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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179410
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B41J2/165 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098247
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(72)【発明者】
【氏名】乾 靖隆
(72)【発明者】
【氏名】川又 脩平
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056FA13
2C056HA29
2C056JA01
2C056JA06
2C056JB04
2C056JB07
2C056JB08
2C056JB10
(57)【要約】
【課題】ブレードのスライド終了位置における廃液の飛散を防止することを目的とする。
【解決手段】インクジェット記録装置は、インクジェットヘッド12のノズル面12Fに先端部を押し当てられた状態でノズル面12Fに沿う所定の進行方向Dにスライドするブレード82と、ブレード82のスライド終了位置に設けられ、ブレード82から放たれた廃液Wを受け止める受け止め部材84と、を備える。
【選択図】図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドのノズル面に先端部を押し当てられた状態で前記ノズル面に沿う所定の進行方向にスライドするブレードと、
前記ブレードのスライド終了位置に設けられ、前記ブレードから放たれた廃液を受け止める受け止め部材と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記受け止め部材は、前記進行方向前側で前記ブレードに対向する正面部を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記受け止め部材は、前記スライド終了位置に位置する前記ブレードの上方と側方との少なくとも一方を包囲する包囲部を備えることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記受け止め部材から落下する廃液を受け止める受け皿を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記受け止め部材は、下側が開放されていることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
シートを搬送する搬送路に対して前記インクジェットヘッドを相対的に昇降させる昇降機構と、
前記昇降機構により相対的に上昇した前記インクジェットヘッドの下方であるメンテナンス位置と、前記メンテナンス位置の側方であるホーム位置と、に前記受け皿をスライドさせるワイプスライド機構と、を備え、
前記受け止め部材は、前記受け皿に支持され、
画像形成を実行する場合には、前記ワイプスライド機構が前記受け皿を前記ホーム位置に退避させることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置においては、画像形成ジョブが実行されていない期間にインクジェットヘッドのノズル内のインクから水分が蒸発し、インクの粘度上昇によってノズルが目詰まりすることが考えられる。そこで、目詰まりの予防を目的としてノズル内のインクをキャップに吐出させるパージ処理が行われる。しかし、ノズル面に残留したインクを放置すると、画像形成ジョブの実行中にシートにインクが落下したり、ノズル面にインクが固着したりするという問題がある。そこで、ノズル面に残留したインクを除去する技術が検討されている。例えば、特許文献1では、ノズル面に接触するブレードを所定方向にスライドさせることによってノズル面からインクを除去する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-108711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された構成では、ブレードをノズル面に接触させてスライドさせるときにブレードが撓むが、スライド終了時にブレードがノズル面の端部を超えてブレードの撓みが復元するときに、ブレードに付着していた廃液が周囲に飛散するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事情を考慮し、ブレードのスライド終了位置における廃液の飛散を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係るインクジェット記録装置は、インクジェットヘッドのノズル面に先端部を押し当てられた状態で前記ノズル面に沿う所定の進行方向にスライドするブレードと、前記ブレードのスライド終了位置に設けられ、前記ブレードから放たれた廃液を受け止める受け止め部材と、を備える。
【0007】
前記受け止め部材は、前記進行方向前側で前記ブレードに対向する正面部を備えていてもよい。
【0008】
前記受け止め部材は、前記スライド終了位置に位置する前記ブレードの上方と側方との少なくとも一方を包囲する包囲部を備えていてもよい。
【0009】
前記インクジェット記録装置は、前記受け止め部材から落下する廃液を受け止める受け皿を備えていてもよい。
【0010】
前記受け止め部材は、下側が開放されていてもよい。
【0011】
前記インクジェット記録装置は、シートを搬送する搬送路に対して前記インクジェットヘッドを相対的に昇降させる昇降機構と、前記昇降機構により相対的に上昇した前記インクジェットヘッドの下方であるメンテナンス位置と、前記メンテナンス位置の側方であるホーム位置と、に前記受け皿をスライドさせるワイプスライド機構と、を備え、前記受け止め部材は、前記受け皿に支持され、画像形成を実行する場合には、前記ワイプスライド機構が前記受け皿を前記ホーム位置に退避させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ブレードのスライド終了位置における廃液の飛散を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の内部を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る作像ユニットを示す平面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る作像ユニットを示す断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るインク供給路を模式的に示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るインクジェットヘッドを示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係るメンテナンス装置を示す斜視図である。
図7】本発明の一実施形態に係るキャップユニットを右方にスライドさせた様子を示す斜視図である。
図8】本発明の一実施形態に係るワイプユニットとキャップユニットを右方にスライドさせた様子を示す斜視図である。
図9】本発明の一実施形態に係るワイプユニットを示す斜視図である。
図10】本発明の一実施形態に係るワイプユニットを示す斜視図である。
図11】本発明の一実施形態に係るブレードユニットを示す斜視図である。
図12】本発明の一実施形態に係るブレードユニットの断面を示す斜視図である。
図13】本発明の一実施形態に係る突出部材を示す斜視図である。
図14】本発明の一実施形態に係る突出部材を示す斜視図である。
図15】本発明の一実施形態に係るメンテナンス装置とヘッドユニットの動作を示す断面図である。
図16】本発明の一実施形態に係るメンテナンス装置とヘッドユニットの動作を示す断面図である。
図17】本発明の一実施形態に係るメンテナンス装置とヘッドユニットの動作を示す断面図である。
図18】本発明の一実施形態に係るメンテナンス装置とヘッドユニットの動作を示す断面図である。
図19】本発明の一実施形態に係るメンテナンス装置とヘッドユニットの動作を示す断面図である。
図20】本発明の一実施形態に係るメンテナンス装置とヘッドユニットの動作を示す断面図である。
図21】本発明の一実施形態に係るブレードユニットの動作を模式的に示す側面図である。
図22】本発明の一実施形態に係るブレードユニットの動作を模式的に示す側面図である。
図23】本発明の一実施形態に係るブレードユニットの動作を模式的に示す側面図である。
図24】本発明の一実施形態に係るブレードユニットの動作を模式的に示す側面図である。
図25】本発明の一実施形態に係るブレードユニットの動作を模式的に示す側面図である。
図26】本発明の一実施形態に係る受け止め部材を示す斜視図である。
図27】本発明の一実施形態に係る受け止め部材を示す斜視図である。
図28】本発明の一実施形態に係る固定部材、ブレード、ホルダーを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置1について説明する。
【0015】
最初に、インクジェット記録装置1の全体の構成について説明する。図1は、インクジェット記録装置1の内部を模式的に示す正面図である。図2は、作像ユニット6を示す平面図である。図3は、作像ユニット6を示す断面図である。図4は、インク供給路60を模式的に示す図である。図5は、インクジェットヘッド12を示す断面図である。以下、図1における紙面手前側をインクジェット記録装置1の正面側(前側)とし、左右の向きはインクジェット記録装置1を正面側から見た方向を基準として説明する。各図において、U、Lo、L、R、Fr、Rrは、それぞれ上、下、左、右、前、後を示す。
【0016】
インクジェット記録装置1(図1参照)は、直方体状の本体ハウジング3を備える。本体ハウジング3内の下部には、普通紙、コート紙等の枚葉のシートSが収容される給紙カセット4と、給紙カセット4からシートSを送り出す給紙ローラー5が設けられている。給紙カセット4の上方には、シートSを吸着してY方向に搬送する搬送ユニット7が設けられている。搬送ユニット7の上方には、インクを吐出して画像を形成する作像ユニット6が設けられている。本体ハウジング3内の左上部には、画像が形成されたシートSを排出する排出ローラー8と、排出されたシートSが積載される排出トレイ9が設けられている。
【0017】
本体ハウジング3の内部には、給紙ローラー5から搬送ユニット7と作像ユニット6との間隙を経て排出ローラー8に至る搬送路10が設けられている。搬送路10は、シートSを通過させる間隙を空けて互いに対向する板状部材を主体として形成されている。搬送路10には、シートSを挟持して搬送する搬送ローラー17が設けられている。作像ユニット6よりも搬送方向Y上流側には、レジストローラー18が設けられている。
【0018】
搬送ユニット7は、無端の搬送ベルト21と、支持板23と、吸引部24と、を備える。搬送ベルト21は、多数の通気孔(図示省略)を有し、駆動ローラー25と従動ローラー22に巻き掛けられている。支持板23は、多数の通気孔を有し、上面が搬送ベルト21の内面に接触している。吸引部24は、支持板23の通気孔と搬送ベルト21の通気孔を介して空気を吸引することでシートSを搬送ベルト21に吸着させる。モーターと減速ギアとを含む駆動部(図示省略)により駆動ローラー25が反時計回り方向に駆動されることで搬送ベルト21が反時計回り方向に回転し、搬送ベルト21に吸着されたシートSがY方向に搬送される。
【0019】
作像ユニット6(図2、3参照)は、ヘッドユニット11Y、11Bk、11C、11M(ヘッドユニット11と総称する)を備える。ヘッドユニット11は、1つ以上のインクジェットヘッド12(図5参照)、例えば、千鳥に配置された3つのインクジェットヘッド12を備える。ヘッドユニット11Y、11Bk、11C、11Mには、それぞれイエロー、ブラック、シアン、マゼンタのインクが充填されたインクコンテナ20Y、20Bk、20C、20M(インクコンテナ20と総称する)がインク供給路60(図4参照)を介して接続されている。
【0020】
図4では、1色のインクに対応するインク供給路60が図示されているが、本実施形態では4色のインクを用いるため、実際には4系統のインク供給路60が設けられている。インクジェット記録装置1は、インクコンテナ20が装着されるコンテナ装着部61と、インクを濾過するフィルター62と、インクコンテナ20からフィルター62を介してインクを吸引するポンプ63と、ポンプ63から送り出されたインクを貯留し、インクジェットヘッド12にインクを供給するサブタンク64と、メンテナンス装置30から排出された廃液を貯留する廃液タンク69と、を備えている。なお、図4では、1つのインクジェットヘッド12が図示されているが、実際には1つのヘッドユニット11に属する3つのインクジェットヘッド12が1つのサブタンク64に接続されている。
【0021】
インクジェットヘッド12(図5参照)は、前後方向を長手方向とする直方体状の筐体12Hと、筐体12Hの底部に設けられたノズルプレート12Pと、を備える。ノズルプレート12Pは、前後方向に並ぶ多数のノズル12Nと、サブタンク64からの配管が接続されるソケット12Sと、を備えている。ノズル12Nは、ソケット12Sの下流側から分岐した分岐流路12Bと、ノズルプレート12Pの下面であるノズル面12Fに設けられた吐出口12Aと、を含む。振動板12Vは、分岐流路12Bの内壁の一部を兼ねている。振動板12Vには加圧素子12Zが設けられている。加圧素子12Zとしては、圧電素子、静電アクチュエータ、ヒーター等が用いられる。加圧素子12Zには、加圧素子12Zを駆動する駆動回路12Dが接続されている。
【0022】
インクジェットヘッド12は、実際には、サブタンク64よりも上方に配置されている。サブタンク64内の液面は、ノズル面12Fよりも若干低くなるように調整される。液面とノズル面12Fとの水頭差により、ノズル12N内のインクに負圧が作用し、ノズル12N内にメニスカスが形成される。インクジェットヘッド12からインクが吐出された後、インクの表面張力がメニスカスの表面積を減らすように働き、それによって生じる負圧によって、サブタンク64からインクジェットヘッド12に、減った分のインクが引き込まれる。
【0023】
制御部2(図1参照)は、演算部と記憶部とを備える(図示省略)。演算部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。記憶部は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)等の記憶媒体を含む。演算部は、記憶部に記憶されている制御プログラムを読み出して実行することで各種処理を実施する。なお、制御部2は、ソフトウェアを用いない集積回路によって実現されてもよい。
【0024】
本体ハウジング3の上部には、表示操作部19が設けられている(図1参照)。表示操作部19は、表示パネルと、表示パネルに積層されたタッチパネルと、キーパッドと、を備える(図示省略)。制御部2は、インクジェット記録装置1の操作メニューやステータス等を表す画面を表示パネルに表示させ、タッチパネル及びキーパッドで検知された操作に応じてインクジェット記録装置1の各部を制御する。
【0025】
インクジェット記録装置1の基本的な画像形成動作は、次のとおりである。表示操作部19や外部のコンピューター等からインクジェット記録装置1に画像形成ジョブが入力されると、給紙ローラー5が給紙カセット4から搬送路10にシートSを送り出し、回転が停止されたレジストローラー18がシートSの斜行を補正する。レジストローラー18が所定のタイミングで搬送ユニット7にシートSを送り出すと、搬送ユニット7が搬送ベルト21にシートSを吸着してY方向に搬送する。駆動回路12Dは、シートSの搬送と同期させて画像データに対応する吐出信号を加圧素子12Zに供給する。こうしてノズル12Nからインクが吐出され、シートSに画像が形成される。排出ローラー8は、画像が形成されたシートSを排出トレイ9に排出する。
【0026】
[メンテナンス装置]
次に、メンテナンス装置30の構成について説明する。図6は、メンテナンス装置30を示す斜視図である。図7は、キャップユニット70を右方にスライドさせた様子を示す斜視図である。図8は、ワイプユニット80とキャップユニット70を右方にスライドさせた様子を示す斜視図である。
【0027】
メンテナンス装置30は、ヘッドユニット11毎に、各ヘッドユニット11の左隣り(搬送方向Y下流側)に設けられている(図2、3参照)。なお、各ヘッドユニット11の右隣り(搬送方向Y上流側)にメンテナンス装置30が設けられていてもよい。
【0028】
メンテナンス装置30は、ノズル面12Fに装着されるキャップ72を備えたキャップユニット70と、ノズル面12Fに残留したインクを除去するブレード82を備えたワイプユニット80と、キャップユニット70とワイプユニット80を収容するハウジング31と、を備える。ハウジング31は、前後方向を長手方向とする直方体状に形成され、右側に開口部が設けられている。メンテナンス装置30は、キャップユニット70を左右方向にスライドさせるキャップスライド機構32と、ワイプユニット80を左右方向にスライドさせるワイプスライド機構33と、を備える。キャップスライド機構32、ワイプスライド機構33は、例えば、ベルト駆動、ラックアンドピニオン、送りねじ等で構成される。
【0029】
[キャップユニット]
キャップユニット70(図7参照)は、フレーム71と、フレーム71の上方に設けられたキャップ72と、を備える。フレーム71は、前後方向を長手方向とする長方形に形成されている。フレーム71には、インクジェットヘッド12と同数のキャップ72がインクジェットヘッド12と同様に千鳥に配置されている。キャップ72は、上方に開口している。キャップ72は、1つのインクジェットヘッド12のノズル面12Fにおけるノズル12Nが設けられた領域を包囲する大きさを有する。
【0030】
[ワイプユニット]
ワイプユニット80(図8参照)は、フレーム81と、フレーム81に設けられたキャリッジ83と、キャリッジ83に設けられたブレード82と、キャリッジ83を前後方向にスライドさせるキャリッジスライド機構(図示省略)と、を備える。フレーム81は、前後方向を長手方向とする長方形に形成されている。キャリッジ83には、インクジェットヘッド12と同数のブレード82がインクジェットヘッド12と同様に千鳥に配置されている。フレーム81には、廃液タンク69につながる配管(図示省略)が接続されている。キャリッジスライド機構は、例えば、ベルト駆動、ラックアンドピニオン、送りねじ等で構成される。
【0031】
[昇降機構]
インクジェット記録装置1は、ヘッドユニット11を昇降させる昇降機構11L(図2参照)を備えている。昇降機構11Lは、例えば、ベルト駆動、ラックアンドピニオン、送りねじ等で構成される。昇降機構11Lは、画像形成を行う場合の画像形成位置と、画像形成位置よりも上方の退避位置と、の間でヘッドユニット11を昇降させる。画像形成位置においては、搬送ベルト21とノズル面12Fとの間隔が所定距離となるようにヘッドユニット11が位置決めされる。退避位置においては、搬送ベルト21とノズル面12Fとの間にキャップユニット70及びワイプユニット80を移動させることが可能な空間が形成される。
【0032】
[洗浄液供給部]
インクジェットヘッド12は、ノズル面12Fに洗浄液を供給する洗浄液供給部13(図4、5参照)を備えている。洗浄液供給部13は、洗浄液タンク13Tと、接続部材13Cと、を備える。洗浄液タンク13Tには、水を主成分とする洗浄液が貯留されている。接続部材13Cは、ノズルプレート12Pの後方に設けられている。接続部材13Cには、洗浄液タンク13Tからの配管が接続されている。接続部材13Cの底部には、洗浄液供給口13Aが設けられている。洗浄液タンク13T内の液面は、接続部材13Cの底面よりも若干高くなるように調整される。洗浄液供給口13A内に正圧が発生し、下方に膨らんだ凸形のメニスカスが形成される。
【0033】
次に、ワイプユニット80について詳細に説明する。図9、10は、ワイプユニット80を示す斜視図である。図11は、ブレードユニット90を示す斜視図である。図12は、ワイプユニット80の断面を示す斜視図である。図13は、突出部材91とブレード82を示す斜視図である。図14は、突出部材91を示す斜視図である。図26、27は、受け止め部材84を示す斜視図である。図28は、固定部材94、ブレード82、ホルダー92を示す斜視図である。
【0034】
本実施形態に係るインクジェット記録装置1は、インクジェットヘッド12のノズル面12Fに先端部を押し当てられた状態でノズル面12Fに沿う所定の進行方向Dにスライドするブレード82と、ブレード82のスライド終了位置に設けられ、ブレード82から放たれた廃液Wを受け止める受け止め部材84と、を備える。具体的には、以下のとおりである。
【0035】
ワイプユニット80(図9、10参照)は、複数(本実施形態では、3つ)のブレードユニット90と、フレーム81と、キャリッジ83と、を備える。ブレードユニット90(図11、12参照)は、ブレード82と、突出部材91と、ホルダー92と、付勢部材93と、を備える。
【0036】
[ブレード]
ブレード82(図11乃至13参照)は、樹脂等で形成された可撓性を有する矩形の板状の部材である。ブレード82は、前後方向を厚み方向として、若干後傾した姿勢でホルダー92に保持されている。ブレード82の左右方向の幅は、ノズル面12F上でノズル12Nが設けられた領域の左右方向の幅以上である。ブレード82の上部には、上端部に近くなるほど厚みが薄くなるテーパーが付けられている。
【0037】
[突出部材]
突出部材91(図11乃至14参照)は、ブレード82と一体化されている。突出部材91は、ブレード82に平行な基部91Bと、基部91Bの上端部から後方に屈曲した第1屈曲部911と、第1屈曲部911の後端部から上方に屈曲した第2屈曲部912と、第2屈曲部912よりも後傾した後傾部91Sと、後傾部91Sの上端部から上方に突出した突出部91Pと、を備える。基部91Bの左右方向の幅は、ブレード82の幅に等しい。基部91Bの上下方向の長さは、ブレード82の上下方向の長さの2分の1程度である。基部91Bは、ブレード82の後面の下部に接合されている。基部91Bには、左右方向を軸方向とする軸91Hが設けられている(図13、14参照)。第1屈曲部911と第2屈曲部912の左右方向の幅は、基部91Bの幅に等しい。
【0038】
後傾部91Sの左右方向の幅は、ブレード82の幅よりも広い。突出部91Pは、後傾部91Sの上端部の左右両端部に設けられている。また、突出部91Pは、左右方向においてブレード82の外側に設けられている。換言すれば、突出部91Pは、左右方向において、ノズル面12F上でノズル12Nが設けられた領域の外側に設けられている。突出部91Pは、後傾部91Sと等しい傾斜角で後傾している。第1屈曲部911の左右方向の中央部には、下方に貫通した貫通孔91Aが設けられている。ブレード82の後面に沿って流れ落ちた廃液W(インクiと洗浄液Fの混合物)の少なくとも一部は、貫通孔91Aを通って下方に排出される。
【0039】
[固定部材]
固定部材94(図11、28参照)は、ブレード82を突出部材91に固定する。ブレード82は、突出部材91の前側に配置され、固定部材94は、ブレード82の前側に配置される。ブレード82の下部が突出部材91の基部91Bと固定部材94とで挟み込まれる。突出部材91の基部91Bの前面には、左右の2箇所に、前方に突出したボス91Yが設けられている。ブレード82には、ボス91Yに嵌合するボス孔(図示省略)が設けられている。固定部材94にも、ボス91Yに嵌合するボス孔94Hが設けられている。突出部材91の下部のブレード82よりも下方の箇所には、ねじ孔91Z(図14参照)が設けられている。固定部材94にも、ねじ孔91Zに対応するねじ孔(図示省略)が設けられている。ブレード82と固定部材94がボス91Yに嵌合され、固定部材94がねじ94Sを用いて突出部材91に締結されることで、ブレード82が突出部材91に固定される。
【0040】
固定部材94の下縁部と、突出部材91の下縁部には、左右方向の幅が下方ほど狭くなるテーパー(図28参照)が付けられている。ブレード82の前面から固定部材94の前面へと流れ落ちた廃液は、固定部材94の下縁部と突出部材91の下縁部とに沿って左右方向の中央に集められ、フレーム81の凹部81Uに落下する。
【0041】
[ホルダー]
ホルダー92(図11、12参照)は、突出部材91を介してブレード82を保持する。ホルダー92の下部には、突出部材91の軸91Hが挿入される孔92Hが設けられている(図11、12参照)。基部91Bの後面(図13、14参照)には、互いに左右方向に対向する2つの壁部91Cが設けられている。左側の壁部91Cの左面には、左方に突出する軸91Hが設けられている。右側の壁部91Cの右面には、右方に突出する軸91Hが設けられている。突出部材91は、ホルダー92に対してヒンジ結合されており、ホルダー92に対して突出部材91が前後方向に揺動可能である。ブレード82は、突出部材91とともに揺動する。なお、軸91Hは、ブレード82に設けられていてもよい。
【0042】
ブレード82と突出部材91は、左右方向のいずれか一方向に廃液Wが流れるように、左右方向に対して傾いた姿勢でホルダー92に設けられている。図示した例では、ブレード82の左端部が右端部よりも若干後方に位置するように傾けられているが、逆方向に傾けられていてもよい。
【0043】
[付勢部材]
付勢部材93(図13、14参照)は、例えば、ねじりコイルばねであり、軸91Hに巻き付けられている。付勢部材93の一端部は、ホルダー92に係合し、他端部は、突出部材91に係合している。付勢部材93は、図11、12において反時計回り方向に、図13において時計回り方向に、突出部材91を付勢する。換言すれば、付勢部材93は、ブレード82の先端部をノズル面12Fに押し当てる方向にブレード82を付勢する。なお、付勢部材93は、板ばね、圧縮コイルばね等でもよい。
【0044】
[フレーム]
フレーム81(図9、10参照)は、全体として前後方向を長手方向とする直方体状に形成されている。フレーム81は、上側が開口した3つの凹部81Uを備える。3つの凹部81Uの各々は、ヘッドユニット11が備える3つのインクジェットヘッド12に対向している。つまり、3つの凹部81Uは、前後方向に沿って配置された2つの凹部81Uと、2つの凹部81Uの左方に千鳥に配置された1つの凹部81Uと、を含む。凹部81Uは、上方から見て、前後方向に細長い長方形状に形成されている。凹部81Uの前後方向の長さは、ノズル面12Fよりも若干長く、凹部81Uの左右方向の幅は、ノズル面12Fよりも若干広い。凹部81Uは、インクと洗浄液とを含む廃液を受け止める受け皿を兼ねる。
【0045】
[キャリッジ]
キャリッジ83(図9乃至12参照)は、前後方向を長手方向とする板状に形成されている。左右の凹部81Uの間には、前後方向に沿う溝81Gが設けられており、キャリッジ83は溝81Gに収容されている。キャリッジ83の前後方向の長さは、溝81Gの前後方向の長さよりも短い。従って、キャリッジ83は、溝81Gに沿って前後方向にスライド可能である。
【0046】
3つの凹部81Uには、それぞれ1つのブレードユニット90が収容されている。3つのブレードユニット90は、キャリッジ83に結合されている。3つのブレードユニット90は、キャリッジ83が最後方に位置する場合に、3つのブレードユニット90がノズル面12Fよりも後方に位置するように配置されている。
【0047】
フレーム81には、駆動部(図示省略)が設けられている。駆動部は、例えば、ベルト駆動、ラックアンドピニオン、送りねじ等であり、キャリッジ83を溝81Gに沿って前後方向にスライドさせる。キャリッジ83、溝81G、駆動部により、前述したキャリッジスライド機構が構成される。
【0048】
[受け止め部材]
受け止め部材84(図9、10、12、21乃至27参照)は、フレーム81に支持されている。受け止め部材84は、3つの凹部81Uの各々に設けられている。受け止め部材84は、凹部81Uの前端部、換言すれば、ブレード82のスライド終了位置に設けられている。受け止め部材84は、進行方向前側でブレード82に対向する正面部41を備える。受け止め部材84は、スライド終了位置に位置するブレード82の側方と上方とを包囲する包囲部42を備える。
【0049】
包囲部42は、正面部41の上端部から後方に設けられた天井部42Tと、正面部41の左右両端部から後方に設けられた側壁部42Wと、を含む。つまり、受け止め部材84は、後側と下側とが開放された箱状に形成されている。ブレード82が凹部81Uの最前部まで到達した場合に、ブレード82が受け止め部材84に収容される。このとき、受け止め部材84によって前方、上方、左右の側方からブレード82が囲われる。なお、包囲部42は、天井部42Tと側壁部42Wとのいずれか一方を備えていてもよい。つまり、包囲部42は、スライド終了位置に位置するブレード82の上方と側方との少なくとも一方を包囲する。
【0050】
正面部41の前面には、前方に突出した固定部44が設けられている。固定部44は、上下方向を厚み方向とする板状の部位である。固定部44には、上下方向に貫通したねじ孔44Hが設けられている。固定部44は、凹部81Uの前端部から後方に突出するブラケット44Bにねじ44Sを用いて締結される(図12参照)。
【0051】
次に、メンテナンス装置30の動作について説明する。図15乃至20は、メンテナンス装置30とヘッドユニット11の動作を示す断面図である。図21乃至25は、ブレードユニット90の動作を模式的に示す側面図である。
【0052】
ここで、平行面11Pについて説明する。インクジェットヘッド12は、ヘッドベース11B(図21参照)によって支持されている。ヘッドベース11Bは、インクジェットヘッド12のノズルプレート12Pが挿入される貫通孔(図示省略)を備えている。ヘッドベース11Bの下面は、ノズル面12Fと平行な面であるため、平行面11Pと呼ぶ。ノズルプレート12Pがヘッドベース11Bに挿入されると、ノズル面12Fが数mmだけ平行面11Pから下方に突出し、平行面11Pとノズル面12Fとの間に段差が形成される。なお、平行面11Pは、ノズル面12Fと平行であること以外は、本実施形態と異なっていてもよい。例えば、平行面11Pとノズル面12Fとが同一の高さにあってもよい。あるいは、平行面11Pは、ノズル面12Fの一部分、すなわち、ノズル面12Fのうちノズル12Nが形成されている領域の左右に存在する面であってもよい。
【0053】
以下、ヘッドユニット11が画像形成位置に位置する状態(図15参照)を初期状態として説明する。初期状態において、キャップユニット70とワイプユニット80は、ホーム位置に位置している。ホーム位置は、ハウジング31の内部であり、画像形成位置に位置するヘッドユニット11の側方である。以下に示される動作は、制御部2が昇降機構11L、キャップスライド機構32、ワイプスライド機構33、キャリッジスライド機構を制御することで実行される。
【0054】
最初に、制御部2は、昇降機構11Lを動作させて、ヘッドユニット11を退避位置に上昇させる(図16参照)。次に、制御部2は、キャップスライド機構32を動作させて、キャップユニット70をヘッドユニット11の下方(メンテナンス位置)にスライドさせる(図17参照)。次に、制御部2は、昇降機構11Lを動作させて、ノズル面12Fがキャップ72に接触する高さまでヘッドユニット11を下降させる(図18参照)。次に、制御部2は、インクジェットヘッド12を制御して、キャップ72にインクをパージさせる。
【0055】
次に、制御部2は、昇降機構11Lを動作させて、ヘッドユニット11を退避位置に上昇させる(図17参照)。次に、制御部2は、ワイプスライド機構33を動作させて、ワイプユニット80をヘッドユニット11の下方(メンテナンス位置)にスライドさせる(図19参照)。このとき、ワイプユニット80においては、ブレードユニット90が最後方に位置している(図21参照)。ブレード82は、鉛直(線分V)に対して角度αだけ後傾した姿勢となっている。αは、例えば、5°程度である。ノズル面12Fには、インクiが残留している。
【0056】
次に、制御部2は、昇降機構11Lを動作させて、所定位置までヘッドユニット11を下降させる(図20参照)。所定位置においては(図22参照)、平行面11Pが突出部91Pを下方に押し退けることで突出部材91とブレード82が時計回り方向に揺動し、ブレード82がさらに後傾する。このとき、ブレード82は、鉛直に対して角度β(α<β)だけ後傾した姿勢となる。βは、例えば、15°程度である。
【0057】
次に、制御部2は、洗浄液供給部13を動作させて洗浄液Fを接続部材13Cの洗浄液供給口13Aから膨出させ(図5、22参照)、キャリッジスライド機構を動作させてブレード82を前方(所定の進行方向Dの一例)にスライドさせる(図23参照)。ブレード82は、洗浄液供給口13Aから洗浄液Fを掻き取り、続いてノズル面12Fからインクiを掻き取りながらスライドする。突出部材91が平行面11Pに接触した状態でスライドするから、ブレード82の傾斜角の変動が少なく、一定の荷重でブレード82をノズル面12Fに押し当てることができる。また、ブレード82は可撓性を有するため、ノズル面12Fに押し当てられることで若干の撓み変形が生じるが、付勢部材93が余分な荷重を吸収するから、ブレード82を適正な荷重でノズル面12Fに押し当てることができる。
【0058】
ブレード82がスライドしているとき、インクiは洗浄液Fで希釈される。インクiと洗浄液Fとの混合物である廃液Wは、ブレード82の前面と後面とに沿って流れ落ちる。ブレード82の後面に沿って流れ落ちた廃液Wは、突出部材91の貫通孔91Aを通過して凹部81Uに落下する。また、ブレード82の前面に沿って流れ落ちる廃液Wは、固定部材94の前面を経て固定部材94の下縁部と突出部材91の下縁部とに沿って左右方向の中央に集められ、凹部81Uに落下する。凹部81Uに落下した廃液Wは、凹部81Uに設けられた排出口(図示省略)を通過してキャップ72に落下する。
【0059】
拭き取り終了時、すなわち、ブレード82がノズル面12Fの前端部を通過する際(図24参照)、制御部2は、昇降機構11Lを動作させて、ヘッドユニット11を退避位置に上昇させる(図19参照)。このとき、ヘッドベース11Bも上昇するから、突出部材91が反時計回り方向に揺動し、ブレード82の傾斜が角度αに戻る。また、ブレード82がノズル面12Fから離間することで、ブレード82の撓み変形が解消する。この動作により、ブレード82から受け止め部材84に向かって廃液Wが放たれる。受け止め部材84に受け止められた廃液Wは、受け止め部材84の内面に沿って下方に流れ落ち、凹部81Uに設けられた排出口(図示省略)を通過してキャップ72に落下する。
【0060】
仮に、ブレード82の傾斜角を変化させる構成(突出部材91、ホルダー92、付勢部材93等)を備えていない場合、ブレード82は、専らブレード82自体の撓み変形による弾性力によってノズル面12Fに押し当てられる。従って、ブレード82の先端部がノズル面12Fの前端部を通過する際にブレード82の撓みが急激に解消し、ブレード82の先端部から斜め上向きに廃液Wが放たれ、廃液Wがヘッドベース11B等に衝突して飛散する可能性がある。これに対して、本実施形態では、主に付勢部材93の弾性力によってブレード82がノズル面12Fに押し当てられるから、ブレード82の撓み変形は、ブレード82の傾斜角を変化させる構成を備えていない場合と比べて小さな量に抑制される。また、撓み変形の解消とともにブレード82の傾斜の復元が並行して行われるから、廃液Wは主に前方に放たれて受け止め部材84に受け止められ、廃液Wの飛散が抑制される。
【0061】
次に、制御部2は、ワイプスライド機構33を動作させて、ワイプユニット80をハウジング31に収容する(ホーム位置、図17参照)。次に、制御部2は、昇降機構11Lを動作させて、ノズル面12Fがキャップ72に接触する高さまでヘッドユニット11を下降させる(図18参照)。
【0062】
画像形成を行う場合には、制御部2は、昇降機構11Lを動作させて、ヘッドユニット11を退避位置に上昇させる(図17参照)。次に、制御部2は、キャップスライド機構32を動作させて、キャップユニット70をハウジング31に収容し(ホーム位置、図16参照)、昇降機構11Lを動作させて、ヘッドユニット11を画像形成位置に下降させる(図15参照)。
【0063】
以上説明した本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、インクジェットヘッド12のノズル面12Fに先端部を押し当てられた状態でノズル面12Fに沿う所定の進行方向Dにスライドするブレード82と、ブレード82のスライド終了位置に設けられ、ブレード82から放たれた廃液Wを受け止める受け止め部材84と、を備える。この構成によれば、ブレード82のスライド終了位置における廃液Wの飛散を防止することができる。
【0064】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、受け止め部材84は、進行方向D前側でブレード82に対向する正面部41を備える。この構成によれば、ブレード82の前方への廃液Wの飛散を防止することができる。
【0065】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、受け止め部材84は、スライド終了位置に位置するブレード82の側方と上方との少なくとも一方を包囲する包囲部42を備える。この構成によれば、スライド終了位置におけるブレード82の側方と上方との少なくとも一方への廃液Wの飛散を防止することができる。
【0066】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、受け止め部材84から落下する廃液Wを受け止める受け皿(例えば、フレーム81)を備える。この構成によれば、受け止め部材84から落下する廃液Wの飛散を防止することができる。
【0067】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、受け止め部材84は、下側が開放されている。この構成によれば、受け止め部材84に滞留した廃液Wが乾燥して受け止め部材84に固着することを防止することができる。
【0068】
また、本実施形態に係るインクジェット記録装置1によれば、シートSを搬送する搬送路10に対してインクジェットヘッド12を相対的に昇降させる昇降機構11Lと、昇降機構11Lにより相対的に上昇したインクジェットヘッド12の下方であるメンテナンス位置と、メンテナンス位置の側方であるホーム位置と、に受け皿(例えば、フレーム81)をスライドさせるワイプスライド機構33と、を備え、受け止め部材84は、受け皿に支持され、画像形成を実行する場合には、ワイプスライド機構33が受け皿をホーム位置に退避させる。
【0069】
仮に、受け止め部材84をインクジェットヘッド12側に設けるとすると、受け止め部材84と搬送ユニット7との干渉を回避するために、画像形成時に受け止め部材84を退避させる構成が必要となる。しかし、受け止め部材84を上方に退避させたとしても、受け止め部材84に付着した廃液WがシートSや搬送ベルト21に落下するおそれがある。本実施形態によれば、受け止め部材84が受け皿に支持されており、画像形成を実行する場合に受け止め部材84が受け皿とともにホーム位置に退避するから、シートSや搬送ベルト21に廃液Wが落下するおそれがない。また、受け止め部材84を退避させるための専用の装置を設ける必要がない。
【符号の説明】
【0070】
1 インクジェット記録装置
11L 昇降機構
12 インクジェットヘッド
12F ノズル面
33 ワイプスライド機構
41 正面部
42 包囲部
81 フレーム(受け皿)
82 ブレード
84 受け止め部材
図1
図2
図3
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図5
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