(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179407
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】撮像装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/60 20230101AFI20241219BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20241219BHJP
G03B 17/18 20210101ALI20241219BHJP
【FI】
H04N23/60 100
G03B15/00 Q
G03B17/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098239
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 玲治
【テーマコード(参考)】
2H102
5C122
【Fターム(参考)】
2H102AA71
2H102BB44
5C122EA42
5C122EA65
5C122EA69
5C122FD01
5C122FD13
5C122FH11
5C122FH14
5C122FK37
5C122FK41
5C122FL06
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB01
5C122HB05
(57)【要約】
【課題】撮像装置において、被写体の検出に関するユーザへの通知を振動により行う。
【解決手段】撮像装置20は、撮像により画像データを生成する。該撮像装置は、画像データから特定の被写体を検出する検出手段301~303と、特定の被写体を撮像に関する処理の対象として選択する選択手段304と、ユーザが認識できる振動を発生する振動手段213と、検出手段による検出結果に応じて振動手段を制御する制御手段30とを有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像により画像データを生成する撮像装置であって、
前記画像データから特定の被写体を検出する検出手段と、
前記特定の被写体を撮像に関する処理の対象として選択する選択手段と、
ユーザが認識できる振動を発生する振動手段と、
前記検出手段による検出結果に応じて前記振動手段を制御する制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記検出手段により前記特定の被写体が検出された場合と検出されなかった場合とで前記振動手段の制御を変えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記特定の被写体が検出されなかった場合には、前記特定の被写体が誤検出された場合を含むことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記特定の被写体が検出された場合は前記振動手段を振動させ、前記特定の被写体が検出されなかった場合は前記振動手段を振動させないことを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記特定の被写体が検出された場合は前記振動手段に第1の振動を発生させ、前記特定の被写体が検出されなかった場合は前記振動手段に前記第1の振動とは異なる第2の振動を発生させることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記検出手段は、特定の動きを行った被写体を前記特定の被写体として検出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記検出手段は、予め登録された被写体を前記特定の被写体として検出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像に関する処理は、前記特定の被写体に対する追尾、自動露出制御、オートフォーカスおよびオートホワイトバランス調節のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項9】
ユーザにより操作される操作部材を有し、
前記振動手段は、前記操作部材を振動させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記操作部材は、撮像を指示する操作部材であることを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記操作部材は、撮像を指示する以外の機能が割り当てられた操作部材であることを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記振動手段が振動している間での前記操作部材の操作に応じて、該操作部材に割り当てられた第1の機能に対応する動作を行うことを特徴とする請求項11に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記第1の機能は、前記選択手段による前記特定の被写体の選択の変更をキャンセルする又は指示する機能であることを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項14】
前記振動手段が振動している間での前記操作部材の操作に応じて前記第1の機能に対応する動作を行い、前記振動手段が振動していないときの前記操作部材の操作に応じて前記第1の機能とは異なる第2の機能に対応する動作を行うことを特徴とする請求項12に記載の撮像装置。
【請求項15】
前記制御手段は、選択された前記特定の被写体が変化した場合に、該変化の方向を示す振動を前記振動手段に生じさせることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項16】
撮像により画像データを生成し、ユーザが認識できる振動を発生する振動手段を有する撮像装置の制御方法であって、
前記画像データから特定の被写体を検出する検出ステップと、
前記特定の被写体を撮像に関する処理の対象として選択するステップと、
前記検出ステップでの検出結果に応じて前記振動手段を制御するステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項17】
請求項16に記載の制御方法に従う処理を、前記撮像装置のコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体検出機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の撮像装置には、特定の人物(顔)を検出して撮像対象としての主被写体として選択し、その主被写体に対するAEやAF等を行うものがある。従来の撮像装置では、背面モニタや電子ビューファインダ(EVF)に、検出した主被写体を囲む枠を画像にオーバーレイ表示することでユーザに主被写体が選択されたことを伝え、この表示を見たユーザがレリーズボタンを操作して撮像を行う。
【0003】
ただし、撮像装置の背面モニタやEVFは表示サイズがそもそも小さく、そこにオーバーレイ表示される枠をユーザが注視し続けたり、枠の位置等の変化に応じた撮像指示操作をユーザが咄嗟に行ったりすることは難しい。
【0004】
特許文献1には、カメラシステムにおいて、AFのピント方向や合焦状態を振動モータが発生する振動によりユーザに通知することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、被写体の検出に関する通知を振動を利用して行うことについては開示されていない。
【0007】
本発明は、被写体の検出に関するユーザへの通知を振動により行えるようにした撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面としての撮像装置は、撮像により画像データを生成する。該撮像装置は、画像データから特定の被写体を検出する検出手段と、特定の被写体を撮像に関する処理の対象として選択する選択手段と、ユーザが認識できる振動を発生する振動手段と、検出手段による検出結果に応じて振動手段を制御する制御手段とを有する。
【0009】
また本発明の他の一側面としての制御方法は、撮像により画像データを生成し、ユーザが認識できる振動を発生する振動手段を有する撮像装置に適用される。該制御方法は、画像データから特定の被写体を検出する検出ステップと、特定の被写体を撮像に関する処理の対象として選択するステップと、検出手段による検出結果に応じて振動手段を制御するステップとを有することを特徴とする。なお、上記制御方法に従う処理を撮像装置のコンピュータに実行させるプログラムも、本発明の他の一側面を構成する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、被写体の検出に関するユーザへの通知を振動により行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例1におけるレンズ交換式カメラシステムの構成を示すブロック図。
【
図3】実施例2における処理を示すフローチャート。
【
図5】実施例3における処理を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例0013】
実施例1では、撮像装置としてのカメラ20は、人物の特定の動き(行動)を検出して追尾することで撮像をサポートする。
【0014】
図1は、上記カメラ20を含むレンズ交換式カメラシステムの構成を示している。カメラシステムは、カメラ20と、該カメラ20に対して着脱(交換)可能なレンズユニット10とにより構成されている。レンズユニット10にはレンズユニット10全体の動作を制御するレンズ制御部106が設けられ、カメラ20にはカメラシステム全体の動作を制御するカメラ制御部30が設けられている。カメラ制御部30とレンズ制御部106は、不図示のマウントに設けられた端子を通じて相互に通信が可能である。
【0015】
レンズユニット10において、固定レンズ101、絞り102およびフォーカスレンズ103は撮像光学系を構成する。絞り102は、絞り駆動部104によって開口径が変化するように駆動され、後述する撮像素子201への入射光量を制御する。フォーカスレンズ103は、フォーカスレンズ駆動部105によって光軸方向での位置が変化するように駆動され、撮像光学系の焦点調節を行う。絞り駆動部104とフォーカスレンズ駆動部105は、レンズ制御部106によって制御される。
【0016】
レンズ操作部107は、ユーザがレンズユニット10の動作に関する設定を行うための入力デバイス群である。レンズ操作部107が操作を通じて、AF(オートフォーカス)とMF(マニュアルフォーカス)の切り替え、MFでのフォーカスレンズの位置調整、フォーカスレンズの移動範囲の設定および手振れ補正モードの設定等を行うことができる。レンズ制御部106は、これらの設定に応じた制御や処理を行う。
【0017】
また、レンズ制御部106は、カメラ制御部30から受信した制御命令や制御情報に応じて絞り駆動部104やフォーカスレンズ駆動部105を制御したり、撮像光学系の状態を示すレンズ情報をカメラ制御部30に送信したりする。
【0018】
なお、本実施例ではカメラ20がレンズ交換式である場合について説明しているが、撮像装置はレンズ一体型カメラであってもよい。
【0019】
カメラ20において、撮像素子201は、CCDセンサやCMOSセンサにより構成され、レンズユニット10の撮像光学系により形成された被写体像を光電変換(撮像)する。撮像素子201は、二次元配列された複数の画素を有し、各画素はフォトダイオードにより受光量に応じた電荷を蓄積する。各フォトダイオードに蓄積された電荷は、カメラ制御部30の指令に従ってタイミングジェネレータ214から出力される駆動パルスのタイミングで撮像信号として読み出される。このとき、撮像信号とは別にAFに使用される信号としてのAF信号も読み出される。
【0020】
CDS/AGC/ADコンバータ(以下、単にコンバータ202という)は、撮像素子201から読み出された撮像信号およびAF信号に対して、リセットノイズを除去するための相関二重サンプリング、ゲイン調節およびAD変換を行って画像データおよびAFデータを生成する。コンバータ202は、これら画像データおよびAFデータをそれぞれ、画像入力コントローラ203およびAF信号処理部204に出力する。
【0021】
画像入力コントローラ203は、コンバータ202から出力された画像データをバス21を介してSDRAM209に格納する。SDRAM209に格納された画像データは、バス21を介して表示制御部205によって読み出され、表示部206に表示される。また、画像データの記録を行う録画モードでは、SDRAM209に格納された画像データは記録媒体制御部207によって半導体メモリ等の記録媒体208に記録される。
【0022】
ROM210には、カメラ制御部30が実行するプログラムやその実行に必要な各種データ等が格納されている。フラッシュROM211には、ユーザにより設定されたカメラ20の動作に関する各種設定情報等が格納されている。
【0023】
カメラ制御部30内において、検出部A301は、画像入力コントローラ203から入力された画像データ内の人物等の被写体を検出し、その座標や特徴量を取得して記憶する。被写体を検出する方法は、ニューラルネットワークや機械学習モデルを使用した公知の方法を用いることができる。
【0024】
検出部B302は、画像入力コントローラ203から入力された画像データ内において検出部A301が検出した被写体とは別の被写体を検出し、その座標や特徴量を取得して記憶する。別の被写体を検出する方法は、検出部Aと同じである。
【0025】
行動検出部303は、画像入力コントローラ203から入力された画像データ内の人物の特定の行動を検出し、その人物の座標や特徴量を取得して記憶する。特定の行動を検出する方法にも、ニューラルネットワークや機械学習モデルを使用した公知の方法を用いることができる。検出部A301、検出部B302および行動検出部303により検出手段が構成される。
【0026】
選択手段としての追尾部304は、追尾対象(撮像に関する処理の対象)としての特定の被写体を選択してその座標を記憶するかその被写体の特徴量を抽出して記憶し、別の画像データから同じ被写体を検出してその特徴量を更新するとともにその座標を出力する。これを連続的な画像データ(フレーム画像)で繰り返し行うことにより、特定の被写体を追尾することができる。特徴量の抽出と特徴量を用いて同じ被写体を検出する方法は、公知の方法を用いることができる。
【0027】
画像処理部306 は、SDRAM209内に格納された画像データに対して所定の画像処理を実行する。所定の画像処理には、オートホワイトバランス調節処理(AWB)、色補間(デモザイク)処理、ガンマ補正処理等の現像処理や、信号形式変換処理、スケーリング処理等がある。
【0028】
制御手段としてのカメラ制御部30は、カメラ20内の各部と情報をやり取りしながら各部を制御する。またカメラ制御部30は、ユーザ操作に基づく操作部212からの入力に応じて、電源のON/OFF、ライブビュー表示のON/OFF、撮像動作、AF動作、記録画像の再生動作および各種設定の変更等の様々な処理を実行する。操作部212には、電源のON/OFFを指示する電源ボタンと、ライブビュー表示のON/OFFを指示するライブビューボタンと、AF動作や撮像動作を指示するレリーズボタン等が含まれる。
【0029】
さらにカメラ制御部30は、レンズユニット10(レンズ制御部106)に対する制御命令やカメラ20の情報を送信したり、レンズ制御部106からレンズ情報を受信したりする。カメラ制御部30は、マイクロコンピュータにより構成され、ROM210に記憶されたプログラムを実行することで、カメラシステム全体の制御を司る。
【0030】
また、カメラ20には、振動素子213が設けられている。振動素子213は、圧電素子、振動(偏心)モータおよびリニアアクチュエータ等により構成され、レリーズボタン等の操作部材にユーザが認識できる振動を生じさせる。この振動によりユーザに通知を行うことができる。カメラ制御部30は、検出部A301、検出部B302および行動検出部303による検出結果に応じて振動素子213を制御する。
【0031】
以下、カメラ制御部30がプログラムに従って実行する処理(制御方法)について説明する。
図2のフローチャートは、カメラ20にライブビュー表示および連写を実行させる処理を示している。Sはステップを意味する。ライブビュー表示動作は、ユーザに被写体の観察やフレーミング等を行わせるために、撮像素子201を通じて取得した画像データを表示部206にリアルタイムに表示させる動作である。ここでは、ユーザがレリーズボタンを操作すると撮像動作が開始され、レリーズボタンが操作し続けられている間は、連続した複数回の静止画撮像である連写が継続されるものとして説明する。また、振動素子213は、その振動の開始が指示されると、所定時間だけ振動した後に振動を終了するものとする。
【0032】
まずS201では、カメラ制御部30は、撮像素子201を通じてライブビュー表示に用いる画像データ(ライブビュー画像)を取得するための撮像を開始する。
【0033】
次にS202(検出ステップ)では、カメラ制御部30は、行動検出部303において、画像データ内の少なくとも1人の人物のうち特定の行動をとった人物を検出する。特定の行動をとった人物が存在すれば、その人物を追尾部304で追尾対象として選択し、その人物(の顔)を囲むようにライブビュー画像に重畳表示される追尾枠のデータを生成する。そしてS203の処理を行う。一方、特定の行動をとった人物が存在しなければS204の処理を行う。
【0034】
S203では、カメラ制御部30は、振動素子213を所定時間の間振動させる。これにより、レリーズボタンが振動し、その振動をユーザが感じる。そしてS204の処理を行う。
【0035】
S204では、カメラ制御部30は、現在、追尾部304にて追尾対象として選択している被写体を、追尾部304が保持している特徴量を用いて検出する。そして検出した被写体の特徴量で追尾部304が保持している特徴量を更新するとともに、検出した被写体を追尾するように追尾枠の位置を更新する。
【0036】
次にS205では、カメラ制御部30は、追尾部304が現在追尾対象として選択している被写体に対するAE(自動露出制御)、AFおよびAWBを行う。
【0037】
次にS206では、カメラ制御部30は、表示部206にライブビュー画像を表示する。そして、追尾部304が現在選択している人物を囲むように追尾枠を重畳表示させる。
【0038】
次にS207では、カメラ制御部30は、操作部212にてレリーズボタンが操作されているか否かを判定する。レリーズボタンが操作されていれば、追尾部304が現在追尾対象として選択している被写体をユーザが撮像しようとしているものとしてS211の処理を行う。レリーズボタンが操作されていなければ、S208の処理を行う。
【0039】
S208では、カメラ制御部30は、操作部212にてライブビューボタンがライブビュー表示のOFFするように操作されているか否かを判定する。ライブビューボタンがOFF操作されていれば本処理を終了し、OFF操作されていなければS201に戻ってライブビュー表示のための撮像を継続する。
【0040】
S211では、カメラ制御部30は、撮像素子201を通じた静止画撮像を行い、得られた画像データに対して前述した所定の画像処理を行い、画像処理後の画像データを記憶媒体208へ書き込む。
【0041】
次にS212では、カメラ制御部30は、S202と同様に、行動検出部303において画像データ内の少なくとも1人の人物のうち特定の行動をとった人物を検出する。特定の行動をとった人物が存在すれば、その人物を追尾部304で追尾対象として選択し、連写中のライブビュー画像に重畳表示される追尾枠のデータを生成する。そしてS213の処理を行う。一方、特定の行動をとった人物が存在しなければS214の処理を行う。
【0042】
S213では、カメラ制御部30は、S203と同様に、振動素子213を所定時間の間、振動させる。そしてS214の処理を行う。
【0043】
S214では、カメラ制御部30は、S204と同様に、現在、追尾部304にて追尾対象として選択している被写体を、追尾部304が保持している特徴量を用いて検出する。そして検出した被写体の特徴量で追尾部304が保持している特徴量を更新するとともに、検出した被写体を追尾するように追尾枠の位置に更新する。
【0044】
次にS215では、カメラ制御部30は、S205と同様に、追尾部304が現在追尾対象として選択している被写体に対するAE、AFおよびAWBを行う。
【0045】
次にS216では、カメラ制御部30は、S206と同様に、表示部206にライブビュー画像を表示する。そして、追尾部304が現在選択している人物を囲むように追尾枠を重畳表示させる。
【0046】
次にS217では、カメラ制御部30は、S207と同様に、操作部212にてレリーズボタンが操作されているか否かを判定する。レリーズボタンが操作されていればS221に戻って静止画撮像を繰り返す。レリーズボタンが操作されていなければ、S208の処理を行う。
【0047】
このように、カメラ制御部30は、ライブビュー表示中と連写中に特定の行動をとった人物を検出した場合に振動素子213に振動を発生させてユーザに通知する。
【0048】
次に、より具体的なカメラ制御部30の動作について説明する。
図4(a)~(g)は、表示部206に表示される表示画像の例を示している。ここでは、サッカー試合の画像が表示されている。
【0049】
図4(a)の表示画像401において、被写体としての人物402は、サッカーボールをドリブルするというサッカー試合に関連する行動をとっている。一方、別の被写体としての人物403は、単に立っているだけで、サッカー試合に関連する行動をとっていない。この場合、人物402が行動検出部303により特定の行動をとっている被写体として検出されて追尾部304により追尾対象として選択され、人物402の顔を囲む追尾枠404が重畳表示される。カメラ制御部30は、人物403に対して
図2のS205でAE、AFおよびAWBを行う。人物403に対する追尾枠は表示されない。
【0050】
図4(b)、(c)、(d)が、
図2のS201~S208の処理を繰り返しているライブビュー表示中の表示画像である場合について説明する。
図4(b)では、人物403が(人物402から奪った)サッカーボールを保持するというサッカー試合に関連した行動をとっている。このため、その行動が行動検出部303より特定の行動として検出され、人物403が追尾部304により追尾対象として選択され、人物403の顔を囲む追尾枠404が重畳表示される。この状態の撮像をユーザが狙っているものとする。
【0051】
ここで、
図4(b)の状態から
図4(c)の状態に遷移した場合について説明する。
図4(c)では、追尾部304が左上の木を人物403と間違って追尾対象として選択して誤追尾した例を示している。この結果、追尾枠404が木を囲むように表示されている。この際、追尾部304は行動検出部303の検出結果に基づいて木を選択したわけではないので、
図2のS202からS203に進んで振動素子213が振動することはない。振動が発生していないので、ユーザはそのまま
図4(c)の状態の撮像を狙い続けることになる。
【0052】
一方、
図4(b)の状態から
図4(d)の状態に遷移した場合について説明する。
図4(d)では、人物402が人物403から再びサッカーボールを奪ってドリブルをするというサッカー試合に関連する行動をとっている。この行動は行動検出部303により特定の行動として検出され、人物402が追尾部304により追尾対象として選択される。その結果、
図2のS202からS203へ進んで振動素子213がレリーズボタンを振動させる。レリーズボタンの振動を感じた(通知を受けた)ユーザは、この状態が撮像すべき状態であると判断してレリーズボタンを操作する。これにより、
図2のS211での静止画撮像が行われる。
【0053】
従来のカメラでは、ユーザは行動検出の結果に基づく被写体の追尾と誤追尾とを見分けるために、表示画像を注視しながら撮像すべき状態となるのを監視し続ける必要がある。これに対して本実施例のカメラ20では、撮像すべき状態となったことが振動によりユーザにより通知されるので、ユーザは表示画像を注視しなくても撮像すべき状態になったことを知ることができる。この結果、撮像すべき状態を見落とすことなく撮像することができる。
【0054】
次に、
図4(b)、(c)、(d)が、
図2のS211~S217の処理を繰り返している連写中の表示画像である場合について説明する。
【0055】
先に説明したように、
図4(b)では、人物403がサッカーボールを保持するというサッカー試合に関連した行動をとっているため、行動検出部303よりその行動が特定の行動として検出されて人物403が追尾部304により追尾対象として選択される。そして、人物403の顔を囲む追尾枠404が重畳表示される。カメラ制御部30は、人物403に対して
図2のS215でAE、AFおよびAWBを行う。ユーザは、人物403に対する連写を行っている。
【0056】
連写中に
図4(b)の状態から
図4(c)の状態に遷移した場合について説明する。
図4(c)では、先に説明したように追尾部304が左上の木を人物403と追尾対象として誤選択(誤検出)して誤追尾している。この結果、追尾枠404が木を囲む位置に移動する。この際、追尾部304は行動検出部303の検出結果に基づいて木を選択したわけではないので、
図2のS212からS213に進んで振動素子213が振動することはない。追尾枠404が人物403から他に移動したにもかかわらず振動が発生していないので、ユーザは間違った被写体の撮像が行われようとしていることを知り、レリーズボタンの操作を解除して連写を中断する。
【0057】
一方、連写中に
図4(b)の状態から
図4(d)の状態に遷移した場合について説明する。
図4(d)では、先に説明したように、人物402が人物403から再びサッカーボールを奪ってドリブルをするというサッカー試合に関連する行動をとっている。この行動は行動検出部303により特定の行動として検出され、人物402が追尾部304により追尾対象として選択される。これにより、追尾枠404が人物403から人物402に移動する。また、
図2のS212からS213へ進んで振動素子213がレリーズボタンを振動させる。レリーズボタンの振動を感じたユーザは、追尾枠404が移動したが振動により新たな撮像すべき被写体が選択されたことを知り、レリーズボタンを操作し続けて連写を継続する。
【0058】
従来のカメラでは、先に説明したようにユーザは行動検出の結果に基づく被写体の追尾と誤追尾とを見分けるために、表示画像を注視しながら撮像すべき状態となるのを監視し続ける必要がある。これに対して本実施例のカメラ20では、表示画像を注視しなくても、振動により撮像すべき被写体が追尾され続けていることを知ることができる。この結果、ユーザは誤った被写体を撮像する心配なく正しい被写体に対する連写を継続することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施例によれば、人物の特定の行動に基づいて追尾対象の被写体が選択されたか追尾対象として誤選択されたかを振動によってユーザが知ることができ、撮像を開始したり連写を続行したりする判断を容易に行うことができる。この際、撮像を指示するレリーズボタンが振動するので、ユーザはカメラ20に対して容易に撮像を指示することができる。
次に実施例2について説明する。実施例2では、カメラ20が特定の被写体を検出して追尾し、撮像をサポートする。この際、特定の被写体は、人物でもよいし、動物、乗り物および物体等の人物以外の被写体でもよい。本実施例のカメラ20の構成は、実施例1と同じである。
検出部B302は、第2の被写体を検出する。ここでは、第2の被写体をサッカーボールとする。検出部Bが検出する第2の被写体は、操作部212を通じてユーザが選択することができる。検出部B302が検出するサッカーボールがユーザにより撮像前に登録されるため、撮像すべき特定の被写体(追尾対象)としてサッカーボールを検出部A301により検出される人物より優先して追尾部304に設定される。
次にS302(検出ステップ)では、カメラ制御部30は、検出部A301による人物の検出を行う。ここで人物が検出された場合において追尾部304がサッカーボールを選択していなければ、追尾部304は検出された人物を選択する。
次にS303(検出ステップ)では、カメラ制御部30は、検出部B302により予め設定(登録)されたサッカーボールの検出を行う。サッカーボールが検出された場合は、追尾部304は検出されたサッカーボールを追尾対象として選択する。
次にS304では、カメラ制御部30は、S303にてサッカーボールが検出されたか否かを判定し、検出された場合はS305の処理を行い、検出されなかった場合はS306の処理を行う。
S305では、カメラ制御部30は、振動素子213を所定時間の間振動させる。これにより、レリーズボタンが振動し、その振動をユーザが感じる。そしてS306の処理を行う。
S306では、カメラ制御部30は、追尾部304が現在追尾対象として選択している被写体(人物またはサッカーボール)を、追尾部304が保持している特徴量を用いて検出する。そして検出した被写体の特徴量で追尾部304が保持している特徴量を更新するとともに、検出した被写体を追尾するように追尾枠の位置を更新する。
次にS309では、カメラ制御部30は、操作部212にてレリーズボタンが操作されているか否かを判定する。レリーズボタンが操作されていれば、追尾部304が現在選択している被写体をユーザが撮像しようとしているものとしてS310の処理を行う。レリーズボタンが操作されていなければ、S311の処理を行う。
S310では、カメラ制御部30は、撮像素子201を通じた静止画撮像を行い、得られた画像データに対して前述した所定の画像処理を行い、画像処理後の画像データを記憶媒体208へ書き込む。そしてS311の処理を行う。
S311では、カメラ制御部30は、操作部212にてライブビューボタンがライブビュー表示のOFFするように操作されているか否かを判定する。ライブビューボタンがOFF操作されていれば本処理を終了し、OFF操作されていなければS301に戻ってライブビュー表示のための撮像を継続する。
従来のカメラでは、表示画像を注視しながらサッカーボールが撮像範囲内に入るのを監視し続ける必要がある。これに対して本実施例のカメラ20では、サッカーボールが撮像範囲内に入ったことが振動によりユーザにより通知されるので、ユーザは表示画像を注視しなくてもサッカーボールを含むシーンを見落とすことなく撮像することができる。
以上説明したように、本実施例によれば、予め登録した被写体が撮像可能な状態になったこと振動によってユーザが知ることができ、その被写体を含むシーンの静止画撮像を容易に行うことができる。