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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179469
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】端子圧着ユニット及び端子圧着方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 43/048 20060101AFI20241219BHJP
   H01R 43/05 20060101ALI20241219BHJP
   H01R 43/052 20060101ALI20241219BHJP
   G01N 21/892 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01R43/048 Z
H01R43/05
H01R43/052
G01N21/892 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098341
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 信吾
(72)【発明者】
【氏名】園原 行貴
【テーマコード(参考)】
2G051
5E063
【Fターム(参考)】
2G051AA44
2G051AB13
2G051CA04
2G051DA13
5E063CB04
5E063CB05
5E063CB19
5E063CC08
5E063XA05
5E063XA08
(57)【要約】
【課題】作業者の各種負担を抑えてハーネス用電線にコネクタ端子を圧着する。
【解決手段】端子圧着ユニット1が、検尺部11と、搬送部12と、皮むき部13と、圧着部14と、コネクタ端子W11が圧着された電線端部W121を撮影した圧着後画像に基づいて圧着確認処理を行う圧着確認部21と、圧着基準を満たすハーネス用電線W12を後工程に引き渡し、圧着基準を満たさないハーネス用電線W12を廃棄する選択廃棄処理を行う選択廃棄部23と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を必要長だけ引き出して切断する検尺処理を繰り返すことで、ハーネス用電線を複数本、順次に切り出す検尺部と、
前記ハーネス用電線を前記検尺部から順次に受け取り、少なくとも一方の電線端部を把持するとともに所定の搬送ルートに沿って搬送する搬送部と、
前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記電線端部の先端被覆を除去して芯線を露出させる皮むき処理を行う皮むき部と、
前記搬送ルートにおける前記皮むき部よりも下流側に配置され、当該皮むき部を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記芯線が露出した前記電線端部にコネクタ端子を圧着する圧着処理を行う圧着部と、
前記搬送ルートにおける前記圧着部よりも下流側に配置され、当該圧着部を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記コネクタ端子が圧着された前記電線端部を撮影するとともに、撮影された圧着後画像に基づいて所定の圧着基準を満たしているか否かを判定する圧着確認処理を行う圧着確認部と、
前記搬送ルートにおける前記圧着確認部よりも下流側に配置され、当該圧着確認部を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記圧着基準を満たさない前記ハーネス用電線を廃棄する選択廃棄処理を行う選択廃棄部と、
を備えたことを特徴とする端子圧着ユニット。
【請求項2】
前記検尺部が、前記ハーネス用電線をU字状に曲げた状態で切り出し、
前記搬送部が、前記ハーネス用電線を前記U字状に曲げた状態のまま前記検尺部から受け取り、前記ハーネス用電線の両端それぞれの前記電線端部を前記搬送ルートに沿って一列に並ぶように把持することで、前記ハーネス用電線を前記U字状に曲げた状態のまま搬送することを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項3】
前記検尺部が、複数種類の前記ハーネス用電線を切り出し可能であることを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項4】
前記搬送ルートにおける前記皮むき部よりも上流側に配置され、前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記電線端部の先端が所定の先端位置に揃うように切り揃えるトリミング処理を行うトリミング部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項5】
前記圧着確認部が、前記圧着後画像を表示する圧着後画像表示部を有していることを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項6】
前記搬送ルートにおける前記皮むき部と同じ位置に配置され、前記皮むき部を経た前記ハーネス用電線に対し、前記圧着処理の前に、前記先端被覆が除去された前記電線端部を撮影して圧着前画像を得る圧着前撮影処理を行う圧着前撮影部と、
前記圧着前画像に基づいて所定の皮むき基準を満たしているか否かを判定する判定部と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項7】
前記圧着前撮影部が、前記圧着前画像を表示する圧着前画像表示部を有していることを特徴とする請求項6に記載の端子圧着ユニット。
【請求項8】
前記搬送ルートにおける前記圧着部よりも上流側に配置され、前記ハーネス用電線のうちゴム栓の挿入対象に指定されたゴム栓対象電線に対し、前記電線端部に前記ゴム栓を挿入するゴム栓挿入処理を行うゴム栓挿入部を更に備え、
前記圧着部は、前記ゴム栓対象電線に対しては、前記圧着処理として、前記電線端部に、前記ゴム栓越しに前記コネクタ端子を圧着する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項9】
前記ゴム栓挿入部が、複数種類の前記ゴム栓を挿入可能であり、
前記搬送ルートにおける前記ゴム栓挿入部よりも上流側に配置され、前記ゴム栓対象電線のうち潤滑油の塗布対象に指定された潤滑対象電線に対し、前記ゴム栓挿入処理の前に、前記電線端部に前記潤滑油を塗布する油塗布処理を行う油塗布部を更に備えたことを特徴とする請求項8に記載の端子圧着ユニット。
【請求項10】
前記搬送ルートにおける前記選択廃棄部よりも下流側に配置され、前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記圧着基準を満たす前記ハーネス用電線に対し、前記コネクタ端子が圧着された前記電線端部を、前記搬送ルートから取り外し、所定の電線保持具まで運んで保持させる電線セット処理を行う電線セット部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項11】
前記搬送ルートにおける前記圧着確認部よりも下流側の何れかの位置に配置され、当該圧着確認部を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線のうち、前記コネクタ端子が前記圧着部での圧着時の姿勢から前記コネクタ端子の軸回りに回転した回転姿勢で後工程において使用される電線に指定された回転対象電線に対し、前記コネクタ端子を前記軸回りに回転させる端子回転処理を行う端子回転部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項12】
電線を必要長だけ引き出して切断する検尺処理を繰り返すことで、ハーネス用電線を複数本、順次に切り出す検尺工程と、
前記ハーネス用電線を、少なくとも一方の電線端部を把持するとともに所定の搬送ルートに沿って搬送する搬送部へと受け渡して当該搬送部に前記ハーネス用電線を搬送させる搬送工程と、
前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記ハーネス用電線の前記電線端部の先端被覆を除去して芯線を露出させる皮むき工程と、
前記皮むき工程を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線の、前記芯線が露出した前記電線端部にコネクタ端子を圧着する圧着工程と、
前記圧着工程を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線の、前記コネクタ端子が圧着された前記電線端部を撮影するとともに、撮影された圧着後画像に基づいて所定の圧着基準を満たしているか否かを判定する圧着確認工程と、
前記圧着確認工程を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線のうち、前記圧着基準を満たさない前記ハーネス用電線を廃棄する選択廃棄工程と、
を備えたことを特徴とする端子圧着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ハーネス用電線にコネクタ端子を圧着する端子圧着ユニット及び端子圧着方法に関するものとなっている。
【背景技術】
【0002】
従来、端部にコネクタが設けられたワイヤーハーネスの製造等に、ハーネス用電線にコネクタ端子を圧着する端子圧着ユニットが利用されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に記載の端子圧着ユニットは、前工程で切り出されたハーネス用電線が作業者によってセットされ、端子圧着を行うものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-306257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述の端子圧着ユニットでは、圧着前のハーネス用電線の切出し作業や、端子圧着ユニットへのセット作業等が、作業者にとっての負担となりがちであり、電線数が多くなるとその負担は増大する。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、作業者の各種負担を抑えてハーネス用電線にコネクタ端子を圧着することができる端子圧着ユニット及び端子圧着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、端子圧着ユニットは、電線を必要長だけ引き出して切断する検尺処理を繰り返すことで、ハーネス用電線を複数本、順次に切り出す検尺部と、前記ハーネス用電線を前記検尺部から順次に受け取り、少なくとも一方の電線端部を把持するとともに所定の搬送ルートに沿って搬送する搬送部と、前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記電線端部の先端被覆を除去して芯線を露出させる皮むき処理を行う皮むき部と、前記搬送ルートにおける前記皮むき部よりも下流側に配置され、当該皮むき部を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記芯線が露出した前記電線端部にコネクタ端子を圧着する圧着処理を行う圧着部と、前記搬送ルートにおける前記圧着部よりも下流側に配置され、当該圧着部を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記コネクタ端子が圧着された前記電線端部を撮影するとともに、撮影された圧着後画像に基づいて所定の圧着基準を満たしているか否かを判定する圧着確認処理を行う圧着確認部と、前記搬送ルートにおける前記圧着確認部よりも下流側に配置され、当該圧着確認部を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記圧着基準を満たす前記ハーネス用電線を後工程に引き渡し、前記圧着基準を満たさない前記ハーネス用電線を廃棄する選択廃棄処理を行う選択廃棄部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、端子圧着方法は、電線を必要長だけ引き出して切断する検尺処理を繰り返すことで、ハーネス用電線を複数本、順次に切り出す検尺工程と、前記ハーネス用電線を、少なくとも一方の電線端部を把持するとともに所定の搬送ルートに沿って搬送する搬送部へと受け渡して当該搬送部に前記ハーネス用電線を搬送させる搬送工程と、前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記ハーネス用電線の前記電線端部の先端被覆を除去して芯線を露出させる皮むき工程と、前記皮むき工程を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線の、前記芯線が露出した前記電線端部にコネクタ端子を圧着する圧着工程と、前記圧着工程を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線の、前記コネクタ端子が圧着された前記電線端部を撮影するとともに、撮影された圧着後画像に基づいて所定の圧着基準を満たしているか否かを判定する圧着確認工程と、前記圧着確認工程を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線のうち、前記圧着基準を満たす前記ハーネス用電線を後工程に引き渡し、前記圧着基準を満たさない前記ハーネス用電線を廃棄する選択廃棄工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上記の端子圧着ユニット及び端子圧着方法によれば、作業者の各種負担を抑えてハーネス用電線にコネクタ端子を圧着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係る端子圧着ユニットを示す斜視図である。
図2図1に示されている端子圧着ユニットを示す模式的なブロック図である。
図3図1及び図2に示されている検尺部の機構部分を示す斜視図である。
図4図3に示されている検尺部において、ハーネス用電線がU字状に曲げた状態で引き出される様子を示す図である。
図5図1及び図2に示されている搬送部を示す模式図である。
図6図1及び図2に示されている第1ユニットの内部におけるトリミング部~圧着前撮影部の各機構部分を示す斜視図である。
図7図6に示されているトリミング部~圧着前撮影部によって一連の処理が行われる様子を示す模式図である。
図8図1及び図2に示されている第2ユニットを示す斜視図である。
図9図8に示されている第2ユニットの内部における圧着部の機構部分を示す斜視図である。
図10図9に示されている圧着部によって一連の処理が行われる様子を示す模式図である。
図11図1及び図2に示されている第3ユニットを、圧着確認部~選択廃棄部が見えるように一部のカバーが外された状態で示す斜視図である。
図12図11に示されている圧着確認部及び端子回転部によって一連の処理が行われる様子を示す模式図である。
図13図11に示されている選択廃棄部による処理の様子を示す模式図である。
図14図1及び図2に示されている電線セット部を示す斜視図である。
図15図1及び図2に示されている保持具移動部による処理の様子を示す斜視図である。
図16図1図15に示されている端子圧着ユニットで実行される端子圧着方法の処理の流れを表す模式的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、端子圧着ユニット及び端子圧着方法の一実施形態について説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る端子圧着ユニットを示す斜視図であり、図2は、図1に示されている端子圧着ユニットを示す模式的なブロック図である。
【0012】
本実施形態の端子圧着ユニット1は、一例として、車両等に搭載されて配策されるワイヤーハーネスを構成する端子付き電線W1を製造するための作業ユニットである。この端子圧着ユニット1では、電線保管部11に保管されている電線リール111から必要長のハーネス用電線W12が切り出され、その両端にコネクタ端子W11が圧着されて端子付き電線W1が製造される。端子付き電線W1は、1本のワイヤーハーネスの製造に必要な本数製造され、竿状の電線保持具241に、U字状に曲げた状態の両端部が保持されるようにセットされる。全数分の端子付き電線W1がセットされると、その電線セット済みの電線保持具241が作業者Y1によって端子圧着ユニット1から取り出される。
【0013】
この端子圧着ユニット1は、電線保管部11、検尺部12、搬送部13、トリミング部14、油塗布部15、ゴム栓挿入部16、及び皮むき部17を備えている。また、端子圧着ユニット1は、圧着前撮影部18、圧着部19、圧着確認部21、端子回転部22、選択廃棄部23、電線セット部24、及び保持具移動部25を備えている。トリミング部14、油塗布部15,ゴム栓挿入部16、皮むき部17、及び圧着前撮影部18が第1ユニット1aに収容され、圧着部19が第2ユニット1bに収容されている。また、圧着確認部21、端子回転部22、及び選択廃棄部23が第3ユニット1cに収容されている。搬送部13は、検尺部12と電線セット部24の間を、第1ユニット1a、第2ユニット1b、及び第3ユニット1cを貫通して繋いでいる。以下、各部位について、別図も参照しながら説明を行う。
【0014】
電線保管部11は、電線リール111の収容棚であり、太さ等が異なるものも含めて複数の電線リール111が保管されている。複数の電線リール111の中から、製造対象のワイヤーハーネスに使用されるものが選ばれ、選択された各電線リール111から電線が引き出されて端子圧着ユニット1の検尺部12に引き込まれている。
【0015】
図3は、図1及び図2に示されている検尺部の機構部分を示す斜視図であり、図4は、図3に示されている検尺部において、ハーネス用電線がU字状に曲げた状態で引き出される様子を示す図である。
【0016】
検尺部12は、電線リール111から電線111aを必要長だけ引き出して切断する検尺処理を繰り返すことで、ハーネス用電線W12を複数本、順次に切り出す部位である。また、検尺部12は、ハーネス用電線W12をU字状に曲げた状態で切り出すものとなっており、電線引出し機構121とU字曲げターン機構122を備えている。電線引出し機構121は、電線リール111からの電線111aを、引出し長を計測しながら引き出す機構部分である。U字曲げターン機構122は、引き出された電線111aの引出し端部111a-1を把持した先端チャック122aを、ターン駆動機構122bでターン方向D11に180°回転することで電線111aをU字状に曲げる機構部分である。U字曲げターン機構122でこのように曲げつつ、電線引出し機構121が、引出し長が必要長に達するまで電線111aを引出す。引出し長が必要長に達すると、電線引出し機構121における切断チャック121aが電線111aを切断して切断端部を把持することで、U字状に曲げた状態のハーネス用電線W12を切り出す。切断チャック121aは、回転後の先端チャック122aに対し、ターン方向D11に180°離れた位置に設置されている。検尺部12で順次に切り出されるハーネス用電線W12は、U字状に曲げた状態のまま、切出し順で順次に搬送部13に引き渡される。
【0017】
図5は、図1及び図2に示されている搬送部を示す模式図である。
【0018】
搬送部13は、ハーネス用電線W12を検尺部12から順次に受け取り、その電線端部W121を把持するとともに所定の搬送ルートR11に沿って搬送する部位である。上述のように検尺部12では、ハーネス用電線W12がU字状に曲げた状態で切り出される。搬送部13は、このハーネス用電線W12をU字状に曲げた状態のまま受け取り、その両端の電線端部W121を把持してU字状に曲げた状態のまま搬送する。搬送部13は、電線運搬チャック131及び電線搬送機構132を備えている。
【0019】
電線運搬チャック131は、検尺部12で切り出し直後には先端チャック122aと切断チャック121aで把持された状態となっているハーネス用電線W12の両端部の電線端部W121を把持して取り外し、電線搬送機構132まで運ぶ機構部位である。電線運搬チャック131は、ハーネス用電線W12の両端部を把持する一対のチャック部分131aと、これら一対のチャック部分131aを駆動するとともに、検尺部12と電線搬送機構132との間を往復させるチャック駆動機構131bと、を備えている。
【0020】
電線搬送機構132は、電線運搬チャック131によって順次に運ばれてくるハーネス用電線W12の端部を把持して搬送ルートR11に沿って電線セット部24まで搬送する部位である。電線搬送機構132は、ハーネス用電線W12をU字状に曲げた状態のまま電線運搬チャック131から受け取る。そして、電線搬送機構132は、U字状のハーネス用電線W12の両端それぞれの電線端部W121を搬送ルートR11に沿って一列に並ぶように把持することで、ハーネス用電線W12をU字状に曲げた状態のまま搬送する。
【0021】
搬送ルートR11は、検尺部12から電線セット部24までを長辺方向とした矩形環状に循環するルートである。電線搬送機構132は、端子圧着ユニット1の上下方向D12について、矩形環状の搬送ルートR11の上辺に沿って配置された搬送レール132aを備えている。検尺部12から電線セット部24までの各構成要素は、この搬送レール132aの上方に、搬送ルートR11の上辺に沿って配列されている。
【0022】
そして、電線搬送機構132は、搬送ルートR11に沿って循環移動する複数の搬送チャック133を備えている。これら複数の搬送チャック133は、一定間隔を開けて搬送ルートR11に沿って一列に配列されており、一対の搬送チャック133で1本のハーネス用電線W12の両端部の電線端部W121を把持して移動する。各搬送チャック133は、電線セット部24まで移動すると電線端部W121を離すとともに搬送レール132aから外れ、空の状態で搬送レール132aの下方を検尺部12の近傍まで戻り、再度搬送レール132aに復帰する。搬送対象のハーネス用電線W12が未だある場合には、搬送チャック133は、戻った先で再度、電線端部W121を電線運搬チャック131から受け取り、搬送ルートR11に沿って移動する。
【0023】
このような搬送部13によって搬送されるハーネス用電線W12は、第1ユニット1aの内部を搬送されつつ、トリミング部14~圧着前撮影部18による一連の処理を受ける。
【0024】
図6は、図1及び図2に示されている第1ユニットの内部におけるトリミング部~圧着前撮影部の各機構部分を示す斜視図である。また、図7は、図6に示されているトリミング部~圧着前撮影部によって一連の処理が行われる様子を示す模式図である。
【0025】
トリミング部14は、搬送ルートR11における油塗布部15~圧着前撮影部18よりも上流側に配置され、搬送ルートR11に沿って搬送チャック133で把持されて搬送されてくるハーネス用電線W12に対し、次のようなトリミング処理を行う。トリミング処理は、搬送ルートR11を一列に並んで搬送される電線端部W121の先端が所定の先端位置P11に揃うように切り揃える処理である。トリミング部14は、各先端を切り揃える切断機構141と、切断機構141を駆動する切断駆動機構142と、を備えている。切断駆動機構142が、予め定められた先端位置P11で切断機構141におけるカット刃141aをカット方向D13に動かすことで、電線端部W121が先端位置P11で切り揃えられる。トリミング処理を経た電線端部W121は油塗布部15に送られる。
【0026】
油塗布部15は、搬送ルートR11におけるゴム栓挿入部16よりも上流側に配置され、ゴム栓挿入前のハーネス用電線W12に対し油塗布処理を行う。
【0027】
ここで、電線保管部11には、太さ等が異なる複数種類の電線リール111が保管されている。また、ゴム栓挿入部16は、ハーネス用電線W12のうち、ゴム栓W13の挿入が必要なゴム栓対象電線に、孔径等が異なる複数種類のゴム栓W13をハーネス用電線W12の電線端部W121に挿入可能となっている。電線リール111、つまりそこから切り出されるハーネス用電線W12の種類と、挿入されるゴム栓W13の種類と、の組合せによっては両者間の摩擦が大きくゴム栓W13の挿入に困難さを伴う場合がある。油塗布部15では、ゴム栓対象電線のうちゴム栓W13の挿入に困難さを伴うものが、潤滑油の塗布対象に指定される。
【0028】
そして、油塗布部15は、指定された潤滑対象電線に対し、ゴム栓挿入処理の前に、電線端部W121に潤滑油を塗布する油塗布処理を行う。油塗布部15は、潤滑油を含浸させた一対の把持片151で電線端部W121を挟持することで潤滑油を塗布する。油塗布部15は、これら一対の把持片151と、一方の把持片151を電線端部W121に対する挟持方向D14に駆動する油塗布駆動機構152と、を備えている。潤滑対象電線についてはこのような油塗布処理を受けつつ電線端部W121がゴム栓挿入部16に送られる。
【0029】
ゴム栓挿入部16は、搬送ルートR11における圧着部19よりも上流側、具体的には皮むき部17の上流側に配置されてゴム栓挿入処理を行う。ゴム栓挿入処理は、ハーネス用電線W12のうち防水コネクタ等に使用されるものがゴム栓W13の挿入対象に指定されて行われ、指定されたゴム栓対象電線に対し、電線端部W121にゴム栓W13を挿入する処理である。ゴム栓対象電線のうち更に潤滑油の塗布対象に指定された潤滑対象電線については、上記の油塗布処理を経てゴム栓挿入処理が行われる。このゴム栓挿入処理を行うゴム栓挿入部16は、複数の挿入機構161と挿入駆動機構162を備えている。複数の挿入機構161は、各種類のゴム栓W13を保持して電線端部W121に挿入する複数の機構部位である。挿入駆動機構162は、各挿入機構161を、挿入対象の電線端部W121に対する挿入位置まで上下方向D12に駆動するとともに挿入方向D15に駆動してゴム栓W13を電線端部W121に挿入させる機構部位である。ゴム栓対象電線及び潤滑対象電線については、このゴム栓挿入部16での処理の後に電線端部W121が皮むき部17に送られる。それ以外のハーネス用電線W12については、油塗布処理及びゴム栓挿入処理が行われずに電線端部W121が皮むき部17に送られる。
【0030】
皮むき部17は、搬送ルートR11における圧着部19よりも上流側でゴム栓挿入部16の下流側に配置され、搬送されてくるハーネス用電線W12に対し、電線端部W121の先端被覆W121bを除去して芯線W121aを露出させる皮むき処理を行う。この皮むき部17は、先端被覆W121bを挟み付けるとともに切り離して除去する一対の皮むき刃171と、これら一対の皮むき刃171を皮むき方向D16に駆動する皮むき駆動機構172と、を備えている。この皮むき部17での処理を終えたハーネス用電線W12は、同位置にて圧着前撮影部18による圧着前撮影処理を受ける。
【0031】
圧着前撮影部18は、搬送ルートR11における皮むき部17と同じ位置に配置された部位である。圧着前撮影部18は、搬送チャック133で把持されて皮むき部17を経たハーネス用電線W12に対し、圧着部19での圧着処理の前に圧着前撮影処理を行う。圧着前撮影処理は、先端被覆W121bが除去されて芯線W121aが露出されるとともに、指定されたものついてはゴム栓W13が挿入された電線端部W121を撮影して圧着前画像G11を得る処理である。圧着前撮影部18は、撮影用の圧着前カメラ181と、圧着前画像G11を表示する圧着前画像表示部182と、を備えている。ここで撮影された圧着前画像G11は、画像データとして圧着確認部21に送られ、この圧着確認部21における後述の判定部213によって皮むき基準を満たしているか否かが判定される。撮影後の電線端部W121を有するハーネス用電線W12は、第1ユニット1aを出て第2ユニット1bに送られ、この第2ユニット1bの内部を搬送されつつ圧着部19による圧着処理を受ける。
【0032】
図8は、図1及び図2に示されている第2ユニットを示す斜視図である。また、図9は、図8に示されている第2ユニットの内部における圧着部の機構部分を示す斜視図であり、図10は、図9に示されている圧着部によって一連の処理が行われる様子を示す模式図である。
【0033】
圧着部19は、搬送ルートR11における皮むき部17よりも下流側に配置され、皮むき部17を経て搬送されてくるハーネス用電線W12に対して圧着処理を行う。圧着部19は、サイズ等が異なる複数種類のコネクタ端子W11を圧着前の展開状態で保持する端子保持部191と、各種類のコネクタ端子W11に対応して設けられた複数の圧着機構192と、を備えている。更に、圧着部19は、複数の圧着機構192に対する共通の駆動源としてのサーボモータ193を備えている。複数の圧着機構192は、搬送ルートR11に沿って一列に並ぶように配列されている。この圧着部19における圧着処理では、複数の圧着機構192のうち、圧着対象のコネクタ端子W11の種類に対応する電線端部W12が到来した位置の圧着機構192が圧着処理を行う。この圧着処理では、芯線W121aが露出した電線端部W121にコネクタ端子W11が圧着される。このとき、電線端部W121にゴム栓W13が挿入されているゴム栓対象電線に対しては、ゴム栓越しにコネクタ端子W11が圧着される。各圧着機構192は、アンビル192aと、クリンパ192bと、駆動伝達機構としてのクラッチ192cと、を備えている。アンビル192aは、展開状態のコネクタ端子W13が、その上面に電線端部W121が置かれた状態で載置される部位である。クリンパ192bは、アンビル192aとの間にコネクタ端子W13及び電線端部W121を挟んでコネクタ端子W13を変形させて圧着を行う部位である。クラッチ192cは、サーボモータ193からの駆動力をクリンパ192bに伝達する部位である。クラッチ192cから駆動力を伝達されたクリンパ192bはアンビル部192aに向かって降下して圧着を行う。この圧着部19での処理を終えたハーネス用電線W12は第2ユニット1bを出て第3ユニット1cに送られ、この第3ユニット1cの内部を搬送されつつ、圧着確認部21~選択廃棄部23による一連の処理を受ける。
【0034】
図11は、図1及び図2に示されている第3ユニットを、圧着確認部~選択廃棄部が見えるように一部のカバーが外された状態で示す斜視図である。また、図12は、図11に示されている圧着確認部及び端子回転部によって一連の処理が行われる様子を示す模式図であり、図13は、図11に示されている選択廃棄部による処理の様子を示す模式図である。
【0035】
圧着確認部21は、搬送ルートR11における圧着部19よりも下流側に配置され、当該圧着部19を経て搬送されてくるハーネス用電線W12に対して圧着確認処理を行う部位である。圧着確認処理では、まず、コネクタ端子W11が圧着された電線端部W121が撮影される。その後、撮影された圧着後画像G12に基づいて所定の圧着基準を満たしているか否かが判定される。この圧着確認部21は、撮影用の圧着後カメラ211と、圧着後画像G12を表示する圧着後画像表示部212と、判定処理を行う判定部213と、を備えている。圧着後カメラ211は、搬送チャック133で把持されて搬送される圧着後の電線端部W121が直下に達すると、その画像を撮影する。撮影された圧着後画像G12が圧着後画像表示部212で表示されるとともに画像データとして判定部213に送られる。判定部213では、圧着後カメラ211から送られた圧着後画像G12に基づいて圧着基準を満たしているか否かが判定される。この圧着基準に関する判定結果は、上述の圧着前撮影部18からの圧着前画像G11に基づく皮むき基準に関する判定結果とともに選択廃棄部23に送られる。
【0036】
端子回転部22は、搬送ルートR11における圧着確認部21よりも下流側の何れかの位置、具体的には圧着確認部21と選択廃棄部23の間に配置された部位である。この端子回転部22は、圧着確認部21を経て搬送されてくるハーネス用電線W12のうちの回転対象電線に対して端子回転処理を行う。回転対象電線は、コネクタ端子W11が圧着部19での圧着時の姿勢からコネクタ端子W11の軸W11a回りに回転した回転姿勢で、コネクタハウジングのキャビティへの挿入等といった後工程において使用される電線である。端子回転処理では、この回転対象電線が指定され、コネクタ端子W11が軸W11a回りの回転方向D17に回転される。この端子回転部22は、回転チャック221と、回転駆動機構222と、を備えている。回転チャック221は、回転対象電線の電線端部W121が搬送チャック133で把持されて搬送されてくると、その電線端部W121におけるコネクタ端子W11の近傍部分を把持する。回転駆動機構222は、電線端部W121を把持した回転チャック221を回転方向D17に回転させることで、上記の端子回転処理を行う。本実施形態では、回転対象電線における回転姿勢は、コネクタ端子W11が圧着時の姿勢から軸W11a回りに180°反転した反転姿勢となっている。回転駆動機構222は、電線端部W121を把持した回転チャック221を回転方向D17に180°回転させることでコネクタ端子W11を反転する。
【0037】
選択廃棄部23は、搬送ルートR11における圧着確認部21よりも下流側、具体的には端子回転部22の下流側に配置され、圧着確認部21及び端子回転部22を経て搬送されてくるハーネス用電線W12に対して選択廃棄処理を行う部位である。選択廃棄処理では、判定部123において皮むき基準と圧着基準の両方を満たすと判定されたハーネス用電線W12が、合格品の端子付き電線W1として、搬送部13により後工程である電線セット処理を行う電線セット部24に引き渡される。他方、皮むき基準と圧着基準の少なくとも一方を満たさないと判定されたハーネス用電線W12は不合格品の端子付き電線W1として廃棄される。選択廃棄部23は、不合格品の端子付き電線W1の両端それぞれの電線端部W121を搬送チャック133から取り外してピックアップし、廃棄位置231aまで運んで廃棄する廃棄機構231を備えている。
【0038】
図14は、図1及び図2に示されている電線セット部を示す斜視図である。
【0039】
電線セット部24は、搬送ルートR11における選択廃棄部23よりも下流側、即ち、搬送ルートR11における終点部に配置され、この搬送ルートR11に沿って搬送されてくる圧着基準を満たすハーネス用電線W12に対して電線セット処理を行う部位である。この電線セット処理の処理対象となるハーネス用電線W12は、その両端それぞれの電線端部W121にコネクタ端子W11が圧着され、U字状に曲げられた状態で搬送されてくる合格品の端子付き電線W1である。電線セット処理では、このU字状の端子付き電線W1の両端それぞれの電線端部W121が搬送ルートR11から取り外され、竿状の電線保持具241まで運ばれて保持される。
【0040】
電線セット部24は、1本の端子付き電線W1の両端それぞれの電線端部W121を搬送部13における搬送チャック133から外し、電線保持具241における保持位置まで運んで把持させる一対のセット機構242を、2セット備えている。竿状の電線保持具241には、端子付き電線W1におけるハーネス用電線W12を差込み可能な複数のスリット241aが、その竿長方向D18に一列に配列されて形成されている。一対のセット機構242は、各端子付き電線W1について予め指定された一対のスリット241aに電線端部W121を差し込んで保持させる。このとき指定された一対のスリット241aの相互間隔が、一対のセット機構242が並んだ状態で差込み可能な間隔である場合には、1本の端子付き電線W1の両端それぞれの電線端部W121のセットが同時に行われる。本実施形態では、一対のセット機構242が、2セット備えられているので、このような両端の同時セットは最大で2本の端子付き電線W1に対して行うことが可能となっている。他方、指定された一対のスリット241aの相互間隔が、広すぎる又は狭すぎる場合には、各電線端部W121のセットが、対応するセット機構242によって個別に行われることとなる。電線セット部24は、これら2セットのセット機構242を搬送チャック133と電線保持具241のスリット241aとの相互間をセット移動方向D19に沿って往復させるセット駆動機構243を備えている。この電線セット部24による電線セット処理は、製造対象の端子付き電線W1が全て電線保持具241にセットされるまで続けられる。全ての端子付き電線W1のセットが終了すると、その電線保持済みの電線保持具241に対して保持具移動部25による処理が行われる。
【0041】
図15は、図1及び図2に示されている保持具移動部による処理の様子を示す斜視図である。
【0042】
保持具移動部25は、電線セット部24に対する隣接位置に配置される。そして、保持具移動部25は、電線セット部24での電線セット処理を経て圧着基準を満たすハーネス用電線W12、即ち端子付き電線W1を、製造対象の全てについて保持するに至った電線保持済みの電線保持具241に対して保持具移動処理を行う。保持具移動処理は、電線保持済みの電線保持具241を図1に示されている払出し位置251まで移動する処理である。ここで、電線セット部24での電線セット処理の際には、電線セット部24のセット機構242が、上方からアクセスしてスリット241aに電線端部W121を差し込めるように、電線保持具241はスリット241aを上方に向けた姿勢で配置されている。このため、電線セット後の各端子付き電線W1は、スリット241aの近傍で電線端部W121が90°湾曲して垂下した状態で保持されている。保持具移動部25は、保持具移動処理において各端子付き電線W1が、電線端部W121での湾曲が解消されて真っ直ぐに垂下してU字状となるように、電線保持具241を倒し方向D20に90°横倒しにする。保持具移動処理では、その後、電線保持具241が、この電線保持具241と交差する払出し方向D21に払出し位置251までスライド移動され、その払出し位置251にて一時保管される。
【0043】
このような保持具移動処理が、電線セット部24で電線セット処理が行われる度に行われ、払出し位置251には、複数本の電線保持済みの電線保持具241が互いに並列されて保管されていく。この電線保持具241は、適宜の作業タイミングで作業者によって払出し位置251から取り出され、コネクタハウジングのキャビティへの挿入等といった後工程の処理を行うユニット等まで運ばれる。
【0044】
次に、本実施形態の端子圧着ユニット1で実行される端子圧着方法について、ここまでの説明と重複する部分もあるが、以下、これまでの図1図15、及び下記の図16を参照しながら説明する。
【0045】
図16は、図1図15に示されている端子圧着ユニットで実行される端子圧着方法の処理の流れを表す模式的なフローチャートである。
【0046】
この図16のフローチャートで表される端子圧着方法の処理は、作業者が、PC(personal computer)等の入力装置で製造対象の品番を入力し、当該入力装置に対し所定の開始操作を行うとスタートする。処理がスタートすると、検尺部12が、電線111aを必要長だけ引き出して切断する検尺処理を繰り返すことで、ハーネス用電線W12を複数本、順次に切り出す検尺工程S101が実行される。次に、ハーネス用電線W12を、両端それぞれの電線端部W121を把持するとともに所定の搬送ルートR11に沿って搬送する搬送部13へと受け渡して当該搬送部13にハーネス用電線W12を搬送させる搬送工程S102が実行される。これに続く油塗布工程S103及びゴム栓挿入工程S104は、搬送ルートR11に沿って搬送されるハーネス用電線W12のうちゴム栓対象電線に指定されたものについて実行される。また、油塗布工程S103は、ゴム栓対象電線のうち更に潤滑対象電線に指定されたものについて実行される。
【0047】
油塗布工程S103では、ゴム栓挿入工程S104の前に、指定された潤滑対象電線の電線端部W121に潤滑油が塗布される。ゴム栓挿入工程S104では、指定されたゴム栓対象電線の電線端部W121にゴム栓W13が挿入される。
【0048】
次に、搬送ルートR11に沿って搬送されてくるハーネス用電線W12の電線端部W121の先端被覆W121bを除去して芯線W121aを露出させる皮むき工程105が実行される。この皮むき工程S105を経たハーネス用電線W121の、先端被覆W121bが除去された電線端部W121を、後述の圧着工程S107の前に撮影して圧着前画像G11を得て所定の皮むき基準を満たしているか否かを判定する圧着前確認工程S106が実行される。圧着前確認工程S106の次の圧着工程S107では、皮むき工程S105及び圧着前確認工程S106を経て搬送されてくるハーネス用電線W12の、芯線W121aが露出した電線端部W121にコネクタ端子W11が圧着される。
【0049】
次に、圧着工程S107を経て搬送されてくるハーネス用電線W12の、コネクタ端子W11が圧着された電線端部W121を対象として圧着確認工程S108が実行される。圧着確認工程S108では、圧着後の電線端部W121の圧着後画像G12が撮影されて所定の圧着基準を満たしているか否かが判定される。
【0050】
この圧着確認工程S108の次の端子回転工程S109は、圧着工程S107を経て搬送されてくるハーネス用電線W12のうち、回転対象電線に指定されたものについて実行される。回転対象電線は、コネクタ端子W11が圧着時の姿勢から軸W11a回りに回転した回転姿勢で後工程において使用される電線であり、端子回転工程S109では、この回転対象電線のコネクタ端子W11が軸W11a回りに回転される。上述したように、本実施形態では、コネクタ端子W11が圧着時の姿勢から軸W11a回りに180°反転される。
【0051】
次の選択廃棄工程S110では、圧着前確認工程S106において皮むき基準を満たすと判定され、且つ、圧着確認工程S108において圧着基準を満たすと判定されたハーネス用電線W12が合格品の端子付き電線W1として後工程に引き渡される。他方、皮むき基準と圧着基準の少なくとも一方を満たさないハーネス用電線W12は不合格の端子付き電線W1として廃棄される。そして、この選択廃棄工程S110で合格品となった端子付き電線W1に対し、コネクタ端子W11が圧着された電線端部W121を、搬送ルートR11から取り外し、竿状の電線保持具241まで運んで保持させる電線セット工程S111が実行される。
【0052】
電線セット工程S111の後、製造対象の1セットの端子付き電線W1の全てについて電線保持具241へのセットが終了したか否かを判定する1次判定工程S112が実行される。1セット分のセットが終了していない場合(NO判定)、電線セット工程S111で引き続き端子付き電線W1がセットされる度に1次判定工程S112が繰り返される。そして、1セット分のセットが終了した場合(YES判定)、電線保持済みの電線保持具241を払出し位置251まで移動する保持具移動工程S113が実行される。
【0053】
保持具移動工程S113の後、新たな電線保持具241への端子付き電線W1のセットを続けるか否かを判定する2次判定工程S114が実行される。電線保持具241へのセットを続ける場合(YES判定)、検尺工程S101まで処理が戻って以降の処理が繰り返される。他方、電線保持具241へのセットを行わない場合(NO判定)、この端子圧着方法の処理を終了する。
【0054】
以上に説明した実施形態の端子圧着ユニット1及び端子圧着方法によれば、次のような効果を奏することができる。即ち、本実施形態によれば、ハーネス用電線W12が順次に切り出され、所定の搬送ルートR11に沿って搬送される。そして、その搬送ルートR11に沿って電線端部W121の皮むき、コネクタ端子W11の圧着、圧着確認、及び不合格品の選択廃棄という一連の処理がスムーズに行われる。このように、本実施形態によれば、作業者Y1の各種負担を抑えてハーネス用電線W12にコネクタ端子W11を圧着することができる。
【0055】
ここで、本実施形態では、検尺部12が、ハーネス用電線W12をU字状に曲げた状態で切り出し、搬送部13が、ハーネス用電線W12をU字状に曲げた状態のまま検尺部12から受け取る。搬送部13は、このハーネス用電線W12の両端それぞれの電線端部W121を搬送ルートR11に沿って一列に並ぶように把持することで、ハーネス用電線W12をU字状に曲げた状態のまま搬送する。この構成によれば、ハーネス用電線W12の向きを変えたりしなくとも、両端の電線端部W121への端子圧着を順次に行うことができるので、作業者Y1の負担を更に抑えることができる。
【0056】
また、本実施形態では、搬送ルートR11における皮むき部17よりも上流側に、電線端部W121の先端を切り揃えるトリミング部14が設けられている。この構成によれば、搬送ルートR11に沿って搬送されてくるハーネス用電線W12の電線端部W121の先端が切り揃えられるので、端子圧着の精度を向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態では、圧着確認部21が、圧着後画像G12を表示する圧着後画像表示部212を有している。この構成によれば、圧着後画像G12を、圧着後画像表示部212を介して作業者Y1が目視により把握することができるので好適である。
【0058】
また、本実施形態では、搬送ルートR11における皮むき部17と同じ位置に、圧着処理の前に、先端被覆W121bが除去された電線端部W121を撮影して圧着前画像G11を得る圧着前撮影部18が設けられている。そして、この圧着前画像G11に基づいて皮むき基準を見たしているか否かが判定される。この構成によれば、圧着前画像G11に写っている電線端部W121の皮むき状況等にも基づいて圧着確認処理が行われるので、確認精度を向上させることができる。尚、本実施形態では、皮むき基準に関する判定が、圧着前撮影部18から圧着前画像G11を受け取る圧着確認部21の判定部213で行われている。しかしながら、皮むき基準に関する判定を行う部位は、これに限るものではなく、圧着確認部21の判定部213とは別に専用の判定部を設けて皮むき基準に関する判定を行うこととしてもよい。
【0059】
また、本実施形態では、圧着前撮影部18が、圧着前画像G11を表示する圧着前画像表示部182を有している。この構成によれば、圧着前画像G11を、圧着前画像表示部182を介して作業者Y1が目視により把握することができるので好適である。
【0060】
また、本実施形態では、搬送ルートR11における圧着部19よりも上流側に、指定されたゴム栓対象電線の電線端部W121にゴム栓W13を挿入するゴム栓挿入部16が設けられている。圧着部19は、ゴム栓対象電線に対しては、ゴム栓越しにコネクタ端子W11を圧着する処理を行う。この構成によれば、ゴム栓対象電線に対するゴム栓挿入処理、及び、その後のゴム栓越しの圧着処理が、検尺後の一連処理の中に組み込まれているので、作業者Y1の負担を更に抑えることができる。
【0061】
また、本実施形態では、搬送ルートR11におけるゴム栓挿入部16よりも上流側に、指定された潤滑対象電線に対し、ゴム栓挿入処理の前に、電線端部W121に潤滑油を塗布する油塗布部15が設けられている。この構成によれば、ハーネス用電線W12の太さ等に起因してゴム栓W13が挿入し難い場合等においても、油塗布部15での油塗布処理を経ることでスムーズにゴム栓挿入処理を行うことができる。
【0062】
また、本実施形態では、搬送ルートR11における選択廃棄部23よりも下流側に、圧着基準を満たすハーネス用電線W12の電線端部W121を、搬送ルートR11から取り外して電線保持具241まで運んで保持させる電線セット部24が設けられている。この構成によれば、端子圧着後のハーネス用電線W12が電線保持具241に順次にセットされる。作業者Y1は、電線保持具241を次の作業場所まで持ち運ぶだけでよく、端子圧着後のハーネス用電線W12を1本ずつ作業者Y1が搬送ルートR11から取り外して個別に持ち運ぶこと等に比べて作業者Y1の負担を更に抑えることができる。
【0063】
また、本実施形態では、電線セット部24が、U字状に曲げた状態のハーネス用電線W12の両端それぞれの電線端部W121を同時又は順次に搬送ルートR11から取り外して電線保持具241まで運んで保持させる。これにより、電線セット部24は、電線保持具241にハーネス用電線W12をU字状に曲げた状態のまま保持させる。この構成によれば、電線保持具241にハーネス用電線W12の両端それぞれの電線端部W121がセットされるので、電線保持具241からハーネス用電線W12を取り外して各電線端部W121を取り扱う後工程での作業性を向上させることができる。
【0064】
また、本実施形態では、電線保持済みの電線保持具241を所定の払出し位置251まで移動する保持具移動部25が設けられている。この構成によれば、後工程への移送のための作業者Y1による電線保持具241の取出し作業についての作業性を向上させることができる。
【0065】
また、本実施形態では、搬送ルートR11における圧着確認部21よりも下流側に、指定された回転対象電線のコネクタ端子W11を軸W11a回りに回転させる端子回転部22が設けられている。この構成によれば、後工程での電線端部W121の取扱い状況に合わせて端子回転処理を行うことができるので、後工程での作業性を向上させることができる。
【0066】
尚、以上に説明した実施形態は、端子圧着ユニット及び端子圧着方法の代表的な形態を示したに過ぎない。端子圧着ユニット及び端子圧着方法は、これに限定されるものではなく種々変形して実施することができる。
【0067】
例えば、上述した実施形態では、端子圧着ユニット及び端子圧着方法の一例として、車両等に搭載されて配策されるワイヤーハーネスを構成する端子付き電線W1を製造する端子圧着ユニット1及び端子圧着方法が例示されている。しかしながら、端子圧着ユニット及び端子圧着方法は、これに限るものではなく、その具体的な適用対象を問うものではない。
【0068】
また、上述した実施形態では、端子圧着ユニット及び端子圧着方法の一例として、図1及び図2に各構成要素の具体的な形状や配置が図示された端子圧着ユニット1と、その端子圧着ユニット1を用いた端子圧着方法が例示されている。しかしながら、端子圧着ユニット及び端子圧着方法は、これに限るものではなく、端子圧着ユニットにおける構成要素の具体的な形状や配置は、これを問うものではない。
【0069】
また、上述した実施形態では、端子圧着ユニット及び端子圧着方法の一例として、作業者Y1によって電線保持済みの電線保持具241が取り出されて後工程の処理を行うユニット等まで運ばれる端子圧着ユニット1及び端子圧着方法が例示されている。本実施形態では、合格品の端子付き電線W1が電線セット部24に引き渡され、竿状の電線保持具241にセットされる。しかしながら、端子圧着ユニット及び端子圧着方法は、これに限るものではない。端子圧着ユニット及び端子圧着方法は、電線セット部24への引き渡し、電線保持具241へのセット、及び作業者Y1による電線保持具241の運搬等を行わないユニットや方法等であってもよい。これらのユニットや方法等では、例えば端子挿入ユニット等といった後工程の処理を行うユニット等に直に端子付き電線が引き渡されて端子挿入等の処理が行われることとなる。
【0070】
また、上述した実施形態では、端子回転部及び端子回転工程の一例として、コネクタ端子W11を、圧着時の姿勢から軸W11a回りに180°回転した姿勢へと反転させる端子回転部22及び端子回転工程S109が例示されている。しかしながら、端子回転部及び端子回転工程は、これに限るものではなく、コネクタ端子を、圧着時の姿勢から軸回りに任意の回転角で回転させることとしてもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 端子圧着ユニット
1a 第1ユニット
1b 第2ユニット
1c 第3ユニット
11 電線保管部
12 検尺部
13 搬送部
14 トリミング部
15 油塗布部
16 ゴム栓挿入部
17 皮むき部
18 圧着前撮影部
19 圧着部
21 圧着確認部
22 端子回転部
23 選択廃棄部
24 電線セット部
25 保持具移動部
111 電線リール
111a 電線
111a-1 引出し端部
121 電線引出し機構
121a 切断チャック
122 U字曲げターン機構
122a 先端チャック
122b ターン駆動機構
131 電線運搬チャック
131a チャック部分
131b チャック駆動機構
132 電線搬送機構
132a 搬送レール
133 搬送チャック
141 切断機構
141a カット刃
142 切断駆動機構
151 把持片
152 油塗布駆動機構
161 挿入機構
162 挿入駆動機構
171 皮むき刃
172 皮むき駆動機構
181 圧着前カメラ
182 圧着前画像表示部
191 端子保持部
192 圧着機構
192a アンビル
192b クリンパ
192c クラッチ
193 サーボモータ
211 圧着後カメラ
212 圧着後画像表示部
213 判定部
221 回転チャック
222 回転駆動機構
231 廃棄機構
231a 廃棄位置
241 電線保持具
241a スリット
242 セット機構
243 セット駆動機構
251 払出し位置
D11 ターン方向
D12 上下方向
D13 カット方向
D14 挟持方向
D15 挿入方向
D16 皮むき方向
D17 回転方向
D18 竿長方向
D19 セット移動方向
D20 倒し方向
D21 払出し方向
G11 圧着前画像
G12 圧着後画像
P11 先端位置
R11 搬送ルート
S101 検尺工程
S102 搬送工程
S103 油塗布工程
S104 ゴム栓挿入工程
S105 皮むき工程
S106 圧着前確認工程
S107 圧着工程
S108 圧着確認工程
S109 端子判定工程
S110 選択廃棄工程
S111 電線セット工程
S112 1次判定工程
S113 保持具移動工程
S114 2次判定工程
W1 端子付き電線
W11 コネクタ端子
W11a 軸
W12 ハーネス用電線
W13 ゴム栓
W121 電線端部
W121a 芯線
W121b 先端被覆
Y1 作業者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2024-10-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するために、端子圧着ユニットは、電線を必要長だけ引き出して切断する検尺処理を繰り返すことで、ハーネス用電線を複数本、順次に切り出す検尺部と、前記ハーネス用電線を前記検尺部から順次に受け取り、少なくとも一方の電線端部を把持するとともに所定の搬送ルートに沿って搬送する搬送部と、前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記電線端部の先端被覆を除去して芯線を露出させる皮むき処理を行う皮むき部と、前記搬送ルートにおける前記皮むき部よりも下流側に配置され、当該皮むき部を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記芯線が露出した前記電線端部にコネクタ端子を圧着する圧着処理を行う圧着部と、前記搬送ルートにおける前記圧着部よりも下流側に配置され、当該圧着部を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記コネクタ端子が圧着された前記電線端部を撮影するとともに、撮影された圧着後画像に基づいて所定の圧着基準を満たしているか否かを判定する圧着確認処理を行う圧着確認部と、前記搬送ルートにおける前記圧着確認部よりも下流側に配置され、当該圧着確認部を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記圧着基準を満たさない前記ハーネス用電線を廃棄する選択廃棄処理を行う選択廃棄部と、前記搬送ルートにおける前記選択廃棄部よりも下流側に配置され、前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記圧着基準を満たす前記ハーネス用電線に対し、前記コネクタ端子が圧着された前記電線端部を、セット機構を用いて前記搬送ルートから取り外し、所定の電線保持具まで運んで保持させる電線セット処理を行う電線セット部と、前記電線セット部に対する隣接位置に配置され、前記電線セット処理を経た電線保持済みの前記電線保持具を払出し位置まで移動する保持具移動処理を行う保持具移動部と、を備え、前記電線保持具が、竿状の部材であって、前記ハーネス用電線を差込み可能な複数のスリットが竿長方向に一列に配列されて形成され、前記電線セット処理の際には、前記複数のスリットを重力方向の上方に向けた上向き姿勢で配置されており、前記電線セット部は、前記上向き姿勢の前記電線保持具に、前記セット機構が前記重力方向の上方からアクセスして前記ハーネス用電線を保持させ、前記保持具移動部が、前記上向き姿勢の前記電線保持具を、前記複数のスリットを水平方向に向けた横向き姿勢へと横倒しにした後、前記払出し位置までスライド移動させることを特徴とする。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
また、上記課題を解決するために、端子圧着方法は、電線を必要長だけ引き出して切断する検尺処理を繰り返すことで、ハーネス用電線を複数本、順次に切り出す検尺工程と、前記ハーネス用電線を、少なくとも一方の電線端部を把持するとともに所定の搬送ルートに沿って搬送する搬送部へと受け渡して当該搬送部に前記ハーネス用電線を搬送させる搬送工程と、前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記ハーネス用電線の前記電線端部の先端被覆を除去して芯線を露出させる皮むき工程と、前記皮むき工程を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線の、前記芯線が露出した前記電線端部にコネクタ端子を圧着する圧着工程と、前記圧着工程を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線の、前記コネクタ端子が圧着された前記電線端部を撮影するとともに、撮影された圧着後画像に基づいて所定の圧着基準を満たしているか否かを判定する圧着確認工程と、前記圧着確認工程を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線のうち、前記圧着基準を満たさない前記ハーネス用電線を廃棄する選択廃棄工程と、前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記圧着基準を満たす前記ハーネス用電線に対し、前記コネクタ端子が圧着された前記電線端部を、セット機構を用いて前記搬送ルートから取り外し、所定の電線保持具まで運んで保持させる電線セット工程と、前記電線セット工程を経た電線保持済みの前記電線保持具を払出し位置まで移動する保持具移動工程と、を備え、前記電線保持具が、竿状の部材であって、前記ハーネス用電線を差込み可能な複数のスリットが竿長方向に一列に配列されて形成され、前記電線セット工程の際には、前記複数のスリットを重力方向の上方に向けた上向き姿勢で配置されており、前記電線セット工程は、前記上向き姿勢の前記電線保持具に、前記セット機構が前記重力方向の上方からアクセスして前記ハーネス用電線を保持させる工程であり、前記保持具移動工程が、前記上向き姿勢の前記電線保持具を、前記複数のスリットを水平方向に向けた横向き姿勢へと横倒しにした後、前記払出し位置までスライド移動させる工程であることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を必要長だけ引き出して切断する検尺処理を繰り返すことで、ハーネス用電線を複数本、順次に切り出す検尺部と、
前記ハーネス用電線を前記検尺部から順次に受け取り、少なくとも一方の電線端部を把持するとともに所定の搬送ルートに沿って搬送する搬送部と、
前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記電線端部の先端被覆を除去して芯線を露出させる皮むき処理を行う皮むき部と、
前記搬送ルートにおける前記皮むき部よりも下流側に配置され、当該皮むき部を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記芯線が露出した前記電線端部にコネクタ端子を圧着する圧着処理を行う圧着部と、
前記搬送ルートにおける前記圧着部よりも下流側に配置され、当該圧着部を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記コネクタ端子が圧着された前記電線端部を撮影するとともに、撮影された圧着後画像に基づいて所定の圧着基準を満たしているか否かを判定する圧着確認処理を行う圧着確認部と、
前記搬送ルートにおける前記圧着確認部よりも下流側に配置され、当該圧着確認部を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記圧着基準を満たさない前記ハーネス用電線を廃棄する選択廃棄処理を行う選択廃棄部と、
前記搬送ルートにおける前記選択廃棄部よりも下流側に配置され、前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記圧着基準を満たす前記ハーネス用電線に対し、前記コネクタ端子が圧着された前記電線端部を、セット機構を用いて前記搬送ルートから取り外し、所定の電線保持具まで運んで保持させる電線セット処理を行う電線セット部と、
前記電線セット部に対する隣接位置に配置され、前記電線セット処理を経た電線保持済みの前記電線保持具を払出し位置まで移動する保持具移動処理を行う保持具移動部と、を備え、
前記電線保持具が、竿状の部材であって、前記ハーネス用電線を差込み可能な複数のスリットが竿長方向に一列に配列されて形成され、前記電線セット処理の際には、前記複数のスリットを重力方向の上方に向けた上向き姿勢で配置されており、
前記電線セット部は、前記上向き姿勢の前記電線保持具に、前記セット機構が前記重力方向の上方からアクセスして前記ハーネス用電線を保持させ、
前記保持具移動部が、前記上向き姿勢の前記電線保持具を、前記複数のスリットを水平方向に向けた横向き姿勢へと横倒しにした後、前記払出し位置までスライド移動させることを特徴とする端子圧着ユニット。
【請求項2】
前記検尺部が、前記ハーネス用電線をU字状に曲げた状態で切り出し、
前記搬送部が、前記ハーネス用電線を前記U字状に曲げた状態のまま前記検尺部から受け取り、前記ハーネス用電線の両端それぞれの前記電線端部を前記搬送ルートに沿って一列に並ぶように把持することで、前記ハーネス用電線を前記U字状に曲げた状態のまま搬送することを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項3】
前記検尺部が、複数種類の前記ハーネス用電線を切り出し可能であることを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項4】
前記搬送ルートにおける前記皮むき部よりも上流側に配置され、前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記ハーネス用電線に対し、前記電線端部の先端が所定の先端位置に揃うように切り揃えるトリミング処理を行うトリミング部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項5】
前記圧着確認部が、前記圧着後画像を表示する圧着後画像表示部を有していることを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項6】
前記搬送ルートにおける前記皮むき部と同じ位置に配置され、前記皮むき部を経た前記ハーネス用電線に対し、前記圧着処理の前に、前記先端被覆が除去された前記電線端部を撮影して圧着前画像を得る圧着前撮影処理を行う圧着前撮影部と、
前記圧着前画像に基づいて所定の皮むき基準を満たしているか否かを判定する判定部と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項7】
前記圧着前撮影部が、前記圧着前画像を表示する圧着前画像表示部を有していることを特徴とする請求項6に記載の端子圧着ユニット。
【請求項8】
前記搬送ルートにおける前記圧着部よりも上流側に配置され、前記ハーネス用電線のうちゴム栓の挿入対象に指定されたゴム栓対象電線に対し、前記電線端部に前記ゴム栓を挿入するゴム栓挿入処理を行うゴム栓挿入部を更に備え、
前記圧着部は、前記ゴム栓対象電線に対しては、前記圧着処理として、前記電線端部に、前記ゴム栓越しに前記コネクタ端子を圧着する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項9】
前記ゴム栓挿入部が、複数種類の前記ゴム栓を挿入可能であり、
前記搬送ルートにおける前記ゴム栓挿入部よりも上流側に配置され、前記ゴム栓対象電線のうち潤滑油の塗布対象に指定された潤滑対象電線に対し、前記ゴム栓挿入処理の前に、前記電線端部に前記潤滑油を塗布する油塗布処理を行う油塗布部を更に備えたことを特徴とする請求項8に記載の端子圧着ユニット。
【請求項10】
前記搬送ルートにおける前記圧着確認部よりも下流側の何れかの位置に配置され、当該圧着確認部を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線のうち、前記コネクタ端子が前記圧着部での圧着時の姿勢から前記コネクタ端子の軸回りに回転した回転姿勢で後工程において使用される電線に指定された回転対象電線に対し、前記コネクタ端子を前記軸回りに回転させる端子回転処理を行う端子回転部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の端子圧着ユニット。
【請求項11】
電線を必要長だけ引き出して切断する検尺処理を繰り返すことで、ハーネス用電線を複数本、順次に切り出す検尺工程と、
前記ハーネス用電線を、少なくとも一方の電線端部を把持するとともに所定の搬送ルートに沿って搬送する搬送部へと受け渡して当該搬送部に前記ハーネス用電線を搬送させる搬送工程と、
前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記ハーネス用電線の前記電線端部の先端被覆を除去して芯線を露出させる皮むき工程と、
前記皮むき工程を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線の、前記芯線が露出した前記電線端部にコネクタ端子を圧着する圧着工程と、
前記圧着工程を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線の、前記コネクタ端子が圧着された前記電線端部を撮影するとともに、撮影された圧着後画像に基づいて所定の圧着基準を満たしているか否かを判定する圧着確認工程と、
前記圧着確認工程を経て搬送されてくる前記ハーネス用電線のうち、前記圧着基準を満たさない前記ハーネス用電線を廃棄する選択廃棄工程と、
前記搬送ルートに沿って搬送されてくる前記圧着基準を満たす前記ハーネス用電線に対し、前記コネクタ端子が圧着された前記電線端部を、セット機構を用いて前記搬送ルートから取り外し、所定の電線保持具まで運んで保持させる電線セット工程と、
前記電線セット工程を経た電線保持済みの前記電線保持具を払出し位置まで移動する保持具移動工程と、を備え、
前記電線保持具が、竿状の部材であって、前記ハーネス用電線を差込み可能な複数のスリットが竿長方向に一列に配列されて形成され、前記電線セット工程の際には、前記複数のスリットを重力方向の上方に向けた上向き姿勢で配置されており、
前記電線セット工程は、前記上向き姿勢の前記電線保持具に、前記セット機構が前記重力方向の上方からアクセスして前記ハーネス用電線を保持させる工程であり、
前記保持具移動工程が、前記上向き姿勢の前記電線保持具を、前記複数のスリットを水平方向に向けた横向き姿勢へと横倒しにした後、前記払出し位置までスライド移動させる工程であることを特徴とする端子圧着方法。