IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナトコ株式会社の特許一覧

特開2024-179394画像表示装置及び画像表示装置の製造方法
<>
  • 特開-画像表示装置及び画像表示装置の製造方法 図1
  • 特開-画像表示装置及び画像表示装置の製造方法 図2
  • 特開-画像表示装置及び画像表示装置の製造方法 図3
  • 特開-画像表示装置及び画像表示装置の製造方法 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179394
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】画像表示装置及び画像表示装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20241219BHJP
   F21V 9/38 20180101ALI20241219BHJP
   F21V 9/32 20180101ALI20241219BHJP
   H01L 33/60 20100101ALI20241219BHJP
【FI】
F21S2/00 484
F21S2/00 481
F21V9/38
F21V9/32
H01L33/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098207
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】392007566
【氏名又は名称】ナトコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002789
【氏名又は名称】弁理士法人IPX
(72)【発明者】
【氏名】九澤 昌祥
(72)【発明者】
【氏名】山門 祥彦
【テーマコード(参考)】
3K244
5F142
【Fターム(参考)】
3K244AA09
3K244BA07
3K244BA26
3K244BA48
3K244CA02
3K244DA01
3K244DA17
3K244DA19
3K244DA25
3K244FA12
3K244FA14
3K244GA04
3K244GA08
3K244GA10
3K244LA07
5F142AA04
5F142CB14
5F142CB23
5F142CB24
5F142CE03
5F142DA15
5F142DB17
(57)【要約】
【課題】より高い輝度を実現することのできる画像表示装置等を提供する。
【解決手段】本発明の一態様によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、基板と、基板上に設けられる複数の発光素子と、基板上に設けられ、複数の発光素子の間に介在する隔壁と、を備える。隔壁の少なくとも一部は、反射材(A)と、反射材(A)を分散させるバインダー成分と、を含む反射特性を有する膜により構成される。反射特性を有する膜は、複数の発光素子のうち少なくとも1つに対し、互いに接するように設けられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示装置であって、
基板と、
前記基板上に設けられる複数の発光素子と、
前記基板上に設けられ、前記複数の発光素子の間に介在する隔壁と、を備え、
前記隔壁の少なくとも一部は、反射材(A)と、前記反射材(A)を分散させるバインダー成分と、を含む反射特性を有する膜により構成され、
前記反射特性を有する膜は、前記複数の発光素子のうち少なくとも1つに対し、互いに接するように設けられる、画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記反射材(A)は、白色顔料または金属顔料を含む、画像表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記バインダー成分は、重合性化合物の硬化物である、画像表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記複数の発光素子の平均高さに対する、前記隔壁の平均高さの比が0.1~1.1である、画像表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記複数の発光素子は、それぞれ異なる波長の光を発するように構成される、画像表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記複数の発光素子は、それぞれ同種の色の光を発するように構成される、画像表示装置。
【請求項7】
請求項6に記載の画像表示装置において、
前記複数の発光素子のいずれかの、前記基板が存在する側とは反対側に、波長調整層をさらに有し、
前記波長調整層は、前記複数の発光素子のいずれかの発した光についての波長を変換する層、又は、前記複数の発光素子のいずれかの発した光について一部の波長領域の光をフィルタリングする層である、画像表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の画像表示装置において、
前記隔壁は、遮光性を有する膜をさらに有し、
前記遮光性を有する膜は、前記反射特性を有する膜の、前記基板が存在する側とは反対側に設けられる、画像表示装置。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の画像表示装置の製造方法であって、
前記基板を準備する工程と、
前記基板上に前記複数の発光素子を設ける工程と、
前記複数の発光素子の間に前記隔壁を設ける工程と、をこの順で備える、
製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載の製造方法において、
前記隔壁を設ける工程は、前記反射材(A)を含む重合性組成物を前記基板上に適用し、前記重合性組成物を硬化させることによって行われる、製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の製造方法において、
前記隔壁を設ける工程では、インクジェット法にて前記重合性組成物を前記基板上に適用する、製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の製造方法において、
前記重合性組成物は、さらにカチオン重合性化合物を含む、製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示装置及び画像表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より鮮明な画像を表示させることが可能な画像表示装置の開発がなされてきている。たとえば特許文献1には、基板に複数のLEDチップが実装されたディスプレイモジュールが開示されている。ここで、当該特許文献1には、LEDチップ間の出力光が干渉することを防止するために、LEDチップ間に光反射壁を設ける構造が示されている(特許文献1;[0043]、図4等参照。)。
【0003】
また、特許文献2には、輝度とコントラストが高く、隣接画素間における光の混色を抑制することができるマイクロLEDディスプレイが開示されている。さらに、特許文献3には、LEDデバイスの高温耐久性を向上させることが可能な隔壁形成用インクジェットインクと、当該インクを用いて形成された隔壁を備えるLEDデバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-026517号公報
【特許文献2】特開2020-205417号公報
【特許文献3】国際公開第2023/079620号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、画像表示装置の発する光の輝度を向上させるための技術開拓の要請は未だ存在する。
【0006】
本発明では上記事情に鑑み、より高い輝度を実現することのできる画像表示装置等を提供することとした。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、画像表示装置が提供される。この画像表示装置は、基板と、基板上に設けられる複数の発光素子と、基板上に設けられ、複数の発光素子の間に介在する隔壁と、を備える。隔壁の少なくとも一部は、反射材(A)と、反射材(A)を分散させるバインダー成分と、を含む反射特性を有する膜により構成される。反射特性を有する膜は、複数の発光素子のうち少なくとも1つに対し、互いに接するように設けられる。
【0008】
上記態様によれば、より高い輝度を実現することのできる画像表示装置等が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態の例示的な画像表示装置の断面図である。
図2】本実施形態の例示的な画像表示装置の断面図である。
図3】本実施形態の例示的な画像表示装置の断面図である。
図4】実施例で作製した画像表示装置の平面を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、本明細書中における「~」はとくに断りがなければ、以上から以下を表す。
【0011】
<画像表示装置>
本実施形態の画像表示装置は以下に示されるものである。
画像表示装置であって、
基板と、
前記基板上に設けられる複数の発光素子と、
前記基板上に設けられ、前記複数の発光素子の間に介在する隔壁と、を備え、
前記隔壁の少なくとも一部は、反射材(A)と、前記反射材(A)を分散させるバインダー成分と、を含む反射特性を有する膜により構成され、
前記反射特性を有する膜は、前記複数の発光素子のうち少なくとも1つに対し、互いに接するように設けられる、画像表示装置。
以下、本実施形態の画像表示装置について、図を参照しながら説明を行う。
【0012】
図1は、本実施形態の例示的な画像表示装置の断面図である。図1における画像表示装置100は、基板10と、隔壁11と、発光素子12とを備えるものである。この画像表示装置100の基板10は種々の材料の中から選択される材料で構成されるものであり、無機材料で構成されていても、有機材料で構成されていても構わない。典型的な例としては、この基板10はガラス基板であるが、その他、ガラス繊維とエポキシ樹脂とを複合させた複合材料や、ポリイミド等の有機材料、ガラス以外の他のセラミックスで構成された基板であっても構わない。なお、図には詳細を記載していないが、典型的には基板10には回路や電極が設けられており、発光素子12に電流を印加することができるように構成されている。なお、この回路や電極は、銅や酸化インジウム錫等で構成されていてもよい。
【0013】
発光素子12は、基板10上に設けられる複数の素子である。この発光素子12は、典型的にはミニLEDまたはマイクロLEDであり、発光素子12(R)、発光素子12(G)、発光素子12(B)が、それぞれ異なる波長の光(赤・緑・青)を発するものである。なお、本実施形態の画像表示装置100の備える発光素子12は、OLEDであっても構わない。
【0014】
隔壁11は、複数存在する発光素子12の間に介在するように設けられる。画像表示装置100においては、隔壁11によって、上述した複数の発光素子12が隔離される。この隔壁11は、所定の材料で構成されることから発光素子12が発光する際に、光の発せられる方向を制御する機能を発揮する。
【0015】
すなわち、本実施形態において、隔壁11の少なくとも一部は、反射材(A)と、反射材(A)を分散させるバインダー成分と、を含む反射特性を有する膜により構成される、という特徴を有する。なお、図1で示される隔壁11では、当該隔壁11全体がこの反射特性を有する膜によって構成されている。この反射特性を有する膜を構成する各種成分について以下の通り説明する。
【0016】
(反射材(A))
反射材(A)とは、光(とくに可視光)を反射することのできる材料の総称である。本実施形態の画像表示装置に備えられる隔壁の少なくとも一部(図1においては隔壁11)が反射材(A)を含むことにより、発光素子の発した光を反射させ、結果、画像表示装置の輝度向上に寄与することができる。
【0017】
この反射材(A)は、光を反射させることのできる公知の材料の中から適宜選択して用いればよいが、入手容易性が高い観点からは、反射材(A)は、白色顔料または金属顔料を含むことが好ましい。
【0018】
白色顔料としては、酸化チタン(チタン白)、酸化亜鉛(亜鉛華)、鉛白、塩基性硫酸鉛、硫酸鉛、リトポン、硫化亜鉛、アンチモン白、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、カオリン、タルク等を用いることができる。
一方、金属顔料としては、単体としての金属や各種合金等を用いることができる。この金属や各種合金を構成することのできる金属元素としては、例えば、インジウム、アルミニウム、銀、金、白金、ニッケル、クロム、錫、亜鉛、チタン、鉄、銅等が挙げられる。光の反射性能の高さの観点から、金属顔料は、これらのうちインジウム又はアルミニウムを含むことが好ましい。また、インク組成物を形成したときの塗工性を向上させる観点から、金属顔料はインジウムを含むことが好ましい。
【0019】
その他、反射材(A)としては、光を反射しない粒子の表面に酸化チタン等の金属化合物を付着させて得られる材料を採用してもよい。
【0020】
本実施形態において、反射材(A)は粒子形状を有していてもよい。この、粒子の形状は、多面体、球形、鱗片状等であってよい。なお、反射材(A)が、このように粒子形状を有している場合は、その平均粒子径が制御されていることが好ましい。一例として、反射材(A)のZ平均粒子径は、100nm以上1000nm以下であってよく、150nm以上800nm以下であってよく、180nm以上600nm以下であってよい。反射材(A)の粒径をこのような範囲に設定することにより、画像表示装置の作製プロセスの安定化させ、さらに、得られる硬化物の反射特性の向上に寄与することができる。なお、このZ平均粒子径は、ゼータサイザーナノZS(マルバーン社製)等を用いて測定することができる。
【0021】
(バインダー成分)
一方、バインダー成分は可塑材料、硬化材料のいずれであってもよいが、典型的には、硬化材料である。より具体的に、このバインダー成分は重合性化合物の硬化物であってよく、この重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であっても、カチオン重合性化合物であってもよい。この場合、バインダー成分には光によりラジカルや酸を発生させる剤が配合されていてもよい。なお、取り扱い性の高さや、硬化物とした際の耐久性の高さ等の観点で、このバインダー成分はカチオン重合性化合物の硬化物を含むことが好ましい。
【0022】
重合性組成物として含まれ得るカチオン重合性化合物について、以下「カチオン重合性化合物(B)」と称した上で説明する。
【0023】
カチオン重合性化合物(B)は、その化学構造中にカチオン重合性基を含む化合物である。具体的に、このカチオン重合性基としては、エポキシ基やオキセタニル基等の環状エーテル基のほか、ビニルエーテル基等が挙げられる。また、本実施形態のカチオン重合性化合物(B)としては、エポキシ化合物、オキセタン化合物のほか、オキソラン化合物(テトラヒドロフラン、置換テトラヒドロフランなど)等の化合物が包含される。
【0024】
このカチオン重合性化合物(B)は、カチオン重合性基と加水分解性基とを有する金属元素含有化合物(B1)を含んでよい。なお、カチオン重合性化合物(B)は、この金属元素含有化合物(B1)に該当しない他のカチオン重合性化合物(B2)をさらに含んでもよい。以下、これらの成分について説明を続ける。
【0025】
本実施形態における金属元素含有化合物(B1)は、その化学構造中に前述のカチオン重合性基と、金属元素とを含む。具体的には、この金属元素含有化合物(B1)は以下の構造式(1)で表すことができる。
M(R)x(X)y ・・・ (1)
ここで、構造式(1)中のMは金属元素であり、Rはその構造中にカチオン重合性基を含む有機基であり、かつ、Rの有する炭素原子とMとが結合するものである。Xは水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、フェノキシ基からなる群から選択される基である。xとyは1以上の整数であり、xとyとの和はMの結合手数である。
【0026】
上述の金属元素としては、ケイ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、錫、鉛、ホウ素等が挙げられる。この中でも入手容易性が高く、取り扱い性に優れる観点から、上述の金属元素はケイ素であることが好ましく、すなわち、金属元素含有化合物(B1)はケイ素含有化合物であることが好ましい。また、上述の通り、金属元素含有化合物(B1)はRの構造中にカチオン重合性基を含むものである。この点に関して、その反応性の高さ等の観点から、Rの構造中にエポキシ基を含むことが好ましく、すなわち、金属元素含有化合物(B1)の有するカチオン重合性基はエポキシ基であることが好ましい。また、Rの構造中に含まれるカチオン重合性基は、オキセタニル基であってもよい。また、Xがアルコキシ基である場合、当該アルコキシ基の炭素数はたとえば1~8であり、好ましくは1~6であり、より好ましくは1~4である。Xがフェノキシ基である場合、このフェノキシ基を構成するベンゼン環の水素原子は種々の置換基により置換されていてもよい。
なお、Mがケイ素である場合、xは1または2,yは2または3である態様が例示される。
【0027】
本実施形態の金属元素含有化合物(B1)は、後述する光酸発生剤(C)の発した酸によりカチオン重合を行いつつ、その構造に備えられる金属元素がインク組成物を適用する基板の表面部位との化学結合を形成し得る。
【0028】
この金属元素含有化合物(B1)のとくに好ましい化合物としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3-[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]プロピル(トリメトキシ)シラン、3-[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]プロピル(トリエトキシ)シラン、3-[(3-メチルオキセタン-3-イル)メトキシ]プロピル(トリメトキシ)シラン、3-[(3-メチルオキセタン-3-イル)メトキシ]プロピル(トリエトキシ)シラン等を挙げることができる。
【0029】
また、本実施形態のインク組成物が含み得る他のカチオン重合性化合物(B2)としては、入手容易性と反応性の高さからエポキシ化合物やオキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等が好ましい。なお、この他のカチオン重合性化合物は、その化学構造中に前述の金属元素を含まないものである。
【0030】
エポキシ化合物は、エポキシ基を有する化合物であり、例えば、グリシジルエーテル型エポキシ化合物や脂環式エポキシ化合物等が挙げられる。
なお、エポキシ化合物において、エポキシ基の数は1以上であればよいが、2以上のエポキシ基を有する化合物を含んでいてもよい。すなわち、本実施形態の他のカチオン重合性化合物(B2)におけるエポキシ化合物は単官能エポキシ化合物であっても多官能エポキシ化合物であってもよい。
【0031】
エポキシ化合物の具体例としては、フェニルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、3',4'-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4,3',4'-ジエポキシビシクロヘキシル、1,2-エポキシ4-ビニルシクロヘキサン、ε-カプロラクトン変性3',4'-エポキシシクロヘキシルメチル、3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、リモネンジオキサイド、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-([2,3-エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパンと1,3-ビス[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]-2-プロパノールとの混合物、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-([2,3-エポキシプロポキシ]フェニル)]エチル]フェニル]プロパン等が挙げられる。
【0032】
また、エポキシ化合物としては、エポキシモノマー、エポキシオリゴマー及びエポキシ樹脂のいずれであってもよく、下記のような市販品を用いることもできる。
すなわち、セロキサイド(登録商標)CEL2021P、CEL2000、CEL8000(株式会社ダイセル製)等の多官能エポキシモノマーをエポキシ化合物として用いてもよい。
また、TECHMOREVG3101L(株式会社プリンテック製)、EPPN-501H、502H(日本化薬株式会社製)、JER1032H60(三菱ケミカル株式会社製)等のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;JER157S65、157S70(三菱ケミカル株式会社製)等のビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂;EPPN-201(日本化薬株式会社製)、JER152、154(三菱化学株式会社製)等のフェノールノボラック型エポキシ樹脂等の樹脂を本実施形態におけるエポキシ化合物として用いることもできる。
【0033】
カチオン重合性化合物(B)は、金属元素含有化合物(B1)に該当しない他のカチオン重合性化合物(B2)として、オキセタン化合物をさらに含んでもよい。
オキセタン化合物としては、オキセタニル基の数は1以上であればよいが、2以上のオキセタニル基を有する化合物を含んでいてもよい。すなわち、本実施形態の他のカチオン重合性化合物(B2)におけるオキセタン化合物は単官能オキセタン化合物であっても多官能オキセタン化合物であってもよい。
【0034】
オキセタン化合物の例としては、2-エチルヘキシルオキセタン、3-エチル-3-エトキシメチルオキセタン、3-エチル-3-ブトキシメチルオキセタン、3-エチル-3-ヘキシルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、[(1-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]シクロヘキサン、3-エチル-3-(フェノキシメチル)オキセタン、3-エチル-3-メトキシメチルオキセタン、オキセタンアルコール、3-エチル-3{[3-エチルオキセタンー3―イル]メトキシ}メチル)オキセタン、ビス[(1-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]シクロヘキサン、ビス[(1-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]ノルボルナン、1,4-ビス((1-エチル-3オキセタニル)メトキシ)ベンゼン、1,3-ビス((1-エチル-3オキセタニル)メトキシ)ベンゼン、4,4'-ビス((3-エチル-3オキセタニル)メトキシ)ビフェニル、キシリレンビスオキセタン等が挙げられる。
【0035】
カチオン重合性化合物(B)は、金属元素含有化合物(B1)に該当しない他のカチオン重合性化合物(B2)として、ビニルエーテル化合物をさらに含んでもよい。
ビニルエーテル化合物の例としては、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物;エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル-o-プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物が挙げられる。
【0036】
なお、上述のようにカチオン重合性化合物(B)を用いる場合、光酸発生剤(C)が併用されてよい。すなわち、カチオン重合性化合物(B)と光酸発生剤(C)とを含む重合性組成物は露光された際に、この光酸発生剤(C)が酸を発生し、カチオン重合性化合物(B)の重合反応を促進する。
この光酸発生剤(C)は、公知の材料の中から適宜選択すればよいが、好ましくは光酸発生剤(C)が、スルホニウム塩化合物(C1)を含む。このようにスルホニウム塩化合物(C1)を用いることで、効率よく光による硬化が進行する。
【0037】
このスルホニウム塩化合物(C1)は、スルホニウムカチオンとアニオンとの塩である。
【0038】
ここで、スルホニウムカチオンとしては、トリフェニルスルホニウム、(4-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4-tert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4-tert-ブトキシフェニル)スルホニウム、(3-tert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3-tert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3-tert-ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4-ジtert-ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4-ジtert-ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4-ジtert-ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4-(フェニルチオ)フェニル)スルホニウム、(4-tert-ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4-tert-ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4-tert-ブトキシフェニル)ビス(4-ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4-ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2-ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル2-ナフチルスルホニウム、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4-メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2-オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム等が挙げられる。
【0039】
また、アニオンとしては、BF 、PF 、SbF 、[BX(Xは、少なくとも2つ以上のフッ素又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を表す。)、[PF6-n(Yは、炭素数1~9のフッ素化アルキル基又はフッ素化フェニル基を示し、nは1~6の整数である。)、スルホネート等のアニオンが挙げられる。
【0040】
その他、光酸発生剤(C)として用いることのできる化合物(他の光酸発生剤(C2)とも称す。)としては、スルホニウム塩以外のイオン系光酸発生剤や、非イオン系光酸発生剤等が挙げられる。
具体的に、他の光酸発生剤(C2)としては、四フッ化ホウ素のフェニルジアゾニウム塩;六フッ化リンのジフェニルヨードニウム塩;六フッ化アンチモンのジフェニルヨードニウム塩;テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素のジフェニルヨードニウム塩;アセチルアセトンアルミニウム塩とオルトニトロベンジルシリルエーテル混合体;フェニルチオピリジウム塩;六フッ化リンアレン-鉄錯体;スルホニルジアゾメタン;フタル酸イミド型光酸発生剤やナフタルイミド型光酸発生剤等のN-スルホニルオキシイミド型光酸発生剤、オキシム-O-スルホネート型光酸発生剤等を挙げることができる。
【0041】
隔壁11に含まれる反射材(A)の量は適宜設定することができるが、発光素子の発した光をより反射させやすくする観点からは、以下の通り設定されてもよい。すなわち、反射材(A)の含有量は、隔壁11に含まれる反射特性を有する膜の質量を100質量部としたときに0.5質量部以上50質量部以下であることが好ましく、1質量部以上40質量部以下であることがより好ましく、2質量部以上30質量部以下であることがさらに好ましい。反射材(A)の含有量をこのような範囲に設定することにより、隔壁11を形成しやすくすることができ、また、得られる隔壁11についてより高い反射特性を実現することができる。なお、隔壁11における反射特性を有する膜について、典型的には、上述の反射材(A)以外の成分が、バインダー成分に相当する。
【0042】
また、本実施形態において、隔壁11と発光素子12の高さ(基板10の厚み方向における厚さ)は、以下の通り設定されてもよい。すなわち、隔壁11の平均高さ(平均高さH11)と、複数の発光素子12の平均高さ(平均高さH12)を定義したときに、H11とH12との比(H11/H12;複数の発光素子の平均高さに対する、隔壁の平均高さの比)は0.1~1.1の範囲であってよい。
すなわち、このような範囲に設定することにより、発光素子12から光が発せられる方向を、基板10平面に直交する方向に収束させることができる。このことから、画像表示装置100の輝度向上に寄与することができる。
【0043】
なお、この隔壁11や発光素子12の平均高さは、例えば、画像表示装置100を分解し、分解物を走査型電子顕微鏡等で観察することによって求めることができる。
【0044】
また、このH11とH12との比(H11/H12)は、0.2~1.0の範囲であってよく、0.3~1.0の範囲であってよく、0.5~1.0の範囲であってよく、0.8~1.0の範囲であってよい。このような範囲とすることで発光素子12の発する光の方向をより制御しやすくなる。
【0045】
また別の観点では、H11とH12とが略同等の高さであってよい。具体的に、H11とH12との比(H11/H12)は0.6~1.5の範囲であってよく、0.7~1.4の範囲であってよく、0.8~1.2の範囲であってよく、0.9~1.1の範囲であってよい。このような範囲とすることで発光素子12の発する光の方向をより制御しやすくなる。
【0046】
なお、隔壁11と発光素子12の高さは適宜設定することができる。例示的な実施形態においては、隔壁11の平均高さH11は25μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。このようにすることで、膜厚方向に均一な膜質を得やすくなる。
【0047】
なお、発光素子12同士の発する光の干渉を抑制する観点からは、隔壁11の厚みは上記の数値以上であってもよい。そのような隔壁11を形成するにあたっては、たとえば以下のような手法を採用することができる。
すなわち、前述の通り、バインダー成分が重合性化合物の硬化物であってよい。その場合、重合性化合物を含む重合性組成物が露光による硬化が可能な膜厚となるように調整し、いったん露光硬化させ、その硬化した膜上にさらに重合性組成物による塗膜を形成し、高膜厚の隔壁11を形成することもできる(換言すれば、重合性組成物の硬化膜を積層させることによって隔壁11を形成してもよい)。
このことから、隔壁11の厚みは必要に応じて上記以上に設計することができる。一例として、複数存在する隔壁11の平均高さH11は300μm以下であってもよいし、200μm以下であってもよい。また、隔壁11の膜質を向上させる観点からは、硬化膜を積層させた後に加熱工程を行い、膜の架橋度合を向上させてもよい。
なお、H11の下限値は特に制限されるものではないが、一例としては1μm以上である。
【0048】
一方、発光素子12の平均高さH12は、画像表示装置100の用途やスペック等に応じて適宜設定される。一例としては、発光素子12の平均高さH12は、1~100μmの範囲であってよく、2~80μmの範囲であってよく、3~50μmの範囲であってよい。
【0049】
なお、図1には隔壁11が発光素子12と互いに接するような位置に配される構造が示されている(隔壁11(反射特性を有する膜)が、複数の発光素子12のうち少なくとも1つに対し、互いに接するように設けられている)。図1に示される画像表示装置100のように、隔壁11が発光素子12と互いに接するような位置にある場合は、上述したような光の発せられる方向を制御する機能をいっそう発揮しやすくなり、画像表示装置としての輝度向上に寄与することができる。また、図1に示される画像表示装置100のように、隔壁11が発光素子12と互いに接するような位置にある場合は、発光素子12を、バインダー成分を含む隔壁11で支持する形状となる。このことから駆動時の発光素子12を安定化させ、画像表示装置としての信頼性向上に寄与することができる。
【0050】
また、得られる画像表示装置100の信頼性の向上等を目的として、隔壁11の硬度が調整されていてもよい。例示的には隔壁11の有する鉛筆硬度はH以上であってもよく、2H以上であってもよく、3H以上であってもよく、4H以上であってもよい。
【0051】
<画像表示装置の製造方法>
上述の画像表示装置100は、例えば以下のような工程を順次行うことで製造することができる。
(工程1)基板10を準備する工程
(工程2)基板10上に複数の発光素子12を設ける工程
(工程3)複数の発光素子12の間に隔壁11を設ける工程
【0052】
すなわち、まず、前述した基板10に対して、各種発光素子12を設ける(発光素子12を搭載する)ことによって、発光素子12が搭載された基板10を得る(工程1,2)。
【0053】
このようにして得られた発光素子12が搭載された基板10に対し、発光素子12間に、反射材(A)とバインダー成分を含む材料を適用する。こうすることで、発光素子12間に反射特性を有する膜(隔壁11)を形成する(工程3)。このような膜の形成は例示的にはインクジェットプリンタを用いて行われる。
【0054】
なお、上述の通り、バインダー成分は重合性化合物の硬化物であってよい。この場合、隔壁11を設ける工程は、反射材(A)を含む重合性組成物を基板10上に適用し、重合性組成物を硬化させることによって行われる。この場合においても、反射材(A)とバインダー成分を含む重合性組成物をインクジェットによって適用する態様が典型的なものとして挙げられる。この場合、隔壁11は、発光素子12が搭載された基板10に対し、発光素子12間に重合性組成物が配置されるように塗布を行った上で、光硬化させることで得られる。なお、前述の通り重合性組成物は、反射材(A)に加え、さらにカチオン重合性化合物を含むものであってもよい。具体的に用いられる化合物は上で説明した通りである。
【0055】
なお、本実施形態の画像表示装置は以下に示されるものであってもよい。図2は、本実施形態の例示的な画像表示装置の断面図である。なお、以下の実施形態では、上述の画像表示装置100との相違点を中心に説明するため、同様の特徴については説明を繰り返さないこととする。
【0056】
図2における画像表示装置200は、基板20と、隔壁21と、発光素子22とを備えるものである。この画像表示装置200の基板20は前述の基板10と、発光素子22は前述の発光素子12と同様のもので構成することができる。
【0057】
図2に示される画像表示装置200において、隔壁21は複数の層(2層)が積層された構造となっている。具体的に、図2の画像表示装置200に即して説明すると、隔壁21は反射材料層21Aと、遮光材料層21Bとが積層されている。すなわち、隔壁21は、遮光性を有する膜(遮光材料層21B)をさらに有してよい。この遮光性を有する膜(遮光材料層21B)は、反射特性を有する膜(反射材料層21A)の、基板20が存在する側とは反対側に設けられる。
【0058】
この反射材料層21Aは、前述の隔壁11と同様の材料によって構成することができる。一方、遮光材料層21Bは光を遮光する材料によって構成することができる。この光を遮光する材料は、無機材料を含むものであっても、有機材料を含むものであってもよい。この遮光材料層21Bは、複数の発光素子22の間に設けられる。この場合、遮光材料層21Bは、発光素子(例えば発光素子22(R))が発光する際に、隣接する発光素子(例えば発光素子22(G))との間の光の干渉を緩和させる機能を発揮する。
【0059】
反射材料層21Aは、前述の隔壁11と同様の手法で形成することができる。
【0060】
一方、この遮光材料層21Bを、無機材料を含むものとして構成する場合、一例としては以下のように形成することができる。すなわち、遮光性を有する無機材料(Al、Cu、Ti、Mo等の金属あるいはそれらの合金等)を反射材料層21A上に堆積させることにより、遮光材料層21Bを形成することができる。
【0061】
また、この遮光材料層21Bを、有機材料を含むものとして構成する場合、一例としては以下のように形成することができる。すなわち、遮光剤と、バインダー成分との混合材料を、反射材料層21Aに適用することにより、遮光材料層21Bを形成することができる。
【0062】
ここでの遮光剤としては、カーボンブラックや、カーボンブラック以外の他の遮光剤を含んでもよい。この他の遮光剤としては、チタンブラック;酸化鉄ブラック;バナジウム、銀、銅、錫などの1種以上の金属元素を含む遮光剤などの無機系遮光剤;アニリンブラック、ペリレンブラックやラクタムブラックなどの有機黒色顔料;アゾ系化合物やアジン系化合物などの黒色染料などが挙げられる。また、この他の遮光剤は、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料、黄色顔料などの有彩色顔料や、赤色染料、青色染料、緑色染料、黄色染料などの有彩色染料を組み合わせることによって構成されてもよい。なお、この他の遮光剤は、得られる硬化物について遮光機能が担保されるようであれば単独で用いてもよく、また、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0063】
一方、バインダー成分は、前述の隔壁11を形成する材料の例として挙げたものと同様であってよい。すなわち、バインダー成分は重合性化合物の硬化物であってよい。換言すれば、遮光材料層21Bは、重合性組成物を反射材料層21A上に適用し、重合性組成物を硬化させることによって形成されてよい。この場合においても、遮光剤とバインダー成分を含む重合性組成物をインクジェットによって適用する態様が典型的なものとして挙げられる。インクジェット等で塗布された後、露光等によって重合性組成物が硬化されてよいのは反射材料層21Aと同様である。
【0064】
なお、本実施形態の製造方法では、反射材料層21Aを形成するために用いる組成物(重合性組成物)の表面張力よりも、遮光材料層21Bを形成するために用いる組成物(重合性組成物)の表面張力の方が小さいことが好ましい。このように組成物間の表面張力を設定することにより、遮光材料層21Bを形成するために用いる組成物をムラなく適用することができ、画像表示装置200の製造プロセスを安定化させることができる。
【0065】
この図2における隔壁21と、発光素子22との高さの関係は、図1に示される画像表示装置100における隔壁11と発光素子12との高さの関係と同様に設定される。なお、反射材料層21Aと、遮光材料層21Bと、の高さの比(反射材料層21Aの高さ:遮光材料層21Bの高さ(H21A:H21B))は適宜設定することができる。一方、画像表示装置200の発する光の輝度の向上と、発光素子間の光の干渉を緩和させる機能とをバランスよく発揮させる観点からは、このH21A:H21Bは30:1~1:2の範囲であってよく、20:1~1:1の範囲であってよく、15:1~3:1の範囲であってよい。
【0066】
さらに、本実施形態の画像表示装置は以下に示されるものであってもよい。図3は、本実施形態の例示的な画像表示装置の断面図である。
【0067】
図3における画像表示装置300は、基板30と、隔壁31と、発光素子32とを備えるものである。この画像表示装置300の基板30は前述の基板10と、隔壁31は前述の隔壁11と同様のもので構成することができる。
【0068】
画像表示装置300において、複数存在する発光素子32はそれぞれ同種の色の光を発するように構成されている(図3中、32(B)参照)。これに対し、本実施形態の画像表示装置300では、基板30上の発光素子32が発する光の波長を調整する機構(波長調整層)が設けられる。具体的に、図3に示される画像表示装置300においては、発光素子32(B)の、基板30が存在する側とは反対側に、複数の発光素子32のいずれかの発した光についての波長を変換する波長変換層(波長変換材33ともいう)が設けられている。ここで、この波長変換材33には、波長変換領域331と、波長変換領域332と、透明領域333と、が設けられている。
【0069】
すなわち、図3における画像表示装置300においては、発光素子32(B)の発した青色光を波長変換領域331が赤色光に変換し、一方、発光素子32(B)の発した青色光を波長変換領域332が緑色光に変換し得る。この波長変換領域331、332には、例えば量子ドットが含まれ、この量子ドットにより発光素子32(B)から受けた光の波長を変換し得る。このような構成を採用することにより、同種の発光素子を基板に搭載するといった製造プロセス上の優位性を獲得しつつ、画像表示装置としてのRGB発光を実現することができる。なお、図3においては発光素子32(B)の発した青色光が透明領域333を通過する態様が示されているが、画像表示装置300の構成は必ずしも、これには制限されない。例えば、透明領域333に替えて、波長変換領域を用いてもよい。このようにして、発せられる青色光の色調などをコントロール(微調整)することも可能である。また、図3における画像表示装置300では、波長変換領域331等を備える波長変換材33が採用される態様を示しているが、カラーフィルタを発光素子32上に配置することもできる。このようなカラーフィルタは、発光素子32より発せられた光の波長について、一部の波長領域の光をフィルタリングする。すなわち、本実施形態の画像表示装置300において、波長調整層として、複数の発光素子のいずれかの発した光について一部の波長領域の光をフィルタリングする層が設けられてもよい。このようにして画像表示装置300から発せられる光の色調を調整することができる。
【0070】
なお、上記の各種画像表示装置の隔壁は、図示したものと異なる構造を有していてもよい。たとえば、図2に示される反射材料層21Aと、遮光材料層21Bと、の間に他の機能を有する層が介在されてもよい。また、各種隔壁中に、本実施形態のインク組成物の硬化物によって形成される材料以外の部材が組み合わされていてもよい。例えば、基板から、基板の厚み方向に延びる他の機能膜(遮光膜を包含する)を隔壁の中に備えてもよい。その他、本実施形態の画像表示装置は、各図に示される構成以外の構成を備えていてもよい。例えば、発光素子や隔壁の、基板の存在する側とは反対側に別途カバーガラス等が設けられていてもよい。
【0071】
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
【0072】
さらに、次に記載の各態様で提供されてもよい。
【0073】
(1)画像表示装置であって、基板と、前記基板上に設けられる複数の発光素子と、前記基板上に設けられ、前記複数の発光素子の間に介在する隔壁と、を備え、前記隔壁の少なくとも一部は、反射材(A)と、前記反射材(A)を分散させるバインダー成分と、を含む反射特性を有する膜により構成され、前記反射特性を有する膜は、前記複数の発光素子のうち少なくとも1つに対し、互いに接するように設けられる、画像表示装置。
【0074】
(2)上記(1)に記載の画像表示装置において、前記反射材(A)は、白色顔料または金属顔料を含む、画像表示装置。
【0075】
(3)上記(1)または(2)に記載の画像表示装置において、前記バインダー成分は、重合性化合物の硬化物である、画像表示装置。
【0076】
(4)上記(1)ないし(3)のいずれか1つに記載の画像表示装置において、前記複数の発光素子の平均高さに対する、前記隔壁の平均高さの比が0.1~1.1である、画像表示装置。
【0077】
(5)上記(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の画像表示装置において、前記複数の発光素子は、それぞれ異なる波長の光を発するように構成される、画像表示装置。
【0078】
(6)上記(1)ないし(4)のいずれか1つに記載の画像表示装置において、前記複数の発光素子は、それぞれ同種の色の光を発するように構成される、画像表示装置。
【0079】
(7)上記(6)に記載の画像表示装置において、前記複数の発光素子のいずれかの、前記基板が存在する側とは反対側に、波長調整層をさらに有し、前記波長調整層は、前記複数の発光素子のいずれかの発した光についての波長を変換する層、又は、前記複数の発光素子のいずれかの発した光について一部の波長領域の光をフィルタリングする層である、画像表示装置。
【0080】
(8)上記(1)ないし(7)のいずれか1つに記載の画像表示装置において、前記隔壁は、遮光性を有する膜をさらに有し、前記遮光性を有する膜は、前記反射特性を有する膜の、前記基板が存在する側とは反対側に設けられる、画像表示装置。
【0081】
(9)上記(1)ないし(8)のいずれか1つに記載の画像表示装置の製造方法であって、前記基板を準備する工程と、前記基板上に前記複数の発光素子を設ける工程と、前記複数の発光素子の間に前記隔壁を設ける工程と、をこの順で備える、製造方法。
【0082】
(10)上記(9)に記載の製造方法において、前記隔壁を設ける工程は、前記反射材(A)を含む重合性組成物を前記基板上に適用し、前記重合性組成物を硬化させることによって行われる、製造方法。
【0083】
(11)上記(10)に記載の製造方法において、前記隔壁を設ける工程では、インクジェット法にて前記重合性組成物を前記基板上に適用する、製造方法。
【0084】
(12)上記(10)又は(11)に記載の製造方法において、前記重合性組成物は、さらにカチオン重合性化合物を含む、製造方法。
もちろん、この限りではない。
【実施例0085】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例により制限されるものではない。
【0086】
(各インク組成物の作製)
以下の表1で示されるインク組成物を調製した。なお、インク組成物1,2においては、表1の顔料分散液の材料をプレミックスした後、サンドミルにて5時間処理して顔料分散液を得、その後、この顔料分散液と表1に記載の各成分を十分に混合して、インク組成物としている。なお、表1では、用いた成分を質量部で示している。
【0087】
【表1】
【0088】
なお、表1に示される各種材料は以下の通りである。
・顔料1(反射材):Ti-Pure R-105(ルチル型酸化チタン;ケマーズ社製)
・顔料2(遮光剤):三菱カーボンブラックMA7(三菱ケミカル株式会社製)
・分散剤1:ソルスパース36000(100%活性ポリマー分散剤;日本ルーブリゾール株式会社製)
・分散剤2:アジスパーP B824(顔料分散剤;味の素ファインテクノ株式会社製)
・硬化性化合物1:アロンオキセタンOXT-221(化学名:3-エチル-3{[3-エチルオキセタンー3―イル]メトキシ}メチル)オキセタン;東亞合成株式会社製)
・硬化性化合物2:セロキサイド2021P(化学名:3',4'-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;株式会社ダイセル製)
・硬化性化合物3:KBM-403(化学名:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン;信越化学工業株式会社製)
・光酸発生剤:CPI-110P(化学名:ジフェニル[4-(フェニルチオ)フェニル]スルホニウムヘキサフルオロホスファート;サンアプロ株式会社製)
・増感剤:アントラキュアー(登録商標)UVS―1331(化学名:9,10―ジブトキシアントラセン;エア・ウォーター・パフォーマンスケミカル株式会社製)
・レベリング剤1:BYK―361N(ポリアクリレート系表面調整剤;BYK社製)
・レベリング剤2:BYK―307(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン;BYK社製)
【0089】
このような各種インク組成物を用い、以下の通り基板の作製を行った。図4は、実施例で作製した画像表示装置の平面を表す模式図である。
【0090】
(基板の作製1)
青色LEDチップ(発光素子42(B))が図4に示す間隔で配置されたマイクロLEDアレイ基板(画像表示装置400)を作製した。尚、LEDチップの高さは20μm、間隙1(G1)は150μm、間隙2(G2)は50μmである。
【0091】
次に、インクジェットプリンタとして、ピエゾ型インクジェットヘッド(コニカミノルタ社製、KM1024iMHE、インク液滴量13pL)を搭載したインクジェットプリンタ(株式会社トライテック製、Stage JET)を準備した。
このプリンタを用い、表1のインク組成物1を充填し、ヘッド温度40℃の条件で、前記マイクロLEDアレイ基板の間隙1の中心部に着弾するように調整し、間隙1と間隙2の容積に対して80%量のインクを吐出した。尚、間隙1に着弾させることで、間隙2にインクが流れ込むことを確認した。
【0092】
次に、UV照射装置(USHIO製(型番)UVX-516、ランプ:USHIO製(TYPE)UVH-0501C-1200)を用いて、出力120Wで45秒間照射した。これにより未硬化膜を硬化膜にし、反射材料層を得た。また、その時の照射強度と積算照射量は、デジタル照度計(アイグラフィックス社製、型式:UVPF-A1、受光器:PD-365)で測定した結果を以下に示す。
・照射強度 :30mW/cm
・積算照射量:1350mJ/cm
【0093】
次に、表1のインク組成物2を充填し、ヘッド温度35℃の条件で、反射材料層が形成されたマイクロLEDアレイ基板の間隙1の中心部に着弾するように調整し、間隙1と間隙2の容積に対して20%量のインクを吐出した。尚、間隙1に着弾させることで、間隙2にインクが流れ込むことを確認した。
【0094】
次に、UV照射装置(USHIO製(型番)UVX-516、ランプ:USHIO製(TYPE)UVH-0501C-1200)を用いて、出力120Wで45秒間照射した。これにより未硬化膜を硬化膜にし、遮光材料層を得た。
【0095】
次に、内温130℃に設定した金庫式オーブンで10分間加熱することで、反射材料層と遮光材料層を含む隔壁(隔壁41)を完成させた。
【0096】
(基板の作製2)
基板の作製1で用いたものと同様のマイクロLEDアレイと、各種機器と、を用意した。
【0097】
インクジェットプリンタを用い、表1のインク組成物1を充填し、ヘッド温度40℃の条件で、前記マイクロLEDアレイ基板の間隙1の中心部に着弾するように調整し、間隙1と間隙2の容積に対して60%量のインクを吐出した。尚、間隙1に着弾させることで、間隙2にインクが流れ込むことを確認した。
【0098】
次に、UV照射装置を用いて、出力120Wで45秒間照射した。これにより未硬化膜を硬化膜にし、反射材料層を得た。
【0099】
次に、表1のインク組成物3を充填し、ヘッド温度35℃の条件で、反射材料層が形成されたマイクロLEDアレイ基板の間隙1の中心部に着弾するように調整し、間隙1と間隙2の容積に対して20%量のインクを吐出した。尚、間隙1に着弾させることで、間隙2にインクが流れ込むことを確認した。このインク組成物3についても、UV照射装置を用いて、出力120Wで45秒間照射し、これにより未硬化膜を硬化膜とした。なお、このインク組成物3は顔料を含まないことから透明層と称することもある。
【0100】
次に、表1のインク組成物2を充填し、ヘッド温度35℃の条件で、反射材料層と透明層が形成されたマイクロLEDアレイ基板の間隙1の中心部に着弾するように調整し、間隙1と間隙2の容積に対して20%量のインクを吐出した。尚、間隙1に着弾させることで、間隙2にインクが流れ込むことを確認した。
【0101】
次に、UV照射装置を用いて、出力120Wで45秒間照射した。これにより未硬化膜を硬化膜にし、遮光材料層を得た。最後に、内温130℃に設定した金庫式オーブンで10分間加熱することで、反射材料層と、透明層と、遮光材料層と、を含む隔壁を完成させた。
【0102】
本実施例項で得られた画像表示装置は、発光素子の高さと、隔壁の高さとが、略同じとなるように作製している。この場合、発光素子42(B)について光の発せられる方向を、基板の法線方向に一段と制御しやすくなる。このことから、より高い輝度を実現することのできる画像表示装置等が実現可能である。
【符号の説明】
【0103】
10、20、30 :基板
11、21、31、41 :隔壁
12、22、32、42 :発光素子
21A :反射材料層
21B :遮光材料層
22 :発光素子
33 :波長変換材
100、200、300、400 :画像表示装置
200 :画像表示装置
300 :画像表示装置
331 :波長変換領域
332 :波長変換領域
333 :透明領域
図1
図2
図3
図4