(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179421
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】転写補助材の供給装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/16 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G03G15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098268
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【弁理士】
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】三橋 利彦
(72)【発明者】
【氏名】山浦 正彰
(72)【発明者】
【氏名】高橋 晃宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 万里子
(72)【発明者】
【氏名】金山 清俊
(72)【発明者】
【氏名】近藤 洋太
【テーマコード(参考)】
2H200
【Fターム(参考)】
2H200GA12
2H200GA23
2H200GA47
2H200JA02
2H200JA21
2H200JC03
(57)【要約】
【課題】貯留された転写補助材を崩す崩し手段を有しない場合に比べて、像保持手段への転写補助材の供給を安定させること。
【解決手段】転写を補助する転写補助材を収容する収容手段(3)と、転写補助材を保持して回転し且つ像保持手段(B)に接触して転写補助材を供給する補助材保持手段(8)と、転写補助材が貯留されて補助材保持手段(8)が転写補助材を保持する貯留部(9)に対し、貯留部(9)の転写補助材を崩す崩し手段(7)とを備え、像保持手段(B)に転写補助材を供給することを特徴とする転写補助材の供給装置(1)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に転写される画像を保持する像保持手段に転写補助材を供給する供給装置であって、
転写を補助する前記転写補助材を収容する収容手段と、
前記転写補助材を保持して回転し且つ前記像保持手段に接触して前記転写補助材を供給する補助材保持手段と、
前記転写補助材が貯留されて前記補助材保持手段が前記転写補助材を保持する貯留部に対し、前記貯留部の前記転写補助材を崩す崩し手段と、
を備え、
前記像保持手段に前記転写補助材を供給することを特徴とする転写補助材の供給装置。
【請求項2】
前記収容手段の壁面を加振して粉状の前記転写補助材を崩す前記崩し手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の転写補助材の供給装置。
【請求項3】
前記補助材保持手段が前記転写補助材を保持する位置に向けて傾斜する前記壁面、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の転写補助材の供給装置。
【請求項4】
前記転写補助材を保持する位置に対応して配置された第1壁面と、前記転写補助材を保持する位置から離れた位置に配置され前記第1壁面に接続された第2壁面と、を有する前記壁面と、
前記第2壁面を加振する前記崩し手段と、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の転写補助材の供給装置。
【請求項5】
固定の前記第1壁面と、可動の前記第2壁面と、を有する前記壁面、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の転写補助材の供給装置。
【請求項6】
弾性材料で構成された前記第2壁面、
を備えたことを特徴とする請求項4に記載の転写補助材の供給装置。
【請求項7】
前記第1壁面の振動を抑制する抑制手段を設けた
ことを特徴とする請求項4に記載の転写補助材の供給装置。
【請求項8】
前記崩し手段が加振する振動数は、前記補助材保持手段の回転数よりも大きい
ことを特徴とする請求項2に記載の転写補助材の供給装置。
【請求項9】
前記収容手段に収容された前記転写補助材を前記補助材保持手段に向けて搬送する搬送手段であって、前記壁面に接触して前記壁面を加振する前記搬送手段により構成された前記崩し手段、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の転写補助材の供給装置。
【請求項10】
前記壁面の外部に配置され、回転軸を中心に回転し且つ周方向に沿って径の長さが変化する偏心手段により構成された前記崩し手段であって、前記偏心手段の回転に伴って前記壁面に外方から接触して前記壁面を振動させる前記崩し手段、
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の転写補助材の供給装置。
【請求項11】
前記転写補助材が固められた固形物に接触して前記固形物から転写補助材を掻き取って粉状の転写補助材の一部を保持すると共に、掻き取った転写補助材の残りを前記貯留部に貯留させる前記補助材保持手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の転写補助材の供給装置。
【請求項12】
前記転写補助材が固められた固形物に接触して前記固形物から前記転写補助材を掻き取って、掻き取った前記転写補助材を前記貯留部に貯留させる掻き取り手段、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の転写補助材の供給装置。
【請求項13】
掻き取った粉状の前記転写補助材の一部を保持し且つ前記補助材保持手段に接触して前記補助材保持手段に前記転写補助材を供給する前記掻き取り手段、
を備えたことを特徴とする請求項12に記載の転写補助材の供給装置。
【請求項14】
像保持手段と、
前記像保持手段に保持された画像を媒体に転写する転写手段と、
前記像保持手段に転写補助材を供給する請求項1ないし13のいずれかに記載の転写補助材の供給装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写補助材の供給装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
像保持手段上の現像剤の像を、紙等の媒体に静電的に転写、定着して画像形成を行う画像形成装置において、、以下の特許文献1に記載の技術が知られている。
【0003】
特許文献1としての特開2006-313377号公報には、像担持体(1Y,1M,1C,1K)または中間転写体(5a,5b,6)の表面に、転写助剤としての微粒子を塗布する微粒子付着装置(100)において、回転ブラシ(106)にパドル(107)で微粒子を供給し、回転ブラシ(106)に接触する棒状部材(108)で過剰な微粒子を払い落としたあと、回転ブラシ(106)から微粒子塗布ロール(101)に微粒子が付着し、微粒子塗布ロール(101)の表面が接触する中間転写体(5a,5b,6)等に微粒子が塗布される技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-313377号公報(「0047」-「0062」、
図1、
図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、貯留された転写補助材を崩す崩し手段を有しない場合に比べて、像保持手段への転写補助材の供給を安定させることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために、請求項1に記載の発明の転写補助材の供給装置は、
媒体に転写される画像を保持する像保持手段に転写補助材を供給する供給装置であって、
転写を補助する前記転写補助材を収容する収容手段と、
前記転写補助材を保持して回転し且つ前記像保持手段に接触して前記転写補助材を供給する補助材保持手段と、
前記転写補助材が貯留されて前記補助材保持手段が前記転写補助材を保持する貯留部に対し、前記貯留部の前記転写補助材を崩す崩し手段と、
を備え、
前記像保持手段に前記転写補助材を供給することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の転写補助材の供給装置において、
前記収容手段の壁面を加振して粉状の前記転写補助材を崩す前記崩し手段、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の転写補助材の供給装置において、
前記補助材保持手段が前記転写補助材を保持する位置に向けて傾斜する前記壁面、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の転写補助材の供給装置において、
前記転写補助材を保持する位置に対応して配置された第1壁面と、前記転写補助材を保持する位置から離れた位置に配置され前記第1壁面に接続された第2壁面と、を有する前記壁面と、
前記第2壁面を加振する前記崩し手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の転写補助材の供給装置において、
固定の前記第1壁面と、可動の前記第2壁面と、を有する前記壁面、
を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の転写補助材の供給装置において、
弾性材料で構成された前記第2壁面、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の転写補助材の供給装置において、
前記第1壁面の振動を抑制する抑制手段を設けた
ことを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項2に記載の転写補助材の供給装置において、
前記崩し手段が加振する振動数は、前記補助材保持手段の回転数よりも大きい
ことを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項2に記載の転写補助材の供給装置において、
前記収容手段に収容された前記転写補助材を前記補助材保持手段に向けて搬送する搬送手段であって、前記壁面に接触して前記壁面を加振する前記搬送手段により構成された前記崩し手段、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項2に記載の転写補助材の供給装置において、
前記壁面の外部に配置され、回転軸を中心に回転し且つ周方向に沿って径の長さが変化する偏心手段により構成された前記崩し手段であって、前記偏心手段の回転に伴って前記壁面に外方から接触して前記壁面を振動させる前記崩し手段、
を備えたことを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1に記載の転写補助材の供給装置において、
前記転写補助材が固められた固形物に接触して前記固形物から転写補助材を掻き取って粉状の転写補助材の一部を保持すると共に、掻き取った転写補助材の残りを前記貯留部に貯留させる前記補助材保持手段、
を備えたことを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の転写補助材の供給装置において、
前記転写補助材が固められた固形物に接触して前記固形物から前記転写補助材を掻き取って、掻き取った前記転写補助材を前記貯留部に貯留させる掻き取り手段、
を備えたことを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項12に記載の転写補助材の供給装置において、
掻き取った粉状の前記転写補助材の一部を保持し且つ前記補助材保持手段に接触して前記補助材保持手段に前記転写補助材を供給する前記掻き取り手段、
を備えたことを特徴とする。
【0019】
前記技術的課題を解決するために、請求項14に記載の発明の画像形成装置は、
像保持手段と、
前記像保持手段に保持された画像を媒体に転写する転写手段と、
前記像保持手段に転写補助材を供給する請求項1ないし13のいずれかに記載の転写補助材の供給装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1,14に記載の発明によれば、貯留された転写補助材を崩す崩し手段を有しない場合に比べて、像保持手段への転写補助材の供給を安定させることができる。
請求項2に記載の発明によれば、粉状の転写補助材が固結していても、崩し手段で崩して補助材保持手段に送ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、傾斜する壁面に沿って転写補助材を補助材保持手段に向けて送ることができる。
請求項4に記載の発明によれば、補助材保持手段に近い第1壁面が加振される場合に比べて、補助材保持手段に悪影響を及ぼすことが抑制される。
請求項5に記載の発明によれば、第1壁面も可動の場合に比べて、補助材保持手段に保持される転写補助材のムラが抑制される。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、第2壁面が弾性変形して固結した転写補助材を崩すことができる。
請求項7に記載の発明によれば、抑制手段を有しない場合に比べて、第1壁面の振動が抑制され、補助材保持手段に保持される転写補助材のムラが抑制される。
請求項8に記載の発明によれば、加振の振動数が補助材保持手段の回転数よりも小さい場合に比べて、補助材保持手段に保持される転写補助材のムラが抑制される。
請求項9に記載の発明によれば、転写補助材の搬送と加振とを別個に行う場合に比べて、部品点数を削減できる。
請求項10に記載の発明によれば、偏心手段の加振で固結した転写補助材を崩すことができる。
【0022】
請求項11に記載の発明によれば、固形物から転写補助材を掻き取る部材を補助材保持手段とは別に設ける場合に比べて、部品点数を削減できる。また、転写補助材の固形物を使用しない場合に比べて、転写補助材の補充作業を容易に行うことができる。
請求項12に記載の発明によれば、固形物から転写補助材を補助材保持手段で直接掻き取る場合に比べて、補助材保持手段の経時的な摩耗を抑制できる。また、転写補助材の固形物を使用しない場合に比べて、転写補助材の補充作業を容易に行うことができる。
請求項13に記載の発明によれば、掻き取り手段から補助材保持手段に転写補助材を直接供給できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【
図2】
図2は実施例1の可視像形成装置の拡大説明図である。
【
図3】
図3は実施例1の転写補助材の供給装置の説明図である。
【
図6】
図6は実施例2の転写補助材の供給装置の説明図であり、実施例1の
図3に対応する図である。
【
図7】
図7は実施例3の転写補助材の供給装置の説明図であり、実施例1の
図3に対応する図である。
【
図8】
図8は実施例4の転写補助材の供給装置の説明図であり、実施例1の
図3に対応する図である。
【
図9】
図9は実施例5の転写補助材の供給装置の説明図であり、実施例1の
図3に対応する図である。
【
図10】
図10は実施例6の転写補助材の供給装置の説明図であり、実施例1の
図3に対応する図である。
【
図11】
図11は実施例7の転写補助材の供給装置の説明図であり、実施例1の
図3に対応する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例(以下、実施例と記載する)を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,-X,Y,-Y,Z,-Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例0025】
図1は実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図2は実施例1の可視像形成装置の拡大説明図である。
図1において、画像形成装置の一例としての複写機Uは、操作部の一例としてのユーザインタフェースUI、画像読取装置の一例としてのスキャナ部U1、媒体供給装置の一例としてのフィーダ部U2、画像記録装置の一例としての作像部U3、および媒体処理装置U4を有している。
【0026】
(ユーザインタフェースUIの説明)
ユーザインタフェースUIは、複写開始や複写枚数の設定などに用いられる入力ボタンUIaを有する。また、前記ユーザインタフェースUIは、前記入力ボタンUIaにより入力された内容や、複写機Uの状態が表示される表示部UIbを有する。
【0027】
(フィーダ部U2の説明)
図1において、フィーダ部U2は、媒体収容容器の一例としての複数の給紙トレイTR1,TR2,TR3,TR4を有している。また、前記フィーダ部U2は、前記各給紙トレイTR1~TR4に収容された画像記録用の媒体の一例としての記録用紙Sを取り出して、作像部U3に搬送する媒体供給路SH1等を有している。
【0028】
(作像部U3及び媒体処理装置U4の説明)
図1において、作像部U3は、前記フィーダ部U2から搬送された記録用紙Sにスキャナ部U1により読み取った原稿画像に基づいて画像記録を行う画像記録部U3aを有する。
図1、
図2において、作像部U3の潜像形成装置の駆動回路Dは、スキャナ部U1から入力された画像情報に基づいて、それに応じた駆動信号を予め設定された時期に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の潜像形成装置ROSy,ROSm,ROSc,ROSkに出力する。書き込み手段の一例としての各潜像形成装置ROSy~ROSkの下方には、像保持手段の一例としての感光体ドラムPy,Pm,Pc,Pkが配置されている。
【0029】
回転する感光体ドラムPy~Pk表面は、それぞれ、帯電手段の一例としての帯電ロールCRy,CRm,CRc,CRkにより一様に帯電される。表面が帯電された感光体ドラムPy~Pkの表面には、潜像形成装置ROSy~ROSkの出力する潜像書込光の一例としてのレーザビームLy,Lm,Lc,Lkにより静電潜像が形成される。感光体ドラムPy~Pkの表面の静電潜像は、現像手段の一例としての現像装置Gy,Gm,Gc,Gkによりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の可視像の一例としてのトナー像に現像される。
なお、現像装置Gy~Gkにおいて、現像により消費された現像剤は、現像剤の収容手段の一例としてのトナーカートリッジKy,Km,Kc,Kkから補給される。トナーカートリッジKy~Kkは、現像剤補給装置U3bに着脱可能に装着される。
【0030】
感光体ドラムPy~Pk表面上のトナー像は、転写手段の一例であって一次転写器の一例としての1次転写ロールT1y,T1m,T1c,T1kにより、中間転写手段の一例としての中間転写ベルトB上に1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kで順次重ねて転写され、中間転写ベルトB上に多色可視像の一例としてのカラートナー像が形成される。中間転写ベルトB上に形成されたカラートナー像は、2次転写領域Q4に搬送される。
なお、K色の画像情報のみの場合はK色の感光体ドラムPkおよび現像装置Gkのみが使用され、K色のトナー像のみが形成される。
1次転写後の感光体ドラムPy~Pkは、像保持手段の清掃手段の一例としてのドラムクリーナCLy,CLm,CLc,CLkにより、表面に付着した残留現像剤や紙粉等の残留物が除去される。
【0031】
実施例1では、感光体ドラムPk、帯電ロールCRk、ドラムクリーナCLkが、像保持体ユニットの一例としてのK色の感光体ユニットUKとして一体化されている。そして、他の色Y,M,Cについても同様に、感光体ドラムPy,Pm,Pc、帯電ロールCRy,CRm,CRc、ドラムクリーナCLy,CLm,CLcにより、感光体ユニットUY,UM,UCが構成されている。
また、K色の感光体ユニットUKと、現像剤保持手段の一例としての現像ロールR0kを有する現像装置Gkとにより、K色の像形成手段UK+Gkが構成される。同様に、Y,M,C色の感光体ユニットUY,UM,UCと、現像ロールR0y,R0m,R0cを有する現像装置Gy,Gm,Gcとにより、それぞれ、Y,M,C色の像形成手段UY+Gy,UM+Gm,UC+Gcが構成される。
【0032】
感光体ドラムPy~Pkの下方には、中間転写手段の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。ベルトモジュールBMは、像保持手段の一例としての中間転写ベルトBと、中間転写手段の駆動手段の一例としての駆動ロールRd、張力付与手段の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止手段の一例としてのウォーキングロールRw、従動手段の一例としての複数のアイドラロールRfおよび対向手段の一例としてのバックアップロールT2aと、前記1次転写ロールT1y~T1kとを有する。中間転写ベルトBは矢印Ya方向に回転移動可能に支持されている。
なお、実施例1のY,M,C色の1次転写ロールT1y,T1m,T1cは、感光体ドラムPy,Pm,Pcに対して接近、離間可能に支持されている。Y,M,C色の1次転写ロールT1y,T1m,T1cは、多色印刷(カラー印刷)の場合には、感光体ドラムPy~Pcに接近して中間転写ベルトBを、予め定められた接触圧で挟み込む。一方、黒色のみの単色印刷(モノクロ印刷)の場合には、感光体ドラムPy~Pcから離間する。
【0033】
前記バックアップロールT2aの下方には、2次転写ユニットUtが配置されている。前記2次転写ユニットUtは、2次転写手段の一例としての2次転写ロールT2bを有する。前記2次転写ロールT2bが中間転写ベルトBと接触する領域により2次転写領域Q4が形成されている。また、2次転写ロールT2bには、中間転写ベルトBを挟んで、対向手段の一例としてのバックアップロールT2aが対向している。バックアップロールT2aには、給電手段の一例としてのコンタクトロールT2cが接触している。コンタクトロールT2cには、トナーの帯電極性と同極性の2次転写電圧が印加される。
前記バックアップロールT2a、2次転写ロールT2b及びコンタクトロールT2cにより、転写手段の一例としての2次転写器T2が構成されている。
【0034】
なお、実施例1の2次転写ユニットUtは、中間転写ベルトBに対して接近、離間方向に移動可能に構成されている。使用される記録用紙Sの種類に応じて2次転写ユニットUtが移動して2次転写ロールT2bと中間転写ベルトBとの接触圧を変化させる。例えば、厚紙が使用される場合には、普通紙を使用する場合に比べて接触圧を弱めて、厚紙の前端が2次転写領域Q4に突入する際の衝撃を緩和することが可能である。
【0035】
前記ベルトモジュールBMの下方には、媒体の搬送路SH2が配置されている。前記フィーダ部U2の媒体供給路SH1から給紙された記録用紙Sは、媒体の搬送手段の一例としての搬送ロールRaにより、搬送時期の調節手段の一例としてのレジロールRrに搬送される。レジロールRrは、中間転写ベルトB上に形成されたトナー像が2次転写領域Q4に搬送される時期に合わせて、記録用紙Sを下流側に搬送する。レジロールRrにより送り出された記録用紙Sは、レジ側の用紙ガイドSGr、転写前の用紙ガイドSG1で案内されて、2次転写領域Q4に搬送される。
中間転写ベルトB上のトナー像は、2次転写領域Q4を通過する際に、2次転写器T2により記録用紙Sに転写される。なお、カラートナー像の場合は中間転写ベルトB表面に重ねて1次転写されたトナー像が一括して記録用紙Sに2次転写される。
前記1次転写ロールT1y~T1k、前記2次転写器T2、中間転写ベルトBにより、実施例1の転写装置(転写手段)T1y~T1k+T2+Bが構成されている。
【0036】
2次転写後の中間転写ベルトBは、2次転写領域Q4の下流側に配置された中間転写手段の清掃手段の一例としてのベルトクリーナCLBにより清掃される。ベルトクリーナCLBは、2次転写領域Q4において、転写されずに残った現像剤や紙粉などの残留物を、中間転写ベルトBから除去する。
【0037】
トナー像が転写された記録用紙Sは、転写後の用紙ガイドSG2で案内されて、媒体搬送手段の一例としてのベルト搬送装置BHに送られる。ベルト搬送装置BHは、記録用紙Sを定着装置Fに搬送する。
定着装置Fは、加熱手段の一例としての加熱ロールFhと加圧手段の一例としての加圧ロールFpとを有する。記録用紙Sは、加熱ロールFhと加圧ロールFpとが接触する領域である定着領域Q5に搬送される。記録用紙Sのトナー像は、定着領域Q5を通過する際に、定着装置Fにより加熱および加圧されて、定着される。
前記像形成手段UY+Gy~UK+Gk、転写装置T1y~T1k+T2+B、定着装置Fにより、実施例1の画像形成手段の一例としての画像記録部U3aが構成されている。
【0038】
前記定着装置Fの下流側には、切替手段の一例としての切替ゲートGT1が設けられている。前記切替ゲートGT1は、定着領域Q5を通過した記録用紙Sを、媒体処理装置U4側の排出路SH3または反転路SH4のいずれかに、選択的に切り替える。排出路SH3に搬送された記録用紙Sは、媒体処理装置U4の用紙搬送路SH5に搬送される。用紙搬送路SH5には、反りの補正手段の一例としてのカール補正部材U4aが配置されている。カール補正部材U4aは、搬入された記録用紙Sの反り、いわゆるカールを補正する。カールが補正された記録用紙Sは、媒体の排出部材の一例としての排出ロールRhにより、媒体の排出部の一例としての排出トレイTH1に、用紙の画像定着面が上向きで排出される。
【0039】
前記切替ゲートGT1により作像部U3の反転路SH4側に搬送された記録用紙Sは、切替部材の一例としての第2のゲートGT2を通って作像部U3の反転路SH4に搬送される。
このとき、記録用紙Sの画像定着面を下向きに排出する場合には、第2のゲートGT2を記録用紙Sの搬送方向後端が通過した後に、記録用紙Sの搬送方向を逆転させる。ここで、実施例1の第2のゲートGT2は、薄膜状の弾性部材により構成されている。したがって、第2のゲートGT2は、反転路SH4に搬送されてきた記録用紙Sをそのまま一旦通過させ、通過した記録用紙Sが反転、いわゆるスイッチバックされてくると、搬送路SH3,SH5側に案内する。そして、スイッチバックされた記録用紙Sは、カール補正部材U4aを通過して、画像定着面が下を向いた状態で排出トレイTH1に排出される。
【0040】
前記作像部U3の反転路SH4には循環路SH6が接続されており、その接続部には、切替手段の一例としての第3のゲートGT3が配置されている。また、反転路SH4の下流端は、媒体処理装置U4の反転路SH7に接続されている。
前記切替ゲートGT1を通って反転路SH4に搬送された記録用紙Sは、第3のゲートGT3により前記媒体処理装置U4の反転路SH7側に搬送される。実施例1の第3のゲートGT3は、第2のゲートGT2と同様に、薄膜状の弾性部材により構成されている。したがって、第3のゲートGT3は、反転路SH4を搬送されてきた記録用紙Sを、一旦通過させ、通過した記録用紙Sがスイッチバックされてくると、循環路SH6側に案内する。
【0041】
前記循環路SH6に搬送された記録用紙Sは、媒体の搬送路SH2を通って2次転写領域Q4に再送され、二面目の印刷が行われる。
前記符号SH1~SH7で示された要素により用紙搬送路SHが構成されている。また、前記符号SH,Ra,Rr,Rh,SGr,SG1,SG2,BH,GT1~GT3で示された要素により、実施例1の用紙搬送装置SUが構成されている。
【0042】
(転写補助材の供給装置の説明)
図3は実施例1の転写補助材の供給装置の説明図である。
図3において、像保持手段の一例としての中間転写ベルトBの回転方向に対して、ベルトクリーナCLBの下流側には、転写補助材の供給装置1が配置されている。転写補助材の供給装置1は、筐体の一例としてのハウジング2を有する。ハウジング2は、略上下方向に延びる側壁2aと、側壁2aの下端から中間転写ベルトB側に延びる底板2bとを有する。
ハウジング2の内部には、収容手段の一例としての収容室3が配置されている。実施例1の収容室3は、側壁2aの内側に配置された壁部4と、壁部4と中間転写ベルトBとの間に配置された遮蔽手段の一例としての遮蔽板6と、で囲まれている。収容室3の内部には、転写補助材の一例としての粉状のシリカ(SiO
2)の粒子が収容されている。シリカは、転写を補助する目的で、現像剤の外添される外添剤として公知であり、外添剤と同様のものを使用可能である。したがって、シリカは、現像剤よりも小径の粒子で構成されており、一例として、直径が100nmオーダーの粒子が使用可能である。なお、転写補助材としてシリカを例示したが、これに限定されず、転写補助材として使用可能な任意の材料を使用可能である。
【0043】
実施例1の壁部4は、下方に行くにつれて中間転写ベルトB側に傾斜する傾斜壁で構成されている。壁部4の傾斜角は、設計や仕様等に応じて任意に設定可能であるが、収容室3内のシリカが壁部4に沿って下方(後述する楔状空間9)に移動しやすいように水平に対して45°以上の傾斜角であることが好ましい。
実施例1の壁部4は、第1壁面の一例としての下側の固定壁部4aと、第2壁面の一例としての上側の揺動壁部4bとを有する。実施例1の揺動壁部4bは、下端の揺動支点4cを中心として揺動可能に支持されている。すなわち、揺動壁部4bは固定壁部4aに対して移動、揺動、振動が可能である。揺動壁部4bと側壁2aとの間には、揺動壁部4bを中間転写ベルトB側に付勢する付勢手段の一例としてのバネ4dが支持されている。揺動壁部4bは、板金等の剛性の高い材料で構成することも可能であるし、PET等の樹脂のシートで構成することも可能である。
【0044】
図4は揺動壁部の揺動の説明図である。
揺動壁部4bの上方には、搬送手段の一例であって、崩し手段の一例としてのパドル7が配置されている。パドル7は、回転軸7aと、回転軸7aから径方向に延びる板状のパドル本体7bとを有する。回転軸7aには、図示しない駆動源の一例としてのモータから駆動が伝達される。したがって、パドル7が回転軸7aを中心に回転すると、収容室3内のシリカを下方(後述する供給ロール8)に向けて搬送すると共に、パドル本体7bが揺動壁部4bに間欠的に接触して、揺動壁部4bが加振される。したがって、パドル7で転写補助材を搬送しながら、揺動壁部4bが揺動支点4cを中心として揺動、振動し、収容室3のシリカの粉が凝集したり、固結していた場合に、シリカを崩すことが可能である。なお、実施例1では、転写補助材の搬送と加振を1つのパドル7で兼用させて、部品点数を削減し、製造費用が削減されているが、この例に限定されない。すなわち、転写補助材の搬送と、加振とを別個の部材で行う形態とすることも可能である。
【0045】
図3、
図4において、収容室3の下部には、補助材保持手段の一例としての供給ロール8が配置されている。供給ロール8は、図示しない駆動源の一例としてのモータから駆動が伝達されて、回転可能である。供給ロール8は、収容室3からのシリカの粒子が表面に供給される。供給ロール8は、一例として表面に多数の凹凸を有する発泡材料で構成されており、凹み部分にシリカの粒子を保持可能である。なお、発泡材料に限定されず、ビーズブラスト加工等で表面に凹凸が形成された部材を使用することも可能である。凹凸の大きさは、転写補助材の粒径に応じて選択可能であるが、100nmオーダーの粒子の場合、直径が100~200μm程度の凹凸とすることが可能である。
供給ロール8は、固定壁部4aに接触して配置されており、供給ロール8の表面と固定壁部4aとで、貯留部の一例として、収容室3の下端部の楔状空間9が形成されている。したがって、楔状空間9において、シリカが供給ロール8に保持、供給される。
【0046】
また、実施例1では、供給ロール8と固定壁部4aとの対向位置8aは、揺動支点4cから離れた位置に設定されている。対向位置8aと揺動支点4cとの距離は、設計や仕様等に応じて適宜変更可能であるが、対向位置8aと揺動支点4cとの距離が近すぎると揺動壁部4bの振動の悪影響(振動に伴いシリカを供給ロール8に向けて押す量の増減、ムラ)が発生しやすく、距離が遠すぎると崩す効果が楔状空間9に届きにくくなる。したがって、対向位置8aと揺動支点4cとの距離は、振動の悪影響が及びにくく、崩しの効果が届きやすい距離にすることが好ましく、例えば、供給ロール8の半径程度の距離に設定することが好ましい。
【0047】
供給ロール8は、中間転写ベルトBと対向接触する供給位置8bにおいて、シリカを中間転写ベルトBに供給する。
実施例1の供給ロール8の回転の速度は、供給位置8bにおける線速(表面の移動速度)が、中間転写ベルトBの線速に対して、同速ではなく、速度差をつけることが好ましい。供給ロール8が発泡材料で構成される場合、表面の凹凸にムラが発生しやすく、供給されるシリカの量にもムラが発生する場合がある。同速の場合には、供給ロール8のムラが中間転写ベルトB上でもムラになりやすいが、速度差を設けた場合、中間転写ベルトBの表面に対して供給ロール8の表面が相対的に移動することとなり、供給量のムラの部分が相対移動する表面で押されて均されやすくなるため好ましい。
【0048】
また、実施例1の供給ロール8の回転数(回転の振動数)f1は、パドル7で加振されて振動する揺動壁部4bの振動数f2に対して、f2>f1に設定することが好ましい。f2<f1の場合、供給ロール8の回転に対して、シリカが崩される間隔が長くなり、シリカが崩されない状態で供給ロール8が回転して、供給ロール8に対して収容室3からシリカが供給されない期間が発生する恐れがあり、供給ロール8に保持されるシリカの量にばらつき、ムラが発生する恐れがある。したがって、f2>f1に設定することが好ましい。なお、温度や湿度によって固結しにくい状況の場合や、シリカよりも凝集性が低く固結しにくい転写補助材を使用する場合には、f2<f1に設定することも可能である。
【0049】
図3において、供給ロール8と遮蔽板6との間には、遮蔽フィルム6aが配置されている。したがって、収容室3から中間転写ベルトB側にシリカの粉が雪崩れ込まないように遮蔽フィルム6aで仕切られている。
中間転写ベルトBの回転方向に対して、供給位置8bよりも下流側には、均し手段の一例としての均しブレード11が配置されている。均しブレード11は、中間転写ベルトBの表面に接触して、中間転写ベルトBの表面に供給されたシリカの層厚を均す。したがって、例えば、シリカの粒が凝集した粗大粉が中間転写ベルトBの表面に供給された場合には、均しブレード11で除去されたり崩されたりすることとなる。
均しブレード11は、ベルトクリーナCLBで使用されるクリーニングブレードと同様の部材で構成することが可能である。なお、均しブレード11は、中間転写ベルトBから残留物を除去するクリーニングブレードとは目的が異なっており、均しブレード11と中間転写ベルトBとの接触角はクリーニングブレードよりも小さく(浅く)設定され、残留物を除去する能力はクリーニングブレードよりも低く設定されている。
【0050】
(実施例1の作用)
図5は実施例1の作用説明図である。
前記構成を備えた実施例1の転写補助材の供給装置1では、収容室3の転写補助材であるシリカが、供給ロール8に保持されて中間転写ベルトBに供給される。転写補助材が中間転写ベルトBの表面に供給されると、1次転写領域Q3y~Q3kにおいて、中間転写ベルトBの表面の転写補助材の層のさらに表面に感光体ドラムPy~Pkから像が転写されることとなる。したがって、2次転写領域Q4では、転写補助材の層を有しない場合に比べて、転写補助材の層が存在する場合の方が、記録用紙Sに中間転写ベルトBから像が転写されやすい。よって、普通紙に比べて密度の小さい和紙や凹凸の大きなエンボス紙等のように、転写不良が発生しやすい記録用紙Sを使用する場合に、転写補助材を供給して、転写不良の発生が抑制可能である。
【0051】
ここで、一般に、粉体は、熱や湿気、あるいは、細かい粒子の場合は分子間力等の結合力が作用して、固結、凝集しやすい。粉体が固結すると、
図5に示すように、固結してブロック状になった粉体ブロック01と供給ロール8との間に隙間02が形成される。したがって、供給ロール8が粉体ブロック01に対して空回りする状態になり、供給ロール8に粉体が供給されない状況になる。したがって、中間転写ベルトBに対して、シリカが供給されなかったり、供給ムラが発生しやすくなる。特許文献1に記載の構成でも、パドル(107)の部分で発生しやすく、固結した粉体に対してパドル(107)が空回りして供給ムラの恐れがある。
【0052】
これに対して、実施例1では、揺動壁部4bの振動に伴って、収容室3のシリカが加振され、楔状空間9のシリカも影響を受ける。したがって、収容室3や楔状空間9のシリカが固結したり凝集していても崩され、供給ロール8に向けて供給されやすい。よって、収容室3の現像剤を崩す構成を有しない従来の構成に比べて、中間転写ベルトBへのシリカの供給が安定しやすい。
特に、実施例1では、対向位置8aの部分には固定壁部4aが配置されており、振動の悪影響が供給ロール8に及びにくい。シリカの固結対策の面では、固定壁部4aの部分も振動、揺動する構成とすることも有効である。ただし、固定壁部4aが揺動すると、対向位置8aにおいて固定壁部4aと供給ロール8の間隔が増減することとなり、供給ロール8の表面に保持されるシリカの量にムラが発生する恐れがある。実施例1では、対向位置8aでは供給ロール8に固定壁部4aが対向しており、振動の悪影響が及びにくい。よって、固定壁部4aも振動する構成に比べて、実施例1の構成は、供給ロール8へのシリカの供給量が安定しやすく、中間転写ベルトBに対するシリカの供給も安定しやすい。