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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017946
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】送受信装置、及び制御システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/0654 20220101AFI20240201BHJP
【FI】
H04L41/0654
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022120933
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100125151
【弁理士】
【氏名又は名称】新畠 弘之
(72)【発明者】
【氏名】平野 竜馬
(72)【発明者】
【氏名】松山 拓紀
(72)【発明者】
【氏名】大西 直哉
(72)【発明者】
【氏名】中谷 博司
(72)【発明者】
【氏名】高柳 洋一
(72)【発明者】
【氏名】岡部 基彦
(57)【要約】
【課題】ネットワークを介した通信をより安定的に行える送受信装置を提供する。
【解決手段】本実施形態によれば、送受信装置は、接続部と、判定部と、を備える。接続部は、複通信相手とのネットワークを介した通信リンクを確立する。判定部は、通信リンクの状態を判定する判定部であって、所定の状態である場合に、接続部に通信リンクを他の通信リンクに変更させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信相手とのネットワークを介した通信リンクを確立する接続部
と、
前記通信リンクの状態を判定する判定部であって、所定の状態である場合に、前記接続部に前記通信リンクを他の通信リンクに変更させる判定部と、
を備える送受信装置。
【請求項2】
前記接続部は、前記所定の状態である場合に、ネットワークを介した新たな通信リンクを前記他の通信リンクとして確立させる、請求項1に記載の送受信装置。
【請求項3】
前記接続部は、ネットワークを介した2つ以上の異なる通信リンクを予め確立しており、前記2つ以上の異なる通信リンクのうちの少なくとも1つの通信リンクを通常の送受信に使用しており、
前記接続部は、通常の送受信に使用している通信リンクが所定の状態である場合に、前記2つ以上の異なる通信リンクのうちの他の通信リンクの一つを通常の送受信に使用することが可能である、請求項1に記載の送受信装置。
【請求項4】
前記2つ以上の異なる通信リンクのそれぞれに対応し、対応する通信リンクを介して信号を送信することが可能である複数の送信部を、更に備える、請求項3に記載の送受信装置。
【請求項5】
前記複数の送信部のうちの少なくとも一つは、前記通常の送受信にする常用系の送信部とし、前記複数の送信部のうちの少なくとも一つは、前記通常の送受信には使用しない待機系の送信部とする、請求項4に記載の送受信装置。
【請求項6】
前記複数の送信部は、同一のデータを少なくとも含む信号を対応する通信リンクを介して送信する、請求項4に記載の送受信装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記2つ以上の異なる通信リンクを介してそれぞれ受信される同一のデータを少なくとも含む信号を照合し、前記データが一致する場合に前記信号を採用する、請求項3に記載の送受信装置。
【請求項8】
前記判定部は、3つの異なる通信リンクを介してそれぞれ受信される同一のデータを少なくとも含む信号を照合し、2つ以上の前記データが一致する場合に前記信号を採用し、異なるデータを送信してきた送信部に異常があると判定する、請求項4に記載の送受信装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記データが一致しない事象が予め定めた回数を超える場合を、前記所定の状態として判定する、請求項7に記載の送受信装置。
【請求項10】
前記判定部は、同一の通信リンクを介して受信する信号の受信間隔が閾値を超える事象が予め定めた回数を超える場合を、前記所定の状態として判定する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の送受信装置。
【請求項11】
前記判定部は、同一の通信リンクを介して受信する連番を振られた信号のうち、受信されなかった信号の数が予め定めた回数を超える場合を、前記所定の状態として判定する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の送受信装置。
【請求項12】
前記判定部は、送信した送信信号の送信タイミングと、前記送信信号の応答信号を受信した受信タイミングの差分である応答時間が閾値を超える事象が予め定めた回数を超える場合を、前記所定の状態として判定する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の送受信装置。
【請求項13】
前記通信リンクを介して受信した第1信号に基づき、制御に用いる第2信号を生成する制御演算部を更に備える、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の送受信装置。
【請求項14】
前記判定部は、ネットワークを介して得られる情報にも基づき、前記状態を判断する、請求項13に記載の送受信装置。
【請求項15】
前記判定部は、前記状態である場合に、予め指定されたメールアドレスに、異常であることを通知すること、メッセージボックスを表示部にポップアップさせること、照明灯を点灯させること、前記制御演算部にフェイルセーフとなる第2信号を生成させること、の少なくともいずれかを行う、請求項13に記載の送受信装置。
【請求項16】
前記通信リンクを介して受信した制御に用いる第2信号を出力装置に出力する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の送受信装置。
【請求項17】
サーバ装置と、通信装置とを備える制御システムであって、
サーバ装置は、
通信相手とのネットワークを介した通信リンクを確立する接続部
と、
前記通信リンクの状態を判定する判定部であって、所定の状態である場合に、前記接続部に前記通信リンクを他の通信リンクに変更させる判定部と、
前記通信リンクを介して受信した第1信号に基づき、制御に用いる第2信号を生成する制御演算部と、を有し、
通信装置は、
入力装置から取得した前記第1信号を、前記通信リンクを介して前記第1送受信装置に送信し、
前記通信リンクを介して受信した前記第2信号を出力装置に出力する、制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、送受信装置、及び制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
PLC(Programmable Logic Controller:プログラマブルロジックコントローラ)等で行われているシーケンス制御やプロセス制御を、インターネットなどのネットワークを介したサーバ装置で実行する制御システムが検討されている。工場や産業システム等の制御システムは一定周期でリアルタイムに動作する。システムを正常に制御するために、ネットワーク遅延等が発生しても、入出力のデータを一定時間以内に伝送することが要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5959452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、インターネットなどのネットワークは通信帯域や通信遅延が保証されていないため、ネットワークを介して通信を行うと、一定周期内に目的とする通信を行うことができない恐れがある。また、複数のサーバ装置を用いても、突発的な通信遅延が発生する可能性があり、一定周期の通信を行うことができない恐れがある。さらに、TCP(Transmission Control Protocol)の輻輳制御や送達確認を使用しても、通信路自体に問題がある場合には一定周期の通信を行うことができない恐れがある。
【0005】
このような課題を解決するため、本実施形態における課題は、ネットワークを介した通信をより安定的に行える送受信装置、及び制御システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態によれば、送受信装置は、接続部と、判定部と、を備える。接続部は、複通信相手とのネットワークを介した通信リンクを確立する。判定部は、通信リンクの状態を判定する判定部であって、所定の状態である場合に、接続部に通信リンクを他の通信リンクに変更させる。
【発明の効果】
【0007】
ネットワークを介した通信をより安定的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る制御システムの構成例を示す図。
図2】接続管理部が使用する接続情報の例を示す表。
図3】送信管理部が送信する入力信号パケットの構成例を示す図。
図4】送信中フラグを用いて接続情報を参照する場合の方法例を示す表。
図5】第2実施形態に係る制御システムの構成例を示す図。
図6】第3実施形態に係る制御システムの構成例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態に係る送受信装置、及び制御システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の実施形態の一例であって、本発明はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本実施形態で参照する図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号又は類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
【0010】
(第1実施形態)
(構成)
図1は、第1実施形態に係る制御システムの構成例を示す図である。図1に示すように、制御システム1は、送受信装置10と、送受信装置20とを備える。送受信装置10と送受信装置20とは、ネットワーク30を介して接続される。すなわち、この送受信装置10は、例えばサーバ装置であり、CPU(Censral Processing Unis)、メモリ、ストレージ等を備えており、ネットワーク30及び送受信装置20を介して、アクチュエータ等の機器を制御する。送受信装置20は、例えば通信装置であり、CPU(Censral Processing Unis)、メモリ、ストレージ等を備える。
【0011】
入力装置22は、アクチュエータ等の機器の状態情報を生成するセンサ等から得られるデータである入力信号を入力する。出力装置24は、例えば送受信装置10の制御対象となるアクチュエータ等の機器である。すなわち、送受信装置10は、送受信装置20及びネットワーク30を介して取得した入力信号に応じて、制御用の出力信号を生成する。そして、送受信装置10は、ネットワーク30及び送受信装置20を介して、出力信号を出力装置24に出力する。なお、本実施形態に係る入力信号が第1信号に対応し、出力信号が第2信号に対応する。
【0012】
ネットワーク30は、例えばインターネットであるが、これに限定されない。例えば、LAN(Loacal Area Network)などのローカルな通信回線や、WAN(Wide Area Network)などの広域な有線通信回線、また3G(Generation)、4G、5G、といった通信規格の無線通信回線を用いても良い。
【0013】
より具体的には、送受信装置10は、制御演算部11と、接続管理部12と、送信部13と、受信部14と、判定部15と、通信部16と、を有する。この送受信装置10は、例えばメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御演算部11と、接続管理部12と、送信部13と、受信部14と、通信部16と、判定部15とを構成することが可能である。
【0014】
送受信装置20は、制御演算部11と、接続管理部12と、送信部13と、受信部14と、通信部16と、信号入力部21と、信号出力部23と、を有する。すなわち、この送受信装置20は、信号入力部21と、信号出力部23と、を更に有し、制御演算部11を有さない点で送受信装置10と相違する。この送受信装置20は、例えばメモリに記憶されるプログラムを実行することにより、制御演算部11と、接続管理部12と、送信部13と、受信部14と、通信部16と、信号入力部21と、信号出力部23と、を構成することが可能である。以下の説明では、送受信装置10の接続管理部12と、送信部13と、受信部14と、通信部16と、判定部15とを説明する。一方で、送受信装置20の接続管理部12と、送信部13と、受信部14と、通信部16と、判定部15に関しては、送受信装置10との相違点を説明する。
【0015】
また、本実施形態では、送受信装置20を、TCP(Transmission Control Protocol)等の接続を要求する側であるクライアントとし、送受信装置10がTCP等の接続を受け付けるサーバ側として説明するが、これに限定されない。例えば、送受信装置10がTCP等の接続を要求するクライアント側とし、送受信装置20がTCP等の接続を受け付けるサーバ側であってもよい。
【0016】
制御演算部11は、入力信号に応じて、出力装置2における制御用の出力信号を生成する。
【0017】
図2は、接続管理部12が使用する接続情報の例を示す表である。図2に示すように、接続情報は、送信を行う一つの装置に割振られる固有番号である。ID0~4は、個別の送信部、或いは、個別の通信装置に対応する。例えば、ID0~4には、それぞれ、接続情報として10~14が割振られている。つまり、本実施形態に係るID0~4は、例えば独立した送信部、或いは、独立した通信装置それぞれ対応させることが可能である。これにより、本実施形態に係る送受信装置20は一装置であるが、複数の通信装置、或いは、複数の送信部に対する通信処理と同等の通信処理を送受信装置20に対して行うことが可能となる。なお、本実施形態に係る接続管理部12が接続部に対応する。
【0018】
送受信装置10と送受信装置20とは、例えばTCP(Transmission Control Protocol)により通信を確立することが可能である。送受信装置10の接続管理部12は、送受信装置20の接続管理部12からの接続要求を、ネットワーク30を介して受け付ける。正常に接続処理を実施する場合、ネットワーク30を介して送受信装置20に送受信装置10が接続応答する。さらにOSなどから割り当てられる通信に使用する接続情報、例えば図2のようにSocketのファイルディスクリプタを送受信装置10は保持する。送受信装置10からの接続応答を受け取った送受信装置20の接続管理部12は、OSなどから割り当てられる通信に使用する接続情報、例えば図2のようにSocketのファイルディスクリプタを保持する。
【0019】
これにより、送受信装置10と送受信装置20で相互に通信に使用する接続情報を保持でき、この接続情報10を用いる通信が送受信装置10、及び送受信装置20の間で確立する。なお、本実施形態では、ネットワーク30を介して、送受信装置10と送受信装置20との間に確立した通信経路を通信リンクと称することとする。
【0020】
図3は、送受信装置20の接続管理部12が送信する入力信号パケットの構成例を示す図である。入力信号パケットは、通信装置の識別番号である装置ID、何周期目の送信であるかを示す送信周期、同じ周期内で何回送信したかを示す送信回数、入力信号のデータで構成される。
【0021】
図4は、送受信装置10の接続管理部12が送信する出力信号パケットの構成例を示す図である。出力信号パケットと入力信号パケットとは、同様の構成である。つまり、入力信号パケットが入力信号を含むのに対し、出力信号パケットが出力信号を含む点で相違する。このように、出力信号パケットは、通信装置の識別番号である装置ID、何周期目の送信であるかを示す送信周期、同じ周期内で何回送信したかを示す送信回数、出力信号のデータで構成される。
【0022】
送受信装置10及び送受信装置20の接続管理部12は、次の周期に送信する際は、送信周期はインクリメントする。また、接続管理部12は、同一の送信信号を、同じ周期で連続送信する際には、送信周期に同じ値を格納し、送信回数はインクリメントすることが可能である。この場合、接続管理部12は、次の周期に送信する際は、送信周期はインクリメントし、送信回数を初期値に戻すことが可能である。
【0023】
送受信装置10側の送信部13は、接続管理部12から供給される出力信号パケット(図4参照)に、制御演算部11から供給される出力を含ませた後に、通信部16に供給する。一方で、送受信装置20側の送信部13は、接続管理部12から供給される入力信号パケット(図3参照)に、信号入力部21から供給される入力信号を含ませた後に、通信部16に供給する。
【0024】
送受信装置10側の受信部14は、通信部16から供給される入力信号パケットに関する情報を、制御演算部11、接続管理部12、及び判定部15に供給する。一方で、送受信装置20側の受信部14は、接続管理部12、判定部15、及び信号出力部23に供給する。特に、送受信装置20側の受信部14は、信号出力部23に、出力信号パケットに含まれる出力信号を出力する。
【0025】
判定部15は、受信部14で受信する信号の状態により、送受信装置10と送受信装置20との間の通信状態を判定する。なお、判定部15の詳細は、後述する。
【0026】
送受信装置10側の通信部16は、ネットワークインタフェースを介して、送受信装置20側の通信部16と通信を行う。同様に、送受信装置10側の通信部16は、ネットワークインタフェースを介して、送受信装置20側の通信部16と通信を行う。
【0027】
なお、送受信装置10は、物理的なサーバでもよいし、仮想化されたサーバやクラウドサーバでもよい。接続管理部12で接続を受け付けるプロトコルは、TCP(Transmission Control Protocol)だけでなく、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)や、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)、MQTT (Message Queueing Telemetry Transport)等のTCPベースのプロトコルや、QUIC、MQTT-SN(MQTT for Sensor Networks)等のUDPベースのプロトコルでもよい。また、送信部13と受信部14とは、OSの別スレッドに割り当て並列に動作させてもよい。なお、QUICとは、インターネットなどのIPネットワーク上で利用される通信規約(プロトコル)の一つで、高速性と安全性の両立を目指したものである。
【0028】
また、出力装置24は、アクチュエータ等の機器へ出力信号を伝えるIOモジュールでもよい。或いは、IOモジュールに入力信号や出力信号を伝えるモジュールでもよい。さらにまた、ネットワーク30における伝送方法は、ネットワークやフィールドバス等を介した方法でもよいし、或いはASICやFPGA等を介した方法でもよい。以上が第1実施形態に係る制御システム1の構成の説明であるが、以下に作用を説明する。
【0029】
(作用)
第1実施形態に係る制御システム1のより具体的な動作例を説明する。まず、送受信装置10の接続管理部12と、送受信装置20の接続管理部12とは、例えばTCPで通信リンクを確立する。双方の接続管理部12は、接続情報として例えばソケット等で通信する際の識別子であるファイルディスクリプタ(図3,4参照を)保持する。また、接続管理部12は、IPアドレス(IP address)や、MACアドレス(Media Access Control address)の組等を更に保持してもよい。
【0030】
送受信装置10の接続管理部12と、送受信装置20の接続管理部12とが通信リンクを確立した後には、例えばHTTPS(Hypertext Transfer Protocol Secure)を用いて定期的な通信をする。例えば、送受信装置10では、100ms間隔の送信周期により、制御演算部11が制御情報である出力信号を送信部13に受け渡し、送信部13が出力信号パケット(図4参照)を作成して、通信部16を介して送受信装置20に出力信号パケッを送信する。例えば、出力信号パケットは、HTTP RESPONSEフレームにより構成してもよい。なお、HTTP RESPONSEフレームのBODYにはデータの通番を含むことが可能である。例えば、通信回線が1ルートであり、接続情報(図2参照)が10であり、送信回数が1回で固定の場合、(接続情報、送信周期、送信回数)(図4参照)の情報を、(10、0、1)、(10、1、1)、(10、2、1)、(10、3、1)、(10、4、1)、(10、5、1)、(10、6、1)、(10、7、1)、(10、8、1)、(10、9、1)のように、送信周期をデータの通番として各出力信号パケットのデータヘッドに割振ることが可能である。
【0031】
一方、送受信装置20では、50ms間隔の送信周期により、信号入力部21が入力信号を送信部13に受け渡し、送信部13が入力信号パケット(図3参照)、を作成して通信部16を介して、送受信装置10に入力信号を含むデータを送信する。例えば、入力信号パケットは、HTTP POSTフレームにより構成してもよい。なお、HTTP POSTフレームのBODYにはデータの通番を含むことが可能である。例えば、通信回線が1ルートであり、接続情報(図2参照)が10であり、送信回数が1回で固定の場合、(接続情報、送信周期、送信回数)(図2参照)の情報を、(10、0、1)、(10、1、1)、(10、2、1)、(10、3、1)、(10、4、1)、(10、5、1)、(10、6、1)、(10、7、1)、(10、8、1)、(10、9、1)のように、送信周期をデータの通番として各入力信号パケットのデータヘッドに割振ることが可能である。
【0032】
送受信装置10の受信部14は通信部15を介して、送受信装置20から送信された入力信号パケットを受信する。受信部14は、受信した入力信号パケットに含まれる入力信号を制御演算部11に供給する。そして、制御演算部11は、入力信号に対する制御演算結果である出力信号を、信部13に受け渡し、送信部13が出力信号パケット(図4参照)、を作成して通信部16を介して、送受信装置20に出力信号を含むデータを送信する。
【0033】
このように、送受信装置10は、出力信号パケットを定期的に送受信装置20に送信し、送受信装置20は、入力信号パケットを定期的に送受信装置10に送信している。このため、ネットワーク30や通信部16等に問題がなければ、送受信装置10は、入力信号パケットを定期的に受信し、送受信装置20は、出力信号パケットを定期的に受信する。しかし、ネットワーク30や通信部16等に何らかの障害がある場合には、送受信装置10と送受信装置20とが定期的に信号パケット送信していても、送受信装置20と送受信装置10では、信号パケットを定期的に受信できなくなる。以下では、判定部15のネットワーク30及び通信部16の少なくともいずれかに対する状態の判定方法1~3を説明する。
【0034】
(判定方法1)
送受信装置10の判定部15は、受信部14から受信履歴を受け取る。この受信履歴には、例えば入力信号パケットの受信時刻の履歴が含まれている。送受信装置10の判定部15は、連番の2つの入力信号パケットの受信時刻の間隔が所定の時間を超える事象の発生回数をカウントする。例えば、送受信装置10の判定部15は、入力信号パケットが50ms間隔で送信されるため、送信間隔の倍となる100msを閾値として、受信間隔が100msを超える回数をカウントする。そして、送受信装置10の判定部15は、受信間隔が100msを超える回数が、1分以内に10回を超える場合、ネットワーク30及び通信部16の少なくともいずれかに異常があると判定する。また、送受信装置10の判定部15は、1分以内に受信間隔が100msを超える事象の発生割合が10%を超える場合に、ネットワーク30及び通信部16の少なくともいずれかに異常があると判定する。
【0035】
(判定方法2)
また、送受信装置10の判定部15は、送信部13が出力信号パケットを送信し、例えば出力信号パケットのヘッダー情報を有す応答データが送受信装置20から送信される。受信部14から受け取る受信履歴には、この応答データのヘッダー情報と受信時刻の履歴が含まれている。これにより、判定部15は、出力信号パケットを送信したタイミングと、出力信号パケットの応答データを受信したタイミングとの時間差に基づき、ネットワーク30及び通信部16の少なくともいずれかの状態を判定可能である。例えば、判定部15は、応答時間の閾値を500msとして、時間差が閾値である500msを超える回数が、1分以内に10回を超える場合に、ネットワーク30及び通信部16の少なくともいずれかに異常があると判定する。
【0036】
(判定方法3)
また、送受信装置10の判定部15は、入力信号パケットに含まれるデータの通番を用いてネットワーク30及び通信部16の状態を判定する。より具体的には、送受信装置10の判定部15は、(接続情報、送信周期、送信回数)(図3参照)の送信周期の情報を用いて、受信されなかった信号パケットの数によりネットワーク30及び通信部16の状態を判定する。例えば、判定部15は、1分以内にデータが抜ける数が10個を超える場合に異常と判定する。また、例えば、判定部15は、1分以内にデータの欠損率が10%を超える場合に、異常と判定する。なお、通信履歴は、通信部16の通信に使用するデバイスのドライバ情報から構成してもよい。
【0037】
なお、判定部15で使用する閾値は、例えば機械学習を行った異常判定学習部などにより決定しても良い。また、判定部15は、ネットワーク30を介して得られる情報にも基づき、ネットワーク30の状態を判断することも可能である。例えば、判定部15が異常と判定する情報は、ネットワーク30を介して送受信装置10の外部から得られる情報であっても良い。例えば、使用するクラウドサービスの公式のRSSフィード、メールサービス、SNSから発信された情報を元に、判定部15が異常と判定しても良い。さらに、非公式のSNSの情報などを取得して、判定部15が異常と判定しても良い。
【0038】
次に、判定部15が異常と判定した場合、判定部15は接続管理部12に対して再接続するように指示する。これにより、ネットワーク30の接続経路が変わり、ネットワーク環境が改善される場合がある。或いは、送受信装置10、20のメモリなどに記憶される送信キューなどがリセットされネットワーク環境が改善される場合がある。
【0039】
また、判定部15は、異常と判定した場合に、予め指定されたメールアドレスに対して異常発生とその理由を通知することも可能である。また、判定部15は、不図示の制御画面に対して異常発生とその理由を通知するメッセージボックスをポップアップしても良い。さらに、判定部15は、異常と判定した場合に、外部のLED照明などを制御し、点灯させてもよい。また、判定部15は、異常と判定した場合に、フェイルセーフの制御となる出力信号を生成するように制御演算部11を制御してもよい。
【0040】
送受信装置10の判定部15の動作について説明をしたが、送受信装置20の判定部15についても同様の判定動作を行うことが可能である。すなわち、送受信装置20の判定部15は、受信部14から受け取り受信履歴に基づき、出力信号パケットの受信時刻間隔が所定の時間を超える事象の発生回数に応じて判定する。また、送受信装置20の判定部15は、入力信号パケットを送信したタイミングと、入力信号パケットの応答データを受信したタイミングと時間差に基づき、ネットワーク30及び通信部16の少なくともいずれかの状態を判定可能である。さらにまた、送受信装置20の判定部15は、出力信号パケットに含まれるデータの連番を用いてネットワーク30及び通信部16の状態を判定することが可能である。
【0041】
(効果)
以上説明したように、判定部15は、通信の状態に応じて異常が発生しているかどうか判定し、異常と判定した場合に、接続管理部12に対して再接続するように指示することとした。これにより、突発的な通信遅延などにより通信の状態が悪化しても、ネットワーク30の接続経路が変わり、制御データの遅延や欠損を発生することなく、一定周期の制御を実現することが可能となる。また、判定部15は、異常と判定した場合に、異常であることを通知することとした。これにより、操作者は、データ送信の遅延や、不良が発生していることを、把握可能となる。
【0042】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る制御システム1は、送受信装置10及び送受信装置20のいずれも単一の送信部13を有していたのに対し、第2実施形態に係る制御システム2は、送受信装置10及び送受信装置20のいずれも、複数の送信部13を有することで相違する。以下では、第1実施形態に係る制御システム1と相違する点を説明する。
【0043】
(構成)
図4は、第2実施形態に係る制御システム2の構成例を示す図である。受信装置10及び送受信装置20のいずれも、2つの送信部13を有する。
【0044】
(作用1)
送受信装置10の接続管理部12と、送受信装置20の接続管理部12とは、送受信装置10の2つの送信部13毎に通信リンクを確立させる。例えば、2つの送信部13の一方に、接続情報11(図2参照)を割振り、2つの送信部13の他方に、接続情報12(図2参照)を割振る。
【0045】
送受信装置10の接続管理部12は、例えば接続情報11(図2参照)を割り振った通信リンクを常用の通信に使用する。一方で、接続情報12(図2参照)を割り振った通信リンクを待機系の通信リンクとする。
【0046】
送受信装置10の判定部15が常用の通信リンクに対して異常判定をした場合に、判定部15は、接続管理部12に待機系の通信リンクに切り替えさせる。
【0047】
(作用2)
送受信装置10の接続管理部12は、例えば接続情報11(図2参照)を割り振った通信リンクと、接続情報12(図2参照)を割り振った通信リンクとの双方を常用の通信に使用する。これにより、送受信装置10の2つの送信部13を同時に使用し、同じ出力信号を含む出力信号パケットを送受信装置20に対して送信する。
【0048】
送受信装置20の受信部14で複数の送信部13から送信された出力信号パケット内の出力信号を照合して、同一の場合のみ出力信号を採用し、信号出力部23に出力信号を出力する。
【0049】
また、送受信装置10の出力信号が同一ではない場合、送受信装置20の判定部15は、送信部13を介して、送受信装置10に対し、送受信装置10の2つの送信部13が正常に動作していないことを通知する。なお、送受信装置10の2つの送信部13の使用方法について説明をしたが、通送受信装置20の2つの送信部13についても同様に使用しても良い。
【0050】
(効果)
以上説明したように、送受信装置10の接続管理部12と、送受信装置20の接続管理部12とは、送受信装置10の2つの送信部13毎に通信リンクを確立させることとし、一方を常用の通信に用いて、他方を待機させることとした。これにより、判定部15が、常用の通信経路に異常があると判定した場合に、接続管理部12は、待機させている通信経路に常用の通信経路を変更可能となる。このため、突発的な通信遅延などが発生しても、制御データの遅延や欠損を発生することなく、一定周期の制御を実現することが可能となる。
【0051】
また、送受信装置10の接続管理部12は、2つの送信部13毎に通信リンクを確立させ、双方を常用の通信に用いることとし、双方の出力信号パケットパックに含まれる出力信号を照合して、同一の場合のみ出力信号を採用し、信号出力部23に出力信号を出力する。これにより、出力信号の精度をより高めることが可能となり、出力装置24の機能安全を考慮した制御が可能となる。また2つの送信部13の故障の検知が可能となる。
【0052】
(第3実施形態)
第1実施形態に係る制御システム1は、送受信装置10及び送受信装置20のいずれも単一の送信部13を有していたのに対し、第2実施形態に係る制御システム2は、送受信装置10及び送受信装置20のいずれも、3つの送信部13を有することで相違する。以下では、第1実施形態に係る制御システム1と相違する点を説明する。
【0053】
(構成)
図5は、第3実施形態に係る制御システム2の構成例を示す図である。受信装置10及び送受信装置20のいずれも、3つの送信部13を有する。なお、本実施形態では3つの送信部13を有する例で説明するが、これに限定されない。例えば、送信部13は、4以上であってもよい。
【0054】
(作用1)
送受信装置10の接続管理部12と、送受信装置20の接続管理部12とは、送受信装置10の3つの送信部13毎に通信リンクを確立させる。例えば、3つの送信部13のそれぞれに、接続情報11、12,13(図2参照)のいずれかを割振りふる。
【0055】
送受信装置10の接続管理部12は、例えば接続情報11(図2参照)を割り振った通信リンクを常用の通信に使用する。一方で、接続情報12、13(図2参照)を割り振った通信リンクを待機系の通信リンクとする。
【0056】
送受信装置10の判定部15が常用の通信リンクに対して異常判定をした場合に、判定部15は、接続管理部12に待機系の一方の通信リンクに切り替えさせる。
【0057】
(作用2)
送受信装置10の接続管理部12は、例えば接続情報11(図2参照)を割り振った通信リンクと、接続情報12(図2参照)を割り振った通信リンクとの双方を常用の通信に使用する。これにより、送受信装置10の2つの送信部13を同時に使用し、同じ出力信号を含む出力信号パケットを送受信装置20に対して送信する。一方で、接続情報13(図2参照)を割り振った通信リンクを待機系の通信リンクとする。
【0058】
送受信装置20の受信部14で複数の送信部13から送信された出力信号パケット内の出力信号を照合して、同一の場合のみ出力信号を採用し、信号出力部23に出力信号を出力する。
【0059】
また、送受信装置20の出力信号が同一ではない場合、送受信装置20の判定部15は、送信部13を介して、送受信装置10に対し、送受信装置10の2つの送信部13が正常に動作していないことを通知する。
【0060】
また、送受信装置10の判定部15が常用の一方の通信リンクに対して異常判定をした場合に、判定部15は、接続管理部12に待機系の通信リンクに切り替えさせる。
【0061】
(作用3)
送受信装置10の接続管理部12は、例えば接続情報11、12,13(図2参照)を割り振った通信リンクを常用の通信に使用する。これにより、送受信装置10の3つの送信部13を同時に使用し、同じ出力信号を含む出力信号パケットを送受信装置20に対して送信する。
【0062】
送受信装置20の受信部14で3の送信部13から送信された出力信号パケット内の出力信号を照合して、2つ以上の出力信号が同一の場合のみ出力信号を採用し、信号出力部23に出力信号を出力する。
【0063】
また、送受信装置10の3つの出力信号が同一ではない場合、送受信装置20の判定部15は、送信部13を介して、送受信装置10に対し、同一ではない出力信号を送信した送信部13を識別する識別子とともに、当該送信部13が正常に動作していないことを通知する。なお、送受信装置10の2つの送信部13の使用方法について説明をしたが、通送受信装置20の2つの送信部13についても同様に使用しても良い。
【0064】
(効果)
以上説明したように、送受信装置10の接続管理部12と、送受信装置20の接続管理部12とは、送受信装置10の3つの送信部13毎に通信リンクを確立させることとし、一つを常用の通信に用いて、残りの2つを待機させることとした。これにより、判定部15が、常用の通信経路に異常があると判定した場合に、接続管理部12は、待機させている通信経路の一方を常用の通信経路を変更可能となる。このため、突発的な通信遅延などが発生しても、制御データの遅延や欠損を発生することなく、一定周期の制御を実現することが可能となる。
【0065】
また、送受信装置10の接続管理部12は、3つの送信部13毎に通信リンクを確立させ、2つの通信リンクを常用の通信に用いることとし、2つの信号パケットに含まれる出力信号を照合して、2つの出力信号が同一の場合のみ出力信号を採用し、信号出力部23に出力信号を出力する。これにより、出力信号の精度をより高めることが可能となり、出力装置24の機能安全を考慮した制御が可能となる。また、判定部15が、常用の通信経路の一方に異常があると判定した場合に、接続管理部12は、待機させている通信経路を常用の通信経路を変更可能となる。このため、突発的な通信遅延などが発生しても、制御データの遅延や欠損を発生することなく、一定周期の制御を実現することが可能となる。
【0066】
また、送受信装置10の接続管理部12は、3つの送信部13毎に通信リンクを確立させ、3つの通信リンクを常用の通信に用いることとし、3つの信号パケットに含まれる出力信号を照合して、2つ以上の出力信号が同一の場合のみ出力信号を採用し、信号出力部23に出力信号を出力する。これにより、出力信号の精度をより高めることが可能となり、出力装置24の機能安全を考慮した制御が可能となる。
【0067】
また、送受信装置10の3つの出力信号が同一ではない場合、送受信装置20の判定部15は、送信部13を介して、送受信装置10に対し、同一ではない出力信号を送信した送信部13を識別する識別子とともに、当該送信部13が正常に動作していないことを通知する。これにより、異常のある通信リンクを把握することが可能となる。
【0068】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置、方法及びプログラムは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置、方法及びプログラムの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0069】
1:制御システム、10:送受信装置(サーバ装置)、11:制御演算部、12:接続管理部、13:送信部、15:判定部、16:通信部、20:送受信装置(通信装置)、22:入力装置、24:出力装置、30:ネットワーク。
図1
図2
図3
図4
図5
図6