(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179401
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】デュアルバッテリケース
(51)【国際特許分類】
H01M 50/244 20210101AFI20241219BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20241219BHJP
A45C 11/00 20060101ALI20241219BHJP
H01M 50/247 20210101ALI20241219BHJP
H01M 50/284 20210101ALI20241219BHJP
H01M 50/296 20210101ALI20241219BHJP
H04M 1/21 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01M50/244 A
H05K5/02 C
A45C11/00 E
H01M50/247
H01M50/284
H01M50/296
H04M1/21 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098225
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】502023941
【氏名又は名称】株式会社エフティシー
(74)【代理人】
【識別番号】723008345
【氏名又は名称】西村 隆
(72)【発明者】
【氏名】西村 隆
【テーマコード(参考)】
3B045
4E360
5H040
5K023
【Fターム(参考)】
3B045BA26
3B045DA21
3B045DA22
4E360AA02
4E360AB12
4E360BA20
4E360GA41
4E360GA60
4E360GB95
5H040AA36
5H040AS13
5H040AY04
5H040AY08
5H040CC05
5H040CC13
5H040CC17
5H040DD05
5H040DD08
5H040DD13
5K023AA07
5K023BB02
5K023DD06
5K023LL04
5K023MM25
5K023PP12
(57)【要約】
【課題】現在、国内のモバイルバッテリ市場・スマートフォンケース市場には、大量の使い捨て商品が存在している。商品の多くは、電池切れや、モデルチェンジ等による使い捨てになっており、使い勝手も悪い。これらの課題を解消することが当製品の目標になる。
【解決手段】スマートフォンへの充電は既に急速充電が主流になっているが
モバイルバッテリ側はまだ十分に対応できていない。特にスマートフォンケースと一体化している「モバイルバッテリケース」は種々の問題を指摘されている。これに対する当開発製品は、モバイルバッテリとスマートフォン側電池の同時急速充電を可能にしている。これにはスマートフォン側への、充・給電ケーブルを必要とするが、このケーブルをケース側面に出し入れ自在の状態で内蔵して解決した。その結果「修理・電池交換・リユース・リサイクル」の製品化を容易にする。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電用電池と充・給電に必要なすべての機能を有する充電回路ユニットを内蔵した下ケースと、スマートフォンを装着可能な上ケースとを重ねて固定した構造のデュアルバッテリケースであって、外部電源アダプタから、前記充電用電池と、前記スマートフォン双方への同時充電可能な並列回路を有し、
前記スマートフォンへの充電は、前記充電回路ユニットに接続されている充電ケーブルを利用して行い、前記充電用電池と前記スマートフォンの充電完了後に、前記外部電源アダプタが取り外された後は、
前記充電ケーブルを、前記充電用電池側に充・給電切り替えスイッチで、回路を切り替えて、給電も可能にする充電・給電兼用ケーブルを、
前記下ケースと前記上ケースを重ねた構造の空間に、出し入れ可能な状態で、収納できることを特徴とする、デュアルバッテリケース。
【請求項2】
前記充・給電兼用ケーブルは、ユーザの充・給電繰り返し操作による、ケーブルの引き抜き事故防止策が必要であり、前記充・給電ケーブルの末端に接続する電源用コネクタは、前記充・給電ケーブルの引き出し方向とは、反対方向に向けて取り付けられ、前記充・給電ケーブルと共に、
前記充・給電ケーブル抑えによって、前記下ケース側に圧着して固定する引き抜き防止装置を備えたことを特徴とする、請求項1記載のデュアルバッテリケース。
【請求項3】
前記上ケースは、その一方の端縁に設けられた抑え爪と、他方の端縁に設けられたスライド式抑え爪とを有し、前記抑え爪と前記スライド式抑え爪との間に、前記スマートフォンを挟んで前記上ケースに固定するスライド式抑え爪機構を構成しており、前記スライド式抑え爪は、抑え爪ホルダによって前後にスライド可能な状態を形成し、
各種のスプリングを用いて、前記スマートフォンに向けて押圧されていることを特徴とする請求項1記載のデュアルバッテリケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデュアルバッテリケースに関し、詳しくはケース自体に、スマートフォン・充電用電池・充電用ケーブル・落下防止用ストラップ・非常用ライト・
パワーインジケータ・レンズフード等の機能を設けることが可能な多機能型の「デュアルバッテリケース」に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンケースやモバイルバッテリ製品が既に多く商品化されている。スマートフォンケースの場合は柔軟性のある材質のケースに、スマホを「無理ばめ」するタイプがほとんどである。モバイルバッテリ製品は上下二つのハードケースに電池と充電回路ユニットを内蔵した解体不可の「最中」スタイルや柔軟性のある材質でスマートフォンケースと一体化したモバイルバッテリケース等が存在する。現在はいずれも多くの製品が使い捨てタイプである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許登録第6432864(段落番号0020~0022
図2-10)
【特許文献2】実用新案登録第3204778
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年EU市場では、スマートフォンの「修理・電池交換・リユース・リサイクル」を推進しながら、脱炭素に向けた温暖化対策を強力に打ち出してきた。2022年9月新発売のiPhone(登録商標)14モデルも修理や電池交換を容易にするモノづくりに転換している。当然関連するスマートフォンケースやモバイルバッテリ製品などアクセサリ市場も同様のモノづくりを求められる。
【0005】
モバイルバッテリ製品市場には、日本製・台湾製・中国製等の類似商品が大量に存在している。これら商品の多くは、電池のライフが短いため、若いヘビーユーザレベルでは、1年~1,5年程度で使い捨てになっている。
【0006】
この問題はスマートフォンケースも同様で、スマートフォン側のデザインやサイズが変更されるたびに使用不可となり廃棄される。これら二つの製品が製造時及び廃棄処理時に発生するCO2及び廃プラスチックは、市場が巨大なだけに世界規模で社会問題化しており、日本市場も課題の解決を迫られている。
【0007】
最近充電用電池とスマートフォンを一つのケースにワンセットに収納した構造の中国製品が多数商品化されている。外部電源アダプタからの充電時に、二つの電池を直列に接続して充電するパススルー方式充電器の一つである。主にiPhone用で製品化されているが、充電側のプラグをiPhone側のライトニング入力ポートに直結し、給電時の入力ポートとして占有している。
【0008】
iPhoneの場合は、給電用入力ポートとイヤホンが共通使用の為、有線のイヤホンが使用不可になり、Bluetooth (登録商標)イヤホン使用に限定されている。iPhoneはユーザの70%がイヤホンユーザでもある。最近注目されている超高音質の「ハイレゾルーション」通称ハイレゾには有線のイヤホンでなければ対応できないため、ハイレゾ志向の音楽ファンには利用できなくなる。
【0009】
更にデバイス側への充電では、二つの電池を直列で順番に充電するために、充電時間が単純計算では2倍になり、電流の出力低下も発生するため、デバイス側への急速充電が不可能になる。更にこの方式は充電用電池側が過熱するため劣化によるライフが更に短くなる点や、時には発火事故も起こしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
これらの現状商品に対して、当製品は「修理・電池交換」を可能にすることで製品のライフを伸ばし、複数の機種で各部品の共通化を図り「リユース・リサイクル」可能な設計を採用すれば、脱炭素と廃棄部品の減少を可能にする。
【0011】
一方モバイル製品は、小型・軽量・優れた操作性の3要素が必須条件になる。当開発製品は、デュアルバッテリケースとして、スマートフォン側バッテリ
と、充電用バッテリ二つ(デュアルバッテリ)の同時急速充電を可能にした
上で、充・給電ケーブル、ストラップ、非常用ライト、パワーインジケータ、
レンズフード等ユーザの必要に応じた各種機能を装備することが可能になる。例えば、ストラップの装備は手からのスマートフォン落下事故が激減する。
【0012】
当方式の最大の効果は、両方の電池を並列接続することで、同時急速充電を可能にする等パススルー方式が有する欠点をすべて解決できる。この解決策にはスマートフォン側への充・給電時に、専用の充・給電ケーブルを必要とするが、この充・給電ケーブルをケース側面に出し入れ自在に収納することで、ワンセット化が可能になり、モバイル性アップと多機能化を実現できる。
【発明の効果】
【0013】
当開発製品は、使い捨て市場の商品とは違い、脱炭素やレアメタル回収等省資源効果を目的とするうえに、SDGsに向けた製品開発を可能にする。一方、ユーザに向けては、従来各種のアクセサリで対処していた補完機能を、ワンセットにまとめたことで、モバイル性と機能性を大きく変えることが可能。例えば、使用中のスマートフォンが電力不足になった場合の給電は「いつでも・どこでも」その場でスマートフォンへの急速給電が可能になるため、外出時に充電ケーブルを忘れたり、紛失したりというトラブルなどからも解放される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】下ケース側に組み込まれる各部品のレイアウト図。
【
図2】上ケース側に組み込まれる各部品のレイアウト図。
【
図3】上下ケースを一体化した完成図の右側面から、ケース内に内蔵されている充・給電ケーブルの収納状態を透視した図。
【
図4】上ケースにスマートフォンをセットしたデザイン図で、ケース内蔵の充電済み電池からスマートフォンへ給電する外観斜視図。
【
図5】外部電源アダプタからスマートフォンと充電用電池への充電時に、ケース内に内蔵してある充電ケーブルを、引き出して充電する状態を現すケース側の外観斜視図。
【
図6】
図4、
図5内部の、並列回路の充電と、直列回路に切り替えた給電を表すブロック図。
【
図7】上ケースに構成されているスライド式抑え爪機構の拡大詳細図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
現在製品化されているモバイルバッテリは三つの形態に分類できる。一つは単三アルカリ電池を使用した電池交換式充電器である。この製品は携帯電話
(フィーチャーフォン)時代に多く利用されたもので、スマートフォンは電池容量が数倍も大きくなり、スマートフォンに対しては実用的ではないため説明対象から外す。残る形態の二つは全てリチウム電池を使用した製品である。
【0016】
一つは外部電源アダプタ+モバイル電池+給電ケーブルの3点セットのモバイル充電器である。これに外部電源アダプタ+スマートフォンの2点セットの合計5点セットが、現在の市場の標準型になっているが、これらは全て使い捨てタイプであった。もう一つは既に当発明が解決しようとする課題の段落0006以下で述べたパススルー方式のモバイルバッテリケースである。
【0017】
年々高機能化するスマートフォンは電力消費が増大しており、電力や各種機能を補完するアクセサリの重要性が高まっているが、必ずしも十分ではない。当製品はこのソリューションとして、各種機能を補完する関連アクセサリをワンセットにまとめて付加価値を高め、更に使い捨て商品からの脱皮を図る。
【0018】
図1は、上下二つのケースで構成されているうちの下ケース1に組み込まれている充電回路ユニットその他各部品を表し、(A)は正面図( B) は側面図である。下ケース1においては、USB用入力ポート2が充電回路ユニット3に設けられており、4a・4bモバイルバッテリはケーブルで接続されるなど、全ての電気部品は充電回路ユニット3に接続されている。
【0019】
ライトニング又はUSB挿し込み用プラグ5、U字型に収納することで、出し入れが自在になる充・給電ケーブル6、ユーザによって操作時にケーブルを引き抜かれないようにケーブルを下ケースに固定するケーブル押え爪7、充・給電切り替えスイッチ8、非常用ライト用ON/OFFスイッチ9が示されている。
【0020】
インジケータ用LED10は充電側電池の電池容量を表し、使用時は残量容量をそれぞれLEDの点滅で表示するインジケータ。4個点滅時は76~100%。3個点滅時は51~75%。2個点滅時は26~50%。1個点滅時は6~25%を表示する。11は災害停電時又はアウトドアライフのキャンプやグランピングなどで必要となる「非常用ライト」は、超ロングタイム点灯を可能にする。
【0021】
スマホカメラ用レンズフード12は、機構的には下ケースと上ケースでレンズフードの上下を抑え込み、同時に充電回路ユニットを構成しているPCB部も12aの穴に沿って共に固定することができる。この時スマートフォンのレンズ部の外形を構成するレンズベゼルは機種ごとに違いがあるためレンズフードだけは機種ごとに専用部品を準備することで、上下ケースの共通化が可能。
【0022】
例えばiPhone 12/13/14+Proモデルでの製品化の場合は、レンズベゼルのサイズが4種類になる。この場合レンズフードの下ケース1及び上ケース14に勘合する部分は変えずに、12aの穴サイズだけを各レンズベゼルに合わせた専用部品を準備すれば、他は全て共通部品として対応できる。ストラップホルダー13は、スマートフォンのトラブル原因NO1とされている「手からの落下」を防止できる。
【0023】
図2は上ケース14を示し(a)は正面図、(b)は側面図である。この上ケース14には、スマートフォン25が格納される(
図4参照)。抑え爪15はスマートフォン25を上ケース14に固定させるための一体化した固定の抑え爪である。スライド式抑え爪機構は、スライド式抑え爪16と、抑え爪ホルダの16-1と、角穴部16-2と、抑え爪スプリング16-3を備えている。
【0024】
切り替えスイッチボタン17は充電・給電切り替えスイッチ用になる。
LEDによるインジケータ窓18、説明用シール19は、スマートフォン装着時に必要な、装着時の注意事項や、内蔵されているコネクタ5の操作に関する注意事項を示す説明用シールである。組み立て時に上下ケースを固定する4本
のねじ部を目隠しするシールでもあり、シールをはがして4本ねじを外せば電池交換を簡単に行える。
【0025】
図3は下ケース1の上に上ケース14を重ねたときの内部収納図である。充・給電コネクタ5、充・給電ケーブル6、充・給電ケーブル抑え7、充・給電
切り替えスイッチ8、等右側面部の各部品を透視した図である。
図1の円A部を拡大した平面図は、充・給電ケーブル6と接続されている電源用コネクタ6-1が充・給電回路ユニット3-1に接続されており、充・給電ケーブル抑え7との関連を示す詳細図である。
【0026】
図3の円Bは
図3の円B拡大側面図になる。電源コネクタ用PCB3-1に電源用コネクタ6-1が取り付けられ、充・給電ケーブル6と接続された状態で充・給電ケーブル抑え7が下ケース1の面に圧着している図になる。
この図は、充・給電ケーブル6が最後まで引き出され、充・給電ケーブル抑え7がストッパと同時に充・給電ケーブル6の引き抜き防止装置になっている。
【0027】
図4はスマートフォン装着側を表す外観斜視図。充電完了後に外部電源アダプタ26が外されて、スマートフォン25の使用が開始され、その後電力が消費され、充電用電池4a・4bからスマートフォン25に切り替えるスイッチ8を給電側に切り替えて給電している図。給電中はインジケータ窓18に充電用電池の残量を表示する。落下防止用ストラップホルダー13は、下ケース側に
設けてあり、ストラップの着脱は自由に行える。
【0028】
図5は下ケース1側を示す外観斜視図、上ケース14とで構成された「デュアルバッテリケース」の外観図を表している。外部電源アダプタケーブル26をUSB入力ポート2へ差し込み、充電回路ユニット3を介して充電用電池4a・4bとスマートフォン25側の電池に、充電ケーブル6による並列回路を形成して充電している図である。
【0029】
図6は「デュアルバッテリケース」の充・給電状態を平面的に展開した概念図
で、外部電源アダプタ26からスマートフォン25への充電は、充電回路ユニット3と充電ケーブル6を介して行い、一方の充電用電池4a・4bからの給電は、充電回路ユニット3を介して給電するため、充・給電切り替えスイッチ8が必要になる。
【0030】
図7はスライド式抑え爪機構が上ケース14に組み込まれた詳細図になる。
スライド式抑え爪機構はスマートフォン25のワンタッチ着脱を可能にする。そのためには、スライド式抑え爪16は、常にスマートフォンを係止する位置へ押圧されていることが条件になる。図は圧縮スプリングを提示しているが、トーションスプリングや、板バネなどでも押圧は可能である。
【0031】
A―A断面図はスライド式抑え爪16がスマートフォン25を係止する方向へ
16-3圧縮スプリングで押圧している図。B-B断面図は下ケース1に設けられたフック部1-1へ、上ケース14に組み込まれている抑え爪ホルダ16-1の角穴部16-2が結合した図である。ケースの先端部には、外観上ネジ止めが不可能なための代替策になるが、下ケース1と上ケース14の一体化に不可欠な機能になる。
【0032】
C-C断面図内の矢印Sは、スライド式抑え爪16のスマートフォン着脱時に必要なストロークを表しており、下ケース1のフック部と抑え爪ホルダ16-2の角穴部との結合を示す側面断面図も表している。
【符号の説明】
【0033】
1 下ケース
1-1下ケースフック部
2 USB コネクタ
3 充電回路ユニット
3-1電源コネクタ用PCB
5 充・給電コネクタ
6 充・給電ケーブル
6-1電源コネクタ
7 充・給電ケーブル押え
8 充・給電切り替えスイッチ
10 インジケータ用LED
12 レンズフード
14 上ケース
15 抑え爪
16 スライド式抑え爪
16-1 抑え爪ホルダ
16-2 抑え爪ホルダ角穴部
16-3 スプリング
25 スマートフォン
26 ACアダプタケーブル