(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179494
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】蓄電セルおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20241219BHJP
H01M 50/107 20210101ALI20241219BHJP
H01G 9/08 20060101ALI20241219BHJP
H01G 2/10 20060101ALI20241219BHJP
H01G 11/78 20130101ALI20241219BHJP
【FI】
H01M10/04 W
H01M50/107
H01G9/08 D
H01G2/10 M
H01G11/78
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023098377
(22)【出願日】2023-06-15
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 武志
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 隆太
(72)【発明者】
【氏名】上薗 知之
(72)【発明者】
【氏名】池田 丈典
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祐希
(72)【発明者】
【氏名】木村 健太
【テーマコード(参考)】
5E078
5H011
5H028
【Fターム(参考)】
5E078HA03
5H011AA09
5H011KK01
5H028AA08
5H028CC08
5H028CC10
5H028CC13
5H028CC26
5H028HH00
5H028HH05
(57)【要約】
【課題】応力集中の緩和。
【解決手段】蓄電セルは、セルケースおよび巻回電極体を含む。セルケースは、円筒形である。セルケースは、巻回電極体を収納している。巻回電極体は、第1電極、セパレータ、第2電極および固定部材を含む。第1電極は、第1箔を含む。第2電極は、第2箔を含む。巻回電極体の巻回方向において、第1電極は第1終端部を有する。第2電極は第2終端部を有する。セパレータは第3終端部を有する。巻回方向において、第2終端部は、第1終端部から第3終端部までの範囲以内に位置している。第1終端部は、第1箔からなる。第2終端部は、第2箔からなる。固定部材は、第3終端部において、巻回電極体を固定している。固定部材は、式「0.9×T2≦Tf≦1.1×(T1+T2)」の関係を満たす。T1は、第1箔の厚さを示す。T2は、第2箔の厚さを示す。Tfは、固定部材の最大厚さを示す。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルケースおよび巻回電極体を含み、
前記セルケースは、円筒形であり、
前記セルケースは、前記巻回電極体を収納しており、
前記巻回電極体は、第1電極、セパレータ、第2電極および固定部材を含み、
前記第1電極は、第1箔を含み、
前記第2電極は、第2箔を含み、
前記巻回電極体の巻回方向において、前記第1電極は第1終端部を有し、前記第2電極は第2終端部を有し、前記セパレータは第3終端部を有し、
前記巻回方向において、前記第2終端部は、前記第1終端部から前記第3終端部までの範囲以内に位置しており、
前記第1終端部は、前記第1箔からなり、
前記第2終端部は、前記第2箔からなり、
前記固定部材は、前記第3終端部において、前記巻回電極体を固定しており、
前記固定部材は、式:
0.9×T2≦Tf≦1.1×(T1+T2)
の関係を満たし、
前記式中、
T1は、前記第1箔の厚さを示し、
T2は、前記第2箔の厚さを示し、かつ
Tfは、前記固定部材の最大厚さを示す、
蓄電セル。
【請求項2】
前記固定部材は、式:
0.9×T2≦Tf≦1.1×T2
の関係をさらに満たす、
請求項1に記載の蓄電セル。
【請求項3】
前記巻回電極体の巻回軸と直交する断面において、
第1半直線および第2半直線のなす角は、30°超であり、
前記第1半直線および前記第2半直線の端点は、巻回中心であり、
前記第1半直線は、前記第1終端部を通り、かつ
前記第2半直線は、前記第2終端部を通る、
請求項2に記載の蓄電セル。
【請求項4】
前記固定部材は、式:
0.9×(T1+T2)≦Tf≦1.1×(T1+T2)
の関係をさらに満たす、
請求項1に記載の蓄電セル。
【請求項5】
前記巻回電極体の巻回軸と直交する断面において、
第1半直線および第2半直線のなす角は、30°以下であり、
前記第1半直線および前記第2半直線の端点は、巻回中心であり、
前記第1半直線は、前記第1終端部を通り、かつ
前記第2半直線は、前記第2終端部を通る、
請求項4に記載の蓄電セル。
【請求項6】
前記固定部材は、第1端部および第2端部を有し、
前記巻回方向において、前記第1端部は、前記固定部材の始端部であり、
前記巻回方向において、前記第2端部は、前記第1端部の反対側に位置しており、かつ
前記第1端部において、前記固定部材は、前記最大厚さを有する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の蓄電セル。
【請求項7】
前記第1端部と前記第2端部との間の少なくとも一部において、前記第1端部から前記第2端部に向かうにつれて、前記固定部材の厚さが小さくなっている、
請求項6に記載の蓄電セル。
【請求項8】
前記第1電極は、正極であり、かつ
前記第2電極は、負極である、
請求項1に記載の蓄電セル。
【請求項9】
(a)巻回電極体を形成すること、および
(b)前記巻回電極体をセルケースに収納することにより、蓄電セルを製造すること、
を含み、
前記セルケースは、円筒形であり、
前記巻回電極体は、第1電極、セパレータ、第2電極および固定部材を含み、
前記第1電極は、第1箔を含み、
前記第2電極は、第2箔を含み、
前記巻回電極体の巻回方向において、前記第1電極は第1終端部を有し、前記第2電極は第2終端部を有し、前記セパレータは第3終端部を有し、
前記巻回方向において、前記第2終端部は、前記第1終端部から前記第3終端部までの範囲以内に位置しており、
前記第1終端部は、前記第1箔からなり、
前記第2終端部は、前記第2箔からなり、
前記固定部材は、前記第3終端部において、前記巻回電極体を固定しており、
前記固定部材は、式:
0.9×T2≦Tf≦1.1×(T1+T2)
の関係を満たし、
前記式中、
T1は、前記第1箔の厚さを示し、
T2は、前記第2箔の厚さを示し、かつ
Tfは、前記固定部材の最大厚さを示す、
蓄電セルの製造方法。
【請求項10】
前記固定部材は、式:
0.9×T2≦Tf≦1.1×T2
の関係をさらに満たす、
請求項9に記載の蓄電セルの製造方法。
【請求項11】
前記固定部材は、式:
0.9×(T1+T2)≦Tf≦1.1×(T1+T2)
の関係をさらに満たす、
請求項9に記載の蓄電セルの製造方法。
【請求項12】
前記固定部材が前記第3終端部に貼り付けられることにより、前記巻回電極体が固定され、
前記固定部材は、第1端部および第2端部を有し、
前記巻回方向において、前記第1端部は、前記固定部材の始端部であり、
前記巻回方向において、前記第2端部は、前記第1端部の反対側に位置しており、
前記固定部材は、前記第1端部側から貼り付けられ、かつ
前記固定部材の貼り付け開始から貼り付け終了までの少なくとも一時期において、前記固定部材に加わる張力が増加する、
請求項9から請求項11のいずれか1項に記載の蓄電セルの製造方法。
【請求項13】
前記第1電極は、正極であり、かつ
前記第2電極は、負極である、
請求項9に記載の蓄電セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓄電セルおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2019/111742号は、巻回電極体の巻き終わり部を固定するテープを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電セルは、円筒ケースおよび巻回電極体を含み得る。円筒ケースは、巻回電極体を収納している。円筒ケースの軸方向と直交する断面において、円筒ケースの内壁は、円形である。同断面において、巻回電極体の輪郭線も略円形である。しかし巻回電極体は、円筒ケースに比して、低い真円度を有する。円筒ケースの内壁と、巻回電極体との接触により、応力が発生する。巻回電極体の真円度が低いために、応力集中が発生する可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、応力集中の緩和にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、本開示の技術的構成および作用効果が説明される。ただし作用メカニズムは推定を含む。作用メカニズムは、本開示の技術的範囲を限定しない。
【0007】
1.本開示の一局面における蓄電セルは、次の構成を含む。
蓄電セルは、セルケースおよび巻回電極体を含む。セルケースは、円筒形である。セルケースは、巻回電極体を収納している。巻回電極体は、第1電極、セパレータ、第2電極および固定部材を含む。第1電極は、第1箔を含む。第2電極は、第2箔を含む。巻回電極体の巻回方向において、第1電極は第1終端部を有する。第2電極は第2終端部を有する。セパレータは第3終端部を有する。巻回方向において、第2終端部は、第1終端部から第3終端部までの範囲以内に位置している。第1終端部は、第1箔からなる。第2終端部は、第2箔からなる。固定部材は、第3終端部において、巻回電極体を固定している。
固定部材は、下記式の関係を満たす。
0.9×T2≦Tf≦1.1×(T1+T2)
上記式中、T1は、第1箔の厚さを示す。T2は、第2箔の厚さを示す。Tfは、固定部材の最大厚さを示す。
【0008】
巻回電極体において、第1終端部は、第1電極の巻き終わりである。第1終端部は、第1箔からなる。第2終端部は、第2電極の巻き終わりである。第2終端部は、第2箔からなる。以下「電極箔」は第1箔および第2箔の総称である。巻回方向において、固定部材の少なくとも一部は、第1終端部および第2終端部の外側に配置されている。巻回電極体の巻き終わりにおいて、電極箔および固定部材の厚さが、段差を形成し得る。大きな段差が形成されることにより、巻回電極体の真円度が低下すると考えられる。
【0009】
例えば、第2終端部が第1終端部に近接している場合、第1箔および第2箔の合計厚さ(T1+T2)と、固定部材の最大厚さ(Tf)との関係により、段差の大きさが変化し得る。従来、固定部材の最大厚さ(Tf)は、合計厚さ(T1+T2)に比して十分大きい。本開示の一局面においては、固定部材の最大厚さが、第1箔および第2箔の合計厚さの同等以下である。すなわち、固定部材の最大厚さ(Tf)が、1.1×(T1+T2)以下である。固定部材の最大厚さが、第1箔および第2箔の合計厚さの同等以下であることにより、段差の軽減が期待される。段差の軽減により、真円度の改善が期待される。
【0010】
例えば、第2終端部が第1終端部から離れている場合、第2箔の厚さ(T2)と、固定部材の最大厚さ(Tf)との関係により、段差の大きさが変化し得る。本開示の一局面においては、固定部材の最大厚さが、第2箔の厚さの同等以上である。すなわち、固定部材の最大厚さ(Tf)が、0.9×T2以上である。固定部材の最大厚さが、第2箔の厚さの同等以上であることにより、段差の軽減が期待される。段差の軽減により、真円度の改善が期待される。本開示の一局面においては、真円度の改善により、応力集中の緩和が期待される。
【0011】
なお「最大厚さ」は、固定部材の中で最も厚い部分の厚さを示す。固定部材の厚さは、一定であってもよいし、変化していてもよい。固定部材の厚さが一定である時、固定部材は、全域にわたって最大厚さを有するとものとする。
【0012】
「範囲以内」は、範囲の両端を含む。すなわち「巻回方向において、第2終端部が、第1終端部から第3終端部までの範囲以内に位置する態様」は、「巻回方向において、第2終端部の位置が第1終端部の位置と一致する態様」および「巻回方向において、第2終端部の位置が第3終端部の位置と一致する態様」も含むものとする。
【0013】
2.上記「1」に記載の蓄電セルは、例えば、次の構成を含んでいてもよい。
固定部材は、下記式の関係をさらに満たす。
0.9×T2≦Tf≦1.1×T2
【0014】
例えば、第2終端部が第1終端部から離れている場合、固定部材の最大厚さ(Tf)が、第2箔の厚さ(T2)に近似することにより、段差の軽減が期待される。例えば、固定部材の最大厚さ(Tf)は、第2箔の厚さ(T2)の0.9から1.1倍であってもよい。
【0015】
3.上記「2」に記載の蓄電セルは、例えば、次の構成を含んでいてもよい。
巻回電極体の巻回軸と直交する断面において、第1半直線および第2半直線のなす角は、30°超である。第1半直線および第2半直線の端点は、巻回中心である。第1半直線は、第1終端部を通る。第2半直線は、第2終端部を通る。
【0016】
上記「3」に記載のなす角が30°超である時、固定部材の最大厚さが、第2箔の厚さに近似することにより、段差の軽減が期待される。
【0017】
4.上記「1」に記載の蓄電セルは、例えば、次の構成を含んでいてもよい。
固定部材は、下記式の関係をさらに満たす。
0.9×(T1+T2)≦Tf≦1.1×(T1+T2)
【0018】
例えば、第2終端部が第1終端部に近接している場合、固定部材の最大厚さ(Tf)が、第1箔および第2箔の合計厚さ(T1+T2)に近似することにより、段差の軽減が期待される。例えば、固定部材の厚さ(Tf)は、合計厚さ(T1+T2)の0.9から1.1倍であってもよい。
【0019】
5.上記「4」に記載の蓄電セルは、例えば、次の構成を含んでいてもよい。
巻回電極体の巻回軸と直交する断面において、第1半直線および第2半直線のなす角は、30°以下である。第1半直線および第2半直線の端点は、巻回中心である。第1半直線は、第1終端部を通る。第2半直線は、第2終端部を通る。
【0020】
上記「5」に記載のなす角が30°以下である時、固定部材の最大厚さが、第1箔および第2箔の合計厚さに近似することにより、段差の軽減が期待される。
【0021】
6.上記「1」から「5」のいずれか1項に記載の蓄電セルは、例えば、次の構成を含んでいてもよい。
固定部材は、第1端部および第2端部を有する。巻回方向において、第1端部は、固定部材の始端部である。巻回方向において、第2端部は、第1端部の反対側に位置している。第1端部において、固定部材は、最大厚さを有する。
【0022】
巻回方向において、固定部材の始端部は、電極箔に近接し得る。始端部において、固定部材が最大厚さを有することにより、段差の軽減が期待される。
【0023】
7.上記「6」に記載の蓄電セルは、例えば、次の構成を含んでいてもよい。
第1端部と第2端部との間の少なくとも一部において、第1端部から第2端部に向かうにつれて、固定部材の厚さが小さくなる。
【0024】
以下、上記「7」に記載の態様が「傾斜」とも記される。固定部材に傾斜が付与されることにより、例えば、真円度の改善が期待される。
【0025】
8.上記「1」から「7」のいずれか1項に記載の蓄電セルは、例えば、次の構成を含んでいてもよい。
第1電極は正極である。第2電極は負極である。
【0026】
9.本開示の一局面における蓄電セルの製造方法は、下記(a)および(b)を含む。
(a)巻回電極体を形成する。
(b)巻回電極体をセルケースに収納することにより、蓄電セルを製造する。
セルケースは、円筒形である。巻回電極体は、第1電極、セパレータ、第2電極および固定部材を含む。第1電極は、第1箔を含む。第2電極は、第2箔を含む。巻回電極体の巻回方向において、第1電極は第1終端部を有する。第2電極は第2終端部を有する。セパレータは第3終端部を有する。巻回方向において、第2終端部は、第1終端部から第3終端部までの範囲以内に位置している。第1終端部は、第1箔からなる。第2終端部は、第2箔からなる。固定部材は、第3終端部において、巻回電極体を固定している。
固定部材は、下記式の関係を満たす。
0.9×T2≦Tf≦1.1×(T1+T2)
上記式中、T1は、第1箔の厚さを示す。T2は、第2箔の厚さを示す。Tfは、固定部材の最大厚さを示す。
【0027】
10.上記「9」に記載の蓄電セルの製造方法は、例えば、次の構成を含んでいてもよい。
固定部材は、下記式の関係をさらに満たす。
0.9×T2≦Tf≦1.1×T2
【0028】
11.上記「9」に記載の蓄電セルの製造方法は、例えば、次の構成を含んでいてもよい。
固定部材は、下記式の関係をさらに満たす。
0.9×(T1+T2)≦Tf≦1.1×(T1+T2)
【0029】
12.上記「9」から「11」のいずれか1項に記載の蓄電セルの製造方法は、例えば、次の構成を含んでいてもよい。
固定部材が第3終端部に貼り付けられることにより、巻回電極体が固定される。固定部材は、第1端部および第2端部を有する。巻回方向において、第1端部は、固定部材の始端部である。巻回方向において、第2端部は、第1端部の反対側に位置している。固定部材は、第1端部側から貼り付けられる。固定部材の貼り付け開始から貼り付け終了までの少なくとも一時期において、固定部材に加わる張力が増加する。
【0030】
例えば、貼り付け中の張力変化により、固定部材に傾斜が付与されてもよい。
【0031】
13.上記「9」から「12」のいずれか1項に記載の蓄電セルの製造方法は、例えば、次の構成を含んでいてもよい。
第1電極は正極である。第2電極は負極である。
【0032】
以下、本開示の実施形態(以下「本実施形態」と略記され得る。)が説明される。ただし、本実施形態は、本開示の技術的範囲を限定しない。本実施形態は、全ての点で例示である。本実施形態は、非制限的である。本開示の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内における全ての変更を包含する。例えば、本実施形態から、任意の構成が抽出され、それらが任意に組み合わされることも当初から予定されている。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本実施形態における蓄電セルの一例を示す第1概略断面図である。
【
図2】本実施形態における蓄電セルの一例を示す第2概略断面図である。
【
図3】本実施形態における巻き終わり部の第1例を示す概略断面図である。
【
図4】本実施形態における巻き終わり部の第2例を示す概略断面図である。
【
図5】本実施形態における巻き終わり部の第3例を示す概略断面図である。
【
図6】本実施形態における巻き終わり部の第4例を示す概略断面図である。
【
図7】本実施形態における巻き終わり部の第5例を示す概略断面図である。
【
図8】本実施形態における巻き終わり部の第6例を示す概略断面図である。
【
図9】本実施形態における固定部材の一例を示す概略断面図である。
【
図10】本実施形態における蓄電セルの製造方法の概略フローチャートである。
【
図11】本実施形態における張力変化の一例を示すグラフである。
【
図12】電極原反の切断位置の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
1.用語の説明
「備える」、「含む」、「有する」、および、これらの変形は、オープンエンドの用語である。オープンエンドの用語は必須要素に加えて、追加要素をさらに含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。「からなる」との記載はクローズドの用語である。ただしクローズドの用語で表現される構成であっても、通常において付随する不純物であったり、本開示技術に無関係であったりする付加的な要素は含み得る。「実質的に…からなる」との記載はセミクローズドの用語である。セミクローズドの用語においては、本開示技術の基本的かつ新規な特性に実質的に影響しない要素の付加が許容される。
【0035】
「してもよい」、「し得る」等の表現は、義務的な意味「しなければならないという意味」ではなく、許容的な意味「する可能性を有するという意味」で使用されている。
【0036】
幾何学的な用語は、厳密な意味に解されるべきではない。幾何学的な用語としては、例えば、「平行」、「垂直」、「直交」等が例示される。例えば「平行」は、厳密な意味での「平行」から多少ずれていてもよい。幾何学的な用語は、例えば、設計上、作業上、製造上等の公差、誤差等を含み得る。各図中の寸法関係は、実際の寸法関係と一致しない場合がある。読者の理解を助けるために、各図中の寸法関係が変更されている場合がある。例えば、長さ、幅、厚さ等が変更されている場合がある。さらに一部の構成が省略されている場合もある。
【0037】
「mからn%」等の数値範囲は、特に断りのない限り、両端を含む。すなわち「mからn%」は、「m%以上n%以下」の数値範囲を示す。「m%以上n%以下」は「m%超n%未満」を含む。「以上」および「以下」は、等号付き不等号「≦」によって表される。「超」および「未満」は、等号を含まない不等号「<」によって表される。数値範囲内から任意に選択された数値が、新たな上限値または下限値とされてもよい。例えば、数値範囲内の数値と、本明細書中の別の部分、表中、図中等に記載された数値とが任意に組み合わされることにより、新たな数値範囲が設定されてもよい。
【0038】
全ての数値は用語「約」によって修飾されている。用語「約」は、例えば±5%、±3%、±1%等を意味し得る。全ての数値は、本開示技術の利用形態によって変化し得る近似値であり得る。全ての数値は有効数字で表示され得る。測定値は、特に断りのない限り、複数回の測定における平均値であり得る。測定回数は、3回以上であってもよいし、5回以上であってもよいし、10回以上であってもよい。一般に測定回数が多い程、平均値の信頼性が向上することが期待される。測定値は有効数字の桁数に基づいて、四捨五入により端数処理され得る。測定値は、例えば測定装置の検出限界等に伴う誤差等を含み得る。
【0039】
2.蓄電セル
図1は、本実施形態における蓄電セルの一例を示す第1概略断面図である。蓄電セル1は、円筒形である。蓄電セル1は、任意の用途に適用され得る。蓄電セル1は、例えば、車両の電源等に使用されてもよい。蓄電セル1は、セルケース200および巻回電極体100を含む。蓄電セル1は、例えば、電解液(不図示)、外部端子300、第1集電板410、第2集電板420、および、絶縁部材500等をさらに含んでいてよい。
【0040】
2-1.巻回電極体
図1には、巻回軸に平行な断面が示されている。巻回軸は、軸方向において、巻回中心100cの集合がなす直線である。「軸方向」は、
図1のA方向である。巻回電極体100は、第1電極110、セパレータ130、第2電極120および固定部材140を含む。第2電極120は、第1電極110と異なる極性を有する。第1電極110は、例えば、正極であってもよい。第2電極120は、例えば、負極であってもよい。第1電極110は、例えば、負極であってもよい。第2電極120は、例えば、正極であってもよい。
【0041】
第1電極110および第2電極120は、いずれも帯状電極である。第1電極110、第2電極120およびセパレータ130は、いずれもシート状である。例えば、第1電極110、セパレータ130および第2電極120がこの順に積層されることにより、積層体が形成されてもよい。積層体が渦巻き状に巻回されることにより、巻回電極体100が形成されていてもよい。
【0042】
第1電極110は、第1箔112および第1活物質層114を含む。第1箔112は、集電体として機能し得る。第1箔112は、例えば、Al、Cu、Ni、Fe、Ti等を含んでいてもよい。第1箔112は、第1領域112aおよび第2領域112bを含む。第1領域112aには、第1活物質層114が配置されている。第1活物質層114は、正極活物質または負極活物質を含む。正極活物質は、例えば、リチウムニッケル複合酸化物等を含んでいてもよい。負極活物質は、例えば、黒鉛、Si、SiO等を含んでいてもよい。第2領域112bは、第1領域112aに隣接している。第2領域112bは、軸方向の端部に配置されている。第2領域112bは、複数のタブを有する。複数のタブは、巻回電極体100の周方向に分離している。例えば、第2領域112bに、複数のタブが溶接されていてもよい。例えば、第2領域112bの一部がタブに加工されていてもよい。各タブは、径方向における内側に向かって倒れている。「径方向」は、
図1等のR方向である。各タブの外面は、略平坦面を形成している。各タブは、第1集電板410に接続している。各タブは、第1集電板410に溶接されていてもよい。
【0043】
第2電極120は、第2箔122および第2活物質層124を含む。第2箔122は、集電体として機能し得る。第2箔122は、例えば、Al、Cu、Ni、Fe、Ti等を含んでいてもよい。第2箔122は、第1領域122aおよび第2領域122bを含む。第1領域122aには、第2活物質層124が配置されている。第2活物質層124は、正極活物質または負極活物質を含む。第2領域122bは、第1領域122aに隣接している。第2領域122bは、軸方向の端部に配置されている。第2領域122bは、複数のタブを有する。複数のタブは、巻回電極体100の周方向に分離している。各タブは、径方向における内側に向かって倒れている。各タブの外面は、略平坦面を形成している。各タブは、第2集電板420に接続している。各タブは、第2集電板420に溶接されていてもよい。
【0044】
セパレータ130は、電気絶縁性である。セパレータ130は、第1電極110を第2電極120から電気的に分離している。径方向において、セパレータ130は、第1電極110と第2電極120との間に配置される。セパレータ130は、多孔質である。電解液は、セパレータ130に浸透し得る。セパレータ130は、例えば、樹脂製の多孔質膜等を含んでいてもよい。電解液は、例えば、リチウム塩および有機溶媒等を含んでいてもよい。
【0045】
2-2.固定部材
図2は、本実施形態における蓄電セルの一例を示す第2概略断面図である。
図2には、巻回軸に直交する断面が示されている。「巻回方向」は、
図2のW方向である。巻回方向において、第1電極110は、第1終端部110eを有する。第1終端部110eは、第1電極110の巻き終わりである。第2電極120は、第2終端部120eを有する。第2終端部120eは、第2電極120の巻き終わりである。セパレータ130は、第3終端部130eを有する。第3終端部130eは、セパレータ130の巻き終わりである。巻回方向において、第2終端部120eは、第1終端部110eから第3終端部130eまでの範囲以内に位置する。第1終端部110eにおいて、第1箔112は、第1活物質層114から露出している。第1箔112は、単独で第1終端部110eを形成している。すなわち第1終端部110eは、第1箔112からなる。第2終端部120eにおいて、第2箔122は、第2活物質層124から露出している。第2箔122は、単独で第2終端部120eを形成している。すなわち第2終端部120eは、第2箔122からなる。
【0046】
図12は、電極原反の切断位置の一例を示す概略断面図である。例えば、第1終端部110eは、実質的に第1箔112からなっていてもよい。第1終端部110eが実質的に第1箔112からなる形態においては、第1終端部110eの先端に、第1小片114aが配置されていてもよい。第1小片114aは、第1活物質層114の一部である。例えば、電極原反の長さ方向において、第1箔112の表面に第1活物質層114が間欠的に形成される場合がある。「長さ方向」は、
図12のL方向である。長さ方向は、巻回電極体100において巻回方向となる。電極原反が切断されることにより、個々の第1電極110に分割される。例えば材料効率等の観点から、切断位置Cpが第1活物質層114内に設定されてもよい。切断後、第1終端部110eの先端に、第1小片114aが配置され得る。第1小片114aは、第1箔112の片面のみに配置されていてもよい。第1小片114aは、第1箔112の両面に配置されていてもよい。第1小片114aの長さは、例えば、5mm以下、4mm以下、3mm以下、2mm以下、または、1mm以下のいずれでもよい。第1小片114aの長さは、0.001mm以上、0.01mm以上、0.05mm以上、0.1mm以上、0.5mm以上、または、1mm以上のいずれでもよい。第2終端部120eについても、第1終端部110eと同様である。第2終端部120eは、実質的に第2箔122からなっていてもよい。第2終端部120eの先端に、第2小片(不図示)が配置されていてもよい。第2小片は、第2活物質層124の一部である。
【0047】
固定部材140は、例えば、粘着テープ等を含んでいてもよい。固定部材140は、例えば、第3終端部130eに貼り付けられていてもよい。固定部材140により、巻回電極体100がほどけずに、構造を維持している。すなわち、固定部材140は、第3終端部130eにおいて、巻回電極体100を固定している。
【0048】
(1)最大厚さ
図3は、本実施形態における巻き終わり部の第1例を示す概略断面図である。第1例においては、第2終端部120eが第1終端部110eから離れている。第1例においては、第2箔122の厚さ(T2)と、固定部材140の最大厚さ(Tf)との関係により、段差が軽減され得る。すなわち、最大厚さ(Tf)は、0.9×T2以上である。最大厚さ(Tf)が、0.9×T2以上であることにより、段差の軽減が期待される。例えば、固定部材の最大厚さ(Tf)は、1.1×T2以下であってもよい。例えば、固定部材の最大厚さ(Tf)は、第2箔122の厚さ(T2)と等しくてもよい。
【0049】
図4は、本実施形態における巻き終わり部の第2例を示す概略断面図である。第2例においては、第1例に比して、第2終端部120eが第1終端部110eに近接している。第2例においては、第1箔112および第2箔122の合計厚さ(T1+T2)と、固定部材140の最大厚さ(Tf)との関係により、段差が軽減され得る。すなわち、最大厚さ(Tf)は、1.1×(T1+T2)以下である。最大厚さ(Tf)が1.1×(T1+T2)以下であることにより、段差の軽減が期待される。例えば、最大厚さ(Tf)は、0.9×(T1+T2)以上であってもよい。例えば、最大厚さ(Tf)は、合計厚さ(T1+T2)と等しくてもよい。
【0050】
なお、第1終端部110eの先端に第1小片114aが配置されている形態(
図12参照)においては、第1箔112の厚さと、第1活物質層114の厚さとの合計が、T1とみなされる。第2終端部120eの先端に第2小片が配置されている形態においては、第2箔122の厚さと、第2活物質層124の厚さとの合計が、T2とみなされる。
【0051】
第2終端部120eが第1終端部110eに近接するにつれて、巻き終わり部の構造は、第1例(
図3)から第2例(
図4)に遷移し得ると考えられる。遷移過程においては、最大厚さ(Tf)が、0.9×T2以上、1.1×(T1+T2)以下であることにより、段差の軽減が期待される。ゆえに、固定部材140は、下記式の関係を満たす。
0.9×T2≦Tf≦1.1×(T1+T2)
【0052】
固定部材140は、例えば、下記式の関係を満たしていてもよい。
T2≦Tf≦(T1+T2)
【0053】
固定部材140は、例えば、下記式の関係を満たしていてもよい。
0.9×T2≦Tf≦1.1×T2
【0054】
固定部材140は、例えば、下記式の関係を満たしていてもよい。
0.9×(T1+T2)≦Tf≦1.1×(T1+T2)
【0055】
固定部材140は、例えば、下記式の関係を満たしていてもよい。
0.4×(T1+T2)≦Tf≦0.6×(T1+T2)
【0056】
固定部材140は、例えば、下記式の関係を満たしていてもよい。
0.6×(T1+T2)≦Tf≦0.9×(T1+T2)
【0057】
固定部材140は、例えば、下記式の関係を満たしていてもよい。
0.1×(T1+T2)≦Tf≦0.4×(T1+T2)
【0058】
第1箔112の厚さ(T1)、および、第2箔122の厚さ(T2)は、それぞれ独立に、例えば、5から100μm、5から50μm、5から30μm、5から20μm、または、5から15μmのいずれでもよい。各部材の厚さ(T1、T2、Tf)は、例えば、定圧厚さ測定器等により測定され得る。
【0059】
(2)なす角
第2終端部120eおよび第1終端部110eの離れ具合は、例えば、
図2中の第1角θ1により評価され得る。第1角θ1は、第1半直線L1および第2半直線L2のなす角である。第1角θ1は、正の角である。第1半直線L1が始線であり、かつ第2半直線L2が動径である。「正の角」は、巻回方向において、始端から終端に向かう方向に、始線から動径が回転することにより生じる角である。第1半直線L1および第2半直線L2の端点は、巻回中心100cである。「巻回中心」は、巻回電極体100の輪郭線からなる図形の幾何中心を示す。第1半直線L1は、第1終端部110eを通る。第2半直線L2は、第2終端部120eを通る。
【0060】
第1角θ1は、例えば、30°超であってもよい。第1角θ1が30°超である時、固定部材140の最大厚さ(Tf)が、第2箔122の厚さ(T2)に近似することにより、段差の軽減が期待される。第1角θ1は、例えば、45°以上、60°以上、90°以上、120°以上、150°以上、180°以上、210°以上、240°以上、270°以上、300°以上、または、330°以上のいずれでもよい。第1角θ1は、例えば、360°以下、330°以下、300°以下、270°以下、240°以下、210°以下、180°以下、150°以下、120°以下、90°以下、60°以下、または、45°以下のいずれでもよい。
【0061】
第1角θ1は、例えば、30°以下であってもよい。第1角θ1が30°以下である時、固定部材140の最大厚さ(Tf)が、第1箔112および第2箔122の合計厚さ(T1+T2)に近似することにより、段差の軽減が期待される。第1角θ1は、例えば、25°以下、20°以下、15°以下、10°以下、5°以下、3°以下、または、1°以下のいずれでもよい。第1角θ1は、例えば、0°以上、1°以上、3°以上、5°以上、10°以上、15°以上、20°以上、または、25°以上のいずれでもよい。
【0062】
なお、第1角θ1が0°である時、巻回方向において、第2終端部120eの位置が第1終端部110eの位置と一致する。
【0063】
第3終端部130eおよび第2終端部120eの離れ具合は、例えば、
図2中の第2角θ2により評価され得る。第2角θ2は、第2半直線L2および第3半直線L3のなす角である。第2角θ2は、正の角である。第2半直線L2が始線であり、かつ第3半直線L3が動径である。第3半直線L3の端点も、巻回中心100cである。第3半直線L3は、第3終端部130eを通る。
【0064】
第2角θ2は、例えば、0°以上、1°以上、3°以上、5°以上、10°以上、15°以上、30°以上、45°以上、60°以上、90°以上、120°以上、150°以上、180°以上、210°以上、240°以上、270°以上、300°以上、または、330°以上のいずれでもよい。第2角θ2は、例えば、360°以下、330°以下、300°以下、270°以下、240°以下、210°以下、180°以下、150°以下、120°以下、90°以下、60°以下、45°以下、30°以下、15°以下、10°以下、5°以下、3°以下、または、1°以下のいずれでもよい。
【0065】
なお、第2角θ2が0°である時、巻回方向において、第2終端部120eの位置が第3終端部130eの位置と一致する。
【0066】
(3)配置
第3終端部130eが固定され得る限り、固定部材140の配置は任意である。例えば、
図3等に示されるように、固定部材140の一部が、第3終端部130eと重なっていてもよい。すなわち、径方向において、固定部材140の少なくとも一部が、セパレータ130(最外層)の外側に配置されていてもよい。「径方向」は、
図3等のR方向である。
【0067】
図5は、本実施形態における巻き終わり部の第3例を示す概略断面図である。例えば、径方向において、固定部材140の少なくとも一部が、セパレータ130(最外層)の内側に配置されていてもよい。
【0068】
図6は、本実施形態における巻き終わり部の第4例を示す概略断面図である。例えば、固定部材140の少なくとも一部が、電極箔と重なっていてもよい。例えば、固定部材140の少なくとも一部が、第2箔122と重なっていてもよい。固定部材140の少なくとも一部が、第1箔112および第2箔122の両方と重なっていてもよい。
【0069】
図7は、本実施形態における巻き終わり部の第5例を示す概略断面図である。例えば、最外層の内側において、固定部材140は、電極箔と隣接していてもよい。例えば、固定部材140は、第2箔122と接触していてもよい。固定部材140と電極箔との間に隙間があってもよい。巻回方向において、固定部材140は、第3終端部130eを超えていなくてもよい。
【0070】
(4)傾斜
図8は、本実施形態における巻き終わり部の第6例を示す概略断面図である。固定部材140は、第1端部140sおよび第2端部140eを有する。巻回方向において、第1端部140sは、固定部材140の始端部である。第2端部140eは、固定部材140の終端部である。第2端部140eは、第1端部140sの反対側に位置している。巻回方向において、固定部材140の厚さは、例えば、略一定であってもよい。「略一定」は、最小値に対する最大値の比が、1から1.2であることを示す。最小値に対する最大値の比は、例えば、1から1.1、または、1から1.05であってもよい。例えば、第1端部140sにおいて、固定部材140が最大厚さを有していてもよい。第1端部140sにおいて、固定部材140が最大厚さを示すことにより、段差の軽減が期待される。
【0071】
固定部材140は傾斜を有していてもよい。すなわち、第1端部140sと第2端部140eとの間の少なくとも一部において、第1端部140sから第2端部140eに向かうにつれて、固定部材140の厚さが小さくなっていてもよい。固定部材140が傾斜を有することにより、真円度の改善が期待される。傾斜は、固定部材140の全域にわたっていてもよい。すなわち、固定部材140は、第1端部140sにおいて、最大厚さを有していてもよい。固定部材140は、第2端部140eにおいて、最小厚さを有していてもよい。「最小厚さ」は、固定部材140の中で最も薄い部分の厚さを示す。
【0072】
固定部材140の厚さは、例えば、連続的に変化していてもよい。例えば、第1端部140sから第2端部140eに向かって、固定部材140の厚さが連続的に減少していてもよい。厚さは、例えば、線形的に減少していてもよい。厚さは、例えば、単調減少していてもよい。厚さは、例えば、非線形的に減少していてもよい。厚さは、例えば、階段状に減少していてもよい。厚さは、例えば、指数関数的に減衰していてもよい。
【0073】
(5)基材層、粘着層
図9は、本実施形態における固定部材の一例を示す概略断面図である。巻回電極体100を固定し得る限り、固定部材140は、任意の構成を有し得る。固定部材140は、例えば、基材層141および粘着層142を含んでいてもよい。例えば、基材層141は、全体にわたって、略一定の厚さを有していてもよい。基材層141の少なくとも一部が、傾斜を有していてもよい。粘着層142は、全体にわたって、略一定の厚さを有していてもよい。粘着層142の少なくとも一部が、傾斜を有していてもよい。
【0074】
固定部材140は、例えば、電気絶縁性であってもよい。基材層141は、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、および、ポリフェニレンスルファイド(PPS)からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。粘着層142は、例えば、アクリル系粘着材、シリコーン系粘着材、ウレタン系粘着材、および、ゴム系粘着材からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0075】
固定部材140は、例えば、粘着層142からなっていてもよい。粘着層142は、例えば、酢酸ビニル樹脂系エマルション形接着剤、アクリル樹脂系エマルション形接着剤、酢酸ビニル樹脂系溶剤形接着剤、アクリル樹脂系溶剤形接着剤、塩化ビニル樹脂系溶剤形接着剤、クロロプレンゴム系溶剤形接着剤、クロロプレンゴム系溶剤形マスチックタイプ接着剤、ニトリルゴム系溶剤形接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、変性シリコーン樹脂系接着剤、エポキシ変成シリコーン樹脂系接着剤、でん粉系接着剤、ポリマーセメントモルタル、エポキシ樹脂モルタル、および、シリル化ウレタン樹脂系接着剤からなる群より選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0076】
2-3.セルケース
セルケース200は、巻回電極体100を収納している。セルケース200は、例えば、金属製であってもよい。セルケース200は、例えば、Fe、ステンレス鋼等を含んでいてもよい。セルケース200は、円筒形である。セルケース200は、周壁210、天壁220、および、底壁230を含む。周壁210は、円筒状である。周壁210は、巻回電極体100の外周面を包囲している。周壁210は、巻回電極体100の外周面に接触していてもよい。
【0077】
天壁220は、周壁210の軸方向の端部に接続されている。例えば、天壁220の中央部に、外部端子300に接続するための貫通孔が形成されていてもよい。軸方向において、底壁230は、天壁220と対向している。底壁230は、周壁210の軸方向の端部に接続されている。底壁230は、第2集電板420に接触している。
【0078】
外部端子300は、天壁220の外面に配置されている。外部端子300は、セルケース200と異なる極性を有する。外部端子300は、例えば、正極性を有していてもよい。セルケース200は、例えば、負極性を有していてもよい。外部端子300は、例えば、負極性を有していてもよい。セルケース200は、例えば、正極性を有していてもよい。
【0079】
絶縁部材500は、外部端子300をセルケース200から電気的に分離している。絶縁部材500は、第1絶縁部510および第2絶縁部520を含む。第1絶縁部510は、外部端子300と天壁220との間に介在している。セルケース200の内部において、第2絶縁部520は、第1集電板410と、セルケース200との間に介在している。
【0080】
3.蓄電セルの製造方法
図10は、本実施形態における蓄電セルの製造方法の概略フローチャートである。以下「本実施形態における蓄電セルの製造方法」が「本製造方法」と略記され得る。本製造方法は、「(a)巻回」および「(b)ケース挿入」を含む。
【0081】
3-1.(a)巻回
本製造方法は、巻回電極体100を形成することを含む。巻回電極体100の詳細は、前述のとおりである。第1電極110、第2電極120、セパレータ130、および、固定部材140が準備される。1枚のセパレータ130が単独で使用されてもよいし、2枚以上のセパレータ130が使用されてもよい。例えば、第1電極110、セパレータ130、第2電極120、および、セパレータ130の4部材が積層されることにより、積層体が形成されてもよい。積層体が渦巻き状に巻回されることにより、巻回電極体100が形成されてもよい。セパレータ130の第3終端部130eに固定部材140が貼り付けられることにより、巻回電極体100が固定され得る。なお、積層体の形成、および、積層体の巻回は、順次実行されてもよいし、同時に実行されてもよい。
【0082】
本製造方法は、例えば、固定部材140に傾斜を付与することを含んでいてもよい。例えば、固定部材140の貼り付け中、固定部材140に加わる張力が変化してもよい。
【0083】
図11は、本実施形態における張力変化の一例を示すグラフである。第1時点p1において、貼り付けが開始される。第1時点p1において、固定部材140の第1端部140sがセパレータ130に付着する。固定部材140は、第1端部140s側から、徐々に貼り付けられる。第2時点p2において、固定部材140の第2端部140eがセパレータ130に付着する。第2時点p2において、貼り付けが完了する。
【0084】
例えば、第1時点p1と第2時点p2との間の少なくとも一時期において、張力が増加してもよい。張力の増加により、固定部材140に傾斜が付与され得る。例えば、第1時点p1において、第1張力F1が付与される。第2時点p2において、第2張力F2が付与される。第2張力F2は、第1張力F1に比して大きい。第1張力F1に対する、第2張力F2の比(F2/F1)は、例えば、1.1以上、1.2以上、1.5以上、または、2以上のいずれでもよい。比(F2/F1)は、例えば、2以下、1.5以下、1.2以下、または、1.1以下のいずれでもよい。張力の増加は、例えば、連続的であってもよい。例えば、第1時点p1から第2時点p2に至るまでの間、張力が単調増加してもよい。張力の増加は、例えば、段階的であってもよい。例えば、第1時点p1から第2時点p2に至るまでの間、張力が階段状に増加してもよい。例えば、第1時点p1から第2時点p2に至るまでの間、張力が指数関数的に増加してもよい。
【0085】
3-2.(b)ケース挿入
本製造方法は、巻回電極体100をセルケース200に収納することにより、蓄電セル1を製造することを含む。巻回電極体100の巻回軸がセルケース200の軸方向と平行になるように、巻回電極体100がセルケース200に挿入される。第1電極110は、外部端子300に電気的に接続される。第2電極120は、セルケース200に電気的に接続される。巻回電極体100の挿入後、セルケース200内に電解液が注入されてもよい。セルケース200が密閉されることにより、蓄電セル1が完成する。例えば、レーザ等により、底壁230が周壁210に溶接されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 蓄電セル、100 巻回電極体、100c 巻回中心、110 第1電極、110e 第1終端部、112 第1箔、112a,122a 第1領域、112b,122b 第2領域、114 第1活物質層、114a 第1小片、120 第2電極、120e 第2終端部、122 第2箔、124 第2活物質層、130 セパレータ、130e 第3終端部、140 固定部材、140s 第1端部、140e 第2端部、141 基材層、142 粘着層、200 セルケース、210 周壁、220 天壁、230 底壁、300 外部端子、410 第1集電板、420 第2集電板、500 絶縁部材、510 第1絶縁部、520 第2絶縁部、F1 第1張力、F2 第2張力、L1 第1半直線、L2 第2半直線、L3 第3半直線、p1 第1時点、p2 第2時点、θ1 第1角、θ2 第2角、Cp 切断位置。