(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179436
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】アスベストみなし損得判定装置およびアスベストみなし損得判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q50/08
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098290
(22)【出願日】2023-06-15
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-06
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年9月27日住友不動産株式会社との打ち合わせにおいて公開
(71)【出願人】
【識別番号】520262881
【氏名又は名称】株式会社アスマップ
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 泰啓
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC07
5L050CC07
(57)【要約】 (修正有)
【課題】アスベスト含有建材の除去工事をみなし含有扱いとすることの損得を簡便に判定する。
【解決手段】アスベストみなし損得判定装置は、記憶部と、入出力部と、アスベスト含有被疑建材の入力情報を受け付ける判定対象受付部と、受け付けた入力情報に基づいて、みなし判定基準数量を取得するデータ検索部と、みなし判定基準数量とアスベスト含有被疑建材の工事対象数量とを比較して、みなし判定の損得を判定するみなし損得判定部と、アスベスト含有被疑建材に対する損得の判定結果を所定の表示形式で出力する判定結果出力部と、装置全般を制御する制御部と、を備える。制御部は、アスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリー及び工事対象数量を択一的に選択するための入力用画面を作成して入出力部の画像表示手段に表示させ、判定結果出力部から出力された判定結果を入出力部の画像表示手段に表示させるように制御する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象構造物のアスベスト含有被疑建材をみなし含有扱いとすることの損得を判定する装置であって、
アスベスト含有建材の除去工事費用データテーブルが保存された記憶部と、
画像表示手段及び入力手段を有する入出力部と、
前記入出力部の入力手段を介して前記アスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーおよび前記アスベスト含有被疑建材の工事対象数量が指定された入力情報を受け付ける判定対象受付部と、
前記受け付けた入力情報に基づいて、前記除去工事費用データテーブルを検索し、前記該当するアスベスト含有建材に関連付けられたみなし判定基準数量を取得するデータ検索部と、
前記みなし判定基準数量と前記アスベスト含有被疑建材の前記工事対象数量とを比較して、前記工事対象数量が前記みなし判定基準数量以上である場合を損、前記工事対象数量が前記みなし判定基準数量未満である場合を得、と判定するみなし損得判定部と、
前記みなし損得判定部で判定された前記アスベスト含有被疑建材に対する損得の判定結果を所定の表示形式で出力する判定結果出力部と、
前記記憶部、前記入出力部、前記判定対象受付部、前記データ検索部、前記みなし損得判定部、及び前記判定結果出力部を含む前記装置全般を制御する制御部と、備え、
前記制御部は、
前記アスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーおよび前記アスベスト含有被疑建材の工事対象数量を指定するための入力用画面を作成して前記入出力部の画像表示手段に表示させ、
前記判定結果出力部から出力された前記判定結果を前記入出力部の画像表示手段に表示させるように制御することを特徴とするアスベストみなし損得判定装置。
【請求項2】
前記みなし判定基準数量は、前記該当するアスベスト含有建材のアスベスト分析の費用額を、前記該当するアスベスト含有建材をアスベスト含有とみなして前記アスベスト分析を行わずにアスベスト除去工事を行う場合の費用から前記アスベスト分析を行って通常除去工事を行う場合の費用を差し引いた差額で除算した値であることを特徴とする請求項1に記載のアスベストみなし損得判定装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記判定結果出力部から出力された前記判定結果を前記記憶部に保存するよう制御することを特徴とする請求項1に記載のアスベストみなし損得判定装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーを択一的に指定するためのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)、および前記工事対象数量をスライド方式で指定するためのGUIを作成して前記入力用画面に表示させるように前記入出力部を制御し、
前記判定対象受付部は、前記入力用画面に表示された前記工事費区分カテゴリーを指定するためのGUIおよび前記前記工事対象数量を指定するためのGUIにより入力された前記該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーおよび前記工事対象数量を前記入力情報として受け付けることを特徴とする請求項1に記載のアスベストみなし損得判定装置。
【請求項5】
アスベスト含有建材の除去工事費用データテーブルが保存された記憶部と、
画像表示手段及び入力手段を有する入出力部と、
中央処理装置(CPU)を含んでなる制御部と、を備えたコンピュータに、アスベスト含有被疑建材をみなし含有扱いとすることの損得を判定する処理を実行させるアスベストみなし損得判定プログラムであって、
前記コンピュータに、
アスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーおよび前記アスベスト含有被疑建材の工事対象数量を指定するための入力用画面を作成して前記入出力部の画像表示手段に表示させるステップと、
前記入出力部の入力手段を介して前記アスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーおよび前記アスベスト含有被疑建材の工事対象数量が指定された入力情報を受け付けるステップと、
前記受け付けた入力情報に基づいて、前記記憶部に保存された前記除去工事費用データテーブルを検索し、前記該当するアスベスト含有建材に関連付けられたみなし判定基準数量を取得するステップと、
前記みなし判定基準数量と前記アスベスト含有被疑建材の前記工事対象数量とを比較して、前記工事対象数量が前記みなし判定基準数量以上である場合を損、前記工事対象数量が前記みなし判定基準数量未満である場合を得、と判定するステップと、
前記判定された前記アスベスト含有被疑建材に対する損得の判定結果を所定の表示形式で出力するステップと、
を実行させることを特徴とするアスベストみなし損得判定プログラム。
【請求項6】
前記入力用画面を作成して前記入出力部の画像表示手段に表示させるステップは、
前記該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーを択一的に指定するためのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)、および前記工事対象数量をスライド方式で指定するためのGUIを作成して前記入力用画面に表示させるステップを含むことを特徴とする請求項5に記載のアスベストみなし損得判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスベストみなし損得判定装置およびプログラムに関し、より詳しくはアスベスト調査においてアスベスト含有被疑建材をアスベストみなし含有扱いとすることのトータル費用からみた損得を判定するアスベストみなし損得判定装置及びアスベストみなし損得判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
アスベストは耐熱性や断熱性などの熱特性が優れるとともに絶縁性などの電気的特性も安定して良好であることから、過去には建築構造物に盛んに使用されていた。しかし、アスベストは発癌性等の人体に対する影響が指摘され、アスベストを取り扱う現場の作業者への健康被害を防止するために、吹付けアスベストの禁止を始め多くの法律でアスベストの使用禁止や取り扱いの制限が規定され、現在では新たな建築構造物には使用されていない。
【0003】
しかし過去に建築されて、現存する建築構造物にはアスベストを含有するものが数多く含まれており、その数は数百万棟にも上るともいわれている。こうしたアスベストを含有する建築構造物を解体又は改修する際には、アスベストを含む粉塵が発生することから、作業者の健康被害を防ぐための多くの規制が定められている。
【0004】
アスベストに関する規制は今後さらに強化される見込みであり、建築構造物の解体や改修前に事前調査を行ってその結果を報告することが義務化されることも検討されている。建築構造物の解体や改修を行う業者にとっては、報告の義務如何に拘わらず、対象となる構造物のどこにどのように、あるいはどれだけの量のアスベストが含まれているかを事前に把握することは、作業者の安全を確保する上で必須のニーズである。
【0005】
現状では解体や改修の対象構造物の事前調査は、解体や改修を行う業者が個別にサンプルを採取して分析機関に分析を依頼する形で行われている。ビルのような大きな対象構造物の場合、複数箇所で分析用のサンプルを採取することになるが、分析に要する工数や期間が増大するため、採取対象となる建材の全てに対してサンプル分析を実施することに替えて、当該建材をアスベストが含有されているとみなして(「みなし判定」という)、サンプル分析を実施せずにアスベスト含有物として撤去及び廃棄物処理を行うことが選択される場合がある。しかし、アスベスト含有物の撤去及び廃棄物処理には、アスベストなしの通常処理に比べて付加的な作業工程が増え、廃棄費用も上昇することから、調査分析費用を減らすという観点で一律にみなし判定を増やしても、対象構造物の解体・改修工事に要するアスベスト処理関連の総費用は必ずしも削減されないという問題があった。
【0006】
これに関連して、建築物の一部として利用されていた建材を廃棄する際に、その材質に基づいて、廃棄方法に関する分別を行うための技術が特許文献1に開示されている。
【0007】
特許文献1に記載の技術は、建築物の施工に用いる建材の出荷時において、当該建材に、無線交信機能を有するICタグを取り付け、このICタグに、当該建材の材質を示す材質情報を記録し、このICタグを取り付けたままの状態で建材を施工に供するようにし、建築物の解体時において、各建材に取り付けられているICタグから無線交信により材質情報を読み出し、読み出した材質情報に基づいて、読出対象となった建材についての廃棄方法に関する分別を行うようにしたものである。
【0008】
しかしながら、過去に建築された建築構造物には、このような技術は適用されておらず、現実的には、アスベストの有無は、対象構造物の解体や改修前に、現地に行って、どのエリアにどのようにアスベストが含まれるかを目視調査し、アスベスト含有が疑われる建材(アスベスト含有被疑建材という)については、サンプルの採取と分析を実施するか、又は「みなし判定」扱いとするか(以下、みなし含有扱いという)を、現地調査者がその場で判断する必要があり、この場合、分析費用と除去工事費用とを含めたトータル費用の観点から、サンプル採取とするか、又はみなし含有扱いとするかを簡易かつ適正に判定できるツールが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、アスベスト含有被疑建材の除去工事をみなし含有扱いとすることの損得を簡便に判定することができるアスベストみなし損得判定装置及びアスベストみなし損得判定プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるアスベストみなし損得判定装置は、対象構造物のアスベスト含有被疑建材をみなし含有扱いとすることの損得を判定する装置であって、アスベスト含有建材の除去工事費用データテーブルが保存された記憶部と、画像表示手段及び入力手段を有する入出力部と、前記入出力部の入力手段を介して前記アスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーおよび前記アスベスト含有被疑建材の工事対象数量が指定された入力情報を受付ける判定対象受付部と、前記受け付けた入力情報に基づいて、前記除去工事費用データテーブルを検索し、前記該当するアスベスト含有建材に関連付けられたみなし判定基準数量を取得するデータ検索部と、前記みなし判定基準数量と前記アスベスト含有被疑建材の前記工事対象数量とを比較して、前記工事対象数量が前記みなし判定基準数量以上である場合を損、前記工事対象数量が前記みなし判定基準数量未満である場合を得、と判定するみなし損得判定部と、前記みなし損得判定部で判定された前記アスベスト含有被疑建材に対する損得の判定結果を所定の表示形式で出力する判定結果出力部と、前記記憶部、前記入出力部、前記判定対象受付部、前記データ検索部、前記みなし損得判定部、及び前記判定結果出力部を含む前記装置全般を制御する制御部と、備え、前記制御部は、前記アスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーおよび前記アスベスト含有被疑建材の工事対象数量を指定するための入力用画面を作成して前記入出力部の画像表示手段に表示させ、前記判定結果出力部から出力された前記判定結果を前記入出力部の画像表示手段に表示させるように制御することを特徴とする。
【0012】
前記前記みなし判定基準数量は、前記該当するアスベスト含有建材のアスベスト分析の費用額を、前記該当するアスベスト含有建材をアスベスト含有とみなして前記アスベスト分析を行わずにアスベスト除去工事を行う場合の費用から前記アスベスト分析を行って通常除去工事を行う場合の費用を差し引いた差額で除算した値であることが好ましい。
前記制御部は、前記判定結果出力部から出力された前記判定結果を前記記憶部に保存するよう制御し得る。
【0013】
前記制御部は、前記該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーを択一的に指定するためのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)、および前記工事対象数量をスライド方式で指定するためのGUIを作成して前記入力用画面に表示させるように前記入出力部を制御し、前記判定対象受付部は、前記入力用画面に表示された前記工事費区分カテゴリーを指定するためのGUIおよび前記前記工事対象数量を指定するためのGUIにより入力された前記該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーおよび前記工事対象数量を前記入力情報として受け付けることができる。
【0014】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるアスベストみなし損得判定プログラムは、アスベスト含有建材の除去工事費用データテーブルが保存された記憶部と、画像表示手段及び入力手段を有する入出力部と、中央処理装置(CPU)を含んでなる制御部と、を備えたコンピュータに、アスベスト含有被疑建材をみなし含有扱いとすることの損得を判定する処理を実行させるアスベストみなし損得判定プログラムであって、
前記コンピュータに、アスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーおよび前記アスベスト含有被疑建材の工事対象数量を指定するための入力用画面を作成して前記入出力部の画像表示手段に表示させるステップと、前記入出力部の入力手段を介して前記アスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーおよび前記アスベスト含有被疑建材の工事対象数量が指定された入力情報を受け付けるステップと、前記受け付けた入力情報に基づいて、前記記憶部に保存された前記除去工事費用データテーブルを検索し、前記該当するアスベスト含有建材に関連付けられたみなし判定基準数量を取得するステップと、前記みなし判定基準数量と前記アスベスト含有被疑建材の前記工事対象数量とを比較して、前記工事対象数量が前記みなし判定基準数量以上である場合を損、前記工事対象数量が前記みなし判定基準数量未満である場合を得、と判定するステップと、前記判定された前記アスベスト含有被疑建材に対する損得の判定結果を所定の表示形式で出力するステップと、を実行させることを特徴とする。
【0015】
前記入力用画面を作成して前記入出力部の画像表示手段に表示させるステップは、前記該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーを択一的に指定するためのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)、および前記工事対象数量をスライド方式で指定するためのGUIを作成して前記入力用画面に表示させるステップを含んでもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、アスベスト事前調査を行う対象構造物の調査現場で、アスベスト含有が疑われる建材(アスベスト含有被疑建材)をサンプル採取して分析を行うか、又はみなし含有扱いとするかを容易に判定することができる。
また、本発明によれば、使用者が調査現場において、判定対象建材(アスベスト含有被疑建材)を指定する情報を入力するための手段が画面入力に対応し、入力用画面が入力操作の容易な択一的な選択形式で表示されるので、使用者にとって非常に使い勝手の良いものとなる。
【0017】
さらに、本発明によれば、調査現場において、対象構造物の調査結果をその場でアスベストみなし損得判定装置に保存して確認できるので、使用者は記録ミスを減らすとともに、保存された調査結果を利用して、報告書等を効率的に作成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態によるアスベストみなし損得判定装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるアスベストみなし損得判定装置で用いられるアスベスト除去工事費用データテーブルのデータ構成例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるアスベストみなし損得判定装置によるアスベスみなし損得判定方法を説明するためのフローチャートである。
【
図4】本実施形態によるアスベストみなし損得判定装置の表示部に表示される初期画面の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態によるアスベストみなし損得判定装置の表示部に表示されるみなし損得判定処理のための入出力用画面の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態によるアスベストみなし損得判定装置の表示部に表示される判定記録選択画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態によるアスベストみなし損得判定装置の構成を示すブロック図である。
【0021】
図1に示す本発明の一実施形態によるアスベストみなし損得判定装置10は、一般的なコンピュータ端末で構成され、制御部11、記憶部12、入出力部13、及び通信部18を備える。また、制御部11でアスベストみなし損得判定プログラムを実行させることによって実現される機能部(機能手段)として、判定対象受付部14、データ検索部15、みなし損得判定部16、判定結果出力部17を含む。アスベストみなし損得判定装置10は、位置検出部19をさらに備えてもよい。なお、一般的なコンピュータ端末には、モバイルコンピュータ(モバイルPC)、タブレット端末(タブレットPC)、スマートフォンなどが含まれる。
【0022】
本発明の一実施形態によるアスベストみなし損得判定装置10は、解体や改修などの工事対象となった建築構造物(以下、対象構造物という)にアスベスト含有建材が含まれているか否かを調査する際に、対象構造物の特定の場所でアスベスト含有被疑建材が発見された場合、トータル費用の観点で、当該建材を、みなし含有扱いとするか、又はサンプルを採取してアスベスト分析を行う(以下、サンプル分析という)扱いとするかを、当該装置の入出力用画面に表示される、アスベスト含有被疑建材の名称に対応付けられた工事費区分カテゴリーの識別子(以下、カテゴリー記号という)、および工事対象数量(工事面積)を指定するためのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)を使用して選択入力するだけで、その場で判定し、判定結果を使用者(調査者)に提示(表示)することができる装置である。
【0023】
アスベストみなし損得判定装置10は、発見されたアスベスト含有被疑建材を、分析費用および除去工事費用を含めたトータル費用の観点から、みなし含有扱いとするか、又はサンプル分析扱いとするかを判定するために、記憶部12にアスベスト含有建材の名称ごとの除去工事単価の差額及びサンプル分析費用の単価をデータテーブル形式で保存し、入出力部13に画面表示させたアスベスト含有建材の建材名の選択用リスト(プルダウンリスト)から、使用者が該当する建材名を選択し、選択した建材名に対応付けられた工事費区分カテゴリーを入出力部13に画面表示させた工事費区分カテゴリー選択用GUI(例えば、ラジオボタン)で指定し、さらに、入出力部13に画面表示された工事対象数量の入力用GUI(例えば、線形スラーダー)上で該当する数値位置を指示することで、これらの指示入力に基づいて、みなし含有扱いとした場合とサンプル分析扱いとした場合との損得(サンプル分析の費用が工事差額を超えるか否か)を判定して、判定結果を入出力部13に画面表示させる。これにより、使用者は当該アスベスト含有被疑建材の扱い(みなし含有扱いとするか又はサンプル分析扱いとするか)による損得を簡易な操作により簡単に確認することができる。
【0024】
なお、工事費区分カテゴリーとは、多様な種類のアスベスト含有建材について、その除去工事費用を、多数の固有名が存在する建材の名称ごとに個別に対応付けてリスト化することに替えて、主なアスベスト含有建材の一般的な除去工事費用を、カテゴリー区分に使用して、アスベスト含有建材を分類するものである。
【0025】
また、アスベストみなし損得判定装置10は、判定結果を記憶部12に保存する機能を備え得る。判定結果を保存する機能を備えることで、使用者は調査結果を確認したり、調査報告書を作成する際に、保存された判定結果のデータを利用することができる。これにより、誤認や誤入力などよる調査ミスを減らすとともに、調査報告書の作成工数及び作成時間を大幅に短縮することができる。
【0026】
以下、本発明の一実施形態によるアスベストみなし損得判定装置10の各構成要素について詳細に説明する。
【0027】
制御部11は、図示しない中央処理装置(CPU)、主記憶装置、及び補助記憶装置を含み、OS(Operating System)、所定のプログラム、及び各種データを読み込んで実行することで、上述の各機能部を実現するとともに、これらの機能部を含む装置全般を制御する。
【0028】
記憶部12は、アスベスト含有建材の建材の名称に対して予め対応付けられた工事費区分カデゴリーを示す「カデゴリー記号」を検索子として、カデゴリー記号に関連付けて、当該アスベスト含有建材の撤去工事費用とアスベストなし通常撤去工事費用との差額(単位面積当たりの金額、以下、工事費用差額という)、アスベスト分析の1サンプル当たりの費用額(以下、アスベスト分析の費用額という)、及びアスベスト分析の費用額を工事費用差額で割った値(以下、みなし判定基準数量という)をデータテーブル形式(アスベスト除去工事費用データテーブルという)で保存する。
【0029】
また、記憶部12は、アスベストみなし損得判定用プログラムや、アスベストみなし損得判定装置10自体の基本動作を制御する制御プログラムなどのプログラムを保存する。さらに、オプションで、調査した対象構造物で発見されたアスベスト含有被疑建材の判定結果を含む各種データを保存し得る。記憶部12は、SSD(ソリッドステートドライブ)及び/又はHDD(ハードディスクドライブ)などの記憶手段で具現される。
【0030】
本発明において、アスベスト含有建材は、その建材の除去処理費用に基づいて予め設定されたカデゴリー(工事費区分カテゴリー)に分類され、分類されたカデゴリーに対して予め付与された「カテゴリー記号」を、当該アスベスト含有建材の名称に対応付けて、アスベスト除去工事費用データテーブルに登録される。
【0031】
図2は、本発明の一実施形態によるアスベストみなし損得判定装置で用いられるアスベスト除去工事費用データテーブルのデータ構成例を示す図である。本実施形態によるアスベスト除去工事費用データテーブル(以下、除去工事費用データテーブルという)100は、アスベスト含有建材の名称(「建材の名称」と略記)101に対して、カテゴリー記号102、工事費用差額103、アスベスト分析の費用額(「分析単価」と略記)104、及びみなし判定基準数量105が配列されたデータ行で構成される。
【0032】
なお、
図2に示す除去工事費用データテーブル100では、工事費用差額103の算出根拠が明確になるよう差額の内訳を示している。すなわち、工事費用差額103は、撤去費差額a1、管理費差額a2、及び処分費差額a3の和であり、撤去費差額a1は、アスベスト含有建材の撤去費とアスベストなし通常建材の撤去費との差額、管理費差額a2は、アスベスト含有建材の工事管理費とアスベストなし通常建材の工事管理費との差額、処分費差額a3は、アスベスト含有建材の処分費とアスベストなし通常建材の処分費との差額である。
【0033】
入出力部13は、液晶パネルや有機ELパネルなどで具現される画像表示手段からなる表示部13aを含み、制御部11がアスベストみなし損得判定用プログラムを実行することによって生成される入力用画面を表示部13aに表示させる。また、みなし損得の判定結果や、記憶部12に保存された各種データの表示を行う。入出力部13には、カメラからなる撮像部13bがさらに含まれてもよい。
【0034】
表示部13aは、タッチ入力が可能なタッチパッドと組み合わされたタッチパネルで構成されてもよく、これにより入力手段としての機能を果たすように構成される。但し、入出力部13の入力手段の構成は、これに限定されず、キーボードやマウス等のポインティングデバイスからの入力を受け付けるように構成されてもよい。
【0035】
判定対象受付部14は、入出力部13の表示部13aに表示された入力用画面(
図5を参照)から入力されたアスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材の名称に対応付けられたカテゴリー記号及びアスベスト含有被疑建材の工事対象数量を含む入力情報を受け付ける。判定対象受付部14は、受け付けた入力情報のうち、アスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材の名称に対応付けられたカテゴリー記号をデータ検索部15に送信し、工事対象数量をみなし損得判定部16に送信する。
【0036】
一方、判定対象受付部14は、上述の入力用画面で、判定結果を記憶部12に保存するオプションが選択された場合には、入力用画面から受け付けたアスベスト含有被疑建材ごとに連番を付与し、対象構造物の識別情報に関連付けて記憶部12に保存するようにしてもよい。対象構造物の識別情報は、例えば、対象構造物の名称、又は対象構造物に予め付与された固有の識別IDを含む情報である。
【0037】
また、判定結果を記憶部12に保存するオプションが選択されると、制御部11は、アスベスト含有被疑建材を区別して管理するために、対象構造物の名称又は対象構造物に固有の識別IDを入力するための画面(図示せず)を生成して表示部13aに表示させ、
判定対象受付部14は、この画面に入力された対象構造物の名称又は対象構造物に固有の識別IDと当該アスベスト含有被疑建材に付与した連番とを、判定結果に関連付けて記憶部12に保存する。これにより、使用者は、対象構造物の名称又は識別IDを検索キーにして、該当する対象構造物で発見されたアスベスト含有被疑建材の判定結果を読み出すことができる。
【0038】
データ検索部15は、判定対象受付部14から受信したアスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材のカテゴリー記号を検索子として、記憶部12に保存された除去工事費用データテーブル100を検索し、該当するアスベスト含有建材のみなし判定基準数量105を取得する。データ検索部15は、取得したみなし判定基準数量105をみなし損得判定部16に送信する。
【0039】
みなし損得判定部16は、データ検索部15から受信したみなし判定基準数量105と判定対象受付部14から受信したアスベスト含有被疑建材の工事対象数量とを比較して、工事対象数量がみなし判定基準数量未満である場合を「みなしは得」、工事対象数量がみなし判定基準数量以上である場合を「みなしは損」と判定する。つまり、「得」とは、工事費用差額がサンプル分析単価未満となり、みなし含有扱いとすることで費用的な機会損失が生じない場合であり、「損」とは、工事費用差額がサンプル分析単価以上となるため、判定対象建材の分析を実施することで、除去費用減額の可能性があることを意味する。
【0040】
判定結果出力部17は、みなし損得判定部16で判定された結果を、所定の表示形式で入出力部13に出力する。一例として、判定結果出力部17は、判定結果が「損」となった場合は、「“みなし”は損です!サンプリング調査実施」との文字を表示部13aに画面表示させる画像データを生成し、判定結果が「得」となった場合は、「みなし含有でOKです。」との文字を表示部13aに画面表示させる画像データを生成して、入出力部13に出力する。また、判定結果出力部17は、入出力部13から判定結果を保存する指示が入力された場合、判定結果に、アスベスト含有被疑建材に付与された連番を関連付けて記憶部12に保存する。
【0041】
通信部18は、外部情報処理装置20とデータを所定の通信回線又は通信ネットワークを介して送受信するための通信手段を提供する。外部情報処理装置20は、例えば、使用者が管理するサーバコンピュータやアスベスト含有建材に関するデータベースが保存されたストレージ装置であり、さらに判定結果を保存するための外部記憶装置や判定結果を印刷するためのプリンターであってもよい。
【0042】
位置検出部19は、GNSS等を利用してアスベストみなし損得判定装置10の位置情報を取得する。取得した位置情報は、判定結果を記憶部12に保存する際に、判定対象建材を調査した場所を特定するための情報として、判定結果に関連付けて記憶部12に保存してもよい。
【0043】
次に、本発明の一実施形態によるアスベストみなし損得判定装置の動作方法について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。
【0044】
図3は、本発明の一実施形態によるアスベストみなし損得判定装置によるアスベスみなし損得判定方法を説明するためのフローチャートである。
【0045】
図3に示すように、アスベストみなし損得判定装置10が起動されると、アスベストみなし損得判定装置10の制御部11は、アスベストみなし損得判定プログラムを実行して初期画面(
図4を参照)を生成し、生成した初期画面を入出力部13の表示部13aに表示させる(ステップS100)。初期画面からの入力は、タッチパネルを備えてポインティング入力機能を兼ねる表示部13aが対応するものとして説明する。
【0046】
図4は、本実施形態によるアスベストみなし損得判定装置10の表示部13aに表示される初期画面の一例を示す図である。本実施形態における初期画面及びその後の各動作段階で表示部13aに表示される画面の例は、説明の便宜上、例示するものであって、これらに限定されない。
【0047】
図4に示す初期画面400には、処理項目として、例えば、「1.建材リストの登録/更新」、「2.みなし損得判定」、及び「3.判定記録」に対応した処理を選択するための画像(ボタン)が表示される。
【0048】
初期画面400に表示された処理項目の中の「1.建材リストの登録/更新」のボタン401が選択(指示)されると(ステップS110)、制御部11は、アスベスト工事費用データテーブル100に新たなアスベスト含有建材のデータ(データ行)を登録するか又は登録済みのアスベスト含有建材に対応付けられたデータ項目うちの特定のデータを更新する処理に進むための、建材データ入力用画面(図示せず)を生成して表示部13aに表示させる(ステップS120)。
【0049】
建材データ入力用画面から、登録又は更新するデータが入力されると、制御部11は、当該データを、記憶部12に保存されたアスベスト工事費用データテーブル100に登録又は当該データテーブル100を更新する処理を実行する(ステップS130)。データの登録又は更新が完了すると、制御部11は、初期画面に戻るよう入出力部13を制御する。
【0050】
登録又は更新されるデータの入力は、建材データ入力用画面からの個別入力に限定されず、例えば、ネットワーク接続された外部情報処理装置20からファイル単位で取得するか、又は、アスベストみなし損得判定装置10の入出力部13に別途備えらえた入出力用インターフェイスを介して接続されたUSBメモリ装置等の外部記憶媒体からファイル単位で取得するようにしてもよい。この場合、建材データ入力用画面には、外部情報処理装置又は外部記憶媒体からのデータ取得を選択する画像(図示せず)が表示されるようにしてもよい。
【0051】
図4の初期画面400に表示された処理項目の中の「2.みなし損得判定」のボタン402が選択(指示)されると(ステップS110)、制御部11は、みなし損得判定処理のための入出力用画面(
図5を参照)を生成して表示部13aに表示させる(ステップS220)。
【0052】
図5は、本実施形態によるアスベストみなし損得判定装置10の表示部13aに表示される、みなし損得判定処理のための入出力用画面の一例を示す図である。なお、
図5に示すみなし損得判定処理のための入出力用画面(以下、みなし損得判定入出力用画面という)の例は、説明の便宜上、例示するものであって、これに限定されない。
【0053】
図5に示すみなし損得判定入出力用画面500には、選択項目として、例えば、「建材名」、「建材名のカテゴリーを選択」、及び「除去工事の対象建材の工事量」を指定するための各入力用画像(入力ウィンドウ)が表示される。
【0054】
みなし損得判定入出力用画面500に表示された「建材名」の入力ウィンドウ501は、判定対象のアスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材を指定するためのウィンドウとして機能し、使用者が画面上で入力ウィンドウ501をポインティング(指示)すると、記憶部12の除去工事費用データテーブル100に保存されたアスベスト含有建材の名前がプルダウン形式で表示される。プルダウン表示されたアスベスト含有建材の中から使用者が該当する建材名を選択(指示)すると(ステップS230)、入力ウィンドウ501には選択された建材名が、当該建材のカテゴリー記号とともに表示される。
【0055】
次に、みなし損得判定入出力用画面500に表示された「建材名のカテゴリーを選択」の入力ウィンドウ502は、アスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材のカテゴリーを択一的に選択(指定)するためのウィンドウとして機能し、使用者は、「建材名」の入力ウィンドウ501にラジオボタン形式のGUI(グラフィカルユーザインタフェース)で表示されたカテゴリー記号を参照して、入力ウィンドウ502に表示された複数のカテゴリー記号の中から該当するカテゴリー記号をポインティング(指定)する。
【0056】
図5に示す例では、使用者が「建材名」の入力ウィンドウ501で指定した建材である「Pタイル」に対応付けられたカテゴリー:Gを参照して、「建材名のカテゴリーを選択」の入力ウィンドウ502にラジオボタン形式で表示された複数のカテゴリー記号の中の「G」のボタンをポインティング(指定)した状態を示している。
【0057】
入力ウィンドウ502でカテゴリー記号が指定(入力)されると、制御部11は判定対象受付部14、データ検索部15、及びみなし損得判定部16を機能させ、判定対象受付部14は、入力ウィンドウ502に入力されたカテゴリー記号を受け付けて(ステップS240)、データ検索部15に送信し、データ検索部15は、受信したカテゴリー記号を検索子として、記憶部12に保存された除去工事費用データテーブル100を検索し、受信したカテゴリー記号に対応付けられたみなし判定基準数量105を取得する。データ検索部15は、取得したみなし判定基準数量105をみなし損得判定部16に送信する。
【0058】
一方、みなし損得判定入出力用画面500に表示された「除去工事の対象建材の工事量」の入力ウィンドウ503は、アスベスト含有被疑建材の除去工事の工事量(工事対象数量)を指定するためのウィンドウとして機能し、当該入力ウィンドウ503内には、工事対象数量を指定するための線形インジケータ(スライダーともいう)形式のGUIが表示される。線形インジケータは、例えば、画面上で横方向に延長されたスケールの形態で表示され、面積を示す目盛りが付けられている。入力形式を線形インジケータとすることで、使用者は工事対象数量の変更入力が容易かつ簡単になり、後述するみなし損得判定の試行を効率的に行うことができる。
【0059】
使用者が「除去工事の対象建材の工事量」の入力ウィンドウ503内の線形インジケータ上で所望の位置をポインティング(指示)又はつまみ画像を移動させることで、その位置に対応する面積(工事対象数量)を指定(入力)することができる。
図5に示す例では、面積を示す目盛りがスケール上で部分的に表示されているが、2つの目盛りの間の位置がポインティングされた場合に、その位置に対応する値がポップアップ表示されるようにしてもよい。なお、工事対象数量を指定するための入力形式は、これに限定されず、面積の数値を直接入力する形式や数値をプルダウン形式で表示させる形式としてもよい。
【0060】
使用者が入力ウィンドウ503で工事対象数量を指定(入力)すると、判定対象受付部14は、入力ウィンドウ503に入力された工事対象数量を受け付けて(ステップS250)、みなし損得判定部16に送信する。
【0061】
みなし損得判定部16は、ステップS240で受け付けたカテゴリー記号に対応付けられたみなし判定基準数量105と、ステップS250で受け付けた工事対象数量とを比較して、みなし損得を判定する(ステップS260)。
【0062】
みなし損得の判定は、アスベスト含有被疑建材に該当するアスベスト含有建材のみなし判定基準数量105とアスベスト含有被疑建材の工事対象数量とを比較した結果において、工事対象数量がみなし判定基準数量未満である場合は、工事差額が分析費用よりも小さいため、分析により判定対象建材がアスベスト非含有と判定されても分析費用が工事差額で相殺される可能性がないため、「みなし含有扱いでOK」、すなわち「得」と判定する。
【0063】
これに対し、工事対象数量がみなし判定基準数量以上である場合は、分析によりアスベスト非含有と判定されると分析と工事を合わせたトータル費用の削減が見込まれるので、「みなし含有扱いは機会損」、すなわち「損」と判定する。
【0064】
みなし損得判定部16は、判定結果を判定結果出力部17に送信し、判定結果出力部17は、受信した判定結果を、所定の表示形式で入出力部13に出力する(ステップS270)。入出力部13は、表示部13aに表示されたみなし判定入出力用画面500の「判定結果」のウィンドウ504に、判定結果出力部17から出力された判定結果を表示させる。
【0065】
その後、制御部11は、みなし損得判定入出力用画面500の「終了」ボタン505がポインティング(指示)されると、みなし損得判定処理を終了する(ステップS280)。
【0066】
一方、「建材名」の入力ウィンドウ501又は「除去工事の対象建材の工事量」の入力ウィンドウ503に別の入力が行われると、入力された項目に応じて、ステップS230からステップS270、又はステップS250からステップS270までの処理を実行する。
【0067】
初期画面400に表示された処理項目の中の「3.判定記録」のボタン403が選択(指示)されると(ステップS110)、制御部11は、記憶部12に保存された判定結果を読み出すか、又は新たな対象構造物の調査結果を保存するかを選択するための入力用画面(以下、判定記録選択画面という)を生成して表示部13aに表示させる(ステップS320)。
【0068】
図6は、本実施形態によるアスベストみなし損得判定装置10の表示部13aに表示される判定記録選択画面の一例を示す図である。なお、
図6に示す判定記録選択画面の例は、説明の便宜上、例示するものであって、これに限定されない。
【0069】
図6に示す判定記録選択画面600には、例えば、アスベストみなし損得判定装置10の記憶部12に保存されたデータファイルの一覧リスト601と、新規の対象構造物に対する判定結果を保存するためのファイル作成を制御部11に指示するための「新規調査物件名を入力」のウィンドウ602が表示される。
【0070】
使用者が、保存済みの対象構造物のデータを参照したい場合は、一覧リスト601の中から該当するファイルをポインティング(指示)すると、指示されたファイルが読み出されて、例えば、テーブル形式で表示部13aに表示される(ステップS330)。その後、判定記録選択画面600で、「戻る」ボタン603がポインティング(指示)されると、制御部11は、初期画面400に戻るよう入出力部13を制御する。
【0071】
なお、アスベストみなし損得判定装置10が、外部情報処理装置20にネットワーク接続された状態にある場合、データファイルの一覧リスト601には、外部情報処理装置20に保存されたファイルが表示され得る。この場合、アスベストみなし損得判定装置10は、外部情報処理装置20に保存されたファイルにアクセス可能に構成されてもよい。
【0072】
一方、
図6に示す判定記録選択画面600で、「新規調査物件名を入力」と表示された入力ウィンドウ602がポインティング(指示)されると、制御部11は、入力ウィンドウ602からの文字入力機能を活性化し、入力ウィンドウ(テキストボックス)602に入力された対象構造物の名称に対応付けられた判定結果記録用データテーブルを新たに作成して記憶部12に保存する(ステップS330)。
【0073】
その後、判定記録選択画面600で、「戻る」ボタン603がポインティング(指示)されると、制御部11は、初期画面400に戻るよう入出力部13を制御する。
【0074】
制御部11は、入力ウィンドウ602に対象構造物の名称が入力されると、入力された名称に対して、固有の識別IDを生成して付与し、付与された識別ID及び/又は対象構造物の名称を識別情報として、新たに作成した判定結果記録用データテーブルに関連付けて記憶部12に保存するようにしてもよい。なお、個々のアスベスト含有被疑建材に対する判定結果の保存は、
図5に示すみなし判定入出力用画面500に表示された「保存」ボタン506がポインティング(指示)されると実行されるようにしてもよい。
【0075】
図5に示すみなし損得判定入出力用画面500で、判定結果を記憶部12に保存するオプション、すなわち、「保存」のボタン506がポインティング(指示)されると、判定対象受付部14は、当該アスベスト含有被疑建材に連番を付与し、保存先の判定結果記録用データテーブルの当否を確認するための画面(図示せず)を表示させた上、同画面で確認された判定結果記録用データテーブルに、判定結果を連番と関連付けて保存する。
【0076】
なお、判定結果記録用データテーブルには、アスベスト含有被疑建材に関連付けるデータ項目として、当該アスベスト含有被疑建材を撮影部13bで撮影した画像データや、位置検出部19で検出された当該アスベスト含有被疑建材の位置データを含めてもよい。
【0077】
以上で説明したように、本発明の一実施形態によるアスベストみなし損得判定装置は、アスベスト含有が疑われる建材をサンプル採取して分析を行うか、又はみなし含有とするかを、トータル費用の損得に基づいて、その場で判定することができるため、調査者の知識や経験に依存しない適正な調査結果を得ることができる。また、表示画面から視覚的な入力ができるため、調査者の負担を大幅に低減することができる。
【0078】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0079】
10 アスベストみなし損得判定装置
11 制御部
12 記憶部
13 入出力部
13a 表示部
14 判定対象受付部
15 データ検索部
16 みなし損得判定部
17 判定結果出力部
18 通信部
19 位置検出部
20 外部情報処理装置
【手続補正書】
【提出日】2023-10-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
前記制御部は、前記該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーを択一的に指定するためのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)、および前記工事対象数量をスライド方式で指定するためのGUIを作成して前記入力用画面に表示させるように前記入出力部を制御し、
前記判定対象受付部は、前記入力用画面に表示された前記工事費区分カテゴリーを指定するためのGUIおよび前記工事対象数量を指定するためのGUIにより入力された前記該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーおよび前記工事対象数量を前記入力情報として受け付けることを特徴とする請求項1に記載のアスベストみなし損得判定装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
前記制御部は、前記該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーを択一的に指定するためのGUI(グラフィカルユーザインタフェース)、および前記工事対象数量をスライド方式で指定するためのGUIを作成して前記入力用画面に表示させるように前記入出力部を制御し、前記判定対象受付部は、前記入力用画面に表示された前記工事費区分カテゴリーを指定するためのGUIおよび前記工事対象数量を指定するためのGUIにより入力された前記該当するアスベスト含有建材の工事費区分カテゴリーおよび前記工事対象数量を前記入力情報として受け付けることができる。