(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179471
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20241219BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H01L29/78 301W
H01L29/78 301D
H01L29/06 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098343
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100186761
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 勇太
(72)【発明者】
【氏名】岩本 邦彦
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AA14
5F140AA24
5F140AC21
5F140BA01
5F140BC12
5F140BF04
5F140BH30
5F140BH43
5F140BH47
5F140CB01
5F140CC11
5F140CC12
5F140CD09
5F140CE07
(57)【要約】
【課題】ウェハーサイズの大型化などが実施されても高い信頼性を示し得る構造を有する半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】
半導体装置は、半導体基板と、半導体基板上に位置すると共に、ドレイン領域、ソース領域、ドリフト領域およびチャネル領域を有する半導体層と、半導体層に接すると共にチャネル領域上に位置する絶縁膜と、絶縁膜を覆う層間絶縁膜と、層間絶縁膜上に位置すると共にドレイン領域に重なり、ドレイン領域に電気的に接続されるフィールドプレートと、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に位置すると共に、ドレイン領域、ソース領域、ドリフト領域およびチャネル領域を有する半導体層と、
前記半導体層に接すると共に前記チャネル領域上に位置する絶縁膜と、
前記絶縁膜を覆う層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に位置すると共に前記ドリフト領域に重なり、前記ドレイン領域に電気的に接続されるフィールドプレートと、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記絶縁膜上に位置するゲート電極をさらに備え、
前記ゲート電極は、前記層間絶縁膜に覆われる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ゲート電極と、前記フィールドプレートとのそれぞれは、ポリシリコンを含む、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記半導体層は、前記フィールドプレートに電気的に接続されるバックゲート領域をさらに有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記フィールドプレートは、前記ドレイン領域に電気的に接続される最内周部、前記バックゲート領域に電気的に接続される最外周部、および、前記最内周部と最外周部とを接続する接続部分とを有する、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体層に接するLOCOS膜をさらに備え、
前記フィールドプレートは、前記LOCOS膜および前記層間絶縁膜に重なる、請求項1~3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体層は、前記ソース領域と、前記ソース領域に電気的に接続されるゲート領域が設けられるソース/ゲート領域であって、前記ドレイン領域から離間すると共に前記ドレイン領域の周囲に位置する前記ソース/ゲート領域をさらに有する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記フィールドプレートは、前記ドレイン領域に電気的に接続される最内周部、グランドに電気的に接続される最外周部、および、前記最内周部と最外周部とを接続する接続部分とを有する、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記絶縁膜は、LOCOS膜である、請求項1,7,8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記フィールドプレートは、ポリシリコンを含む、請求項1,2,7,8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記フィールドプレートは、クロム珪化物を含む、請求項1,2,7,8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記フィールドプレートの厚さは、1nm以上30nm以下である、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記層間絶縁膜上に位置すると共に前記フィールドプレートに電気的に接続される第1導電層と、
前記第1導電層および前記フィールドプレートを覆う第2層間絶縁膜と、
前記第2層間絶縁膜に設けられる開口に充填されると共に前記フィールドプレートに電気的に接続される第2導電層と、をさらに備え、
前記第1導電層は、前記フィールドプレートから露出する露出部を有し、
前記第2導電層は、前記露出部と接触する、請求項11に記載の半導体装置。
【請求項14】
半導体基板上に、ドレイン領域、ソース領域、ドリフト領域およびチャネル領域を有する半導体層を形成する工程と、
前記半導体層に接すると共に前記チャネル領域上に位置する絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜上に位置すると共に前記ドリフト領域に重なるフィールドプレートを形成する工程と、
前記フィールドプレートを覆う第2層間絶縁膜を形成する工程と、
第1開口を前記層間絶縁膜および前記第2層間絶縁膜に形成する工程と、
前記フィールドプレートを露出する第2開口を前記第2層間絶縁膜に形成する工程と、
前記第1開口に充填される第1コンタクト、および前記第2開口に充填される第2コンタクトを形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記フィールドプレートは、ポリシリコンを含む、請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
半導体基板上に、ドレイン領域、ソース領域、ドリフト領域およびチャネル領域を有する半導体層を形成する工程と、
前記半導体層に接すると共に前記チャネル領域上に位置する絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、
第1開口を前記層間絶縁膜に形成する工程と、
前記第1開口に充填されるコンタクトと、前記層間絶縁膜上に位置する導電層を形成する工程と、
前記層間絶縁膜、前記コンタクトおよび前記導電層を覆うと共にクロム珪化物を含む抵抗層を形成する工程と、
前記抵抗層をパターニングすることによって、前記導電層を覆う被覆部分を有するフィールドプレートを形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記フィールドプレートの厚さは、1nm以上30nm以下である、請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記フィールドプレートを覆う第2層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第2層間絶縁膜および前記フィールドプレートの前記被覆部分の一部をエッチングすることによって、前記導電層を露出する第2開口を前記第2層間絶縁膜に形成する工程と、
前記第2開口に充填される第2コンタクトを形成する工程と、をさらに備える、請求項16または17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記層間絶縁膜の形成前、前記絶縁膜上にゲート電極を形成する工程をさらに備える、請求項14~17のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、半導体層、第1電極、第2電極、横型素子、LOCOS酸化膜抵抗性フィールドプレートを含む半導体装置を開示している。第1電極は、半導体層の表面の上に形成されている。第2電極は、第1電極から間隔を空けて半導体層の表面の上に形成されている。横型素子は、半導体層の表面の表層部において第1電極および第2電極の間の領域に形成され、第1電極および第2電極に電気的に接続されている。LOCOS酸化膜は、半導体層の表面において横型素子を構成する各部を分離している。抵抗性フィールドプレートは、LOCOS酸化膜の上に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013/0075877号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体装置の製造にあたっては、効率化、高性能化などの観点から、ウェハーサイズの大型化、素子および配線の微細化などが検討される。上記特許文献1に示される構造のままウェハーサイズの大型化、素子および配線の微細化などを実施すると、構造上の問題から半導体装置の信頼性が低下してしまう懸念がある。
【0005】
本開示の一側面に係る目的は、ウェハーサイズの大型化などが実施されても高い信頼性を示し得る構造を有する半導体装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る半導体装置は、半導体基板と、半導体基板上に位置すると共に、ドレイン領域、ソース領域、ドリフト領域およびチャネル領域を有する半導体層と、半導体層に接すると共にチャネル領域上に位置する絶縁膜と、絶縁膜を覆う層間絶縁膜と、層間絶縁膜上に位置すると共にドリフト領域に重なり、ドレイン領域に電気的に接続されるフィールドプレートと、を備える。
【0007】
本開示の別の一側面に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上に、ドレイン領域、ソース領域、ドリフト領域およびチャネル領域を有する半導体層を形成する工程と、半導体層に接すると共にチャネル領域上に位置する絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、層間絶縁膜上に位置すると共にドリフト領域に重なるフィールドプレートを形成する工程と、フィールドプレートを覆う第2層間絶縁膜を形成する工程と、第1開口を層間絶縁膜および第2層間絶縁膜に形成する工程と、フィールドプレートを露出する第2開口を第2層間絶縁膜に形成する工程と、第1開口に充填される第1コンタクト、および第2開口に充填される第2コンタクトを形成する工程と、を備える。
【0008】
本開示のさらに別の一側面に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板上に、ドレイン領域、ソース領域、ドリフト領域およびチャネル領域を有する半導体層を形成する工程と、半導体層に接すると共にチャネル領域上に位置する絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、第1開口を層間絶縁膜に形成する工程と、第1開口に充填されるコンタクトと、層間絶縁膜上に位置する導電層を形成する工程と、層間絶縁膜、コンタクトおよび導電層を覆うと共にクロム珪化物を含む抵抗層を形成する工程と、抵抗層をパターニングすることによって、導電層を覆う被覆部分を有するフィールドプレートを形成する工程と、を備える。
【0009】
上記半導体装置およびその製造方法は、ウェハーサイズの大型化などが実施されても高い信頼性を示し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る半導体装置のチップを示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示される領域IIIの概略断面図である。
【
図4】
図4は、トランジスタ領域内の電気構造を示す回路図である。
【
図5A】
図5Aは、第1実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。
【
図5B】
図5Bは、第1実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。
【
図5C】
図5Cは、第1実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。
【
図5D】
図5Dは、第1実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。
【
図5E】
図5Eは、第1実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。
【
図5F】
図5Fは、第1実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。
【
図5G】
図5Gは、第1実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。
【
図5H】
図5Hは、第1実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置の要部概略断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態に係る半導体装置の要部概略断面図である。
【
図8】
図8は、
図7に示される領域VIIIの概略断面図である。
【
図9A】
図9Aは、第2実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。
【
図9B】
図9Bは、第2実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。
【
図9C】
図9Cは、第2実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。
【
図9D】
図9Dは、第2実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。
【
図9E】
図9Eは、第2実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態に係る半導体装置の要部概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本開示の実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。以下の説明において、同一要素または同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。本明細書における「同一」およびそれに類似する単語は、「完全同一」のみに限定されない。また、図面は、実施形態を概念的に説明するためのものであるから、表される各構成要素の寸法やそれらの比は実際のものとは異なる場合もある。
【0012】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置のチップを示す平面図である。
図2は、
図1に示される領域IIの拡大図である。
図3は、
図2に示す領域IIIの概略断面図である。
図1に示されるように、半導体装置1Aは、直方体形状を有するシリコン製のチップ2(半導体チップ)を含む。チップ2は、例えば直径300mm(約12インチ)のシリコンウェハーに形成された複数の装置の1つである。
【0013】
チップ2は、一対の主面である第1主面3および第2主面4と、第1主面3および第2主面4を接続する第1側面5A、第2側面5B、第3側面5Cおよび第4側面5Dを有している。以下では、平面視における第1側面5Aおよび第2側面5Bの延在方向を第1方向Xとし、平面視における第3側面5Cおよび第4側面5Dの延在方向を第2方向Yとし、第1主面3および第2主面4の法線方向を第3方向Zとする。第2方向Yは、平面視にて第1方向Xに交差する方向であり、第3方向Zは、チップ2の厚さ方向に相当する。
【0014】
第1主面3および第2主面4は、第3方向Zから見て四角形状に形成されているが、これに限られない。第1実施形態では、第1主面3は上面であり、第2主面4は底面である。このため、第3方向Zにおいて第1主面3の近くに位置する構成は半導体装置1Aの天面側(上方)に位置する構成に相当し、第3方向Zにおいて第2主面4の近くにある構成は半導体装置1Aの底面側(下方)に位置する構成に相当する。
【0015】
半導体装置1Aは、チップ2内において上方の領域に位置する第1半導体領域6を含む。第1半導体領域6は、第1導電型を有する領域であり、第1主面3に沿って延びる層形状を呈する。このため、第1半導体領域6は、半導体層とも呼称されることがある。第1半導体領域6は、エピタキシャル半導体層の少なくとも一部である。第1半導体領域6は、第1主面3と、第1側面5A、第2側面5B、第3側面5Cおよび第4側面5Dとから露出している。第1半導体領域6の厚さは、例えば5μm以上20μm以下である。第1実施形態では、第1導電型はn型である。
【0016】
半導体装置1Aは、チップ2内における下方の領域に位置する第2半導体領域7を含む。第2半導体領域7は、第2導電型を有すると共に所定の電位に固定される領域であり、第2主面4に沿って延びる層形状を呈する。第2半導体領域7は、第2主面4および第1~第4側面5A~5Dから露出している。第1実施形態では、第2半導体領域7は、バックゲート電位に固定される。バックゲート電位は、回路動作の基準となる基準電位でもよいし、グランド電位でもよい。第1実施形態では、第2導電型はp型である。
【0017】
第2半導体領域7は、第1半導体領域6に接続されている。第2半導体領域7の厚さは、50μm以上400μm以下であってもよい。第2半導体領域7は、p型の半導体基板の少なくとも一部である。つまり、チップ2は、エピタキシャル半導体層に含まれる第1半導体領域6、および、半導体基板に含まれる第2半導体領域7を有する。換言すると、チップ2は、半導体基板と、当該半導体基板上に位置するエピタキシャル半導体層を含む積層構造を有する。
【0018】
半導体装置1Aは、第1主面3に区画される複数のデバイス領域8を含む。半導体装置1Aにおいて、複数のデバイス領域8の個数および配置は、適宜定められる。複数のデバイス領域8のそれぞれは、チップ2の内外の領域を利用して形成される機能デバイスを含む。機能デバイスは、例えば、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも1つを含む。機能デバイスは、半導体スイッチングデバイス、半導体整流デバイスおよび受動デバイスのうちの少なくとも2つが組み合わされる回路網を含んでもよい。
【0019】
半導体スイッチングデバイスは、例えば、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)、BJT(BipolarJunction Transistor)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Junction Transistor)およびJFETのうちの少なくとも1つを含む。半導体整流デバイスは、pn接合ダイオード、pin接合ダイオード、ツェナダイオード、ショットキーバリアダイオードおよびファストリカバリーダイオードのうちの少なくとも1つを含んでもよい。受動デバイスは、抵抗、コンデンサ、インダクタおよびヒューズのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0020】
複数のデバイス領域8は、少なくとも1つのトランジスタ領域9を含む。トランジスタ領域9は、FET構造10(トランジスタ構造)を含む。第1実施形態では、FET構造10は、いわゆるLDMISFET(Lateral Double diffused MISFET)構造を有している。FET構造10は、例えば、オフ状態において800V以上のドレイン電圧が印加可能な高耐圧デバイスである。以下では、トランジスタ領域9の構造を説明する。
【0021】
図2および
図3に示されるように、半導体装置1Aは、領域分離構造(region separation structure)の一例であるp型の分離領域11(separation region)を含む。分離領域11は、第1主面3においてトランジスタ領域9を区画する領域である。分離領域11は、平面視にて第1主面3の一部を取り囲む環形状を呈し、トランジスタ領域9を区画している。分離領域11は、トランジスタ領域9を他の領域(デバイス領域8)から電気的に分離している。
【0022】
第1実施形態では、分離領域11は、平面視にて略長方形環状を呈する。平面視にて、トランジスタ領域9は、分離領域11の内部に位置している。
図3に示されるように、分離領域11は、第3方向Zにおいて、第1半導体領域6を介して第1主面3から第2半導体領域7まで延在している。換言すると、分離領域11は、第1半導体領域6と第2半導体領域7との両方に設けられる。このため、分離領域11は、第2半導体領域7に電気的に接続されている。分離領域11は、第2半導体領域7の電位(例えば、バックゲート電位)に固定される。
【0023】
分離領域11は、第1分離領域12、第2分離領域13および第3分離領域14を含む。第1分離領域12は、第1半導体領域6および第2半導体領域7の両方に設けられる。このため、第1分離領域12の一部は、第1半導体領域6と第2半導体領域7との境界部に設けられる。第1分離領域12は、第1主面3および第2主面4の両方に対して離間しており、第2半導体領域7に電気的に接続されている。第1分離領域12のp型不純物濃度は、第2半導体領域7のp型不純物濃度よりも高い。第2分離領域13は、第1半導体領域6内であって、第1主面3と第1分離領域12との間の領域に設けられる領域であり、第1分離領域12に電気的に接続されている。第2分離領域13のp型不純物濃度は、例えば、第1分離領域12のp型不純物濃度よりも低い。第3分離領域14は、第1主面3の一部を構成する領域であり、平面視にて第2分離領域13に囲われている。第3分離領域14は、第2分離領域13に接触している。このため、第3分離領域14は、第2分離領域13を介して第1分離領域12に電気的に接続される。第3分離領域14のp型不純物濃度は、例えば第2分離領域13のp型不純物濃度よりも高い。
【0024】
トランジスタ領域9は、第1半導体領域6内に位置するn型の不純物領域15と、n型のウェル領域16と、n型のドレイン領域17とを含む。
【0025】
第1実施形態では、不純物領域15は、第1半導体領域6のうち分離領域11によって区画された部分の一部である。不純物領域15のn型不純物濃度は、例えば、第1半導体領域6のn型不純物濃度と等しい。
【0026】
ウェル領域16とドレイン領域17とのそれぞれは、第1半導体領域6の上方に設けられる。ウェル領域16は、平面視にてドレイン領域17を囲うと共に、ドレイン領域17の少なくとも底部に接触している。このため、ウェル領域16の電位とドレイン領域17の電位とは、互いに等しい電位(ドレイン電位)に固定される。平面視にて、ドレイン領域17は、ウェル領域16の周縁から離間している。換言すると、平面視にて、ドレイン領域17は、ウェル領域16の周縁よりも内側に位置する。ドレイン領域17は、第1主面3の一部を構成する。ウェル領域16のn型不純物濃度は、不純物領域15のn型不純物濃度よりも高い。また、ドレイン領域17のn型不純物濃度は、ウェル領域16のn型不純物濃度よりも高い。
【0027】
第1実施形態では、ウェル領域16は、平面視にて不純物領域15に沿って延びる長円形状を呈するが、これに限られない。ウェル領域16は、平面視にて円形状、楕円形状または多角形状(たとえば四角形状)を呈してもよい。第1実施形態では、ドレイン領域17は、平面視にてウェル領域16と同様に、長円形状を呈するが、これに限られない。ドレイン領域17は、平面視にて円形状、楕円形状または多角形状(たとえば四角形状)を呈してもよい。
【0028】
半導体装置1Aは、チップ2の内部に位置するn型の埋設領域18を含む。埋設領域18は、第1半導体領域6および第2半導体領域7の両方に設けられる。このため、埋設領域18の一部は、第1半導体領域6と第2半導体領域7との境界部に設けられる。埋設領域18のn型不純物濃度は、不純物領域15のn型不純物濃度よりも高い。埋設領域18のn型不純物濃度は、ウェル領域16のn型不純物濃度よりも高くてもよい。埋設領域18は、ウェル領域16から離間した位置に設けられる。このため、第3方向Zにおいて埋設領域18とウェル領域16との間には、不純物領域15の一部が位置する。平面視にて、埋設領域18は、例えばウェル領域16の周縁よりも内側に設けられる。このとき平面視にて、埋設領域18は、ウェル領域16の周縁に対して重ならなくてもよい。平面視における埋設領域18の面積は、ウェル領域16の面積より小さくてもよい。
【0029】
半導体装置1Aは、平面視にて分離領域11とウェル領域16との間に位置するp型のボディ領域19を含む。ボディ領域19は、分離領域11と同様に、第3方向Zにおいて、第1半導体領域6を介して第1主面3から第2半導体領域7まで延在している。換言すると、ボディ領域19は、第1半導体領域6と第2半導体領域7との両方に設けられる。このため、ボディ領域19は、第2半導体領域7に電気的に接続されており、第2半導体領域7の電位(例えば、バックゲート電位)に固定される。第1実施形態では、ボディ領域19は、第1ボディ領域20および第2ボディ領域21を含む。
【0030】
第1ボディ領域20は、第1半導体領域6(不純物領域15)および第2半導体領域7の両方に設けられる。このため、第1ボディ領域20の一部は、第1半導体領域6と第2半導体領域7との境界部に設けられる。第1ボディ領域20は、第1主面3および第2主面4の両方に対して離間しており、第2半導体領域7に電気的に接続されている。第1ボディ領域20のp型不純物濃度は、第2半導体領域7のp型不純物濃度よりも高い。第2ボディ領域21は、第1半導体領域6内であって、第1主面3と第1ボディ領域20との間の領域に設けられる領域であり、第1ボディ領域20に電気的に接続されている。第2ボディ領域21のp型不純物濃度は、例えば、第1ボディ領域20のp型不純物濃度よりも低い。
【0031】
第1実施形態では、ボディ領域19は、平面視にて、分離領域11の内側に位置すると共に、ウェル領域16およびドレイン領域17を取り囲む長円環形状を呈する。平面視にて、ボディ領域19は、第1領域19A、第2領域19B、第3領域19Cおよび第4領域19Dに区画される。第1領域19A、第2領域19B、第3領域19Cおよび第4領域19Dのそれぞれは、第1ボディ領域20および第2ボディ領域21によって形成されている。
【0032】
第1領域19Aと第2領域19Bとのそれぞれは、平面視にて第2方向Yに沿って延在する帯状部分であり、互いに平行に延在している。平面視にて、ドレイン領域17が第1方向Xにおいて第1領域19Aと第2領域19Bとの間に位置するように、第1領域19Aおよび第2領域19Bが設けられる。第2方向Yにおいて、第1領域19Aの長さと、第2領域19Bの長さとのそれぞれは、ドレイン領域17の長さ以下でもよい。
【0033】
第3領域19Cは、第2方向Yにおける第1領域19Aの一端部と、第2方向Yにおける第2領域19Bの一端部とを接続する帯状部分である。第1実施形態では、第3領域19Cは、平面視にて第1領域19Aの一端部および第2領域19Bの一端部の間を円弧帯状に延びているが、これに限られない。第3領域19Cは、第1方向Xに沿って延在してもよい。
【0034】
第4領域19Dは、第2方向Yにおける第1領域19Aの他端部と、第2方向Yにおける第2領域19Bの他端部とを接続する帯状部分である。第1実施形態では、第4領域19Dは、平面視にて第1領域19Aの他端部および第2領域19Bの他端部の間を円弧帯状に延びているが、これに限られない。第4領域19Dは、第1方向Xに沿って延在してもよい。
【0035】
半導体装置1Aは、ボディ領域19に設けられるソース領域22を含む。第1実施形態では、半導体装置1Aは、複数のソース領域22を含むが、これに限られない。複数のソース領域22のそれぞれは、n型領域であり、ソース電位に固定される。具体的には、複数のソース領域22のそれぞれは、チップ2の外部からソース電位が印加される。このため、ソース電位は、バックゲート電位から独立して複数のソース領域22のそれぞれに印加される。ソース電位は、基準電位、グランド電位、または、これら以外の電位であってもよい。ソース領域22のn型不純物濃度は、ウェル領域16のn型不純物濃度よりも高い。ソース領域22のn型不純物濃度は、ドレイン領域17のn型不純物濃度と等しくてもよい。
【0036】
複数のソース領域22のそれぞれは、平面視にて、帯形状を呈すると共に、ボディ領域19内であって、ボディ領域19の周縁よりも内側に位置する。また、複数のソース領域22のそれぞれは、第1主面3の一部、すなわち、ボディ領域19の表層部の一部を構成する。複数のソース領域22の一部は、第1領域19A内に位置している。第2方向Yにおける当該一部の各端部は、第2方向Yにおける第1領域19Aの各端部よりも内側に位置するが、これに限られない。複数のソース領域22の他部は第2領域19B内に位置している。第2方向Yにおける当該他部の各端部は、第2方向Yにおける第2領域19Bの各端部よりも内側に位置するが、これに限られない。第1実施形態では、複数のソース領域22のいずれも第3領域19Cおよび第4領域19Dには位置していないが、これに限られない。第2方向Yにおいて、各ソース領域22の長さは、例えばドレイン領域17の長さ以下である。
【0037】
ボディ領域19に1つのソース領域22が位置する場合、当該ソース領域22は、ボディ領域19の第1領域19A、第2領域19B、第3領域19Cおよび第4領域19Dのうちの少なくとも1つの領域に位置する。上記1つのソース領域22が、第1領域19A、第2領域19B、第3領域19Cおよび第4領域19Dの全てに位置する場合、当該ソース領域22は、例えば、不純物領域15を取り囲む長円環形状を呈してもよい。
【0038】
半導体装置1Aは、ドレイン領域17とソース領域22との間であって、不純物領域15の表層部に位置するn型のドリフト領域23を含む。ドリフト領域23は、ドレイン領域17とボディ領域19との間の領域に位置し、ドレイン領域17とソース領域22とを結ぶ電流経路を形成する。ドリフト領域23は、例えば、平面視にてドレイン領域17を取り囲む長円環形状を呈する。第1実施形態では、ドリフト領域23は、第1領域19Aおよび第2領域19Bに並列するように第2方向Yに延在する第1部分(直線部分)と、第3領域19Cおよび第4領域19Dに並列するように円弧状に延在する第2部分(円弧部分)を有する。ドリフト領域23は、第1領域19Aおよび第2領域19Bに沿う部分において電流経路を形成する一方で、第3領域19Cおよび第4領域19Dに沿う部分において電流経路を形成しない。
【0039】
ドリフト領域23の幅は、例えば50μm以上200μm以下である。ドリフト領域23の幅は、ドレイン領域17とボディ領域19との間の距離に相当し、例えば長円環形状に沿って略一定である。ドリフト領域23の円弧部分の幅は、直線部分から円弧中央部に向かうほど大きくてもよい。一方、ドリフト領域23の直線部分の幅は、略一定でもよい。
【0040】
半導体装置1Aは、ドレイン領域17とソース領域22との間であって、不純物領域15の表層部に位置するp型のチャネル領域24を含む。チャネル領域24は、ドリフト領域23とソース領域22との間に位置する。このため、ドリフト領域23は、チャネル領域24よりもドレイン領域17の近くに位置し、チャネル領域24は、ドリフト領域23よりもソース領域22の近くに位置する。チャネル領域24では、ドレイン領域17およびソース領域22の間の電流経路の導通および非導通が制御される。
【0041】
半導体装置1Aは、第1主面3の表層部に位置するバックゲート領域25を含む。第1実施形態では、半導体装置1Aは、複数のバックゲート領域25を含むが、これに限られない。複数のバックゲート領域25のそれぞれは、p型領域であり、バックゲート電位に固定される。つまり、バックゲート電位は、ソース電位から独立して複数のバックゲート領域25に付与される。第1実施形態では、複数のバックゲート領域25のそれぞれは、具体的には、ボディ領域19の表層部においてソース領域22とは異なる領域に位置する。バックゲート領域25のp型不純物濃度は、ボディ領域19のp型不純物濃度よりも高い。
【0042】
第1実施形態では、複数のバックゲート領域25のそれぞれは、平面視にて、帯形状を呈すると共に、ボディ領域19内であって、ボディ領域19の周縁よりも内側に位置する。また、複数のバックゲート領域25のそれぞれは、第1主面3の一部、すなわち、ボディ領域19の表層部の一部を構成する。複数のバックゲート領域25のそれぞれは、平面視にて、対応するソース領域22とボディ領域19の周縁との間に位置する。複数のバックゲート領域25のそれぞれは、ボディ領域19の周縁から離間しているが、これに限られない。複数のバックゲート領域25の一部は、第1領域19A内に位置している。第2方向Yにおける当該一部の各端部は、第2方向Yにおける第1領域19Aの各端部よりも内側に位置するが、これに限られない。複数のバックゲート領域25の他部は第2領域19B内に位置している。第2方向Yにおける当該他部の各端部は、第2方向Yにおける第2領域19Bの各端部よりも内側に位置するが、これに限られない。第1実施形態では、バックゲート領域25のいずれも第3領域19Cおよび第4領域19Dには位置していないが、これに限られない。第2方向Yにおいて、各バックゲート領域25の長さは、例えばドレイン領域17の長さ以下である。
【0043】
複数のバックゲート領域25のそれぞれは、平面視にて、対応するソース領域22とボディ領域19の周縁との間に位置する。また、複数のバックゲート領域25のそれぞれは、平面視にて、対応するソース領域22に隣接する。このため、ボディ領域19の表層部には、ソース電位に固定されるソース領域22と、バックゲート電位に固定されるバックゲート領域25とが併存している。
【0044】
ボディ領域19に1つのバックゲート領域25が位置する場合、当該バックゲート領域25は、ボディ領域19の第1領域19A、第2領域19B、第3領域19Cおよび第4領域19Dのうちの少なくとも1つの領域に位置する。上記1つのバックゲート領域25が、第1領域19A、第2領域19B、第3領域19Cおよび第4領域19Dの全てに位置する場合、当該バックゲート領域25は、例えば、不純物領域15を取り囲む長円環形状を呈してもよい。
【0045】
半導体装置1Aは、トランジスタ領域9において第1主面3を選択的に被覆する絶縁膜30を含む。絶縁膜30は、酸化シリコンを含む。絶縁膜30は、第1主面3の選択酸化によって形成されたLOCOS膜(Local oxidation of silicon film)、第1主面3に設けられる浅い溝を埋める埋め込み酸化膜(STI:Shallow Trench Isolation)などである。半導体装置1Aの反り防止などの観点から、絶縁膜30は、例えば、100nm以上300nm以下の厚さを有する。絶縁膜30は、分離領域11、ドレイン領域17、ソース領域22およびバックゲート領域25を露出させるように第1主面3を選択的に被覆している。絶縁膜30は、平面視にて、ドリフト領域23を被覆する一方で、チャネル領域24の少なくとも一部と、分離領域11の少なくとも一部と、ソース領域22の少なくとも一部と、バックゲート領域25の少なくとも一部とのそれぞれを被覆しない。このため、チャネル領域24の少なくとも一部と、分離領域11の少なくとも一部と、ソース領域22の少なくとも一部と、バックゲート領域25の少なくとも一部とのそれぞれは、絶縁膜30から露出している。また、絶縁膜30は、トランジスタ領域9外の領域を被覆している。
【0046】
絶縁膜30は、第1主面3においてドレイン領域17とソース領域22との間の領域を被覆する部分を有している。当該部分は、例えば、不純物領域15におけるドリフト領域23上に位置し、平面視にてドレイン領域17を取り囲む長円環形状を呈する。加えて、絶縁膜30は、第1主面3において分離領域11とソース領域22との間の領域を被覆する部分を有している。当該部分は、分離領域11とボディ領域19との間の領域に位置すると共にボディ領域19を取り囲む環形状を呈する。
【0047】
半導体装置1Aは、第1半導体領域6に接すると共にチャネル領域24上に位置するゲート絶縁膜36を含む。ゲート絶縁膜36の一部は、絶縁膜30に重なっている。ゲート絶縁膜36の厚さは、絶縁膜30の厚さ未満であり、例えば、10nm以上200nm以下である。ゲート絶縁膜36は、単層構造もしくは積層構造を有し、例えば酸化シリコン膜を含む。第1実施形態では、ゲート絶縁膜36は、平面視にて絶縁膜30を取り囲む長円環形状を呈する。ゲート絶縁膜36は、ドリフト領域23の一部と、ボディ領域19の一部とを被覆する。第1実施形態では、ゲート絶縁膜36は、第2ボディ領域21の一部と、ソース領域22の一部とを被覆する。
【0048】
半導体装置1Aは、ゲート絶縁膜36上に位置するゲート電極37を含む。ゲート電極37は、例えば、金属膜、合金膜、導電性ポリシリコンなどを含む。ゲート電極37が導電性ポリシリコンを含む場合、当該導電性ポリシリコンは、n型領域およびp型領域の少なくとも一方を含む。ゲート電極37は、第3方向Zにおいてチャネル領域24だけでなく、ドリフト領域23にも重なっている。ゲート電極37は、平面視にてチャネル領域24に沿って延びる長円環形状を呈するが、これに限られない。ゲート電極37は、ゲート絶縁膜36上から絶縁膜30上に引き出された引き出し部38を有している。引き出し部38は、平面視にて、後述するフィールド電極31を取り囲む長円環形状を呈する。また、ゲート電極37の全体は、平面視にて、後述するフィールド電極31よりも外側に位置する。
【0049】
ゲート電極37は、内縁部37aおよび外縁部37bを含む。内縁部37aは、引き出し部38によって形成されている。外縁部37bは、平面視にてボディ領域19に重なる領域に位置する。第1実施形態では、ゲート電極37の幅は、周方向に沿って不均一であるが、これに限られない。ゲート電極37は、具体的には、外縁部37b(引き出し部38)においてドレイン領域17に向かって張り出したゲート張り出し部37cを有している。ゲート張り出し部37cは、後述するフィールド電極31の形状に応じて設けられる部分である。ゲート張り出し部37cが設けられることによって、平面視にて、ゲート電極37とフィールド電極31との距離が略一定に保持される。
【0050】
半導体装置1Aは、第1主面3の上で複数のデバイス領域8を被覆する絶縁層40を含む。絶縁層40は、互いに積層される複数の層間絶縁膜41を含む積層構造を有している。複数の層間絶縁膜41の積層数は任意であり、特定の数値に限定されない。絶縁層40は、3層以上の層間絶縁膜41を含んでいてもよい。
図3では、複数の層間絶縁膜41のうちの第1層間絶縁膜41A、第2層間絶縁膜41Bおよび第3層間絶縁膜41Cが示されている。
【0051】
第1層間絶縁膜41A、第2層間絶縁膜41Bおよび第3層間絶縁膜41Cは、第3方向Zにおいて順に積層される。第1層間絶縁膜41Aは、第1主面3、絶縁膜30、ゲート絶縁膜36およびゲート電極37を被覆する。第1層間絶縁膜41Aの厚さは、後述するフィールド電極31に求められる機能と、絶縁膜30の厚さとに応じて決定される。第1実施形態では、第1層間絶縁膜41Aの厚さは、200nm以上800nm以下である。第2層間絶縁膜41Bは第1層間絶縁膜41Aを被覆し、第3層間絶縁膜41Cは第2層間絶縁膜41Bを被覆する。第1層間絶縁膜41A、第2層間絶縁膜41Bおよび第3層間絶縁膜41Cのそれぞれは、酸化シリコン膜および窒化シリコン膜のうちの少なくとも1つを含む。このため、第1層間絶縁膜41A、第2層間絶縁膜41Bおよび第3層間絶縁膜41Cのそれぞれは、単層構造を有してもよいし、積層構造を有してもよい。
【0052】
図3に示されるように、半導体装置1Aは、トランジスタ領域9において第1層間絶縁膜41A上に位置するフィールド電極31(フィールドプレート)を含む。フィールド電極31は、第1半導体領域6等における電界の乱れの抑制機能、局所的な電界集中の抑制機能、高電圧のドレイン・ゲート間電圧Vdgのモニタ機能などを有しており、ドレイン領域17およびバックゲート領域25に接続される高抵抗膜である。フィールド電極31は、第3方向Zにおいてドリフト領域23と、絶縁膜30においてドリフト領域23上に位置する部分とに重なる。第1実施形態では、フィールド電極31は、第3方向Zにおいてチャネル領域24に重ならない。フィールド電極31は、例えばポリシリコンを含む。フィールド電極31は、ソース領域22に対して電気的に接続されていない。フィールド電極31は、ドレイン領域17からバックゲート領域25に向かう電位勾配を形成する。このようなフィールド電極31が設けられることによって、ドリフト領域23における電界分布の偏りが抑制される。フィールド電極31の厚さは、例えば50nm以上100nm以下である。
【0053】
フィールド電極31は、第1層間絶縁膜41A上において、ライン状に引き回されている。平面視にてドレイン領域17およびバックゲート領域25を結ぶ1つの直線を設定したとき、フィールド電極31は、当該直線を複数回横切るように延びている。フィールド電極31は、例えば、平面視にてドレイン領域17を同心円状に複数回取り囲んでいる。第1実施形態では、フィールド電極31は、平面視にてドレイン領域17を取り囲む螺旋形状を呈する。
【0054】
フィールド電極31は、ドレイン領域17の近傍に位置する第1端部32、ボディ領域19の近傍に位置する第2端部33、ならびに、第1端部32および第2端部33の間を延びる螺旋部34を有している。第1端部32および第2端部33の配置は任意である。
【0055】
第1端部32は、ドレイン領域17に電気的に接続される接続部であり、フィールド電極31において最も内側に位置する部分(最内周部)である。第1端部32に印加される電位は、ドレイン電位もしくはその近傍の電位である。第1端部32は、第3方向Zにおいてウェル領域16に重なるが、これに限られない。第2端部33は、バックゲート領域25に電気的に接続される接続部であり、フィールド電極31において最も外側に位置する部分(最外周部)である。第2端部33に印加される電位は、バックゲート電位もしくはその近傍の電位である。第2端部33は、第3方向Zにおいてドリフト領域23に重なるが、これに限られない。螺旋部34は、第1端部32と第2端部33とを接続する部分(接続部分)であり、平面視にてドレイン領域17を取り囲むように第1端部32から第2端部33に向けて長円螺旋状に巻回されている。螺旋部34は、第3方向Zにおいてドリフト領域23に重なる。螺旋部34の一部は、ウェル領域16に重なり得る。
【0056】
フィールド電極31は、第1端部32から第2端部33に向かう螺旋方向に電位勾配を形成する。また、フィールド電極31は、螺旋方向に直交する方向に関してドレイン領域17からバックゲート領域25に向かって螺旋部34の巻回ピッチに応じて漸減する電位勾配を形成する。フィールド電極31は、ドリフト領域23内の電界を間引き、ドリフト領域23における電界分布の偏りを抑制する。
【0057】
フィールド電極31は、1μm以上5μm以下のライン幅を有していてもよい。ライン幅は、フィールド電極31の延在方向(つまり、螺旋方向)に直交する方向の幅によって定義される。フィールド電極31は、10MΩ以上100MΩ以下の抵抗値を有していてもよい。フィールド電極31は、直線部および円弧部において略一定のライン幅で形成されていてもよい。また、円弧中央部に向けてドリフト領域23の幅が漸増している場合、フィールド電極31のライン幅は、直線部から円弧中央部に向けて漸増していてもよい。
【0058】
フィールド電極31のピッチは、1μm以上10μm以下であってもよい。フィールド電極31のピッチは、互いに隣り合うライン部の間の距離(つまり、螺旋部34の巻回ピッチ)によって定義される。フィールド電極31の巻回数は、5以上100以下でもよく、25以上75以下でもよい。
【0059】
半導体装置1Aは、第1層間絶縁膜41A上に位置すると共にフィールド電極31に接続されるインナーフィールド電極35を含む。インナーフィールド電極35は、平面視にてフィールド電極31よりもドレイン領域17の近くに位置する。第1実施形態では、インナーフィールド電極35は、平面視にてフィールド電極31によって取り囲まれた領域に位置する。インナーフィールド電極35の電位は、ドレイン電位に固定される。インナーフィールド電極35は、フィールド電極31の一部でもよい。この場合、インナーフィールド電極35は、フィールド電極31の最内周部として機能する。インナーフィールド電極35は、例えば、フィールド電極31と同一の材料(つまり、導電性ポリシリコン)を含む。
【0060】
インナーフィールド電極35は、平面視にてドレイン領域17から離間する位置に配置されている。第1実施形態では、インナーフィールド電極35は、ドレイン領域17を取り囲む長円環形状を呈する。インナーフィールド電極35は、第3方向Zにおいてウェル領域16に重なる。インナーフィールド電極35は、内縁部35aおよび外縁部35bを含む。内縁部35aは、例えば、平面視にてドレイン領域17に対して略一定の間隔を空けた位置に設けられる。外縁部35bは、例えば、フィールド電極31の螺旋部34から略一定の間隔を空けた位置に設けられる。インナーフィールド電極35と螺旋部34との間の距離は、例えば、フィールド電極31のピッチと等しい。
【0061】
第1実施形態では、インナーフィールド電極35の幅は、周方向に沿って不均一である。インナーフィールド電極35は、外縁部35bにおいて張り出し部35cを有している。張り出し部35cは、フィールド電極31の第1端部32に接触するように、フィールド電極31に向けて張り出している。フィールド電極31の第1端部32に起因する電界の偏りを抑制する観点から、張り出し部35cは、インナーフィールド電極35とフィールド電極31との間の距離を略一定に保持する。張り出し部35cは、第1端部32に接続されるがこれに限られない。換言すると、インナーフィールド電極35は、第1端部32と同電位に固定される限り、第1端部32に接続されなくてもよい。したがって、張り出し部35cは、上記螺旋方向において、第1端部32の先端に対向してもよい。なお、インナーフィールド電極35の有無は、任意である。このため、インナーフィールド電極35は、必要に応じて設けられなくてもよい。
【0062】
インナーフィールド電極35の幅は、例えば1μm以上15μm以下である。インナーフィールド電極35は、フィールド電極31よりも幅広に形成されてもよい。この場合、インナーフィールド電極35の幅は、例えば、フィールド電極31の幅の1.5倍以上5倍以下である。なお、インナーフィールド電極35の幅は、フィールド電極31のライン幅以下でもよい。
【0063】
半導体装置1Aは、ドレイン領域17およびフィールド電極31の第1端部32に電気的に接続されるドレイン配線42を含む。ドレイン配線42は、絶縁層40内に選択的に引き回される。ドレイン配線42は、ドレイン領域17およびフィールド電極31の第1端部32にドレイン電位を付与する。ドレイン配線42は、例えば絶縁層40内において多層配線を形成している。
【0064】
第1実施形態では、ドレイン配線42は、第1ドレイン配線43、第2ドレイン配線44、第1ドレインビア電極45A,45Bおよび第2ドレインビア電極46を含む。第1ドレイン配線43は、第3方向Zにおいてドレイン領域17、フィールド電極31の第1端部32およびインナーフィールド電極35に重なると共に、第2層間絶縁膜41B上に位置する。第1ドレイン配線43は、第3方向Zにおいて、ドレイン領域17の全域、第1端部32の全域およびインナーフィールド電極35の全域に重なってもよい。第1ドレイン配線43は、第3方向Zにおいてドレイン領域17に重なる第1部分43A、および、第3方向Zにおいてフィールド電極31の第1端部32に重なる第2部分43Bを含む。第1部分43Aおよび第2部分43Bは、互いに同電位に固定される限り、互いに離間してもよい。
【0065】
第2ドレイン配線44は、第3方向Zにおいて第1ドレイン配線43に重なっており、第3層間絶縁膜41C上に位置する。第3方向Zにおいて、第2ドレイン配線44は、インナーフィールド電極35に重なってもよいし、フィールド電極31の第1端部32に重なってもよいし、第2ドレイン配線44は、フィールド電極31の螺旋部34に重なってもよい。第2ドレイン配線44の厚さは、第1ドレイン配線43の厚さより大きくてもよい。
【0066】
第1ドレインビア電極45Aは、第3方向Zにおいてドレイン領域17と第1ドレイン配線43との間に位置すると共に、ドレイン領域17と第1ドレイン配線43とを接続する。第1ドレインビア電極45Aは、第2層間絶縁膜41Bに設けられる開口に埋め込まれる。また、第1ドレインビア電極45Bは、第3方向Zにおいてフィールド電極31の第1端部32と第1ドレイン配線43との間に位置すると共に、第1端部32と第1ドレイン配線43とを接続する。第1ドレインビア電極45Bは、第1層間絶縁膜41Aおよび第2層間絶縁膜41Bに設けられる開口に埋め込まれる。第1ドレインビア電極45Aは、第3方向Zにおいてインナーフィールド電極35と第1ドレイン配線43との間に位置し、インナーフィールド電極35を第1ドレイン配線43に電気的に接続させてもよい。第2ドレインビア電極46は、第3方向Zにおいて第1ドレイン配線43と第2ドレイン配線44との間に位置すると共に、第1ドレイン配線43と第2ドレイン配線44とを接続する。
【0067】
半導体装置1Aは、ソース領域22に電気的に接続されるソース配線47を含む。ソース配線47は、絶縁層40内に選択的に引き回される。ソース配線47は、ドレイン配線42およびバックゲート領域25に対して電気的に絶縁している。ソース配線47は、ソース領域22にソース電位を付与する。ソース配線47は、絶縁層40内において多層配線を形成している。
【0068】
ソース配線47は、第1ソース配線48、第2ソース配線49、第1ソースビア電極50および第2ソースビア電極51を含む。第1ソース配線48は、第3方向Zにおいてソース領域22に重なると共に第2層間絶縁膜41B上に位置する。第1ソース配線48は、第3方向Zにおいてソース領域22の全域に重なってもよい。第1ソース配線48は、第3方向Zにおいてバックゲート領域25に重ならなくてもよい。
【0069】
第2ソース配線49は、第3方向Zにおいて第1ソース配線48に対向するように第2層間絶縁膜41Bの上に配置されている。第2ソース配線49は、第3方向Zにおいてソース領域22の全域に重なってもよい。第2ソース配線49は、第3方向Zにおいてゲート電極37およびインナーフィールド電極35の第2端部33に重なってもよい。第2ソース配線49は、第3方向Zにおいてインナーフィールド電極35の螺旋部34の一部に重なってもよい。第2ソース配線49の厚さは、第1ソース配線48の厚さ以上でもよい。
【0070】
第1ソースビア電極50は、第3方向Zにおいてソース領域22と第1ソース配線48との間に位置し、ソース領域22と第1ソース配線48に接続される。第2ソースビア電極51は、第3方向Zにおいて第1ソース配線48と第2ソース配線49との間に位置し、第1ソース配線48と第2ソース配線49に接続される。
【0071】
半導体装置1Aは、バックゲート領域25およびフィールド電極31の第2端部33に電気的に接続されるバックゲート配線52を含む。バックゲート配線52は、絶縁層40内に選択的に引き回される。バックゲート配線52は、ソース配線47に対して電気的に絶縁している。第1実施形態では、バックゲート配線52は、分離領域11にも電気的に接続されている。バックゲート配線52は、絶縁層40内において多層配線を形成している。
【0072】
バックゲート配線52は、第1バックゲート配線53、第2バックゲート配線54、第1バックゲートビア電極55A~55Cおよび第2バックゲートビア電極56を含む。第1バックゲート配線53は、第3方向Zにおいてバックゲート領域25に重なる第1部分53A、第3方向Zにおいて第2端部33に重なる第2部分53B、および、第3方向Zにおいて分離領域11に重なる第3部分53Cを一体的に含む。第1部分53A、第2部分53Bおよび第3部分53Cは、同電位に固定される限り、互いに離間してもよい。
【0073】
第1バックゲート配線53は、ソース領域22に対して離間すると共に、第2層間絶縁膜41B上に位置する。第1バックゲート配線53は、第3方向Zにおいてバックゲート領域25、フィールド電極31の第2端部33および分離領域11に重なる。第1バックゲート配線53は、第3方向Zにおいてバックゲート領域25の全域に重なってもよい。第1バックゲート配線53は、フィールド電極31の螺旋部34の一部に重なってもよい。第1バックゲート配線53は、平面視にてトランジスタ領域9外の領域に引き出されてもよい。
【0074】
第1実施形態では、第2バックゲート配線54は、第2層間絶縁膜41B上に位置している。第2バックゲート配線54は、トランジスタ領域9外の領域にて第1バックゲート配線53に重なる。第2バックゲート配線54は、トランジスタ領域9内にて第1バックゲート配線53に重なってもよい。第2バックゲート配線54の厚さは、第1バックゲート配線53の厚さ以上でもよい。
【0075】
第1バックゲートビア電極55Aは、第3方向Zにおいてバックゲート領域25と第1バックゲート配線53との間に位置し、バックゲート領域25と第1バックゲート配線53とに接続される。第1バックゲートビア電極55Bは、第3方向Zにおいてフィールド電極31の第2端部33と第1バックゲート配線53との間に位置し、第2端部33および第1バックゲート配線53に接続される。第1バックゲートビア電極55Cは、第3方向Zにおいて分離領域11と第1バックゲート配線53との間に位置し、分離領域11および第1バックゲート配線53に接続される。第1バックゲートビア電極55A,55Cのそれぞれは、第1層間絶縁膜41Aおよび第2層間絶縁膜41Bに設けられる開口に埋め込まれる。第1バックゲートビア電極55Bは、第2層間絶縁膜41Bに設けられる開口に埋め込まれる。
【0076】
第2バックゲートビア電極56は、第3方向Zにおいて第1バックゲート配線53と第2バックゲート配線54との間に位置し、第1バックゲート配線53および第2バックゲート配線54に接続される。第2バックゲートビア電極56は、第3層間絶縁膜41Cに設けられる開口に埋め込まれる。
【0077】
半導体装置1Aは、ゲート電極37に電気的に接続されるように絶縁層40内に選択的に引き回されたゲート配線57を含む。ゲート配線57は、ゲート電極37にゲート電位を付与する。ゲート配線57は、ドレイン配線42、ソース配線47およびバックゲート配線52から離間している。ゲート配線57は、絶縁層40内において多層配線を形成している。
【0078】
ゲート配線57は、第1ゲート配線58、第2ゲート配線(図示せず)、第1ゲートビア電極59および第2ゲートビア電極(図示せず)を含む。第1ゲート配線58は、第3方向Zにおいてゲート電極37に重なると共に、第2層間絶縁膜41B上に位置する。第1ゲート配線58は、平面視にてトランジスタ領域9外の領域に引き出されている。第1実施形態では、第2ゲート配線(図示せず)は、第2層間絶縁膜41B上に位置すると共に、第3方向Zにおいてトランジスタ領域9外の領域で第1ゲート配線58に重なる。第2ゲート配線の厚さは、第1ゲート配線58の厚さ以上でもよい。
【0079】
第1ゲートビア電極59は、第3方向Zにおいてゲート電極37と第1ゲート配線58との間に位置し、ゲート電極37および第1ゲート配線58に接続される。第2ゲートビア電極(図示せず)は、第3方向Zにおいて第1ゲート配線58と第2ゲート配線との間に位置し、第1ゲート配線58および第2ゲート配線に接続される。
【0080】
図4は、トランジスタ領域9内の電気構造(具体的には、FET構造10およびフィールド電極31)を示す回路図である。
図4に示されるように、半導体装置1Aは、トランジスタ領域9においてFET構造10および抵抗Rを含む。
図4では、ドレイン領域17に相当するドレインD、ソース領域22に相当するソースS、バックゲート領域25に相当するバックゲートBG、およびゲート絶縁膜36およびゲート電極37に相当するゲートGが示される。
【0081】
抵抗Rは、フィールド電極31に相当し、ドレインDおよびバックゲートBGに電気的に接続されている。一方、抵抗Rは、ゲートGおよびソースSに接続されていない。第1実施形態では、トランジスタ領域9内には、FET構造10および抵抗Rのみが形成されている。つまり、トランジスタ領域9内には、ドレインDおよびソースSの間に接続される他の機能デバイスは形成されていない。また、トランジスタ領域9内には、ドレインDおよびゲートGの間に接続される他の機能デバイスは形成されていない。また、トランジスタ領域9内には、ソースSおよびゲートGの間に接続される他の機能デバイスは形成されていない。
【0082】
FET構造10では、例えば、トランジスタ領域9外の領域(半導体装置1A外の領域を含む)から、ドレイン電位、ソース電位、バックゲート電位およびゲート電位が、ドレインD、ソースS、バックゲートBGおよびゲートGにそれぞれ印加される。つまり、FET構造10では、ソースSにソース電位が個別的に付与され、バックゲートBGにバックゲート電位が個別的に付与されるように構成されている。
【0083】
ドレイン電位は、電源電位であってもよい。ソース電位は、ドレイン電位以下である。ソース電位は、基準電位、グランド電位、または、これら以外の電位であってもよい。バックゲート電位は、ドレイン電位以下である。バックゲート電位は、基準電位、グランド電位、または、これら以外の電位であってもよい。バックゲート電位がソース電位と同電位になることは妨げられない。つまり、チップ2の内部においてバックゲート領域25がソース領域22から電気的に分離されている一方で、外部からの電位制御によってバックゲート領域25がソース領域22と同電位に固定されてもよい。
【0084】
次に、
図5A~
図5Hを参照しながら、第1実施形態に係る半導体装置1Aの要部の製造方法について説明する。
図5A~
図5Hのそれぞれは、第1実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。なお、当該要部は、第1半導体領域6上に位置するフィールド電極31である。
【0085】
まず、
図5Aに示されるように、第1半導体領域6上に設けられる絶縁膜30上およびゲート絶縁膜36上に、引き出し部38を含むゲート電極37を形成する。ゲート電極37は、例えば、第1半導体領域6上に形成されるポリシリコンをパターニングすることによって設けられる。当該ポリシリコンは、シリサイド化した後にパターニングされてもよい。
【0086】
なお、
図5Aに示されるゲート電極37の形成前には、半導体基板に含まれる第2半導体領域7上(すなわち、半導体基板上)に、分離領域11、ドレイン領域17、ソース領域22、ドリフト領域23およびチャネル領域24を有する第1半導体領域6(半導体層)を、公知の手法にて形成する。このとき、第1半導体領域6および第2半導体領域7には、第1分離領域12、埋設領域18、第1ボディ領域20も形成される。続いて、第1半導体領域6に接する絶縁膜30、ゲート絶縁膜36を順に形成する。絶縁膜30は、例えば第1半導体領域6の一部に溝を形成した後、当該溝に絶縁物を埋め込むことによって形成される。絶縁膜30の一部は、第1半導体領域6におけるドリフト領域23上に形成される(
図3を参照)。また、ゲート絶縁膜36は、例えば第1半導体領域6上および絶縁膜30上に形成される絶縁膜をパターニングすることによって形成される。ゲート絶縁膜36は、第1半導体領域6におけるチャネル領域24上に形成される(
図3を参照)。
【0087】
次に、
図5Bに示されるように、ゲート電極37を覆う絶縁層60を形成する。絶縁層60は、ゲート電極37だけでなく、第1半導体領域6、絶縁膜30、ゲート絶縁膜36なども覆う。例えば、真空蒸着法、スパッタリング法などの物理気相成長法(PVD法:Physical Vapor Deposition method)、または化学気相成長法(CVD法:Chemical VaporDeposition method)によって、絶縁層60を形成する。
【0088】
次に、
図5Cに示されるように、絶縁層60を薄化することによって、平坦化された第1層間絶縁膜41Aを形成する。例えば、絶縁層60を化学的機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)にて薄化することによって、第1層間絶縁膜41Aを形成する。第1層間絶縁膜41Aは、絶縁層60と同様に、ゲート電極37、第1半導体領域6、絶縁膜30、ゲート絶縁膜36などを覆う。
【0089】
次に、
図5Dに示されるように、第1層間絶縁膜41A上にフィールド電極31を形成する。例えば、第1層間絶縁膜41A上に成膜されたポリシリコン膜を、マスクを用いてパターニングすることによって、ドリフト領域23に重なるフィールド電極31を形成する。図示しないが、上記ポリシリコン膜から、フィールド電極31と同時にインナーフィールド電極35も形成される。
【0090】
次に、
図5Eに示されるように、フィールド電極31を覆う第2層間絶縁膜41Bを第1層間絶縁膜41A上に形成する。例えば、PVD法またはCVD法によって、フィールド電極31を埋め込む第2層間絶縁膜41Bを形成する。
【0091】
次に、
図5Fに示されるように、ゲート電極37を露出する第1開口O1(コンタクトホール)を、第1層間絶縁膜41Aおよび第2層間絶縁膜41Bに形成する。例えば、マスクを用いて、第1層間絶縁膜41Aの一部と、第2層間絶縁膜41Bの一部とのそれぞれを選択的にエッチングする。エッチングは、例えばドライエッチングを利用した異方性エッチングである。図示しないが、第1実施形態では第1開口O1の形成と同時に、後に第1ドレインビア電極45Aが設けられる開口、後に第1ソースビア電極50が設けられる開口、第1バックゲートビア電極55Aが設けられる開口、第1バックゲートビア電極55Cが設けられる開口などが、第1層間絶縁膜41Aおよび第2層間絶縁膜41Bに形成される。これにより、第1開口O1の形成と同時に、ドレイン領域17を露出する開口、ソース領域22を露出する開口、バックゲート領域25を露出する開口、分離領域11を露出する開口などが、第1層間絶縁膜41Aおよび第2層間絶縁膜41Bに形成される。
【0092】
次に、
図5Gに示されるように、フィールド電極31を露出する第2開口O2を第2層間絶縁膜41Bに形成する。例えば、マスクを用いた異方性エッチングを実施することによって、第2層間絶縁膜41Bの別の一部を選択的にエッチングする。これにより、フィールド電極31の第2端部33上に第2開口O2が形成される。図示しないが、第1実施形態では第2開口O2の形成と同時に、フィールド電極31の第1端部32に重なると共に後に第1ドレインビア電極45Bが設けられる開口などが、第2層間絶縁膜41Bに形成される。これにより、第2開口O2の形成と同時に、第1端部32を露出する開口などが第2層間絶縁膜41Bに形成される。
【0093】
次に、
図5Hに示されるように、第1開口O1に充填される第1ゲートビア電極59(第1コンタクト)、および第2開口O2に充填される第1バックゲートビア電極55B(第2コンタクト)を形成する。例えば、PVD法にて形成される導電堆積物をパターニングすることによって、第1ゲートビア電極59、および第1バックゲートビア電極55Bを形成する。上記導電堆積物は、第1開口O1および第2開口O2に埋め込まれるだけでなく、他の開口にも埋め込まれる。このため図示しないが、第1実施形態では第1ゲートビア電極59および第1バックゲートビア電極55Bの形成と同時に、第1ドレインビア電極45A、第1ドレインビア電極45B、第1ソースビア電極50、第1バックゲートビア電極55A、第1バックゲートビア電極55Cなどが形成される。加えて、上記導電堆積物は、第2層間絶縁膜41B上にも堆積する。このため図示しないが、第1ドレイン配線43、第1ソース配線48、第1バックゲート配線53、第1ゲート配線58なども、第1ゲートビア電極59および第1バックゲートビア電極55Bと同時に形成される。以上により、ドレイン領域17とフィールド電極31の第1端部32とが電気的に接続され、フィールド電極31の第2端部33と分離領域11とバックゲート領域25とが電気的に接続される。
【0094】
図示しないが、第1ゲートビア電極59などの形成後、第3層間絶縁膜41Cを形成する。続いて、第3層間絶縁膜41Cの一部に開口が形成された後、当該開口に充填されると導電堆積物を形成する。当該導電堆積物は、第3層間絶縁膜41C上にも堆積する。続いて、上記導電堆積物をパターニングすることによって、第2ドレインビア電極46、第2ドレイン配線44、第2ソース配線49、第2ソースビア電極51、第2バックゲート配線54、第2バックゲートビア電極56、第2ゲート配線、第2ゲートビア電極などが形成される。以上により、半導体装置1Aに含まれるFET構造10が形成される。
【0095】
以上に説明した第1実施形態に係る半導体装置1Aの作用効果について説明する。
【0096】
例えば、200mm(約8インチ)のシリコンウェハーから半導体装置を形成する場合、電界強度への耐性の観点から、半導体層に接すると共にフィールド電極に重なる絶縁膜(例えば、埋め込み絶縁膜、LOCOS膜など)の厚さは、500nm以上(例えば、700nm程度)に設定される。この場合、例えばFET構造に800Vのドレイン電圧が印加された場合、フィールド電極と上記絶縁膜直下の半導体領域表面との間には、約100Vの最大電位差が発生する。これにより、上記絶縁膜における電界強度は、約1.4×106V/cm(=約100V/700nm)となる。
【0097】
ここで、上述した第1実施形態のように300mm(約12インチ)のシリコンウェハーから半導体装置を形成する場合であって、埋め込み絶縁膜の厚さを500nmなどと設定した場合、シリコンウェハーに反りなどが発生する懸念がある。加えて、半導体装置の高性能化に伴って、配線、素子などの微細化(例えば、最小アクティブ寸法:160nm)も実施される。この場合、500nmもの厚さを有する埋め込み絶縁膜の形成は、アスペクト比が3を超えることとなり、技術的に困難である。よって、上述した反りの防止、半導体装置製造プロセスの実現性などの観点から、上記シリコンウェハーに形成される絶縁膜の厚さは、最大でも250nm程度に設定される。このような厚さの絶縁膜の直上にフィールド電極が形成されると、当該絶縁膜における電界強度は、約3.92×106V/cmとなり、絶縁膜に絶縁破壊が発生する懸念が大きい。
【0098】
これに対して第1実施形態に係る上記製造方法によって製造される半導体装置1Aでは、フィールド電極31は、第1層間絶縁膜41A上に位置する。これにより、第1半導体領域6の表面とフィールド電極31との間には、絶縁膜30に加えて第1層間絶縁膜41Aが位置する。このため、第1層間絶縁膜41Aの存在によって、絶縁膜30における電界強度を緩和できる。よって半導体装置1Aでは、シリコンウェハーの大型化、配線、素子などの微細化に伴って絶縁膜30が薄化した場合であっても、第1半導体領域6とフィールド電極31との間における絶縁破壊の発生を良好に抑制できる。したがって、第1実施形態によれば、ウェハーサイズの大型化などが実施されても高い信頼性を示し得る半導体装置を提供できる。
【0099】
第1実施形態では、第1半導体領域6は、フィールド電極31に電気的に接続されるバックゲート領域25を有する。これにより、ドレイン領域17とバックゲート領域25との間の電界分布を良好に調節できる。
【0100】
第1実施形態では、フィールド電極31は、ドレイン領域17に電気的に接続される第1端部32、バックゲート領域25に電気的に接続される第2端部33、および、第1端部32と第2端部33とを接続する螺旋部34とを有する。これにより、第1端部32から第2端部33までの電位勾配が良好に形成される。
【0101】
図6は、第1実施形態の変形例に係る半導体装置を示す概略断面図である。
図6に示されるように、半導体装置1Bは、絶縁膜30が形成されず、代わりに絶縁膜36Aが形成される点で上記第1実施形態と異なる。換言すると、当該変形例では、第1半導体領域6に溝が設けられない。このような変形例においても、フィールド電極31と第1半導体領域6(すなわち、第1主面3)との間には、絶縁膜36Aだけでなく第1層間絶縁膜41Aが位置する。よって、上記変形例においても上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0102】
上記変形例では、フィールド電極31と第1半導体領域6との間には絶縁膜36Aが位置しているが、これに限られない。例えば、フィールド電極31と第1半導体領域6との間には第1層間絶縁膜41Aのみが位置してもよい。この場合であっても、第1層間絶縁膜41Aを厚膜化することによって、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。
【0103】
(第2実施形態)
以下では、
図7、
図8および
図9A~
図9Eを参照しながら第2実施形態について説明する。第2実施形態の説明において上述した第1実施形態と重複する記載は省略し、異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第2実施形態に第1実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0104】
図7は、第2実施形態に係る半導体装置の要部概略断面図である。
図8は、
図7に示される領域VIIIの概略断面図である。
図7に示されるように、第2実施形態に係る半導体装置1Cは、フィールド電極31Aが設けられる点で第1実施形態の半導体装置1Aと異なる。加えて、第2実施形態では、半導体装置1Cでは、第1ゲート配線58Aが第1層間絶縁膜41A上に位置する。
【0105】
図8に示されるように、フィールド電極31Aは、薄膜抵抗TRから形成される。薄膜抵抗TRは、例えばクロム珪化物を含む高抵抗膜であり、第1実施形態におけるポリシリコンよりも顕著に薄い。第2実施形態では、薄膜抵抗TRの厚さは、1nm以上30nm以下である。薄膜抵抗TRは、螺旋部34Aを形成する主要部分TR1と、後述する被覆部分TR2とを含む。クロム珪化物は、例えば、CrSi、CrSi
2、CrSiNおよびCrSiOのうちの少なくとも1種を含む。CrSiNは、クロム窒化物でもある。CrSiOは、クロム酸化物でもある。第2実施形態では、クロム珪化物は、CrSiである。
【0106】
フィールド電極31Aに含まれる第2端部33Aには、導電層C(第1導電層)が設けられる。導電層Cは、ゲート配線57Aなどと同時に形成される導電体である。導電層Cの少なくとも一部は、薄膜抵抗TRに含まれる被覆部分TR2に被覆されると共に、薄膜抵抗TRに接触する。このため、導電層Cは、薄膜抵抗TRに電気的に接続される。加えて、導電層Cは、第1バックゲートビア電極55B(第2導電層)に接触する。よって、バックゲート配線52は、導電層Cを介してフィールド電極31Aに電気的に接続される。図示しないが、フィールド電極31Aに含まれる第1端部にも、第2端部33Aと同様に、薄膜抵抗TRに被覆される導電層が設けられる。
【0107】
次に、
図9A~
図9Eを参照しながら、第2実施形態に係る半導体装置1Cの要部の製造方法について説明する。
図9A~
図9Eのそれぞれは、第2実施形態に係る半導体装置の要部の製造方法を説明するための図である。なお、当該要部は、フィールド電極31Aである。
【0108】
まず、
図9Aに示されるように、第1層間絶縁膜41Aに設けられる第1開口O1Aに充填される第1ゲートビア電極59Aを含むゲート配線57Aを形成する。ここで後にフィールド電極31Aの第2端部33Aが設けられる部分には、ゲート配線57Aの形成と同時に導電層Cが形成される。また、後にフィールド電極31Aの第1端部が設けられる部分にも、別の導電層が形成される。
【0109】
図9Aに示されるゲート配線57Aおよび導電層Cの形成前には、上記第1実施形態と同様の手法にて、第1半導体領域6(半導体層)、絶縁膜30、ゲート絶縁膜36、ゲート電極37および第1層間絶縁膜41Aが第2半導体領域7上(半導体基板上)に形成される。なお、第2実施形態では、フィールド電極31Aの形成前に、第1開口O1A、ゲート配線57A、導電層Cなどが形成される点で、上記第1実施形態とは異なっている。
【0110】
次に、
図9Bに示されるように、第1層間絶縁膜41A、導電層C、ゲート配線57Aなどを覆う薄膜抵抗層TRLを形成する。例えば、PVD法によってクロム珪化物を含む薄膜抵抗層TRLを形成する。
【0111】
次に、
図9Cに示されるように、薄膜抵抗層TRL上にパターニングされたレジストマスクRMを形成する。例えばフォトリソグラフィによって、レジストマスクRMを形成する。レジストマスクRMは、ネガ型レジストでもよいし、ポジ型レジストでもよい。
【0112】
次に、
図9Dに示されるように、薄膜抵抗層TRLにおいてレジストマスクRMに覆われていない部分をエッチングする。例えば、ウェットエッチングもしくはドライエッチングによって、薄膜抵抗層TRLの一部をエッチングする。続いて、レジストマスクRMを除去する。例えば、レジストマスクRMをウェットエッチングにて除去する。これにより、フィールド電極31Aを第1層間絶縁膜41A上に形成する。また、ゲート配線57Aなどを薄膜抵抗層TRLから露出させる。
【0113】
次に、
図9Eに示されるように、第1層間絶縁膜41A、ゲート配線57A、フィールド電極31Aなどを被覆する第2層間絶縁膜41Bを形成する。続いて、第2層間絶縁膜41Bの一部をエッチングすることによって、第2開口O2を第2層間絶縁膜41Bに形成する。第2実施形態では、第2開口O2の形成時、薄膜抵抗TRの被覆部分TR2の一部(被覆部分TR2において第2開口O2に重なる部分)もエッチングする。これにより、導電層Cの頂面において第2開口O2に重なる部分が第2層間絶縁膜41Bから露出する。なお図示しないが、第2開口O2の形成時、薄膜抵抗TRのうち第2層間絶縁膜41Bから露出する部分(例えば、第1端部に含まれる部分)も除去される。続いて、第2開口O2に充填される第1バックゲートビア電極55B(第2コンタクトもしくは第2導電層)を含むバックゲート配線52を形成する。上記第1実施形態と同様に、第2層間絶縁膜41Bに形成された開口には対応するビア電極(第1ドレインビア電極)が形成される。そして、上記第1実施形態と同様の手法にて第3層間絶縁膜41Cなどが形成されることによって、半導体装置1Cが製造される。
【0114】
以上に説明した第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。加えて、フィールド電極31Aが薄膜抵抗TRを含むことによって、半導体装置1Cのさらなる高耐圧化、フィールド電極31Aの抵抗値の高精度化が実現され得る。さらには、第1実施形態と比較してマスク数を低減できるので、コスト低減、歩留まり向上なども実現され得る。
【0115】
上述したように、第2実施形態では、第2開口O2の形成時、薄膜抵抗TRの被覆部分TR2の一部もエッチングされる。これにより、導電層Cが第1バックゲートビア電極55Bと直接接触できるので、接触抵抗を低減できる。なお、第2開口O2の形成時、薄膜抵抗TRの被覆部分TR2はエッチングされなくてもよい。この場合、被覆部分TR2は、エッチストッパとして機能し得る。
【0116】
上述した第2実施形態には、上記第1実施形態の変形例の内容が適用されてもよい。例えば、半導体装置1Cに絶縁膜30が形成されなくてもよい。この場合、上記第1実施形態の変形例のように絶縁膜36Aが形成されてもよいし、フィールド電極31Aと第1半導体領域6との間には第1層間絶縁膜41Aのみが位置してもよい。
【0117】
(第3実施形態)
以下では、
図10を参照しながら第3実施形態について説明する。第3実施形態の説明において上述した第1および第2実施形態と重複する記載は省略し、異なる部分を記載する。つまり、技術的に可能な範囲において、第3実施形態に第1および第2実施形態の記載を適宜用いてもよい。
【0118】
図10は、第3実施形態に係る半導体装置の要部概略断面図である。
図10に示されるように、半導体装置1Dに含まれるFET構造10Aは、いわゆるJFET(Junction FET)構造を有しており、p型の半導体基板102と、半導体基板102上に位置するとn型の半導体層103とを含む。
【0119】
半導体基板102は、高抵抗シリコン基板である。半導体層103は、半導体基板102上に形成されるエピタキシャル半導体層である。半導体層103内には、第2導電型を有するドレイン領域104が位置する。ドレイン領域104は、FET構造10Aのドレインとして機能する領域であり、平面視にて長円環形状を呈する。半導体層103内においてドレイン領域104よりも下方には、ドレイン領域104に接触するn型のドレイン側ウェル領域105が形成されている。ドレイン側ウェル領域105は、ドレイン領域104の底部および側部を被覆する領域であり、平面視にてドレイン領域104を囲う長円環形状を呈する。ドレイン側ウェル領域105よりも下方には、n型のドレインバッファ領域106が形成されている。ドレインバッファ領域106は、半導体基板102に対してpn接合を形成する領域であり、半導体基板102内および半導体層103内に位置する。ドレインバッファ領域106と半導体基板102とがpn接合部を形成することによって、半導体装置1Dの耐圧が高められている。ドレインバッファ領域106は、平面視にて長円形状を呈する。ドレインバッファ領域106の周縁は、平面視にて、ドレイン領域104の外周縁よりも外側に位置する。
【0120】
半導体層103には、ソース/ゲート領域109が形成されている。図示しないが、ソース/ゲート領域109においては、n型のソース領域(不図示)およびp型のゲート領域108とが、互いに電気的に接続されると共に、平面視にて間隔を空けて交互に配列されている。第3実施形態では、ソース/ゲート領域109は、平面視にて、ドレイン領域104から離間すると共にドレイン領域104の周囲に位置する長円環形状を呈する。ソース領域は、電気的に浮遊状態とされており、平面視にて四角形状を呈する。ゲート領域108は、グランド(GND)に電気的に接続されており、平面視にて四角形状を呈する。
【0121】
ソース/ゲート領域109は、n型のソース側ウェル領域(不図示)と、p型のゲート側ウェル領域111とを含む。ソース側ウェル領域は、半導体層103内であってソース領域の下方に位置する。ゲート側ウェル領域111は、半導体基板102内および半導体層103内であってゲート領域108の下方に位置する。ソース側ウェル領域は、ソース領域に接触すると共にソース領域の底部および側部を被覆する領域である。ゲート側ウェル領域111は、ゲート領域108に接触すると共にゲート領域108の底部および側部を被覆する領域である。ゲート側ウェル領域111とソース側ウェル領域との接触部は、pn接合部を形成している。ゲート側ウェル領域111は、互いに隣り合う2つのソース側ウェル領域の間に位置する領域などを含む。
【0122】
半導体層103を介してドレイン領域104とソース領域との間を流れる電流は、ソース/ゲート領域109に所定の制御電圧を印加することによって制御される。より詳細には、ソース領域に所定の制御電圧が印加されると、ソース側ウェル領域とゲート側ウェル領域111とが形成するpn接合部から空乏層が拡がる。これにより、ソース領域およびソース側ウェル領域が空乏化される。これにより、ドレイン領域104とソース領域との間の電流経路が閉ざされるため、ドレイン領域104とソース領域との間に電流が流れなくなる。一方、ソース領域に対する制御電圧の印加が解除されると、ソース領域およびソース側ウェル領域の空乏化が解除される。これにより、ドレイン領域104とソース領域との間の電流経路が開かれるため、ドレイン領域104とソース領域との間に電流が流れるようになる。このようにしてFET構造10Aでは、ドレイン領域104とソース領域との間を流れる電流が制御される。
【0123】
ドレイン領域104およびソース/ゲート領域109を選択的に露出させる絶縁層の一例としてのLOCOS膜112が半導体層103上に位置する。LOCOS膜112は、平面視にてドレイン領域104とソース/ゲート領域109との間に位置する。LOCOS膜112の厚さは、例えば5000Å以上15000Å以下である。LOCOS膜112は、平面視にて長円形状を呈すると共にドレイン領域104に取り囲まれた領域を被覆する内側LOCOS膜113、および、平面視にて長円環形状を呈すると共にドレイン領域104とソース/ゲート領域109との間の領域を被覆する外側LOCOS膜114を有する。
【0124】
半導体層103において、外側LOCOS膜114に重なる領域が、ドリフト領域115に相当する。ドリフト領域115の長さは、例えば80μm以上200μm以下である。ドリフト領域115の長さは、FET構造10Aのチャネル長さに相当する。よって第3実施形態では、ドリフト領域115にはチャネル領域が併存していると言える。半導体層103において外側LOCOS膜114と接する部分には、p型のリサーフ層116が形成されている。リサーフ層116は、半導体層103のドリフト領域115に対してpn接合部を形成している。平面視にて、リサーフ層116は、外側LOCOS膜114の平面形状に沿った長円環形状を呈する。
【0125】
半導体層103上には、複数の層間絶縁膜133が設けられる。第3実施形態では、複数の層間絶縁膜133は、LOCOS膜112の直上に位置する第1層間絶縁膜133Aと、第1層間絶縁膜133A上に位置する第2層間絶縁膜133Bとを含む。第1層間絶縁膜133Aは、例えば、上記第1実施形態の第1層間絶縁膜41Aと同様の機能および構成を有する。第1層間絶縁膜133Aと、第2層間絶縁膜133Bとのそれぞれは、単層構造を有してもよいし、積層構造を有してもよい。
【0126】
第1層間絶縁膜133A上には、抵抗性のフィールド電極120が位置する。このため、半導体層103とフィールド電極120との間には、LOCOS膜112と第1層間絶縁膜133Aとが位置する。フィールド電極120は、例えば、上記第1実施形態のフィールド電極31と同様の機能および構成を有する。フィールド電極120は、平面視にてドレイン領域104とソース/ゲート領域109との間に配置される。フィールド電極120は、最内周部201、最外周部202、および、中間部203を有する。
【0127】
最内周部201は、ドレイン領域104に電気的に接続される部分であり、フィールド電極120においてドレイン領域104に最も近い。このため平面視にて、フィールド電極120の最内周部201より内側には、フィールド電極120が存在しない。最外周部202は、ソース/ゲート領域109およびグランドに電気的に接続される部分であり、フィールド電極120においてソース/ゲート領域109に最も近い。このため、フィールド電極120の最外周部202より外側には、フィールド電極120が存在しない。中間部203は、フィールド電極120における主要部であり、最内周部201と最外周部202とを接続する接続部分である。中間部203は、平面視にて螺旋状に延在する帯形状を呈する。
【0128】
半導体層103上には、ドレイン領域104に電気的に接続されるドレインメタル130と、ゲート領域108に電気的に接続されるゲートメタル131とが配置されている。また、図示しないが、ソース領域に電気的に接続されるソースメタルも半導体層103上に配置されている。ドレインメタル130の少なくとも一部、ゲートメタル131の少なくとも一部、および、ソースメタルの少なくとも一部のそれぞれは、層間絶縁膜133内に選択的に形成されている。ドレインメタル130は、ドレイン領域104およびフィールド電極120の最内周部201に電気的に接続される。ゲートメタル131は、ゲート領域108およびフィールド電極120の最外周部202に電気的に接続される。図示しないが、ソースメタルは、ソース領域に電気的に接続される。
【0129】
以上に説明した第3実施形態においても、上記第1実施形態と同様の作用効果が奏される。すなわち、FETの構造が変更された場合であっても、高い信頼性を示す半導体装置1Dが得られる。
【0130】
上述した第3実施形態には、上記第1実施形態の変形例の内容が適用されてもよい。例えば、半導体装置1DにLOCOS膜112が形成されなくてもよい。この場合、例えば、上記第1実施形態の変形例のように絶縁膜36Aが形成されてもよい。もしくは、第3実施形態には、上記第2実施形態の内容が適用されてもよい。
【0131】
以上、本開示の実施形態および変形例について説明したが、本開示は、さらに他の形態で実施することもできる。
【0132】
上記実施形態および上記変形例において、各種半導体領域の導電型が反転される構成が採用されてもよい。つまり、p型の部分がn型とされ、n型の部分がp型とされてもよい。
【0133】
上記実施形態および上記変形例において、半導体装置は、例えば、自動車(電気自動車を含む)、電車、産業用ロボット、空気調節装置、空気圧縮機、扇風機、掃除機、乾燥機、冷蔵庫等の動力源として利用される電動モータを駆動するインバータ回路に用いられるパワーモジュールに適用できる。また、半導体装置は、太陽電池、風力発電機その他の発電装置等のインバータ回路に用いられるパワーモジュールにも適用できる。あるいは、半導体装置は、アナログ制御電源、デジタル制御電源等を構成する回路モジュールにも適用できる。
【0134】
以上、本開示の一側面に係る実施形態および変形例について詳細に説明してきたが、これらは本開示の技術的内容を明らかにするために用いられた具体例に過ぎず、本開示はこれらの具体例に限定して解釈されるべきではなく、本開示の範囲は添付の請求の範囲によってのみ限定される。
【0135】
以下、この明細書および図面の記載から抽出される特徴例が示される。
【0136】
[A1] 半導体基板と、
前記半導体基板上に位置すると共に、ドレイン領域、ソース領域、ドリフト領域およびチャネル領域を有する半導体層と、
前記半導体層に接すると共に前記チャネル領域上に位置する絶縁膜と、
前記絶縁膜を覆う層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜上に位置すると共に前記ドリフト領域に重なり、前記ドレイン領域に電気的に接続されるフィールドプレートと、
を備える半導体装置。
【0137】
[A2] 前記絶縁膜上に位置するゲート電極をさらに備え、
前記ゲート電極は、前記層間絶縁膜に覆われる、[A1]に記載の半導体装置。
【0138】
[A3] 前記ゲート電極と、前記フィールドプレートとのそれぞれは、ポリシリコンを含む、[A2]に記載の半導体装置。
【0139】
[A4] 前記半導体層は、前記フィールドプレートに電気的に接続されるバックゲート領域をさらに有する、[A1]~[A3]のいずれかに記載の半導体装置。
【0140】
[A5] 前記フィールドプレートは、前記ドレイン領域に電気的に接続される最内周部、前記バックゲート領域に電気的に接続される最外周部、および、前記最内周部と最外周部とを接続する接続部分とを有する、[A4]に記載の半導体装置。
【0141】
[A6] 前記半導体層に接するLOCOS膜をさらに備え、
前記フィールドプレートは、前記LOCOS膜および前記層間絶縁膜に重なる、[A1]~[A5]のいずれかに記載の半導体装置。
【0142】
[A7] 前記半導体層は、前記ソース領域と、前記ソース領域に電気的に接続されるゲート領域が設けられるソース/ゲート領域であって、前記ドレイン領域から離間すると共に前記ドレイン領域の周囲に位置する前記ソース/ゲート領域をさらに有する、[A1]に記載の半導体装置。
【0143】
[A8] 前記フィールドプレートは、前記ドレイン領域に電気的に接続される最内周部、グランドに電気的に接続される最外周部、および、前記最内周部と最外周部とを接続する接続部分とを有する、[A7]に記載の半導体装置。
【0144】
[A9] 前記絶縁膜は、LOCOS膜である、[A1]~[A8]のいずれかに記載の半導体装置。
【0145】
[A10] 前記フィールドプレートは、ポリシリコンを含む、[A1]~[A9]のいずれかに記載の半導体装置。
【0146】
[A11] 前記フィールドプレートは、クロム珪化物を含む、[A1]~[A10]のいずれかに記載の半導体装置。
【0147】
[A12] 前記フィールドプレートの厚さは、1nm以上30nm以下である、[A11]に記載の半導体装置。
【0148】
[A13] 前記層間絶縁膜上に位置すると共に前記フィールドプレートに電気的に接続される第1導電層と、
前記第1導電層および前記フィールドプレートを覆う第2層間絶縁膜と、
前記第2層間絶縁膜に設けられる開口に充填されると共に前記フィールドプレートに電気的に接続される第2導電層と、をさらに備え、
前記第1導電層は、前記フィールドプレートから露出する露出部を有し、
前記第2導電層は、前記露出部と接触する、[A11]または[A12]に記載の半導体装置。
【0149】
[B1] 半導体基板上に、ドレイン領域、ソース領域、ドリフト領域およびチャネル領域を有する半導体層を形成する工程と、
前記半導体層に接すると共に前記チャネル領域上に位置する絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜上に位置すると共に前記ドリフト領域に重なるフィールドプレートを形成する工程と、
前記フィールドプレートを覆う第2層間絶縁膜を形成する工程と、
第1開口を前記層間絶縁膜および前記第2層間絶縁膜に形成する工程と、
前記フィールドプレートを露出する第2開口を前記第2層間絶縁膜に形成する工程と、
前記第1開口に充填される第1コンタクト、および前記第2開口に充填される第2コンタクトを形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【0150】
[B2] 前記フィールドプレートは、ポリシリコンを含む、[B1]に記載の半導体装置の製造方法。
【0151】
[C1] 半導体基板上に、ドレイン領域、ソース領域、ドリフト領域およびチャネル領域を有する半導体層を形成する工程と、
前記半導体層に接すると共に前記チャネル領域上に位置する絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、
第1開口を前記層間絶縁膜に形成する工程と、
前記第1開口に充填されるコンタクトと、前記層間絶縁膜上に位置する導電層を形成する工程と、
前記層間絶縁膜、前記コンタクトおよび前記導電層を覆うと共にクロム珪化物を含む抵抗層を形成する工程と、
前記抵抗層をパターニングすることによって、前記導電層を覆う被覆部分を有するフィールドプレートを形成する工程と、
を備える半導体装置の製造方法。
【0152】
[C2] 前記フィールドプレートの厚さは、1nm以上30nm以下である、[C1]に記載の半導体装置の製造方法。
【0153】
[C3] 前記フィールドプレートを覆う第2層間絶縁膜を形成する工程と、
前記第2層間絶縁膜および前記フィールドプレートの前記被覆部分の一部をエッチングすることによって、前記導電層を露出する第2開口を前記第2層間絶縁膜に形成する工程と、
前記第2開口に充填される第2コンタクトを形成する工程と、をさらに備える、[C1]または[C2]に記載の半導体装置の製造方法。
【0154】
[C4] 前記層間絶縁膜の形成前、前記絶縁膜上にゲート電極を形成する工程をさらに備える、[B1]、[B2]、[C1]、[C2]および[C3]のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0155】
1A,1B,1C,1D…半導体装置、2…チップ、3…第1主面、4…第2主面、6…第1半導体領域(半導体層)、7…第2半導体領域(半導体基板)、8…デバイス領域、9…トランジスタ領域、10,10A…FET構造(トランジスタ構造)、11…分離領域、22…ソース領域、17,104…ドレイン領域、23,115…ドリフト領域、24…チャネル領域、25…バックゲート領域、30,36A…絶縁膜、31,31A,120…フィールド電極(フィールドプレート)、32…第1端部、33,33A…第2端部、34,34A…螺旋部、36…ゲート絶縁膜、37…ゲート電極、41,133…層間絶縁膜、41A,133A…第1層間絶縁膜、41B,133B…第2層間絶縁膜、41C…第3層間絶縁膜、42…ドレイン配線、47…ソース配線、52…バックゲート配線、55B…第1バックゲートビア電極(第2コンタクトもしくは第2導電層)、57,57A…ゲート配線、59…第1ゲートビア電極(第1コンタクト)、102…半導体基板、103…半導体層、108…ゲート領域、109…ソース/ゲート領域、112…LOCOS膜、130…ドレインメタル、131…ゲートメタル、201…最内周部、202…最外周部、C…導電層(第1導電層)、O1…第1開口(コンタクトホール)、O1A…第1開口、O2…第2開口、TR2…被覆部分。