(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179425
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの製造方法および太陽電池モジュールの製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 31/048 20140101AFI20241219BHJP
B29C 43/34 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L31/04 560
B29C43/34
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098274
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】304021288
【氏名又は名称】国立大学法人長岡技術科学大学
(71)【出願人】
【識別番号】393011773
【氏名又は名称】株式会社羽生田鉄工所
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 昇
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 傑
【テーマコード(参考)】
4F204
5F251
【Fターム(参考)】
4F204AA11
4F204AA16
4F204AA21
4F204AA28
4F204AC03
4F204AD05
4F204AD08
4F204AD19
4F204AD20
4F204AD35
4F204AG03
4F204AH37
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB17
4F204FF01
4F204FF05
4F204FG02
4F204FN11
4F204FN15
5F251BA14
5F251JA03
5F251JA04
5F251JA05
(57)【要約】
【課題】半球面や鞍型面などの非可展面を含む所望の3次元形状にできるとともに、生産性の向上が可能な太陽電池モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】太陽電池モジュール1の製造方法は、マトリクス配置した複数の太陽電池セル2を第1の熱可塑性樹脂3aで覆って加熱加圧することで第1の熱可塑性樹脂3aからなる封止層3を有する太陽電池基板5にする封止ステップと、強化繊維7と第2の熱可塑性樹脂6aからなる補強層6、太陽電池基板5、第3の熱可塑性樹脂4aからなる保護層4の順に積層して加熱加圧することで補強層6と太陽電池基板5と保護層4が一体構造になった中間体8にする1次成形ステップと、中間体8における補強層6を型に合わせて加熱加圧することで中間体8を前記型に合わせた3次元形状にする2次成形ステップを有する構成である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリクス配置した複数の太陽電池セルを第1の熱可塑性樹脂で覆って加熱加圧することで前記第1の熱可塑性樹脂からなる封止層を有する太陽電池基板にする封止ステップと、
強化繊維と第2の熱可塑性樹脂からなる補強層、前記太陽電池基板、第3の熱可塑性樹脂からなる保護層の順に積層して加熱加圧することで前記補強層と前記太陽電池基板と前記保護層が一体構造になった中間体にする1次成形ステップと、
前記中間体における前記補強層を型に合わせて加熱加圧することで前記中間体を前記型に合わせた3次元形状にする2次成形ステップを有すること
を特徴とする太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項2】
前記2次成形ステップにおいて、前記補強層における、シート状に形成し厚み方向に積層した前記強化繊維と前記第2の熱可塑性樹脂とを互いに接着させ、前記第2の熱可塑性樹脂と前記第1の熱可塑性樹脂とを互いに接着させ、かつ、前記第1の熱可塑性樹脂と前記第3の熱可塑性樹脂とを互いに接着させること
を特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項3】
前記2次成形ステップはオートクレーブによって加熱加圧すること
を特徴とする請求項1または2に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項4】
マトリクス配置した複数の太陽電池セルを第1の熱可塑性樹脂で覆って加熱加圧することで前記第1の熱可塑性樹脂からなる封止層を有する太陽電池基板にする真空ラミネータと、
強化繊維と第2の熱可塑性樹脂からなる補強層、前記太陽電池基板、第3の熱可塑性樹脂からなる保護層の順に積層して加熱加圧することで前記補強層と前記太陽電池基板と前記保護層が一体構造になった中間体にする1次成形機と、
前記中間体における前記補強層を型に合わせて加熱加圧することで前記中間体を前記型に合わせた3次元形状にする2次成形機を有すること
を特徴とする太陽電池モジュールの製造装置。
【請求項5】
前記1次成形機はオートクレーブまたはホットプレス機であり、前記2次成形機はオートクレーブであること
を特徴とする請求項4に記載の太陽電池モジュールの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールの製造方法および太陽電池モジュールの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池モジュールを曲面形状に適用可能にするための各種取り組みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-231990号公報
【特許文献2】特開2017-022201号公報
【特許文献3】特開2021-197443号公報
【特許文献4】特開2023-017512号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】応用物理 第91巻第5号,PP.285-289、2022年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車などの移動体は、ボデイが多種多様な曲面形状で構成されている。しかしながら、従来技術は、適用可能な曲面形状が限定的であり、半球面や鞍型面などの非可展面への適用が困難であった。このため、ボデイのデザイン性や機能性を維持しつつ太陽電池モジュールを広範囲に貼り付けることが難しいという問題があった。また、自動車などの移動体への太陽電池モジュールの搭載率を高めるには生産性の向上が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、半球面や鞍型面などの非可展面を含む所望の3次元形状にできるとともに、生産性の向上が可能な太陽電池モジュールの製造方法、並びに、当該製造方法に好適な太陽電池モジュールの製造装置を提供することを目的とする。
【0007】
一実施形態として、以下に開示する解決手段により、前記課題を解決する。
【0008】
本発明に係る太陽電池モジュールの製造方法は、マトリクス配置した複数の太陽電池セルを第1の熱可塑性樹脂で覆って加熱加圧することで前記第1の熱可塑性樹脂からなる封止層を有する太陽電池基板にする封止ステップと、強化繊維と第2の熱可塑性樹脂からなる補強層、前記太陽電池基板、第3の熱可塑性樹脂からなる保護層の順に積層して加熱加圧することで前記補強層と前記太陽電池基板と前記保護層が一体構造になった中間体にする1次成形ステップと、前記中間体における前記補強層を型に合わせて加熱加圧することで前記中間体を前記型に合わせた3次元形状にする2次成形ステップを有することを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、1次成形によって大量生産が可能な平板形状の中間体を作製し、2次成形によって半球面や鞍型面などの非可展面を含む所望の3次元形状にできるとともに、生産性の向上を図ることができる。
【0010】
本発明に係る太陽電池モジュールの製造装置は、マトリクス配置した複数の太陽電池セルを第1の熱可塑性樹脂で覆って加熱加圧することで前記第1の熱可塑性樹脂からなる封止層を有する太陽電池基板にする真空ラミネータと、強化繊維と第2の熱可塑性樹脂からなる補強層、前記太陽電池基板、第3の熱可塑性樹脂からなる保護層の順に積層して加熱加圧することで前記補強層と前記太陽電池基板と前記保護層が一体構造になった中間体にする1次成形機と、前記中間体における前記補強層を型に合わせて加熱加圧することで前記中間体を前記型に合わせた3次元形状にする2次成形機を有することを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、1次成形機によって大量生産が可能な平板形状の中間体を作製し、2次成形機によって半球面や鞍型面などの非可展面を含む所望の3次元形状にできるとともに、生産性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、半球面や鞍型面などの非可展面を含む所望の3次元形状にできるとともに、生産性の向上を図ることができる。尚且つ、1次成形と2次成形にプロセスを分けることで太陽電池セルの割れを防止して、収率の向上並びに製造品質の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施形態に係る太陽電池モジュールの例を示す概略の斜視図である。
【
図2】
図2Aは、本実施形態に係る中間体の例を示す概略の断面図である。
図2Bは、前記中間体を2次成形した状態を示す概略の断面図である。
【
図3】
図3Aは、本実施形態に係る真空ラミネータの例を示す概略の斜視図である。
図3Bは、本実施形態に係るオートクレーブの例を示す概略の斜視図である。
【
図4】
図4は、本実施形態に係る太陽電池モジュールの製造手順の例を示す概略のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本実施形態に係る太陽電池モジュール1の例を示す概略の斜視図である。太陽電池モジュール1は、マトリクス配置した複数の太陽電池セル2と太陽電池セル2の表面を覆う封止層3とを有する太陽電池基板5と、太陽電池基板5の表面を覆う保護層4と、太陽電池基板5を下支えする補強層6を備える。封止層3は、第1の熱可塑性樹脂3aからなる。補強層6は、厚み方向に積層された強化繊維7と第2の熱可塑性樹脂6aとの複合材からなる。そして、保護層4は、第3の熱可塑性樹脂4aからなる。なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0015】
図2Aは、本実施形態に係る中間体8の例を示す概略の断面図である。
図2Bは、1次成形した中間体8を型21に合わせて2次成形した状態を示す概略の断面図である。中間体8は、保護層4が表面に配されており、補強層6が裏面に配されており、太陽電池基板5が保護層4と補強層6とに挟まれた構造体である。
【0016】
太陽電池セル2は、一例として、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、有機物太陽電池、ペロブスカイト太陽電池、その他既知の太陽電池セルから選択される。太陽電池セル2がペロブスカイト太陽電池の場合、封止ステップにおいて封止層の上下に、ガスバリアフィルムまたはガスバリア層を追加する。
【0017】
封止層3を構成する第1の熱可塑性樹脂3aは、一例として、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリアミド系熱可塑性エラストマー(TPA)、その他既知の熱可塑性エラストマーから選択される。第1の熱可塑性樹脂3aは、透明若しくは半透明な材質からなる。
【0018】
補強層6を構成する第2の熱可塑性樹脂6aは、一例として、アクリル、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、その他既知の熱可塑性樹脂から選択される。補強層6を構成する強化繊維7は、一例として、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、麻、その他既知の強化繊維から選択される。
【0019】
保護層4を構成する第3の熱可塑性樹脂4aは、一例として、アクリル、ポリカーボネート(PC)、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)、熱可塑性ポリアミド、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性エポキシ、その他既知の熱可塑性樹脂から選択される。第3の熱可塑性樹脂4aは、透明若しくは半透明な材質からなる。
【0020】
補強層6は、一例として、シート状織物の強化繊維7と、複数のシート状の第2の熱可塑性樹脂6aとを交互に積層し加熱加圧して構成する。一例として、強化繊維7は、各々の厚みが5μm~1000μmである。一例として、強化繊維7は、各々の厚みが50μm~500μmである。一例として、強化繊維7の積層数は、1~100層である。一例として、強化繊維7の積層数は、2~20層である。一例として、第2の熱可塑性樹脂6aは、各々の厚みが5μm~1000μmである。一例として、第2の熱可塑性樹脂6aは、各々の厚みが50μm~500μmである。一例として、第2の熱可塑性樹脂6aの積層数は、1~100層である。一例として、第2の熱可塑性樹脂6aの積層数は、2~20層である。
【0021】
補強層6は、一例として、シート状の強化繊維7と、パウダー状の第2の熱可塑性樹脂6aとを交互に積層し加熱加圧して構成する。一例として、強化繊維7は、各々の厚みが5μm~1000μmである。一例として、強化繊維7は、各々の厚みが50μm~500μmである。一例として、強化繊維7の積層数は、5~100層である。一例として、強化繊維7の積層数は、5~20層である。補強層6は、一例として、シート状の強化繊維7に第2の熱可塑性樹脂6aを含浸させたプリプレグを積層し加熱加圧して構成する。補強層6は、一例として、シート状の強化繊維7に第2の熱可塑性樹脂6a付着させたセミプレグを積層し加熱加圧して構成する。
【0022】
補強層6は、ハンドレイアップ成形法が適用できる。一例として、シート状の強化繊維7に液状の第2の熱可塑性樹脂6aを含浸させ、または第2の熱可塑性樹脂6aの前駆体であるモノマーやオリゴマーを含浸させ、積層し加熱加圧して補強層6とする。補強層6は、RTM(Resin Transfer Molding)成形法が適用できる。一例として、シート状の強化繊維7を成形型内に積層配置し、型閉じした後、液状の第2の熱可塑性樹脂6aを注入し、または第2の熱可塑性樹脂6aの前駆体であるモノマーやオリゴマーを注入し、加熱加圧して補強層6とする。上記構成に加えて、最下層に枠状の強化繊維を設けてさらに補強することができる。また、上記構成に加えて、最下層に炭素繊維等からなる補強部材を部分的に設けてさらに補強することもできる。
【0023】
図3Aは、本実施形態に係る真空ラミネータ11の例を示す概略の斜視図である。
図3Bは、本実施形態に係るオートクレーブ12の例を示す概略の斜視図である。一例として、上述の1次成形機はオートクレーブ12または既知のホットプレス機若しくは既知の熱圧着装置である。一例として、上述の2次成形機はオートクレーブ12である。なお、上記構成に限定されない。
【0024】
続いて、本発明に係る太陽電池モジュール1の製造方法について、以下に説明する。
【0025】
図4は、本実施形態に係る太陽電池モジュール1の製造手順の例を示す概略のフローチャート図である。太陽電池モジュール1は、封止ステップS1、1次成形ステップS2、2次成形ステップS3の順に製造される。
【0026】
封止ステップS1は、一例として、真空ラミネータ11を用いる。封止ステップS1は、マトリクス配置した複数の太陽電池セル2を第1の熱可塑性樹脂3aで覆って加熱加圧することで第1の熱可塑性樹脂3aからなる封止層3を有する太陽電池基板5にする。封止ステップS1の後、1次成形ステップS2になる。
【0027】
1次成形ステップS2は、一例として、オートクレーブ12を用いる。1次成形ステップS2は、強化繊維7と第2の熱可塑性樹脂6aからなる補強層6、太陽電池基板5、第3の熱可塑性樹脂4aからなる保護層4の順に積層して加熱加圧することで補強層6と太陽電池基板5と保護層4が一体構造になった中間体8にする。中間体8は、平板状であるので、保管コストや輸送コストを抑えることができる。1次成形ステップS2の後、2次成形ステップS3になる。
【0028】
2次成形ステップS3は、一例として、オートクレーブ12を用いる。2次成形ステップS3は、オートクレーブ12内で、中間体8の裏面を、曲面ガラスからなる型21に合わせて加熱加圧して3次元形状に成形し、太陽電池モジュール1にする。
【0029】
ここで、2次成形ステップS3における加熱温度は、1次成形ステップS2における加熱温度と同等以上の温度に設定する。2次成形ステップS3における加圧力は、1次成形ステップS2における加圧力と同等以上の圧力に設定する。また、2次成形ステップS3における加熱温度は、第1の熱可塑性樹脂3aの耐熱温度以下の温度に設定する。
【0030】
本実施形態によれば、半球面や鞍型面などの非可展面を含む所望の3次元形状にできるとともに、生産性の向上が可能な太陽電池モジュール1を製造できる。そして、後述するように、1次成形を予め行って2次成形で所望の形状にする方法は、一度の成形によって所望の形状に合わせる方法よりも太陽電池セル2が割れ難くなるメリットがある。
【0031】
続いて、本発明に係る太陽電池モジュール1の実施例と比較例について、以下に説明する。
【0032】
[実施例]
実施例の太陽電池モジュール1は、単結晶シリコンからなる太陽電池セル2と、マトリクス配置した太陽電池セル2をエチレン酢酸ビニル(EVA)によって封止した封止層3と、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体(ETFE)からなる保護層4と、厚み方向に積層されたガラス織物からなる強化繊維7と第2の熱可塑性樹脂6aとしてのアクリルとの複合材からなる補強層6を備えた構成である。太陽電池セル2のサイズは3インチであり、16枚の太陽電池セル2を配置した。
【0033】
上述のとおり、封止ステップS1は、マトリクス配置した複数の太陽電池セル2を第1の熱可塑性樹脂3aで覆って加熱加圧することで第1の熱可塑性樹脂3aからなる封止層3を有する太陽電池基板5にする。そして、1次成形ステップS2は、強化繊維7と第2の熱可塑性樹脂6aからなる補強層6、太陽電池基板5、第3の熱可塑性樹脂4aからなる保護層4の順に積層して加熱加圧することで補強層6と太陽電池基板5と保護層4が一体構造になった中間体8にする。そして、2次成形ステップS3は、中間体8の裏面を、所定の型に合わせて加熱加圧して3次元形状に成形し、太陽電池モジュール1にする。
【0034】
実施例の太陽電池モジュール1は、曲率半径が1000mmである。16枚の太陽電池セル2は、いずれも割れが見られず、正常動作することを確認した。
【0035】
[比較例]
比較例の構成材料は実施例と同じである。ただし、成形ステップは分けずに、強化繊維7と第2の熱可塑性樹脂6aからなる補強層6、太陽電池基板5、第3の熱可塑性樹脂4aからなる保護層4の順に積層し、そして、補強層6の裏面を、所定の型に合わせて加熱加圧して3次元形状に成形した。その結果、16枚の太陽電池セル2は、半数に割れが生じた。
【0036】
上述の実施例および比較例の結果から、一次成形で構成材料を互いに一定の拘束力で拘束することにより、歪みに起因する太陽電池セル2の割れが防止できたものと推察する。これに対して、比較例の結果から、構成材料が互いに拘束されていない状態で非可展面に形状を付与すると、構成材料、特に強化繊維7に皺が発生し易く、前記皺に起因する歪みによって太陽電池セル2に割れが生じたものと推察する。つまり、上述の試作結果から、1次成形と2次成形にプロセスを分けることで太陽電池セル2の割れを防止し、収率の向上並びに製造品質の向上を図れることが確認できた。
【0037】
上述の実施例は、半球面状の型21への適用例であるが、この例に限定されず、本発明は、鞍型面など既知の非可展面への適用が可能である。また、自動車などの移動体のボデイの一部を型にすることも可能である。太陽電池セル2のサイズは6インチまたはそれ以上にサイズアップすることが可能である。また、太陽電池セル2のサイズは2インチまたはそれ以下にサイズダウンすることも可能である。上述の実施例は、太陽電池モジュール1の曲率半径を1000mm以上にできることを示したが、用途によっては、太陽電池モジュール1の曲率半径を1000mm未満にする場合もあり、この場合は、既知のホットプレス機若しくは既知の熱圧着装置を2次成形ステップS3に適用できる。本発明は、以上説明した実施例に限定されることなく、本発明を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 太陽電池モジュール
2 太陽電池セル
3 封止層、3a 第1の熱可塑性樹脂
4 保護層、4a 第3の熱可塑性樹脂
5 太陽電池基板
6 補強層、6a 第2の熱可塑性樹脂
7 強化繊維
8 中間体
11 真空ラミネータ
12 オートクレーブ