(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179477
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】制御装置、及び、制御方法
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20241219BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241219BHJP
G06V 40/16 20220101ALI20241219BHJP
G06V 10/141 20220101ALI20241219BHJP
G06T 7/20 20170101ALI20241219BHJP
G06T 7/70 20170101ALI20241219BHJP
【FI】
G07B15/00 B
G06T7/00 510F
G06V40/16
G06V10/141
G06T7/00 660A
G06T7/20 300Z
G06T7/70 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098354
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 知基
(72)【発明者】
【氏名】窪田 賢雄
(72)【発明者】
【氏名】柳 一寛
【テーマコード(参考)】
3E127
5B043
5L096
【Fターム(参考)】
3E127AA03
3E127BA21
3E127BA45
3E127CA02
3E127FA16
3E127FA22
3E127FA24
5B043AA04
5B043AA09
5B043BA04
5B043CA09
5B043DA05
5B043FA02
5B043GA02
5L096AA06
5L096BA08
5L096BA18
5L096CA04
5L096DA02
5L096FA06
5L096FA14
5L096FA59
5L096FA67
5L096FA69
5L096GA51
5L096HA02
(57)【要約】
【課題】ゲートを通過する人物の入退出の管理において用いられる顔照合処理の高速化を実現する。
【解決手段】制御装置は、顔照合処理の結果に基づいて通過の可否が決定されるゲートに進入する人物を、ゲートの出口から入口に向かう方向から撮影した、顔画像領域を含む画像を取得する取得部と、画像から検出される、人物の照度及び/又はブラーに基づいて、人物の顔照合処理を行うか否かを判定する制御部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔照合処理の結果に基づいて通過の可否が決定されるゲートに進入する人物を、前記ゲートの出口から入口に向かう方向から撮影した、顔画像領域を含む画像を取得する取得部と、
前記画像から検出される、前記人物の照度及び/又はブラーに基づいて、前記人物の前記顔照合処理を行うか否かを判定する制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記人物は、前記ゲートの出口から入口に向かう方向に光を発する光源によって照らされており、
前記制御部は、複数の時点において撮影された前記画像のそれぞれから検出される前記照度の前記画像の間の変化に基づいて、前記人物の前記顔照合処理を行うか否かを判定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
後の時点で撮影された画像から検出された前記人物の照度が、前の時点で撮影された画像から検出された前記人物の照度より上がっている場合、前記人物の顔照合処理を行うと判定し、
前記後の時点で撮影された画像から検出された前記人物の照度が、前記前の時点で撮影された画像から検出された前記人物の照度より下がっている場合、前記人物の顔照合処理を行わないと判定する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記光源は、前記ゲートに備えられた照明であり、
前記人物は、更に、前記ゲートの周囲の光によって照らされており、
前記制御部は、前記周囲の光が前記人物に対して逆光である場合、
後の時点で撮影された画像から検出された前記人物の照度が、前の時点で撮影された画像から検出された前記人物の照度より上がっている場合、前記人物の顔照合処理を行うと判定し、
前記後の時点で撮影された画像から検出された前記人物の照度が、前記前の時点で撮影された画像から検出された前記人物の照度より下がっている場合、前記人物の顔照合処理を行わないと判定する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記光源は、前記ゲートに備えられた照明であり、
前記制御部は、前記周囲の光が前記人物に対して逆光である場合、前記周囲の光が前記人物に対して逆光でない場合よりも前記照明の明るさを上げるよう制御する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記光源は、前記ゲートに備えられた照明であり、
前記人物は、更に、前記ゲートの周囲の光によって照らされており、
前記制御部は、前記周囲の光が前記人物に対して順光である場合、
後の時点で撮影された画像から検出された前記人物の照度が、前の時点で撮影された画像から検出された前記人物の照度より下がっている場合、前記人物の顔照合処理を行うと判定し、
前記後の時点で撮影された画像から検出された前記人物の照度が、前記前の時点で撮影された画像から検出された前記人物の照度より上がっている場合、前記人物の顔照合処理を行わないと判定する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記光源は、前記ゲートに備えられた照明であり、
前記制御部は、前記周囲の光が前記人物に対して順光である場合、前記周囲の光が前記人物に対して順光でない場合よりも前記照明の明るさを下げるよう制御する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記人物の照度及び前記ブラーに基づいて前記人物の前記顔照合処理を行うか否かを判定し、
前記制御部は、前記ゲートの周辺の明るさが所定レベル以上である場合、前記判定において、前記ブラーに基づく判定結果が前記照度に基づく判定結果よりも優先されるよう制御する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、更に、前記人物と前記顔画像領域を含む画像を撮影したカメラとの間の距離を取得し、
前記制御部は、前記人物の照度及び前記ブラーに基づいて前記人物の前記顔照合処理を行うか否かを判定し、
前記制御部は、前記距離が所定の閾値よりも短い場合、前記判定において、前記ブラーに基づく判定結果が前記照度に基づく判定結果よりも優先されるよう制御する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記人物の前記顔照合処理を行うと判定した場合に、前記顔画像領域を用いて前記人物を特定する前記顔照合処理を行い、前記人物の前記顔照合処理を行なわないと判定した場合、前記人物の前記顔照合処理を省略する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、更に、前記画像に含まれる前記顔画像領域の位置、サイズ、及び、前記人物の顔の向きの少なくとも1つに基づいて、前記人物の前記顔照合処理を行うか否かを判定する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項12】
前記ゲートの周辺が所定レベル以上の明るさである場合に前記人物の前記顔照合処理を行うか否かを判定する基準となる位置は、前記ゲートの周辺が前記所定レベル未満の明るさである場合に前記人物の前記顔照合処理を行うか否かを判定する基準となる位置よりも、前記ゲートに近い、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項13】
制御装置が、
顔照合処理の結果に基づいて通過の可否が決定されるゲートに進入する人物を、前記ゲートの出口から入口に向かう方向から撮影した、顔画像領域を含む画像を取得し、
前記画像から検出される、前記人物の照度及び/又はブラーに基づいて、前記人物の前記顔照合処理を行うか否かを判定する、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、及び、制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
顔照合処理を用いて、駅や空港などに設置されるゲートを通過する人物の入退出を管理する技術が検討されている。特許文献1には、ゲートの周囲について撮像された画像から人を検出し、この人の画像における特徴量に基づいて、各ゲートの制御内容を決定する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ゲートを通過する人物の入退出の管理において用いられる顔照合処理の高速化については、検討の余地がある。
【0005】
本開示の非限定的な実施例は、ゲートを通過する人物の入退出の管理において用いられる顔照合処理の高速化を実現する制御装置、及び、制御方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施例に係る制御装置は、顔照合処理の結果に基づいて通過の可否が決定されるゲートに進入する人物を、前記ゲートの出口から入口に向かう方向から撮影した、顔画像領域を含む画像を取得する取得部と、前記画像から検出される、前記人物の照度及び/又はブラーに基づいて、前記人物の前記顔照合処理を行うか否かを判定する制御部と、を備える。
【0007】
本開示の一実施例に係る制御方法は、制御装置が、顔照合処理の結果に基づいて通過の可否が決定されるゲートに進入する人物を、前記ゲートの出口から入口に向かう方向から撮影した、顔画像領域を含む画像を取得し、前記画像から検出される、前記人物の照度及び/又はブラーに基づいて、前記人物の前記顔照合処理を行うか否かを判定する。
【0008】
なお、これらの包括的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、又は、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本開示の非限定的な実施例は、ゲートを通過する人物の入退出の管理において用いられる顔照合処理の高速化を実現できる。
【0010】
本開示の一実施例における更なる利点及び効果は、明細書及び図面から明らかにされる。かかる利点及び/又は効果は、いくつかの実施形態並びに明細書及び図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つ又はそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】一実施の形態に係る通過管理システムのシステム構成の一例を示す図
【
図5】一実施の形態における顔照合処理の流れの一例を示すフローチャート
【
図6】
図5のS105における通過意志判定処理の流れを示すフローチャート
【
図7】通過意志判定に用いられるパラメータの例を示す図
【
図9】顔照合開始位置と明るさとの関係の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
(一実施の形態)
<本開示に至った知見>
図1は、顔認証を用いた改札機制御の一例を示す図である。
図1には、駅に設けられる改札機における制御と、サーバが行う制御とが示される。改札機における制御は、例えば、改札機に接続する制御装置によって実行される。また、サーバは、予め登録された人物(以下、登録者)の情報(例えば、顔特徴量)を記憶し、改札機からの依頼に応じて、顔照合を行う。
【0014】
なお、顔照合は、画像に映っている人物の顔と、登録者の顔とを照らし合わせて、画像に映っている人物が、登録者の中の誰であるかを特定する処理に対応する。顔認証は、顔照合を行い、顔照合によって特定された登録者の通行の可否を判断する処理に対応する。ただし、顔認証において、顔照合は実行されるため、以下では、「顔認証」と「顔照合」とは、相互に置き換えられてもよい。
【0015】
改札機には、カメラが設けられる。カメラは、例えば、改札機の周辺に存在する人物の顔を含む画像を撮影する。改札機の周辺に存在する人物には、改札機を通過しようとし、改札機に向かってくる人物、改札機を通過せずに、改札機の周辺を通過する人物、改札機の周辺に留まっている人物、及び、改札機の周囲を行き来する人物などが含まれる。
【0016】
カメラは、画像を撮影する(S11)。カメラは、常時、撮影を行ってもよいし、改札機の周辺に存在する人物が検出された場合に、撮影を行ってもよい。
【0017】
改札機の制御装置は、S11において撮影された画像において、顔枠を検出する(S12)。例えば、撮影された画像に人物の顔が含まれる場合に、顔枠は、その顔を囲む矩形の枠に該当する。
【0018】
改札機の制御装置は、顔照合処理を行う(S13)。例えば、制御装置は、検出した顔枠に含まれる顔画像から顔照合処理に用いる情報を抽出し、抽出した情報をサーバに送信することによって、サーバに対して、顔照合を依頼する。そして、制御装置は、サーバから顔照合の依頼に対する応答を取得する。ここで、検出した顔枠に含まれる顔画像から抽出される情報には、顔特徴量が含まれる。また、検出した顔枠に含まれる顔画像の人物は、以下では、「照合対象者」と記載される。
【0019】
サーバは、S13における改札機からの顔照合の依頼に応じて、顔照合を行う(S21)。例えば、サーバは、改札機から取得した、顔照合処理に用いる情報(例えば、顔特徴量)と、サーバに記憶された、登録者の情報(例えば、顔特徴量)とを照合し、照合対象者が、登録者の中の誰であるかを特定する。
【0020】
S21において、照合対象者が登録者の中の誰であるかを特定した場合、特定された登録者に該当する照合対象者が、通行権利を有するか否かを判定する(S23)。例えば、特定された登録者が、乗車券を購入している場合、特定された登録者に該当する照合対象者が、通行権利を有する、と判定する。
【0021】
なお、照合対象者が登録者の中の誰であるかを特定できなかった場合、または、照合対象者が登録者の中の誰であるかを特定できたが、特定された登録者が通行権利を有さなかった場合、照合対象者が通行権利を有さない、と判定する。
【0022】
サーバは、S21における顔照合の結果を含む応答を、改札機の制御装置に送信する。例えば、サーバから改札機の制御装置に送信される応答には、照合対象者が通行権利を有するか否かを示す判定結果が含まれる。
【0023】
改札機の制御装置は、サーバから顔照合の依頼に対する応答を取得した後、改札機の通行制御を行う(S14)。例えば、制御装置は、取得した応答が、照合対象者が通行権利を有するという判定結果を含む場合、改札機の通行を許可する制御を行う。改札機の通行を許可する制御には、改札機の通路に設けられた扉を開放する制御と、通行を許可されたことを照合対象者に提示する音声出力及び/又は表示の制御とが含まれる。また、制御装置は、取得した応答が、照合対象者が通行権利を有さないという判定結果を含む場合、改札機の通行を遮る制御を行う。改札機の通行を遮る制御には、改札機の通路に設けられた扉を閉扉する制御と、通行を禁止されたことを照合対象者に提示する音声出力及び/又は表示の制御とが含まれる。
【0024】
図1に例示した顔認証を用いた改札機制御では、カメラが撮影した画像に、人物の顔画像が含まれる場合に、顔画像に対する顔照合処理が実行される。この制御では、改札機を実際には通過しない人物の顔画像に対しても、顔照合処理が行われてしまう。改札機を実際には通過しない人物とは、改札機を通過する意志がない人物に相当する。具体的には、改札機に進入することなく、改札機の前を通過していった人物、改札機の前で立ち止まっている人物、改札機に一旦進入したもののUターンして改札機から離れた人物などが挙げられる。改札機を通過する意志がない人物の顔画像に対する顔照合処理によって、改札機制御における顔照合処理の処理時間が増加してしまう。
【0025】
例えば、改札機を通過する意志がない人物の顔画像に対する顔照合処理を行うことによって、当該人物が改札機を実際には通過しないにも関わらず、当該人物に対して改札機の通行を許可する制御又は改札機の通行を遮る制御が、不要に行われてしまう。例えば、改札機が双方向に通行可能である場合、この不要な制御によって、改札機を通過する意志がない人物が存在する側と反対側からの通行ができなくなってしまう。また、この不要な制御によって、改札機を通過する意志がない人物の後から改札機を通過する意志がある人物に対する処理(例えば、顔照合処理)が遅れてしまう。
【0026】
また、改札機を実際には通過しない人物に対して改札機の通行を許可する制御又は改札機の通行を遮る制御が不要に行われてしまう場合に、当該人物に対して、改札機の通過に要する課金を誤って行ってしまう可能性がある。また、
図1に例示したように、改札機の制御装置とサーバとの間で通信が行われる場合、改札機を通過する意志がない人物の顔画像に対する顔照合処理を行うことによって、通信のトラフィックが増大してしまう。
【0027】
そこで、本実施の形態では、カメラが撮影した画像に含まれる人物が、改札機を通過する意志があるか否かを判定し、改札機を通過する意志がないと判定された人物の顔画像に対する顔照合処理を省略する。ここで、顔照合処理の省略とは、改札機が顔照合処理を行わないような制御全般を意味し、顔照合処理の機能自体を実行せずに次の処理にスキップすること、及び/又は、通過する意志があるか否かの判定と並列して進行している顔照合処理を中止することが含まれる。これにより、改札機を通過する意志があると判定された人物の顔照合処理に計算機リソースを集中でき、改札機制御における顔照合処理の処理時間を低減でき、顔照合処理の高速化を実現できる。
【0028】
なお、人物が改札機を通過する意志があることは、人物が改札機を通過する予定があること、人物が所定時間内に改札機を通過するつもりであること、または、人物が改札機を通過する確率が高いこと(例えば、閾値以上であること)、に相当してよい。
【0029】
また、或る人物が改札機を通過する意志があるという判定は、当該人物の顔照合処理を実行するという判定に対応し、或る人物が改札機を通過する意志がないという判定は、当該人物の顔照合処理を実行しないという判定に対応する。例えば、通過意志の有無の判定は、顔照合処理の実行の有無の判定に対応する。
【0030】
<システム構成の一例>
図2は、本実施の形態に係る通過管理システム1のシステム構成の一例を示す図である。
図2には、カメラ10と、制御装置20と、サーバ装置30と、改札機40とが示される。改札機40は、制御装置20と、有線及び/又は無線により接続される。カメラ10は、制御装置20と、有線及び/又は無線により接続される。サーバ装置30は、制御装置20と、有線及び/又は無線により接続されてもよいし、ネットワーク(例えば、インターネット)を介して、接続されてもよい。
【0031】
改札機40には、カメラ10が設けられる。カメラ10は、改札機40の出口から入口に向かう方向(
図2の矢印R)から、例えば、改札機40の周辺に存在する人物の顔を含む画像を撮影する。例えば、改札機40の周辺に存在する人物には、改札機40を通過しようとし、改札機40に向かってくる人物、改札機40を通過せずに、改札機40の周辺を通過する人物、改札機40の周辺に留まっている人物、及び、改札機40の周辺を行き来する人物などが含まれる。
【0032】
改札機40には、制御装置20が接続される。制御装置20は、カメラ10が撮影した画像に基づく顔照合処理の結果に応じて、改札機40を制御する。
【0033】
制御装置20は、通信部201と、意志判定処理部202と、顔照合処理部203と、改札機制御部204と、を備える。なお、意志判定処理部202と、顔照合処理部203と、改札機制御部204とは、纏めて、制御部(又は処理部)と称されてもよい。
【0034】
通信部201は、制御装置20とカメラ10との間、及び、制御装置20とサーバ装置30との間の通信を行う。例えば、通信部201は、カメラ10から、撮影画像を取得する。また、通信部201は、サーバ装置30に対して、顔照合の依頼を示す情報を送信し、サーバ装置30から、顔照合の依頼に対する応答を受信する。
【0035】
意志判定処理部202は、カメラ10から取得した撮影画像において、顔検出処理を行う。意志判定処理部202は、顔検出処理によって、撮影画像に含まれる顔枠が検出された場合、顔枠の中の顔画像から、パラメータを検出する。検出するパラメータは、例えば、改札機40に対する照合対象者の姿勢に関連するパラメータ、及び/又は、改札機40に対する照合対象者の位置に関連するパラメータである。
【0036】
意志判定処理部202は、検出したパラメータに基づいて、通過意志判定処理を行い、顔枠に対応する照合対象者が改札機40を通過する意志があるか否かを判定する。別言すると、意志判定処理部202は、撮影画像から検出されるパラメータに基づいて、顔枠に対応する照合対象者の顔照合処理を行うか否かを判定する。なお、通過意志判定処理については後述する。
【0037】
顔照合処理部203は、顔枠に対応する照合対象者が改札機40を通過する意志がある場合に、顔照合処理を行う。例えば、顔照合処理部203は、サーバ装置30に対して、照合対象者の顔画像から抽出された顔特徴量を含む顔照合の依頼を示す情報を生成し、通信部201を介して、サーバ装置30へ送信する。
【0038】
顔照合処理部203は、顔照合の依頼に対する応答を、通信部201を介して取得する。顔照合の依頼に対する応答には、照合対象者が改札機40の通行権利を有するか否かというサーバ装置30の判定結果が含まれる。
【0039】
改札機制御部204は、照合対象者が通行権利を有するか否かに応じて、改札機を制御する。改札機制御部204は、取得した応答が、照合対象者が通行権利を有するという判定結果を含む場合、改札機40の通行を許可する制御を行う。照合対象者が改札機40を通行する制御には、改札機40の通路に設けられた扉を開放する制御と、通行を許可されたことを照合対象者に提示する音声出力及び/又は表示の制御とが含まれる。また、改札機40は、取得した応答が、照合対象者が通行権利を有さない、という判定結果を含む場合、改札機40の通行を遮る制御を行う。改札機40の通行を遮る制御には、改札機40の通路に設けられた扉を閉扉する制御と、通行を禁止されたことを照合対象者に提示する音声出力及び/又は表示の制御とが含まれる。
【0040】
サーバ装置30は、記憶部301と、顔照合部302と、通信部303と、を有する。サーバ装置30は、クラウドサーバであってもよい。
【0041】
記憶部301には、予め、登録者から取得した顔画像を含む登録者の情報が記憶される。登録者は、顔照合処理の結果に基づいて改札機40の通行を可能とするサービスを受けるために、情報を登録する人物である。登録される情報には、登録者の顔特徴量が含まれる。また、記憶部301には、登録者のそれぞれが通行権利を有するか否かの情報も記憶される。
【0042】
顔照合部302は、顔照合の依頼を、通信部203を介して、制御装置20から取得し、顔照合を行う。顔照合部302は、顔照合の依頼に含まれる、照合対象者の顔特徴量と、記憶部301に記憶された、登録者の顔特徴量とを照合し、照合対象者の顔特徴量と登録者の顔特徴量との間の類似度を示すスコアを、登録者それぞれについて算出する。そして、顔照合部302は、最も高いスコアが閾値以上である場合、照合対象者が、最も高いスコアに対応する登録者である、と特定する。顔照合部302は、照合対象者が登録者の中の誰であるかを特定した場合、特定された登録者が、通行権利を有するか否かを判定する。例えば、特定された登録者が、乗車券を購入している場合、特定された登録者に該当する照合対象者が、通行権利を有する、と判定する。
【0043】
なお、顔照合部302は、照合対象者が登録者の中の誰であるかを特定できなかった場合、及び、照合対象者が登録者の中の誰であるかを特定できたが、特定された登録者が通行権利を有さなかった場合、照合対象者が通行権利を有さない、と判定する。
【0044】
顔照合部302は、顔照合の結果を含む応答を、制御装置20に送信する。例えば、応答には、照合対象者が通行権利を有するか否かを示す判定結果が含まれる。
【0045】
なお、
図2に示すシステム構成では、制御装置20と、サーバ装置30とは、別々の装置である例を示したが、本開示はこれに限定されない。制御装置20は、サーバ装置30と一体的に構成されてもよい。また、
図2に示すシステム構成では、制御装置20は、改札機40と有線又は無線により接続する例を示したが、制御装置20は、改札機40に内蔵されてもよい。また、本実施の形態に係る通過管理システム1には、
図2に示される構成の一部が省略されてもよいし、
図2に示されない構成が追加されてもよい。例えば、改札機40には、照明が搭載されてもよい。搭載される照明の明るさ、色、照射範囲、照射角度等は、固定されてもよいし、制御装置20の改札機制御部204によって制御されてもよい。
【0046】
<通過意志判定処理の例>
通過意志判定処理の例を説明する。通過意志がある人物は、徐々に、改札機40に近づいてくることが想定される。一方で、通過意志がない人物は、改札機40に近づかずに、周辺にて静止または周辺を移動することが想定される。そこで、本実施の形態では、改札機40に対する照合対象者の位置に関連するパラメータに基づいて、照合対象者の通過意志の有無を判定する。別言すると、本実施の形態では、改札機40に対する照合対象者の位置に関連するパラメータに基づいて、照合対象者の顔照合処理を行うか否かを判定する。そして、本実施の形態では、制御装置20が、例示的に、顔画像から照度及び/又はブラーを検出し、照度及び/又はブラーの変化に基づいて、通過意志の有無を判定する。
【0047】
図3は、通過意志がある照合対象者の移動例を示す図である。
図3には、改札機40に設けられたカメラ10が、通過意志がある照合対象者を撮影した場合の、撮影した画像が時系列で示される。
【0048】
図3に示すように、通過意志がある照合対象者の場合、時間が経過するとともに、改札機40に搭載される照明に近づくため、顔画像の照度が上がる。また、通過意志がある照合対象者の場合、時間が経過するとともに、改札機40に設けられるカメラ10に近づき、カメラ10のピントが照合対象者に合ってくるため、ブラーが小さくなる。
【0049】
図4は、通過意志がない照合対象者の移動例を示す図である。
図4には、改札機40に設けられたカメラ10が、通過意志がない照合対象者を撮影した場合に、撮影した画像が時系列で示される。
【0050】
図4に示すように、通過意志がない照合対象者の場合、時間が経過しても、改札機40に搭載される照明に近づかないため、顔画像の照度が上がらない。また、通過意志がない照合対象者の場合、時間が経過しても、改札機40に設けられるカメラ10に近づかず、カメラ10のピントが照合対象者に合わないため、ブラーが小さくならない。
【0051】
図3、
図4に例示したように、通過意志の有無に応じて、照度及びブラーが異なる。そこで、本実施の形態では、例示的に、顔画像から検出される照度及び/又はブラーに基づいて、通過意志の有無が判定される。
【0052】
例えば、制御装置20の意志判定処理部202は、照合対象者の顔画像から照度を検出し、照度が規定の範囲内である場合、照合対象者の通過意志があると判定し、照度が規定の範囲内ではない場合、照合対象者の通過意志がない、と判定する。あるいは、意志判定処理部202は、照合対象者の顔画像からブラーを検出し、ブラーが規定の範囲内である場合、照合対象者の通過意志があると判定し、ブラーが規定の範囲内ではない場合、照合対象者の通過意志がない、と判定する。あるいは、意志判定処理部202は、照度とブラーとを検出し、照度が規定の範囲内、及び/又は、ブラーが規定の範囲内である場合に、照合対象者の通過意志があると判定し、そうでない場合、照合対象者の通過意志がない、と判定してもよい。上述した通り、照度は改札機40に搭載される照明に近づくほど上がり、ブラーは改札機40に設けられるカメラ10に近づくほど小さくなる。そのため、通過意志があると判定する照度の値の範囲としては所定の閾値より高い範囲にしたり、ブラーの値の範囲としては所定の閾値より低い範囲にしたりするとよい。
【0053】
なお、照度と比較される規定の範囲と、ブラーと比較される規定の範囲とは、異なってもよい。また、規定の範囲は、当該範囲の上限の閾値と下限の閾値との両方が規定されてもよいし、当該範囲の上限の閾値と下限の閾値との一方が規定されてもよい。例えば、照度と比較される規定の範囲が下限の閾値のみによって規定される場合、意志判定処理部202は、照度が下限の閾値以上である場合、照合対象者の通過意志があると判定し、照度が下限の閾値以上ではない場合、照合対象者の通過意志がない、と判定する。なお、規定の範囲が狭いほど(例えば、下限の閾値が大きいほど、及び/又は、上限の閾値が小さいほど)、通過意志があると判定する基準が厳しくなる。
【0054】
また、例えば、制御装置20の意志判定処理部202は、時間の経過に対する照度の変化、及び/又は、時間の経過に対するブラーの変化に基づいて、通過意志の有無を判定してもよい。例えば、意志判定処理部202は、複数の時点において撮影された画像のそれぞれから検出される照度及び/又はブラーの画像の間の変化に基づいて、通過意志の有無を判定する。
【0055】
例えば、照度の変化に基づいて通過意志の有無を判定する場合は以下のような判定を行う。意志判定処理部202は、時間が経過するごとに顔画像の照度が上がる場合は通過意志があるものと判定し、照度が上がらない場合(すなわち、照度が変化しなかったり、下がったりした場合)は、通過意志がないものと判定する。また、ブラーの変化に基づいて通過意志の有無を判定する場合は以下のような判定を行う。意志判定部202は、時間が経過するごとに顔画像のブラーが小さくなる場合は通過意志があるものと判定し、ブラーが小さくならない場合(すなわち、ブラーが変化しなかったり、大きくなったりした場合)は、通過意志がないものと判定する。なお、照度とブラーともに人物の微妙な移動及び/又は検出の誤差によって、細かい変化が検出されてしまうおそれがある。このような細かい変化まで通過意志の判定に反映すると、判定結果が不安定なものとなるため、誤差等と考えられる所定の範囲の変化は通過意志の判定には用いないようにしてもよい。なお、ここでの照度の変化、及び、ブラーの変化は、共通したカメラ10によって撮影された撮影画像から検出された照度、及び、ブラーによって算出されなくてもよい。
【0056】
なお、制御装置20の意思判定処理部202は、照度及びブラーの一方の値と他方の変化とに基づいて通過意志の有無を判定してもよい。例えば、照度が規定の範囲内であり、かつ、ブラーの変化が所定の基準に合致している場合に通過の意志があると判定してもよい。例えば、この場合、照度の変化は考慮されず、ブラーの変化が考慮される。このように、照度及びブラーの一方の変化を考慮せず、他方の変化を考慮する判定により、照度及びブラーの一方が細かい変化であることによって判定結果が不安定になることを回避でき、照度及びブラーの両方に基づく判定結果の精度を向上できる。
【0057】
なお、通過意志の有無の判定に用いられる規定の範囲は、改札機40の設置場所(例えば、改札機40の周辺の明るさ、改札機40の周辺の人の流れ)と、カメラ10の性能(焦点距離、露光時間、ゲイン等)に基づいて、予め設定されてもよいし、動的に、変更されてもよい。
【0058】
<処理の流れ>
図5は、本実施の形態における顔照合処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図5に示すフローは、例えば、改札機40の動作が開始した場合に、開始される。
【0059】
カメラ10は、改札機40の周辺を撮影する(S101)。
【0060】
制御装置20は、顔検出処理を行う(S102)。顔検出処理では、撮影された画像の中に人物の顔に相当する範囲を示す顔枠が存在するか否かが検出される。
【0061】
制御装置20は、顔枠が検出されたか否かを判定する(S103)。
【0062】
顔枠が検出されない場合(S103にてNO)、制御装置20は、顔枠無しの処理を実行する(S104)。顔枠無しの処理では、例えば、撮影された画像を破棄する等の処理が行われてもよい。あるいは、顔枠無しの処理では、後続の処理を行わなくてもよい。そして、フローは、S101へ戻る。
【0063】
顔枠が検出された場合(S103にてYES)、制御装置20は、通過意志判定処理を行う(S105)。通過意志判定処理によって、検出された顔枠に対応する照合対象者が、通過意志があるか否かが判定される。通過意志判定処理の流れについては後述する。
【0064】
通過意志判定処理の結果に基づいて、制御装置20は、照合対象者の通過意志があるか否かを判定する(S106)。
【0065】
通過意志がないと判定された場合(S106にてNO)、制御装置20は、通過意志無しの処理を実行する(S107)。通過意志無しの処理には、例えば、制御装置20は、検出された顔枠が通過意志のない顔枠であることを記録する処理が含まれる。そして、フローは、S101へ戻る。
【0066】
通過意志があると判定された場合(S106にてYES)、制御装置20は、サーバ装置1へ顔照合処理を依頼する(S108)。
【0067】
制御装置20は、顔照合処理の依頼に対する応答をサーバ装置1から取得し、照合対象者の通行権利の有無を判定する(S109)。
【0068】
通行権利が無い場合(S109にてNO)、制御装置20は、照合対象者が不正侵入を行う可能性がある、と判定する(S110)。
【0069】
通行権利が有る場合(S109にてYES)、制御装置20は、照合対象者が正常進入である、と判定する(S111)。
【0070】
次に、
図5のS105における通過意志判定処理を説明する。
【0071】
図6は、
図5のS105における通過意志判定処理の流れを示すフローチャートである。
【0072】
制御装置20は、検出された顔枠の顔枠追跡処理を行う(S201)。顔枠追跡処理では、現時点にて検出された顔枠と、現時点よりも前に検出された顔枠とを比較し、2つの顔枠の検出タイミングの差である経過時間と、2つの顔枠の座標変化とを決定する。そして、決定した経過時間及び/又は座標変化に基づいて、2つの顔枠が同じ照合対象者の顔枠であるか否かを判定する。なお、同じ照合対象者の顔枠であるか否かは他の手法によって判定されてもよい。例えば、顔照合処理が通過意志判定処理と並列して行われている場合は、顔照合処理の途中結果を参照して、照合対象者が同じであるかを推定したりしてもよい。
【0073】
制御装置20は、現時点にて検出された顔枠の顔画像から照度及びブラーを検出する(S202)。
【0074】
制御装置20は、照度及びブラーが規定の範囲内であるか否かを判定する(S203)。
【0075】
照度及びブラーの少なくとも一方が規定の範囲内でない場合(S203にてNO)、S207の処理が実行される。
【0076】
照度及びブラーの両方が規定の範囲内である場合(S203にてYES)、制御装置20は、現時点にて検出された顔枠が、現時点よりも前に既に検出された顔枠であるか否かを判定する(S204)。この判定は、S201における顔枠追跡処理の結果に基づいて行われる。
【0077】
現時点にて検出された顔枠が現時点よりも前に既に検出された顔枠である場合(S204にてYES)、制御装置20は、前回検出された顔枠の照度と今回検出された顔枠の照度との差(以下、照度差)が規定の範囲内であり、かつ、前回検出された顔枠のブラーと今回検出された顔枠のブラーとの差(以下、ブラー差)が規定の範囲内である、という条件(以下、「差分についての判定条件」)を満たすか否かを判定する(S205)。
【0078】
現時点よりも前に既に検出された顔枠ではない場合(S204にてNO)、または、差分についての判定条件を満たす場合(S205にてYES)、制御装置20は、現時点にて検出された顔枠の照合対象者が通過意志あり、と判定する(S206)。
【0079】
照度及びブラーの少なくとも一方が規定の範囲内でない場合(S203にてNO)、または、差分についての判定条件を満たさない場合(S205にてNO)、制御装置20は、現時点にて検出された顔枠の照合対象者が通過意志なし、と判定する(S207)。
【0080】
そして、
図6に示すフローは終了し、制御装置20は、
図5のS106の処理を実行する。
【0081】
なお、
図6では、S201において顔枠追跡処理が行われる例を示したが、本開示はこれに限定されない。例えば、S205の処理のように、照度差、及び/又は、ブラー差に基づく判定が行われない場合、S201の処理が省略されてもよい。また、S201の処理が省略される場合、S204及びS205の処理が省略されてもよい。この場合、S203において、照度及びブラーの両方が規定の範囲内である場合(S203にてYES)、制御装置20は、現時点にて検出された顔枠の照合対象者が通過意志あり、と判定する。また、照度及びブラーの少なくとも一方が規定の範囲内でない場合(S203にてNO)、制御装置20は、現時点にて検出された顔枠の照合対象者が通過意志なし、と判定する(S207)。
【0082】
なお、
図6では、照度及びブラーを通過意志判定のパラメータとして使用する例を示したが、本開示はこれに限定されない。照度とブラーの一方が、通過意志判定のパラメータとして使用され、他方は、使用されなくてもよい。
【0083】
また、
図6では、照度及びブラーを通過意志判定のパラメータとして使用する例を示したが、照度の使用と、ブラーの使用とが、切り替えられてもよい。あるいは、照度とブラーの一方が、他方よりも重視されてもよい。例えば、照度がブラーよりも重視されるケースにおいて、照度に基づく判定結果と、ブラーに基づく判定結果とが異なる場合に、照度に基づく判定結果が採用される。また、判定結果が、通過意志の有無を反映した確率(例えば、現時点から所定時間内にゲートを通過する確率)等の数値で得られる場合は、制御装置20は、照度に基づく判定結果とブラーに基づく判定結果とを合成した結果を用いて通過意志判定を行ってもよい。この場合、制御装置20は、照度とブラーのどちらを重視するのかに応じて、重みに差をつけて照度に基づく判定結果とブラーに基づく判定結果との2つの判定結果を合成したりしてもよい。判定結果が確率等の数値で得られる場合は、制御装置20は、その数値が所定の閾値以上であれば通過意志があるものと判定し、所定の閾値未満であれば通過意志がないものとして判定してもよい。
【0084】
例えば、照度は、周囲の光は明るすぎると、人物の位置による変化が乏しくなる。そのため、改札機40の周囲の光が所定レベルよりも低い場合(例えば、夕刻、夜間、曇天時等)に、照度に基づく判定結果をブラーに基づく判定結果よりも優先する。具体的には照度とブラーのうち、照度のみを使用して通過意志を判定したり、あるいは、照度に基づく判定結果をブラーに基づく判定結果よりも重視するような重みを付けて2つの判定結果を合成したりする。なお、改札機40の周囲の光が所定レベル以上である場合(例えば、日中、または、晴天時)に、ブラーに基づく判定結果を照度に基づく判定結果よりも優先する。具体的には照度とブラーのうち、ブラーのみを使用して通過意志を判定したり、あるいは、ブラーに基づく判定結果を照度に基づく判定結果よりも重視するような重みを付けて2つの判定結果を合成したりする。なお、改札機40の周囲の光の明るさの検出方法は特に限定されない。例えば、制御装置10が、カメラ10によって撮影された画像の照度によって周囲の光の明るさを検出してもよいし、改札機40を俯瞰して撮影するカメラの映像を用いて周囲の光の明るさを検出してもよい。また、制御装置20ではなく、他の装置が改札機40の周囲の光の明るさを検出し、制御装置20は、他の装置(明るさを検出するセンサ)から、周囲の光の明るさを取得してもよい。
【0085】
例えば、ブラーは、合焦距離と人物の距離のズレを反映するため、人物がカメラ10に近い場合と、人物がカメラ10から遠い場合とで、同じ結果が出てしまう可能性がある。そのため、人物とカメラ10との間の距離が合焦距離よりも遠い場合、ブラーに基づく判定結果を照度に基づく判定結果よりも優先する。具体的には、照度とブラーのうち、ブラーのみを使用して通過意志を判定したり、あるいは、ブラーに基づく判定結果を照度に基づく判定結果よりも重視するような重みを付けて2つの判定結果を合成したりする。また、人物とカメラ10との間の距離が合焦距離よりも近い場合、照度に基づく判定結果をブラーに基づく判定結果よりも優先する。具体的には照度とブラーのうち、照度のみを使用して通過意志を判定したり、あるいは、照度に基づく判定結果をブラーに基づく判定結果よりも重視するような重みを付けて2つの判定結果を合成したりする。なお、人物とカメラ10との間の距離は、ブラー以外の手段で判定されてもよい。例えば、制御装置20は、改札機40を俯瞰して撮影するカメラの映像を用いて人物の頭と思われる部位の位置とカメラ10との間の距離を判定してもよい。また、制御装置20は、顔枠の大きさなどから人物とカメラ10との間の距離を判定してもよい。この場合、人物の画像にはブラーが含まれているため、顔枠の大きさが正確に推定できず、人物とカメラ10との間の距離の判定を誤る可能性がある。しかし、本実施の形態では、通過意志の判定は、照度またはブラーを用いて行われるので、人物とカメラ10との間の距離は通過意志の判定に間接的にしか影響しない。したがって、人物とカメラ10との間の距離の判定の誤りは、ある程度は許容することができる。なお、人物とカメラ10との間の距離は、制御装置20ではない他の装置によって判定され、制御装置20は、他の装置によって判定された距離を取得してもよい。
【0086】
なお、
図6では、顔画像の照度及びブラーを通過意志判定のパラメータとして使用する例を示したが、本開示はこれに限定されない。顔以外の部分の照度及びブラーを通過意志判定のパラメータとして使用してもよい。
【0087】
通過意志判定のパラメータとして、照度及びブラーと異なるパラメータが使用されてもよい。例えば、顔の向き、顔枠の座標の変化、顔枠のサイズの変化の少なくとも1つが、通過意志判定のパラメータとして使用されてもよい。あるいは、照度及び/又はブラーと、顔の向き、顔枠の座標の変化、顔枠のサイズの変化の少なくとも1つとが、併用されてもよい。あるいは、これらの判定のパラメータに限らず、今後得られる情報が増えた場合や、カメラ位置の変化にも対応し、総合的に判断してもよい。
【0088】
図7は、通過意志判定に用いられるパラメータの例を示す図である。
図8には、各パラメータに関して、通過意志がないと判定されるケースと、通過意志があると判定されるケースとが表形式で示される。
【0089】
例えば、
図7には、顔の向きに関して、照合対象者の顔の向きが、左向き又は右向きである場合、通過意志がないと判定され、カメラ10に対して正面向きである場合、通過意志があると判定されることが示される。顔の向きは、改札機40に対する照合対象者の姿勢に関連するパラメータの一例である。
【0090】
図7には、照度に関して、照度が所定レベル未満である場合、通過意志がないと判定され、照度が所定レベル以上である場合、通過意志があると判定されることが示される。照度は、改札機40に対する照合対象者の位置に関連するパラメータの一例である。
【0091】
図7には、顔枠の座標の変化に関して、顔枠のY軸方向の座標が変化しない場合、通過意志がないと判定され、顔枠のY軸方向の座標が変化する場合、通過意志があると判定されることが示される。なお、Y軸方向とは、撮影画像における縦方向に該当する。つまり、撮影画像における顔枠の位置が、撮影画像の縦方向に変化しない場合、通過意志がないと判定され、撮影画像の縦方向に変化する場合、通過意志があると判定される。顔枠の座標の変化は、改札機40に対する照合対象者の位置に関連するパラメータの一例である。
【0092】
図7には、ブラーに関して、ブラーが所定レベル以上の高い状態である場合、通過意志がないと判定され、ブラーが所定レベル未満に低下した場合、通過意志があると判定されることが示される。ブラーは、改札機40に対する照合対象者の位置に関連するパラメータの一例である。
【0093】
図7には、顔枠のサイズに関して、顔枠のサイズの変化がない、または、顔枠のサイズが小さくなる方向に変化する場合、通過意志がないと判定され、顔枠のサイズが大きくなる方向に変化する場合、通過意志があると判定されることが示される。顔枠のサイズは、改札機40に対する照合対象者の位置に関連するパラメータの一例である。
【0094】
以上、本実施の形態では、制御装置20の通信部201は、顔照合処理の結果に基づいて通過の可否が決定される改札機40(ゲートの一例)に進入する人物を、改札機40の出口から入口に向かう方向から撮影した、顔画像領域を含む画像を取得する。そして、意志判定処理部202(制御部の一例)は、画像から検出される、改札機40に対する人物の姿勢及び/又は改札機40に対する人物の位置に関連するパラメータ(例えば、照度及び/又はブラー)に基づいて、人物の顔照合処理を行うか否かを判定する。この構成によれば、カメラ10が撮影した画像に含まれる人物が、改札機を通過する意志があるか否か(別言すると、顔照合を行うか否か)を判定し、改札機を通過する意志がないと判定された人物の顔画像に対する顔照合処理を省略する。これにより、改札機を通過する意志があると判定された人物の顔照合処理に計算機リソースを集中でき、改札機制御における顔照合処理の処理時間を低減でき、顔照合処理の高速化を実現できる。また、顔照合処理の対象を、改札機を通過する意志があると判定された人物に減らすことができるため、顔照合の精度が向上する。
【0095】
また、本実施の形態によれば、例示的に、照度及びブラーに基づいて、通過意志を判定することによって、照合対象者の顔の大きさ等の個人差が生じるパラメータを用いずに判定でき、通過意志の判定精度を向上できる。また、本実施の形態によれば、照合対象者の装着物(例えば、帽子、マスク、眼鏡)による変化が少ないパラメータを用いて通過意志を判定できるため、通過意志の判定精度を向上できる。
【0096】
また、本実施の形態によれば、顔照合処理の高速化を実現できる。顔照合処理と通過意志の判定処理の関係としては、通過意志の判定処理を行い、通過意志があると判定された人物に対してのみ顔照合処理を行う構成と、通過意志の判定処理とは独立して顔照合処理を開始する構成が考えられる。前者の場合、本実施の形態によれば、通過意志がある人物を、当該人物が改札機40に進入する前に、推定することができるので、顔照合処理を行う対象を減らし、顔照合処理の高速化を実現することができる。後者の場合、本実施の形態では、通過意志がないと判定された時点で顔照合処理を中止することができるため、通過意志がないと判定された人物を誤って顔照合処理の対象にしてしまったとしても、消費される計算機リソースを抑制することができる。したがって、通過意志の有無にかかわらず、顔照合処理の前段階の処理及び/又は顔照合処理の一部の処理を、人物が改札機40から離れている段階で開始することで、顔照合処理の高速化を実現できる。特に、顔照合処理の前段階の処理である画像撮影と顔枠検出の処理との結果は、顔照合処理でも通過意志判定処理でも使用できるため、顔照合処理の前段階の処理を人物が改札機40から離れている段階で開始することで、通過意志が有ると判定された後の顔照合処理の開始も早めることができる。
【0097】
また、本実施の形態では、画像撮影と顔枠検出とは改札機側(例えば、カメラ10及び制御装置20)の処理として実施されているため、画像撮影と顔枠検出の処理の時点で顔照合処理に係る処理を中止すれば、制御装置20からサーバ装置30へ顔照合の依頼を行わないため、改札機(例えば、制御装置20)とサーバ装置30との通信量を抑制することができる。
【0098】
また、本実施の形態によれば、改札機が相対的に暗い場所(例えば、地下鉄の駅構内)において顔照合処理の精度が低下してしまうため、顔照合処理を早期に開始できないケースであっても、改札機制御における顔照合処理の処理時間を低減でき、顔照合処理の高速化を実現できる。
【0099】
例えば、周囲の環境が相対的に暗いケースにおいては、照度の変化、ブラーの変化が、周囲の環境が相対的に明るいケースと比較して大きくなる。そのため、照度またはブラーの誤差によって通過意志の判定結果が影響されにくくなり、本実施の形態は、例えば、周囲の環境が暗いケースにおいて、通過意志の判定精度を向上でき、顔照合処理の高速化を実現できる。なお、周囲の環境が暗いケースとは、例えば、地下鉄の駅の改札等のケースである。
【0100】
また、顔照合処理を用いた改札機では、通常、カメラと、改札機を通過しようとする照合対象者を照らす照明とが備えられている。この照明は、少なくとも改札機の出口から入口に向かって光が照射される構成を備えていればよい。例えば、改札機に備えられる照明は、レーザー光のように指向性がある光を発する照明であってもよいし、電球等のように放射状の光を発するものであってもよい。本実施の形態は、通常備えられているカメラ及び照明を使用するため、本実施の形態に係るシステムを適用する場合に、ハードウェアを追加しなくてよい。そのため、本実施の形態に係るシステムの適用に要するコストを削減できる。なお、照明は、改札機と一体として構成されていなくともよい。例えば、改札機から独立した光源が、別途設置されてもよいし、自然光を採光する窓として構成されていてもよい。すなわち、少なくとも改札機の出口から入口に向かって光が照射される構成であれば、光源の種類や構成は問わない。
【0101】
なお、上述した実施の形態において、1つの撮影画像において複数の顔枠が検出されてもよい。複数の顔枠が検出された場合には、複数の顔枠のそれぞれについて、上述した通過意志判定処理を含む顔照合処理が行われる。複数の顔枠のそれぞれについて、上述した通過意志判定処理が行われることによって、複数の顔枠に対する顔照合処理の優先順位が決定できるため、改札機制御における顔照合処理の処理時間を低減でき、顔照合処理の高速化を実現できる。
【0102】
なお、上述した実施の形態では、1つのカメラ10が設けられる例を示したが、本開示はこれに限定されない。改札機40に対して複数のカメラ10が設けられてもよい。この場合、通過意志判定に用いるパラメータが、複数のカメラ10の撮影画像から検出されてもよい。そして、複数のカメラ10の撮影画像の間でパラメータの差が算出され、算出されたパラメータの差に基づいて、通過意志の有無が判定されてもよい。
【0103】
なお、上述した実施の形態では、顔画像の照度及びブラーを通過意志判定のパラメータとして使用する例を示したが、本開示はこれに限定されない。顔以外の部分の照度及びブラーを通過意志判定のパラメータとして使用してもよい。また、顔以外の部分の照度及びブラーと、顔画像の照度及びブラーとを併用してもよい。
【0104】
1つの撮影画像に含まれる1人の人物の顔以外の部分の照度及びブラーと、顔画像の照度及びブラーとは、整合性が図れる。例えば、1人の人物の顔以外の部分の照度と、顔画像の照度との差は、所定値未満である。また、例えば、1人の人物の顔以外の部分のブラーと、顔画像のブラーとの差は、所定値未満である。
【0105】
一方で、1つの撮影画像に含まれる、互いに異なる人物の顔以外の部分の照度及びブラーと、顔画像の照度及びブラーとは、整合性が図れないことが考えられる。例えば、1つの撮影画像に含まれる2人の人物を人物#1及び人物#2とした場合、人物#2の顔以外の部分の照度と、人物#1の顔画像の照度との差は、所定値以上である可能性が高い。
【0106】
そこで、顔以外の部分の照度及びブラーと、顔画像の照度及びブラーとの関係に基づいて、改札機への割り込みを判定してもよい。
【0107】
図8は、割り込み判定の一例を示す図である。
図8には、カメラ10によって撮影された画像において、顔枠を検出された人物#1と、人物#1の前に割り込む人物#2とが示される。なお、人物#2は、顔を意図的に隠しているため、顔枠が検出されない。
【0108】
図8において、カメラ10からの距離が2人の人物の間で異なるため、人物#1の顔画像の照度は、人物#2の顔以外の部分(
図8では上半身)の照度よりも暗い。そのため、人物#1の顔枠の顔画像の照度と、人物#2の顔以外の部分の照度との差は、所定値以上となる可能性がある。このように、照度の差と所定値とを比較することによって、割り込みが発生しているか否かが判定できる。
【0109】
なお、上述した実施の形態において、周囲の環境に応じて、通過意志判定処理の方法、及び/又は、通過意志判定処理に関連するパラメータが調整されてもよい。
【0110】
例えば、改札機40の周囲が所定値以上に明るい場合に、カメラ10が撮影する範囲に対して照射される照明の光の強さが調整される。
【0111】
例えば、人工照明によって改札機40の周囲が所定値以上に明るい場合、周囲の明るさが安定しているため、改札機40の近くの照明を暗めに設定する。
【0112】
例えば、自然光によって改札機40の周囲が所定値以上に明るい場合、改札機40に近づくほど改札機40の照明の影響が大きくなる。そのため、「通過意志がある」と判定する基準を以下のように調整される。
・自然光がカメラ10に対して逆光の場合、例えば、制御装置20の改札機制御部204は、改札機40の照明を明るめに設定する。これにより、人物が改札機40に近づくと人物の照度が上がる。この性質を利用し、制御装置20の意志判定処理部202は、人物の照度が上がっていることが検知される場合、当該人物の通過意志があると判定し、人物の照度が上がっていないことが検知される場合、当該人物の通過意志がないと判定する。
・自然光がカメラ10に対して順光である場合、制御装置20の改札機制御部204は、改札機40の照明を暗めに設定する。これにより、人物が改札機40に近づくと人物の照度が下がる。この性質を利用し、制御装置20の意志判定処理部202は、人物の照度が下がっていることが検知される場合、当該人物の通過意志があると判定し、人物の照度が下がっていないことが検知される場合、当該人物の通過意志がないと判定する。
【0113】
なお、ここでの逆光は、光が、改札機40(又はカメラ10)に向かってくる人物の背後からさすことを示し、順光は、光が、カメラ10の方向から改札機40(又はカメラ10)に向かってくる人物の方向へさすことを示す。
【0114】
逆光及び/又は順光は、画像に設けた基準点の明るさなどから自動で判定され、判定結果に基づいて、通過意志の有無の判断基準と、照明の明るさとが調整されてもよい。
【0115】
通過意志判定の正確性の評価結果は、逆光/順光の判断基準に基づいて、補正してもよい。例えば、順光向けの設定で正確な結果が出ている場合、逆光では、判定する基準を厳しくする。
【0116】
なお、上記の例では、逆光または順光が発生しているかに応じて、改札機40の照明の明るさも調整しているが、照明の調整は省略されてもよい。ただし、照明の明るさの調整は、逆光または順光の影響をより際立たせる効果があるため、照明の明るさも調整した方が通過意志の判定の精度は向上する。
【0117】
また、逆光または順光を発生させる光源は自然光には限らず、改札機40の設置されている施設の光源等、他の光源の影響により逆光または順光が発生する場合もある。これらの場合も、上記と同様の基準で通過意志の有無を判定してもよい。
【0118】
なお、上述した実施の形態では、通過意志の判定の後に、顔照合処理が行われる例を示したが、通過意志の判定が完了したか否かにかかわらず、顔照合処理が開始されてもよい。この場合も、通過意志がないと判定され次第、顔照合処理を中止すれば、処理負荷を軽減できる。
【0119】
例えば、改札機40の内部まで入ってしまった場合には顔照合処理が強制的に開始される。顔照合処理を開始する限界の位置は、顔照合開始限界位置と記載される。顔照合開始限界位置は、顔照合が完了するまでに、改札機40を通過しないことが想定できる位置である。顔照合開始限界位置よりも改札機40に近い位置で、顔照合が開始された場合、顔照合が完了するよりも前に改札機40を通過しようとしてしまう。なお、人物が顔照合開始限界位置を通過したか否かの判定は、通過意志の判定とは別の方法(例えば、センサを用いた方法)を用いてもよい。
【0120】
通過意志の判定が未完了のまま、人物が顔照合開始限界位置まで進入している場合、通過意志の判定に失敗している可能性が高い。そのため、制御装置20は、人物が顔照合開始限界位置まで進入している場合、その後、通過意志の判定結果が得られたとしても、顔照合処理を最後まで実施するようにしてもよい。
【0121】
また、制御装置20は、顔照合開始限界位置よりも前の位置(顔照合開始位置)から顔照合処理の前段階の処理及び/又は顔照合処理の一部の処理を開始するようにしてもよい。この場合、人物が顔照合開始位置まで進入した段階で顔照合処理の前段階の処理及び/又は顔照合処理の一部の処理が開始される。例えば、顔照合処理の前段階の処理として画像撮影と顔枠検出の処理が開始される。画像撮影と顔枠検出の処理の結果は、通過意志の判定でも使用できる一方、画像撮影と顔枠検出の処理以降の処理は、人物に通過意志がない場合に無駄な処理となる可能性が高い。そのため、人物が顔照合開始限界位置まで進入した場合、または、人物に通過意志があると判定された場合のみ、画像撮影と顔枠検出の処理以降の処理が開始されるようにしてもよい。なお、顔照合開始位置は、周囲の明るさに応じて調整されてもよい。例えば、周囲が明るいほど顔照合を高精度かつ高速に行うことができるため、顔照合開始位置を改札機40に近づけてもよい。
【0122】
図9は、顔照合開始位置と明るさとの関係の例を示す図である。
図9には、改札機40を俯瞰して見た3つのケースが示されている。
図9の「明るいケース」は、周囲の明るさが所定のレベル以上であるケースに対応し、
図9の「暗いケース」は、周囲の明るさが所定のレベル未満であるケースに対応する。また、3つのケースのそれぞれにおいて、左側は、人物が改札機40に向かっている状態、つまり、通過意志がある状態を示し、右側は、人物が改札機40に向かっていない状態、つまり、通過意志がない状態を示す。
【0123】
図9のケース1及びケース2は、「暗いケース」である。「暗いケース」では、顔照合開始位置は、「明るいケース」よりも、改札機40から遠く設定される。この場合、制御装置20は、顔照合開始位置を通過した人物を対象に、画像撮影と顔枠検出の処理を行い、その結果に基づいて通過意志の判定を行うことで、通過意志がない人物(ケース2の右側の人物)を顔照合処理の対象から除外することができる。これにより、無駄な顔照合処理が行われる可能性を低減できる。すなわち、本実施の形態の通過意志の判定は、特に「暗いケース」における処理負荷を低減する効果を有する。
【0124】
一方、「明るいケース」では、顔照合処理を短時間で行うことができるため、顔照合開始位置を改札機40に近づけることで、通過意志のない人物がそもそも顔照合処理の対象となり得ないように除外することもできる。このような場合には、通過意志判定の処理を実施しても、人物が顔照合開始限界位置に到達する前に結果が得られる可能性は低いため、通過意志判定を行わないようにしてもよい。
【0125】
また、顔照合開始位置を、顔照合処理を開始する位置としてもよい。すなわち、人物が顔照合開始位置に到達するより前に、画像撮影と顔枠検出の処理が終了しているものとしてもよい。このようにすることで、制御装置20は、顔枠検出の結果を用いて人物が顔照合開始位置に到達したか否かを判定することができるので、人物の位置(例えば、人物とカメラ10との間の距離)を推定するための他のセンサ等が不要になる。また、この場合、画像撮影および顔枠検出の結果に基づいて通過意志があると判定された人物のみを対象として顔照合処理を行う構成としてもよい。このようにすることで、負荷の重い顔照合処理が行われる対象となる人物を、通過意志があると判定された人物に限定することができる。更に、この場合、通過意志があると判定する基準を調整することで顔照合開始位置を調節可能としてもよい。例えば、
図9に示すように、周囲が明るいほど、通過意志があると判定する基準を厳しくし、顔照合開始位置を改札機40に近づけてもよい。この場合、ケース2に示すように、顔照合開始位置よりも改札機40に近い位置では、通過意志がある人物の顔照合処理が行われる。なお、通過意志があると判定する基準を厳しくする際には、例えば、照度の値がより大きいこと、ブラーの値がより小さいこと、照度又はブラーの変化量がより大きいことなどを通過意志があると判定する基準としてもよい。例えば、制御装置20の意志判定処理部202が、照度が閾値以上である場合に照合対象者の通過意志があると判定するケースでは、照度と比較される閾値を大きくすることによって、通過意志があると判定する基準を厳しくしてもよい。このようにすることで、人物がより改札機40に接近していないと通過意志があると判定されにくくなる。
【0126】
通過意志があると判定する基準を厳しくする場合、顔照合処理が開始される位置(顔照合開始位置)が改札機40に近づく。このような場合、カメラ10の焦点を改札機40に近づけたり、露光時間を下げたりすると、顔認証開始位置を改札機40に近づけられる。なお、これらの調整を行う場合、撮影した画像内での顔の明るさも変わってしまうため、ブラーによる通過意志の判定結果を重視するように制御してもよい。
【0127】
なお、顔照合処理のエラーを含む改札機の制御のエラーを回避する処理が追加されてもよい。例えば、認証開始位置の付近で顔照合が開始された人物が実際に改札機40を通過する割合によって、通過意志の判定の正確性が評価されてもよい。例えば、顔照合が開始された人物が改札機40を通過する割合が、閾値よりも低い場合、アラートを発して改札機40の再調整を促してもよい。
【0128】
なお、上述した実施の形態は、駅の改札機を例に挙げて説明したが、本開示は、駅の改札機に限定されない。駅以外の空港、オフィスなどに設置され、特定の人物の進入を許可し、特定の人物以外の進入を遮るゲートに対して適用されてもよい。また、本開示を、人物の通行を規制する扉を備えていないゲートに対して適用してもよい。
【0129】
なお、上述した実施の形態において照度またはブラーの変化に基づいて、通過意志を判定する構成を採用する場合、照度またはブラーの変化がない場合は、通過意志があると判定してもよいし、通過意志が無いと判定してもよい。このような状況は、例えば、人物が立ち止まっている場合に発生する。例えば、人物は、通過意志がある場合には、前方の人物等との間隔をあけるために、あるいは、その他の理由のために立ち止まることがある。また、例えば、人物は、通過意志がない場合には、改札機を観察するために、あるいは、その他の理由のために、立ち止まることがある。そのため、立ち止まりが想定される照度またはブラーの変化がない場合は、改札機を含む通過管理システムを管理する運営者の意向等に応じて、通過意志があると判定するようにしてもよいし、通過意志が無い、と判定するようにしてもよい。また、立ち止まりを示す判定結果を設けて、通過する意志があるとも無いとも判定するようにしてもよい。また、立ち止まりを示す判定結果を設けて、通過意志があるという判定結果と、通過意志がないという判定結果と、立ち止まりという判定結果との3つの何れかの判定結果が得られてもよい。この場合、立ち止まりと判定された人物については、更に追加の情報を用いて、通過意志があるものとして取り扱うか、または、通過意志がないものとして取り扱うかを決定してもよい。例えば、現在のシステム全体の処理能力に余裕がある場合(例えば、顔照合処理の負荷が所定レベルより少ない場合)は、立ち止まりも通過意志があるものとして取り扱い、現在のシステム全体の処理能力に余裕がない場合(例えば、顔照合処理の負荷が所定レベル以上である場合)は通過意志がないものとして取り扱うこと等が考えられる。なお、照度またはブラーの変化がない場合とは、照度またはブラーの変化が所定の範囲内である場合と捉えてもよい。
【0130】
本開示は、ゲートレスの通過管理システムに適用されてもよい。例えば、或る第1の地点から第2の地点を通過し第3の地点へ向かう移動が、特定の人物に対して許可され、特定の人物以外の人物に許可されないケースにおいて、或る人物が第3の地点へ移動する意志があるか否かが、第2の地点から第1の地点を撮影した画像から検出されるパラメータに基づいて、判定されてもよい。
【0131】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。
【0132】
上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部又は全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0133】
集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0134】
さらには、半導体技術の進歩又は派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてありえる。
【0135】
本開示は、通信機能を持つあらゆる種類の装置、デバイス、システム(通信装置と総称)において実施可能である。通信装置は無線送受信機(トランシーバー)と処理/制御回路を含んでもよい。無線送受信機は受信部と送信部、またはそれらを機能として、含んでもよい。無線送受信機(送信部、受信部)は、RF(Radio Frequency)モジュールと1または複数のアンテナを含んでもよい。RFモジュールは、増幅器、RF変調器/復調器、またはそれらに類するものを含んでもよい。通信装置の、非限定的な例としては、電話機(携帯電話、スマートフォン等)、タブレット、パーソナル・コンピューター(PC)(ラップトップ、デスクトップ、ノートブック等)、カメラ(デジタル・スチル/ビデオ・カメラ等)、デジタル・プレーヤー(デジタル・オーディオ/ビデオ・プレーヤー等)、着用可能なデバイス(ウェアラブル・カメラ、スマートウオッチ、トラッキングデバイス等)、ゲーム・コンソール、デジタル・ブック・リーダー、テレヘルス・テレメディシン(遠隔ヘルスケア・メディシン処方)デバイス、通信機能付きの乗り物又は移動輸送機関(自動車、飛行機、船等)、及び上述の各種装置の組み合わせがあげられる。
【0136】
通信装置は、持ち運び可能又は移動可能なものに限定されず、持ち運びできない又は固定されている、あらゆる種類の装置、デバイス、システム、例えば、スマート・ホーム・デバイス(家電機器、照明機器、スマートメーター又は計測機器、コントロール・パネル等)、自動販売機、その他IoT(Internet of Things)ネットワーク上に存在し得るあらゆる「モノ(Things)」をも含む。
【0137】
また、近年、IoT(Internet of Things)技術において、フィジカル空間とサイバー空間の情報連携により新たな付加価値を作りだすという新しいコンセプトであるCPS(Cyber Physical Systems)が注目されている。上記の実施の形態においても、このCPSコンセプトを採用することができる。
【0138】
すなわち、CPSの基本構成として、例えば、フィジカル空間に配置されるエッジサーバと、サイバー空間に配置されるクラウドサーバとを、ネットワークを介して接続し、双方のサーバに搭載されたプロセッサにより、処理を分散して処理することが可能である。ここで、エッジサーバまたはクラウドサーバにおいて生成される各処理データは、標準化されたプラットフォーム上で生成されることが好ましく、このような標準化プラットフォームを用いることで、各種多様なセンサ群やIoTアプリケーションソフトウェアを含むシステムを構築する際の効率化を図ることができる。
【0139】
通信には、セルラーシステム、無線LANシステム、通信衛星システム等によるデータ通信に加え、これらの組み合わせによるデータ通信も含まれる。
【0140】
また、通信装置には、本開示に記載される通信機能を実行する通信デバイスに接続又は連結される、コントローラやセンサ等のデバイスも含まれる。例えば、通信装置の通信機能を実行する通信デバイスが使用する制御信号やデータ信号を生成するような、コントローラやセンサが含まれる。
【0141】
また、通信装置には、上記の非限定的な各種装置と通信を行う、あるいはこれら各種装置を制御する、インフラストラクチャ設備、例えば、基地局、アクセスポイント、その他あらゆる装置、デバイス、システムが含まれる。
【0142】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、開示の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【0143】
以上、本開示の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0144】
本開示の一実施例は、顔認証システムに好適である。
【符号の説明】
【0145】
1 通過管理システム
10 カメラ
20 制御装置
30 サーバ装置
40 改札機
201 通信部
202 意志判定処理部
203 顔照合処理部
204 改札機制御部
301 記憶部
302 顔照合部
303 通信部