IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 有限会社 エコ・ライス新潟の特許一覧

<>
  • 特開-酒米用精米装置 図1
  • 特開-酒米用精米装置 図2
  • 特開-酒米用精米装置 図3
  • 特開-酒米用精米装置 図4
  • 特開-酒米用精米装置 図5
  • 特開-酒米用精米装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179430
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】酒米用精米装置
(51)【国際特許分類】
   B02B 7/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B02B7/00 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098280
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】502312096
【氏名又は名称】有限会社 エコ・ライス新潟
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】豊永 有
【テーマコード(参考)】
4D043
【Fターム(参考)】
4D043AA03
4D043AA04
4D043FA01
4D043JB06
4D043JB08
4D043JC10
4D043JF02
(57)【要約】
【課題】米糠の回収、袋詰め作業が容易に且つ低コストで行うことができ、しかも、粉状米糠の袋詰めにおいて汚れの問題も生じない実用性に優れた酒米用精米装置を提供することを目的とする。
【解決手段】玄米を酒米に精米加工する精米機1と、前記精米加工により生じた米糠を収納する複数の米糠収納部2とを備える酒米用精米装置であって、前記米糠収納部2は、夫々、移動可能に構成され、さらに、底部側に米糠を排出するための米糠排出部3とフォークリフト30のフォーク31を挿入可能なフォーク挿入部4とが設けられている酒米用精米装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄米を酒米に精米加工する精米機と、前記精米加工により生じた米糠を収納する複数の米糠収納部とを備える酒米用精米装置であって、前記米糠収納部は、夫々、移動可能に構成され、さらに、底部側に米糠を排出するための米糠排出部とフォークリフトのフォークを挿入可能なフォーク挿入部とが設けられていることを特徴とする酒米用精米装置。
【請求項2】
請求項1記載の酒米用精米装置において、前記米糠収納部は、前記底部に車輪が設けられ、この車輪により走行移動可能に構成されていることを特徴とする酒米用精米装置。
【請求項3】
請求項2記載の酒米用精米装置において、前記米糠収納部は、米糠を収納するタンク部と、このタンク部を支持するフレーム部とで構成され、前記タンク部の底部に前記米糠排出部としての開口部が設けられ、前記フレーム部の底部に前記フォーク挿入部及び前記車輪が設けられていることを特徴とする酒米用精米装置。
【請求項4】
請求項3記載の酒米用精米装置において、前記タンク部は、下部が先細り形状に形成され、この先細り形状部の先端に前記米糠排出部が設けられ、さらに、前記米糠排出部に該米糠排出部から排出される米糠を収納袋に導出案内する導出案内部が連設されていることを特徴とする酒米用精米装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酒米用精米装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酒米は飯米(食用米)に比べて精米歩合が高いため、酒米用精米装置においては、精米処理に伴い非常に多量の米糠が生成される。
【0003】
また、酒米の精米処理においては、初期に生成される米糠は、玄米の外側の脂質を多く含む糠層を主としたものであり、また、処理が進むにつれ、玄米の内側の胚乳層を多く含むものになる。したがって、酒米の精米においては、処理が進むにつれて状態(質)の異なる米糠が生成され、夫々、状態別に回収され、回収された米糠は、その状態(質)に適した用途(飼料や肥料等)に再利用されている。
【0004】
そのため、酒米用精米装置は、生成される米糠を状態別に回収するため、複数の収納タンクを備え、この収納タンクに収納された各状態の米糠は、その後、作業者によって回収、袋詰めされて出荷されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の酒米用精米装置(以下、「従来例」という。)において、上記米糠の回収、袋詰め作業を行う場合、現状、収納タンク内に収納された米糠をレーキー様の掻き出し具で排出口に集め、排出口にセットした収納袋(30kg用米袋)に袋詰めする作業を手作業で行っている。そのため、この作業には人手がかかり、また、多くの収納袋も必要となり、コストがかかる作業となっている。
【0006】
さらに、精米処理後期に生成される米糠はさらさらした粉状になっているため、このような粉状の米糠を袋詰めする場合、粉状の米糠が舞い上がり周囲に散乱してしまうため、作業者や作業場が汚れてしまい、作業場が汚れることで虫の発生の問題も生じている。
【0007】
本発明は、このような現状に鑑みなされたものであり、米糠の回収、袋詰め作業が容易に且つ低コストで行うことができ、しかも、粉状米糠の袋詰めにおいて汚れの問題も生じない実用性に優れた酒米用精米装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0009】
玄米を酒米に精米加工する精米機1と、前記精米加工により生じた米糠を収納する複数の米糠収納部2とを備える酒米用精米装置であって、前記米糠収納部2は、夫々、移動可能に構成され、さらに、底部側に米糠を排出するための米糠排出部3とフォークリフト30のフォーク31を挿入可能なフォーク挿入部4とが設けられていることを特徴とする酒米用精米装置に係るものである。
【0010】
また、請求項1記載の酒米用精米装置において、前記米糠収納部2は、前記底部に車輪5が設けられ、この車輪5により走行移動可能に構成されていることを特徴とする酒米用精米装置に係るものである。
【0011】
また、請求項2記載の酒米用精米装置において、前記米糠収納部2は、米糠を収納するタンク部2aと、このタンク部2aを支持するフレーム部2bとで構成され、前記タンク部2aの底部に前記米糠排出部3としての開口部が設けられ、前記フレーム部2bの底部に前記フォーク挿入部4及び前記車輪5が設けられていることを特徴とする酒米用精米装置に係るものである。
【0012】
また、請求項3記載の酒米用精米装置において、前記タンク部2aは、下部が先細り形状に形成され、この先細り形状部の先端に前記米糠排出部3が設けられ、さらに、前記米糠排出部3に該米糠排出部3から排出される米糠を収納袋に導出案内する導出案内部6が連設されていることを特徴とする酒米用精米装置に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、米糠の回収、袋詰め作業が容易に且つ低コストで行うことができ、しかも、粉状米糠の袋詰めにおいて汚れの問題も生じない実用性に優れた酒米用精米装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施例を示す概略図である。
図2】本実施例の米糠収納部を示す斜視図である。
図3】本実施例の米糠収納部を示す側断面図である。
図4】本実施例の使用状態(本実施例の袋詰め作業における米糠収納部の引き出し移動)を示す説明図である。
図5】本実施例の使用状態(本実施例の袋詰め作業におけるフォークリフトを用いた米糠収納部の持ち上げ移動)を示す説明図である。
図6】本実施例の使用状態(本実施例の袋詰め作業における米糠のフレキシブルコンテナバッグへの袋詰め)を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0016】
本発明において、精米機1での精米処理より生成された米糠は適宜な搬送手段により各米糠収納部2に搬送され、夫々、所定の米糠収納部2に収納される。
【0017】
この米糠収納部2に収納された米糠を袋詰めする場合、本発明の米糠収納部2は、移動可能に構成され、さらに、底部に米糠を排出するための米糠排出部3が設けられ、さらに、下部にフォークリフト30のフォーク31を挿入可能なフォーク挿入部4が設けられているから、米糠収納部2のフォーク挿入部4にフォークリフト30のフォーク31を挿入し、フォーク31の上昇操作により米糠収納部2を上昇移動させ、この上昇移動させた米糠収納部2の下方に、米糠を収納する収納袋、たとえばフレキシブルコンテナバッグ20を配設した後、米糠排出部3を開口することで、米糠収納部2内の米糠をフレキシブルコンテナバッグ20内に導入し、袋詰めすることができる。
【0018】
このように、本発明は、米糠収納部2が移動式であり、しかも、フォークリフト30を用いて上昇移動可能に構成されているから、前述のとおり、米糠収納部2からフレキシブルコンテナバッグ20への袋詰め作業が容易になり、また、掻き集め作業も不要となるから、作業が容易になり、しかも、粉状米糠の舞い上がりも抑えられ、粉状米糠が周囲に散乱して作業場が汚れてしまうことが可及的に防止され、作業場が清潔に保たれ、虫の発生も抑制できる実用性に優れた酒米用精米装置となる。
【実施例0019】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0020】
本実施例は、玄米を酒米に精米加工する精米機1と、前記精米加工により生じた米糠を収納する複数の米糠収納部2とを備える酒米用精米装置であって、前記米糠収納部2は、夫々、移動可能に構成され、さらに、底部に米糠を排出するための米糠排出部3が設けられると共に、下部にフォークリフトのフォークを挿入可能なフォーク挿入部4が設けられているものである。
【0021】
具体的には、本実施例は、図1に示すように、精米機1と、米糠収納部2と、この精米機1で生成される米糠を米糠収納部2へ搬送する搬送部7と、この搬送部7に設けられるバッファ部8とを備え、米糠収納部2は、精米歩合約90%までの精米処理で生成される米糠を収納する赤糠用米糠収納部2Aと、精米歩合約90%~80%までの精米処理で生成される米糠を収納する中糠用米糠収納部2Bと、精米歩合約80%~70%までの精米処理で生成される米糠を収納する上糠用米糠収納部2Cと、精米歩合約70%以降の精米処理で生成される米糠を収納する白糠用米糠収納部2Dとの四つの米糠収納部2で構成されている。
【0022】
各米糠収納部2は、図2に示すように、米糠を収納するタンク部2aと、このタンク部2aを支持するフレーム部2bとで構成されている。
【0023】
タンク部2aは、市販される一般的なフレキシブルコンテナバッグ20の容量(約1,000L)よりも大きな容量(本実施例では、フレキシブルコンテナバッグ20の容量の約1.5倍)に設定され、上部側が方形箱状、下部側が先細り形状(逆四角錐台形状)に形成され、上部側の天面に米糠をタンク部2a内に導入するための米糠導入部9としての開口部が設けられ、また、下部側の先細り部先端(タンク部2aの底部)に米糠を排出するための米糠排出部3としての開口部が設けられている。
【0024】
また、この米糠排出部3は、図3に示すように、この米糠排出部3から排出される米糠を収納袋に導出案内する導出案内部6が連設され、また、米糠排出部3と導出案内部6との間には米糠排出部3を閉塞する閉塞部材10が開閉動作自在に設けられている。
【0025】
具体的には、閉塞部材10は、水平板に構成され、米糠排出部3と導出案内部6との間にスライド自在に設けられ、この閉塞部材10の引き出し操作により米糠排出部3が開口しタンク部2a内の米糠が導出案内部6を介して外部(フレキシブルコンテナバッグ20内)に導出されるように構成されている。
【0026】
さらに、タンク部2aは、図2に示すように、上部側及び下部側に夫々、覗き窓11が設けられ、内部が視認可能に構成されている。
【0027】
また、フレーム部2bは、天面を有する方形枠状体に構成され、天面にはタンク部2aの天面に設けられた米糠導入部9と連通する連通口12が設けられ、この連通口12及び米糠導入部9を介して、搬送部7により搬送される米糠が米糠収納部2(タンク部2a)内に導入されるように構成されている。
【0028】
また、フレーム部2bは、方形枠体に構成される底部の上面にフォークリフト30のフォーク31を挿入可能な一対のフォーク挿入部4が設けられ、また、下面(底面)の四隅に夫々、車輪5が設けられ、各米糠収納部2は、この車輪5により移動自在に構成されている。
【0029】
さらに、フレーム部2bは、高さ方向途中(本実施例では図3に示すように高さ方向ほぼ中央)に把手部13が設けられ、作業者がこの把手部13をして米糠収納部2を設置位置から引き出し移動操作できるように構成されている。
【0030】
本実施例は以上のように構成したから、米糠収納部2に収納された米糠を袋詰めする場合、まず、図4に示すように、作業者が把手部13を把持して米糠収納部2を引き出し、上昇移動させても搬送部7と干渉しない位置に移動させ、その後、図5に示すように、米糠収納部2のフレーム部2bに設けられたフォーク挿入部4にフォークリフト30のフォーク31を挿入し、フォーク31の上昇操作により米糠収納部2を上昇移動させ、図6に示すように、この上昇移動させた米糠収納部2の下方にフレキシブルコンテナバッグ20を配設した後、閉塞部材10を操作して米糠排出部3を開口状態にすることで、米糠収納部2(タンク部2a)内の米糠をフレキシブルコンテナバッグ20内に導入し、このフレキシブルコンテナバッグ20に袋詰めすることができる。
【0031】
この際、本実施例は、タンク部2aの下部側が先細り形状に形成されているから、タンク部2aに収納される米糠が底部に残留すること無く、よって、米糠排出部3への掻き寄せ作業等を要すること無く、タンク部2a内の米糠を容易に且つスムーズにフレキシブルコンテナバッグ20へ導出させる(移し替える)ことができる。
【0032】
このように、本実施例は、米糠収納部2が移動式であり、しかも、車輪5を有し容易に移動させることができると共に、フォークリフト30を用いて上昇移動可能に構成されているから、前述のとおり、米糠収納部2からフレキシブルコンテナバッグ20への袋詰め作業が容易に且つスムーズに行うことができ、したがって、従来例において行っていた掻き集め作業が不要となるから、作業が容易になり、しかも、粉状米糠の舞い上がりも抑えられ、粉状米糠が周囲に散乱して作業場が汚れてしまうことが可及的に防止され、作業場のきれいな状態が保たれ、虫の発生も抑制できる。
【0033】
また、本実施例は、米糠収納部2(タンク部2a)の容量がフレキシブルコンテナバッグ20よりも大きい容量に設定されているから、一度の作業で複数のフレキシブルコンテナバッグ20へ袋詰めすることができ、作業性の向上を図ることができ、さらに、従来の収納袋(30kg用米袋)に袋詰めする場合に比べて大幅に袋詰め作業の回数が減少し、しかも、収納袋が大形化されることで、保管も容易になる(積み重ねが安定するので、積み重ね作業が容易になる。)など、従来例よりも格段に袋詰め作業が容易になる画期的な酒米用精米装置となる。
【0034】
なお、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0035】
1 精米機
2 米糠収納部
2a タンク部
2b フレーム部
3 米糠排出部
4 フォーク挿入部
5 車輪
6 導出案内部
30 フォークリフト
31 フォーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6