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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179418
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】バキュームポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04B 39/12 20060101AFI20241219BHJP
   F04C 29/12 20060101ALI20241219BHJP
   F04C 25/02 20060101ALI20241219BHJP
   F04C 2/344 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F04B39/12 101H
F04C29/12 D
F04C25/02 A
F04C25/02 L
F04C2/344 331J
F04C2/344 331D
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098265
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 智
(72)【発明者】
【氏名】眞玉 良佑
【テーマコード(参考)】
3H003
3H040
3H129
【Fターム(参考)】
3H003AA01
3H003AA05
3H003AB02
3H003AC04
3H003CD01
3H003CD07
3H003CE01
3H040BB07
3H040CC09
3H040CC16
3H040DD01
3H040DD28
3H129AA05
3H129AA16
3H129AB06
3H129BB32
3H129CC09
3H129CC25
(57)【要約】
【課題】排気通路のシールとコンパクト化の両立が可能なバキュームポンプを提供する。
【解決手段】バキュームポンプ1は、ポンプ室10と、ポンプ室10に連通する吸気通路20および排気通路30とを含むケーシング2を備える。ケーシング2は、排気通路30のうち第1排気通路32が内部に形成された凸部102を有する第1部品100と、排気通路30のうち第1排気通路32に連通する第2排気通路34を形成するとともに凸部102が嵌合可能な嵌合孔202、および、嵌合孔202の外周側において第1部品100に向かって突出して設けられる外周縁部210を有する第2部品200と、を含む。バキュームポンプ1は、径方向において第1部品100の凸部102と第2部品200の外周縁部210との間に位置するように第1部品100と第2部品200との間に保持され、第1排気通路32及び第2排気通路34を含む排気通路30をシールするためのシール部材300をさらに備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ室と、前記ポンプ室に連通する吸気通路および排気通路とを含むケーシングを備え、
前記ケーシングは、
前記排気通路のうち第1排気通路が内部に形成された凸部を有する第1部品と、
前記排気通路のうち前記第1排気通路に連通する第2排気通路を形成するとともに前記凸部が嵌合可能な嵌合孔、および、前記嵌合孔の外周側において前記第1部品に向かって突出して設けられる外周縁部を有する第2部品と、
を含み、
径方向において前記第1部品の前記凸部と前記第2部品の前記外周縁部との間に位置するように前記第1部品と前記第2部品との間に保持され、前記第1排気通路及び前記第2排気通路を含む前記排気通路をシールするためのシール部材をさらに備える
バキュームポンプ。
【請求項2】
前記第1部品は、前記第2部品の上方に位置し、
前記第1部品の前記凸部は、前記第2部品に向かって下方に突出するように設けられて前記第2部品の前記嵌合孔に嵌合された
請求項1に記載のバキュームポンプ。
【請求項3】
前記排気通路に連通するように前記第2部品に取り付けられ、前記凸部との嵌合部とは反対側における前記嵌合孔の端部に接続される延長管を備え、
前記延長管は、
前記第2部品から下方に延在する上流側部分と、
前記上流側部分の下流側に位置し、前記第2部品よりも高所まで上方に向かって延在する下流側部分と、
を含み、
前記延長管は、前記第1排気通路及び前記第2排気通路を通過した排気流れを、前記第2部品よりも高所に位置する前記延長管の出口まで導くように構成された
請求項2に記載のバキュームポンプ。
【請求項4】
前記延長管は、
前記第2部品から下方に延在するように前記第2部品の前記嵌合孔に圧入された前記上流側部分としてのニップルと、
前記ニップルのうち前記第2部品からの突出部分に装着される前記下流側部分としてのU字状のホースと、
を含む請求項3に記載のバキュームポンプ。
【請求項5】
前記ケーシングは、
前記第1部品としてのポンプカバーと、
前記第2部品としてのケーシング本体と、
前記ポンプカバーを挟んで前記ケーシング本体とは反対側に位置し、前記ポンプカバーに取り付けられるトップカバーと、
を含み、
前記ポンプ室は、前記ケーシング本体に設けられた凹部の開口を前記ポンプカバーが塞ぐことで、前記ポンプカバーと前記ケーシング本体とによって形成され、
前記ポンプ室から吐出された気体を前記第1排気通路に導く消音室が、前記ポンプカバーおよび前記トップカバーにより、前記ポンプ室の上方において前記ポンプカバーを挟んで前記ポンプ室とは反対側に形成される
請求項1又は2に記載のバキュームポンプ。
【請求項6】
前記第1部品は、前記凸部の外周側において前記第2部品と対向する平坦面を有し、
前記第2部品は、前記外周縁部の径方向内側において前記外周縁部を基準として凹んだ凹部を有し、
前記嵌合孔は、前記第1部品の前記平坦面に対向する前記凹部の底面に開口し、
前記シール部材は、軸方向において前記第1部品の前記平坦面と前記第2部品の前記底面との間に挟まれた状態で保持される
請求項1又は2に記載のバキュームポンプ。
【請求項7】
前記シール部材は、軸方向において前記第1部品の前記平坦面と前記第2部品の前記底面との間に挟まれた状態で、前記凸部の外周面との間に径方向隙間を空けて配置された
請求項6に記載のバキュームポンプ。
【請求項8】
前記シール部材は、軸方向において前記第1部品の前記平坦面と前記第2部品の前記底面との間に挟まれた状態で、前記第2部品の前記外周縁部に密着するように構成された
請求項7に記載のバキュームポンプ。
【請求項9】
前記シール部材は、径方向において、前記第1部品の前記凸部の外周面と、前記第2部品の前記外周縁部の内周面に連なる前記嵌合孔の内壁面との間に挟まれた状態で保持される
請求項1又は2に記載のバキュームポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バキュームポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器内を大気圧以下に維持するためにバキュームポンプが知られている。
例えば、特許文献1には、自動車等の車両におけるブレーキブースターの負圧室を大気圧以下に維持するためのバキュームポンプが記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、使用環境によっては水しぶき等の液体が排気口に付着する可能性があることに鑑みて、部品点数の増大を抑制しつつ排気口に液体がかかることを抑制可能にしたバキュームポンプが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-25413号公報
【特許文献2】特開2020-76336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、バキュームポンプのケーシングは、複数の部品を組み立てて形成することが一般的である。
このとき、ケーシングの内部流路のレイアウトによっては、バキュームポンプの排気通路を複数の区間に分割し、複数のケーシング部品にそれぞれの区間の排気通路を分散して設ける場合がある。複数のケーシング部品を組み立てることで、隣り合う区間の排気通路はケーシング部品間の接合面において互いに接続される。
【0006】
上述のように、複数の区間に分割された排気通路を複数のケーシング部品に分散して設ける場合、ケーシング部品間の接合面には排気通路をシールするためのシール部材を設ける必要がある。
しかし、ケーシング部品間の接合面にシール部材の設置スペースを確保することは、バキュームポンプのコンパクト化の障壁になり得る。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、排気通路のシールとコンパクト化の両立が可能なバキュームポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係るバキュームポンプは、
ポンプ室と、ポンプ室に連通する吸気通路および排気通路とを含むケーシングを備え、
ケーシングは、
排気通路のうち第1排気通路が内部に形成された凸部を有する第1部品と、
排気通路のうち第1排気通路に連通する第2排気通路を形成するとともに凸部が嵌合可能な嵌合孔、および、嵌合孔の外周側において第1部品に向かって突出して設けられる外周縁部を有する第2部品と、
を含み、
径方向において第1部品の凸部と第2部品の外周縁部との間に位置するように第1部品と第2部品との間に保持され、第1排気通路及び第2排気通路を含む排気通路をシールするためのシール部材をさらに備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の少なくとも幾つかの実施形態によれば、径方向において第1部品の凸部と第2部品の外周縁部との間に位置するように第1部品及び第2部品間にシール部材が保持されるので、第1部品又は第2部品の何れかにシール部材を収容するための溝を形成する必要がない。このため、バキュームポンプのコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係るバキュームポンプの内部流路を概略的に示す図である。
図2】他の実施形態に係るバキュームポンプの内部流路を概略的に示す図である。
図3】さらに別の実施形態に係るバキュームポンプの内部流路を概略的に示す図である。
図4】一実施形態に係るバキュームポンプのケーシングの部分断面図であり、排気通路周辺の構造を示している。
図5図4に示すバキュームポンプのケーシングの組立前の状態を示す図である。
図6】他の実施形態に係るバキュームポンプのケーシングの部分断面図であり、排気通路周辺の構造を示している。
図7図6に示すバキュームポンプのケーシングの組立前の状態を示す図である。
図8】一実施形態に係るバキュームポンプにおける延長管の構成を示す図である。
図9】一実施形態に係るバキュームポンプの全体構造を示す斜視分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0012】
図1は、一実施形態に係るバキュームポンプ1Aの内部流路を概略的に示す図である。図2は、他の実施形態に係るバキュームポンプ1Bの内部流路を概略的に示す図である。図3は、さらに別の実施形態に係るバキュームポンプ1Cの内部流路を概略的に示す図である。
以下、バキュームポンプ1A,1B,1Cを含む幾つかの実施形態に係るバキュームポンプをバキュームポンプ1と総称することがある。バキュームポンプ1は、バキュームポンプ1A,1B,1Cに限定されず、不図示の他の実施形態に係るバキュームポンプも包含する。
【0013】
幾つかの実施形態では、図1図3に示すように、バキュームポンプ1は、バキュームポンプ1のケーシングの内部流路として、ポンプ室10と、ポンプ室10に連通する吸気通路20及び排気通路30を含む。
【0014】
ポンプ室10は、吸入口12及び吐出口14を有する。
バキュームポンプ1が容積移送式真空ポンプである場合、バキュームポンプ1は、ポンプ室10内に気体移送部40を含む。気体移送部40は、所定の体積の気体を吸入口12から吐出口14へと周期的に運ぶように構成される。
【0015】
気体移送部40は、バキュームポンプ1のタイプに応じて種々の構成を採り得る可動部42を含む。可動部42は、往復動又は回転によって気体を移送可能に構成される。
例えば、バキュームポンプ1が往復運動式ポンプである場合、気体移送部40は、ダイアフラム又はピストン等の可動部42を含む。他の実施形態では、バキュームポンプ1は、回転式ポンプであり、気体移送部40の可動部42として種々の形状のロータを含む。
【0016】
ポンプ室10の吸入口12は、吸気通路20に連通し、吸気通路20を流れる気体が吸入口12を介してポンプ室10に取り込まれる。他方、ポンプ室10の吐出口14は、排気通路30に連通し、ポンプ室10から吐出された気体が吐出口14及び排気通路30を経て大気に放出される。
【0017】
排気通路30は、ポンプ室10から吐出された気体が流れる流路であればよく、排気通路30の具体的な構成は特に限定されない。
例えば、図1及び図2に示す実施形態では、排気通路30は、吐出口14を介してポンプ室10に直接連通する。図3に示す実施形態では、気体流れ方向におけるポンプ室10と排気通路30との間に1以上のチャンバ(50,60)が設けられ、排気通路30は、1以上のチャンバ(50,60)及び吐出口14を介してポンプ室10に連通する。
【0018】
ポンプ室10と排気通路30との間に設けられる1以上のチャンバ(50,60)は、消音室50,60を含んでいてもよい。
図3に示す例示的な実施形態では、第1消音室50は、ポンプ室10の下方および側方に位置し、吐出口14を介してポンプ室10から吐出された気体を受け入れる。第1消音室50は、連通路62を介して、ポンプ室10の上方に位置する第2消音室60に連通する。第2消音室60には排気通路30が連通しており、第2消音室60は、第1消音室50を通過した気体を排気通路30に導くようになっている。
【0019】
図1及び図3に示すように、バキュームポンプ1の内部流路としての排気通路30が下向き流路である場合、排気通路30からバキュームポンプ1内への浸水を防止するために、排気通路30に延長管70を接続してもよい。延長管70は、排気通路30の下流端よりも高所に出口71を有し、出口71にて大気に連通する。
他の実施形態では、図2に示すように、排気通路30が上向き流路であり、排気通路30は延長管70を介さずに直接大気に連通している。なお、排気通路30が上向き流路である場合、排気通路30への異物の侵入を阻止するために排気通路30の開口端にカバー(不図示)を設けてもよい。
【0020】
上述した内部流路を有するバキュームポンプ1のケーシングは、複数の部品を組み立てて形成することがある。このとき、ケーシングの内部流路のレイアウトによっては、排気通路30を複数の区間に分割し、複数のケーシング部品に排気通路30のそれぞれの区間を分散して設ける場合がある。隣り合う区間の排気通路30は、複数のケーシング部品を組み立てることで、ケーシング部品間の接合面において互いに接続される。
【0021】
以下、図4図7を参照し、複数のケーシング部品に排気通路30のそれぞれの区間を分散して設けたバキュームポンプ1のケーシングについて述べる。
図4は、一実施形態に係るバキュームポンプのケーシングの部分断面図であり、排気通路30周辺の構造を示している。図5は、図4に示すバキュームポンプのケーシングの組立前の状態を示す図である。
図6は、他の実施形態に係るバキュームポンプのケーシングの部分断面図であり、排気通路30周辺の構造を示している。図7は、図6に示すバキュームポンプのケーシングの組立前の状態を示す図である。
【0022】
幾つかの実施形態では、図4及び図6に示すように、バキュームポンプ1のケーシング2(2A,2B)は、排気通路30のうち第1排気通路32が内部に形成された第1部品100と、排気通路30のうち第2排気通路34が内部に形成された第2部品200とを含む。
ここで、第1排気通路32及び第2排気通路34は、第1部品100及び第2部品200に分散して設けられた排気通路30の2つの流路区間に相当する。ケーシング2の部品および排気通路30の区間の数は特に限定されず、3以上の区間に分割された排気通路30が3以上の部品に分散して設けられてもよい。この場合、第1部品100及び第2部品200にそれぞれ設けられる第1排気通路32及び第2排気通路34は、排気通路30の3以上の区間のうち隣り合う一対の区間であってもよい。
【0023】
図4及び図6に示す例示的な実施形態では、気体の流れ方向において、第1部品100に形成された第1排気通路32は、第2部品200に形成された第2排気通路34の上流側に位置する。すなわち、ポンプ室10から吐出された気体は、第1排気通路32、第2排気通路34の順に流れた後、最終的に大気に放出される。なお、第1部品100には、第1排気通路32の上流側に位置する第2消音室60(図3参照)が形成されてもよい。
他の実施形態では、気体の流れ方向において、第2部品200の第2排気通路34は、第1部品100の第1排気通路32の上流側に位置する。
【0024】
第1部品100は、第1排気通路32が内部に形成された凸部102を有する。凸部102は、第1排気通路32の延在方向に沿って第1部品100の表面(第2部品200との対向面)から突出して設けられる。第1排気通路32は、凸部102に設けられた貫通穴104によって形成される。貫通穴104は凸部102の頂面103に開口し、第1排気通路32の流路端33を形成する。
図4及び図6に示す実施形態では、凸部102は円筒状であり、円周状の外周面106を有する。また、第1部品100は、凸部102に加えて、凸部102の外周面106の外周側において第2部品200と対向する平坦面108を含む。凸部102は、平坦面108から第2部品200に向かって突出する。
【0025】
第2部品200は、第2排気通路34を形成する嵌合孔202と、嵌合孔202の開口端の外周側に位置する外周縁部210とを含む。外周縁部210は、第2部品200のうち第1部品100との対向面から第1部品100に向かって突出するように設けられる。
【0026】
第2部品200の嵌合孔202は、第1部品100の凸部102の外径に対応する内径を有し、凸部102が嵌合孔202に嵌合可能になっている。ここで、凸部102の外径に「対応する内径」とは、凸部102の外周面106の直径と同一の内径、または、凸部102の外周面106の直径よりも僅かに大きい内径を意味する。
なお、ケーシング2における第1部品100及び第2部品200の相対的な位置関係は特に限定されないが、図4図7に示すように、第1部品100が第2部品200の上方に位置してもよい。この場合、第1部品100の凸部102は、第2部品200に向かって下方に突出するように設けられて嵌合孔202に嵌合する。
【0027】
第1部品100の凸部102が第2部品200の嵌合孔202に嵌合した状態において、第1排気通路32の流路端33は、第2排気通路34を形成する嵌合孔202内に位置し、第1排気通路32と第2排気通路34は互いに連通している。
なお、図4図7に示すように、嵌合孔202のうち凸部102との嵌合部とは反対側の端部には延長管70が接続されてもよい。この場合、第1排気通路32及び第2排気通路34を通過した後の気体は、延長管70を介して大気に放出される。
【0028】
図4図7に示す実施形態では、外周縁部210は、嵌合孔202の外周側において第1部品100に向かって突出し、第1部品100の平坦面108と当接する。すなわち、第1部品100の平坦面108に対する第2部品200の当接面212は、外周縁部210の頂面である。第2部品200の当接面212は、第1部品100の平坦面108と平行な平坦面として、嵌合孔202を取り囲むように略環状に設けられてもよい。
【0029】
幾つかの実施形態では、バキュームポンプ1は、図4及び図6に示すように、第1部品100と第2部品200との間に保持されるシール部材300を含む。
【0030】
シール部材300は、弾性を有する高分子化合物(エラストマ)製の環状シールであってもよい。
図4図7に示す例示的な実施形態では、断面が円形であるOリングである。他の実施形態では、シール部材300は、非円形の断面形状を有する環状シールである。断面が非円形の環状シールとして、例えばXリングやDリングを用いることができる。
【0031】
シール部材300は、環状のシール部材300の径方向において、第1部品100の凸部102と第2部品200の外周縁部210との間に位置する。すなわち、シール部材300は、凸部102の外周面106の径方向位置と、外周縁部210の内周面の径方向位置との間に設けられ、凸部102を取り囲んでいる。
また、シール部材300は、軸方向において、凸部102の頂面103及び第1排気通路32の流路端33よりも第1部品100側に位置する。
【0032】
第1部品100が第2部品200に組付けられると、シール部材300は、第1部品100及び第2部品200によって押し潰されて変形し、第1排気通路32及び第2排気通路34を含む排気通路30をシールする。
図5に示す例では、変形前のシール部材300Aの厚さtは、外周縁部210の高さ(底面222から当接面212までの距離)より大きい。同様に、図7に示すように、変形前のシール部材300Bの幅wは、シール部材300Bと接触する凸部102の外周面106と嵌合孔202の内壁面との間の径方向隙間よりも小さい。このため、凸部102が嵌合孔202に嵌合するように第1部品100を第2部品200に組み付けると、図4及び図6に示すように、シール部材300(300A,300B)は軸方向又は径方向に押し潰される。
【0033】
幾つかの実施形態では、図4及び図5に示すケーシング2Aのように、第2部品200は、外周縁部210の径方向内側に位置する凹部220を有し、シール部材300Aは、凹部220に収容される。
具体的には、凹部220は、外周縁部210の径方向内側、かつ、嵌合孔202の径方向外側において、外周縁部210を基準として凹むように設けられる。凹部220の底面222は、環状のシール部材300Aの軸方向において、外周縁部210の当接面212よりも第2部品200の内側に位置し、第1部品100の平坦面108と対向する。凹部220の底面222には、嵌合孔202が開口する。シール部材300Aは、軸方向において、第1部品100の平坦面108と、第2部品200の凹部220の底面222との間に挟まれた状態で、第1部品100および第2部品200の間に保持される。
【0034】
ケーシング2Aの組立てに際して、図5に示すように、凹部220の底面222上にシール部材300Aを載置した状態で、凸部102が嵌合孔202に嵌合するように第1部品100を第2部品200に組み付ける。変形前のシール部材300Aと凹部220とは、(ds-di)>(do-ds-2×w)の関係を満たす。すなわち、変形前のシール部材300Aの内周端から嵌合孔202の開口縁までの径方向距離は、変形前のシール部材300Aの外周端から外周縁部210の内周面までの径方向距離よりも大きい。ここで、dsはシール部材300Aの変形前の内径であり、wは変形前のシール部材300Aの断面の幅であり、di及びdoはそれぞれ凹部220の底面222の内径及び外径である。なお、図5に示す例では、(do-ds-2×w)>0をさらに満たす。
上記関係を満たすことにより、ケーシング2Aの組立後、図4に示すように、嵌合孔202に嵌合される第1部品100の凸部102の外周面106とシール部材300Aとの間の径方向隙間が確保される一方、シール部材300Aは外周縁部210の内周面に密着する。
変形前のシール部材300Aと凹部220とは、前述の径方向距離の比(ds-di)/(do-ds-2×w)が2以上であってもよく、3以上であってもよい。
【0035】
なお、図4及び図5に示す例示的な実施形態では、第1部品100の凸部102は、頂面103の外周縁113が面取りされて先細状となっている。
このため、第2部品200に対する第1部品100の組付けに際して、第1部品100の先細状の外周縁113が嵌合孔202内に凸部102を案内する機能を果たす。
【0036】
他の実施形態では、図6及び図7に示すケーシング2Bのように、第1部品100の凸部102の外周面106は段差107を有し、シール部材300Bは、凸部102のうち段差107よりも先端側(頂面103側)の部位と第2部品200の嵌合孔202との間に保持される。
具体的には、ケーシング2Bの凸部102の外周面106は、段差107よりも基端側に位置して嵌合孔202の内径に対応する外径を有する基端側領域と、段差107よりも先端側に位置して基端側領域よりも小径である先端側領域とを有する。ケーシング2Bでは、外周縁部210の内径は嵌合孔202の内径と一致しており、外周縁部210の内周面は軸方向において嵌合孔202の内壁面に段差なく連なっている。組立後のケーシング2Bにおいて、シール部材300Bは、凸部102の外周面106の先端側領域と、嵌合孔202の内壁面との間の径方向隙間に保持される。
【0037】
ケーシング2Bの組立てに際して、図7に示すように、第1部品100の凸部102の先端側領域にシール部材300Bを装着した状態で、凸部102が嵌合孔202に嵌合するように第1部品100を第2部品200に組み付ける。変形前のシール部材300B、凸部102及び嵌合孔202は、(d1+2×w)>d2の関係を満たす。ここで、d1は凸部102の外周面106の先端側領域の外径であり、d2は嵌合孔202の内径であり、wは変形前のシール部材300Bの断面の幅である。
上記関係を満たすことにより、ケーシング2Bの組立後、図6に示すように、シール部材300Bは嵌合孔202の内壁面、凸部102の外周面106のうち先端側領域、および、凸部102の段差107の段差面に密着する。
【0038】
幾つかの実施形態では、図4図7に示すように、第2部品200には、第1排気通路32、第2排気通路34を順に通過する下向きの排気流れを高所に導く延長管70(図1及び図3参照)が接続される。
【0039】
図8は、一実施形態に係るバキュームポンプにおける延長管の構成を示す図である。
同図に示すように、延長管70は、排気通路30(第2排気通路34)に連通するように第2部品200に取り付けられ、凸部102との嵌合部とは反対側における嵌合孔202の端部に接続される。延長管70は、第2部品200から下方に延在する上流側部分72と、上流側部分72の下流側に位置する下流側部分74とを含む。延長管70の下流側部分74は、延長管70のボトム76において折り返し、第2部品200よりも高所に位置する延長管70の出口71まで上方に向かって延在する。図8に示すように、延長管70の出口71は、第1部品100よりも高所に位置してもよい。
排気通路30(第2排気通路34)を通過した排気流れは、延長管70の上流側部分72及び下流側部分74を順に流れた後、延長管70の出口71から大気に放出される。
【0040】
図8に示す例示的な実施形態では、延長管70は、第2部品200から下方に延在するように嵌合孔202に圧入されたニップル73と、ニップル73に装着されたU字状のホース75とを含む。ホース75は、バンド78を用いて、ニップル73のうち第2部品200からの突出部分に接続される。
ニップル73は、延長管70の上流側部分72を形成する。これに対し、ホース75は、延長管70のボトム76及び下流側部分74を形成する。
【0041】
続けて、上述した実施形態に係るバキュームポンプ1の全体構造の具体例について述べる。
図9は、一実施形態に係るバキュームポンプ1の全体構造を示す分解斜視図である。バキュームポンプ1は、例えば、自動車等の車両におけるブレーキブースター(マスターバック)の負圧室内を負圧にするための電動バキュームポンプであってもよい。
以下において「上」及び「下」とは、バキュームポンプ1が車両に設置された状態における「上」及び「下」を意味する。
【0042】
バキュームポンプ1は、ケーシング2と、ケーシング2内に設けられる気体移送部40の可動部42とを含む。
幾つかの実施形態では、図9に示すように、可動部42は、ケーシング2内に回転可能に設けられるロータ43である。ロータ43は、ケーシング2の下方に設けられたモータMによって駆動され、中心軸O周りに回転する。
【0043】
図9に示すように、ケーシング2は、可動部42としてのロータ43が収容されるポンプ室10を有する。ポンプ室10は、ケーシング2の内壁面の一部であるカム面11によって画定される。カム面11は、非円形(例えば楕円形)の輪郭によって規定される。
他方、ロータ43は、点Oを中心とする円形の輪郭によって規定される外周面44を有する。外周面44には、複数のスリット45が形成される。各々のスリット45には、ポンプ室10を複数の隔室に分割するベーン46が設けられる。
【0044】
図9に示す例では、ケーシング2は、ロータ43が収容されるポンプ室10の底面および側面を形成する凹部を有するケーシング本体3と、ポンプ室10の上面を形成するポンプカバー4とを含む。ポンプカバー4は、ポンプ室10の底面および側面を形成するケーシング本体3の凹部の開口を塞ぐことで、ケーシング本体3とともにポンプ室10を形成する。ポンプカバー4の上方には、ポンプカバー4を覆うトップカバー5が設けられる。他方、ケーシング本体3とモータMとの間には、ケーシング本体3の下側を覆うボトムカバー6が設けられる。
【0045】
トップカバー5とポンプカバー4との間にはシール部材90が設けられる。シール部材90は、内側シール部94と、内側シール部94を取り囲む外側シール部96と、内側シール部94及び外側シール部96を互いに接続する接続部95と、を含む。
【0046】
ポンプカバー4にトップカバー5が締結されると、シール部材90はシール溝91内において潰れるように弾性変形し、ポンプカバー4とトップカバー5との隙間を塞ぐ。これにより、内側シール部94と外側シール部96との間には、第2消音室60(図3参照)が形成される。
第2消音室60は、ポンプカバー4及びトップカバー5により、ポンプ室10の上方においてポンプカバー4を挟んでポンプ室10とは反対側に形成される。第2消音室60は、ポンプカバー4に設けられた2個の開口63、および、ケーシング本体3に形成される2個の連通孔64を介して、ケーシング本体3内に形成される第1消音室50に連通する。すなわち、2組の開口63及び連通孔64によって、第1消音室50と第2消音室60とを連通する2本の連通路62(図3参照)が形成される。
【0047】
ボトムカバー6は、ポンプ室10に向かう気体流れの入口である吸気ポート21を有する。
吸気ポート21は、ケーシング本体3に設けられた連通路22と、ポンプカバー4に設けられた連通路23とを介して、ポンプカバー4とトップカバー5との間に形成される吸気室24に導かれる。連通路23は、ポンプカバー4を貫通しており、ケーシング本体3に設けられた連通路22を通過後の気体は、連通路23を通ってポンプカバー4の上方に形成される吸気室24へと流入する。
【0048】
吸気室24は、ポンプカバー4に設けられた隔壁部25及び内側シール部94によって隔壁部25の周囲の第2消音室60から流体的に隔離される。
吸気室24は、ポンプカバー4に設けられたポンプ室10の吸入口12(12A,12B)を介してポンプ室10の内部空間に連通している。一対の吸入口12(12A,12B)は、ロータ43の中心軸Oを挟んで反対側に位置する。このため、吸気室24は、一対の吸入口12(12A,12B)の位置を通過するように、ロータ43の径方向に沿って、連通路23から中心軸Oを挟んで反対側に向かって延在する。
【0049】
こうして、吸気ポート21から取り込まれた気体は、連通路22、連通路23、吸気室24を順に通過した後、一対の吸入口12(12A,12B)からポンプ室10に流入する。すなわち、ポンプ室10に気体を取り込むための吸気通路20(図1図3参照)は、連通路22、連通路23及び吸気室24を含む。
【0050】
ポンプ室10の底面を構成するケーシング本体3の壁面には、ポンプ室10の吐出口14が設けられる。図9には、1個の吐出口14のみが図示されているが、中心軸Oを挟んで反対側の周方向位置にもう一つの吐出口14(不図示)が設けられている。
一対の吐出口14を介してポンプ室10から流出した気体は、ケーシング本体3及びボトムカバー6によって形成される第1消音室50(図3参照)に流入する。第1消音室50を通過後の気体は、連通孔64及び開口63を介して第2消音室60に流入し、最終的に、第2消音室60に連通する排気通路30(図1図7参照)および延長管70を介して大気に放出される。
【0051】
図9に示す例では、排気通路30は、第2消音室60と延長管70との間に位置するように、第1部品100としてのポンプカバー4、および、第2部品200としてのケーシング本体3の内部に形成される。ポンプカバー4の凸部102が、ケーシング本体3の嵌合孔202に嵌合し、凸部102の内部に設けられた第1排気通路32と、嵌合孔202によって画定される第2排気通路34とが連通し、第1排気通路32及び第2排気通路34を含む排気通路30が形成される。排気通路30は、ポンプカバー4とケーシング本体3との間に保持されるシール部材300A(図4及び図5参照)によってシールされる。シール部材300Aは、ケーシング本体3の嵌合孔202を取り囲むように設けられた環状の外周縁部210を基準として凹んだ凹部220に収容される。
【0052】
ここで、図9に示す実施形態では、ポンプカバー4には、ポンプカバー4を貫通するように2個の開口63および凸部102内の第1排気通路32が設けられる。開口63は、ポンプ室10の下方及び側方に設けられる第1消音室50(図3参照)に第2消音室60を連通させるための連通路62の一部である。第1排気通路32は、中心軸Oを基準としたロータ43の径方向において開口63よりも外側に位置する。シール部材90の外側シール部96及びシール溝91は、第1排気通路32を取り囲むように、第1排気通路32近傍において径方向外側に膨らんでいる。ケーシング2のコンパクト化を図るためには、かかる外側シール部96及びシール溝91の径方向外側への膨らみを抑制することが望ましい。他方、外側シール部96及びシール溝91の径方向外側への膨らみを過度に抑制すると、シール部材300Aを設置するためのスペース(シール部材設置用の溝)を確保できない。
この点、シール部材300Aは、径方向においてポンプカバー4の凸部102とケーシング本体3の外周縁部210との間に保持可能であり、ケーシング2のコンパクト化が可能である。
【0053】
なお、図9に示す例では、ニップル73が、第2部品200としてのケーシング本体3の嵌合孔202に下方から圧入され、ニップル73の下端にU字状のホース75が装着される。ニップル73及びホース75は、それぞれ、図8を参照して述べた延長管70の上流側部分72及び下流側部分74に相当する。
【0054】
上述の幾つかの実施形態に係るバキュームポンプ1の特徴的な構成を整理すれば、以下のとおりである。
【0055】
[1]幾つかの実施形態に係るバキュームポンプ(1)は、
ポンプ室(10)と、ポンプ室(10)に連通する吸気通路(20)および排気通路(30)とを含むケーシング(2)を備え、
ケーシング(2)は、
排気通路(30)のうち第1排気通路(32)が内部に形成された凸部(102)を有する第1部品(100)と、
排気通路(30)のうち第1排気通路(32)に連通する第2排気通路(34)を形成するとともに凸部(102)が嵌合可能な嵌合孔(202)、および、嵌合孔(202)の外周側において第1部品(100)に向かって突出して設けられる外周縁部(210)を有する第2部品(200)と、
を含み、
バキュームポンプ(1)は、径方向において第1部品(100)の凸部(102)と第2部品(200)の外周縁部(210)との間に位置するように第1部品(100)と第2部品(200)との間に保持され、第1排気通路(32)及び第2排気通路(34)を含む排気通路(30)をシールするためのシール部材(300)をさらに備える。
【0056】
従来、シール部材は、シール部材設置用の溝に設置することが一般的であった。シール部材設置用の溝は、内周側環状凸部と外周側環状凸部との間に形成される。このため、ケーシング部品間の接合面にシール部材設置用溝を形成することは、バキュームポンプのコンパクト化の障壁になり得る。
この点、上記[1]の構成によれば、径方向において第1部品(100)の凸部(102)と第2部品(200)の外周縁部(210)との間にシール部材(300)が保持されるから、第1部品(100)又は第2部品(200)の何れかにシール部材設置用の溝を形成する必要がない。よって、バキュームポンプ(1)のコンパクト化を図ることができる。
【0057】
[2]幾つかの実施形態では、上記[1]の構成において、
第1部品(100)は、第2部品(200)の上方に位置し、
第1部品(100)の凸部(102)は、第2部品(200)に向かって下方に突出するように設けられて第2部品(200)の嵌合孔(202)に嵌合される。
【0058】
上記[2]の構成によれば、第2部品(200)に対する第1部品(100)の組付けに際して、凸部(102)および嵌合孔(202)の視認性が向上し、第2部品(200)に対する第1部品(100)の位置決めのために凸部(102)および嵌合孔(202)を利用しやすくなる。
【0059】
[3]幾つかの実施形態では、上記[2]の構成において、
バキュームポンプ(1)は、排気通路(30)に連通するように第2部品(200)に取り付けられ、凸部(102)との嵌合部とは反対側における嵌合孔(202)の端部に接続される延長管(70)を備え、
延長管(70)は、
第2部品(200)から下方に延在する上流側部分(72)と、
上流側部分(72)の下流側に位置し、第2部品(200)よりも高所まで上方に向かって延在する下流側部分(74)と、
を含み、
延長管(70)は、第1排気通路(32)及び第2排気通路(34)を通過した排気流れを、第2部品(200)よりも高所に位置する延長管(70)の出口(71)まで導くように構成される。
【0060】
上記[3]の構成によれば、排気通路(30)に連通する延長管(70)の出口(71)を第2部品(200)よりも高所に設けることで、排気流路(30)を介したバキュームポンプ(1)への水の侵入を抑制できる。また、上記[1]の構成により、バキュームポンプ(1)のコンパクト化を図りながら、第1排気通路(32)と第2排気通路(34)との接続部分をシールすることができる。
こうして、簡素かつコンパクトな構成によりバキュームポンプ(1)の浸水対策を実現できる。
【0061】
[4]幾つかの実施形態では、上記[3]の構成において、
延長管(70)は、
第2部品(200)から下方に延在するように第2部品(200)の嵌合孔(202)に圧入された上流側部分(72)としてのニップル(73)と、
ニップル(73)のうち第2部品(200)からの突出部分に装着される下流側部分(74)としてのU字状のホース(75)と、
を含む。
【0062】
上記[4]の構成によれば、第2部品(200)の嵌合孔(202)に圧入されるニップル(73)と、ニップル(73)に装着されるホース(75)を用いて、追加のシール部材を設けずに、第2部品(200)よりも高所に位置する出口(71)を有する延長管(70)を実現できる。
【0063】
[5]幾つかの実施形態では、上記[1]~[4]の何れかの構成において、
ケーシング(2)は、
第1部品(100)としてのポンプカバー(4)と、
第2部品(200)としてのケーシング本体(3)と、
ポンプカバー(4)を挟んでケーシング本体(3)とは反対側に位置し、ポンプカバー(4)に取り付けられるトップカバー(5)と、
を含み、
ポンプ室(10)は、ケーシング本体(3)に設けられた凹部の開口をポンプカバー(4)が塞ぐことで、ポンプカバー(4)とケーシング本体(3)とによって形成され、
ポンプ室(10)から吐出された気体を第1排気通路(32)に導く消音室(60)が、ポンプカバー(4)およびトップカバー(5)により、ポンプ室(10)の上方においてポンプカバー(4)を挟んでポンプ室(10)とは反対側に形成される。
【0064】
上記[5]の構成では、ポンプカバー(4)及びケーシング本体(3)がそれぞれ上記[1]の構成の第1部品(100)及び第2部品(200)に相当する。すなわち、第1部品(100)としてのポンプカバー(4)及び第2部品(200)としてのケーシング本体(3)に第1排気通路(32)及び第2排気通路(34)を分散して設け、ポンプカバー(4)と第2部品(200)との間に保持されるシール部材(300)によって排気通路(30)がシールされる。シール部材(300)は、径方向においてポンプカバー(4)の凸部(102)とポンプケーシング本体(3)の外周縁部(210)との間に保持されるから、ポンプカバー(4)及びケーシング本体(3)の何れかにシール部材設置用の溝を形成する必要がない。よって、バキュームポンプ(1)のコンパクト化を図ることができる。
【0065】
[6]幾つかの実施形態では、上記[1]~[5]の何れかの構成において、
第1部品(100)は、凸部(102)の外周側において第2部品(200)と対向する平坦面(108)を有し、
第2部品(200)は、外周縁部(210)の径方向内側において外周縁部(210)を基準として凹んだ凹部(220)を有し、
嵌合孔(202)は、第1部品(100)の平坦面(108)に対向する凹部(220)の底面(222)に開口し、
シール部材(300A)は、軸方向において第1部品(100)の平坦面(108)と第2部品(200)の底面(222)との間に挟まれた状態で保持される。
【0066】
上記[6]の構成によれば、凸部(102)の外周面(106)と外周縁部(210)の内周面との間にシール部材(300A)を収容するためのスペースを確保できる。このため、第1部品(100)又は第2部品(200)の何れかにシール部材設置用の溝を形成する必要がない。よって、バキュームポンプ(1)のコンパクト化を図ることができる。
【0067】
幾つかの実施形態では、上記[6]の構成において、
シール部材(300A)は、軸方向において第1部品(100)の平坦面(108)と第2部品(200)の底面(222)との間に挟まれた状態で、凸部(102)の外周面(106)との間に径方向隙間を空けて配置される。
【0068】
上記[7]の構成によれば、凸部(102)の外周面(106)とシール部材(300A)との間に径方向隙間が維持されるので、第2部品(200)から第1部品(100)と取り外したとき、シール部材(300A)は第2部品(200)の凹部(220)に残留する。このため、バキュームポンプ(1)の分解に際して、第1部品(100)の凸部(102)からシール部材(300A)を容易に取り外せなくなる事態を防止できる。
【0069】
[8]幾つかの実施形態では、上記[7]の構成において、
シール部材(300A)は、軸方向において第1部品(100)の平坦面(108)と第2部品(200)の底面(222)との間に挟まれた状態で、第2部品(200)の外周縁部(210)に密着するように構成される。
【0070】
上記[8]の構成によれば、シール部材(300A)が、第1部品(100)の平坦面(108)と第2部品(200)の底面(222)との間に挟まれた状態で、外周縁部(210)にも密着するので、シール部材(300A)による高いシール効果を得ることができる。
【0071】
[9]幾つかの実施形態では、上記[1]~[5]の何れかの構成において、
シール部材(300B)は、径方向において、第1部品(100)の凸部(102)の外周面(106)と、第2部品(200)の外周縁部(210)の内周面に連なる嵌合孔(202)の内壁面との間に挟まれた状態で保持される。
【0072】
上記[9]の構成によれば、シール部材(300A)は、凸部(102)の外周面(106)と嵌合孔(202)の内壁面との間に保持される。このため、第1部品(100)又は第2部品(200)の何れかにシール部材設置用の溝を形成する必要がない。よって、バキュームポンプ(1)のコンパクト化を図ることができる。
【0073】
本明細書において、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
また、本明細書において、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
また、本明細書において、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【符号の説明】
【0074】
1(1A~1C) :バキュームポンプ
2(2A,2B) :ケーシング
3 :ケーシング本体
4 :ポンプカバー
5 :トップカバー
10 :ポンプ室
20 :吸気通路
30 :排気通路
32 :第1排気通路
34 :第2排気通路
50 :第1消音室
60 :第2消音室(消音室)
70 :延長管
72 :上流側部分
73 :ニップル
74 :下流側部分
75 :ホース
100 :第1部品
102 :凸部
106 :外周面
108 :平坦面
113 :外周縁
200 :第2部品
202 :嵌合孔
210 :外周縁部
220 :凹部
222 :底面
300(300A,300B) :シール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9