS
122 蓄電池
130、220 制御部
132、222、254、504 記憶部
134、224、250、500 通信部
136 表示部
138 操作部
140、226 タイマ
142、228 バス
200 系統電源
202 負荷
210 第1サーバ
212 第2サーバ
214 ネットワーク
252、502 天気予報取得部
256、506 天気予報ランク決定部
258、508 天気実績ランク決定部
260、510 判定部
262、512 充電容量決定部
300、302、304、306、308、310、312、400、402、404、406、408、410、412、414、416、418、420 ステップ
P1、P2、P3、P4、P5、P6 範囲
SOC1、SOC2 夜間充電容量
Tn、Tn+1 期間
t1、t2、t3、t4、t5、t6 時刻