(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179373
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】再生利用可能な二重壁カップを製造する装置及び方法
(51)【国際特許分類】
B31B 50/74 20170101AFI20241219BHJP
B21D 51/18 20060101ALI20241219BHJP
B31B 110/20 20170101ALN20241219BHJP
B31B 120/40 20170101ALN20241219BHJP
【FI】
B31B50/74
B21D51/18 G
B21D51/18 D
B21D51/18 F
B31B110:20
B31B120:40
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023098172
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】517448098
【氏名又は名称】クオ、ツェファン
【氏名又は名称原語表記】KUO, Tse Huang
【住所又は居所原語表記】5F.-3, No.3, Yuanqu St., Nangang Dist. Building F Nankang Software Park, Taipei, 115 (TW)
(74)【代理人】
【識別番号】100167689
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 征二
(72)【発明者】
【氏名】クオ、ツェファン
【テーマコード(参考)】
3E075
【Fターム(参考)】
3E075AA07
3E075BA35
3E075BB22
3E075DE22
3E075GA05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】それぞれ第1及び第2の材料からなるとともにプレス後に二重壁カップを形成するように相互に積層される2つのカップを結合するプレス装置が開示される。
【解決手段】プレス装置は上側モールド11及び下側モールド12を備え、その構造に、上側モールドは、第1の中空筒体と、第1の中空筒体の内部を縦方向に移動可能な第2の中空筒体とを備え、下側モールドは、2つのカップを収容及び保持する第3の中空筒体と、2つのカップを押し上げるために第3の中空筒体の中心に配置されたプッシュロッドとを備える。プレス装置は、2つのカップを位置決めするためのいずれの整列構造も含まない。本開示には、本プレス装置を利用することによって2つのカップを結合する方法も包含され、結合する方法は、2つのカップを回転又は位置決めするステップを含まない。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス装置であって、それぞれ第1及び第2の材料からなるとともにプレス後に二重壁カップを形成するように相互に積層される2つのカップを結合するために縦方向に整列された上側モールド及び下側モールドを備え、
前記上側モールドは、
第1の中空筒体と、
前記第1の中空筒体の内部を縦方向に独立して移動する第2の中空筒体と、
を備え、
前記下側モールドは、
前記2つのカップを収容及び保持する第3の中空筒体と、
前記2つのカップを押し上げるために前記第3の中空筒体の中心に配置されたプッシュロッドと、
を備え、
前記第2の中空筒体は、前記第2の中空筒体の外面から張り出すとともに前記第1の中空筒体の内面に接触するフランジを有することにより、その間に前記2つのカップの少なくともリム及びカップ本体の一部を収容するための空間を画定し、
前記第3の中空筒体は、前記2つのカップがそこに収容されると該2つのカップの前記リムを受容するための、前記第3の中空筒体の上部縁部及びその周囲に配置されたカール用溝を有する、プレス装置。
【請求項2】
前記第3の中空筒体は、傾斜内面を有する、請求項1に記載のプレス装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の材料は、独立して紙又はプラスチックである、請求項1に記載のプレス装置。
【請求項4】
前記2つのカップを位置決めするためのいずれの整列構造も有さないことを特徴とする請求項1に記載のプレス装置。
【請求項5】
請求項1に記載のプレス装置を利用することによって、それぞれ第1及び第2の材料からなる2つのカップを結合する方法であって、該2つのカップの一方はそのリムから延在するタブを有し、前記方法は、
(a)前記2つのカップを、タブを有する方のカップが前記タブを有さない他方のカップの上部に積層された状態で、前記プレス装置の前記下側モールド内に載置することにより、積層カップを形成するステップと、
(b)ステップ(a)の前記積層カップを前記プレス装置の前記プッシュロッドによって、前記積層カップが前記プレス装置の前記第2の中空筒体の前記フランジに当接するまで、前記タブが収納されて実質的に下方に延在するとともに前記積層カップの前記リム及び前記カップ本体の一部が前記第1の中空筒体と前記第2の中空筒体の間の空間に収容されるように、押し上げるステップと、
(c)前記プレス装置の前記第2の中空筒体を、ステップ(b)の前記積層カップの前記リムが前記第3の中空筒体の前記カール用溝に接するまで、縦方向下方に打ち込むステップと、
(d)前記第2の中空筒体からの下向きの力及び前記プッシュロッドからの上向きの力を同時に付与することによってステップ(c)の前記積層カップの前記リムを巻くことにより、カール状リムをその間に形成することによって前記積層カップを相互に結合するステップと、
を備える方法。
【請求項6】
ステップ(b)において、前記積層カップの前記リム及び前記カップ本体の一部が前記第1の中空筒体と前記第2の中空筒体の間の空間に収容される時に前記積層カップは前記第3の中空筒体と接触していない、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(c)において、前記第2の中空筒体は、前記第1の中空筒体の内部に縦方向に独立して移動する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(c)において、前記積層カップは、前記プッシュロッドに保持される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(d)において、前記積層カップの前記リムを巻く際に、前記タブが前記積層カップの前記カール状リムに固定される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(a)の前、ステップ(a)の後又はステップ(a)において、前記積層カップを回転又は位置決めすることを備えない請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び第2の材料は、独立して紙又はプラスチックである、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記タブを有する方の前記カップはプラスチックからなり、前記タブを有さない他方のカップは紙からなる、請求項5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二重壁カップを製造する装置及び方法に関する。より具体的には、開示される発明は、外側カップと、内側カップであってそのリムから延在する延出タブを有することを特徴とする内側カップと、を結合することによって再生利用可能な二重壁カップを製造する装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨てカップは今日では広く使用され、結果として使い捨てカップを再生利用するタスクが益々重要な課題となっている。この問題に対処するために多くの技術が開発されてきた。その1つは、使用後の再生利用のために容易に分離可能な異なる材料からなる二重層カップを用いることを伴う。
【0003】
米国特許第9301630号は、外側紙カップと、内側プラスチックカップであってそのカール状縁部から延在してそれと一体形成される延出シートを有する内側プラスチックカップと、を備える使い捨てカップに向けられている。延出シートをカップ底部から引き抜くことで、内側プラスチックカップと外側紙カップとの分離を可能として、使用後の使い捨てカップの完全な再生利用を促進する。しかし、このアプローチでは、分離の容易性だけでなく、使用時の内側カップと外側カップの間の係合の密着性及び安定性も考慮する必要がある。
【0004】
内側及び外側カップが密に係合されることを確実にするために、カップ製造時に上側及び下側モールドからなるプレス装置が用いられ、内側プラスチックカップ及び外側紙カップのリムを相互に巻いてプレスする。しかし、内側プラスチックカップの延出シートは、プレス工程と干渉し、製造の遅延をもたらすことになる。プレス装置に切り込みを入れて延出シートの正確なアライメントを与えることも役立ち得るが、これもカップを回転させて切り込みに嵌合させる追加のステップを必要とし、製造工程が不可避的に減速してしまう。
【0005】
上記に鑑み、関連技術では、カップのリムのいずれの突出部によっても影響を受けずかつ延出シートの位置に関わらず内側及び外側カップをスムーズに結合することができる改良されたプレス装置に対するニーズがある。
【発明の概要】
【0006】
以下に、基本的理解を読者に与えるために、本開示の簡略な概要を提示する。この概要は、本開示の網羅的な概観ではなく、本発明の主要/重要な要素を特定するものでも、本発明の範囲を規定するものでもない。その専らの目的は、ここに開示される幾つかのコンセプトを、後に提示される、より詳細な説明の序章として簡略な態様で提示することである。
【0007】
ここに具体化されて広義に記載されるように、本開示の目的は、プレス装置を利用して2つのカップを係合させるプレス装置及び結合方法を提供することであり、カップの一方は製造効率を大幅に高める目的で不規則なリム、特にリムから延在するタブを有する。
【0008】
一態様において、本開示は、それぞれ第1及び第2の材料からなる2つのカップを結合するために縦方向に整列され、プレス後に二重壁カップを形成するように相互に積層された上側モールド及び下側モールドを備えるプレス装置に向けられる。このプレス装置では、上側モールドはその構造に第1の中空筒体及び第2の中空筒体を備え、下側モールドは第3の中空筒体及びプッシュロッドを備える。上側モールドの第2の中空筒体は第1の中空筒体の内部で縦方向に独立して移動し、一方、第3の中空筒体は2つのカップを収容及び保持し、プッシュロッドは2つのカップを押し上げるために第3の中空筒体の中心に配置される。
【0009】
本態様によると、第2の中空筒体は、第2の中空筒体の外面から張り出して第1の中空筒体の内面に接触するフランジを有することにより、その間に、2つのカップの少なくともリム及びカップ本体の一部を収容するための空間を画定し、第3の中空筒体は2つのカップがそこに収容される場合に2つのカップのリムを受容するための、第3の中空筒体の上部縁部及びその周囲に配置されたカール用溝を有する。
【0010】
本開示の一実施形態によると、第3の中空筒体は、傾斜内面を有する。
【0011】
本開示の一実施形態によると、第1及び第2の材料は、独立して紙又はプラスチックである。
【0012】
本開示の一実施形態によると、本プレス装置は、2つのカップを位置決めするためのいずれの整列構造も有さないことを特徴とする。
【0013】
他の態様において、本開示は、上記の本プレス装置を利用することによって、それぞれ第1及び第2の材料からなる2つのカップを結合する方法に向けられ、2つのカップの一方はそのリムから延在するタブを有する。方法は、(a)2つのカップを、タブを有する方のカップがタブを有さない他方のカップの上部に積層された状態で、プレス装置の第3の中空筒体内に載置することにより、積層カップを形成するステップと、(b)ステップ(a)の積層カップをプレス装置のプッシュロッドによって、積層カップがプレス装置の第2の中空筒体のフランジに当接するまで、タブが収納されて実質的に下方に延在するとともに積層カップのリム及びカップ本体の一部が第1の中空筒体と第2の中空筒体の間の空間に収容されるように、押し上げるステップと、(c)プレス装置の第2の中空筒体を、ステップ(b)の積層カップのリムが第3の中空筒体のカール用溝に接するまで、縦方向下方に打ち込むステップと、(d)第2の中空筒体からの下向きの力及びプッシュロッドからの上向きの力を同時に付与することによってステップ(c)の積層カップのリムを巻くことにより、カール状リムをその間に形成することによって積層カップを相互に結合するステップと、を備える。
【0014】
本開示の一実施形態によると、本方法のステップ(b)において、積層カップのリム及びカップ本体の一部が第1の中空筒体と第2の中空筒体の間の空間に収容される時に積層カップは第3の中空筒体に接触しない。
【0015】
本開示の一実施形態によると、本方法のステップ(c)において、第2の中空筒体は、第1の中空筒体の内部で縦方向に独立して移動する。
【0016】
本開示の一実施形態によると、本方法のステップ(c)において、積層カップは、プッシュロッドによって保持される。
【0017】
本開示の一実施形態によると、本方法のステップ(d)において、積層カップのリムを巻く際に、タブは積層カップのカール状リム内に固定される。
【0018】
本開示の一実施形態によると、本方法は、ステップ(a)の前、ステップ(a)の後又はステップ(a)において、積層カップを回転又は位置決めすることを排除することによって特徴付けられる。
【0019】
本開示の一実施形態によると、第1及び第2の材料は、独立して紙又はプラスチックである。好適な一実施形態では、タブを有するカップはプラスチックからなり、タブを有さない他方のカップは紙からなる。
【0020】
本開示の付随する特徴及び有利な効果の多くは、添付図面に関連して検討される以下の詳細な説明を参照してより深く理解されることになる。
【0021】
本説明は、添付図面に照らして読まれる以下の詳細な説明からより深く理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】
図1Aは、本開示の一実施形態に係る例示的なプレス装置1の斜視図である。
【
図2A】
図2A~2Hは、本開示の一実施形態に係る結合方法を実行する例示的なプレス装置1の位置状態をそれぞれ示す模式図であり、
図2Aは積層カップA並びに初期位置にあるプレス装置1の上側及び下側モールド(11及び12)を図示する斜視図である。
【
図2C】
図2Cは、積層カップAを押し上げるプッシュロッド122を図示する斜視図である。
【
図2E】
図2Eは、下方移動位置にある上側モールド11を図示する斜視図である。
【
図2G】
図2Gは、上側及び下側モールド(11及び12)が相互にプレスして積層カップAのためのカール状リムを形成することを図示する斜視図である。
【
図3】
図3は、本開示の代替実施形態によるプレス装置2を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
一般的な慣例に従って、記載される種々の構成/要素は、縮尺通りに描かれていないが、代わりに本発明に関連する特定の構成/要素を最良に示すように描かれている。また、種々の図面における同様の符号及び指定が、同様の要素/部分を示すのに使用される。
【0024】
添付図面に関連して以下に与えられる詳細な説明は、本実施例の説明としてのものであり、本実施例が構成又は利用され得る唯一の形態を表すものではない。この説明は、本実施例の機能及び本実施例を構成して動作させるためのステップの順序を説明する。ただし、同一又は同等の機能及び順序が、異なる実施例によって実現され得る。
【0025】
1.定義
説明の便宜上、明細書、実施例及び付随する特許請求の範囲において採用される特定の用語をここにまとめる。特に断りがない限り、ここで使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術における当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0026】
単数形「a」、「an」及び「the」は、ここでは文脈が明示的に否定しない限り複数形のものを含むように使用される。
【0027】
ここで使用する用語「中空筒体」とは、これらに限定されないが、円形、三角形、四角形及び多角形を含む種々の形状の長い側部及び中空の端部を有する中空構造を包含するものである。本開示によると、中空筒体は、円形状カップの形状を画定するように円形状である。
【0028】
ここで使用する用語「積層カップ」とは、2つのカップが本方法によって相互に結合されるまで相互に積層されてプレス装置の内部に維持されている状態をいう。なお、積層カップは、本発明の結合工程全体を通じて相互から分離しない。
【0029】
用語「リム形成する」及び「巻く/カールさせる」は、ここで互換可能に使用され、カップの構造的強度を高める湾曲円弧形状構造を形成するようにカップの縁部を外側かつ下方に巻くことを伴う、使い捨て又は再生利用可能カップを製造する本工程におけるステップをいう。本開示によると、「リム形成する」又は「巻く/カールさせる」ステップは2つの積層カップに対して同時に実行されるので、積層カップの2つの縁部は重なり、相互に巻かれて2つのカップを相互に固定する。
【0030】
用語「使い捨てカップ」とは、通常は単回使用のために設計され、使い捨て材料、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、紙などからなるカップをいう。ただし、用語「使い捨て」の使用は、カップが単回使用のカップでなければならないことを意味するものでも、材料が再生利用可能である可能性を排除するものでもない。本開示によると、ここでいう「使い捨て材料」は、実質的に再生利用可能である。
【0031】
ここで使用する用語「整列構造」とは、タブを位置決めする(すなわち、タブを特定の向きに位置決めする)ことに役立つプレス装置に対する何らかの構造又は設計をいう。整列構造の例は、これらに限定されないが、ピン及びダボ、タブ及び切り込み、ガイドレール及びトラック、光学整列特徴(例えば、光又はレーザビーム)などを含む。なお、本プレス装置は、上記構造のいずれも含まない。
【0032】
2.本発明の説明
本開示は、2つのカップを結合するための改良されたプレス装置を提供することを目的とする。本プレス装置は、具体的には、二重壁カップを形成するために、相互に積層されてそれぞれ異なる材料、すなわち、第1及び第2の材料からなる2つのカップを縦方向に整列及び結合するために設計される。注目すべきこととして、プレス装置は、2つのカップを位置決めするためのいずれの整列構造も含まず、したがって、本プレス装置は二重壁カップを適時な態様で製造し得る。また、上述のプレス装置を利用することによって2つのカップを結合する方法も、ここに提供される。
【0033】
2.1 プレス装置
ここで、それぞれ本開示の一態様に係るプレス装置1の斜視図及び断面図である
図1A及び1Bを参照する。プレス装置1は上側モールド11及び下側モールド12を備え、上側及び下側モールド(11及び12)は縦方向に整列されて特定距離だけ離間される。上側モールド11は、その構造に第1の中空筒体111及び第2の中空筒体112を備え、第2の中空筒体112はその外面から張り出すフランジ1121を有する。図示するように、第2の中空筒体112は、好ましくは第1の中空筒体111の内部に配置されるので、第2の中空筒体112のフランジ1121は第1の中空筒体111の内面に当接し、それにより、動作時にそれらの間に空間Sを創出する。好ましくは、空間Sのサイズは、積層カップが結合工程中にそれらの中に保持される範囲で、必要に応じて変更又は調整可能である。好適な実施形態によると、空間Sの深さは、カップのタブの長さよりも大きく、これは
図2A~2Hにおいてさらに詳細に説明される。
【0034】
同様に、下側モールド12は、その構造に、第3の中空筒体121及びプッシュロッド122を備え、プッシュロッド122は第3の中空筒体121内で中央に配置されて第3の中空筒体121内部で独立して縦方向に移動する。さらに、第3の中空筒体121は、
図1Bに図示するように、その上部縁部及びその周囲に配置されたカール用溝1211をさらに備える。本開示の実施形態によると、カール用溝1211のサイズ(すなわち、深さ及び幅)は、実用上の必要性に応じて、例えば、結合工程中にカップのリムに対する垂直力を与えて2つのカップが装置から滑り出ることを防止する目的で、カップのリムの形状又はサイズに基づいて変更又は調整可能である。本開示の一部の代替実施形態によると、第3の中空筒体121は、より良好にカップの形状に一致して充分な支持を与える傾斜内面1213(
図1B)を有してもよい。
【0035】
本開示の発明のプレス装置1は、油圧シリンダ及び油圧流体によって生成される力(すなわち、油圧力)、フライホイール及びクランクシャフトなどの機械的システムによって生成される力(すなわち、機械的な力)又は圧縮空気によって生成される力(すなわち、空気圧)のような当技術で周知の機構によって駆動されて、プレス装置1の上側及び下側モールド(11、12)を移動させ、それにより所望の結果を達成することができる。
【0036】
2.2 結合工程
本開示の他の態様は、プレス装置1の補助によって2つのカップを結合することに向けられる。ここで、プレス又は結合工程中の本プレス装置1の状態をまとめて示す
図2A~2Hを参照する。
【0037】
図2Aはそれぞれそれらの初期又は休止位置(すなわち、プレス工程が開始する前の位置)にある上側及び下側モールド(11及び12)を図示し、
図2Bは
図2Aのプレス装置1の断面図である。なお、この
図2A及び2Bに図示する休止位置では、下側モールド12の第3の中空筒体121におけるプッシュロッド122は、相対的に下側の位置にある。この配置によって、第3の中空筒体121は、そこにカップを受容及び保持する充分な余裕を有することになる。
【0038】
結合工程を開始するために、それぞれ第1及び第2の材料からなる2つのカップが積層されて(
図2A~2Hにおいて「A」で示される)積層カップを形成し、(
図2A~2Hにおいて「T」で示される)タブを有する一方のカップ(例えば、プラスチックカップ)が、タブを有さない他方のカップ(例えば、紙カップ)の上部に載置される。そして、積層カップAは、第3の中空筒体121内でプッシュロッド122上に載置される(
図2B)。好ましくは、積層カップAは、積層カップAのリムが第3の中空筒体121のカール用溝1211によって支持され又は持ち上げられた状態で第3の中空筒体121内でプッシュロッド122上に載置される。
【0039】
ここで
図2C及び2Dを参照すると、
図2Cは移動中のプレス装置1の斜視図であり、
図2Dは
図2Cのプレス装置1の断面図である。この段階において、プッシュロッド122は第3の中空筒体121に対して縦方向に上昇し、それにより、フランジ1121と第1の中空筒体111の内面との間に創出された空間Sに積層カップAを押し込む。空間Sは、積層カップAの少なくともリム及びカップ本体の一部を収容することになり、フランジ1121は、通常はリムに当接し、タブTは第1の中空筒体111の内面に接触するように下向きに収納される(
図2D)。なお、この時点で、タブTは地面に対して略鉛直となる。プッシュロッド122の上昇動作は、積層カップAの上部縁部が第2の中空筒体112のフランジ1121に接触すると、自動的に停止する。この動作を通じて、タブTは、空間Sに収納され、実質的に下方に延在するように閉じ込められる。通常、積層カップAを押し上げた後、積層カップAのリム及びカップ本体の一部は、
図2C及び2Dに示すように、第1の中空筒体と第2の中空筒体(111及び112)の間の空間Sに収容される。なお、この段階において、積層カップAは第3の中空筒体121から実質的に離間し、言い換えると、積層カップAは第3の中空筒体121とは接触しなくなっている。
【0040】
ここで
図2E~2Hを参照すると、
図2E及び2Gは押下げ位置にあるプレス装置1の上側モールド11の斜視図であり、
図2F及び2Hはそれぞれ
図2E及び2Gのプレス装置1の断面図である。
図2Dに図示するように、積層カップAのタブTが収納されると、上側モールド11は、それが下側モールド12と当接するまで(
図2G)、具体的には、第1の中空筒体111が第3の中空筒体121に接触するまで打ち込み(punch down)に進むことができる。この時点で、第1の中空筒体111は特定位置に相対的に固定され、第2の中空筒体112は、積層カップAのリムが第3の中空筒体121のカール用溝1211に接するまで、さらに(すなわち、第1の中空筒体111に対して)押し下げ続けて積層カップAを空間Sから押し出す。一部の好適な実施形態によると、本プレス装置1のプッシュロッド122は、上側モールド11が押し下げられている間に積層カップAの底部から離れることはない。
【0041】
積層カップAのリムが第3の中空筒体121のカール用溝1211内に位置決めされると、第2の中空筒体112は下向きの力を付与し続け、一方でプッシュロッド122は同時に上向きの力を付与し、積層カップAのリムをカールさせてカール状リムを形成し、それにより、2つのカップを相互に結合する(
図2H)。本開示の好適な実施形態によると、上述したように下方に延在するように収納されて閉じ込められたタブTの一部分は、積層カップAのカール状リム内で固定され、タブTの残余の部分は外向きに縦方向に延在したままとなり、これは引抜き点として作用し、ユーザはタブTを掴んで上方に引っ張ることで2つのカップ(すなわち、内側及び外側カップ)を分離させることが可能となる。代替の好適な実施形態では、タブTが積層カップAのカール状リムに固定されると、タブTの外向き部分は、タブを有さないカップ(すなわち、外側カップ)の外面に取付けられて接着される(
図2H)。
【0042】
本プレス装置はいずれの整列構造も含まず、これは本方法の動作時に積層カップを回転又は位置決めする必要をなくすことが注記されるべきである。
【0043】
本開示の実施形態によると、カップの第1及び第2の材料は、プラスチック、紙、発泡材などのような使い捨ての又は再生利用可能な材料である。好ましくは、第1及び第2の材料は、独立して紙又はプラスチックであり、より好ましくは、リムから延在するタブを有するカップはプラスチックからなり、タブを有さない他方のカップは紙からなる。カップを製造するのに適したプラスチック材料の例は、これらに限定されないが、ポリエチレン(PE、超低密度ポリエチレン(ULDPE)及び超低密度ポリエチレン(VLDPE)を含む)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリウレタン(PU)、アクリロニトリル-ブタジエンスチレン(ABS)及びこれらの組合せを含む。実施例では、タブ付きのカップは、PPからなる。
【0044】
なお、結合工程のための本プレス装置に適用可能なカップ又は容器の形状は、
図2A~2Hに図示するような円形状に限られない。容器(例えば、カップ)の形状の例は、これらに限定されないが、三角形、四角形及び多角形を含む。
【0045】
上記により、本開示の結合工程は、単一の動作サイクル内で内側及び外側カップの同時の位置決め、リム形成及びタブ固定を可能とする。
【0046】
2.3 本プレス装置の代替設計
代替的に又は付加的に、
図1A~2Hにおいて上述した複数のプレス装置1は、複数組の積層カップを同時に結合するためのプレス装置2を形成するように組み立てられ得る。
【0047】
図3を参照すると、複数の縦方向に整列された上側及び下側モールド(21、22)がプレス装置2内で組み立てられる。プレス装置2の上側及び下側モールド(21及び22)の数は、実用上の必要性に応じて変更可能である。
図3の図示する例では、プレス装置2は上側及び下側モールド(21及び22)の2つのパネルを備え、各パネルは5×7の行列で配列された35個の上側及び下側モールド(21及び22)で構成され、同時に35組の積層カップの結合を可能とする。必要に応じて、より多い組数の積層カップが結合されてもよい。
【0048】
上側モールド21の各々内部に画定された空間(不図示)が積層カップのタブを、それらが下側モールド12に載置された場合に異なる向きで収納できるため、本プレス装置2はいずれの整列構造も必要としない。またさらに、タブの誤整列も、結合工程のスムーズな進行に影響しない。したがって、本開示の装置及び方法は、積層カップを短時間で結合させることができ、例えば、工程全体は、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1秒以内、好ましくは1~4秒で完了し得る。
【0049】
上記より、本開示のプレス装置を用いることによって、異なる材料からなる2つのカップ、特に不規則なリム及び突出タブを有するものが、結合前にそれらを整列させる必要なく数秒以内にスムーズにかつ継ぎ目なく結合され得る。さらに、カップを回転又は位置決めすることは不要であるため、モールド数が実用上の必要性に従って設定可能であり、それにより、結合工程の効率が大幅に向上する。
【0050】
実施形態の上記説明は例としてのみ与えられるものであること、及び種々の変形が当業者によってなされ得ることが理解されるはずである。上記仕様、例示及びデータは、本発明の例示的な実施形態の構造及び使用の完全な説明を与える。本発明の種々の実施形態をある程度の特殊性により又は1以上の個々の実施形態を参照して上述したが、当業者であれば、本発明の主旨又は範囲から逸脱することなく開示の実施形態に対する多数の変更を行い得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス装置であって、それぞれ第1及び第2の材料からなるとともにプレス後に二重壁カップを形成するように相互に積層される2つのカップを結合するために縦方向に整列された上側モールド及び下側モールドを備え、
前記上側モールドは、
第1の中空筒体と、
前記第1の中空筒体の内部を縦方向に独立して移動する第2の中空筒体と、
を備え、
前記下側モールドは、
前記2つのカップを収容及び保持する第3の中空筒体と、
前記2つのカップを押し上げるために前記第3の中空筒体の中心に配置されたプッシュロッドと、
を備え、
前記第2の中空筒体は、前記第2の中空筒体の外面から張り出すとともに前記第1の中空筒体の内面に接触するフランジを有することにより、前記第1の中空筒体および前記第2の中空筒体の間に前記2つのカップの少なくともリム及びカップ本体の一部を収容するための空間を画定し、
前記第3の中空筒体は、前記2つのカップがそこに収容されると該2つのカップの前記リムを受容するための、前記第3の中空筒体の上部縁部及び前記第3の中空筒体の上部縁部の周囲に配置されたカール用溝を有する、プレス装置。
【請求項2】
前記第3の中空筒体は、傾斜内面を有する、請求項1に記載のプレス装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の材料は、独立して紙又はプラスチックである、請求項1に記載のプレス装置。
【請求項4】
前記2つのカップを位置決めするためのいずれの整列構造も有さないことを特徴とする請求項1に記載のプレス装置。
【請求項5】
請求項1に記載のプレス装置を利用することによって、それぞれ第1及び第2の材料からなる2つのカップを結合する方法であって、該2つのカップの一方はそのリムから延在するタブを有し、前記方法は、
(a)前記2つのカップを、タブを有する方のカップが前記タブを有さない他方のカップの上部に積層された状態で、前記プレス装置の前記下側モールド内に載置することにより、積層カップを形成するステップと、
(b)ステップ(a)の前記積層カップを前記プレス装置の前記プッシュロッドによって、前記積層カップが前記プレス装置の前記第2の中空筒体の前記フランジに当接するまで、前記タブが収納されて下方に延在するとともに前記積層カップの前記リム及び前記カップ本体の一部が前記第1の中空筒体と前記第2の中空筒体の間の空間に収容されるように、押し上げるステップと、
(c)前記プレス装置の前記第2の中空筒体を、ステップ(b)の前記積層カップの前記リムが前記第3の中空筒体の前記カール用溝に接するまで、縦方向下方に打ち込むステップと、
(d)前記第2の中空筒体からの下向きの力及び前記プッシュロッドからの上向きの力を同時に付与することによってステップ(c)の前記積層カップの前記リムを巻くことにより、カール状リムを前記積層カップの間に形成することによって前記積層カップを相互に結合するステップと、
を備える方法。
【請求項6】
ステップ(b)において、前記積層カップの前記リム及び前記カップ本体の一部が前記第1の中空筒体と前記第2の中空筒体の間の空間に収容される時に前記積層カップは前記第3の中空筒体と接触していない、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(c)において、前記第2の中空筒体は、前記第1の中空筒体の内部に縦方向に独立して移動する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(c)において、前記積層カップは、前記プッシュロッドに保持される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(d)において、前記積層カップの前記リムを巻く際に、前記タブが前記積層カップの前記カール状リムに固定される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(a)の前、ステップ(a)の後又はステップ(a)において、前記積層カップを回転又は位置決めすることを備えない請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び第2の材料は、独立して紙又はプラスチックである、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記タブを有する方の前記カップはプラスチックからなり、前記タブを有さない他方のカップは紙からなる、請求項5に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2024-11-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス装置であって、それぞれ第1及び第2の材料からなるとともにプレス後に二重壁カップを形成するように相互に積層される2つのカップを結合するために縦方向に整列された上側モールド及び下側モールドを備え、
前記上側モールドは、
第1の中空筒体と、
前記第1の中空筒体の内部を縦方向に独立して移動する第2の中空筒体と、
を備え、
前記下側モールドは、
前記2つのカップを収容及び保持する第3の中空筒体と、
前記2つのカップを押し上げるために前記第3の中空筒体の中心に配置されたプッシュロッドと、
を備え、
前記第2の中空筒体は、前記第2の中空筒体の外面から張り出すとともに前記第1の中空筒体の内面に接触するフランジを有することにより、前記第1の中空筒体および前記第2の中空筒体の間に前記2つのカップの少なくともリム及びカップ本体の一部を収容するための空間を画定し、
前記第3の中空筒体は、前記2つのカップがそこに収容されると該2つのカップの前記リムを受容するための、前記第3の中空筒体の上部縁部及び前記第3の中空筒体の上部縁部の周囲に配置されたカール用溝を有する、プレス装置。
【請求項2】
前記第3の中空筒体は、傾斜内面を有する、請求項1に記載のプレス装置。
【請求項3】
前記第1及び第2の材料は、独立して紙又はプラスチックである、請求項1に記載のプレス装置。
【請求項4】
前記2つのカップを位置決めするためのいずれの整列構造も有さないことを特徴とする請求項1に記載のプレス装置。
【請求項5】
請求項1に記載のプレス装置を利用することによって、それぞれ第1及び第2の材料からなる2つのカップを結合する方法であって、該2つのカップの一方はそのリムから延在するタブを有し、前記方法は、
(a)前記2つのカップを、タブを有する方のカップが前記タブを有さない他方のカップの上部に積層された状態で、前記プレス装置の前記下側モールド内に載置することにより、積層カップを形成するステップと、
(b)ステップ(a)の前記積層カップを前記プレス装置の前記プッシュロッドによって、前記積層カップが前記プレス装置の前記第2の中空筒体の前記フランジに当接するまで、前記タブが収納されて下方に延在するとともに前記積層カップの前記リム及び前記カップ本体の一部が前記第1の中空筒体と前記第2の中空筒体の間の空間に収容されるように、押し上げるステップと、
(c)前記プレス装置の前記第2の中空筒体を、ステップ(b)の前記積層カップの前記リムが前記第3の中空筒体の前記カール用溝に接するまで、縦方向下方に打ち込むステップと、
(d)前記第2の中空筒体からの下向きの力及び前記プッシュロッドからの上向きの力を同時に付与することによってステップ(c)の前記積層カップの前記リムを巻くことにより、カール状リムを形成することによって前記積層カップを相互に結合するステップと、
を備える方法。
【請求項6】
ステップ(b)において、前記積層カップの前記リム及び前記カップ本体の一部が前記第1の中空筒体と前記第2の中空筒体の間の空間に収容される時に前記積層カップは前記第3の中空筒体と接触していない、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ステップ(c)において、前記第2の中空筒体は、前記第1の中空筒体の内部に縦方向に独立して移動する、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ステップ(c)において、前記積層カップは、前記プッシュロッドに保持される、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(d)において、前記積層カップの前記リムを巻く際に、前記タブが前記積層カップの前記カール状リムに固定される、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
ステップ(a)の前、ステップ(a)の後又はステップ(a)において、前記積層カップを回転又は位置決めすることを備えない請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び第2の材料は、独立して紙又はプラスチックである、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記タブを有する方の前記カップはプラスチックからなり、前記タブを有さない他方のカップは紙からなる、請求項5に記載の方法。
【外国語明細書】