(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179461
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】位置検出スイッチ
(51)【国際特許分類】
F15B 15/28 20060101AFI20241219BHJP
G01B 7/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F15B15/28 C
G01B7/00 101H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098327
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003683
【氏名又は名称】弁理士法人桐朋
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 真実
(72)【発明者】
【氏名】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】相馬 亮介
【テーマコード(参考)】
2F063
3H081
【Fターム(参考)】
2F063AA02
2F063BA05
2F063DA01
2F063DA05
2F063GA52
3H081AA03
3H081BB03
3H081CC01
3H081DD39
3H081GG04
3H081GG15
3H081GG21
3H081GG28
3H081HH04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】溶接磁界等の外部磁界をシリンダ磁界と確実に区別して、スイッチ信号を切り換えることができる位置検出スイッチを提供する。
【解決手段】エリア遷移情報生成部20は、第1~第3MRセンサ12、14、16の出力に基づいてピストンエリアを判定し、ピストンエリアが連続する二つのエリアの間で遷移した場合はエリア遷移情報を更新する一方、ピストンエリアが連続しない二つのエリアの間で飛び越し遷移した場合はエリア遷移情報を更新しない。スイッチ信号生成部28は、少なくともエリア遷移情報に基づいてスイッチ信号を切り換える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体圧シリンダのピストンに取り付けられたマグネットの磁界を検出する第1~第3MRセンサを備えるとともに、エリア遷移情報生成部およびスイッチ信号生成部を備える位置検出スイッチであって、
前記エリア遷移情報生成部は、前記第1~第3MRセンサの出力に基づいてピストンエリアを判定し、前記ピストンエリアが連続する二つのエリアの間で遷移した場合はエリア遷移情報を更新する一方、前記ピストンエリアが連続しない二つのエリアの間で飛び越し遷移した場合は前記エリア遷移情報を更新せず、前記スイッチ信号生成部は、少なくとも前記エリア遷移情報に基づいてスイッチ信号を切り換え、前記ピストンが所定の動作範囲にあるとき前記スイッチ信号が所定の状態である位置検出スイッチ。
【請求項2】
請求項1記載の位置検出スイッチにおいて、
前記第1MRセンサの出力を動作範囲閾値と比較して第1比較信号を出力する第1比較部と、前記第2MRセンサの出力を前記動作範囲閾値と比較して第2比較信号を出力する第2比較部と、前記第3MRセンサの出力を前記動作範囲閾値と比較して第3比較信号を出力する第3比較部とを備え、
前記スイッチ信号生成部は、前記エリア遷移情報および前記第1~第3比較信号に基づいて前記スイッチ信号を切り換える位置検出スイッチ。
【請求項3】
請求項1記載の位置検出スイッチにおいて、
前記第1~第3MRセンサは、同一の出力特性を有し、前記ピストンの変位方向に沿って等間隔に配置される位置検出スイッチ。
【請求項4】
請求項1記載の位置検出スイッチにおいて、
前記ピストンエリアの判定は、前記第1~第3MRセンサの出力相互間の大小関係に基づいて行われる位置検出スイッチ。
【請求項5】
請求項1記載の位置検出スイッチにおいて、
最適位置判定部を備え、前記最適位置判定部は、前記第2MRセンサの出力を最適位置閾値と比較して前記ピストンが最適位置にあるか否かを判定し、前記最適位置は前記動作範囲に含まれる位置検出スイッチ。
【請求項6】
請求項5記載の位置検出スイッチにおいて、
前記ピストンが前記最適位置にあるとき、第1表示灯を点灯する信号を出力し、前記ピストンが前記動作範囲にあるが前記最適位置にないとき、第2表示灯を点灯する信号を出力する位置検出スイッチ。
【請求項7】
請求項1記載の位置検出スイッチにおいて、
前記第1MRセンサの出力を動作範囲閾値と比較して第1比較信号を出力する第1比較部と、前記第2MRセンサの出力を前記動作範囲閾値と比較して第2比較信号を出力する第2比較部と、前記第3MRセンサの出力を前記動作範囲閾値と比較して第3比較信号を出力する第3比較部と、時間計測部とを備え、
前記時間計測部は、前記第1~第3MRセンサのうち隣接する二つのMRセンサの出力について一方のMRセンサの出力が動作範囲閾値以上となってから他方のMRセンサの出力が動作範囲閾値以上となるまでの時間、または、前記第1~第3MRセンサのうち隣接する二つのMRセンサの出力について一方のMRセンサの出力が動作範囲閾値未満となってから他方のMRセンサの出力が動作範囲閾値未満となるまでの時間を計測し、計測された時間が所定範囲に収まっているか否かを判定して判定信号を出力し、
前記スイッチ信号生成部は、前記エリア遷移情報、前記第1~第3比較信号および前記判定信号に基づいて前記スイッチ信号を切り換える位置検出スイッチ。
【請求項8】
請求項7記載の位置検出スイッチにおいて、
前記計測された時間が前記所定範囲に収まっていない場合、注意信号を出力する位置検出スイッチ。
【請求項9】
請求項1記載の位置検出スイッチにおいて、
前記第1~第3MRセンサの出力の最大値が所定以上減少していないか監視する診断部を備える位置検出スイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体圧シリンダのピストンの位置を検出する位置検出スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ピストンにマグネット(永久磁石)を装着するとともに、シリンダチューブにマグネットの磁界を検出する磁気センサを設けることにより、ピストンの位置を検出する位置検出スイッチが知られている。
【0003】
このような位置検出スイッチが外部磁界が存在する環境下で使用される場合、外部磁界の影響を受けてピストンの位置が誤検出されるおそれがある。外部磁界が作用してもピストンの位置が誤検出されないようにした位置検出スイッチも知られている。
【0004】
例えば、特許文献1には、2つの磁気センサをピストンの移動方向に沿って離れた位置に配置し、2つの磁気センサが所定以上の時間間隔を置いて磁界を検知したときにピストンが特定の位置にあることを検出する装置が記載されている。これらの磁気センサに溶接機から強い外部磁界が作用した場合は、2つの磁気センサがほぼ同時にオンになるので、ピストンに装着されたマグネットの磁界と外部磁界とを区別することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の2つの磁気センサは、配置間隔が小さい場合、ピストンの移動速度が速いときは、ピストンに装着されたマグネットの磁界をほぼ同時に検知してオンになってしまう。これを避けるため、2つの磁気センサの配置間隔を大きくすると、外部磁界が弱まったときに2つの磁気センサが同一強度の外部磁界を同時に受けられなくなる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る位置検出スイッチは、流体圧シリンダのピストンに取り付けられたマグネットの磁界を検出する第1~第3MRセンサを備えるとともに、エリア遷移情報生成部およびスイッチ信号生成部を備える。エリア遷移情報生成部は、第1~第3MRセンサの出力に基づいてピストンエリアを判定し、ピストンエリアが連続する二つのエリアの間で遷移した場合はエリア遷移情報を更新する一方、ピストンエリアが連続しない二つのエリアの間で飛び越し遷移した場合はエリア遷移情報を更新しない。スイッチ信号生成部は、少なくともエリア遷移情報に基づいてスイッチ信号を切り換え、ピストンが所定の動作範囲にあるときスイッチ信号が所定の状態である。
【発明の効果】
【0009】
上記位置検出スイッチによれば、ピストンエリアが連続する二つのエリアの間で遷移したか、連続しない二つのエリアの間で飛び越し遷移したかが判別される。このため、溶接磁界等の外部磁界をシリンダ磁界と確実に区別して、スイッチ信号を切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係る位置検出スイッチの基本構成を流体圧シリンダとともに示す図である。
【
図2】
図2は、
図1の位置検出スイッチにおける第1~第3MRセンサの出力を示す図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施形態に係る位置検出スイッチのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る位置検出スイッチについて、複数の好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。以下の説明において、左右の方向に関する言葉を用いたときは、便宜上、図面における方向をいうものであり、部材等の実際の配置を限定するものではない。
【0012】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係る位置検出スイッチ10について、
図1~
図3を参照しながら説明する。位置検出スイッチ10が取り付けられる流体圧シリンダ40は、例えば、溶接対象のワークをクランプするために使用される。
【0013】
図1に示されるように、流体圧シリンダ40は、シリンダチューブ42と、シリンダチューブ42内に摺動可能に配設されるピストン44と、ピストン44に連結されるピストンロッド46とを含む。シリンダチューブ42の右端は、ロッドカバー48で封止され、シリンダチューブ42の左端は、ヘッドカバー50で封止される。以下の説明において、ピストン44の変位方向(左右方向)をA方向という。また、ヘッドカバー50に向かうピストン44の変位方向をA1方向といい、ロッドカバー48に向かうピストン44の変位方向をA2方向という。
【0014】
ピストン44の外周部には、環状のマグネット(永久磁石)52が取り付けられている。マグネット52はA方向に着磁されており、マグネット52の左側端面がN極、右側端面がS極となっている。マグネット52の周囲には、マグネット52の左側端面から出て、マグネット52の径方向外側を通り、マグネット52の右側端面に戻る磁界(磁束)54が形成されている。外部磁界と区別するため、このマグネット52による磁界54を「シリンダ磁界」という。本実施形態では、マグネット52の左側端面がN極、右側端面がS極であるとして説明するが、N極とS極は逆であってもよい。
【0015】
位置検出スイッチ10は、第1~第3MRセンサ12、14、16を含み、シリンダチューブ42の外側に取り付けられる。第1~第3MRセンサ12、14、16は、磁気抵抗効果素子を用いた磁気センサであり、同一の出力特性を有する。第1~第3MRセンサ12、14、16は、A方向に等間隔に配置される。
【0016】
図2は、ピストン44の位置Xに応じた第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3を示す図である。横軸はピストン44の位置Xを表し、縦軸は第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3を表している。第1MRセンサ12の出力曲線は点線で示される。第2MRセンサ14の出力曲線は実線で示される。第3MRセンサ16の出力曲線は一点鎖線で示される。A方向に関し、マグネット52の中央が第2MRセンサ14に対応する位置にあるとき(
図1参照)、ピストン44が原点にある(X=0)とする。ピストン44が原点からA2方向に変位する場合、Xの値は正であり、ピストン44が原点からA1方向に変位する場合、Xの値は負である。
【0017】
第2MRセンサ14の出力V2は、X=0のとき、最大値Vmaxとなる。第2MRセンサ14の出力V2は、X=XcおよびX=-Xcのときゼロであり、-Xc<X<Xcの範囲で正であり、X<-XcおよびX>Xcの範囲で負である。
【0018】
第1MRセンサ12の出力曲線は、第2MRセンサ14の出力曲線をXbだけ左方にシフトしたものである。第1MRセンサ12の出力V1は、X=-Xbのとき、最大値Vmaxとなる。第3MRセンサ16の出力曲線は、第2MRセンサ14の出力曲線をXbだけ右方にシフトしたものである。第3MRセンサ16の出力V3は、X=Xbのとき、最大値Vmaxとなる。Xd=Xb+Xcとすると、第1MRセンサ12の出力V1は、X=-Xdのときゼロであり、第3MRセンサ16の出力V3は、X=Xdのときゼロである。
【0019】
第1MRセンサ12の出力曲線は、X=-Xa(-Xb<-Xa)において、第2MRセンサ14の出力曲線と交わる。X=-Xaにおける第1MRセンサ12の出力V1および第2MRセンサ14の出力V2は、いずれもVaである。第3MRセンサ16の出力曲線は、X=Xa(Xa<Xb)において、第2MRセンサ14の出力曲線と交わる。X=Xaにおける第2MRセンサ14の出力V2および第3MRセンサ16の出力V3は、いずれもVaである。
【0020】
ピストン44が最適位置にあるか否かを判定するため、第2MRセンサ14の出力V2が最適位置閾値TH1と比較される。第2MRセンサ14の出力V2は、ピストン44の位置XがXfおよび-Xfのとき、最適位置閾値TH1と等しい。V2≧TH1のとき、ピストン44が最適位置にある(-Xf≦X≦Xf)と判定される。ピストン44が最適位置にあることは、例えば緑色の表示灯(第1表示灯)が点灯することによって、作業者に報知される。なお、本実施形態では、Xf=Xbとなっている。
【0021】
ピストン44が最適位置を含む所定の動作範囲(以下単に「動作範囲」という)にあるか否かを判定するため、第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3が動作範囲閾値TH2と比較される。動作範囲閾値TH2は最適位置閾値TH1より小さい。第2MRセンサ14の出力V2は、ピストン44の位置XがXg(Xf<Xg<Xc)および-Xgのとき、動作範囲閾値TH2と等しい。第3MRセンサ16の出力V3は、ピストン44の位置XがXh(Xc<Xh<Xd)のとき、動作範囲閾値TH2と等しい。第1MRセンサ12の出力V1は、ピストン44の位置Xが-Xhのとき、動作範囲閾値TH2と等しい。
【0022】
ピストン44の位置Xが-XdからXdまで変化する場合、第2MRセンサ14の出力V2がTH2以上になると、ピストン44が動作範囲に入ったと判定される。その後、第3MRセンサ16の出力V3がTH2を下回ると、ピストン44が動作範囲から外れたと判定される。すなわち、ピストン44がA2方向に変位する場合、動作範囲は、-Xg≦X≦Xhである。ピストン44の位置XがXdから-Xdまで変化する場合、第2MRセンサ14の出力V2がTH2以上になると、ピストン44が動作範囲に入ったと判定される。その後、第1MRセンサ12の出力V1がTH2を下回ると、ピストン44が動作範囲から外れたと判定される。すなわち、ピストン44がA1方向に変位する場合、動作範囲は、-Xh≦X≦Xgである。本実施形態では、ピストン44がA1方向に変位する場合とA2方向で変位する場合とで動作範囲が異なるが、ピストン44がA1方向に変位する場合とA2方向に変位する場合とで動作範囲が同一であってもよい。
【0023】
ピストン44が動作範囲に入ったと判定されると、スイッチ信号SWがオフからオンになる。ピストン44が動作範囲から外れたと判定されると、スイッチ信号SWがオンからオフになる。スイッチ信号SWがオンであり、かつ、ピストン44が最適位置にない場合、例えば赤色の表示灯(第2表示灯)が点灯する。赤色の表示灯が点灯することにより、作業者は、ピストン44が最適位置からずれていることを認識できる。ピストン44が最適位置からずれている原因として、ピストン44が不安定領域にあることが考えられるほか、シリンダチューブ42に対する位置検出スイッチ10の取付位置が振動によりずれたこと等が考えられる。動作範囲とスイッチ信号SWとの関係は、上記と逆であってもよい。すなわち、ピストン44が動作範囲に入ったと判定されるとスイッチ信号SWがオンからオフになり、ピストン44が動作範囲から外れたと判定されるとスイッチ信号SWがオフからオンになる関係であってもよい。要するに、ピストン44が動作範囲に入ったこと、および、ピストン44が動作範囲から外れたことをスイッチ信号SWによって判定できればよい。
【0024】
ピストン44の位置Xについて、-XdからXdまでの範囲を連続する6つのエリアに分ける。-Xd≦X<-Xcが第1エリアA1であり、-Xc≦X<-Xaが第2エリアA2である。-Xa≦X<0が第3エリアA3であり、0≦X≦Xaが第4エリアA4である。Xa<X≦Xcが第5エリアA5であり、Xc<X≦Xdが第6エリアA6である。前述したピストン44の位置-Xhは、第1エリアA1に含まれる。前述したピストン44の位置-Xgは、第2エリアA2に含まれる。前述したピストン44の位置Xgは、第5エリアA5に含まれる。前述したピストン44の位置Xhは、第6エリアA6に含まれる。
【0025】
ピストン44が第1~第6エリアA1~A6のいずれのエリアにあるかは、第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3に基づいて判定される。具体的には、V1≧0およびV2<0が満たされたとき、ピストン44は第1エリアA1にあると判定される。V3<V2<V1およびV2≧0が満たされたとき、ピストン44は第2エリアA2にあると判定される。V3<V1≦V2およびV1>0が満たされたとき、ピストン44は第3エリアA3にあると判定される。V1≦V3≦V2およびV3>0が満たされたとき、ピストン44は第4エリアA4にあると判定される。V1<V2<V3およびV2≧0が満たされたとき、ピストン44は第5エリアA5にあると判定される。V2<0およびV3≧0が満たされたとき、ピストン44は第6エリアA6にあると判定される。
【0026】
ピストン44が第1~第6エリアA1~A6以外のエリアである第7エリアA7にあることも、第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3に基づいて判定される。すなわち、ピストン44がX<-XdのエリアまたはX>Xdのエリアにあることも、第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3に基づいて判定される。具体的には、V1、V2、V3がいずれも負であるとき、ピストン44は第7エリアA7にあると判定される。この判定方法に代えて、V1、V2、V3の絶対値がいずれも所定の閾値より小さいときにピストン44が第7エリアA7にあると判定されてもよい。この場合の所定の閾値は、動作範囲閾値TH2より小さい。
【0027】
第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3に基づいてピストン44が第1~第7エリアA1~A7のいずれにあるかを判定する方法は、上記具体例に限られない。例えば、ピストン44が第1エリアA1にあることを判定するための条件として、V1≧0およびV2<0のほかに、V3<V2<V1を追加してもよい。また、本実施形態では、ピストン44が位置するエリア(以下「ピストンエリア」という)を7つに分けたが、ピストンエリアの数はこれに限られない。
【0028】
ピストンエリアが第1~第7エリアA1~A7のいずれであるかの判定は、所定の制御周期毎に行われる。ある制御周期において、ピストン44が第1~第7エリアA1~A7のうち一つのエリアにあると判定され、次の制御周期において、ピストン44が別のエリアにあると判定されたとする。すなわち、新たに判定されたピストンエリア(以下「現ピストンエリア」という)が前回判定されたピストンエリア(以下「前ピストンエリア」という)と異なり、ピストンエリアが遷移したとする。
【0029】
シリンダ磁界の変化によってピストンエリアが遷移した場合、現ピストンエリアは、前ピストンエリアと連続するエリアである。一方、溶接磁界によってピストンエリアが遷移した場合、現ピストンエリアは、前ピストンエリアと連続しないエリアである。第1~第3MRセンサ12、14、16に溶接磁界が作用すると、第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3が急激に変化するため、通常の制御周期であれば、見かけ上、連続しない二つのエリアの間で飛び越して遷移する。ピストンエリアが連続する二つのエリアの間で遷移したか、連続しない二つのエリアの間で飛び越し遷移したかを判別することによって、溶接磁界等の外部磁界をシリンダ磁界と区別することができる。
【0030】
位置検出スイッチ10の作用について、
図3のブロック図に基づいてさらに詳しく述べる。位置検出スイッチ10は、第1~第3MRセンサ12、14、16のほか、制御部18、エリア遷移情報生成部20、第1~第3比較部22、24、26、スイッチ信号生成部28、最適位置判定部30、第1~第3診断部32、34、36および通信部38を備える。最適位置閾値TH1および動作範囲閾値TH2は、制御部18に保持されている。
【0031】
エリア遷移情報生成部20は、エリア判定部20a、エリア遷移判定部20bおよびエリア遷移情報記憶部20cを備える。第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3は、制御周期毎にエリア判定部20aに入力される。エリア判定部20aは、第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3に基づいて、ピストンエリアが第1~第7エリアA1~A7のいずれであるかを判定し、現ピストンエリアをエリア遷移判定部20bに送る。なお、ピストンエリアが第1~第7エリアA1~A7のいずれかであることが判定されない場合は、エラーとして処理される。
【0032】
エリア遷移判定部20bは、前ピストンエリアを記憶しており、現ピストンエリアを前ピストンエリアと比較する。現ピストンエリアが前ピストンエリアと異なり、かつ、現ピストンエリアが前ピストンエリアと連続するエリアである場合、エリア遷移判定部20bは、エリア遷移情報記憶部20cに記憶されたエリア遷移情報TRを更新する。現ピストンエリアが前ピストンエリアと連続しないエリアである場合、エリア遷移情報TRは更新されない。エリア遷移判定部20bは、エリア遷移情報記憶部20cに記憶されたエリア遷移情報TRを、制御周期毎にスイッチ信号生成部28に出力する。
【0033】
例えば、n番目の制御周期において、ピストンエリアが第1エリアA1から第2エリアA2に遷移し、(n+1)番目の制御周期において、ピストンエリアが第2エリアA2に留まっていたとする。この場合、n番目の制御周期で出力されるエリア遷移情報TR、および、(n+1)番目の制御周期で出力されるエリア遷移情報TRは、いずれも、ピストンエリアが第1エリアA1から第2エリアA2に遷移したことを示す情報である。すなわち、エリア遷移判定部20bは、最新のエリア遷移情報TRを、制御周期毎にスイッチ信号生成部28に出力する。
【0034】
ここで、ピストンエリアが第1エリアA1から第2エリアA2に遷移したことを示す情報をTR12と表記し、ピストンエリアが第2エリアA2から第1エリアA1に遷移したことを示す情報をTR21と表記する。他の二つのエリアの組合せの間で遷移したことを示す情報についても同じ要領である。エリア遷移情報TRは、TR71、TR12、TR23、TR34、TR45、TR56、TR67、TR76、TR65、TR54、TR43、TR32、TR21およびTR17の合計14種類である。
【0035】
第1MRセンサ12の出力V1は、制御周期毎に第1比較部22に入力される。第1比較部22は、予め制御部18から入力された動作範囲閾値TH2を保持している。第1比較部22は、第1MRセンサ12の出力V1を動作範囲閾値TH2と比較し、第1比較信号C1をスイッチ信号生成部28に出力する。第1MRセンサ12の出力V1が動作範囲閾値TH2未満であるとき、第1比較信号C1は1である。第1MRセンサ12の出力V1が動作範囲閾値TH2以上であるとき、第1比較信号C1は0である。
【0036】
第2MRセンサ14の出力V2は、制御周期毎に第2比較部24に入力される。第2比較部24は、予め制御部18から入力された動作範囲閾値TH2を保持している。第2比較部24は、第2MRセンサ14の出力V2を動作範囲閾値TH2と比較し、第2比較信号C2をスイッチ信号生成部28に出力する。第2MRセンサ14の出力V2が動作範囲閾値TH2以上であるとき、第2比較信号C2は1であり、第2MRセンサ14の出力V2が動作範囲閾値TH2未満であるとき、第2比較信号C2は0である。
【0037】
第3MRセンサ16の出力V3は、制御周期毎に第3比較部26に入力される。第3比較部26は、予め制御部18から入力された動作範囲閾値TH2を保持している。第3比較部26は、第3MRセンサ16の出力V3を動作範囲閾値TH2と比較し、第3比較信号C3をスイッチ信号生成部28に出力する。第3MRセンサ16の出力V3が動作範囲閾値TH2未満であるとき、第3比較信号C3は1である。第3MRセンサ16の出力V3が動作範囲閾値TH2以上であるとき、第3比較信号C3は0である。
【0038】
スイッチ信号生成部28は、エリア遷移情報TRおよび第1~第3比較信号C1~C3に基づいてスイッチ信号SWを生成する。スイッチ信号生成部28は、制御周期毎に、スイッチ信号SWを制御部18に出力する。
【0039】
ピストン44がX<-XdのエリアからX>XdのエリアまでA2方向に変位する場合を考える。エリア遷移情報TRがTR71である場合、スイッチ信号SWはオフである。エリア遷移情報TRがTR12であり、かつ、第2比較信号C2が0である場合、スイッチ信号SWはオフである。エリア遷移情報TRがTR12であり、かつ、第2比較信号C2が1である場合、スイッチ信号SWはオンである。エリア遷移情報TRがTR23、TR34またはTR45である場合、スイッチ信号SWはオンである。エリア遷移情報TRがTR56であり、かつ、第3比較信号C3が0である場合、スイッチ信号SWはオンである。エリア遷移情報TRがTR56であり、かつ、第3比較信号C3が1である場合、スイッチ信号SWはオフである。エリア遷移情報TRがTR67である場合、スイッチ信号SWはオフである。
【0040】
ピストン44がX>XdのエリアからX<-XdのエリアまでA1方向に変位する場合を考える。エリア遷移情報TRがTR76である場合、スイッチ信号SWはオフである。エリア遷移情報TRがTR65であり、かつ、第2比較信号C2が0である場合、スイッチ信号SWはオフである。エリア遷移情報TRがTR65であり、かつ、第2比較信号C2が1である場合、スイッチ信号SWはオンである。エリア遷移情報TRがTR54、TR43またはTR32である場合、スイッチ信号SWはオンである。エリア遷移情報TRがTR21であり、かつ、第1比較信号C1が0である場合、スイッチ信号SWはオンである。エリア遷移情報TRがTR21であり、かつ、第1比較信号C1が1である場合、スイッチ信号SWはオフである。エリア遷移情報TRがTR17である場合、スイッチ信号SWはオフである。
【0041】
上記説明で理解されるように、第2比較信号C2は、ピストン44がA1方向に変位する場合およびA2方向に変位する場合、スイッチ信号SWをオフからオンに切り換えるために使われる。第1比較信号C1は、ピストン44がA1方向に変位する場合、スイッチ信号SWをオンからオフに切り換えるために使われる。第3比較信号C3は、ピストン44がA2方向に変位する場合、スイッチ信号SWをオンからオフに切り換えるために使われる。スイッチ信号SWのオンオフに関する動作は、上記と逆であってもよい。
【0042】
第2MRセンサ14の出力V2は、制御周期毎に最適位置判定部30に入力される。最適位置判定部30は、予め制御部18から入力された最適位置閾値TH1を保持している。最適位置判定部30は、第2MRセンサ14の出力V2を最適位置閾値TH1と比較し、最適位置信号Gを生成する。最適位置判定部30は、制御周期毎に、最適位置信号Gを制御部18に出力する。第2MRセンサ14の出力V2が最適位置閾値TH1以上であるとき、最適位置信号Gは1であり、第2MRセンサ14の出力V2が最適位置閾値TH1未満であるとき、最適位置信号Gは0である。
【0043】
制御部18は、通信部38を介して外部と双方向に通信可能となっている。制御部18は、スイッチ信号生成部28から受け取ったスイッチ信号SWに応じて、流体圧シリンダ40と関連して動作する外部機器の制御に用いる信号SW´を通信部38を介して外部に出力する。制御部18は、スイッチ信号SWおよび最適位置信号Gに基づいて、図示しない表示灯を制御する信号を出力する。スイッチ信号SWがオンまたはオフの所定の状態であり、かつ、最適位置信号Gが1のとき、表示灯を緑色に点灯する指令信号G1が制御部18から出力される。スイッチ信号SWがオンまたはオフの所定の状態であり、かつ、最適位置信号Gが0のとき、表示灯を赤色に点灯する指令信号G2が制御部18から出力される。
【0044】
外部から位置検出スイッチ10に対して最適位置閾値TH1および動作範囲閾値TH2の設定変更を行うことができる。制御部18は、通信部38を介して最適位置閾値TH1の設定変更に関するデータを受け取ると、新たな最適位置閾値TH1を最適位置判定部30に出力する。制御部18は、通信部38を介して動作範囲閾値TH2の設定変更に関するデータを受け取ると、新たな動作範囲閾値TH2を第1~第3比較部22、24、26に出力する。
【0045】
マグネット52は、経年変化に伴って磁力が低下(減磁)する。特に、マグネット52は、溶接磁界に晒されると、あるいは、高温環境下に長期間置かれると、減磁する。このような事象が生じると、第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3の最大値Vmaxが最適位置閾値TH1を超えない程度まで減少する可能性がある。
【0046】
そこで、第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3の最大値Vmaxが経年変化等により所定以上減少していないか監視することを目的として、第1~第3診断部32、34、36が設けられている。第1診断部32には第1MRセンサ12の出力V1が入力され、第2診断部34には第2MRセンサ14の出力V2が入力され、第3診断部36には第3MRセンサ16の出力V3が入力される。以下、第1診断部32における処理内容を説明するが、第2診断部34および第3診断部36における処理内容もこれと同様である。
【0047】
第1診断部32は、最大値判定部32a、最大値記憶部32bおよび監視部32cを有する。最大値判定部32aは、第1MRセンサ12の出力V1が増加から減少に転じる毎に、そのときの出力(減少に転じる直前の出力V1)を最大値Vmaxとして最大値記憶部32bに送る。最大値記憶部32bは、最大値判定部32aから受け取った最大値Vmaxデータを時系列で記憶する。
【0048】
監視部32cは、定期的に、最大値記憶部32bに記憶された多数の最大値Vmaxデータのうち、直近の所定数のデータについて平均値を算出し、これを当初の所定数のデータの平均値と比較する。そして、直近の所定数のデータの平均値が当初の所定数のデータの平均値よりも所定値以上小さいと判定した場合、制御部18に対して注意信号E1を出力する。
【0049】
制御部18は、第1診断部32の監視部32cから注意信号E1を受け取ると、マグネット52の減磁が発生した蓋然性が高いことを報知するため、通信部38を介して注意信号E1´を外部に出力する。これにより、作業者に対して、部品交換等のメンテナンスを促したり、最適位置閾値TH1の調整を促したりすることができる。
【0050】
本実施形態では、第1診断部32で第1MRセンサ12の出力V1の最大値Vmaxを監視し、第2診断部34で第2MRセンサ14の出力V2の最大値Vmaxを監視し、第3診断部36で第3MRセンサ16の出力V3の最大値Vmaxを監視している。しかしながら、共通の診断部によって第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3の最大値Vmaxを総合的に監視してもよい。第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3のうち複数の出力の最大値Vmaxが所定以上減少している場合は、マグネット52の減磁が原因となっている蓋然性が高い。第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3のうち一つの出力の最大値Vmaxのみが所定以上減少している場合は、当該MRセンサの感度低下が原因となっている蓋然性が高い。共通の診断部がこれらの事象を区別して注意信号を出力すれば効率的である。
【0051】
本実施形態によれば、スイッチ信号SWは、少なくともエリア遷移情報TRに基づいて切り換えられ、エリア遷移情報TRは、ピストンエリアが連続する二つのエリアの間で遷移したことに基づく情報である。このため、溶接磁界等の外部磁界をシリンダ磁界と確実に区別して、スイッチ信号SWを切り換えることができる。
【0052】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る位置検出スイッチ60について、
図4を参照しながら説明する。位置検出スイッチ60は、時間計測部62を備え、スイッチ信号SWを切り換えるための条件として時間に関する条件が追加される点で、第1実施形態に係る位置検出スイッチ10と異なる。なお、第1実施形態に係る位置検出スイッチ10と同一または同等の構成要素には同一の参照符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0053】
第1~第3MRセンサ12、14、16の出力V1~V3は、制御周期毎に時間計測部62に入力される。時間計測部62は、予め制御部18から入力された動作範囲閾値TH2を保持している。時間計測部62は、第1~第4時間計測部62a~62dを備える。
【0054】
第1時間計測部62aは、第1MRセンサ12の出力V1が閾値TH2以上となってから第2MRセンサ14の出力V2が閾値TH2以上となるまでの時間を計測する。すなわち、第1時間計測部62aは、ピストン44が-Xhから-XgまでA2方向に変位するのに要した時間(以下「第1変位時間」という)を計測する。第1時間計測部62aは、第1変位時間が所定範囲に収まっているか否かを判定し、時間計測部62は、制御周期毎に判定信号J1をスイッチ信号生成部28に出力する。第1変位時間が所定範囲に収まっていることが判定されたとき、判定信号J1は1であり、それ以外のとき、判定信号J1は0である。
【0055】
第2時間計測部62bは、第2MRセンサ14の出力V2が閾値TH2未満となってから第3MRセンサ16の出力V3が閾値TH2未満となるまでの時間を計測する。すなわち、第2時間計測部62bは、ピストン44がA2方向にXgからXhまで変位するのに要した時間(以下「第2変位時間」という)を計測する。第2時間計測部62bは、第2変位時間が所定範囲に収まっているか否かを判定し、時間計測部62は、制御周期毎に判定信号J2をスイッチ信号生成部28に出力する。第2変位時間が所定範囲に収まっていることが判定されたとき、判定信号J2は1であり、それ以外のとき、判定信号J2は0である。
【0056】
第3時間計測部62cは、第3MRセンサ16の出力V3が閾値TH2以上となってから第2MRセンサ14の出力V2が閾値TH2以上となるまでの時間を計測する。すなわち、第3時間計測部62cは、ピストン44がXhからXgまでA1方向に変位するのに要した時間(以下「第3変位時間」という)を計測する。第3時間計測部62cは、第3変位時間が所定範囲に収まっているか否かを判定し、時間計測部62は、制御周期毎に判定信号J3をスイッチ信号生成部28に出力する。第3変位時間が所定範囲に収まっていることが判定されたとき、判定信号J3は1であり、それ以外のとき、判定信号J3は0である。
【0057】
第4時間計測部62dは、第2MRセンサ14の出力V2が閾値TH2未満となってから第1MRセンサ12の出力V1が閾値TH2未満となるまでの時間を計測する。すなわち、第4時間計測部62dは、ピストン44が-Xgから-XhまでA1方向に変位するのに要した時間(以下「第4変位時間」という)を計測する。第4時間計測部62dは、第4変位時間が所定範囲に収まっているか否かを判定し、時間計測部62は、制御周期毎に判定信号J4をスイッチ信号生成部28に出力する。第4変位時間が所定範囲に収まっていることが判定されたとき、判定信号J4は1であり、それ以外のとき、判定信号J4は0である。
【0058】
第1~第4変位時間に関する上記所定範囲は、少なくとも、通常のピストン速度から想定され得る下限値を用いて定義される。計測された第1~第4変位時間が下限値未満である場合、スイッチ信号SWの切り換えは行われない。これにより、溶接磁界等の外部磁界によるスイッチ信号SWの切り換えを一層確実に阻止することができる。以下、この作用についてさらに述べる。なお、第1~第4変位時間に関する上記所定範囲は、後述する注意信号E4を考慮した場合、通常のピストン速度から想定され得る上限値および下限値によって定義されてもよい。
【0059】
スイッチ信号生成部28は、エリア遷移情報TR、第1~第3比較信号C1~C3および判定信号J1~J4に基づいて、スイッチ信号SWを生成する。スイッチ信号生成部28は、制御周期毎にスイッチ信号SWを制御部18に出力する。
【0060】
ピストン44がX<-XdのエリアからX>XdのエリアまでA2方向に変位する場合を考える。エリア遷移情報TRがTR71である場合、スイッチ信号SWはオフである。エリア遷移情報TRがTR12であり、かつ、第2比較信号C2が0である場合、スイッチ信号SWはオフである。エリア遷移情報TRがTR12であり、第2比較信号C2が1であり、かつ、判定信号J1が0である場合、スイッチ信号SWはオフである。エリア遷移情報TRがTR12であり、第2比較信号C2が1であり、かつ、判定信号J1が1である場合、スイッチ信号SWはオンである。
【0061】
エリア遷移情報TRがTR23、TR34またはTR45である場合、スイッチ信号SWはオンである。エリア遷移情報TRがTR56であり、かつ、第3比較信号C3が0である場合、スイッチ信号SWはオンである。エリア遷移情報TRがTR56であり、第3比較信号C3が1であり、かつ、判定信号J2が0である場合、スイッチ信号SWはオンである。エリア遷移情報TRがTR56であり、第3比較信号C3が1であり、かつ、判定信号J2が1である場合、スイッチ信号SWはオフである。エリア遷移情報TRがTR67である場合、スイッチ信号SWはオフである。
【0062】
ピストン44がX>XdのエリアからX<-XdのエリアまでA1方向に変位する場合を考える。エリア遷移情報TRがTR76である場合、スイッチ信号SWはオフである。エリア遷移情報TRがTR65であり、かつ、第2比較信号C2が0である場合、スイッチ信号SWはオフである。エリア遷移情報TRがTR65であり、第2比較信号C2が1であり、かつ、判定信号J3が0である場合、スイッチ信号SWはオフである。エリア遷移情報TRがTR65であり、第2比較信号C2が1であり、かつ、判定信号J3が1である場合、スイッチ信号SWはオンである。
【0063】
エリア遷移情報TRがTR54、TR43またはTR32である場合、スイッチ信号SWはオンである。エリア遷移情報TRがTR21であり、かつ、第1比較信号C1が0である場合、スイッチ信号SWはオンである。エリア遷移情報TRがTR21であり、第1比較信号C1が1であり、かつ、判定信号J4が0である場合、スイッチ信号SWはオンである。エリア遷移情報TRがTR21であり、第1比較信号C1が1であり、かつ、判定信号J4が1である場合、スイッチ信号SWはオフである。エリア遷移情報TRがTR17である場合、スイッチ信号SWはオフである。
【0064】
上記説明で理解されるように、判定信号J1は、ピストン44がA2方向に変位する場合、スイッチ信号SWをオフからオンに切り換えるために使われる。判定信号J2は、ピストン44がA2方向に変位する場合、スイッチ信号SWをオンからオフに切り換えるために使われる。判定信号J3は、ピストン44がA1方向に変位する場合、スイッチ信号SWをオフからオンに切り換えるために使われる。判定信号J4は、ピストン44がA1方向に変位する場合、スイッチ信号SWをオンからオフに切り換えるために使われる。スイッチ信号SWのオンオフに関する動作は、上記と逆であってもよい。
【0065】
計測された第1~第4変位時間が所定範囲に収まっていない場合、流体圧シリンダ40に供給されるエア圧が適正範囲から外れていることが原因となっているか、流体圧シリンダ40の部品が劣化していることが原因となっている可能性がある。時間計測部62は、計測された第1~第4変位時間が所定範囲に収まっていないと判定した場合、制御部18に対して注意信号E4を出力する。制御部18は、時間計測部62から注意信号E4を受け取ると、不適正な供給エア圧、または、流体圧シリンダ40劣化の可能性を報知するため、通信部38を介して注意信号E4´を外部に出力する。
【0066】
本実施形態によれば、スイッチ信号SWは、少なくともエリア遷移情報TRおよび判定信号J1~J4に基づいて切り換えられる。エリア遷移情報TRは、ピストンエリアが連続する二つのエリアの間で遷移したことに基づく情報であり、判定信号J1~J4は、ピストン44が所定の変位をするのに要する時間を考慮した情報である。このため、溶接磁界等の外部磁界をシリンダ磁界と一層確実に区別して、スイッチ信号SWを切り換えることができる。
【0067】
本発明に係る位置検出スイッチは、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得る。
【符号の説明】
【0068】
10、60…位置検出スイッチ
12…第1MRセンサ 14…第2MRセンサ
16…第3MRセンサ 20…エリア遷移情報生成部
22…第1比較部 24…第2比較部
26…第3比較部 28…スイッチ信号生成部
30…最適位置判定部 32…第1診断部(診断部)
34…第2診断部(診断部) 36…第3診断部(診断部)
40…流体圧シリンダ 44…ピストン
52…マグネット 62…時間計測部