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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179429
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】位置決定装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
G01C15/00 102C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098279
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】522077948
【氏名又は名称】株式会社Hemisphere Japan
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】安富 敏
(57)【要約】
【課題】 傾斜度合いに対応する誤差見積値を、ユーザに確実に把握させることができ、接地位置を正確に決定することができる位置決定装置を提供する。
【解決手段】 位置決定装置100は、柱状部材10と、筐体20と、位置検出装置21と、傾斜検出装置22と、補正情報生成部23と、接地位置決定部24と、指令制御装置30と、通知部25と、を備えている。通知部25は、筐体20に設けられており、補正情報を生成する際に検出される傾斜角A(傾斜度合い)を反映して、ユーザUに視覚、及び/又は、聴覚を介して通知する。上記構成によれば、通知部25を、筐体20における視認し易い部位や、発生音を聴き取り易い部位に配置させることができる。従って、筐体20の位置を補正して、柱状部材10の他端10bの接地位置を決定するための補正情報を生成するに際し、傾斜度合いに対応する誤差見積値を、ユーザUに確実に把握させることができる。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端、他端、及び、前記一端から前記他端に向かう軸が規定され、ユーザにより把持可能に構成された柱状部材と、
前記柱状部材の一端側に設けられた筐体と、
前記筐体に内蔵され、測位衛星からの電波の受信に基づいて自身の位置を検出する位置検出装置と、
前記筐体に内蔵され、前記柱状部材の他端が接地している場合に、所定の基準線に対しての前記軸の傾斜度合いを検出する傾斜検出装置と、
少なくとも前記傾斜度合いに基づいて、前記位置検出装置にて検出された位置を補正するための補正情報を生成する補正情報生成部と、
少なくとも前記補正情報に基づいて、前記柱状部材の他端が接地している場合における前記他端の位置を決定する接地位置決定部と、
前記筐体とは離間して位置しており、前記補正情報の生成、及び、前記位置の決定のための指令制御を実行する指令制御装置と、
を備えた位置決定装置において、
前記補正情報を生成する際に検出される前記傾斜度合いを反映して、前記ユーザに視覚、及び/又は、聴覚を介して通知する通知部を、前記筐体に備えた
位置決定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の位置決定装置において、
前記通知部は、
前記視覚を介した通知として、発光による通知が実行されるよう構成されている場合には、前記傾斜度合いが閾値以下であるときと、前記閾値よりも大きいときとで、発光の態様を異ならせ、
前記聴覚を介した通知として、発音による通知が実行されるよう構成されている場合には、前記傾斜度合いが閾値以下であるときと、前記閾値よりも大きいときとで、発音の態様を異ならせる
位置決定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の位置決定装置において、
前記通知部は、
前記視覚を介した通知として、発光による通知が実行されるよう構成されている場合には、所定期間に検出される複数の前記傾斜度合いにおけるバラツキが所定範囲内に推移しているときと、前記所定範囲内に推移していないときとで、発光の態様を異ならせ、
前記聴覚を介した通知として、発音による通知が実行されるよう構成されている場合には、前記バラツキが所定範囲内に推移しているときと、前記所定範囲内に推移していないときとで、発音の態様を異ならせる
位置決定装置。
【請求項4】
一端、他端、及び、前記一端から前記他端に向かう軸が規定され、ユーザにより把持可能に構成された柱状部材と、
前記柱状部材の一端側に設けられた筐体と、
前記筐体に内蔵され、測位衛星からの電波の受信に基づいて自身の位置を検出する位置検出装置と、
前記筐体に内蔵され、前記柱状部材の他端が接地している場合に、所定の基準線に対しての前記軸の傾斜度合いを検出する傾斜検出装置と、
少なくとも前記傾斜度合いに基づいて、前記位置検出装置にて検出された位置を補正するための補正情報を生成する補正情報生成部と、
少なくとも前記補正情報に基づいて、前記柱状部材の他端が接地している場合における前記他端の位置を決定する接地位置決定部と、
前記筐体とは離間して位置しており、前記補正情報の生成、及び、前記位置の決定のための指令制御を実行する指令制御装置と、
を備えた位置決定装置において、
前記補正情報を生成する際に検出される前記傾斜度合いを反映して、前記ユーザに触覚、及び/又は、聴覚を介して通知する通知部を、前記指令制御装置に備えた
位置決定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の位置決定装置において、
前記通知部は、
前記触覚を介した通知として、振動による通知が実行されるよう構成されている場合には、前記傾斜度合いが閾値以下であるときと、前記閾値よりも大きいときとで、振動の態様を異ならせ、
前記聴覚を介した通知として、発音による通知が実行されるよう構成されている場合には、前記傾斜度合いが閾値以下であるときと、前記閾値よりも大きいときとで、発音の態様を異ならせる
位置決定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の位置決定装置において、
前記通知部は、
前記触覚を介した通知として、振動による通知が実行されるよう構成されている場合には、所定期間に検出される複数の前記傾斜度合いにおけるバラツキが所定範囲内に推移しているときと、前記所定範囲内に推移していないときとで、振動の態様を異ならせ、
前記聴覚を介した通知として、発音による通知が実行されるよう構成されている場合には、前記バラツキが所定範囲内に推移しているときと、前記所定範囲内に推移していないときとで、発音の態様を異ならせる
位置決定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置決定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、柱状部材と、柱状部材の一端側に設けられた筐体と、筐体に内蔵され測位衛星からの電波の受信に基づいて自身の位置を検出する位置検出装置と、を備え、柱状部材の他端が接地している場合における他端の位置を決定する位置決定装置が知られている。この種の装置の一例は、下記特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1では、受信機、及び、受信機と別体のコントローラが備えられている。受信機には、傾きを計測するチルトセンサが、設けられている。計測された傾き等に基づいて、位置を補正するための補正情報が、生成されるようになっている。コントローラでは、電子気泡管が、表示されるようになっている。当該電子気泡管の気泡に対応する部位では、チルトセンサで計測された傾きのレベルに応じた色が、表示されるようになっている。これにより、気泡の色で傾き具合を判断でき、ユーザが理解し易い、といった効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7088719号公報(請求項2、段落0010、図1図11等)
【発明の概要】
【0005】
ところで、この種の装置においては、傾きに基づく補正情報を生成する際、ユーザにより柱状部材を把持して、柱状部材先端を接地させた状態で、傾きを計測する場合が多い。上述した特許文献1の装置では、傾きを把握すべく、ユーザがコントローラに表示された気泡管を注視してしまい、適切な姿勢を保持することが、疎かになる場合がある。この場合、誤差が生じる可能性が高く、接地位置を正確に決定することが困難になる場合がある。この点に、改善の余地があると言える。
【0006】
上記を鑑み、本発明の目的は、柱状部材と、柱状部材の一端側に設けられた筐体と、筐体に内蔵され測位衛星からの電波の受信に基づいて自身の位置を検出する位置検出装置と、を備え、柱状部材の他端が接地している場合における他端の位置を決定する位置決定装置において、傾斜度合いに対応する誤差見積値を、ユーザに確実に把握させることができ、接地位置を正確に決定することができるものを、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。本発明の位置決定装置は、一端、他端、及び、前記一端から前記他端に向かう軸が規定され、ユーザにより把持可能に構成された柱状部材と、前記柱状部材の一端側に設けられた筐体と、前記筐体に内蔵され、測位衛星からの電波の受信に基づいて自身の位置を検出する位置検出装置と、前記筐体に内蔵され、前記柱状部材の他端が接地している場合に、所定の基準線に対しての前記軸の傾斜度合いを検出する傾斜検出装置と、少なくとも前記傾斜度合いに基づいて、前記位置検出装置にて検出された位置を補正するための補正情報を生成する補正情報生成部と、少なくとも前記補正情報に基づいて、前記柱状部材の他端が接地している場合における前記他端の位置を決定する接地位置決定部と、前記筐体とは離間して位置しており、前記補正情報の生成、及び、前記位置の決定のための指令制御を実行する指令制御装置と、を備えている。本発明の位置決定装置は、前記補正情報を生成する際に検出される前記傾斜度合いを反映して、前記ユーザに視覚、及び/又は、聴覚を介して通知する通知部を、前記筐体に備えている。
【0008】
本発明の位置決定装置において、前記通知部は、前記視覚を介した通知として、発光による通知が実行されるよう構成されている場合には、前記傾斜度合いが閾値以下であるときと、前記閾値よりも大きいときとで、発光の態様を異ならせ、前記聴覚を介した通知として、発音による通知が実行されるよう構成されている場合には、前記傾斜度合いが閾値以下であるときと、前記閾値よりも大きいときとで、発音の態様を異ならせる。
【0009】
本発明の位置決定装置において、前記通知部は、前記視覚を介した通知として、発光による通知が実行されるよう構成されている場合には、所定期間に検出される複数の前記傾斜度合いにおけるバラツキが所定範囲内に推移しているときと、前記所定範囲内に推移していないときとで、発光の態様を異ならせ、前記聴覚を介した通知として、発音による通知が実行されるよう構成されている場合には、前記バラツキが所定範囲内に推移しているときと、前記所定範囲内に推移していないときとで、発音の態様を異ならせる。
【0010】
本発明の位置決定装置は、一端、他端、及び、前記一端から前記他端に向かう軸が規定され、ユーザにより把持可能に構成された柱状部材と、前記柱状部材の一端側に設けられた筐体と、前記筐体に内蔵され、測位衛星からの電波の受信に基づいて自身の位置を検出する位置検出装置と、前記筐体に内蔵され、前記柱状部材の他端が接地している場合に、所定の基準線に対しての前記軸の傾斜度合いを検出する傾斜検出装置と、少なくとも前記傾斜度合いに基づいて、前記位置検出装置にて検出された位置を補正するための補正情報を生成する補正情報生成部と、少なくとも前記補正情報に基づいて、前記柱状部材の他端が接地している場合における前記他端の位置を決定する接地位置決定部と、前記筐体とは離間して位置しており、前記補正情報の生成、及び、前記位置の決定のための指令制御を実行する指令制御装置と、を備えている。本発明の位置決定装置は、前記補正情報を生成する際に検出される前記傾斜度合いを反映して、前記ユーザに触覚、及び/又は、聴覚を介して通知する通知部を、前記指令制御装置に備えている。
【0011】
本発明の位置決定装置において、前記通知部は、前記触覚を介した通知として、振動による通知が実行されるよう構成されている場合には、前記傾斜度合いが閾値以下であるときと、前記閾値よりも大きいときとで、振動の態様を異ならせ、前記聴覚を介した通知として、発音による通知が実行されるよう構成されている場合には、前記傾斜度合いが閾値以下であるときと、前記閾値よりも大きいときとで、発音の態様を異ならせる。
【0012】
本発明の位置決定装置において、前記通知部は、前記触覚を介した通知として、振動による通知が実行されるよう構成されている場合には、所定期間に検出される複数の前記傾斜度合いにおけるバラツキが所定範囲内に推移しているときと、前記所定範囲内に推移していないときとで、振動の態様を異ならせ、前記聴覚を介した通知として、発音による通知が実行されるよう構成されている場合には、前記バラツキが所定範囲内に推移しているときと、前記所定範囲内に推移していないときとで、発音の態様を異ならせる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、傾斜度合いに対応する誤差見積値を、ユーザに確実に把握させることができ、接地位置を正確に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態に係る位置決定装置の全体概略図である。
図2図1に示す位置決定装置の機能ブロック図である。
図3図1に示す位置決定装置における柱状部材の他端を接地させた状態での接地位置、傾斜角の関係を説明するための図である。
図4図1に示す位置決定装置における傾斜検出装置により検出される傾斜角のタイムチャートであって、バラツキ算出手段により算出される平均傾斜角および傾斜角のバラツキを説明するための図である。
図5図1に示す位置決定装置における通知部にて検索される、平均傾斜角、バラツキ、及び、モードとの関係を規定したマップと、マップに基づいて設定されたモードに応じた通知態様を説明するための図である。
図6図1に示す位置決定装置の実際の作動を示す一連のフローチャートである。
図7】本発明の第2実施形態に係る位置決定装置の機能ブロック図である。
図8】本発明の第2実施形態に係る位置決定装置における通知部にて検索される、平均傾斜角、バラツキ、及び、モードとの関係を規定したマップと、マップに基づいて設定されたモードに応じた通知態様を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
[第1実施形態]
<位置決定装置の構成>
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る位置決定装置100は、例えば、RTK(Real Time Kinematic)測量等のシステムに適用される、いわゆる移動局(ローバ)であってもよい。即ち、位置決定装置100は、衛星測位システムから得られる測位情報と、地上の基準局(ベース)の補正情報とに基づいて、ローバとしての自身の位置が決定可能となっていてもよい。
【0017】
図1に示すように、位置決定装置100は、柱状部材10と、筐体20と、指令制御装置30と、を備えている。また、図2に示すように、位置決定装置100は、位置検出装置21と、傾斜検出装置22と、補正情報生成部23と、接地位置決定部24と、通知部25と、通信装置26と、を備えている。
【0018】
柱状部材10は、例えば、円柱状のポール等であり、ユーザUにより把持可能に構成されている。柱状部材10は、一端10a、他端10b、及び、一端10aから他端10bに向かう軸10cが、規定されている。一端10aは、筐体20の底部の中央と、同軸的に接続されている。即ち、柱状部材10の一端10a側に設けられている。他端10bは、例えば、先端が石突となるよう構成されてもよい。ユーザUが柱状部材10を把持した状態で、下方の地面Gに他端10bを接地させると、筐体20は上方を向くようになっている。
【0019】
筐体20は、例えば、略円筒形状を呈しており、上部がドーム状に形成されている。筐体20の内部には、位置検出、情報通信、キャリブレーション、及び、演算処理のためのデバイス、モジュール等(位置決定装置100、傾斜検出装置22等)の一式が、内蔵されている。筐体20の形状は、上記に限定されることなく、位置検出や情報通信等の機能が達成され得るものであれば、何れであってもよい。
【0020】
筐体20には、側面部位にパネル20aが設置されている。パネル20aには、スイッチ、インジケータ等が配置されている。スイッチは、ユーザにより操作可能となっており、作動開始/停止を切替可能となっている。インジケータは、装置のステータスを視認可能なように表示するようになっている。
【0021】
パネル20aには、インジケータとして、発光手段25a1及び発音手段25a2が、筐体20と一体的に備えられている。本実施形態においては、発光手段25a1は、LED(Light Emitting Diode)であり、後述するモードに応じて発光態様が変化するようになっている(図5を参照)。本実施形態においては、発音手段25a2は、スピーカであり、後述するモードに応じて発音態様が変化するようになっている(図5を参照)。本実施形態においては、発光手段25a1及び発音手段25a2の両方が備えられているが、これに代えて、どちらか一方のみが、筐体20と一体的に備えられていてもよい。
【0022】
なお、発光手段25a1(通知部25)は、視認可能でモードに応じて表示態様が変化するものであってもよく、LEDに代えて、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)にて文字、数値、ロゴを表示するように構成されてもよい。
【0023】
図2に示すように、位置検出装置21、及び、傾斜検出装置22は、筐体20に内蔵されている。位置検出装置21は、測位衛星(図示を省略)からの電波を受信可能なアンテナ等を有している。位置検出装置21は、測位衛星からの電波の受信に基づいて、筐体20に内蔵された位置検出装置21自身の位置を、検出する。測位衛星による測位システムとしては、GNSS(GPS、GLONASS、BeiDou、Galileo、SBAS、みちびき等)を用いてもよく、自身の位置として、経度・緯度・高さ、所定の三次元座標等を含む測位情報が、検出されるようになっていてもよい。
【0024】
図3に示すように、傾斜検出装置22は、柱状部材10の他端10bが接地している場合に、所定の基準線Sに対しての軸10cの傾斜角A(傾斜度合い)を、検出する。傾斜検出装置22は、例えば、加速度センサ等を含む慣性計測装置であってもよい。本実施形態においては、基準線Sは、例えば、鉛直方向に沿った仮想線であって、地面G(水平面)と基準線Sとの成す角が、略垂直となっている。傾斜検出装置22により検出される傾斜角Aは、当該基準線Sと、軸10cとの成す角に相当する。
【0025】
位置検出装置21により検出された位置P1は、例えば、上述のように検出された測位情報を補正して、得られたものであってもよいし、検出された測位情報そのもの(補正されていない測位情報)であってもよい。当該補正としては、ベース(図示を省略)にて生成した補正情報等が、用いられると好適である。当該補正情報は、ベースから無線通信を介して位置決定装置100に送信されるように、なっていてもよい。
【0026】
検出位置と、実際の位置との相違は、検出位置の測位誤差によって、生じる場合が多い。一般に、測位誤差は、電離層、大気条件などにより影響を受けやすい。このため、ベースと、位置決定装置100とが、同程度の緯度、経度、高さの場所にそれぞれ位置する場合には、両者の測位誤差も同程度となり得る。この場合、位置決定装置100においては、ベースで生成される補正情報を用いればよいことになる。ベースにて補正情報を生成し、当該ベースから位置決定装置100へ補正情報を送信するのは、係る知見に基づいている。
【0027】
本実施形態においては、柱状部材10の他端10bが地面Gに接地している場合における、他端10bの位置P2は、位置P1を補正して決定される。当該補正としては、位置P1と、位置P2との相違を補償するために、少なくとも傾斜角Aに基づく補正情報等が、用いられると好適である。当該補正情報は、傾斜角Aに加え、精度向上の観点から、例えば、筐体20に別途内蔵されている電子コンパスの方位、柱状部材10の寸法等を用いて、生成されてもよい。
【0028】
図2に示すように、補正情報生成部23、接地位置決定部24、及び、通知部25は、筐体20に備えられている。補正情報生成部23、接地位置決定部24、及び、通知部25は、電気回路、CPU(Central Processing Unit)等を含むモジュール、デバイスであり、種々の制御をそれぞれ実行するようになっている。
【0029】
補正情報生成部23は、少なくとも傾斜角Aに基づいて、位置検出装置にて検出された位置P1を補正するための、補正情報を生成する。補正情報としては、例えば、位置P1と、位置P2との差分ベクトルに相当する量などが、用いられてもよい。接地位置決定部24は、少なくとも補正情報に基づいて、柱状部材10の他端10bが接地している場合における、他端10bの位置P2を決定する。
【0030】
通知部25は、補正情報を生成する際に検出される傾斜角Aを反映して、ユーザUに視覚、及び、聴覚を介して通知する。通知部25は、傾斜角Aが閾値以下であるときと、傾斜角Aが閾値よりも大きいときとで、発光の態様、及び、発音の態様をそれぞれ異ならせる(図5を参照)。この機能を達成するために、通知部25は、発光手段25a1、及び、発音手段25a2を、それぞれ備えている。
【0031】
補正情報を生成するに際し、傾斜角A(又は、後述する平均傾斜角Aave)が大きいほど、誤差はより大きくなる場合が多い。より具体的には、一例として、傾斜角Aが、ゼロ~30°の範囲に推移する場合、誤差は±2cm程度になると見積もられる。また、傾斜角Aが、30°~60°の範囲に推移する場合、誤差は±5cm程度になると見積もられる。
【0032】
この場合、例えば、傾斜角A(平均傾斜角Aave)=30°を閾値として、当該閾値を境に、ユーザUへの通知の態様を異ならせることで、誤差見積値の大・小を、ユーザUに把握させることができる。即ち、ユーザUに誤差見積値「大」であると把握させ、傾斜角Aが小さくなる方向へ、柱状部材10の姿勢を調整するよう、ユーザUに促すことができる。また、ユーザUに誤差見積値「小」であると把握させ、その傾斜角Aを極力維持したままで、補正情報の生成処理に移行するよう、ユーザUに促すことができる。通知部25が、上述のように構成されるのは、係る知見に基づいている。
【0033】
また、通知部25は、所定期間に検出される複数の傾斜角AにおけるバラツキBが、所定範囲内に推移しているときと、所定範囲内に推移していないときとで、発光の態様、及び、発音の態様をそれぞれ異ならせる(図4図5を参照)。この機能を達成するために、通知部25は、バラツキ算出手段25bを、備えている。
【0034】
図4に示すように、柱状部材10をユーザUが把持した状態で、他端10bの接地を継続した場合においては、手振れ等に起因して傾斜角Aが変動する。即ち、所定期間において、複数の傾斜角Aを検出していくと、傾斜角AにバラツキBが生じ得る。安定的な補正情報の生成には、バラツキBが小さい状態にて得られる傾斜角Aが、用いられると好適である。即ち、バラツキBは、安定的な補正情報を生成可能となる所定範囲内に、推移することが好ましい。当該所定範囲は、偏差の閾値Bthに対応させてもよく、この場合、バラツキBが閾値Bth以下であるとき、安定的な補正情報を生成可能である、と判定してもよい。
【0035】
本実施形態においては、バラツキ算出手段25bにより、複数の傾斜角Aにおける平均値である平均傾斜角Aave、及び、複数の傾斜角AにおけるバラツキBが、算出される。より具体的には、バラツキ算出手段25bによる算出処理が到来すると、算出の始期t1から終期t2に亘って、所定の周期毎に傾斜角Aがメモリ(図示は省略)に記憶されていく。図4のタイムチャートでは、一例として、算出の始期t1から終期t2に亘って、7点の傾斜角Aが検出され、位置検出装置21に別途備えられたメモリに、それぞれ記憶されるようになっている。
【0036】
なお、算出の始期t1から終期t2に相当する期間、及び、当該期間内に検出・記憶される傾斜角Aの個数は、任意である。算出期間、及び、検出周期は、例えば、指令制御装置30にてユーザUにより、調整可能となっていてもよい。例えば、安定性や精度の向上の観点では、算出期間を長く、又は、検出周期を短くし、傾斜角Aの検出・記憶点数を増大させるようにしてもよいし、計算処理を短縮する観点では、算出期間を短く、又は、検出周期を長くし、傾斜角Aの検出・記憶点数を減少させるようにしてもよい。
【0037】
平均傾斜角Aaveとしては、例えば、検出・記憶されていた複数の傾斜角Aが読み出され、これらの値の算術平均値が用いられてもよい。バラツキBとしては、例えば、算出された平均傾斜角Aaveと、検出・記憶されていた複数の傾斜角Aと、に基づく偏差が用いられてもよい。なお、平均値、及び、偏差の算術方法は、それぞれ任意である。このように算出された平均傾斜角Aave、及び、バラツキBは、通知部25によるモードの決定に、用いられる。
【0038】
図5に示すように、通知部25では、メモリに格納されているマップ(ルックアップテーブル)に基づいて、モードが決定されるようになっている。本実施形態においては、モードは、下記4通りの第1、第2、第3、第4モードを備えている。第1~第4モードのうち1つが決定され、決定されたモードに応じて、発光手段25a1、及び、発音手段25a2が、下記の通り制御されるようになっている。
【0039】
第1モード:発光手段25a1を緑色で点灯させ、且つ発音手段25a2を高音で連続出音させる
第2モード:発光手段25a1を緑色で点滅させ、且つ発音手段25a2を高音で断続出音させる
第3モード:発光手段25a1を赤色で点灯させ、且つ発音手段25a2を低音で連続出音させる
第4モード:発光手段25a1を赤色で点滅させ、且つ発音手段25a2を低音で断続出音させる
【0040】
マップは、各モードと、平均傾斜角AaveおよびバラツキBと、の関係が規定されたものである。平均傾斜角Aaveが閾値Ath(例えば、閾値Ath=30°)以下である場合、且つ、バラツキBが閾値Bth以下である場合には、モードは、第1モードとなるよう決定される。平均傾斜角Aaveが閾値Ath以下である場合、且つ、バラツキBが閾値Bthよりも大きい場合には、モードは、第2モードとなるよう決定される。平均傾斜角Aaveが閾値Athよりも大きい場合、且つ、バラツキBが閾値Bth以下である場合には、モードは、第3モードとなるよう決定される。平均傾斜角Aaveが閾値Athよりも大きい場合、且つ、バラツキBが閾値Bthよりも大きい場合には、モードは、第4モードとなるよう決定される。ここにおいて、閾値Ath、及び、閾値Bthは、機器固有の一定値として、予め設定されていてもよいし、ユーザUにより変更可能となっていてもよい。
【0041】
なお、本実施形態においては、一例として、傾斜角Aの閾値Ath、及び、バラツキBの閾値Bthはそれぞれ1つとなっており、モードが4つとなっている。これに代えて、例えば、傾斜角Aの閾値Ath、及び、バラツキBの閾値Bthは、それぞれ複数であってもよい。この場合、閾値Athおよび閾値Bthの数に応じて区画される領域に対応するよう、モードの数が設定されていてもよい。
【0042】
なお、本実施形態においては、一例として、通知部25により、視覚及び聴覚の両方を介して通知がなされるようになっている。これに代えて、例えば、通知部25により、視覚及び聴覚のうち一方のみを介して通知がなされてもよい。通知部25は、視覚を介した通知として、発光による通知が実行されるよう構成されている場合、即ち、発光手段25a1を備える場合には、以下のように発光の態様を異ならせる。例えば、平均傾斜角Aaveが閾値Ath以下であるときと、閾値Athよりも大きいときとで、発光の態様を異ならせ、バラツキBが閾値Bth以下であるときと、閾値Bthよりも大きいときとで、発光の態様を異ならせてもよい。この場合、決定されたモードに応じて、発光手段25a1が、下記の通り制御されるようにしてもよい。
【0043】
第1モード:発光手段25a1を緑色で点灯させる
第2モード:発光手段25a1を緑色で点滅させる
第3モード:発光手段25a1を赤色で点灯させる
第4モード:発光手段25a1を赤色で点滅させる
【0044】
通知部25は、聴覚を介した通知として、発音による通知が実行されるよう構成されている場合、即ち、発音手段25a2を備える場合には、以下のように発音の態様を異ならせる。例えば、平均傾斜角Aaveが閾値Ath以下であるときと、閾値Athよりも大きいときとで、発音の態様を異ならせ、バラツキBが閾値Bth以下であるときと、閾値Bthよりも大きいときとで、発音の態様を異ならせてもよい。この場合、決定されたモードに応じて、発音手段25a2が、下記の通り制御されるようにしてもよい。
【0045】
第1モード:発音手段25a2を高音で連続出音させる
第2モード:発音手段25a2を高音で断続出音させる
第3モード:発音手段25a2を低音で連続出音させる
第4モード:発音手段25a2を低音で断続出音させる
【0046】
なお、本実施形態においては、一例として、通知部25による通知に際し、平均傾斜角Aave、及び、バラツキBの両方が用いられるようになっている。これに代えて、例えば、平均傾斜角Aave、又は、傾斜角Aそのものを、用いるようにしてもよい。この場合、平均傾斜角Aave(傾斜角A)の閾値のみで、モードが区画されてもよい。
【0047】
図2に示すように、通信装置26は、指令制御装置30(通信部33)と接続されており、無線による情報通信が可能となっている。通信装置26は、位置検出装置21により検出された測位情報、補正情報生成部23にて生成された補正情報、接地位置決定部24にて決定された位置情報等を含むデータを、指令制御装置30に送信可能となっている。また、通信装置26は、指令制御装置30にて指令される制御信号、設定された各種パラメータ等を含むデータを、受信可能となっている。
【0048】
通信装置26は、例えば、簡易無線、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うものであってもよい。また、LTE(Long term evolution)、第4、第5世代通信システム等の、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行うようにしてもよい。本実施形態においては、情報通信に係る接続は、無線通信による接続であるが、これに代えて、ケーブル等を介した有線通信による接続であってもよい。
【0049】
図1、及び、図2に示すように、指令制御装置30は、ユーザUにより操作されるコントローラ端末であり、補正情報の生成、及び、位置の決定のための指令制御を実行する。また、指令制御装置30は、入力部31、表示部32、及び、通信部33を備えており、各種情報の入力・表示・通信が可能に、構成されている。指令制御装置30は、筐体20とは離間して位置しており、例えば、図1(a)に示すように、ユーザUに指令制御装置30が把持されて使用されてもよい。また、図1(b)に示すように、指令制御装置30が、固定器具等を介して柱状部材10に固定されて使用されてもよい。
【0050】
指令制御装置30の入力部31、表示部32、及び、通信部33は、電気回路、CPU(Central Processing Unit)等を含むモジュール、デバイスであり、種々の制御をそれぞれ実行するようになっている。入力部31は、入力インターフェイスを介したユーザUの入力操作に基づいて、パラメータ等の情報入力や、上記指令制御を実行する。表示部32は、通信部33にて補正情報、測位情報、位置情報等を受信すると、これらの情報を出力インターフェイスにて表示する。通信部33は、筐体20の通信装置26からの補正情報、測位情報、位置情報等を受信するとともに、入力部31の入力情報、指令制御の指示を、通信装置26へ送信する。
【0051】
<実際の作動>
図6は、本実施形態の位置決定装置100の実際の作動を示す一連のフローチャートである。位置決定装置100により、柱状部材10の他端10bの接地位置を決定する場合、ユーザUが柱状部材10を把持し、他端10bを接地させ、且つ、筐体20を上方に位置させた状態で、以下の処理が実行されていく(図1を参照)。
【0052】
先ず、ステップST1にて、補正開始条件が成立しているか否か、が判定される。補正開始条件が成立していない場合、ステップST1にて「No」と判定されて次のステップには進まない。他方、補正開始条件が成立した場合に、ステップST1にて「Yes」と判定されて、続くステップST2に進む。
【0053】
補正開始のための条件としては、例えば、各装置が起動しており、指令制御装置30にて、ユーザUの操作により、補正情報の生成、及び、位置の決定のための指令制御が実行されたと検知した場合、当該条件が成立するとしてもよい。また、ユーザUの操作によらず、各装置が起動完了後、所定のタイミングにて、補正情報の生成、及び、位置の決定のための指令制御が、自動的に実行されるようにしてもよい。この場合、上述のタイミングにて、当該条件が成立するとしてもよい。
【0054】
次に、ステップST2にて、筐体20の傾斜検出装置22により、傾斜角Aが検出される。傾斜角Aは、バラツキ算出の始期t1から終期t2まで複数検出されて、検出された複数の傾斜角Aは、それぞれ記憶される。
【0055】
次に、ステップST3にて、通知部25のバラツキ算出手段25bにより、ステップST2にて検出された複数の傾斜角Aから、平均傾斜角Aave、及び、バラツキBが算出される。
【0056】
次に、ステップST4にて、通知部25により、ステップST3にて算出された平均傾斜角Aave、及び、バラツキBと、図5に示すマップとから、モードが決定される。即ち、第1、第2、第3、第4モードのうちから、算出された平均傾斜角Aave、及び、バラツキBが属する1つのモードが選択されて、決定される。
【0057】
次に、ステップST5にて、通知部25の発光手段25a1及び発音手段25a2により、ステップST4にて決定されたモードに応じた通知が実行される。ステップST4にて決定されたモードが第1モードである場合、発光手段25a1は「緑色」で「点灯」し、且つ発音手段25a2は「高音」で「連続」出音する。ステップST4にて決定されたモードが第2モードである場合、発光手段25a1は「緑色」で「点滅」し、且つ発音手段25a2は「高音」で「断続」出音する。ステップST4にて決定されたモードが第3モードである場合、発光手段25a1は「赤色」で「点灯」し、且つ発音手段25a2は「低音」で「連続」出音する。ステップST4にて決定されたモードが第4モードである場合、発光手段25a1は「赤色」で「点滅」し、且つ発音手段25a2は「低音」で「断続」出音する。
【0058】
次に、ステップST6にて、ステップST5におけるモードが、第1モードであるか否かが判定される。例えば、ステップST5におけるモードが第2モードである場合、ステップST6にて「No」と判定されて、発光手段25a1は「緑色」で「点滅」し、且つ発音手段25a2は「高音」で「断続」出音する。この通知を受けたユーザUは、平均傾斜角Aaveが補正生成の許容範囲にある一方、バラツキBが許容範囲にはないことを認識する。このため、ユーザUは、手振れを抑制するよう、柱状部材10の把持態様を是正していく。
【0059】
例えば、ステップST5におけるモードが第3モードである場合、ステップST6にて「No」と判定されて、発光手段25a1は「赤色」で「点灯」し、且つ発音手段25a2は「低音」で「連続」出音する。この通知を受けたユーザUは、バラツキBが補正生成の許容範囲にある一方、平均傾斜角Aaveが許容範囲にはないことを認識する。このため、ユーザUは、傾斜角Aを小さくするよう、柱状部材10の把持態様を是正していく。
【0060】
例えば、ステップST5におけるモードが第4モードである場合、ステップST6にて「No」と判定されて、発光手段25a1は「赤色」で「点滅」し、且つ発音手段25a2は「低音」で「断続」出音する。この通知を受けたユーザUは、平均傾斜角AaveおよびバラツキBが、ともに補正生成の許容範囲にないことを認識する。このため、ユーザUは、傾斜角Aを小さくし、且つ手振れを抑制するよう、柱状部材10の把持態様を是正していく。
【0061】
このように、モードが第2~第4モードである場合、ステップST6にて「No」と判定されて、各モードの通知に応じて、上述のようにユーザUが柱状部材10の把持態様を是正するとともに、処理はステップST2の直前に戻る。そして、ステップST2~ST6の一連の処理が再び実行される。平均傾斜角Aave、及び、バラツキBが補正生成の許容範囲となって、ステップST5にて第1モードに応じた通知が実行されると、ステップST6にて「Yes」と判定されて、続くステップST7に進む。
【0062】
次に、ステップST7にて、補正情報生成部23により、第1モードに応じた通知を実行する際に用いた平均傾斜角Aave等に基づいて、補正情報が生成される。
【0063】
そして、ステップST8にて、接地位置決定部24により、位置検出装置21で決定される位置P1を、ステップST7にて生成された補正情報にて補正することで、柱状部材10の他端10bの接地位置である位置P2を決定した後、一連の処理を終了する。
【0064】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係る位置決定装置100は、柱状部材10と、筐体20と、位置検出装置21と、傾斜検出装置22と、補正情報生成部23と、接地位置決定部24と、指令制御装置30と、通知部25と、を備えている。通知部25は、筐体20に設けられており、補正情報を生成する際に検出される傾斜角A(傾斜度合い)を反映して、ユーザUに視覚、及び/又は、聴覚を介して通知する。
【0065】
上記構成によれば、通知部25を、筐体20における視認し易い部位や、発生音を聴き取り易い部位に配置させることができる。従って、筐体20の位置を補正して、柱状部材10の他端10bの接地位置を決定するための補正情報を生成するに際し、傾斜度合いに対応する誤差見積値を、ユーザUに確実に把握させることができる。
【0066】
例えば、傾斜角Aが大きい場合に、通知部25において、その状況が反映されてユーザUに通知されるため、ユーザUは、対応する誤差見積値が大きいものであると把握した上で、以降の処置を進めることができる。当該処置としては、例えば、傾斜角A(即ち、誤差見積値)が小さくなる方向に、柱状部材10の姿勢を制御して補正情報を生成したり、傾斜角Aに対応する誤差見積値を把握しておき、位置のオフセットとして用いたりすることが可能となる。この結果、柱状部材10の他端10bの接地位置を、正確に決定することができる。
【0067】
また、通知部25が、筐体20に備えられているため、ユーザUは、通知部25の視覚通知を視認しつつ、及び/又は、通知部25の聴覚通知を近くで聞き取りつつ、筐体20や柱状部材10から目を離すことなく、姿勢制御に集中することができる。更に、通知部25や、位置検出装置21、傾斜検出装置22に関連するモジュールを、筐体20にて、それぞれ一体的に備えることができる。このため、装置全体としてコンパクト化が可能となる。
【0068】
また、第1実施形態の位置決定装置100では特に、通知部25は、発光手段25a1を備え、視覚を介した通知として、発光による通知が実行されるよう構成されている。また、通知部25は、発音手段25a2を備え、聴覚を介した通知として、発音による通知が実行されるよう構成されている。通知部25は、傾斜角A(平均傾斜角Aave)が閾値Ath以下であるときと、閾値Athよりも大きいときとで、発光の態様、及び、発音の態様を異ならせるようになっている。
【0069】
上記構成によれば、傾斜角Aの閾値Athを境に、ユーザUへの通知の態様を異ならせることで、誤差見積値の大・小を、ユーザUに把握させることができる。即ち、ユーザUに誤差見積値「大」であると把握させ、傾斜角Aが小さくなる方向へ、柱状部材10の姿勢を調整するよう、ユーザUに促すことができる。また、ユーザUに誤差見積値「小」であると把握させ、その傾斜角Aを極力維持したままで、補正情報の生成処理に移行するよう、ユーザUに促すことができる。従って、傾斜角A(誤差見積値)を確実に小さい状態として、補正情報を生成できる。この結果、柱状部材10の他端10bの正確な接地位置を、確実に決定することができる。
【0070】
また、第1実施形態の位置決定装置100では特に、通知部25は、発光手段25a1を備え、視覚を介した通知として、発光による通知が実行されるよう構成されている。また、通知部25は、発音手段25a2を備え、聴覚を介した通知として、発音による通知が実行されるよう構成されている。通知部25は、傾斜角AのバラツキBが閾値Bth以下であるとき(所定範囲内に推移しているとき)と、閾値Bthよりも大きいとき(所定範囲内に推移していないとき)とで、発光の態様、及び、発音の態様を異ならせるようになっている。
【0071】
上記構成によれば、バラツキBの閾値Bthを境に、ユーザUへの通知の態様を異ならせることで、バラツキBの大・小を、ユーザUに把握させることができる。即ち、ユーザUにバラツキ「大」であると把握させ、バラツキBが小さくなるように、柱状部材10の手振れを抑制するよう、ユーザUに促すことができる。また、ユーザUにバラツキ「小」であると把握させ、そのバラツキBを極力維持したままで、補正情報の生成処理に移行するよう、ユーザUに促すことができる。従って、傾斜角AのバラツキBを確実に小さい状態として、補正情報を生成できる。この結果、柱状部材10の他端10bの正確な接地位置を、安定的に決定することができる。
【0072】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る位置決定装置100について説明する。図7に示すように、第2実施形態の位置決定装置100では、通知部35が、指令制御装置30に備えられている。通知部35は、補正情報を生成する際に検出される傾斜角A(傾斜度合い)を反映して、ユーザUに触覚、及び/又は、聴覚を介して通知する。第2実施形態の位置決定装置100は、この点のみ、上述した第1実施形態と異なっている。以下、第2実施形態の、第1実施形態と異なる点について、説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態の構成・要素と同一又は等価なものについては、同じ符号を付すことで、説明を省略する。
【0073】
図7、及び、図8に示すように、通知部35は、振動手段35a1、発音手段35a2、及び、バラツキ算出手段35bを、備えている。指令制御装置30の内部には、振動手段35a1が、指令制御装置30と一体的に備えられている。振動手段35a1は、振動モータであり、後述するモードに応じて振動態様が変化するようになっている。指令制御装置30は、振動手段35a1を備える場合には、図1(a)に示すように、ユーザUに直接把持されるよう構成されると好適である。
【0074】
指令制御装置30の枠体表面には、インジケータとして、発音手段35a2が、指令制御装置30と一体的に備えられている。本実施形態においては、発音手段35a2は、スピーカであり、後述するモードに応じて発音態様が変化するようになっている。本実施形態においては、振動手段35a1及び発音手段35a2の両方が備えられているが、これに代えて、どちらか一方のみが、指令制御装置30と一体的に備えられていてもよい。
【0075】
バラツキ算出手段35bは、第1実施形態と同様、傾斜角Aに基づいて、平均傾斜角Aave及びバラツキBを算出する(図4を参照)。バラツキ算出手段35bによる算出に用いられる傾斜角Aは、筐体20(通信装置26)から指令制御装置30(通信部33)に送信される。また、バラツキ算出手段35bにて算出された平均傾斜角Aaveは、指令制御装置30(通信部33)から筐体20(通信装置26)に送信されて、補正情報生成部23による補正情報の生成に用いられる。
【0076】
図8に示すように、通知部35では、メモリに格納されているマップ(ルックアップテーブル)に基づいて、モードが決定されるようになっている。本実施形態においては、モードは、下記4通りの第1、第2、第3、第4モードを備えている。第1~第4モードのうち1つが決定され、決定されたモードに応じて、振動手段35a1、及び、発音手段35a2が、下記の通り制御されるようになっている。
【0077】
第1モード:振動手段35a1を強振動で連続振動させ、且つ発音手段35a2を高音で連続出音させる
第2モード:振動手段35a1を強振動で断続振動させ、且つ発音手段35a2を高音で断続出音させる
第3モード:振動手段35a1を弱振動で連続振動させ、且つ発音手段35a2を低音で連続出音させる
第4モード:振動手段35a1を弱振動で断続振動させ、且つ発音手段35a2を低音で断続出音させる
【0078】
なお、本実施形態においては、一例として、通知部35により、触覚及び聴覚の両方を介して通知がなされるようになっている。これに代えて、例えば、通知部35により、触覚及び聴覚のうち一方のみを介して通知がなされてもよい。通知部35は、触覚を介した通知として、振動による通知が実行されるよう構成されている場合、即ち、振動手段35a1を備える場合には、以下のように振動の態様を異ならせる。例えば、平均傾斜角Aaveが閾値Ath以下であるときと、閾値Athよりも大きいときとで、振動の態様を異ならせ、バラツキBが閾値Bth以下であるときと、閾値Bthよりも大きいときとで、振動の態様を異ならせてもよい。この場合、決定されたモードに応じて、振動手段35a1が、下記の通り制御されるようにしてもよい。
【0079】
第1モード:振動手段35a1を強振動で連続振動させる
第2モード:振動手段35a1を強振動で断続振動させる
第3モード:振動手段35a1を弱振動で連続振動させる
第4モード:振動手段35a1を弱振動で断続振動させる
【0080】
通知部35は、聴覚を介した通知として、発音による通知が実行されるよう構成されている場合、即ち、発音手段35a2を備える場合には、以下のように発音の態様を異ならせる。例えば、平均傾斜角Aaveが閾値Ath以下であるときと、閾値Athよりも大きいときとで、発音の態様を異ならせ、バラツキBが閾値Bth以下であるときと、閾値Bthよりも大きいときとで、発音の態様を異ならせてもよい。この場合、決定されたモードに応じて、発音手段35a2が、下記の通り制御されるようにしてもよい。
【0081】
第1モード:発音手段35a2を高音で連続出音させる
第2モード:発音手段35a2を高音で断続出音させる
第3モード:発音手段35a2を低音で連続出音させる
第4モード:発音手段35a2を低音で断続出音させる
【0082】
本実施形態の作動としては、図6のステップST5にて、通知部35の振動手段35a1及び発音手段35a2により、ステップST4にて決定されたモードに応じた通知が実行される。ステップST4にて決定されたモードが第1モードである場合、振動手段35a1は「強振動」で「連続」振動し、且つ発音手段35a2は「高音」で「連続」出音する。ステップST4にて決定されたモードが第2モードである場合、振動手段35a1は「強振動」で「断続」振動し、且つ発音手段35a2は「高音」で「断続」出音する。ステップST4にて決定されたモードが第3モードである場合、振動手段35a1は「弱振動」で「連続」振動し、且つ発音手段35a2は「低音」で「連続」出音する。ステップST4にて決定されたモードが第4モードである場合、振動手段35a1は「弱振動」で「断続」振動し、且つ発音手段35a2は「低音」で「断続」出音する。
【0083】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本発明の第2実施形態に係る位置決定装置100は、柱状部材10と、筐体20と、位置検出装置21と、傾斜検出装置22と、補正情報生成部23と、接地位置決定部24と、指令制御装置30と、通知部35と、を備えている。通知部35は、指令制御装置30に設けられており、補正情報を生成する際に検出される傾斜角A(傾斜度合い)を反映して、ユーザUに触覚、及び/又は、聴覚を介して通知する。
【0084】
上記構成によれば、通知部35を、指令制御装置30における振動を感じ易い部位や、発生音を聴き取り易い部位に配置させることができる。従って、筐体20の位置を補正して、柱状部材10の他端10bの接地位置を決定するための補正情報を生成するに際し、傾斜度合いに対応する誤差見積値を、ユーザUに確実に把握させることができる。
【0085】
例えば、傾斜角Aが大きい場合に、通知部25において、その状況が反映されてユーザUに通知されるため、ユーザUは、対応する誤差見積値が大きいものであると把握した上で、以降の処置を進めることができる。当該処置としては、例えば、傾斜角A(即ち、誤差見積値)が小さくなる方向に、柱状部材10の姿勢を制御して補正情報を生成したり、傾斜角Aに対応する誤差見積値を把握しておき、位置のオフセットとして用いたりすることが可能となる。この結果、柱状部材10の他端10bの接地位置を、正確に決定することができる。
【0086】
また、通知部35が、ユーザUに把持される指令制御装置30に備えられているため、ユーザUは、通知部35の触覚通知を直接感じつつ、及び/又は、通知部25の聴覚通知を近くで聞き取りつつ、筐体20や柱状部材10から目を離すことなく、姿勢制御に集中することができる。更に、通知部35を、筐体20とは別体で備えることができる。このため、筐体20から離間した位置にて、傾斜角Aを反映した通知を受けることが可能となる。
【0087】
また、第2実施形態の位置決定装置100では特に、通知部35は、振動手段35a1を備え、触覚を介した通知として、振動による通知が実行されるよう構成されている。また、通知部35は、発音手段35a2を備え、聴覚を介した通知として、発音による通知が実行されるよう構成されている。通知部35は、傾斜角A(平均傾斜角Aave)が閾値Ath以下であるときと、閾値Athよりも大きいときとで、発光の態様、及び、発音の態様を異ならせるようになっている。
【0088】
上記構成によれば、傾斜角Aの閾値Athを境に、ユーザUへの通知の態様を異ならせることで、誤差見積値の大・小を、ユーザUに把握させることができる。即ち、ユーザUに誤差見積値「大」であると把握させ、傾斜角Aが小さくなる方向へ、柱状部材10の姿勢を調整するよう、ユーザUに促すことができる。また、ユーザUに誤差見積値「小」であると把握させ、その傾斜角Aを極力維持したままで、補正情報の生成処理に移行するよう、ユーザUに促すことができる。従って、傾斜角A(誤差見積値)を確実に小さい状態として、補正情報を生成できる。この結果、柱状部材10の他端10bの正確な接地位置を、確実に決定することができる。
【0089】
また、第2実施形態の位置決定装置100では特に、通知部35は、振動手段35a1を備え、触覚を介した通知として、振動による通知が実行されるよう構成されている。また、通知部35は、発音手段35a2を備え、聴覚を介した通知として、発音による通知が実行されるよう構成されている。通知部35は、傾斜角AのバラツキBが閾値Bth以下であるとき(所定範囲内に推移しているとき)と、閾値Bthよりも大きいとき(所定範囲内に推移していないとき)とで、振動の態様、及び、発音の態様を異ならせるようになっている。
【0090】
上記構成によれば、バラツキBの閾値Bthを境に、ユーザUへの通知の態様を異ならせることで、バラツキBの大・小を、ユーザUに把握させることができる。即ち、ユーザUにバラツキ「大」であると把握させ、バラツキBが小さくなるように、柱状部材10の手振れを抑制するよう、ユーザUに促すことができる。また、ユーザUにバラツキ「小」であると把握させ、そのバラツキBを極力維持したままで、補正情報の生成処理に移行するよう、ユーザUに促すことができる。従って、傾斜角AのバラツキBを確実に小さい状態として、補正情報を生成できる。この結果、柱状部材10の他端10bの正確な接地位置を、安定的に決定することができる。
【0091】
今回開示された上記各実施形態は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが、意図される。
【符号の説明】
【0092】
10…柱状部材、10a…一端、10b…他端、10c…軸、20…筐体、21…位置検出装置、22…傾斜検出装置、23…補正情報生成部、24…接地位置決定部、25…通知部、25a1…発光手段、25a2…発音手段、25b…バラツキ算出手段、30…指令制御装置、35…通知部、35a1…振動手段、35a2…発音手段、35b…バラツキ算出手段、100…位置決定装置、A…傾斜角、Aave…平均傾斜角、Ath…閾値、B…バラツキ、Bth…閾値、P1,P2…位置、S…基準線、U…ユーザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8