(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179379
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】状態判定システム、状態判定方法及び状態判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/497 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G01N33/497 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098186
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】篠村 将人
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA40
(57)【要約】
【課題】ニオイを用いて対象物の状態を好適に判定することが可能な状態判定システムを提供する。
【解決手段】状態判定システム1Aは、対象物2のニオイに反応するニオイセンサ12と、対象物2とニオイセンサ12との距離を算出する制御部11と、ニオイセンサ12の出力値及び対象物2とニオイセンサ12との距離に基づいて、対象物2の状態を判定する判定部24と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物のニオイに反応するニオイセンサと、
前記対象物と前記ニオイセンサとの距離を算出する距離算出部と、
前記ニオイセンサの出力値及び前記対象物と前記ニオイセンサとの距離に基づいて、前記対象物の状態を判定する判定部と、
を備える状態判定システム。
【請求項2】
前記対象物の位置を検出する位置センサを備え、
前記距離算出部は、前記位置センサが前記対象物の位置を検出すると、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物と前記ニオイセンサとの距離を算出する、
請求項1に記載の状態判定システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記対象物が異常であるか否かを判定する、
請求項1に記載の状態判定システム。
【請求項4】
複数の前記距離ごとに前記ニオイセンサの出力値を説明変数とし、前記対象物の状態を目的変数として学習した複数の状態判定モデルを備え、
前記判定部は、前記距離算出部によって算出された距離に基づいていずれかの前記状態判定モデルを選択し、選択された前記状態判定モデルを用いて前記対象物の状態を判定する、
請求項1に記載の状態判定システム。
【請求項5】
前記ニオイセンサの出力値及び前記距離を説明変数とし、前記対象物の状態を目的変数として学習した状態判定モデルを備え、
前記判定部は、前記状態判定モデルに前記ニオイセンサの出力値及び前記距離算出部によって算出された前記距離を入力することによって、前記対象物の状態を判定する、
請求項1に記載の状態判定システム。
【請求項6】
ニオイに反応する特性が互いに異なる複数の前記ニオイセンサを備え、
前記判定部は、複数の前記ニオイセンサの出力値に基づいて、前記対象物を識別する、
請求項1に記載の状態判定システム。
【請求項7】
前記判定部は、前記対象物が破損しているか否かを判定する、
請求項2に記載の状態判定システム。
【請求項8】
ニオイセンサが、対象物のニオイに反応するステップと、
位置センサが、前記対象物の位置を検出するステップと、
距離算出部が、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物と前記ニオイセンサとの距離を算出するステップと、
判定部が、前記ニオイセンサの出力値及び前記対象物と前記ニオイセンサとの距離に基づいて、前記対象物の状態を判定するステップと、
を含む状態判定方法。
【請求項9】
コンピュータに、
対象物のニオイに反応したニオイセンサの出力値を取得する手順、
位置センサによって検出された前記対象物の位置を取得する手順、
距離算出部が、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物と前記ニオイセンサとの距離を算出する手順、
判定部が、前記ニオイセンサの出力値及び前記対象物と前記ニオイセンサとの距離に基づいて、前記対象物の状態を判定する手順、
を実行させるための状態判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ニオイを用いて対象物の状態を判定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ニオイを検出する技術として、特許文献1には、ニオイに反応する特性が互いに異なる複数のニオイセンサの出力値に基づいて、測定対象気体に含まれるニオイ成分及びその濃度を特定するニオイ検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のニオイ検出装置は、ニオイセンサの周辺の気体に含まれるニオイを検出するものである。ニオイの元である対象物が遠くにある場合には、ニオイが薄まってしまう。
すなわち、かかるニオイ検出装置を、ニオイの元である対象物の状態を判定するための用いようとした場合には、対象物との距離が異なるとうまく判定することができないという問題がある。
【0005】
本発明は、前記した事情に鑑みて創案されたものであり、ニオイを用いて対象物の状態を好適に判定することが可能な状態判定システム、状態判定方法及び状態判定プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するための本発明は、以下の構成を備える。
1.対象物のニオイに反応するニオイセンサと、前記対象物と前記ニオイセンサとの距離を算出する距離算出部と、前記ニオイセンサの出力値及び前記対象物と前記ニオイセンサとの距離に基づいて、前記対象物の状態を判定する判定部と、を備える状態判定システム。
2.前記対象物の位置を検出する位置センサを備え、前記距離算出部は、前記位置センサが前記対象物の位置を検出すると、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物と前記ニオイセンサとの距離を算出する、前記1に記載の状態判定システム。
3.前記判定部は、前記対象物が異常であるか否かを判定する、前記1に記載の状態判定システム。
4.複数の前記距離ごとに前記ニオイセンサの出力値を説明変数とし、前記対象物の状態を目的変数として学習した複数の状態判定モデルを備え、前記判定部は、前記距離算出部によって算出された距離に基づいていずれかの前記状態判定モデルを選択し、選択された前記状態判定モデルを用いて前記対象物の状態を判定する、前記1に記載の状態判定システム。
5.前記ニオイセンサの出力値及び前記距離を説明変数とし、前記対象物の状態を目的変数として学習した状態判定モデルを備え、前記判定部は、前記状態判定モデルに前記ニオイセンサの出力値及び前記距離算出部によって算出された前記距離を入力することによって、前記対象物の状態を判定する、前記1に記載の状態判定システム。
6.ニオイに反応する特性が互いに異なる複数の前記ニオイセンサを備え、前記判定部は、複数の前記ニオイセンサの出力値に基づいて、前記対象物を識別する、前記1に記載の状態判定システム。
7.前記判定部は、前記対象物が破損しているか否かを判定する、前記2に記載の状態判定システム。
8.ニオイセンサが、対象物のニオイに反応するステップと、位置センサが、前記対象物の位置を検出するステップと、距離算出部が、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物と前記ニオイセンサとの距離を算出するステップと、判定部が、前記ニオイセンサの出力値及び前記対象物と前記ニオイセンサとの距離に基づいて、前記対象物の状態を判定するステップと、を含む状態判定方法。
9.コンピュータに、対象物のニオイに反応したニオイセンサの出力値を取得する手順、位置センサによって検出された前記対象物の位置を取得する手順、距離算出部が、前記対象物の位置に基づいて、前記対象物と前記ニオイセンサとの距離を算出する手順、判定部が、前記ニオイセンサの出力値及び前記対象物と前記ニオイセンサとの距離に基づいて、前記対象物の状態を判定する手順、を実行させるための状態判定プログラム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、対象物とニオイセンサとの距離を考慮して対象物の状態を判定するので、ニオイを用いて対象物の状態を好適に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る状態判定システムを模式的に示すブロック図である。
【
図2A】本発明の第一の実施形態に係る状態判定モデルの生成手法を模式的に示す図である。
【
図2B】本発明の第一の実施形態に係る状態判定モデルの生成手法を模式的に示す図である。
【
図2C】本発明の第一の実施形態に係る状態判定モデルの生成手法を模式的に示す図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態に係る状態判定システムの動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本発明の第二の実施形態に係る状態判定システムを模式的に示すブロック図である。
【
図5A】本発明の第二の実施形態に係る状態判定モデルの生成手法を模式的に示す図である。
【
図5B】本発明の第二の実施形態に係る状態判定モデルの生成手法を説明するための表である。
【
図6】本発明の第二の実施形態に係る状態判定システムの動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図7】本発明の第三の実施形態に係る状態判定システムを模式的に示すブロック図である。
【
図8】本発明の第三の実施形態に係る状態判定システム、対象物及び搬送装置を模式的に示す斜視図である。
【
図9】本発明の第三の実施形態に係る状態判定システム、対象物及び搬送装置を模式的に示す平面図である。
【
図10】本発明の第四の実施形態に係る状態判定システムを模式的に示すブロック図である。
【
図11】本発明の第四の実施形態に係る状態判定システム、対象物及び搬送装置を模式的に示す斜視図である。
【
図12】本発明の第四の実施形態に係る状態判定システム、対象物及び搬送装置を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
<第一の実施形態>
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る状態判定システム1Aは、対象物のニオイ及び当該対象物までの距離に基づいて、対象物2(
図2A参照)の状態を判定するシステムである。対象物2としては、飲食料品(青果物等)、ヒトの体臭等が挙げられる。状態は、レベル(正常であるか異常であるかの2段階等)であってもよく、連続値であってもよい。また、異常の例としては、飲食料品の容器又は包装が破損している(飲食料品のニオイが出ている)、青果物が腐敗している(腐敗臭が出ている)等が挙げられる。
【0011】
状態判定システム1Aは、ニオイ検出装置10Aと、判定装置20Aと、を備える。ニオイ検出装置10A及び判定装置20Aは、近距離無線通信機能を備えており、Bluetooth(登録商標)による相互通信が可能となっている。なお、ニオイ検出装置10A及び判定装置20Aの通信手法は、前記したものに限定されず、Bluetooth以外の無線通信、イントラネット等の有線通信であってもよい。
【0012】
<ニオイ検出装置>
ニオイ検出装置10Aは、制御部11と、複数のニオイセンサ12(12a,12b,12c,12d)と、ADC(Analog to Digital Converter)13と、位置センサ14と、表示部15と、操作スイッチ16と、バッテリ17と、通信部18と、を備える。
【0013】
≪制御部≫
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等によって構成されており、不図示のニオイ検出プログラムを実行することによって、ニオイ検出装置10Aの各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、制御部11は、不図示の記憶部に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムとの協働によって各種処理を行う。
【0014】
≪ニオイセンサ≫
ニオイセンサ12a~12dは、どのようなニオイに強く反応するかといった、ニオイに反応する特性が互いに異なる半導体ガスセンサである。ニオイセンサ12a~12dは、検出対象ガス(主に反応する対象となるガス)の濃度を電気量に変換し、ガス濃度に対応する電気信号を出力する。ニオイセンサ12a~12dとしては、例えば、VOC(Volatile Organic Compounds:揮発性有機化合物)検出用ガスセンサ、CO検出用ガスセンサ、水素検出用ガスセンサ、炭化水素検出用ガスセンサ、アルコール検出用ガスセンサ、タバコ検出用ガスセンサ等が利用可能である。各ニオイセンサ12a~12dは、複数のニオイ成分に対して反応するものであり、一つのニオイ成分のみに対して反応するわけではない。ここで、ニオイ成分とは、ニオイを構成する化学物質である。なお、ニオイセンサ12a~12dは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)タイプのセンサであってもよい。
【0015】
≪ADC≫
ADC13は、ニオイセンサ12a~12dから出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号を制御部11へ出力する。
【0016】
≪位置センサ≫
位置センサ14は、状態判定の対象物2の位置、すなわち、当該位置センサ14から対象物2までの距離に関するパラメータを検出するセンサである。位置センサ14としては、例えば、レーザ、赤外線、電磁波、超音波等を用いたセンサが利用可能である。
【0017】
≪距離算出部としての制御部≫
制御部11は、位置センサ14の検出結果(対象物2の位置に関するパラメータ)を取得し、取得された検出結果に基づいて、対象物2とニオイセンサ12a~12dとの距離を算出する。
【0018】
≪表示部≫
表示部15は、モニタ等によって構成されており、制御部11の制御に基づいて画像を表示する。
【0019】
≪操作スイッチ≫
操作スイッチ16は、電源をオン/オフさせる電源スイッチ、測定開始を指示するための測定スイッチ等によって構成されており、ユーザによる操作スイッチ16の操作(押下)に応じた操作信号を制御部11へ出力する。
【0020】
≪バッテリ≫
バッテリ17は、ニオイ検出装置10Aの各部に電力供給を行う。バッテリ17としては、着脱可能な乾電池、充電池等が用いられる。
【0021】
≪通信部≫
通信部18は、判定装置20Aとの間でBluetooth無線通信によってデータ通信を行うためのインターフェースを有し、BLE(Bluetooth Low Energy)の通信規格に従って判定装置20Aとデータの送受信を行う。
【0022】
<判定装置>
判定装置20Aは、サーバ、PC(Personal Computer)等であり、制御部21と、記憶部22と、複数の状態判定モデル23A(23a,23b,23c)と、判定部24と、通信部25と、を備える。
【0023】
≪制御部≫
制御部21は、CPU等によって構成されており、不図示の判定ブログラムを実行することによって、判定装置20Aの各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、制御部21は、記憶部22に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムとの協働によって各種処理を行う。
【0024】
≪記憶部≫
記憶部22は、不揮発性の半導体メモリ等によって構成されており、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータ、ファイル等を記憶している。記憶部22には、識別器22aと、ニオイ種類判別テーブル22bと、が記憶されている。
【0025】
≪識別器≫
識別器22aは、ニオイ検出装置10Aの開発段階において、外部装置によって予め生成された機械学習結果である。機械学習時には、複数のニオイ成分(化学物質)のそれぞれが濃度ごとに用意されている。外部装置は、複数のニオイ成分のそれぞれについて濃度ごとに、ニオイセンサ12a~12dと同種のニオイセンサ(以下、学習用ニオイセンサという)の出力値(波形)を取得し、当該濃度の当該ニオイ成分を対象としたときの各学習用ニオイセンサの出力値の組み合わせを入力とし、当該ニオイ成分及びその濃度を出力として機械学習させることによって、識別器22aを生成する。
すなわち、複数の学習用ニオイセンサの出力値の組み合わせを入力、ニオイ成分及びその濃度を出力としたデータのセットを教師データとして、機械学習させる。
【0026】
「同種のニオイセンサ」とは、対象とするニオイセンサ12a~12dと同じ特性を有するセンサー(同じ出力を得られるもの)であり、例えば、同じ型番同士のセンサである。機械学習モデルとして、例えば、ニューラルネットワーク、特に、学習ベクトル量子化(LVQ)ニューラルネットワークが用いられる。例えば、学習用ニオイセンサの出力値であるガス濃度を、測定開始時からの経過時間に沿ってプロットして得られた波形の立ち上がり方、ピーク値等を特徴量として、識別器22aが構築されている。
【0027】
ニオイ成分としては、ノネナール、ジアセチル、イソ吉草酸、アンモニア等、悪臭の原因となる成分が挙げられる。ノネナールは、加齢臭(加齢に伴い発生する体臭)の原因となる成分である。ジアセチルは、ミドル脂臭(中年男性に多い脂っぽい体臭)の原因となる成分である。イソ吉草酸は、汗臭(汗による体臭)の原因となる成分である。
【0028】
なお、ここでは、予め識別器22aを生成する際に、学習用ニオイセンサを用いることとしたが、ニオイ検出装置10に実際に搭載されるニオイセンサ12a~12dそのものを用いて機械学習させることとしてもよい。
【0029】
≪ニオイ種類判別テーブル≫
ニオイ種類判別テーブル22bは、複数のニオイ成分のそれぞれについて濃度ごとに、ニオイの種類とその強度(レベル)を対応付けたテーブルである。ニオイ種類判別テーブル22bは、各ニオイ成分の濃度をニオイの種類(とその強度)に変換するための判定基準となる情報である。ニオイの種類とは、何らかの特徴を持ったニオイに対して、人間が分類し、名付けたものである。ニオイの種類としては、対象物2としての飲食料品のニオイ、加齢臭、ミドル脂臭、汗臭の三大体臭等が挙げられる。
【0030】
また、記憶部22には、各ニオイ成分について濃度ごとに、当該濃度の当該ニオイ成分を対象とした時の複数のニオイセンサ12a~12dの出力値(波形)が予め記憶されている。また、記憶部22には、所定のニオイを対象とした時の複数のニオイセンサ12a~12dの出力値(波形)が予め記憶されている。記憶部22に記憶されている、各ニオイ成分の各濃度に相当する出力値のデータ、及び、所定のニオイに相当する出力値のデータは、学習用ニオイセンサを用いて予め求められている。なお、ニオイ検出装置10に実際に搭載されるニオイセンサ12a~12dそのものを用いて予め求められたものであってもよい。
【0031】
また、ニオイ種類判別テーブル22bには、対象物2の名称とニオイの種類とが関連付けて記憶されている。
【0032】
≪状態判定モデル≫
状態判定モデル23A(23a~23c)は、複数の距離ごとにニオイセンサ23の出力値を説明変数とし、対象物2の状態を目的変数として学習したモデルである。状態判定モデル23Aは、機械学習によって得られたニオイセンサ12の出力値(又は特徴量)に関する閾値を有しており、ニオイセンサ12a~12dの出力値(又は特徴量)が閾値未満であれば対象物2は正常であると判定し、ニオイセンサ12a~12dの出力値(又は特徴量)が閾値以上であれば対象物2は異常であると判定することができる。
【0033】
図3Aに示すように、状態判定モデル23aは、対象物2から第一の所定距離範囲(本実施形態では、0~2cm)に設置されたニオイセンサ12によって得られた出力値(又は特徴量)に基づいて機械学習されたモデルである。
【0034】
図3Bに示すように、状態判定モデル23bは、対象物2から第二の所定距離範囲(本実施形態では、2~4cm)に設置されたニオイセンサ12によって得られた出力値(又は特徴量)に基づいて機械学習されたモデルである。
【0035】
図3Cに示すように、状態判定モデル23cは、対象物2から第三の所定距離範囲(本実施形態では、4~cm)に設置されたニオイセンサ12によって得られた出力値(又は特徴量)に基づいて機械学習されたモデルである。
【0036】
状態判定モデル23a~23cにおいて、閾値は個別に設定されている。対象物2とニオイセンサ12との距離が近い場合には、ニオイは比較的薄まらずにニオイセンサ12に届くため、閾値を高く設定し、誤報率(正常を異常と判定してしまう割合)が低く外乱の影響を受けにくい、ロバストな判定を行うことができる。対象物2とニオイセンサ12との距離が遠い場合には、ニオイはニオイセンサ12に届くまでに薄まってしまうため、閾値を低く設定し、失報率(異常を正常と判定してしまう割合)を下げることができる。
【0037】
≪判定部≫
判定部24は、CPU等によって構成されており、通信部18,25を介してニオイセンサ12a~12dの出力値を取得し、取得されたニオイセンサ12a~12dの出力値に基づいて、ニオイの特徴量を生成する。特徴量としては、ニオイセンサ12a~12dの出力値であるガス濃度を、測定開始時からの経過時間に沿ってプロットすることによって得られた波形の立ち上がり方、ピーク値等が挙げられる。また、判定部24は、ニオイセンサ12a~12dの出力値(又は特徴量)及び識別器22aに基づいて、ニオイ成分及びその濃度を算出する。また、判定部24は、算出されたニオイ成分及びその濃度を用いてニオイ種類判別テーブル22bを参照することによって、ニオイ種類を判別し、判別結果に基づいて(判別されたニオイ種類と関連付けられた対象物2の名前を読み出すことによって)対象物2を識別する。
【0038】
判定部24は、ニオイセンサ12a~12dの出力値(又は特徴量)及び距離算出部(制御部11)によって算出された対象物2とニオイセンサ12a~12dとの距離に基づいて、対象物2の状態を判定する。本実施形態では、判定部24は、対象物2が正常であるか異常であるかを判定する。判定部24は、距離算出部(制御部11)によって算出された対象物2とニオイセンサ12a~12dとの距離に応じた状態判定モデル23Aを選択し、選択された状態判定モデル23Aを用いて対象物2の状態を判定する。」
【0039】
≪通信部≫
通信部25は、ニオイ検出装置10Aとの間でBluetooth無線通信によってデータ通信を行うためのインターフェースを有し、BLE(Bluetooth Low Energy)の通信規格に従ってニオイ検出装置10Aとデータの送受信を行う。
【0040】
<状態判定システムの動作例>
続いて、状態判定システム1Aの動作例(主に、判定部24の動作例)について、
図3のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
まず、ニオイセンサ12a~12dが、対象物2のニオイに反応する(ステップS1A)。続いて、判定部24が、ニオイセンサ12a~12dの出力値を取得し、取得された出力値に基づいて、ニオイの特徴量を生成する(ステップS2A)。
【0042】
一方、位置センサ14が、対象物2の位置を検出する(ステップS1B)。続いて、制御部11が、対象物2の位置に基づいて、対象物2とニオイセンサ12a~12dとの距離を算出する(ステップS2B)。続いて、判定部24が、位置センサ14の検出結果、より詳細には、制御部11によって算出された対象物2とニオイセンサ12a~12dとの距離を取得し、取得された距離に基づいて、状態判定モデル23Aを選択する(ステップS3B)。
【0043】
ステップS1A,S2A及びステップS1B~S3Bは、同時に実行されてもよく、どちらかが先に実行されてもよい。
【0044】
続いて、判定部24は、特徴量を取得し、取得された特徴量及び選択された状態判定モデル23Aを用いて対象物2の状態を判定する(ステップS4)。すなわち、判定部24は、取得された特徴量を選択された状態判定モデル23Aに入力させることによって、状態判定モデル23Aに対象物2が正常であるか異常であるかを判定させ、判定結果を得る。判定結果は、通信部25を介してニオイ検出装置10Aへ送信され、制御部11によって表示部15に表示される。
【0045】
本発明の第一の実施形態に係る状態判定システム1Aは、対象物2のニオイに反応するニオイセンサ12と、前記対象物2と前記ニオイセンサ12との距離を算出する距離算出部(制御部11)と、前記ニオイセンサ12の出力値及び前記対象物2と前記ニオイセンサ12との距離に基づいて、前記対象物2の状態を判定する判定部24と、を備える。
したがって、状態判定システム1Aは、対象物2とニオイセンサ12との距離を考慮して対象物2の状態を判定するので、前記距離の大小に関わらず、ニオイを用いて対象物2の状態を好適に判定することができる。
【0046】
状態判定システム1Aは、前記対象物2の位置を検出する位置センサ14を備え、前記距離算出部は、前記位置センサ14が前記対象物2の位置を検出すると、前記対象物2の位置に基づいて、前記対象物2と前記ニオイセンサ12との距離を算出する。
したがって、状態判定システム1Aは、位置センサ14の検出結果に基づいて対象物2とニオイセンサ12との距離を好適に得ることができ、対象物2の状態を好適に判定することができる。
【0047】
状態判定システム1Aにおいて、前記判定部24は、前記対象物2が異常であるか否かを判定する。
したがって、状態判定システム1Aは、対象物2の検査を好適に行うことができる。
【0048】
状態判定システム1Aは、複数の前記距離ごとに前記ニオイセンサ12の出力値を説明変数とし、前記対象物2の状態を目的変数として学習した複数の状態判定モデル23Aを備え、前記判定部24は、前記距離算出部によって算出された距離に基づいていずれかの前記状態判定モデル23Aを選択し、選択された前記状態判定モデル23Aを用いて前記対象物2の状態を判定する。
したがって、状態判定システム1Aは、対象物2とニオイセンサ12との距離が近い場合には、閾値を高く設定することによって誤報率(正常を異常と判定してしまう割合)を下げることができるとともに、対象物2とニオイセンサ12との距離が遠い場合には、閾値を低く設定することによって、失報率(異常を正常と判定してしまう割合)を下げることができる。
【0049】
状態判定システム1Aは、ニオイに反応する特性が互いに異なる複数の前記ニオイセンサ12a~12dを備え、前記判定部24は、複数の前記ニオイセンサ12a~12dの出力値に基づいて、前記対象物2を識別する。
したがって、状態判定システム1Aは、対象物2の詳細な状態を判定することができるとともに、外乱との識別を行って、よりロバストな判定を行うことができる。
【0050】
また、本発明の第一の実施形態に係る状態判定方法は、ニオイセンサ12が、対象物2のニオイに反応するステップと、位置センサ14が、前記対象物2の位置を検出するステップと、距離算出部(制御部11)が、前記対象物2の位置に基づいて、前記対象物2と前記ニオイセンサ12との距離を算出するステップと、判定部24が、前記ニオイセンサ12の出力値及び前記対象物2と前記ニオイセンサ12との距離に基づいて、前記対象物2の状態を判定するステップと、を含む。
したがって、状態判定方法によると、対象物2とニオイセンサ12との距離を考慮して対象物2の状態を判定するので、前記距離の大小に関わらず、ニオイを用いて対象物2の状態を好適に判定することができる。
【0051】
<第二の実施形態>
続いて、本発明の第二の実施形態に係る状態判定システム及び状態判定方法について、第一の実施形態に係る状態判定システム1A及び状態判定方法との相違点を中心に説明する。
図4に示すように、本発明の第二の実施形態に係る状態判定システム1Bは、判定装置20Aに代えて、判定装置20Bを備える。
【0052】
<判定装置>
判定装置20Bは、複数の状態判定モデル23Aに代えて、状態判定モデル23Bを備える。
【0053】
≪状態判定モデル≫
状態判定モデル23Bは、ニオイセンサ12a~12dの出力値及び対象物2とニオイセンサ12との距離を説明変数とし、対象物2の状態を目的変数として学習したモデルである。状態判定モデル23Bは、対象物2とニオイセンサ12との距離に基づいて機械学習によって得られたニオイセンサ12の出力値(又は特徴量)に関する閾値を算出し、ニオイセンサ12a~12dの出力値(又は特徴量)が閾値未満であれば対象物は正常であると判定し、ニオイセンサ12a~12dの出力値(又は特徴量)が閾値以上であれば対象物は異常であると判定することができる。
【0054】
図5Aに示すように、ニオイセンサ12は、対象物2と当該ニオイセンサ12との距離を変化させながら測定し、各距離d
1,d
2,d
3,…ごとのニオイセンサ12の出力値s
1,s
2,s
3,…を収集する(
図5B参照)。状態判定モデル23Bは、距離が説明変数として入力されることによって、当該距離を連続値として取り扱うことができる。
【0055】
状態判定モデル23Bは、位置情報を入力することで最適な閾値が自動的に設定されるので、ロバスト性を向上することができる。最適な閾値は、モデルの予測精度、ビジネス価値等に基づいて設定されるものであり。位置情報と最適な閾値との関係は、回帰分析等によって算出することができる。
【0056】
<状態判定システムの動作例>
続いて、状態判定システム1Bの動作例(主に、制御部21及び判定部24の動作例)について、
図6のフローチャートを参照して説明する。
【0057】
まず、ニオイセンサ12a~12dが、対象物2のニオイに反応する(ステップS11A)。続いて、判定部24が、ニオイセンサ12a~12dの出力値を取得し、取得された出力値に基づいて、ニオイの特徴量を生成する(ステップS21A)。
【0058】
一方、位置センサ14が、対象物2の位置を検出する(ステップS11B)。続いて、制御部11が、対象物2の位置に基づいて、対象物2とニオイセンサ12a~12dとの距離を算出する(ステップS12B)。
【0059】
ステップS11A,S21及びステップS11B~S12Bは、同時に実行されてもよく、どちらかが先に実行されてもよい。
【0060】
続いて、判定部24が、位置センサ14の検出結果、より詳細には、制御部11によって算出された対象物2とニオイセンサ12a~12dとの距離を取得し、取得された距離に基づいて、状態判定モデル23Bを用いた予測を行う(閾値を算出する)(ステップS22)。
【0061】
続いて、判定部24は、算出されたニオイの特徴量及び状態判定モデル23Aによる予測(閾値)を用いて対象物2の状態を判定する(ステップS23)。すなわち、判定部24は、取得された特徴量及び算出された距離を状態判定モデル23Bに入力させることによって、状態判定モデル23Bに対象物2が正常であるか異常であるかを判定させ、判定結果を得る。判定結果は、通信部25を介してニオイ検出装置10Aへ送信され、制御部11によって表示部15に表示される。
【0062】
本発明の第二の実施形態に係る状態判定システム1Bは、前記ニオイセンサ12の出力値及び前記距離を説明変数とし、前記対象物2の状態を目的変数として学習した状態判定モデル23Bを備え、前記判定部24は、前記状態判定モデル23Bに前記ニオイセンサ12の出力値及び前記距離算出部によって算出された前記距離を入力することによって、前記対象物2の状態を判定する。
したがって、状態判定システム1Bは、位置情報を入力することで最適な閾値が自動的に設定されるので、ロバスト性を向上することができる。
【0063】
<第三の実施形態>
続いて、本発明の第三の実施形態に係る状態判定システムについて、第一の実施形態に係る状態判定システム1Aとの相違点を中心に説明する。
図7に示すように、本発明の第三の実施形態に係る状態判定システム1Cは、ニオイ検出装置10Aに代えてニオイ検出装置10Cを備えるとともに、距離特性測定装置30Cと、端末装置40と、を備える。
【0064】
<ニオイ検出装置>
ニオイ検出装置10Cは、位置センサ14及び表示部15を有していない。
【0065】
<距離特性測定装置>
距離特性測定装置30Cは、制御部31と、位置センサ32Cと、バッテリ33と、
通信部34と、を備える。
【0066】
制御部31は、CPU等によって構成されており、距離特性測定装置30Cの各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、制御部31は、不図示の記憶部に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムとの協働によって各種処理を行う。
【0067】
≪位置センサ≫
位置センサ32Cは、状態判定の対象物の位置、すなわち、当該位置センサ2Cから対象物までの距離に関するパラメータを検出するセンサである。位置センサ32Cとしては、例えば、レーザ、赤外線、電磁波、超音波等を用いたセンサが利用可能である。
【0068】
≪距離算出部としての制御部≫
制御部31は、位置センサ32Cの検出結果(対象物の位置に関するパラメータ)を取得し、取得された検出結果及び予め記憶されたニオイセンサ12a~12dの位置に関する情報に基づいて、対象物とニオイセンサ12a~12dと距離を算出する。
【0069】
≪バッテリ≫
バッテリ33は、距離特性測定装置30Cの各部に電力供給を行う。バッテリ33としては、着脱可能な乾電池、充電池等が用いられる。
【0070】
≪通信部≫
通信部34は、判定装置20Aとの間でBluetooth無線通信によってデータ通信を行うためのインターフェースを有し、BLEの通信規格に従って判定装置20Aとデータの送受信を行う。
【0071】
<端末装置>
端末装置40は、ユーザが携行可能なスマートフォン等であり、制御部41と、表示部42と、操作部43と、第一通信部44と、第二通信部45と、記憶部46と、スピーカ47と、マイク48と、を備える。
【0072】
≪制御部≫
制御部41は、CPU等によって構成されており、端末装置40の各部の処理動作を統括的に制御する。具体的には、制御部41は、記憶部46に記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムとの協働により各種処理を行う。
【0073】
≪表示部≫
表示部42は、LCD(Liquid Crystal Display)等によって構成されており、制御部41から入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0074】
≪操作部≫
操作部43は、操作キー、表示部42に積層されたタッチパネルによって構成されており、操作キーに対応する操作信号、ユーザの指等によるタッチ操作の位置に応じた操作信号を制御部41へ出力する。
【0075】
≪第一通信部≫
第一通信部44は、無線によって基地局又はアクセスポイントを介して移動体通信網を含む通信ネットワークに接続し、通信ネットワークに接続された外部装置との通信を行う。
【0076】
≪第二通信部≫
第二通信部45は、判定装置20A等の外部装置との間でBluetooth無線通信によりデータ通信を行うためのインターフェースを有する。第二通信部45は、BLEの通信規格に従って外部装置とデータの送受信を行う。
【0077】
≪記憶部≫
記憶部46は、不揮発性の半導体メモリ等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメータやファイル等を記憶している。記憶部46には、ニオイ検出装置10Cを用いてニオイ検出を行うためのニオイ検出アプリケーションプログラム(以下、ニオイ検出アプリという。)がインストールされている。
【0078】
≪スピーカ≫
スピーカ47は、第一通信部44を介して外部装置から受信した電気信号を音声信号に変換し、音声を出力する。
【0079】
≪マイク≫
マイク48は、音波を検知して電気信号に変換し、制御部41及び第一通信部44へ出力する。
【0080】
制御部41は、ニオイ検出アプリとの協働によって、第二通信部45を介して判定装置20Aから受信した対象物2の状態の判定結果を、表示部42に表示させる。
【0081】
<搬送装置>
図8及び
図9に示すように、製品としての対象物2の生産ラインにおける搬送装置50は、複数のローラ51を備えており、当該ローラ51を回転させることによって、ローラ51上に載置された製品としての対象物2を搬送方向xに搬送する。
【0082】
<ニオイ検出装置及び距離特性測定装置の配置手法>
ニオイ検出装置10Cは、搬送装置50の下方に設置されている。また、距離特性測定装置30Cは、搬送方向xにおいてニオイ検出装置10Cと同一座標であり、かつ、搬送装置50の側方で対象物2と同じ高さとなる位置に配置されている。
【0083】
製品としての対象物2の搬送位置y(搬送方向xに対して水平方向において直交する方向の位置)は、ローラ51の長さの範囲でバラついている。搬送装置50には、異なる対象物2が搬送されることがあるため、レール等で対象物2の位置を揃えることは困難である。対象物2が距離特性測定装置30Cから離れていると、ニオイセンサ12に届くニオイは弱くなるため、位置関係が異なるとニオイセンサ12の反応が変化し、対象物2の破損を正しく判定することができない場合がある。また、カメラ等では、外観に殆ど変化が無い対象物2の破損を検知することは困難である。
【0084】
<距離算出手法及び判定手法>
距離算出部としての制御部31は、位置センサ32Cの検出結果に基づいて、対象物2と位置センサ32Cとの距離を算出する。また、距離算出部としての制御部31は、対象物2と位置センサ32Cとの距離、及び、予め記憶されたニオイセンサ12の位置に関する情報等に基づいて、対象物2とニオイセンサ12との距離を算出する。
【0085】
また、判定部24は、距離特性測定装置30Cの側方を通過する製品としての対象物2が破損しているか否か(正常)を判定する。判定結果は、通信部25を介して端末装置40へ送信され、制御部41によって表示部42に表示されたりスピーカ47を介して音声出力されたりする。なお、判定結果は、ニオイ検出装置10C、距離特性測定装置30C又は判定装置20Aに設けられたスピーカを介して音声出力される構成であってもよい。
【0086】
本発明の第三の実施形態に係る状態判定システム1Cにおいて、前記判定部24は、前記対象物2が破損しているか否かを判定する。
したがって、状態判定システム1Cは、外観に殆ど変化が無い対象物2の破損を、ニオイを用いて好適に判定することができる。
【0087】
<第四の実施形態>
続いて、本発明の第四の実施形態に係る状態判定システムについて、第三の実施形態に係る状態判定システム1Cとの相違点を中心に説明する。
図10に示すように、本発明の第四の実施形態に係る状態判定システム1Dは、距離特性測定装置30Cに代えて、距離特性測定装置30Dを備える。
【0088】
<距離特性測定装置>
距離特性測定装置30Dは、位置センサ32Cに代えて、カメラ32Dを備える。
【0089】
≪カメラ≫
カメラ32Dは、製品としての対象物2及びニオイ検出装置10Cを撮像し、撮像結果を制御部31へ出力する。
図11及び
図12に示すように、カメラ32Dは、搬送装置50の上方、本実施形態では、ニオイ検出装置10Cの真上に配置されている。カメラ32Dは、状態判定の対象物2の位置、すなわち、対象物2とニオイ検出装置10Cとの距離に関するパラメータを検出する位置センサの一例である。
【0090】
<距離算出手法>
距離算出部としての制御部31は、カメラ32Dの撮像結果(ニオイ検出装置10Cが含まれる場合)、又は、カメラ32Dの撮像結果及び予め記憶されたニオイセンサ12の位置に関する情報等に基づいて、対象物2とニオイセンサ12との距離を算出する。
【0091】
本発明の第四の実施形態にかかる状態判定システム1Dにおいて、前記判定部24は、前記対象物2が破損しているか否かを判定する。
したがって、状態判定システム1Dは、外観に殆ど変化が無い対象物2の破損を、ニオイを用いて好適に判定することができる。
【0092】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変形可能である。例えば、ニオイセンサ12の数は、4個に限定されない。また、第一の実施形態に係る状態判定システム1Aにおいて、状態判定モデル23Aの数は、3個に限定されない。また、第三及び第四の実施形態に係る状態判定システム1Dは、判定装置20Aに代えて第二の実施形態に係る判定装置20Bを備える構成であってもよい。また、第一及び第二の実施形態に係る状態判定システム1A,1Bにおいて、ニオイ検出装置10A及び判定装置20A(又は20B)は、一つの装置としてユニット化されていてもよい。
【0093】
また、本発明は、コンピュータ(例えば、判定装置20Aの制御部21及び判定部24)に、対象物2のニオイに反応したニオイセンサ12の出力値を取得する手順、位置センサ14によって検出された前記対象物2の位置を取得する手順、距離算出部が、前記対象物2の位置に基づいて、前記対象物2と前記ニオイセンサ12との距離を算出する手順、判定部24が、前記ニオイセンサ12の出力値及び前記対象物と前記ニオイセンサとの距離に基づいて、前記対象物2の状態を判定する手順、を実行させるための状態判定プログラムとしても具現化可能である。すなわち、制御部21又は判定部24が、ニオイ検出装置10Aから送信されたニオイセンサ12の出力値を取得し、距離算出部としての機能を実行する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0094】
1A,1B,1C,1D 状態判定システム
2 対象物
11 制御部(距離算出部)
12,12a,12b,12c,12d ニオイセンサ
14 位置センサ
23A,23a,23b,23c 状態判定モデル
23B 状態判定モデル
24 判定部
31 制御部(距離算出部)
32C 位置センサ