(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179409
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】画像形成システム、画像形成方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
B41J 29/393 20060101AFI20241219BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20241219BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241219BHJP
G06F 3/12 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B41J29/393 105
B41J29/42 F
G03G21/00 390
G06F3/12 322
G06F3/12 338
G06F3/12 343
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098246
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 義之
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ06
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061CQ34
2C061CQ41
2C061KK13
2C061KK28
2C061KK35
2H270LB01
2H270LC10
2H270LC17
2H270LC18
2H270LC19
2H270LD03
2H270LD09
2H270NB01
2H270NB11
2H270NB17
2H270NC07
2H270NC08
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZD04
(57)【要約】
【課題】ヤレ紙を破棄する際の情報流出を防止することが可能な画像形成システム、画像形成方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】用紙に画像を形成する画像形成部23と、画像形成部23による画像形成を制御する第1制御部(制御部211)と、画像が形成された用紙を読み取る画像読取部32と、印刷データに基づいて生成される期待画像が形成された用紙が読み取られて得られた第1読取画像に基づいて異常の有無を判定する第1判定部(制御部211)と、異常があると判定された場合に、異常がないと判定された用紙の排出先である第1の排出先(排紙トレイT40)とは異なる第2の排出先(パージトレイT41)に用紙を排出させる第2制御部(制御部211)と、を備える。第1制御部は、第2の排出先に排出された後、給紙トレイに再セットされた用紙に対し、画像の読み取りが不可能な状態となるように、追い刷り画像を形成させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部による画像形成を制御する第1制御部と、
前記画像形成部により前記画像が形成された用紙を読み取る画像読取部と、
印刷データに基づいて生成される期待画像が形成された用紙が前記画像読取部により読み取られて得られた第1読取画像に基づいて異常の有無を判定する第1判定部と、
前記第1判定部により前記異常があると判定された場合に、前記異常がないと判定された用紙の排出先である第1の排出先とは異なる排出先である第2の排出先に前記用紙を排出させる第2制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、前記第2の排出先に排出された後、給紙トレイに再セットされた用紙に対し、前記画像の読み取りが不可能な状態となるように、前記画像形成部を制御して追い刷り画像を形成させることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記第2の排出先への排出枚数をカウントする第1カウント部と、
前記画像形成部により追い刷り画像が形成された用紙が前記画像読取部により読み取られて得られた第2読取画像に基づいて、前記読み取りが不可能な状態であるか否かを判定する第2判定部と、
前記追い刷り画像が形成された用紙の枚数である追い刷り枚数をカウントする第2カウント部と、
前記第1カウント部によりカウントされた前記排出枚数と前記第2カウント部によりカウントされた前記追い刷り枚数とが一致した場合に、前記異常があると判定された用紙が破棄されたことを通知する通知部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1判定部により前記異常があると判定された用紙の前記用紙を一意に識別するための情報である識別情報を取得する第1取得部と、
前記画像形成部により追い刷り画像が形成された用紙が前記画像読取部により読み取られて得られた第2読取画像に基づいて、前記読み取りが不可能な状態であるか否かを判定する第2判定部と、
前記第2読取画像に基づいて、前記第2判定部により前記読み取りが不可能な状態であると判定された用紙に印字された前記識別情報を取得する第2取得部と、
前記第1取得部により取得された識別情報と前記第2取得部により取得された識別情報とが一致した場合に、前記異常があると判定された用紙が破棄されたことを通知する通知部と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記画像形成部により前記用紙に前記画像を形成させる際、前記識別情報を併せて印字させ、
前記第1取得部は、前記第1判定部により前記異常があると判定された用紙に印字された前記識別情報を取得することを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記画像読取部と前記第2の排出先との間に配置され、前記第1判定部により前記異常があると判定された用紙に前記識別情報を印字する印字部を備え、
前記第1取得部は、前記印字部により前記異常があると判定された用紙に印字させた前記識別情報を取得することを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記識別情報は、文字列からなることを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記識別情報は、前記文字列をバーコード化したものであることを特徴とする請求項6に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記識別情報は、断裁後に捨てられる領域に付与されることを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記第1判定部は、印刷データに基づいて生成される期待画像と、前記第1読取画像と、に基づいて前記異常の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記第1判定部は、
印刷データに基づいて生成される期待画像と、前記第1読取画像と、に基づいて前記異常の有無を判定し、
前記異常の有無を判定する際、前記識別情報が付与される領域を除いて、前記異常の有無を判定することを特徴とする請求項4に記載の画像形成システム。
【請求項11】
前記通知部は、前記異常があると判定された用紙に印字された前記識別情報と、前記異常があると判定された用紙の破棄状況と、を列挙して通知することを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項12】
前記画像形成部により追い刷り画像を形成させるか否かを選択することが可能な操作部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項13】
前記追い刷り画像の種類を選択することが可能な操作部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項14】
前記画像形成部により前記追い刷り画像を形成させない領域を設定することが可能な操作部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項15】
用紙に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により前記画像が形成された用紙を読み取る画像読取部と、を備える画像形成システムの画像形成方法であって、
印刷データに基づいて生成される期待画像が形成された用紙が前記画像読取部により読み取られて得られた第1読取画像に基づいて異常の有無を判定する異常判定工程と、
前記異常判定工程で前記異常があると判定された場合に、前記異常がないと判定された用紙の排出先である第1の排出先とは異なる排出先である第2の排出先に前記用紙を排出させる排出制御工程と、
前記第2の排出先に排出された後、給紙トレイに再セットされた用紙に対し、前記画像の読み取りが不可能な状態となるように、前記画像形成部を制御して追い刷り画像を形成させる画像形成工程と、
を含む画像形成方法。
【請求項16】
用紙に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により前記画像が形成された用紙を読み取る画像読取部と、を備える画像形成システムのコンピュータを、
前記画像形成部による画像形成を制御する第1制御部、
印刷データに基づいて生成される期待画像が形成された用紙が前記画像読取部により読み取られて得られた第1読取画像に基づいて異常の有無を判定する第1判定部、
前記第1判定部により前記異常があると判定された場合に、前記異常がないと判定された用紙の排出先である第1の排出先とは異なる排出先である第2の排出先に前記用紙を排出させる第2制御部、
として機能させ、
前記第1制御部は、前記第2の排出先に排出された後、給紙トレイに再セットされた用紙に対し、前記画像の読み取りが不可能な状態となるように、前記画像形成部を制御して追い刷り画像を形成させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成装置の後段に、画像が形成された用紙を読み取る読取部が設けられた構成が知られている。上記の構成では、読み取った画像データと印刷物を生成するための元の画像データとを比較して、印刷物上の画像における異常の有無が判定される。
【0003】
異常がある印刷物(ヤレ紙)は、異常がない印刷物と混在しないようにする必要がある。そこで、異常がある印刷物を、異常がない印刷物とは異なる排紙先にパージする構成が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の構成は、ヤレ紙をパージするだけの構成であり、パージされたヤレ紙からの情報流出を防止するものではなかった。したがって、特許文献1記載の構成は、パージされたヤレ紙を破棄する際に、破棄方法に問題があると、情報が流出するおそれがある。
【0006】
本発明は、ヤレ紙を破棄する際の情報流出を防止することが可能な画像形成システム、画像形成方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
画像形成システムにおいて、
用紙に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部による画像形成を制御する第1制御部と、
前記画像形成部により前記画像が形成された用紙を読み取る画像読取部と、
印刷データに基づいて生成される期待画像が形成された用紙が前記画像読取部により読み取られて得られた第1読取画像に基づいて異常の有無を判定する第1判定部と、
前記第1判定部により前記異常があると判定された場合に、前記異常がないと判定された用紙の排出先である第1の排出先とは異なる排出先である第2の排出先に前記用紙を排出させる第2制御部と、
を備え、
前記第1制御部は、前記第2の排出先に排出された後、給紙トレイに再セットされた用紙に対し、前記画像の読み取りが不可能な状態となるように、前記画像形成部を制御して追い刷り画像を形成させることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記第2の排出先への排出枚数をカウントする第1カウント部と、
前記画像形成部により追い刷り画像が形成された用紙が前記画像読取部により読み取られて得られた第2読取画像に基づいて、前記読み取りが不可能な状態であるか否かを判定する第2判定部と、
前記追い刷り画像が形成された用紙の枚数である追い刷り枚数をカウントする第2カウント部と、
前記第1カウント部によりカウントされた前記排出枚数と前記第2カウント部によりカウントされた前記追い刷り枚数とが一致した場合に、前記異常があると判定された用紙が破棄されたことを通知する通知部と、
を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記第1判定部により前記異常があると判定された用紙の前記用紙を一意に識別するための情報である識別情報を取得する第1取得部と、
前記画像形成部により追い刷り画像が形成された用紙が前記画像読取部により読み取られて得られた第2読取画像に基づいて、前記読み取りが不可能な状態であるか否かを判定する第2判定部と、
前記第2読取画像に基づいて、前記第2判定部により前記読み取りが不可能な状態であると判定された用紙に印字された前記識別情報を取得する第2取得部と、
前記第1取得部により取得された識別情報と前記第2取得部により取得された識別情報とが一致した場合に、前記異常があると判定された用紙が破棄されたことを通知する通知部と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成システムにおいて、
前記第1制御部は、前記画像形成部により前記用紙に前記画像を形成させる際、前記識別情報を併せて印字させ、
前記第1取得部は、前記第1判定部により前記異常があると判定された用紙に印字された前記識別情報を取得することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成システムにおいて、
前記画像読取部と前記第2の排出先との間に配置され、前記第1判定部により前記異常があると判定された用紙に前記識別情報を印字する印字部を備え、
前記第1取得部は、前記印字部により前記異常があると判定された用紙に印字させた前記識別情報を取得することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成システムにおいて、
前記識別情報は、文字列からなることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像形成システムにおいて、
前記識別情報は、前記文字列をバーコード化したものであることを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成システムにおいて、
前記識別情報は、断裁後に捨てられる領域に付与されることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記第1判定部は、印刷データに基づいて生成される期待画像と、前記第1読取画像と、に基づいて前記異常の有無を判定することを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項4に記載の画像形成システムにおいて、
前記第1判定部は、
印刷データに基づいて生成される期待画像と、前記第1読取画像と、に基づいて前記異常の有無を判定し、
前記異常の有無を判定する際、前記識別情報が付与される領域を除いて、前記異常の有無を判定することを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項3に記載の画像形成システムにおいて、
前記通知部は、前記異常があると判定された用紙に印字された前記識別情報と、前記異常があると判定された用紙の破棄状況と、を列挙して通知することを特徴とする。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記画像形成部により追い刷り画像を形成させるか否かを選択することが可能な操作部を備えることを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記追い刷り画像の種類を選択することが可能な操作部を備えることを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成システムにおいて、
前記画像形成部により前記追い刷り画像を形成させない領域を設定することが可能な操作部を備えることを特徴とする。
【0021】
請求項15に記載の発明は、
用紙に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により前記画像が形成された用紙を読み取る画像読取部と、を備える画像形成システムの画像形成方法であって、
印刷データに基づいて生成される期待画像が形成された用紙が前記画像読取部により読み取られて得られた第1読取画像に基づいて異常の有無を判定する異常判定工程と、
前記異常判定工程で前記異常があると判定された場合に、前記異常がないと判定された用紙の排出先である第1の排出先とは異なる排出先である第2の排出先に前記用紙を排出させる排出制御工程と、
前記第2の排出先に排出された後、給紙トレイに再セットされた用紙に対し、前記画像の読み取りが不可能な状態となるように、前記画像形成部を制御して追い刷り画像を形成させる画像形成工程と、
を含む。
【0022】
請求項16に記載の発明は、
用紙に画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により前記画像が形成された用紙を読み取る画像読取部と、を備える画像形成システムのコンピュータを、
前記画像形成部による画像形成を制御する第1制御部、
印刷データに基づいて生成される期待画像が形成された用紙が前記画像読取部により読み取られて得られた第1読取画像に基づいて異常の有無を判定する第1判定部、
前記第1判定部により前記異常があると判定された場合に、前記異常がないと判定された用紙の排出先である第1の排出先とは異なる排出先である第2の排出先に前記用紙を排出させる第2制御部、
として機能させ、
前記第1制御部は、前記第2の排出先に排出された後、給紙トレイに再セットされた用紙に対し、前記画像の読み取りが不可能な状態となるように、前記画像形成部を制御して追い刷り画像を形成させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ヤレ紙を破棄する際の情報流出を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示す図である。
【
図2】本実施形態に係る画像形成システムの制御構造を示す機能ブロック図である。
【
図4】プリント対象の印刷データの一例を示す図である。
【
図5】プリント対象の印刷データに、印字領域及び識別情報領域が設定された様子の一例を示す図である。
【
図7】
図6の状況から、異常ありの用紙に追い刷り画像を印字した後の印字結果画面の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る画像形成システムの制御の一例を示すフローチャートである。
【
図9】用紙に期待画像が正常に印字された様子の一例を示す図である。
【
図10】異常があると判定された用紙に通し番号が印字された様子の一例を示す図である。
【
図11】本実施形態に係る画像形成システムの制御の一例を示すフローチャートである。
【
図12】異常があると判定された用紙に追い刷り画像が印字された様子の一例を示す図である。
【
図13】
図4の印刷データとは異なる印刷データの一例を示す図である。
【
図14】
図13の印刷データに、印字領域及び識別情報領域が設定された様子の一例を示す図である。
【
図15】
図13の印刷データに基づく画像が形成された用紙の印字領域に追い刷り画像が印字された様子の一例を示す図である。
【
図16】変形例1に係る画像形成システムの制御の一例を示すフローチャートである。
【
図17】用紙に期待画像及び通し番号が正常に印字された様子の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0026】
本実施形態に係る画像形成システム1は、
図1及び
図2に示すように、PC10と、画像形成装置20と、画像読取装置30と、排紙装置40と、を備える。画像形成システム1を構成する各装置は、通信ネットワークNに接続される。通信ネットワークNは、具体的には、インターネットや電気通信事業者等の電話回線網や携帯電話通信網等である。
【0027】
PC10は、画像形成システム1を導入した組織の社員(ユーザー)が使用する、デスクトップPCやノートPC等の端末装置である。PC10は、画像形成装置20を用いて用紙に画像を形成させるプリントジョブ(以下、単にジョブと称することもある)を管理する。PC10は、
図2に示すように、制御部11と、操作部12と、表示部13と、記憶部14と、通信部15と、を備える。
【0028】
制御部11は、CPU、ROM、RAMなどを備える。制御部11は、RAMの作業領域に展開されたプログラムデータとCPUとの協働により、PC10の各部の動作を統括的に制御する。プログラムデータは、ROMや記憶部14に記憶されている。制御部11は、例えば、印刷管理システムを実行する。
制御部11は、印刷管理システムを実行することにより、表示部13に印刷設定画面、ジョブ一覧画面、追い刷り設定画面、印字結果画面などを表示させる。制御部11は、表示部13に表示された各種画面における操作部12を介したユーザー操作を受け付けて、印刷設定や追い刷り設定などを行う。制御部11は、プリント対象の印刷データに対して、各種設定を行う。各種設定が行われたプリント対象の印刷データは、通信部15を介して画像形成装置20のプリントコントローラー21に送信される。
制御部11は、印刷管理システムを実行することにより、ジョブの管理、印刷指示、印刷結果の取得などを行う。印刷指示は、画像形成装置20のプリントコントローラー21に対して行う。印刷結果は、画像読取部32による読取画像における印字異常の有無の判定結果である。
【0029】
図3に、印刷設定画面G1の一例を示す。
印刷設定画面G1には、ドキュメントD1、プリンターD2、印字異常チェックD3、部数D4の各項目が設けられている。ドキュメントD1は、プリント対象の印刷データを選択するための項目である。プリンターD2は、印刷を実行するプリンターを選択するための項目である。印字異常チェックD3は、印字異常のチェックを行うか否かを選択するための項目である。印字異常チェックD3は、「しない」、「する(破棄時に番号付与)」、「する(全部番号付与)」の選択肢を有する。破棄時に番号付与は、異常があると判定された用紙に通し番号を付与する制御である。全部番号付与は、全ての用紙に通し番号を付与する制御である。部数D4は、印刷する部数を選択するための項目である。
印刷設定画面G1には、印字設定領域D5が設けられている。印字設定領域D5は、印字領域E1及び識別情報領域E2を設定するための領域である。印字領域E1は、印刷データに基づく画像が印字される領域である。印字領域E1は、領域内に印字された画像に異常がある場合に、追い刷りで塗りつぶされる領域である。識別情報領域E2は、用紙の識別情報が印字される領域である。識別情報は、用紙を一意に識別するための情報である。本実施形態では、識別情報として、通し番号が用いられる。
【0030】
制御部11は、印刷設定画面G1における設定内容に基づいて、プリント対象の印刷データに対し、印字領域E1及び識別情報領域E2を設定する。
図4に、プリント対象の印刷データの一例を示す。
図5に、プリント対象の印刷データに、印字領域E1及び識別情報領域E2が設定された様子の一例を示す。本発明において、印字領域E1は、当該印字領域E1を塗りつぶして印字領域E1内の画像を読み取り不能にすることを目的として設定される。
【0031】
図6に、印字結果画面G2の一例を示す。
印字結果画面G2には、印字結果表示領域D6及び異常詳細表示領域D7が設けられている。印字結果表示領域D6には、印字結果(正常/異常あり)とその枚数、及び異常ありの用紙の破棄状況が表示される。異常詳細表示領域D7には、異常ありの用紙の通し番号及び破棄状況が表示される。なお、本発明において、破棄とは、画像の読み取りが不可能な状態のことを示している。
図6に示す例では、印字結果表示領域D6に、「正常」が「1000」枚、「異常あり」が「3」枚と表示されている。異常ありの3枚の用紙の破棄状況は、「破棄済」が「0」枚、「未破棄」が「3」枚と表示されている。異常詳細表示領域D7に、通し番号が「116500」、「116515」、「116601」の用紙の破棄状況がそれぞれ「未破棄」と表示されている。
印字結果画面G2には、破棄ボタンD8が設けられている。ユーザーは、操作部12を介して破棄ボタンD8を押下することで、異常ありの用紙に追い刷り画像を印字する破棄モードへと遷移させることができる。すなわち、操作部12は、画像形成部23により追い刷り画像を形成させるか否かを選択することが可能である。ユーザーは、破棄ボタンD8を押下しないことで、異常ありの用紙をそのまま保管することを選択することもできる。
【0032】
図7に、
図6の状況から、異常ありの用紙に追い刷り画像を印字した後の印字結果画面G2の一例を示す。
図7に示す例では、印字結果表示領域D6に、「正常」が「1000」枚、「異常あり」が「3」枚と表示されている。異常ありの3枚の用紙の破棄状況は、「破棄済」が「3」枚、「未破棄」が「0」枚と表示されている。異常詳細表示領域D7に、通し番号が「116500」、「116515」、「116601」の用紙の破棄状況がそれぞれ「破棄済」と表示されている。すなわち、「未破棄」の用紙が無事に破棄されたことが示されている。
【0033】
操作部12は、例えば、文字入力キー、数字入力キーなどを有するキーボード、マウス等のポインティングデバイスなどを備える。操作部12は、ユーザーからの操作入力を受け付けて、操作入力に応じた操作信号を制御部11へと出力する。
【0034】
表示部13は、例えば、LCDなどのディスプレイを備え、制御部11から出力された表示制御信号に基づいた画像を表示画面に表示する。表示部13は、例えば、印刷管理システムに係る各種画面(印刷設定画面、ジョブ一覧画面、追い刷り設定画面など)を表示する。
【0035】
記憶部14は、例えば、HDD、半導体メモリなどにより構成される。記憶部14は、プログラムデータや各種設定データ等のデータを制御部11から読み書き可能に記憶する。
【0036】
通信部15は、通信用IC及び通信コネクタなどを有する通信インターフェイスである。通信部15は、制御部11の制御の下、所定の通信プロトコルを用いて通信ネットワークNを介したデータ通信を行う。
【0037】
画像形成装置20は、PC10から送信されたプリント対象の印刷データに基づいて用紙に画像を形成して出力する。画像形成装置20は、プリントコントローラー21と、操作パネル22と、画像形成部23と、を備える。画像形成装置20は、プリントコントローラー21の通信部214を介して、PC10と相互に情報の送受信が可能に接続されている。
【0038】
プリントコントローラー21は、PC10から画像形成装置20に送信される印刷データの管理及び制御を行うものである。プリントコントローラー21は、PC10から送信されたプリント対象の印刷データに所定の画像処理を施して、画像形成部23へと出力する。プリントコントローラー21は、制御部211と、記憶部212と、画像処理部213と、通信部214と、を備える。
【0039】
制御部211は、CPU、ROM、RAMなどを備え、画像形成装置20の各部の動作を統括的に制御する。制御部211は、通信部214を介してPC10から送信される印刷データを画像形成部23に出力する。
制御部211は、操作パネル22の表示部221に各種画面を表示させる。制御部11は、表示部221に表示された各種画面における操作パネル22の操作部222を介したユーザー操作を受け付けて、各種設定を行う。
制御部211は、ジョブの管理や画像形成部23に対する印刷指示を行うことで、画像形成部23による画像形成を制御する。すなわち、制御部211は、本発明の第1制御部として機能する。制御部211は、画像読取装置30の画像読取部32を制御して、画像形成部23により画像が形成された用紙を読み取らせる。制御部211は、期待画像と、画像読取部32による第1読取画像と、を比較して、読取画像における印字異常の有無を判定する。
【0040】
記憶部212は、例えば、HDD、半導体メモリなどにより構成される。記憶部212は、プログラムデータや各種設定データ等のデータを制御部211から読み書き可能に記憶する。
【0041】
画像処理部213は、PC10から送信された印刷データにラスタライズ(RIP)処理を施して、CMYK各色の印刷データを生成する。以下、RIP処理が施された印刷データに基づいて生成される画像を期待画像と称する。期待画像は、PC10から送信された印刷データに基づいて生成される画像であってもよい。RIP処理が施された印刷データは、画像形成部23の像形成ユニット232に出力される。
【0042】
通信部214は、PC10から通信ネットワークNを介してプリント対象の印刷データを受信する通信インターフェイスである。
【0043】
操作パネル22は、ユーザーに対して各種情報を表示する表示部221と、ユーザーによる操作入力を受け付ける操作部222と、を備える。
表示部221は、カラー液晶ディスプレイなどで構成される。表示部221は、制御部211から入力される表示制御信号に従って、操作画面等(各種設定画面、各種ボタン、各機能の動作状況等)を表示する。
操作部222は、表示部221の画面上に設けられるタッチパネルと、表示部221の画面周囲に配置される各種ハードキーと、を備える。操作部222は、画面上に表示されたボタンが手指やタッチペン等で押下された場合、まず、押下された位置の座標を電圧値で検出する。次に、操作部222は、検出された位置に対応付けられた操作信号を制御部211に出力する。なお、タッチパネルは感圧式に限らず、例えば静電式や光式等であってもよい。操作部222は、ハードキーが押下された場合、押下されたキーに対応付けられた操作信号を制御部211に出力する。
【0044】
画像形成部23は、CMYK各色の印刷データに基づいて用紙に画像を形成する。
画像形成部23は、中間転写ベルト231と、像形成ユニット232と、転写部233と、定着部234と、を備える。
【0045】
中間転写ベルト231は、複数のローラーに懸架され回転可能に支持された半導電性エンドレスベルトであり、ローラーの回転に伴って回転駆動される。
【0046】
像形成ユニット232は、中間転写ベルト231に沿って配置され、中間転写ベルト231上にトナー像を形成する。像形成ユニット232は、画像処理部213から出力された印刷データの各画素の4色の画素値に応じて、C、M、Y及びK各色のトナー像を形成する。
【0047】
転写部233は、二次転写ローラー等により形成されたニップ部を有し、用紙にトナー像(画像)を転写する。
【0048】
定着部234は、定着ローラーにより用紙を加熱及び加圧して、トナー像を用紙に熱定着させる。
【0049】
画像形成部23は、像形成ユニット232により中間転写ベルト231上にCMYK各色のトナー像を重畳してフルカラーのトナー像を形成する。画像形成部23は、転写部233により、中間転写ベルト231上に形成されたトナー像を、内蔵する給紙トレイT20から搬送された用紙に転写する。画像形成部23は、定着部234により、用紙上に形成されたトナー像を熱定着させる。
【0050】
画像読取装置30は、画像形成装置20の後段に接続され、制御部31と、画像読取部32と、画像処理部33と、を備える。
【0051】
制御部31は、CPU、ROM、RAMなどを備え、画像読取装置30の各部の動作を統括的に制御する。
【0052】
画像読取部32は、例えば、リニアイメージセンサー(例えばCCDラインセンサー等)、光学系、光源等を備える。画像読取部32は、画像形成部23により画像が形成された用紙を読み取って、得られた読取画像を画像処理部33に出力する。画像読取部32で読み取られた用紙は、排紙装置40に搬送される。
【0053】
画像処理部33は、画像読取部32から入力されるアナログ画像データに各種処理を施した後、RGBのデジタル画像データを生成する。各種処理は、例えば、アナログ処理、A/D変換処理、シェーディング処理等である。以下、画像処理部33で生成されたデジタル画像データに基づく画像を読取画像と称する。なお、本発明では、画像データそのものを、単に画像と称することもある。また、画像を画像データと称することもある。画像処理部33で生成された画像データは、プリントコントローラー21の制御部211に出力される。
【0054】
排紙装置40は、画像読取装置30の後段に接続され、制御部41と、搬送部42と、印字部43と、を備える。
【0055】
制御部41は、CPU、ROM、RAMなどを備え、排紙装置40の各部の動作を統括的に制御する。
【0056】
搬送部42は、複数のローラー対により構成され、画像読取装置30から搬送された用紙を排紙トレイT40又はパージトレイT41に排出する。搬送部42は、排紙トレイT40へとつながる搬送経路R1から分岐してパージトレイT41へとつながるパージ経路R2を含んで構成される。搬送部42は、画像読取部32で用紙を読み取って得られた読取画像に異常がない場合、当該用紙を排紙トレイT40に排出する。すなわち、排紙トレイT40は、異常がないと判定された用紙の排出先である本発明の第1の排出先として機能する。搬送部42は、画像読取部32で用紙を読み取って得られた読取画像に異常がある場合、当該用紙をパージトレイT41に排出(パージ)する。すなわち、パージトレイT41は、異常があると判定された用紙の排出先である本発明の第2の排出先として機能する。
【0057】
印字部43は、パージ経路R2をパージトレイT41へと搬送される用紙の識別情報領域E2(
図5参照)に識別情報(通し番号)を印字する。印字部43は、用紙がパージトレイT41に排出される直前の位置に配置される。なお、印字部43は、画像読取部32とパージトレイT41との間であれば、いかなる位置に配置されてもよい。
【0058】
次に、本実施形態に係る画像形成システム1の制御について、
図8及び
図11のフローチャートを参照して説明する。
図8の制御は、期待画像が形成された用紙を読み取って得た読取画像に異常がある場合に、当該用紙をパージトレイT41に排出させる制御である。
図8の制御は、プリントコントローラー21の制御部211が、PC10からプリント対象の印刷データを受信したことを契機として開始される。なお、制御部211は、制御部31を介して画像読取装置30を制御する。また、制御部211は、制御部41を介して排紙装置40を制御する。
【0059】
まず、制御部211は、プリント対象の印刷データにRIP処理を施した後、期待画像を生成する(ステップS101)。
【0060】
次に、制御部211は、画像形成部23を制御して、期待画像を用紙に形成(印刷)させる(ステップS102)。印刷後の用紙は、画像読取装置30に搬送される。
図9に、用紙Pに期待画像が正常に印字された様子の一例を示す。
【0061】
次に、制御部211は、期待画像が形成された用紙が画像読取部32により読み取られて得られた第1読取画像を取得する(ステップS103)。画像読取部32により読み取られた用紙は、排紙装置40に搬送される。
【0062】
次に、制御部211は、ステップS101で生成した期待画像とステップS103で取得した第1読取画像を比較する(ステップS104)。
【0063】
次に、制御部211は、期待画像と第1読取画像を比較した結果、異常があるか否かを判定する(ステップS105)。すなわち、制御部211は、第1読取画像に基づいて異常の有無を判定する本発明の第1判定部として機能する。
制御部211は、異常があると判定した場合(ステップS105:YES)、次のステップS106へと移行する。
一方、制御部211は、異常がないと判定した場合(ステップS105:NO)、ステップS109へと移行する。
【0064】
ステップS106において、制御部211は、搬送部42を制御して、異常があると判定された用紙をパージ経路R2に搬送させる。パージ経路R2に搬送された用紙は、パージトレイT41に排出される。すなわち、制御部211は、異常があると判定された場合に、排紙トレイT40とは異なる排出先であるパージトレイT41に用紙を排出させる本発明の第2制御部として機能する。
【0065】
次に、制御部211は、印字部43を制御して、パージ経路R2を搬送される用紙の識別情報領域E2(
図5参照)に通し番号を印字させる(ステップS107)。
図10に、異常F1があると判定された用紙Pに通し番号F2が印字された様子の一例を示す。
【0066】
次に、制御部211は、用紙に印字させた通し番号を取得し、当該通し番号を異常ありとして記録する(ステップS108)。すなわち、制御部211は、異常があると判定された用紙の通し番号(識別情報)を取得する本発明の第1取得部として機能する。その後、制御部211は、ステップS111へと移行する。記録された情報は、印字結果画面G2に反映される(
図6参照)。印字結果画面G2では、異常があると判定された用紙の枚数と通し番号が表示される。
【0067】
ステップS109において、制御部211は、搬送部42を制御して、異常がないと判定された用紙を搬送経路R1に搬送させる。搬送経路R1に搬送された用紙は、排紙トレイT40に排出される。
【0068】
次に、制御部211は、正常印字として記録する(ステップS110)。記録された情報は、印字結果画面G2に反映される(
図6参照)。印字結果画面G2では、正常印字として記録された用紙の枚数が表示される。
【0069】
次に、制御部211は、全てのページが印刷されたか否かを判定する(ステップS111)。
制御部211は、全てのページが印刷されたと判定した場合(ステップS111:YES)、そのまま処理を終了する。
一方、制御部211は、全てのページが印刷されていないと判定した場合(ステップS111:NO)、ステップS102へと移行する。その後、ステップS102以降の処理を繰り返す。
【0070】
上記のように、異常があると判定された用紙は、通し番号が印字されてパージトレイT41に排出される。
一方、異常がないと判定された用紙は、通し番号が印字されずにそのまま排紙トレイT40に排出される。
【0071】
図11の制御は、パージトレイT41に排出された用紙に対して追い刷り画像を印刷し、当該用紙の通し番号を破棄済として記録する制御である。パージトレイT41に排出された用紙は、異常があると判定された用紙である。
図11の動作は、制御部211が、パージトレイT41に排出された用紙が給紙トレイT20に再セットされたことを検知したことを契機として開始される。
【0072】
まず、制御部211は、追い刷り画像を生成する(ステップS201)。追い刷り画像は、給紙トレイT20に再セットされた用紙に形成された画像の読み取りが不可能な状態となるようにするための画像である。画像の読み取りが不可能な状態とは、ユーザーが画像(印字内容)を読み取ることができない状態である。追い刷り画像は、例えば、ベタ塗り、ランダム文字重ねなどである。
【0073】
次に、制御部211は、画像形成部23を制御して、給紙トレイT20に再セットされた用紙に追い刷り画像を形成(印刷)させる(ステップS202)。追い刷り画像は、用紙の印字領域E1(
図5参照)に形成(印字)される。印刷後の用紙は、画像読取装置30に搬送される。
図12に、異常があると判定された用紙Pに追い刷り画像F3が印字された様子の一例を示す。
図12に示す例では、異常があると判定された用紙(ページ)Pの印字領域が、追い刷り画像F3で塗りつぶされている。これにより、印字領域内の画像の読み取りが不可能な状態(破棄状態)となっている。
【0074】
次に、制御部211は、追い刷り画像が形成された用紙が画像読取部32により読み取られて得られた第2読取画像を取得する(ステップS203)。画像読取部32により読み取られた用紙は、排紙装置40に搬送される。
【0075】
次に、制御部211は、第2読取画像に基づいて、読み取りが不可能な状態であるか否かを判定する(ステップS204)。すなわち、制御部211は、本発明の第2判定部として機能する。
制御部211は、読み取りが不可能な状態であると判定した場合(ステップS204:YES)、次のステップS205へと移行する。
一方、制御部211は、読み取りが不可能な状態でないと判定した場合(ステップS204:NO)、ステップS207へと移行する。
【0076】
ステップS205において、制御部211は、第2読取画像に基づいて、読み取りが不可能な状態であると判定された用紙に印字された通し番号を取得する。すなわち、制御部211は、本発明の第2取得部として機能する。
【0077】
次に、制御部211は、取得した通し番号を破棄済として記録する(ステップS206)。その後、制御部211は、ステップS208へと移行する。記録された情報は、印字結果画面G2に反映される(
図7参照)。印字結果画面G2では、取得した通し番号の破棄状況が「未破棄」から「破棄済」に変更される。
【0078】
ステップS207において、制御部211は、搬送部42を制御して、読み取りが不可能な状態でないと判定された用紙をパージ経路R2に搬送させる。パージ経路R2に搬送された用紙は、パージトレイT41に排出される。その後、給紙トレイT20に再セットされた用紙の破棄がエラーになったことを通知するようにしてもよい。
【0079】
次に、制御部211は、給紙トレイT20に再セットされた全ての用紙に追い刷り画像が印刷されたか否かを判定する(ステップS208)。
制御部211は、全ての用紙に追い刷り画像が印刷されたと判定した場合(ステップS208:YES)、そのまま処理を終了する。
一方、制御部211は、全ての用紙に追い刷り画像が印刷されていないと判定した場合(ステップS208:NO)、ステップS202へと移行する。その後、ステップS202以降の処理を繰り返す。
【0080】
図11の制御の後、制御部211は、ステップS108で取得された識別情報とステップS205で取得された識別情報とが一致した場合に、異常があると判定された用紙が破棄されたことを通知する。用紙が破棄されるとは、用紙に形成された画像の読み取りが不可能な状態となることである。すなわち、制御部211は、本発明の通知部として機能する。例えば、制御部211は、印字結果画面G2(
図7参照)を表示部13に表示させることで、異常があると判定された用紙が破棄されたことを通知する。具体的には、制御部211は、異常があると判定された用紙に印字された識別情報と、異常があると判定された用紙の破棄状況と、を列挙して通知する。印字結果画面G2において、異常があると判定された用紙の破棄状況を「破棄済」とすることで、当該用紙が破棄されたことを通知することができる。
【0081】
次に、
図13~
図15を用いて、
図4の印刷データとは異なる印刷データを印字した場合の一例を説明する。
図13に、
図4の印刷データとは異なる印刷データの一例を示す。
図13には、予め下地画像を印刷済みのはがきに対して宛先(期待画像)F4を印字する印刷データの一例が示されている。
図14に、
図13の印刷データに、印字領域E1及び識別情報領域E2が設定された様子の一例を示す。
図14に示す例では、宛先F4を印字する領域のみが印字領域E1として設定されている。すなわち、宛先F4を印字する領域のみが、追い刷り画像により塗りつぶされることとなる。これにより、郵便局で書き損じの交換を有効にすることができる。
図15に、
図13の印刷データに基づく画像が形成された用紙Pの印字領域に追い刷り画像F3が印字された様子の一例を示す。
図15に示す例では、
図13の印刷データに基づく画像が形成された用紙Pの印字領域のみが、追い刷り画像F3で塗りつぶされている。これにより、印字領域内の画像の読み取りが不可能な状態(破棄状態)となっている。
【0082】
以上のように、本実施形態に係る画像形成システム1は、画像形成部23と、第1制御部(制御部211)と、画像読取部32と、第1判定部(制御部211)と、第2制御部(制御部211)と、を備える。第1判定部は、期待画像が形成された用紙が画像読取部32により読み取られて得られた第1読取画像に基づいて異常の有無を判定する。第2制御部は、異常があると判定された場合に、第1の排出先(排紙トレイT40)とは異なる第2の排出先(パージトレイT41)に用紙を排出させる。第1制御部は、第2の排出先に排出された後、給紙トレイに再セットされた用紙に対し、画像の読み取りが不可能な状態となるように、画像形成部23を制御して追い刷り画像を形成させる。
したがって、本実施形態に係る画像形成システム1によれば、異常があると判定された用紙(ヤレ紙)の画像を読み取り不可能とすることができる。これにより、ヤレ紙を破棄する際の情報流出を防止することができる。
【0083】
また、第1取得部(制御部211)と、第2判定部(制御部211)と、第2取得部(制御部211)と、通知部(制御部211)と、印字部43と、を備える。第1取得部は、印字部43により異常があると判定された用紙に印字させた識別情報を取得する。第2判定部は、追い刷り画像が形成された用紙が読み取られて得られた第2読取画像に基づいて、読み取りが不可能な状態であるか否かを判定する。第2取得部は、第2読取画像に基づいて、第2判定部により読み取りが不可能な状態であると判定された用紙に印字された識別情報を取得する。通知部は、第1取得部により取得された識別情報と第2取得部により取得された識別情報とが一致した場合に、異常があると判定された用紙が破棄されたことを通知する。印字部43は、画像読取部32と第2の排出先との間に配置され、第1判定部により異常があると判定された用紙に識別情報を印字する。
したがって、ヤレ紙の画像を読み取り不可能としたことをユーザーに通知することができる。これにより、ヤレ紙の画像を読み取り不可能としたことをエビデンスとして残すことができる。
【0084】
また、第1判定部は、印刷データに基づいて生成される期待画像と、第1読取画像と、に基づいて異常の有無を判定する。
したがって、容易かつ迅速に期待画像が形成された用紙の異常の有無を判定することができる。これにより、画像検査に係る生産性を向上させることができる。
【0085】
また、通知部は、異常があると判定された用紙に印字された識別情報と、異常があると判定された用紙の破棄状況と、を列挙して通知する。
したがって、ヤレ紙の破棄状況を正確にユーザーに通知することができる。これにより、ヤレ紙の破棄状況を正確にエビデンスとして残すことができる。
【0086】
また、画像形成部23により追い刷り画像を形成させるか否かを選択することが可能な操作部12を備える。
したがって、ユーザーは、追い刷り画像を形成させないことで、ヤレ紙をそのまま保管することを選択することができる。すなわち、ユーザーの要望に応じてヤレ紙を処分することができる。
【0087】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0088】
(変形例1)
例えば、上記実施形態では、異常があると判定された用紙(ページ)のみに通し番号を印字するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、全ての用紙に通し番号を印字するようにしてもよい。なお、変形例1において、通し番号は、後に断裁でカットする予定の領域(断裁後に捨てられる領域)に付与される。
【0089】
以下、変形例1に係る画像形成システム1の制御について、
図16のフローチャートを参照して説明する。
図16の制御は、期待画像が形成された用紙を読み取って得た読取画像に異常がある場合に、当該用紙をパージトレイT41に排出させる制御である。
図16の制御は、制御部211が、PC10からプリント対象の印刷データを受信したことを契機として開始される。
【0090】
まず、制御部211は、プリント対象の印刷データにRIP処理を施した後、期待画像を生成する(ステップS301)。
【0091】
次に、制御部211は、画像形成部23を制御して、期待画像及び通し番号を用紙に形成(印刷)させる(ステップS302)。印刷後の用紙は、画像読取装置30に搬送される。
図17に、用紙Pに期待画像及び通し番号F2が正常に印字された様子の一例を示す。
【0092】
次に、制御部211は、期待画像が形成された用紙が画像読取部32により読み取られて得られた第1読取画像を取得する(ステップS303)。画像読取部32により読み取られた用紙は、排紙装置40に搬送される。
【0093】
次に、制御部211は、ステップS301で生成した期待画像とステップS303で取得した第1読取画像を比較する(ステップS304)。
【0094】
次に、制御部211は、期待画像と第1読取画像を比較した結果、異常があるか否かを判定する(ステップS305)。制御部211は、異常の有無を判定する際、識別情報が付与される領域を除いて、異常の有無を判定する。これは、期待画像には識別情報が付与されていないため、第1読取画像と比較したときに識別情報を異常と見做すことを避けるためである。
制御部211は、異常があると判定した場合(ステップS305:YES)、次のステップS306へと移行する。
一方、制御部211は、異常がないと判定した場合(ステップS305:NO)、ステップS309へと移行する。
【0095】
ステップS306において、制御部211は、第1読取画像に基づいて、異常があると判定された用紙に印字された通し番号を取得する。
【0096】
次に、制御部211は、搬送部42を制御して、異常があると判定された用紙をパージ経路R2に搬送させる(ステップS307)。パージ経路R2に搬送された用紙は、パージトレイT41に排出される。
【0097】
次に、制御部211は、ステップS306で取得した通し番号を異常ありとして記録する(ステップS308)。その後、制御部211は、ステップS311へと移行する。記録された情報は、印字結果画面G2に反映される(
図6参照)。
【0098】
ステップS309において、制御部211は、搬送部42を制御して、異常がないと判定された用紙を搬送経路R1に搬送させる。搬送経路R1に搬送された用紙は、排紙トレイT40に排出される。
【0099】
次に、制御部211は、正常印字として記録する(ステップS310)。記録された情報は、印字結果画面G2に反映される(
図6参照)。
【0100】
次に、制御部211は、全てのページが印刷されたか否かを判定する(ステップS311)。
制御部211は、全てのページが印刷されたと判定した場合(ステップS311:YES)、そのまま処理を終了する。
一方、制御部211は、全てのページが印刷されていないと判定した場合(ステップS311:NO)、ステップS302へと移行する。その後、ステップS302以降の処理を繰り返す。
【0101】
上記のように、異常があるかないかにかかわらず、全ての用紙に通し番号が印字される。異常があると判定された用紙は、パージトレイT41に排出される。一方、異常がないと判定された用紙は、排紙トレイT40に排出される。
異常がないと判定された用紙は、通し番号が付与された領域が後に断裁でカットされる。
なお、異常があると判定された用紙に追い刷り画像を印刷し、通し番号を破棄済として記録する制御は、実施形態と同様であるので、説明を省略する。
また、異常があると判定された用紙が破棄されたことを通知する制御も、実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0102】
以上のように、変形例1においても、識別情報が一致した場合に破棄されたことを通知することができる。
したがって、ヤレ紙の画像を読み取り不可能としたことをユーザーに通知することができる。これにより、ヤレ紙の画像を読み取り不可能としたことをエビデンスとして残すことができる。
【0103】
また、識別情報は、断裁後に捨てられる領域に付与される。
したがって、異常がないと判定された用紙に付与された識別情報を断裁後に捨てることができる。これにより、正常な印刷物には不要な識別情報を、印刷物から排除することができる。
【0104】
また、第1判定部は、異常の有無を判定する際、識別情報が付与される領域を除いて、異常の有無を判定する。
したがって、期待画像に付与されていない識別情報を、異常と誤認することを抑制することができる。これにより、異常の有無を精度よく判定することができる。
【0105】
また、変形例1では、異常がないと判定された用紙の通し番号が付与された領域を断裁する必要がある。したがって、搬送経路R1上に断裁部を設けるようにしてもよい。これにより、通し番号が付与された領域を断裁した用紙を排紙トレイT40に排出することができる。
【0106】
(その他の変形例)
また、上記実施形態及び変形例1では、識別情報が一致した場合に破棄されたことを通知するようにしているがこれに限定されるものではない。例えば、パージトレイT41への排出枚数と追い刷り枚数とが一致した場合に、破棄されたことを通知するようにしてもよい。
この場合、まず、制御部211は、パージトレイT41への排出枚数をカウントする。パージトレイT41への排出枚数は、異常があると判定されてパージトレイT41に排出された用紙の枚数である。すなわち、制御部211は、本発明の第1カウント部として機能する。
次に、制御部211は、画像形成部23により追い刷り画像が形成された用紙が画像読取部32により読み取られて得られた第2読取画像に基づいて、読み取りが不可能な状態であるか否かを判定する。
次に、制御部211は、追い刷り画像が形成された用紙の枚数である追い刷り枚数をカウントする。すなわち、制御部211は、本発明の第2カウント部として機能する。
次に、制御部211は、カウントされた排出枚数とカウントされた追い刷り枚数とが一致した場合に、異常があると判定された用紙が破棄されたことを通知する。
【0107】
以上のように、排出枚数と追い刷り枚数とが一致した場合に、異常があると判定された用紙が破棄されたことを通知する。
したがって、ヤレ紙の画像を読み取り不可能としたことをユーザーに通知することができる。これにより、ヤレ紙の画像を読み取り不可能としたことをエビデンスとして残すことができる。
【0108】
また、上記実施形態では、識別情報として、通し番号を例示して説明しているが、これに限定されるものではない。例えば、識別情報は、数字、アルファベットなどの文字列からなるものであってもよい。また、識別情報は、文字列をバーコード化したものであってもよい。
【0109】
また、操作部12が、追い刷りの種類を選択することができるようにしてもよい。例えば、印刷設定画面G1において、追い刷り種類の項目を設けるようにし、ベタ塗り、ランダム文字重ねなどの選択肢から選択可能な構成としてもよい。この場合、ユーザーは、印刷設定画面G1において、操作部12を介して追い刷りの種類を選択することができる。
【0110】
また、操作部12が、画像形成部23により追い刷り画像を形成させない領域を設定することができるようにしてもよい。例えば、印刷設定画面G1において、印字領域E1とは別に、追い刷り画像形成領域を設定可能な構成としてもよい。この場合、ユーザーは、印刷設定画面G1において、操作部12を介して追い刷り画像形成領域を設定することができる。
以上のように、画像形成部23により追い刷り画像を形成させない領域を設定することが可能な操作部12を備える。
したがって、例えば、はがきに宛名(宛先)を印字する場合に、全体塗りではなく宛名部分のみ塗りつぶすことができる。これにより、情報流出を防止しつつ、郵便局で返金又は交換処理を行うことができる。
【0111】
その他、画像形成システムを構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0112】
1 画像形成システム
10 PC
11 制御部
12 操作部
13 表示部
14 記憶部
15 通信部
20 画像形成装置
21 プリントコントローラー
211 制御部(第1制御部、第1判定部、第2制御部、第1取得部、第2判定部、第2取得部、通知部、第1カウント部、第2カウント部)
212 記憶部
213 画像処理部
214 通信部
22 操作パネル
221 表示部
222 操作部
23 画像形成部
231 中間転写ベルト
232 像形成ユニット
233 転写部
234 定着部
30 画像読取装置
31 制御部
32 画像読取部
33 画像処理部
40 排紙装置
41 制御部
42 搬送部
43 印字部
G1 印刷設定画面
G2 印字結果画面
N 通信ネットワーク
T20 給紙トレイ
T40 排紙トレイ(第1の排出先)
T41 パージトレイ(第2の排出先)