(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179402
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】液体加熱装置
(51)【国際特許分類】
F24H 15/12 20220101AFI20241219BHJP
F24H 1/14 20220101ALI20241219BHJP
F24H 15/196 20220101ALI20241219BHJP
F24H 15/242 20220101ALI20241219BHJP
F24H 15/238 20220101ALI20241219BHJP
F24H 15/219 20220101ALI20241219BHJP
F24H 15/269 20220101ALI20241219BHJP
F24H 15/36 20220101ALI20241219BHJP
F24H 15/31 20220101ALI20241219BHJP
【FI】
F24H15/12
F24H1/14 B
F24H15/196 301P
F24H15/242
F24H15/238
F24H15/219
F24H15/269
F24H15/36
F24H15/31
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098226
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111970
【弁理士】
【氏名又は名称】三林 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100163315
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健二
(72)【発明者】
【氏名】大前 良磨
(72)【発明者】
【氏名】内田 知洋
【テーマコード(参考)】
3L024
3L034
【Fターム(参考)】
3L024CC09
3L024CC17
3L024CC28
3L024DD12
3L024EE02
3L024GG04
3L024GG29
3L024GG41
3L024GG50
3L034BA22
3L034BB03
(57)【要約】
【課題】液体加熱装置における加熱経路の液漏れの誤検出を抑制する。
【解決手段】上流から流入する液体が加熱部12,18で加熱された後に下流へと流出する加熱経路の流入側に流入側開閉弁20を設けると共に、流出側に流出側開閉弁25を設ける。また、加熱経路における両開閉弁の間に液体の圧力を検知可能な圧力センサ23を設ける。さらに、流出側開閉弁および流入側開閉弁の閉弁によって加熱経路を密閉した上で、圧力センサの検知圧力の低下状況に基づいて加熱経路の液漏れを検出する液漏れ検出処理の実行を制御部29で制御する。そして、制御部は、加熱経路内の液体の温度が低下して安定したと推定される所定の温度安定条件が成立した後に、液漏れ検出処理を実行する。こうすれば、密閉された加熱経路内の液体の圧力に及ぶ温度変化の影響を小さくできるので、温度低下に起因した加熱経路の液漏れの誤検出を抑制することが可能となる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上流から流入する液体が加熱部で加熱された後に下流へと流出する加熱経路を有する液体加熱装置において、
前記加熱経路の流入側を開閉する流入側開閉弁と、
前記加熱経路の流出側を開閉する流出側開閉弁と、
前記加熱経路における前記流入側開閉弁と前記流出側開閉弁との間に設けられ、前記液体の圧力を検知可能な圧力センサと、
前記流出側開閉弁および前記流入側開閉弁の閉弁によって前記加熱経路を密閉した上で、前記圧力センサの検知圧力の低下状況に基づいて前記加熱経路の液漏れを検出する液漏れ検出処理の実行を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記加熱経路内の前記液体の温度が低下して安定したと推定される所定の温度安定条件が成立した後に、前記液漏れ検出処理を実行する
ことを特徴とする液体加熱装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体加熱装置において、
前記加熱部では、前記加熱経路における前記液体の流量が所定流量未満になると、加熱を停止し、
前記温度安定条件は、前記加熱経路内の前記液体の流れが停止した状態で、所定の安定時間が経過したことである
ことを特徴とする液体加熱装置。
【請求項3】
請求項2に記載の液体加熱装置において、
前記温度安定条件は、前記流出側開閉弁の閉弁によって前記加熱経路内の前記液体の流れが停止した状態で、前記安定時間が経過したことである
ことを特徴とする液体加熱装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の液体加熱装置において、
前記制御部は、前記加熱経路内の前記液体の流れが停止した状態で、前記安定時間よりも短い所定の先行安定時間が経過した際に、前記液漏れ検出処理を前倒しして実行し、前記加熱経路の液漏れが検出されなければ、前記安定時間が経過した後の前記液漏れ検出処理を省略するのに対して、前記加熱経路の液漏れの可能性があると、前記加熱経路の密閉を一旦解除して前記安定時間が経過した後に前記液漏れ検出処理を改めて実行する
ことを特徴とする液体加熱装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の液体加熱装置において、
前記加熱経路内の前記液体の温度を検知可能な温度センサを備え、
前記制御部は、前記温度安定条件が成立したにもかかわらず、前記液漏れ検出処理の実行中に前記温度センサの検知温度が所定の許容値以上に変動した場合には、当該液漏れ検出処理を中断する
ことを特徴とする液体加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上流から流入する液体が加熱部で加熱された後に下流へと流出する加熱経路を有する液体加熱装置に関し、詳しくは、加熱経路の液漏れを検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を加熱する液体加熱装置として、加熱対象の液体が流通する加熱経路を有するものが知られており、加熱経路では、上流から流入する液体が熱交換器などの加熱部で加熱された後に下流へと流出するようになっている。
【0003】
こうした液体加熱装置では、加熱経路の流入側および流出側のそれぞれに開閉弁を設置しておくと共に、加熱経路における両開閉弁の間に液体の圧力を検知する圧力センサを設置しておき、両開閉弁を閉じて加熱経路を密閉した上で、圧力センサによる検知圧力の低下状況に基づいて加熱経路の液漏れを検出することが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のように加熱経路の液漏れを検出する液体加熱装置では、密閉された加熱経路内の液体の圧力が温度変化による影響を受け易いため、実際には液漏れが生じていないにもかかわらず、温度低下に起因して圧力が低下することで液漏れと誤検出してしまうことがあるという問題があった。
【0006】
この発明は、従来の技術における上述した課題に対応してなされたものであり、液体加熱装置における加熱経路の液漏れの誤検出を抑制することが可能な技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の液体加熱装置は次の構成を採用した。すなわち、
上流から流入する液体が加熱部で加熱された後に下流へと流出する加熱経路を有する液体加熱装置において、
前記加熱経路の流入側を開閉する流入側開閉弁と、
前記加熱経路の流出側を開閉する流出側開閉弁と、
前記加熱経路における前記流入側開閉弁と前記流出側開閉弁との間に設けられ、前記液体の圧力を検知可能な圧力センサと、
前記流出側開閉弁および前記流入側開閉弁の閉弁によって前記加熱経路を密閉した上で、前記圧力センサの検知圧力の低下状況に基づいて前記加熱経路の液漏れを検出する液漏れ検出処理の実行を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記加熱経路内の前記液体の温度が低下して安定したと推定される所定の温度安定条件が成立した後に、前記液漏れ検出処理を実行する
ことを特徴とする。
【0008】
このような本発明の液体加熱装置では、温度安定条件が成立するのを待って液漏れ検出処理を実行することにより、密閉された加熱経路内の液体の圧力に及ぶ温度変化の影響を、温度安定条件が設けられていない場合に比べて小さくすることができるので、温度低下に起因した加熱経路の液漏れの誤検出を抑制することが可能となる。
【0009】
上述した本発明の液体加熱装置では、次のようにしてもよい。まず、加熱部では、加熱経路内の湯水の流量が所定流量未満になると、加熱を停止する。そして、温度安定条件は、加熱経路内の液体の流れが停止した状態で、所定の安定時間が経過したことである。
【0010】
このような構成の液体加熱装置では、加熱経路内の液体の流れが停止すれば、加熱部における加熱が停止すると共に、他所から加熱液体が加熱経路に流れ込むこともないため、その状態で安定時間が経過するまでに放熱によって加熱経路内の液体の温度が低下して安定することにより、以後に実行される液漏れ検出処理での誤検出を抑制することができる。
【0011】
また、上述した本発明の液体加熱装置における温度安定条件は、流出側開閉弁の閉弁によって加熱経路内の液体の流れが停止した状態で、安定時間が経過したことであってもよい。
【0012】
このような構成の液体加熱装置では、流出側開閉弁を閉弁すると、加熱経路からの液体の流出が遮断されるため、加熱経路内の液体の流れが停止する。そして、安定時間が経過した時点で既に流出側開閉弁が閉じられており、流入側開閉弁を閉じるだけで加熱経路を密閉することができるので、液漏れ検出処理を速やかに実行することが可能となる。
【0013】
こうした本発明の液体加熱装置では、加熱経路内の液体の流れが停止した状態で、安定時間よりも短い所定の先行安定時間が経過した際に、液漏れ検出処理を前倒しして実行し、加熱経路の液漏れが検出されなければ、安定時間が経過した後の液漏れ検出処理を省略するのに対して、加熱経路の液漏れの可能性があると、加熱経路の密閉を一旦解除して安定時間が経過した後に液漏れ検出処理を改めて実行することとしてもよい。
【0014】
このような構成の液体加熱装置では、前倒しして実行した液漏れ検出処理で液漏れが検出されなければ、以後の液漏れ検出処理を省略することで、液漏れ検出処理の終了まで使用を制限する場合でも、早期に通常使用に復帰させることが可能となる。一方、液漏れの可能性があっても、温度低下に起因する疑いがあるので、安定時間が経過するのを待って液漏れ検知処理を再度実行することにより、誤検出を抑制することができる。
【0015】
こうした本発明の液体加熱装置では、加熱経路内の液体の温度を検知可能な温度センサを備えることとして、温度安定条件が成立したにもかかわらず、液漏れ検出処理の実行中に温度センサの検知温度が所定の許容値以上に変動した場合には、液漏れ検出処理を中断してもよい。
【0016】
このような構成の液体加熱装置では、温度安定条件の成立によって加熱経路内の液体の温度が安定したと推定されるものの、実際に温度センサで確認して温度が未だ安定していなければ、加熱経路内の液体の圧力が温度変化の影響を受けてしまうため、実行中の液漏れ検出処理を中断することにより、誤検出を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】液体加熱装置の例として本実施例の連結給湯システム1の全体構成を示した説明図である。
【
図2】本実施例の給湯器10の構成を示した説明図である。
【
図3】本実施例の「従」の給湯器10のコントローラ29が実行する漏水検出制御処理のフローチャートである。
【
図4】漏水検出制御処理の中で実行される本実施例の温度安定条件監視処理のフローチャートである。
【
図5】漏水検出制御処理の中で実行される本実施例の漏水検出処理の大部分のフローチャートである。
【
図6】漏水検出制御処理の中で実行される本実施例の漏水検出処理の残り部分のフローチャートである。
【
図7】漏水検出制御処理の中で実行される本実施例の先行漏水検出処理のフローチャートである。
【
図8】貯湯タンク30を備える別例の構成を示した説明図である。
【
図9】ろ過ユニット40を備える別例の構成を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、液体加熱装置の例として本実施例の連結給湯システム1の全体構成を示した説明図である。図示した連結給湯システム1は、燃料ガスを燃焼させて湯を生成する給湯器10が2台連結されており、各給湯器10に燃料ガスを供給するガス配管2や、各給湯器10に上水を供給する給水配管3や、各給湯器10で加熱された湯を導く出湯配管4などを備えている。
【0019】
給湯器10の詳細については別図を用いて後述するが、2台の給湯器10a、10bは、基本的には同じ仕様であって、同様に運転可能であると共に、並列に連結されている。すなわち、燃料ガスを供給するガス配管2は、2台の給湯器10a,10bの各々に分岐して接続されており、同様に、上水を供給する給水配管3は、2台の給湯器10a,10bの各々に分岐して接続されている。また、2台の給湯器10a,10bの各々から延設された出湯配管4は、1つに合流して湯を導く。
【0020】
出湯配管4には、合流点よりも下流側に給湯栓5(いわゆるカラン)が複数(図示した例では3つ)接続されている。また、出湯配管4における給湯栓5の接続点よりも下流側と、給水配管3の分岐点よりも上流側とが循環配管6によって接続されており、循環配管6には、出湯配管4側から給水配管3側へと湯を送る循環ポンプ7が設けられている。本実施例の連結給湯システム1は、いわゆる即湯機能を備えており、給湯栓5を閉じて湯を消費していないときに、循環ポンプ7の作動によって循環配管6で出湯配管4側から湯を給水配管3側へと戻して循環させながら、給湯器10の加熱で保温しておくことによって、給湯栓5を開栓したら直ちに湯を供給することが可能である。
【0021】
加えて、2台の給湯器10a,10bは、通信可能に接続されており、一方の給湯器10を「主」とし、他方の給湯器10を「従」とする主従関係が設定されるようになっている。湯の消費量が少なければ、「主」の給湯器10だけで運転を行い、「従」の給湯器10は待機状態となる。そして、湯の消費量が多くなると、「主」の給湯器10に加えて、「従」の給湯器10でも運転を行う。尚、2台の給湯器10a,10bの主従関係は、定期的に交代するようになっている。また、連結する給湯器10の数は、2台に限られず、3台以上であってもよく、その場合、何れか1つが「主」となり、残りが「従」となる。
【0022】
さらに、各給湯器10には、連結給湯システム1の管理者が操作可能なリモコン8が有線または無線で通信可能に接続されている。リモコン8は、供給する湯の温度などの様々な設定を行ったり、種々の機能のオン/オフを切り替えたり、リセットを行うために操作する各種スイッチが設置された操作部8aを備えると共に、連結給湯システム1の設定状況や運転状況、給湯器10についての情報などを表示可能な表示部8bを備えている。
【0023】
図2は、本実施例の給湯器10の構成を示した説明図である。図示されるように給湯器10は、燃焼室11内に収容されて燃料ガスを燃焼させるバーナ12や、バーナ12に向けて下方から燃焼用の空気を送る燃焼ファン13を備えており、前述したガス配管2を通じて燃料ガスがバーナ12に供給される。給湯器10内のガス配管2には、ガス配管2を開閉する元弁14や、ガス配管2を流れる燃料ガスの流量を調節する比例弁15が設けられている。また、燃焼室11には、バーナ12に向かって火花放電で点火する点火プラグ16や、バーナ12における燃焼状態を検出するフレームロッド17などが設けられている。
【0024】
バーナ12の上方には、熱交換器18が設けられており、バーナ12での燃焼によって生じた高温の燃焼排気は、熱交換器18を通過すると、給湯器10の上部に設けられた排気口19から外部に排出される。熱交換器18は、一端(上流側)に給水配管3が接続されており、他端(下流側)に出湯配管4が接続されている。給湯器10内の給水配管3には、給水配管3の開閉や流量制御を行う水量サーボ20と、熱交換器18に供給される湯水の流量を検知する流量センサ21と、熱交換器18に流入する湯水の温度(流入側温度)を検知する流入側温度センサ22と、給水配管3内の湯水の圧力を検知する圧力センサ23とが上流側から順に設けられている。尚、本実施例の水量サーボ20は、本発明の「流入側開閉弁」に相当している。
【0025】
水量サーボ20の開状態で熱交換器18に流入した湯水は、熱交換器18でバーナ12からの燃焼排気との熱交換によって加熱された後、出湯配管4へと流出する。給湯器10内の出湯配管4には、熱交換器18から流出した湯水の温度(流出側温度)を検知する流出側温度センサ24と、出湯配管4の開閉や流量制御を行う湯量サーボ25とが下流側に向かって順に設けられている。尚、本実施例のバーナ12および熱交換器18は、本発明の「加熱部」に相当している。また、本実施例の湯量サーボ25は、本発明の「流出側開閉弁」に相当し、本実施例の流出側温度センサ24は、本発明の「温度センサ」に相当している。
【0026】
また、本実施例の給湯器10では、給水配管3の水量サーボ20よりも上流側と、出湯配管4の湯量サーボ25よりも下流側とがバイパス配管26で接続されている。このバイパス配管26には、バイパス配管26の開閉や流量制御を行うバイパスサーボ27が設けられている。給水配管3で給湯器10に供給される湯水は、一部が熱交換器18に供給されることなくバイパス配管26を通過可能であり、残りが熱交換器18に供給される。そして、熱交換器18で加熱された湯は、バイパス配管26を通った湯水と混合されて給湯栓5に供給される。熱交換器18で加熱された湯と、バイパス配管26を通った湯水との混合比は、バイパスサーボ27や湯量サーボ25や水量サーボ20の開度によって変更することが可能である。
【0027】
出湯配管4におけるバイパス配管26の接続点よりも下流側には、給湯栓5に供給される湯の温度(給湯温度)を検知する給湯温度センサ28が設けられている。上述のようにバイパス配管26が接続されていることから、給湯温度センサ28の検知温度は、上流にある流出側温度センサ24の検知温度よりも低くなり、混合比を調節することによって、給湯栓5に供給される湯の温度変動を抑制することができる。尚、本実施例の各種温度センサには、温度の変化に応じて電気抵抗が変化するサーミスタを用いている。
【0028】
さらに、給湯器10は、個別に機器全体を制御するコントローラ29を搭載しており、コントローラ29には、上述の燃焼ファン13、元弁14、比例弁15、点火プラグ16、フレームロッド17、水量サーボ20、流量センサ21、流入側温度センサ22、圧力センサ23、流出側温度センサ24、湯量サーボ25、給湯温度センサ28などが電気的に接続されている。コントローラ29は、水量サーボ20および湯量サーボ25の開閉を制御すると共に、流量センサ21での検知流量や流入側温度センサ22での検知温度などに応じて、バーナ12での燃焼量(加熱量)を制御し、流量センサ21での検知流量が所定流量未満になると、バーナ12での燃焼を停止する。
【0029】
また、2台の給湯器10a,10bの各々のコントローラ29は、互いに電気的に接続されていると共に、循環配管6の循環ポンプ7と電気的に接続されている。前述したように2台の給湯器10a,10bには、主従関係が設定されており、「主」の給湯器10のコントローラ29が、循環ポンプ7の動作を制御すると共に、「従」の給湯器10のコントローラ29に対して指示を与えるようになっている。本実施例における「従」の給湯器10では、待機状態になると、湯量サーボ25を全閉にしておくようになっており、これに伴って湯量サーボ25よりも上流側で湯水の流れが停止する(流量センサ21での検知流量が所定流量未満となる)ため、バーナ12で燃焼が行われることはなく、循環中に「主」の給湯器10から加熱された湯が水量サーボ20を通って流れ込むこともない。加えて、待機状態の「従」の給湯器10では、湯量サーボ25の全閉と連動して、バイパスサーボ27も全閉にしておくようになっており、こうすることで、待機状態における湯水の流通を遮断している。尚、「主」の給湯器10については、待機状態(バーナ12での燃焼を停止した状態)であっても、湯量サーボ25やバイパスサーボ27を開状態(リモコン8での設定温度や各種温度センサの検知温度などに応じた開度)にして湯水の流通を確保しておくようになっている。
【0030】
このような本実施例の連結給湯システム1では、待機状態である「従」の給湯器10において、湯量サーボ25に加えて水量サーボ20も全閉にして水量サーボ20から湯量サーボ25までの経路(以下、加熱経路という)を密閉することにより、圧力センサ23での検知圧力の低下状況に基づいて加熱経路の漏水を検出することが可能である。但し、密閉された加熱経路内の湯水の圧力は、温度変化による影響を受け易いため、例えば、熱交換器18における余熱が冷めるなどの温度低下に起因して湯水の圧力が低下することにより、加熱経路の漏水と誤検出してしまうことがある。そこで、本実施例の連結給湯システム1では、「従」の給湯器10のコントローラ29が以下のような漏水検出制御処理の実行することにより、加熱経路の漏水の検出を可能としつつ、誤検出を抑制している。尚、本実施例のコントローラ29は、本発明の「制御部」に相当している。
【0031】
図3は、本実施例の「従」の給湯器10のコントローラ29が実行する漏水検出制御処理のフローチャートである。この漏水検出制御処理は、連結給湯システム1の電源を入れると、「従」に設定されている給湯器10において、所定の周期で繰り返し実行される。図示されるように、本実施例の漏水検出制御処理を開始すると、まず、加熱経路内の湯水の温度が低下して安定したと推定される所定の温度安定条件が成立したか否かを監視する処理(温度安定条件監視処理)を実行する(STEP1)。本実施例における温度安定条件は、「湯量サーボ25が全閉されて加熱経路内の湯水の流れが停止した状態で、所定の安定時間(例えば90分)が経過したこと」に設定されている。
【0032】
図4は、漏水検出制御処理の中で実行される本実施例の温度安定条件監視処理のフローチャートである。温度安定条件監視処理では、先ず、温度安定条件成立フラグおよび先行温度安定条件成立フラグの何れかの条件成立フラグがONに設定されているか否かを判断する(STEP10)。後述するように、温度安定条件成立フラグは、温度安定条件が成立したことを示すフラグであり、先行温度安定条件成立フラグは、温度安定条件の成立に先立って先行温度安定条件が成立したことを示すフラグである。尚、コントローラ29の記憶部(図示省略)にフラグの記憶領域が確保されている。
【0033】
温度安定条件成立フラグおよび先行温度安定条件成立フラグの何れもOFFに設定されている場合は(STEP10:no)、次に、安定時間待機タイマおよび先行安定時間待機タイマで計時中であるか否かを判断する(STEP11)。これら安定時間待機タイマおよび先行安定時間待機タイマは、何れも湯量サーボ25が全閉された状態で経過時間を計るためのタイマであり、後述のように安定時間待機タイマで計る時間(安定時間)よりも、先行安定時間待機タイマで計る時間(先行安定時間)は短くなっている。そして、安定時間待機タイマおよび先行安定時間待機タイマで計時中ではない場合は(STEP11:no)、続いて、前回に加熱経路の漏水の有無を判定してから24時間が経過しているか否かを判断する(STEP12)。本実施例の各給湯器10では、加熱経路の漏水を検出する処理(漏水検出処理)を行う頻度として、前回に漏水の有無を判定してから少なくとも24時間が経過した後に行うようになっている。そのため、前回に漏水の有無を判定してから未だ24時間が経過していない場合は(STEP12:no)、温度安定条件が成立したか否かにかかわらず漏水検出処理を行うことはなく、そのまま
図4の温度安定条件監視処理を一旦終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。
【0034】
一方、前回に漏水の有無を判定してから24時間が経過している場合は(STEP12:yes)、湯量サーボ25が全閉されているか否かを判断する(STEP13)。湯量サーボ25が全閉されておらず、開状態である場合は(STEP13:no)、「従」の給湯器10が待機状態ではなく、バーナ12で燃焼が行われており、温度安定条件が成立することはないので、
図4の温度安定条件監視処理を一旦終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。
【0035】
これに対して、湯量サーボ25が全閉されている場合は(STEP13:yes)、「従」の給湯器10が待機状態であり、バーナ12で燃焼が行われていないと判断されるため、前述した安定時間待機タイマおよび先行安定時間待機タイマで計時を開始する(STEP14)。こうして安定時間待機タイマおよび先行安定時間待機タイマでの計時を開始すると、計時の開始後に湯量サーボ25が開状態にされたか否かを判断する(STEP15)。また、STEP11の判断において、既に安定時間待機タイマおよび先行安定時間待機タイマで計時中である場合は(STEP11:yes)、STEP12~STEP14の処理を省略して、湯量サーボ25が開状態にされたか否かを判断する(STEP15)。そして、湯量サーボ25が開状態にされた場合は(STEP15:yes)、「従」の給湯器10の待機状態が解除され、バーナ12で燃焼が開始されることになるため、安定時間待機タイマおよび先行安定時間待機タイマをリセット(停止)した後(STEP16)、
図4の温度安定条件監視処理を一旦終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。尚、漏水検出処理の終了まで「従」の給湯器10の使用を制限し、湯量サーボ25を全閉のまま維持するようにしてもよい。
【0036】
一方、湯量サーボ25が全閉のままである場合は(STEP15:no)、安定時間待機タイマで所定の安定時間(本実施例では90分)が経過したか否かを判断する(STEP17)。未だ安定時間が経過していない場合は(STEP17:no)、続いて、先行安定時間待機タイマで安定時間よりも短い所定の先行安定時間(本実施例では15分)が経過したか否かを判断する(STEP18)。そして、先行安定時間についても未だ経過していない場合は(STEP18:no)、そのまま
図4の温度安定条件監視処理を一旦終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。
【0037】
その後、
図3の漏水検出制御処理を繰り返し実行するうちに、先行安定時間待機タイマで先行安定時間が経過した場合は(STEP18:yes)、湯量サーボ25が全閉された状態で先行安定時間が経過したことによって先行温度安定条件が成立したことを示す先行温度安定条件成立フラグをONに設定する(STEP19)。尚、先行安定時間待機タイマは、先行安定時間が経過すると、自動的にリセットされる。その後、
図4の温度安定条件監視処理を一旦終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。
【0038】
また、
図3の漏水検出制御処理を繰り返し実行するうちに、安定時間待機タイマで安定時間が経過した場合は(STEP17:yes)、本実施例の温度安定条件が成立したことになるので、温度安定条件の成立を示す温度安定条件成立フラグをONに設定する(STEP20)。尚、安定時間待機タイマは、安定時間が経過すると、自動的にリセットされる。こうして温度安定条件成立フラグをONに設定すると、
図4の温度安定条件監視処理を一旦終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。
【0039】
そして、
図4の温度安定条件監視処理を開始した直後のSTEP10の判断において、温度安定条件成立フラグおよび先行温度安定条件成立フラグの何れかの条件成立フラグが既にONに設定されている場合は(STEP10:yes)、湯量サーボ25が開状態にされたか否かを判断する(STEP21)。そして、湯量サーボ25が全閉のままである場合は(STEP21:no)、ONに設定されている温度安定条件成立フラグまたは先行温度安定条件成立フラグをONに設定したまま
図4の温度安定条件監視処理を一旦終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。
【0040】
これに対して、湯量サーボ25が開状態にされた場合は(STEP21:yes)、「従」の給湯器10の待機状態が解除され、バーナ12で燃焼が開始されることになるため、ONに設定されている温度安定条件成立フラグおよび先行温度安定条件成立フラグの何れかの条件成立フラグをOFFに設定した後(STEP22)、
図4の温度安定条件監視処理を一旦終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。
【0041】
漏水検出制御処理では、温度安定条件監視処理(STEP1)から復帰すると、温度安定条件成立フラグがONに設定されているか否かを判断する(STEP2)。そして、温度安定条件成立フラグがONに設定されている場合は(STEP2:yes)、以下の漏水検出処理を実行する(STEP3)。また、漏出検出処理の終了後は、
図3の漏水検出制御処理を一旦終了し、所定の周期で再び
図3の漏水検出制御処理を実行する。尚、本実施例の漏水検出処理は、本発明の「液漏れ検出処理」に相当している。
【0042】
図5および
図6は、漏水検出制御処理の中で実行される本実施例の漏水検出処理のフローチャートである。漏水検出処理では、先ず、水量サーボ20が全閉されているか否かを判断する(STEP30)。本実施例の水量サーボ20は、基本的には開状態となっており、加熱経路の漏水を検出するに際して加熱経路を密閉するために、湯量サーボ25に加えて水量サーボ20も全閉にするようになっている。そのため、水量サーボ20が全閉されておらず、開状態である場合は(STEP30:no)、水量サーボ20を全閉にして加熱経路を密閉した後(STEP31)、加熱経路に含まれる流出側温度センサ24で出湯配管4内の湯水の温度(流出側温度)を検知すると共に、同じく加熱経路に含まれる圧力センサ23で給水配管3内の湯水の圧力を検知する(STEP32)。
【0043】
こうして密閉状態の加熱経路における湯水の流出側温度および圧力を検知すると、流出側温度センサ24で検知される流出側温度(加熱経路内の湯水の温度)を監視し、STEP32の処理で検知した流出側温度に対して所定の許容値(本実施例では1度)以上に変動したか否かを判断する(STEP33)。流出側温度の変動が1度未満である場合は(STEP33:no)、続いて、判定時間が経過したか否かを判断する(STEP34)。本実施例の漏水検出処理では、水量サーボ20を全閉にしてから加熱経路の漏水の有無を判定するまでの間に判定時間が設けられており、この判定時間は、STEP32の処理で検知した湯水の圧力に応じて設定され、検知圧力が高ければ判定時間が長く設定される。例えば、検知圧力が200kPaであると、判定時間が3秒に設定されるのに対して、検知圧力が600kPaであると、判定時間が20秒に設定される。
【0044】
判定時間が未だ経過していない場合は(STEP34:no)、加熱経路を密閉した状態のまま
図5および
図6の漏水検出処理を一旦終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。その後、温度安定条件成立フラグがONに設定されたままであれば、所定の周期で再び
図5および
図6の漏水検出処理を実行することになり、STEP30の判断において、既に水量サーボ20が全閉されているため(STEP30:yes)、STEP31およびSTEP32の処理を省略して、流出側温度が1度以上変動したか否かを再び判断する(STEP33)。
【0045】
そして、判定時間が経過する前に流出側温度が1度以上変動した場合は(STEP33:yes)、加熱経路内の湯水の温度が未だ安定していないため、漏水を検出することなく、温度安定条件成立フラグをOFFに設定する(STEP35)。また、水量サーボ20を開けて加熱経路の密閉を解除する(STEP36)。そして、温度安定条件または先行安定条件が再び成立するのを待つために、改めて安定時間待機タイマおよび先行安定時間待機タイマで計時を開始すると(STEP37)、
図5および
図6の漏水検出処理を一旦終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。尚、本実施例の漏水検出処理では、判定時間が経過する前から流出側温度の変動を監視するようになっているが、判定時間が経過した時点で、判定時間中の流出側温度の変動が1度以上であるか否かを判断してもよい。
【0046】
これに対して、流出側温度が1度以上変動することなく(STEP33:no)、判定時間が経過した場合は(STEP34:yes)、加熱経路内の湯水の温度が安定しているため、圧力センサ23で検知される給水配管3(密閉された加熱経路)内の湯水の圧力が所定の基準圧力(本実施例では30kPa)以上であるか否かを判断する(STEP38)。そして、検知圧力が30kPa以上である場合は(STEP38:yes)、密閉された加熱経路内の湯水の圧力が十分に残っていることから、漏水無しと判定する(STEP39)。
【0047】
こうして漏水無しと判定すると、温度安定条件成立フラグをOFFに設定し(STEP40)、続いて、水量サーボ20を開けて加熱経路の密閉を解除する(STEP41)。さらに、次回の漏水検出処理を行う時期の目安とするために(
図4のSTEP12参照)漏水無しと判定してからの時間を計時する判定済みタイマを作動させると(STEP42)、
図5および
図6の漏水検出処理を終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。
【0048】
一方、STEP38の判断において、圧力センサ23での検知圧力が30kPaよりも低下している場合は(STEP38:no)、漏水検出カウンタに「1」を加算する(
図6のSTEP43)。この漏水検出カウンタは、圧力センサ23での検知圧力が30kPaよりも低下して漏水の可能性があると確認された回数を記憶しておくカウンタである。本実施例の漏水検出処理では、圧力センサ23での検知圧力が30kPaよりも低下していても、1回で直ちに漏水有りと判定するわけではなく、所定の上限回数(本実施例では3回)に達するまで繰り返し確認するようになっている。そのため、漏水検出カウンタに「1」を加算すると、続いて、漏水検出カウンタが「3」に到達したか否かを判断する(STEP44)。
【0049】
未だ漏水検出カウンタが「3」に到達していない場合は(STEP44:no)、水量サーボ20を開けて加熱経路の密閉を一旦解除する(STEP45)。これにより、加熱経路に湯水が供給されて圧力が付加される。その後、
図5および
図6の漏水検出処理を一旦終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。このとき、温度安定条件成立フラグはOFFに設定されないので、所定の周期で再び
図5および
図6の漏水検出処理を実行し、上述したSTEP30~STEP38の処理を繰り返す。すなわち、水量サーボ20を全閉にして加熱経路を密閉した後、出湯側温度の変動を監視しながら、判定時間が経過すると、圧力センサ23での検知圧力の低下状況を判断し、30kPaよりも低下している場合は(STEP38:no)、漏水検出カウンタにさらに「1」を加算する(STEP43)。尚、漏水検出カウンタは、温度安定条件成立フラグがOFFに設定されると、リセットされるようになっている。
【0050】
こうして処理を繰り返すうちに、漏水検出カウンタが上限回数の「3」に到達した場合は(STEP44:yes)、密閉された加熱経路内の湯水の圧力が抜けてしまうことが繰り返し確認たされたことから、漏水有りと判定し(STEP46)、漏水を検出した旨を報知する(STEP47)。本実施例における漏水の報知は、リモコン8の表示部8bに表示して行うようになっている。尚、報知の態様はこれに限られず、リモコン8に内蔵のスピーカ(図示省略)から音声出力によって報知してもよい。その後、
図5および
図6の漏水検出処理を終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。
【0051】
以上では、漏水検出制御処理のSTEP2において、温度安定条件成立フラグがONに設定されている場合(STEP2:yes)に実行する処理について説明した。これに対して、温度安定条件成立フラグがOFFに設定されている場合は(STEP2:no)、次に、先行温度安定条件成立フラグがONに設定されているか否かを判断する(STEP4)。前述したように先行温度安定条件成立フラグは、湯量サーボ25が全閉された状態で先行安定時間(本実施例では15分)が経過したことによって先行温度安定条件が成立したことを示すフラグである。そして、先行温度安定条件成立フラグがONに設定されていない場合は(STEP4:no)、そのまま
図3の漏水検出制御処理を一旦終了し、所定の周期で再び
図3の漏水検出制御処理を実行する。
【0052】
一方、先行温度安定条件成立フラグがONに設定されている場合は(STEP4:yes)、以下の先行漏水検出処理を実行する(STEP5)。また、先行漏出検出処理の終了後は、
図3の漏水検出制御処理を一旦終了し、所定の周期で再び
図3の漏水検出制御処理を実行する。尚、先行漏水検出処理は、上述した漏水検出処理と共通する部分が多いため、共通の内容については簡単に説明する。
【0053】
図7は、漏水検出制御処理の中で実行される本実施例の先行漏水検出処理のフローチャートである。先行漏水検出処理では、先ず、水量サーボ20が全閉されているか否かを判断する(STEP50)。水量サーボ20が全閉されておらず、開状態である場合は(STEP50:no)、水量サーボ20を全閉にして加熱経路を密閉した後(STEP51)、加熱経路に含まれる圧力センサ23で給水配管3内の湯水の圧力を検知する(STEP52)。
【0054】
こうして密閉状態の加熱経路における湯水の圧力を検知すると、判定時間が経過したか否かを判断する(STEP53)。この判定時間は、STEP52の処理で検知した湯水の圧力に応じて設定され、検知圧力が高ければ判定時間が長く設定される。判定時間が未だ経過していない場合は(STEP53:no)、加熱経路を密閉した状態のまま
図7の先行漏水検出処理を一旦終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。その後、所定の周期で再び
図7の先行漏水検出処理を実行すると、STEP50の判断において、既に水量サーボ20が全閉されているため(STEP50:yes)、STEP51およびSTEP52の処理を省略して、判定時間が経過したか否かを再び判断する(STEP53)。
【0055】
そして、判定時間が経過した場合は(STEP53:yes)、圧力センサ23で検知される給水配管3(密閉された加熱経路)内の湯水の圧力が所定の基準圧力(本実施例では30kPa)以上であるか否かを判断する(STEP54)。このとき、検知圧力が30kPa以上である場合は(STEP54:yes)、密閉された加熱経路内の湯水の圧力が十分に残っていることから、漏水無しと判定する(STEP55)。
【0056】
こうして漏水無しと判定すると、先行温度安定条件成立フラグをOFFに設定した後(STEP56)、水量サーボ20を開けて加熱経路の密閉を解除する(STEP57)。また、本実施例では、安定時間(90分)よりも短い先行安定時間(15分)が経過した時点で先行漏水検出処理(
図7)を行って、漏水無しと判定すると、安定時間が経過した後の漏水検出処理(
図5,6)を省略するようになっている。そのため、計時中の安定時間待機タイマをリセット(停止)する(STEP58)。さらに、漏水無しと判定してからの時間を計時する判定済みタイマを作動させると(STEP59)、
図7の先行漏水検出処理を終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。
【0057】
一方、STEP54の判断において、圧力センサ23での検知圧力が30kPaよりも低下している場合は(STEP54:no)、密閉された加熱経路内の湯水の圧力が抜けており、漏水の可能性があるものの、本実施例の先行漏水検出処理(
図7)では漏水有りと判定せず、後から行う漏水検出処理(
図5,6)に最終的な判定を委ねるようになっている。また、安定時間(90分)が経過するまでは、先行安定時間(15分)が経過する毎に、先行漏水検出処理を繰り返し行うことが可能となっている。
【0058】
そこで、先行温度安定条件成立フラグをOFFに設定した後(STEP60)、水量サーボ20を開けて加熱経路の密閉を解除する(STEP61)。そして、先行安定条件が再び成立するのを待つために、改めて先行安定時間待機タイマで計時を開始すると(STEP62)、
図7の先行漏水検出処理を終了し、
図3の漏水検出制御処理に復帰する。その後、先行安定時間待機タイマで再び先行安定時間が経過して先行温度安定条件成立フラグがONに設定される(
図4のSTEP19参照)のに伴って、
図7の先行漏水検出処理が再度実行される。また、先行漏水検出処理で漏水無しと判定されなければ、安定時間待機タイマについても計時を継続しているため、安定時間が経過して温度安定条件成立フラグがONに設定される(
図4のSTEP20参照)のに伴って、
図5および
図6の漏水検出処理が実行され、前述したように漏水の有無が判定される。
【0059】
以上に説明したように本実施例の連結給湯システム1では、待機状態である「従」の給湯器10において、湯量サーボ25および水量サーボ20の全閉によって水量サーボ20から湯量サーボ25までの経路(加熱経路)を密閉した上で、圧力センサ23での検知圧力の低下状況に基づいて加熱経路の漏水を検出する処理(漏水検出処理)を実行することが可能となっている。そして、この漏水検出処理は、加熱経路内の湯水の温度が低下して安定したと推定される所定の温度安定条件が成立した後に実行されるようになっている。
【0060】
このような本実施例の連結給湯システム1によれば、温度安定条件が成立するのを待って漏水検出処理を実行することにより、密閉された加熱経路内の湯水の圧力に及ぶ温度変化の影響を、温度安定条件が設けられていない場合に比べて小さくすることができるので、温度低下に起因した加熱経路の漏水の誤検出を抑制することが可能となる。
【0061】
また、本実施例の連結給湯システム1では、加熱経路における流量センサ21での検知流量が所定流量未満になると、バーナ12での燃焼を停止することを前提として、温度安定条件が、「加熱経路内の湯水の流れが停止した状態で、所定の安定時間(90分)が経過したこと」に設定されている。加熱経路内の湯水の流れが停止していれば、バーナ12における燃焼が停止すると共に、他所(例えば「主」の給湯器10)から加熱された湯が流れ込むこともないため、その状態で安定時間が経過するまでに放熱によって加熱経路内の湯水の温度が低下して安定することにより、以後に実行される漏水検出処理での誤検出を抑制することができる。
【0062】
特に、本実施例の連結給湯システム1では、「湯量サーボ25を全閉にすることで加熱経路内の湯水の流れが停止した状態で、所定の安定時間が経過したこと」を温度安定条件としている。湯量サーボ25を全閉にすれば、加熱経路からの湯水の流出が遮断されるため、加熱経路内の湯水の流れが停止する。そして、安定時間が経過した時点で既に湯量サーボ25が全閉されており、水量サーボ20を全閉にするだけで加熱経路を密閉することができるので、漏水検出処理を速やかに実行することが可能となる。尚、水量サーボ20を全閉にすることでも加熱経路内の湯水の流れが停止するものの、その場合、安定時間の経過後(漏水検出処理を開始する際)に、加熱経路に湯水を供給して圧力を付加するために、水量サーボ20を一旦開けて、湯量サーボ25を全閉にした状態で水量サーボ20を再度全閉にする必要がある。
【0063】
加えて、本実施例の連結給湯システム1では、加熱経路内の湯水の流れが停止した状態で安定時間(90分)よりも短い所定の先行安定時間(15分)が経過した際に、漏水検出処理に先立って先行漏水検出処理を実行し(漏水検出処理の一部を前倒しして実行し)、加熱経路の漏水が検出されなければ、安定時間が経過した後の漏水検出処理を省略するのに対して、加熱経路の漏水の可能性があると、加熱経路の密閉を一旦解除して安定時間が経過した後に漏水検出処理を実行するようになっている。これにより、漏水検出処理に先立って実行した先行漏水検出処理で漏水が検出されなければ、以後の漏水検出処理を省略することで、漏水検出処理の終了まで給湯器10の使用を制限する場合でも、早期に通常使用へと復帰させることが可能となる。一方、漏水の可能性があっても、温度低下に起因する疑いがあるので、安定時間が経過するのを待って漏水検出処理を改めて実行することにより、誤検出を抑制することができる。
【0064】
さらに、本実施例の連結給湯システム1では、温度安定条件が成立したにもかかわらず、漏水検出処理の実行中に流出側温度センサ24で検知される流出側温度が所定の許容値(1度)以上に変動した場合には、漏水検出処理を中断するようになっている。温度安定条件の成立によって加熱経路内の湯水の温度が安定したと推定されるものの、実際に流出側温度センサ24で確認して温度が未だ安定していなければ、加熱経路内の湯水の圧力が温度変化の影響を受けてしまうため、実行中の漏水検出処理を中断することにより、誤検出を抑制することが可能となる。
【0065】
以上、液体加熱装置として本実施例の連結給湯システム1について説明したが、本発明は上記の実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0066】
例えば、前述した実施例の温度安定条件は、「湯量サーボ25が全閉されて加熱経路内の湯水の流れが停止した状態で、所定の安定時間(90分)が経過したこと」に設定されていた。しかし、温度安定条件は、これに限られず、加熱経路内の湯水の温度が低下して安定したと推定される条件であればよい。例えば、湯量サーボ25の全閉を確認する代わりに、流量センサ21での検知流量に基づいて加熱経路における湯水の流れの停止を確認してもよい。また、本実施例の安定時間は、自然放熱を前提として90分に設定されていたが、バーナ12での燃焼を停止した後に燃焼ファン13による送風(いわゆるポストパージ)を継続する場合には、強制冷却によって加熱経路(主に熱交換器18)内の湯水の温度低下が促進されるので、安定時間を短縮(例えば10分に設定)してもよい。
【0067】
また、「流出側温度センサ24で検知される流出側温度が所定温度まで低下したこと」を温度安定条件にしてもよく、この所定温度を外気温度に基づいて設定してもよい。あるいは、「一定の周期で(例えば5分毎に)流出側温度センサ24で検知される流出側温度の変動量が所定値(例えば1度)未満になったこと」を温度安定条件にしてもよい。
【0068】
また、前述した実施例では、液体加熱装置の例として、2台の給湯器10が連結されて循環式の即湯機能を備えた連結給湯システム1について説明した。しかし、液体加熱装置は、これに限られず、給湯器10が単独であってもよいし、循環配管6や循環ポンプ7を省略して即湯機能のない非循環式(給湯栓5の開栓で湯水が流出するのに伴って給湯器10の加熱を開始する構成)としてもよい。もちろん、液体加熱装置は、こうした給湯システムに限られず、加熱した液体を循環させて暖房に用いる暖房システムであってもよく、この場合、加熱される液体は、湯水に限られず、シリコーン油などを用いてもよい。
【0069】
加えて、前述した実施例では、
図1に示したように連結給湯システム1の出湯配管4に給湯栓5が直接的に接続されていた。しかし、
図8に示されるように、出湯配管4と給湯栓5との間に湯を貯める貯湯タンク30を設置してもよい。すなわち、出湯配管4の下流側を貯湯タンク30に接続して湯を供給すると共に、循環配管6の上流側を貯湯タンク30に接続して循環ポンプ7の作動で貯湯タンク30の湯を給水配管3へと戻して循環させながら、給湯器10の加熱で保温しておく。この循環とは別に給湯循環配管31の上流側および下流側を貯湯タンク30に接続して、給湯循環配管31に設けた給湯循環ポンプ32の作動で貯湯タンク30の湯を給湯循環配管31に循環させる。そして、給湯循環配管31に給湯栓5を接続しておくことにより、給湯栓5を開栓したら直ちに貯湯タンク30の湯を供給することが可能である。
【0070】
さらに、
図9に示されるように、ろ過ユニット40を介して出湯配管4の下流側と循環配管6の上流側とを接続してもよい。すなわち、浴槽41内の湯水を循環させる風呂循環配管42にろ過ユニット40と風呂循環ポンプ43とを設置して、風呂循環ポンプ43の作動によって浴槽41から吸い出した湯水を、ろ過ユニット40でろ過した後、再び浴槽41へと戻す。このとき、同時に循環ポンプ7の作動によって、出湯配管4で供給される湯を、ろ過ユニット40を介して循環配管6で給水配管3へと戻して循環させながら、給湯器10で加熱する。これにより、風呂循環配管42を循環する浴槽41の湯水は、ろ過ユニット40で液-液の熱交換によって再加熱(いわゆる追い焚き)される。
【0071】
ここで、前述した実施例の連結給湯システム1では、連結された2台の給湯器10うち「従」の給湯器10が待機状態(バーナ12での燃焼を停止した状態)になると、湯量サーボ25およびバイパスサーボ27を全閉にしておくようになっていた。これに対して、
図8の貯湯タンク30を備えるタイプや、
図9のろ過ユニット40を備えるタイプでは、貯湯タンク30やろ過ユニット40で必要とされる熱量に応じて、給湯器10の加熱量(台数)が予め決定され、「主」の給湯器10と「従」の給湯器10とが同期して運転を行うことがあり、この場合、「従」の給湯器10が待機状態になっても、「主」の給湯器10と同様に湯量サーボ25やバイパスサーボ27を開状態(リモコン8での設定温度や各種温度センサの検知温度などに応じた開度)のままにしておくようになっている。そのため、これらのタイプに前述の各処理(
図3~7)を適用するのであれば、安定時間待機タイマおよび先行安定時間待機タイマで計時を開始する(
図4のSTEP14)よりも前に湯量サーボ25およびバイパスサーボ27を全閉にする必要がある。そして、漏水無しと判定した場合には、水量サーボ20を開ける(
図5のSTEP41,
図7のSTEP57)のに伴って、湯量サーボ25およびバイパスサーボ27も開けるようにすればよい。尚、給湯器10が単独である場合や、「主」の給湯器10で漏水を検出する場合についても、待機状態で湯量サーボ25やバイパスサーボ27を開状態のままにしておくようになっていることから、同様である。
【0072】
また、
図8の貯湯タンク30を備えるタイプや、
図9のろ過ユニット40を備えるタイプでは、連結された給湯器10同士(2台であれば「主」と「従」、3台以上であれば「主」および複数の「従」の各々)で温度安定条件の成立までの待機および漏水検出処理の実行タイミングが重ならないように、1台ずつ実行することが望ましい。こうすれば、湯量サーボ25の全閉によって使用不可となる給湯器10を最小限に留めて、残りの給湯器10でシステムとしての使用を維持することが可能となる。
【0073】
また、前述した実施例では、温度安定条件が成立した後の漏水検出処理の実行中に流出側温度センサ24で流出側温度の変動を確認するようになっていた(
図5のSTEP33,STEP35~STEP37)。しかし、こうした流出側温度の変動の確認は必須ではなく、省略してもよい(
図7の先行漏水検出処理参照)。その場合、STEP32の処理では、流出側温度センサ24で流出側温度を検知することなく、圧力センサ23で湯水の圧力のみを検知すればよい。ただし、前述した実施例のように流出側温度の変動を確認することにより、密閉された加熱経路内の湯水の圧力に及ぶ温度変化の影響を排除して、漏水の誤検出を抑制する効果を高めることが可能となる。
【0074】
また、前述した実施例では、湯量サーボ25が先に全閉された状態から水量サーボ20を全閉にして加熱経路を密閉するようになっていた。しかし、加熱経路を密閉する際の湯量サーボ25および水量サーボ20を全閉にする順序は、これに限られない。例えば、給湯器10が単独であると共に非循環式である場合には、給湯栓5が閉栓されていれば、湯量サーボ25が開状態であっても、加熱経路内の湯水の流れは停止している。そのため、流量センサ21の検知流量に基づいて湯水の流れの停止を確認しつつ、安定時間の経過によって温度安定条件が成立したら、湯量サーボ25および水量サーボ20のどちらを先に全閉にしてもよく、両方をほぼ同時に全閉にしてもよい。
【0075】
また、前述した実施例では、バイパス配管26によって、給水配管3の水量サーボ20よりも上流側と、出湯配管4の湯量サーボ25よりも下流側とが接続されており、漏水検出の対象である加熱経路にバイパス配管26は含まれていなかった(
図2参照)。しかし、給水配管3の水量サーボ20よりも下流側と、出湯配管4の湯量サーボ25よりも上流側とをバイパス配管26で接続しておくことにより、漏水検出の対象である加熱経路にバイパス配管26が含まれるようにしてもよい。この場合、熱交換器18で加熱された湯と、バイパス配管26を通った湯水との混合比は、バイパスサーボ27の開度によって変更することが可能である。尚、湯量サーボ25の全閉に伴ってバイパス配管26における湯水の流れも停止するため、湯量サーボ25の全閉と連動してバイパスサーボ27を全閉にする必要はない。
【0076】
また、前述した実施例では、「主」の給湯器10のコントローラ29が、「従」の給湯器10のコントローラ29に対して指示を与えるようになっていた。しかし、連結給湯システム1の全体を制御するシステムコントローラ(図示省略)を備えることとして、このシステムコントローラにリモコン8や各給湯器10のコントローラ29を有線または無線で通信可能に接続しておくと共に、循環ポンプ7を電気的に接続しておいてもよい。そして、システムコントローラが、循環ポンプ7の動作を制御すると共に、複数の給湯器10の主従関係を割り当てたり、各給湯器10のコントローラ29に運転の指示を与えたりする構成としてもよい。この場合、「従」の給湯器10でコントローラ29が漏水有りと判定したら(
図6のSTEP46)、漏水の報知(STEP47)を、システムコントローラを介してリモコン8の表示部8bに表示して行えばよい。
【符号の説明】
【0077】
1…連結給湯システム、 2…ガス配管、 3…給水配管、
4…出湯配管、 5…給湯栓、 6…循環配管、
7…循環ポンプ、 8…リモコン、 8a…操作部、
8b…表示部、 10…給湯器、 11…燃焼室、
12…バーナ、 13…燃焼ファン、 14…元弁、
15…比例弁、 16…点火プラグ、 17…フレームロッド、
18…熱交換器、 19…排気口、 20…水量サーボ、
21…流量センサ、 22…流入側温度センサ、 23…圧力センサ、
24…流出側温度センサ、 25…湯量サーボ、 26…バイパス配管、
27…バイパスサーボ、 28…給湯温度センサ、 29…コントローラ、
30…貯湯タンク、 31…給湯循環配管、 32…給湯循環ポンプ、
40…ろ過ユニット、 41…浴槽、 42…風呂循環配管、
43…風呂循環ポンプ。